JP4175028B2 - 熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、しっとり感、及び高級感を有するフィルムを形成する熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スチレン系熱可塑性エラストマー乳化物は、プラスチックやアスファルト改質剤、塗工紙用、タイヤコート用、繊維加工用、防水剤用などコーティング剤として広く使用されており、その製造方法が開示されている(例えば、特開平4−161460号公報、特開2000−219748号公報、特公昭52−22651号公報、特開2001−294766号公報)。このようにして製造されたスチレン系熱可塑性エラストマー乳化物は、製品に「低温下でも高い弾性力」の付与を目的としたものである。
【0003】
最近、製品表面の手触りや肌触りがしっとりとした感触(以下、「しっとり感」という)を有し、製品表面に高級感を付与したフィルムを形成することができるスチレン系熱可塑性エラストマー水性乳化分散液が強く要望されている。しかしながら、かかる市場の要求を未だ十分に満たしていないのが現状である。
【0004】
また、これらの公報においては、しっとり感を有するフィルムを形成することができる熱可塑性エラストマーの水性乳化分散液の製造に関して全く記載されておらず、またこれを示唆する記載もない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、製品表面にしっとり感を与え、さらに高級感を付与できるたフィルムを形成することができる熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、スチレン系熱可塑性エラストマー成分とプロセスオイル成分の重量比が1/5〜1/50の混合物を、炭化水素系溶媒存在下で乳化させ、次いで該炭化水素系溶媒を留去して得られる熱可塑性エラストマー水性乳化分散液が、しっとり感を有し、高級感のあるフィルムを形成することを見いだした。
【0007】
本発明は、かかる知見に基づき、完成されたものであり、以下に示す発明を提供するものである。
【0008】
項1 スチレン系熱可塑性エラストマー(A)成分とプロセスオイル(B)成分の重量比が1/5〜1/50の混合物を、炭化水素系溶媒存在下で乳化剤を用いて乳化させ、次いで該炭化水素系溶媒を留去することを特徴とする熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
【0009】
項2 乳化方法が転相乳化法である上記項1に記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
【0010】
項3 (A)成分が、スチレン−イソプレン−スチレン共重合水素化物、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体水素化物、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体水素化物、スチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体水素化物及びスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体水素化物からなる群から選ばれる少なくとも1種のスチレン系熱可塑性エラストマーである上記項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
【0011】
項4 (A)成分の5重量%トルエン溶液の溶液粘度が、20〜500mPa・s(30℃)である上記項3に記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
【0012】
項5 (B)成分が、パラフィン系炭化水素及びナフテン系炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロセスオイルである上記項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
【0013】
項6 (A)成分が上記項3又は4に記載の熱可塑性熱可塑性エラストマーであり、(B)成分がパラフィン系炭化水素である請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
【0014】
項7 乳化剤が、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコール・エチレンオキシド付加物の硫酸エステル塩、及びアルキルフェノール・エチレンオキシド付加物の硫酸エステル塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
【0015】
項8 乳化剤がアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩である上記項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
【0016】
項9 乳化させた後、さらに抑泡剤及び/又は消泡剤を添加することを含む上記項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
〈スチレン系熱可塑性エラストマー〉
