JP4173298B2 - パターン化薄膜形成方法およびマイクロデバイスの製造方法 - Google Patents
パターン化薄膜形成方法およびマイクロデバイスの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスクを用いてパターン化薄膜を形成するパターン化薄膜形成方法およびマイクロデバイスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パターン化された薄膜(本出願においてパターン化薄膜と言う。)を有するマイクロデバイスにおいて、パターン化薄膜は、例えば、パターン化されたレジスト層をマスクとして用いて形成される。なお、マイクロデバイスとは、薄膜形成技術を利用して製造される小型のデバイスを言う。マイクロデバイスの例としては、半導体デバイスや、薄膜磁気ヘッドや、薄膜を用いたセンサやアクチュエータ等がある。
【0003】
パターン化されたレジスト層をマスクとして用いて、下地上にパターン化薄膜を形成する方法としては、例えば特開平9−96909号公報に示されるように、リフトオフ法、エッチング法、およびこれらを併用した方法(以下、併用法と言う。)等がある。
【0004】
上述の各方法では、マスクとして、断面形状が矩形のマスクや、上部側の幅が底部側の幅よりも小さい台形の断面形状を有するマスクや、底部側の幅が上部側の幅よりも小さいマスク、すなわちアンダーカットの入った形状のマスクが用いられる。アンダーカットの入った形状のマスクは、リフトオフ法においてはマスクのリフトオフを容易にする効果を奏し、エッチング法においてはバリの発生を防止する効果を奏し、併用法においてはこれら両方の効果を奏する。
【0005】
アンダーカットの入った形状のマスクを形成する方法としては、特開平2−17643号公報に示されるように2層レジストを用いる方法や、特開平9−96909号公報に示されるように画像反転機能を有するレジストを用いる方法や、特開平8−69111号公報に示されるようにマイクログルーブを利用する方法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、形成しようとするパターン化薄膜の幅が小さくなってきて、それに応じてマスクの幅が小さくなってくると、後で詳しく説明するように、形成されるパターン化薄膜の歩留りが低下するという問題点がある。アンダーカットの入った形状のマスクの使用は、パターン化薄膜の歩留りを向上させるが、それでも、マスクの幅が小さくなってくるとパターン化薄膜の歩留りは低下する。それは、マスクの幅が小さくなるほど、アンダーカット部分の幅も小さくなり、その結果、前述の効果が低下してくるためである。
【0007】
ここで、図35ないし図37を参照して、上述の問題点について、リフトオフ法、エッチング法および併用法毎に詳しく説明する。
【0008】
図35は、リフトオフ法における問題点を説明するための断面図である。リフトオフ法では、まず、下地301の上にマスク310を形成する。次に、下地301およびマスク310の上の全面に被パターニング膜302を形成する。次に、マスク310を剥離(リフトオフ)する。これにより、下地301の上に形成された被パターニング膜302によってパターン化薄膜が形成される。このリフトオフ法では、被パターニング膜302のうちの下地301の上に形成された部分とマスク310の側壁に付着した部分とが繋がり易い。これらが繋がると、マスク310を剥離するための溶剤がマスク310と下地301との境界に達しにくくなるため、マスク310の剥離が困難になり、その結果、パターン化薄膜の歩留りが低下する。
【0009】
図36は、エッチング法における問題点を説明するための断面図である。エッチング法では、まず、下地301の上に被パターニング膜321を形成する。次に、被パターニング膜321の上にマスク310を形成する。次に、マスク310を用いて被パターニング膜321を選択的にエッチングして、被パターニング膜321によってパターン化薄膜322を形成する。次に、マスク310を剥離する。このエッチング法では、マスク310を用いて被パターニング膜321を選択的にエッチングする際に、被パターニング膜321より分離した物質がマスク310の側壁に再付着して、再付着膜323が形成される。この再付着膜323は、マスク310を剥離した後にパターン化薄膜322の上に残り易い。パターン化薄膜322の上に残った再付着膜323はバリとなるため、パターン化薄膜の歩留りが低下する。
【0010】
