JP4175873B2 - 不断水管推進工法およびその工法用水密タンク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、上水、下水道の管路を遮断することなく通水させたままで既設管内に新規管路を敷設していく不断水管推進工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上水、下水道管路が老朽化するなどして新規管路に敷設替えする場合、道路などを開削する必要のない工法として、交換すべき一定長さの管路の上流と下流にそれぞれ発進立坑と到達立坑とを掘削し、当該管路の通水を一旦遮断して交換すべき老朽管路内に新規管を接続しつつ推進して行き、老朽管路内に新規管路を敷設する、いわゆるパイプインパイプ工法が知られている(例えば非特許文献)。
【0003】
【非特許文献】
昭和60年6月、久保田鉄工株式会社発行「ダクタイル管施工ハンドブック」第335頁〜352頁。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上下水道は公共設備であるので、送水を遮断して工事を行うことは出来ない場合も多い。
【0005】
このため、管路の更新などを行う場合は、バイパス管路を設けることによって管路を更新するといったことを余儀なくされる場合がある。
しかし、この場合は、バイパス管路の敷設と工事終了後の撤去に手間が掛かり、しかも費やした工事や経費は全く無駄となるので不経済となる問題があった。
【0006】
この発明は、上記問題を解消し、既設管路が老朽化し更新する場合など、不断水で使用中の管路に新規管路を推進施工することを課題としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため請求項1の発明は、既設管路を水密タンクで覆い、該タンク内の前記既設管路を通水した状態のまま新規単管が介挿できる長さ分切断除去し、該切断管を遠隔把持装置で前記タンク外へ取り出した後、外部より前記タンク内に新規単管をタンク内に搬入し、水密通水状態を維持したまま前記既設管路の切断開放部に前記新規単管を同軸姿勢に載置し、該管を遠隔操作により既設管路内へ順次推進して新規管路を必要長さ敷設し、最後に新規推進管路の後端と既設管の先端とを遠隔操作により水密に接続し、前記タンクを解体除去する工法である。
【0008】
この工法によれば、管路を覆うように設けた水密タンク内で既設管内への新規管の挿入ならびに推進工法を行うので、通水は外部に漏出する事は無く、しかも既設管内に新規管を挿入する場合、新規管内に通水した状態で新規管路を推進していくので、断水することなく新規管の推進工法の実施が可能となる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1における不断水管推進工法に使用される水密タンクであって、管路を必要な長さだけ水密に覆う水密タンクの本体上部にタンク内を水平に仕切る開閉蓋がタンク外よりタンク内へ入出自在に設けられ、前記タンク本体の天井部にはリフトが設けられ、該リフトの下端に設けられた把持装置によって管あるいは切断工具など必要な部材が把持されて前記タンク内を降下、上昇可能に支持され、前記タンク本体の前記開閉蓋より上方には水密に閉めることのできる開閉扉が設けられ、該開閉扉から工具や新規単管などが搬入可能とされ、前記タンクの底面部には、管押し込み用のロッドが、水密状態にシールされて出入自在に設けられてなるものである。
【0010】
この水密タンクによれば、必要な管路に、この管路を水密に覆うように取り付ければ、以後は不断水状態で管路の切断新規管挿入の施工が可能となる。
請求項3の発明は、請求項2における不断水管推進工法用水密タンクに、該タンク内の水を、浄化し再び前記タンク内に戻す水浄化装置を設けてなるものである。
【0011】
この水密タンクによれば、不断水状態で施工する際に発生する、例えば管切断時に発生する切断屑や、工事の進行に伴って発生する遊離汚泥などを除去でき、不断水工法施工中における通水の清浄状態が保てる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の不断水管推進工法およびその工法用水密タンクについて説明する。
【0013】
図1はこの発明の方法を実施する際の装置全体を示す説明断面図である。
図1において、2は管路1を必要な長さ、即ち更新管路に接続使用される単管を挿入出来る長さだけの部分を水密に覆うタンクを示し、このタンク2で管路を覆い、周囲に水が漏洩しないようにする。
【0014】