本発明に係るスチレン系熱可塑性エラストマー(A)は、スチレン及び/又はα−メチルスチレンによる繰り返し単位を含むものであれば、特に制限されず、公知のものが使用できる。具体的には、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−エチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−イソプレン−スチレン共重合体、及びこれら重合体水素化物が例示される。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0018】
ここで、本明細書において重合体水素化物とは、上記共重合体の二重結合部位を水素化した重合体を指す。
【0019】
(A)成分は、25℃以上の二次転移温度を有する非弾性重合体ブロックと10℃以下の二次転温度を有する弾性重合体ブロックからなる共重合体である。
【0020】
上記25℃以上の二次転移温度を有する非弾性重合体ブロックとしては、スチレン、αーメチルスチレンなどのモノビニル芳香族炭化水素から選ばれた単量体の単独重合体ブロック又は2種以上からなる共重合体ブロックが挙げられる。
【0021】
また、上記10℃以下の二次転移温度を有するブロックとしては、ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン化合物から選ばれた単量体の単独重合体ブロック、前記単量体の2種以上からなる共重合体ブロック、これらの重合体ブロックを水素化した重合体ブロックなどが挙げられる。当該ブロックの具体例としては、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、ブタジエンとイソプレンの共重合体、水素化したブタジエン重合体、水素化したイソプレン重合体、水素化したエチレン−ブタジエン共重合体、水素化したブタジエン−イソプレン共重合体、水素化したエチレン−イソプレン共重合体等が挙げられる。
【0022】
これらのうち特に、スチレン含有量が12〜66重量%程度、好ましくは20〜40重量%程度の共重合体であり、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体水素化物、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体水素化物、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体水素化物、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体水素化物、スチレン−ブタジエン−イソプレン−スチレン共重合体水素化物、スチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体水素化物の少なくとも1種のスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0023】
さらにこれらのうち特に、5重量%トルエン溶液の溶液粘度が20〜500mPa・s程度、好ましくは40〜400mPa・s程度である水素化した共重合体が好ましい。
【0024】
このような共重合体としては、具体的には、クラレ(株)より販売されているセプトン1001、セプトン2002、セプトン2004、セプトン2007、セプトン2005、セプトン2006、セプトン2063、セプトン2104、セプトン4033、セプトン4044、セプトン4055、セプトン4077、セプトン8007、セプトン8004、セプトン8006、セプトン8104などが例示される。これらのうち、セプトン2005、セプトン4055、セプトン4077及びセプトン8006がフィルムのしっとり感が良好である点からより好ましい。
【0025】
〈プロセスオイル〉
本発明におけるプロセスオイル(B)としては、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素が例示される。特に、芳香族成分の含有量が5重量%以下のものを使用する場合、製品表面に形成したフィルム表面の耐候性が優れている点から好ましい。
【0026】
本発明における(A)成分と(B)成分の重量比は、通常、1/5〜1/50程度であり、好ましくは、1/5〜1/20程度の範囲である。(B)成分がこれより少ないと、しっとり感が生起せず、これより多いと形成するフィルム強度が小さくなるためコーティング能力が低下する傾向が見られる。この範囲内であれば、使用において問題ない。
【0027】
〈炭化水素系溶媒〉
本発明に用いられる炭化水素系溶媒としては、特に制限されることはなく、具体的に、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、メチルエチルシクロヘキサン、デカリン、炭素数C8留分の芳香族溶媒、炭素数C8留分の芳香族溶媒を核水素化した溶媒(例えば、新日本理化(株)製、商品名「リカソルブ800」)、炭素数C9留分の芳香族溶媒、炭素数C9留分の芳香族溶媒を核水素化した溶媒(例えば、新日本理化(株)製、商品名「リカソルブ900」)、炭素数C10留分の芳香族溶媒を核水素化した溶媒、及びこれらの混合物などの炭素数10以下の炭化水素系溶媒が例示される。これらのうち、低価格で溶解性が優れているトルエン、キシレンが好ましい。
【0028】