図37は、併用法における問題点を説明するための断面図である。併用法では、まず、下地301の上に第1の被パターニング膜331を形成する。次に、第1の被パターニング膜331の上にマスク310を形成する。次に、マスク310を用いて第1の被パターニング膜331を選択的にエッチングする。次に、下地301およびマスク310の上の全面に第2の被パターニング膜333を形成する。次に、マスク310を剥離(リフトオフ)する。これにより、マスク310の下に存在していた第1の被パターニング膜331によって第1のパターン化薄膜332が形成され、下地301の上に形成された第2の被パターニング膜333によって第2のパターン化薄膜334が形成される。この併用法では、マスク310を用いて第1の被パターニング膜331を選択的にエッチングする際に、第1の被パターニング膜331より分離した物質がマスク310の側壁に再付着して、再付着膜335が形成される。また、併用法では、第2の被パターニング膜333の形成後に、第2の被パターニング膜333のうちの下地301の上に形成された部分とマスク310の側壁に付着した部分とが繋がり易い。これらのことから、併用法は、リフトオフ法における問題点とエッチング法における問題点の双方を有し、その結果、パターン化薄膜の歩留りが低下する。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、マスクを用いて形成されるパターン化薄膜の歩留りを向上させることができるようにしたパターン化薄膜形成方法およびマイクロデバイスの製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1のパターン化薄膜形成方法は、マスクを用いてパターン化薄膜を形成する方法であって、
下地の上に被パターニング膜を形成する工程と、
被パターニング膜の上にマスクを形成する工程と、
マスクを用いて被パターニング膜を選択的にドライエッチングする工程と、
ドライエッチングする工程の後に、下地、被パターニング膜およびマスクを含む積層体を加熱または冷却して、被パターニング膜のドライエッチングの際に被パターニング膜より分離された物質がマスクに付着して形成された再付着膜とマスクの下に存在する被パターニング膜との間に亀裂を生じさせる工程と、
亀裂を生じさせる工程の後に、マスクを剥離することによって、マスクの下に存在していた被パターニング膜によってパターン化薄膜を形成する工程とを備えたものである。
【0013】
本発明の第1のパターン化薄膜形成方法では、再付着膜とマスクの下に存在する被パターニング膜との間に亀裂を生じさせることにより、マスクを剥離した後に再付着膜がパターン化薄膜の上に残ることを防止する。
【0014】
本発明の第1のパターン化薄膜形成方法において、亀裂を生じさせる工程は、被パターニング膜の形成時における下地の温度、マスクの形成時における下地の温度および被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度のいずれよりも高い温度で下地を加熱してもよい。
【0015】
また、本発明の第1のパターン化薄膜形成方法において、亀裂を生じさせる工程は、被パターニング膜の形成時における下地の温度、マスクの形成時における下地の温度および被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度のいずれよりも低い温度で下地を冷却してもよい。
【0016】
本発明の第2のパターン化薄膜形成方法は、マスクを用いてパターン化薄膜を形成する方法であって、
下地の上に第1の被パターニング膜を形成する工程と、
第1の被パターニング膜の上にマスクを形成する工程と、
マスクを用いて第1の被パターニング膜を選択的にドライエッチングする工程と、
ドライエッチングする工程の後に、下地およびマスクの上の全面に第2の被パターニング膜を形成する工程と、
第2の被パターニング膜を形成する工程の後に、下地、第1の被パターニング膜、マスクおよび第2の被パターニング膜を含む積層体を加熱または冷却して、第1の被パターニング膜のドライエッチングの際に第1の被パターニング膜より分離された物質がマスクに付着して形成された再付着膜とマスクの下に存在する第1の被パターニング膜との間に亀裂を生じさせると共に、第2の被パターニング膜のうちの下地の上に形成された部分とマスクに付着した部分との境界位置に亀裂を生じさせる工程と、
亀裂を生じさせる工程の後に、マスクを剥離することによって、マスクの下に存在していた第1の被パターニング膜によって第1のパターン化薄膜を形成すると共に、下地の上に形成された第2の被パターニング膜によって第2のパターン化薄膜を形成する工程とを備えたものである。
【0017】
本発明の第2のパターン化薄膜形成方法では、再付着膜と第1の被パターニング膜との間に亀裂を生じさせることにより、マスクを剥離した後に再付着膜が第1のパターン化薄膜の上に残ることを防止し、第2の被パターニング膜のうちの下地の上に形成された部分とマスクに付着した部分との境界位置に亀裂を生じさせることにより、マスクの剥離を容易にする。
【0018】
本発明の第2のパターン化薄膜形成方法において、亀裂を生じさせる工程は、第1の被パターニング膜の形成時における下地の温度、マスクの形成時における下地の温度、第1の被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度および第2の被パターニング膜の形成時における下地の温度のいずれよりも高い温度で下地を加熱してもよい。