タンク2の上部にはタンク内を水平に仕切る開閉蓋3が、タンク2外よりタンク内へ入出自在に設けられ、かつ、開閉蓋3の貫通部分から漏水しないように開閉蓋3の全行程が水密カバー4で覆われている。図中5は、開閉蓋3を開閉操作するハンドルを示し、図示例の場合は、ハンドル5によって回転操作される送りねじロッド(図示せず)によって開閉蓋3が開閉動作されるように構成されている。
【0015】
タンク2の天井部にはリフト6が設けられ、リフト6の下端に設けられた把持装置7によって管10あるいは切断工具など必要な部材が把持されてタンク2内を降下、上昇するようにされている。
【0016】
また、タンク2の開閉蓋3より上方には水密に閉めることのできる開閉扉15が設けられ、ここから工具や新規単管10などが搬入可能とされている。
リフト装置6の上部には図示は省略されているが上下方向に駆動するシリンダ装置ないしは摩擦駆動装置が設けられており、把持装置7を保持するリフト6が上下方向に駆動可能とされている。
【0017】
タンク2の底面部には、タンク2外に設けたシリンダピストン装置よりなる管押し込み装置8のピストン9が、周囲をパッキンなどで水密状態にシールされて出入自在に設けられ、ピストン9の先端には、搬入される新管10の一端に係合する押板11が設けられている。
【0018】
また、図中12は既設管1を除去した後に設けられる新規挿入管10の芯出しと軸方向移動をスムーズに行うための推進台を示す。
また、水密タンク2内には取水口17と放水口18が設けられ、その間に例えばフィルターなどを内蔵した浄水装置19が連通され施工中に発生した切断屑や浮遊汚泥を除去するようにされている。
【0019】
次に、上記設備による不断水管推進工法を説明する。
まず、図1に示したように既設管路1の推進工法を開始する地点にタンク2を立設し、既設管路1周囲とタンク2の貫通部分とを水密にシールし、内部の水が外へ漏洩しないようにする。なお、切断予定の既設管の下部に推進台12を設置する。また、図示はされていないが、新規管10を敷設し終わる地点にも同様な構造のタンクが設けられる。
【0020】
次いで、図2に示すように、リフト6の先端に管切断カッター13を取り付け、タンク2内へ下降させる。そして、新しい単管10より少し長い分だけ、カッター13で既設管路1を切り取る。このとき既設管1の切断に伴って内部流水が流出するが、周囲はタンク2で覆われているので外部へ流出することはない。なお、図2以下には図示を省略されているが、タンク2内に充満した水は取水口17(図1)から浄水装置19(同)を経て放水口18(同)へと循環されるので工事の進展に伴ってタンク2内に発生する切断屑や浮遊汚泥などは、可能な限り除去される。なお、図示はされていないが、新規管10を敷設し終わる地点に設けられるタンク2内でも同様に浄水が行われる。
【0021】
このように、上流から流れてくる水は、一旦タンク2内を満たしたあと再び下流側の管路1へと流れていき、断水することはない。
そして、切断終了後は、カッター13を引き上げ、取り外した後、図3に示すように再び下降させ切り取った管1aをリフト6の先端の把持装置7で把持してタンク2上部へと引き上げる。
【0022】
そして、開閉蓋3より上方へ管1aを引き上げれば図4に示すように、ハンドル5を操作して開閉蓋3を閉じ、タンク2の下方空間を下方空間と遮断する。
そして、タンク2の上部空間内を排水しタンク上方を開放し、図5に示すように開閉扉15を開けて切断した管1aを搬出すると共に、新しい単管10を運び入れ、リフト先端の把持装置7に取り付ける。なお、10cは、単管10周囲に巻きつけられたバンドを示し、車輪10rが設けられ、単管10を軸方向へ推進する際の抵抗を軽減するようにされている。
【0023】
図6に示すように、開閉扉15を閉めタンク2上部を密閉し、開閉蓋3をハンドル5操作により開放し、リフト6をタンク2下部へと下降させる。
新規単管10が推進台上に達すれば、図7に示すように把持装置7から新規単管10を開放し推進台12上に託し、管押し込み装置8のピストンシリンダ装置を駆動し突き出したピストン9により、新規単管10を既設管路1内へと押し込む。このとき、新規単管10には車輪が設けられているので、軸方向への推進力はそれだけ少なくて済む。
【0024】
そしてこの間、図8に示すように、リフト6は上方へ引き上げられ、開いた開閉蓋3から上方へ移動すれば、再び開閉蓋3を閉じ排水後、タンク2の上部を開放し、次の新規単管10を開閉扉15から搬入して把持装置7に把持させる。
【0025】
そして、再びタンク2の上方を閉じ、開閉蓋3を開放して新規単管10を推進台12上へ下降させる。