また、自然環境の保護並びに作業環境安全性や人体に対する安全性の観点からは、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、リカソルブ800、リカソルブ900などの非芳香族系溶媒が好ましい。
【0029】
上記溶媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0030】
これらの溶媒の使用量は、通常、(A)成分と(B)成分の混合物の重量を基準として、0.1〜20重量倍程度、好ましくは、0.5〜10重量倍程度の範囲が好ましい。
【0031】
〈乳化剤〉
本発明の用いられる乳化剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を用いることがができる。
【0032】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、以下のカルボン酸型アニオン系界面活性剤、硫酸エステル型アニオン系界面活性剤、スルホン酸型アニオン系界面活性剤及びリン酸エステル型アニオン系界面活性剤を挙げることができる。
【0033】
(1)カルボン酸型アニオン系界面活性剤としては、具体的に、アビエチン酸塩、ナフテン酸塩、アルケニルコハク酸塩等が例示される。
【0034】
(2)硫酸エステル型アニオン系界面活性剤としては、具体的に、飽和又は不飽和の高級アルコール(炭素数8〜18)硫酸エステル塩、飽和又は不飽和の高級アルコール(炭素数8〜18)のエチレンオキシド付加物の硫酸エステル塩、アルキル(炭素数8〜12)フェノールのエチレンオキシド付加物の硫酸エステル塩等が例示される。
【0035】
(3)スルホン酸型アニオン系界面活性剤としては、具体的に、アルキル(炭素数2〜20、分岐若しくは直鎖)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(炭素数2〜20、分岐若しくは直鎖)ナフタレンスルホン酸塩、石油スルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩等が例示される。
【0036】
(4)リン酸エステル型アニオン系界面活性剤としては、具体的に、アルキル(炭素数8〜18)リン酸モノエステル塩、アルキル(炭素数8〜18)リン酸ジエステル塩、アルキル(炭素数8〜12)フェノールのエチレンオキシド付加物のリン酸モノエステル塩、アルキル(炭素数8〜12)フェノールのエチレンオキシド付加物のリン酸ジエステル塩等が例示される。
【0037】
上記(1)〜(4)のアニオン系界面活性剤の塩としては、具体的にナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及びアルカノールアミン塩が例示される。
【0038】
ノニオン系界面活性剤としては、飽和又は不飽和アルコール(炭素数8〜18)のエチレンオキシド付加物、飽和又は不飽和アルコール(炭素数8〜炭素数18)のプロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物、アルキル(炭素巣8〜12)フェノールのエチレンオキシド、アルキル(炭素数8〜12)フェノールのプロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物等が例示される。
【0039】
上記アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0040】
上記のアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤のうち特に、有機相或いは水相への溶解性と乳化分散液の粒径が制御可能な点からアルキル(炭素数2〜20、分岐若しくは直鎖)ベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩が好ましく、なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩が安価で入手容易である点から最も好ましい。
【0041】
本発明の乳化剤は、通常、(A)成分及び(B)成分の混合物の重量を基準として、0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の範囲が好ましい。0.5重量%未満だと、安定な乳化分散液が得られにくく、逆に、30重量%を越えると乳化はするが不経済であり、また、得られた乳化分散液から得られるフィルム本来の特性が損なわれる傾向が見られる。
【0042】
〈乳化分散液の調製方法〉
本発明の乳化方法としては、特に限定されることはないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。
【0043】
(1)(A)成分、(B)成分及び炭化水素系溶媒からなる混合溶液を、乳化剤を溶解した水中に投入し、高剪断力下、混合乳化する方法、
【0044】
(2)(A)成分、(B)成分及び炭化水素系溶媒からなる混合溶液に乳化剤を混合し、次いで水を添加し、撹拌・転相し、必要に応じて、高剪断力下で、乳化する方法、
【0045】
(3)(A)成分、(B)成分及び炭化水素系溶媒からなる混合溶液、乳化剤、及び水を一括して添加し、撹拌・転相し、必要に応じて、高剪断力下で、乳化する方法等を採用することができる。
【0046】
これらのうち、(2)及び(3)の転相乳化する方法(以下、「転相乳化法」という)が熱可塑性エラストマーの粒径が一定水準以下の乳化分散液が得られる点から好ましい。
【0047】