【0019】
また、本発明の第2のパターン化薄膜形成方法において、亀裂を生じさせる工程は、第1の被パターニング膜の形成時における下地の温度、マスクの形成時における下地の温度、第1の被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度および第2の被パターニング膜の形成時における下地の温度のいずれよりも低い温度で下地を冷却してもよい。
【0020】
本発明の第3のパターン化薄膜形成方法は、マスクを用いてパターン化薄膜を形成する方法であって、
下地の上に第1の被パターニング膜を形成する工程と、
第1の被パターニング膜の上にマスクを形成する工程と、
マスクを用いて第1の被パターニング膜を選択的にドライエッチングする工程と、
ドライエッチングする工程の後に、下地、第1の被パターニング膜およびマスクを含む積層体を加熱または冷却して、第1の被パターニング膜のドライエッチングの際に第1の被パターニング膜より分離された物質がマスクに付着して形成された再付着膜とマスクの下に存在する第1の被パターニング膜との間に亀裂を生じさせる工程と、
再付着膜と第1の被パターニング膜との間に亀裂を生じさせる工程の後に、下地およびマスクの上の全面に第2の被パターニング膜を形成する工程と、
第2の被パターニング膜を形成する工程の後に、下地、第1の被パターニング膜、マスクおよび第2の被パターニング膜を含む積層体を加熱または冷却して、第2の被パターニング膜のうちの下地の上に形成された部分とマスクに付着した部分との境界位置に亀裂を生じさせる工程と、
境界位置に亀裂を生じさせる工程の後に、マスクを剥離することによって、マスクの下に存在していた第1の被パターニング膜によって第1のパターン化薄膜を形成すると共に、下地の上に形成された第2の被パターニング膜によって第2のパターン化薄膜を形成する工程とを備えたものである。
【0021】
本発明の第3のパターン化薄膜形成方法では、再付着膜と第1の被パターニング膜との間に亀裂を生じさせることにより、マスクを剥離した後に再付着膜が第1のパターン化薄膜の上に残ることを防止し、第2の被パターニング膜のうちの下地の上に形成された部分とマスクに付着した部分との境界位置に亀裂を生じさせることにより、マスクの剥離を容易にする。
【0022】
本発明の第3のパターン化薄膜形成方法において、再付着膜と第1の被パターニング膜との間に亀裂を生じさせる工程は、第1の被パターニング膜の形成時における下地の温度、マスクの形成時における下地の温度および第1の被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度のいずれよりも高い温度で下地を加熱してもよい。
【0023】
また、本発明の第3のパターン化薄膜形成方法において、再付着膜と第1の被パターニング膜との間に亀裂を生じさせる工程は、第1の被パターニング膜の形成時における下地の温度、マスクの形成時における下地の温度および第1の被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度のいずれよりも低い温度で下地を冷却してもよい。
【0024】
また、本発明の第3のパターン化薄膜形成方法において、境界位置に亀裂を生じさせる工程は、第1の被パターニング膜の形成時における下地の温度、マスクの形成時における下地の温度、第1の被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度および第2の被パターニング膜の形成時における下地の温度のいずれよりも高い温度で下地を加熱してもよい。
【0025】
また、本発明の第3のパターン化薄膜形成方法において、境界位置に亀裂を生じさせる工程は、第1の被パターニング膜の形成時における下地の温度、マスクの形成時における下地の温度、第1の被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度および第2の被パターニング膜の形成時における下地の温度のいずれよりも低い温度で下地を冷却してもよい。
【0026】
本発明のマイクロデバイスの製造方法は、1以上のパターン化薄膜を含むマイクロデバイスを製造する方法において、パターン化薄膜が本発明の第1ないし第3のいずれかのパターン化薄膜形成方法によって形成されるものである。
【0027】
本発明のマイクロデバイスの製造方法において、マイクロデバイスは薄膜磁気ヘッドであってもよい。この場合、パターン化薄膜は磁気抵抗効果素子であってもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の実施の形態に係るパターン化薄膜形成方法の説明の前に、図1ないし図7を参照して、パターン化薄膜形成方法の一例について説明する。本例の方法では、リフトオフ法を用いてパターン化薄膜を形成する。