次いで図9ならびに図10に示すように、先に下降された新規単管10は押し込み装置8で既設管路1内へ押し込まれているため、後に下降された新規単管10は推進台上10に載置され、再び押し込み装置8により先に下降された新規単管の受口10aに挿口10bを挿入するように押し込まれる。
【0026】
なお、この場合の管継手としては、いわゆるスリップオンタイプのものが使用され、受口10aに挿口10bを挿入すれば接続が完了するものが好適に使用される。
【0027】
このような操作を繰り返して、新規単管10…を接続しつつ既設管路1内へと挿入し、図示は省略されているが、到達地点に設けた立坑まで、新規管路を推進工法で敷設するのである。
【0028】
そして、最後の新規管10を接続したあとは、図11に示すように、最後の新規管10外周に託しておいた接続具14で新規管10の後端と既設管路1の先端1aならびに後端1bとを水密に接続すると共に、到達立坑でも同様に既設管後端と新規管10の先端とを接続具で水密に接続し、管路の接続を終了する。
【0029】
なお、既設管後端と新規管10の先端とを接続する間だけは一時的に断水される。
この接続が終了すれば、既設管1内を流れる水は再び管内だけを流れるようになるので、タンク内の水を排水し、タンクそのものを分解除去し、掘削した地面を埋め戻して工事を終了するのである。
【0030】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、既設管路の中に更新管などを推進工法で敷設する場合、通水したままで推進工法を実施でき、断水するにしても一時的な短い時間で済むので、長期間の断水をすることなく管の更新が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を実施する際の装置全体を示す説明断面図である。
【図2】この発明の方法の実施状態においてカッターを搬入している状態を示す説明断面図である。
【図3】この発明の方法の実施状態において切断した管を搬出している状態を示す説明断面図である。
【図4】この発明の方法の実施状態において切断した管をタンク外へ搬出する状態を示す説明断面図である。
【図5】新規単管を搬入している状態を示す説明断面図である。
【図6】新規単管を下降させる状態を示す説明断面図である。
【図7】新規単管を下降した状態を示す説明断面図である。
【図8】新規単管を既設管内に推進している状態を示す説明断面図である。
【図9】新規単管を推進している状態を示す説明断面図である。
【図10】新規単管を引き続き推進している状態を示す説明断面図である。
【図11】推進工法完了時を示す説明断面図である。
【符号の説明】
1 既設管路
2 タンク
3 タンク内を水平に仕切る開閉蓋
4 水密カバー
5 ハンドル
6 リフト
7 把持装置
8 管押し込み装置
9 ピストン
16 パッキン
11 押板
10 新規単管
Claims (3)
- 既設管路を水密タンクで覆い、該タンク内の前記既設管路を通水した状態のまま新規単管が介挿できる長さ分切断除去し、該切断管を遠隔把持装置で前記タンク外へ取り出した後、外部より前記タンク内に新規単管をタンク内に搬入し、水密通水状態を維持したまま前記既設管路の切断開放部に前記新規単管を同軸姿勢に載置し、該管を遠隔操作により既設管路内へ順次推進して新規管路を必要長さ敷設し、最後に新規推進管路の後端と既設管の先端とを遠隔操作により水密に接続し、前記タンクを解体除去する不断水管推進工法。
- 請求項1における不断水管推進工法に使用される水密タンクであって、管路を必要な長さだけ水密に覆う水密タンクの本体上部にタンク内を水平に仕切る開閉蓋がタンク外よりタンク内へ入出自在に設けられ、前記タンク本体の天井部にはリフトが設けられ、該リフトの下端に設けられた把持装置によって管あるいは切断工具など必要な部材が把持されて前記タンク内を降下、上昇可能に支持され、前記タンク本体の前記開閉蓋より上方には水密に閉めることのできる開閉扉が設けられ、該開閉扉から工具や新規単管などが搬入可能とされ、前記タンクの底面部には、管押し込み用のロッドが、水密状態にシールされて出入自在に設けられてなる不断水管推進工法用水密タンク。
- 請求項2における不断水管推進工法用水密タンクに、該タンク内の水を、浄化し再び前記タンク内に戻す水浄化装置を設けてなる不断水管推進工法用水密タンク。
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JP2002343123A JP4175873B2 (ja) | 2002-11-27 | 2002-11-27 | 不断水管推進工法およびその工法用水密タンク |
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