混合乳化や転相乳化は、ホモミキサー、ホモジナイザー、フリミックス、ナノマイザー、キャビトロン、ラインミキサー、万能攪拌機、ボトムリボン翼式撹拌装置等の当該分野で慣用されている公知の乳化装置を使用することができる。
【0048】
また、連続的に製造する場合は、ラインミキサーにより効率良く生産する方法が好ましく、一方、バッチ式で製造する場合は、コンデンサとボトムリボン翼式撹拌装置を具備した製造装置により簡便に生産する方法が好ましい。
【0049】
乳化時の温度は、特に限定されるものではなく、通常、10℃〜200℃程度、好ましくは20〜150℃程度、さらに好ましくは25〜100℃程度の範囲である。
【0050】
このようにして得られた炭化水素系溶媒を含有する乳化分散液は、例えば、80〜100℃、常圧〜300kPaの条件下で水と共沸させることにより炭化水素系溶媒を除去することができる。
【0051】
用いる乳化剤の種類によっては有機溶媒を留去する際、発泡のため脱溶媒に長時間を要したり、更に発泡が激しい場合は留去が困難になるおそれがあるため抑泡剤・消泡剤を添加することが推奨される。
【0052】
上記の抑泡剤・消泡剤としては、特に制限されることはなく、例えば、アマイド系、シリカ・シリコーン系、シリコーン系、ワックス系等の抑泡剤・消泡剤が挙げられる。かかる抑泡剤・消泡剤としては、具体的に、SNデフォーマー477、SNデフォーマー475−L、SNデフォーマー5013、SNデフォーマー5016(以上サンノプコ(株)製)等が例示される。その添加量は、乳化分散液の重量を基準として、0.01〜0.5重量%程度、好ましくは0.02〜0.3重量%程度である。
【0053】
さらに必要に応じて水分を留去又は添加して所望の固形分濃度に調製した本発明の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液を得ることができる。かかる固形分濃度としては、通常、10〜90%程度、好ましくは20〜60%程度である。
【0054】
このようにして得られるスチレン系熱可塑性エラストマー乳化物(メジアン径)は、通常、0.05〜50μm、好ましくは0.1〜30μm程度の範囲である。0.05μm未満だと、粘度が高く取り扱いが困難になり、50μmを越えると機械的安定性(攪拌やポンプ移送時の剪断力に対する安定性)や静置安定性が低下する傾向が見られる。
【0055】
〈用途〉
本発明の製造法よって得られるスチレン系熱可塑性エラストマー水性乳化分散液は、プラスチック成形体、各種フィルム、各種シ−トなどの製品表面のコーティング剤として使用した場合、製品に手触り感触としてしっとり感を与え、また、製品に高級感を付与できるコーティング剤として有効である。
【0056】
実施例
以下、実施例及び比較例を掲げて本発明を詳しく説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。水性乳化分散液の粘度、乳化物の粒径(メジアン径)、固形分濃度(%)、トルエン含有量、及び感触試験は下記の方法に従った。
【0057】
粘度
東機産業(株)製BL型粘度計を使用して測定した。
乳化物の粒径(メジアン径)
(株)堀場製作所製 レーザー散乱・回折粒度分布計LA−910を用いて測定した。
固形分濃度(%)
水性乳化分散液をシャーレに取り、105℃で2時間乾燥し、固形分の重量を求め、下記式から固形分濃度(%)を求めた。
固形分濃度(%)=[蒸発乾燥後の重量(g)/サンプル採取量(g)]×100
トルエン含有量
ガスクロマトグラフィーを用いて測定した。
感触試験
実施例1、2、及び比較例1の感触試験は、水性乳化分散液を塗布し、乾燥させて得られたフィルムを10名のモニターにより触感試験を行った。下記の判定基準に従って判定した。
◎:しっとり感が認められる
○:ややしっとり感
△:ゴム感
×:ゴツゴツ感
【0058】
実施例1
ホモミキサー(特殊機化工業(株)製、商品名「TKホモミキサー マークII」)を備えた乳化釜に、水 1119g及びドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩(松本油脂製薬(株)製、商品名「ハイマール2号」)71gを入れ、90℃迄昇温した。次に「セプトン4055」75g、パラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名「ダイアナプロセスオイルPW−90」)600gをトルエン750gに溶解した溶液を添加し、ホモミキサーの翼周速8m/sで90℃で5分間攪拌混合し予備乳化を行った。次いで、この予備乳化液を90℃、50MPaでホモジナイザー(Gaulin製、商品名「LAB40−10RBFI型」)処理後、冷却し、トルエン含有乳化分散液2561gを得た。得られたトルエン含有乳化分散液、及び消泡剤(サンノプコ(株)製、商品名「SNデフォーマー5013」)1.0gをコンデンサー、デカンター、滴下ロートを備えた5L四つ口フラスコに入れ、常圧下、プロペラ攪拌しながら昇温し、共沸してくる水と同重量の水を補充しながらトルエンを留去した。ガスクロマトグラフィーにて乳化分散液中のトルエン含有量が500ppmになった時点で加熱を中止し、室温まで冷却した。
【0059】
得られた水性乳化分散液の固形分濃度は40wt%、及び乳化物のメジアン径は0.5μmであった。
【0060】
触感試験の結果は、モニター全員がしっとり感があると回答した。
【0061】
実施例2