【0029】
本例の方法では、まず、図1ないし4に示したように、基板等の下地101の上にマスク110を形成する。マスク110は、例えばレジストをパターニングすることによって形成される。レジストは、ポジ型でもネガ型でもよい。マスク110は、図1に示したように、断面形状が矩形のマスクでもよいし、上部側の幅が底部側の幅よりも小さい台形の断面形状を有するマスクでもよい。また、マスク110は、図2ないし図4に示したように、アンダーカットの入った形状のマスクでもよい。図2に示したマスク110は、底部側の幅が上部側の幅よりも小さい台形の断面形状を有するものである。図2に示したマスク110は、例えば、特開平9−96909号公報に示されるように画像反転機能を有するレジストを用いて形成される。図3に示したマスク110は、所定の幅を有する上層112と、この上層112の幅よりも小さい幅を有する下層111とを含むものである。図3に示したマスク110は、例えば、特開平2−17643号公報に示されるように2層レジストを用いて形成される。図4に示したマスク110は、底部側にくびれを有するものである。図4に示したマスク110は、例えば、特開平8−69111号公報に示されるようにマイクログルーブを利用して形成される。なお、図5以降の図では、便宜上、マスク110を図2に示した形状で表す。
【0030】
次に、図5に示したように、例えばスパッタリング法によって、下地101およびマスク110の上の全面に被パターニング膜121を形成する。
【0031】
次に、図6に示したように、下地101、マスク110および被パターニング膜121を含む積層体を加熱または冷却して、被パターニング膜121のうちの下地101の上に形成された部分とマスク110に付着した部分との境界位置に亀裂122を生じさせる。
【0032】
次に、図7に示したように、積層体を溶剤に浸漬することによってマスク110を剥離(リフトオフ)する。これにより、下地101の上に形成された被パターニング膜121によって、所望の形状のパターン化薄膜123が形成される。なお、マスク110を剥離する際には、超音波を用いて積層体に振動を加えてもよい。
【0033】
ここで、図8を参照して、亀裂122を生じさせる原理について詳しく説明する。図8は、被パターニング膜121の形成時における被パターニング膜121の成長の様子を示している。図8に示したように、被パターニング膜121の形成時において、下地101の上に形成される被パターニング膜121は、下地101の上面に垂直な方向に成長する。一方、マスク110の側壁に付着した被パターニング膜121は、側壁に垂直な方向に成長する。これら2種類の被パターニング膜121は、互いに相が異なっている。従って、これら2種類の被パターニング膜121が接する位置には、異なる相の境界125が生じる。被パターニング膜121において、境界125では他の部分に比べて亀裂が生じ易い。
【0034】
本例では、被パターニング膜121の形成後に、積層体を加熱または冷却する。積層体を加熱すると、積層体を構成する各層は膨張する。積層体を冷却すると、積層体を構成する各層は収縮する。その結果、いずれの場合においても、境界125の周辺に応力が加わり、境界125において、亀裂122が生じる。この亀裂122が生じると、マスク110を剥離する際に、溶剤が亀裂122を通してマスク110と下地101との境界に達するため、マスク110の剥離が容易になる。
【0035】
積層体の加熱または冷却は、下地101を加熱または冷却することによって行ってもよい。下地101を加熱する場合には、マスク110の形成時における下地101の温度および被パターニング膜121の形成時における下地101の温度のいずれよりも高い温度で下地101を加熱するのが好ましい。これにより、積層体を構成する各層は、下地101を加熱する工程より前のいずれの工程における膨張よりも大きく膨張するため、亀裂122が生じ易くなる。また、下地101を冷却する場合には、マスク110の形成時における下地101の温度および被パターニング膜121の形成時における下地101の温度のいずれよりも低い温度で下地101を冷却するのが好ましい。これにより、積層体を構成する各層は、下地101を冷却する工程より前のいずれの工程における収縮よりも大きく収縮するため、亀裂122が生じ易くなる。
【0036】
なお、積層体を冷却すると、境界125の両側で互いに外向きの力が生じる。そのため、積層体を加熱する場合に比べて、積層体を冷却する方が、容易に亀裂122を生じさせることができる。
【0037】
以上説明したように、本例のパターン化薄膜形成方法によれば、被パターニング膜121のうちの下地101の上に形成された部分とマスク110に付着した部分との境界位置に亀裂122を生じさせるようにしたので、マスク110の剥離が容易になる。従って、本例によれば、パターン化薄膜123の歩留りを向上させることができる。