コンデンサー、デカンター、滴下ロートを備えた攪拌機((株)ダルトン製 万能混合攪拌機)に「セプトン4055」75g、パラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名「ダイアナプロセスオイルPW−90」)600g、トルエン750gを入れ、攪拌しながら90℃迄昇温溶解した。室温迄冷却後、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩(松本油脂製薬(株)製、商品名「ハイマール2号」)71g、水60gを加え攪拌、転相させた。転相後更に1時間攪拌を継続した。水1059g、消泡剤(サンノプコ(株)製、商品名「SNデフォーマー5013」)1.0gを加え、大気圧下、攪拌しながら昇温、共沸してくる水と同重量の水を補充しながらトルエンを留去した。ガスクロマトグラフィーにて乳化液中のトルエン含有量が500ppmになった時点で加熱を中止し、室温まで冷却した。得られた水性乳化分散液の固形分濃度は40wt%、また乳化物のメジアン径は0.6μmであった。さらに触感試験の結果は、モニター全員がしっとり感があると回答した。
【0062】
比較例1
「セプトン4055」75gとパラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名「ダイアナプロセスオイルPW−90」)600gの重量比を1/1とした他は実施例1と同様の操作を行い、水性乳化分散液を得た。得られたフィルムの感触試験の結果は、8名がゴム感で不快、2名がややしっとり感があると回答した。
【0063】
比較例2
「セプトン4055」75gとパラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名「ダイアナプロセスオイルPW−90」)600gの重量比を1/80とした他は実施例1と同様の操作を行い、水性乳化分散液を得た。得られたフィルムの感触試験の結果は、手の接触により破断してしまい、回答が得られなかった。
【0064】
【発明の効果】
本発明の製造方法よって得られるスチレン系熱可塑性エラストマー水性乳化分散液は、プラスチック成形体、各種フィルム、各種シ−トなどの製品表面のコーティング剤として使用した場合、製品表面にしっとり感を与え、また、高級感を付与できるコーティング剤として有効である。
Claims (9)
- スチレン系熱可塑性エラストマー(A)成分とプロセスオイル(B)成分の重量比が1/5〜1/50の混合物を、炭化水素系溶媒存在下で乳化剤を用いて乳化させ、次いで該炭化水素系溶媒を留去することを特徴とするコーティング剤用の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
- 乳化方法が転相乳化法である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
- (A)成分が、スチレン−イソプレン−スチレン共重合水素化物、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体水素化物、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体水素化物、スチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体水素化物及びスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体水素化物からなる群から選ばれる少なくとも1種のスチレン系熱可塑性エラストマーである請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
- (A)成分の5重量%トルエン溶液の溶液粘度が、20〜500mPa・s(30℃)である請求項3に記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
- (B)成分が、パラフィン系炭化水素及びナフテン系炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロセスオイルである請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
- (A)成分が請求項3又は4に記載の熱可塑性エラストマーであり、(B)成分がパラフィン系炭化水素である請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
- 乳化剤が、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコール・エチレンオキシド付加物の硫酸エステル塩、及びアルキルフェノール・エチレンオキシド付加物の硫酸エステル塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
- 乳化剤がアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩である請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
- 乳化させた後、さらに抑泡剤及び/又は消泡剤を添加することを含む請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー水性乳化分散液の製造方法。
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