【0038】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
次に、図9ないし図13を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るパターン化薄膜形成方法について説明する。本実施の形態に係るパターン化薄膜形成方法は、エッチング法を用いてパターン化薄膜を形成する。
【0039】
本実施の形態に係る方法では、まず、図9に示したように、下地101の上に被パターニング膜131を形成する。次に、図10に示したように、被パターニング膜131の上にマスク110を形成する。なお、マスク110の形状は、図1ないし図7を参照して説明した例と同様に、図1ないし図4に示した各形状のいずれでもよい。
【0040】
次に、図11に示したように、マスク110を用いて、ドライエッチング、例えばイオンミリングによって、被パターニング膜131を選択的にエッチングする。これにより、被パターニング膜131のうちのマスク110の下に存在する部分が残る。また、被パターニング膜131のエッチングの際には、被パターニング膜131より分離された物質がマスク110の側壁に付着して、マスク110の側壁に再付着膜132が形成される。再付着膜132とマスク110の下に存在する被パターニング膜131とでは、互いに相が異なっている。従って、これらの境界では亀裂が生じ易い。
【0041】
次に、図12に示したように、下地101、被パターニング膜131およびマスク110を含む積層体を加熱または冷却して、再付着膜132とマスク110の下に存在する被パターニング膜131との間に亀裂133を生じさせる。亀裂133を生じさせる原理は、図8を参照して説明した亀裂122を生じさせる原理と同様である。
【0042】
積層体の加熱または冷却は、下地101を加熱または冷却することによって行ってもよい。下地101を加熱する場合には、被パターニング膜131の形成時における下地101の温度、マスク110の形成時における下地101の温度および被パターニング膜131のエッチング時における下地101の温度のいずれよりも高い温度で下地101を加熱するのが好ましい。これにより、積層体を構成する各層は、下地101を加熱する工程より前のいずれの工程における膨張よりも大きく膨張するため、亀裂133が生じ易くなる。また、下地101を冷却する場合には、被パターニング膜131の形成時における下地101の温度、マスク110の形成時における下地101の温度および被パターニング膜131のエッチング時における下地101の温度のいずれよりも低い温度で下地101を冷却するのが好ましい。これにより、積層体を構成する各層は、下地101を冷却する工程より前のいずれの工程における収縮よりも大きく収縮するため、亀裂133が生じ易くなる。
【0043】
次に、図13に示したように、積層体を溶剤に浸漬することによってマスク110を剥離する。これにより、マスク110の下に存在していた被パターニング膜131によって、所望の形状のパターン化薄膜134が形成される。なお、マスク110を剥離する際には、超音波を用いて積層体に振動を加えてもよい。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態に係るパターン化薄膜形成方法によれば、再付着膜132とマスク110の下に存在する被パターニング膜131との間に亀裂133を生じさせることにより、マスク110を剥離した後に、再付着膜132がパターン化薄膜134の上に残ることを防止することができる。従って、本実施の形態によれば、パターン化薄膜123の歩留りを向上させることができる。
【0045】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、図1ないし図7を参照して説明した例と同様である。
【0046】
[第2の実施の形態]
次に、図14ないし図18を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るパターン化薄膜形成方法について説明する。本実施の形態に係るパターン化薄膜形成方法は、併用法を用いてパターン化薄膜を形成する。
【0047】
本実施の形態に係る方法では、まず、図14に示したように、下地101の上に第1の被パターニング膜141を形成する。次に、第1の被パターニング膜141の上にマスク110を形成する。なお、マスク110の形状は、図1ないし図7を参照して説明した例と同様に、図1ないし図4に示した各形状のいずれでもよい。
【0048】
次に、図15に示したように、マスク110を用いて、ドライエッチング、例えばイオンミリングによって、第1の被パターニング膜141を選択的にエッチングする。これにより、第1の被パターニング膜141のうちのマスク110の下に存在する部分が残る。また、第1の被パターニング膜141のエッチングの際には、第1の被パターニング膜141より分離された物質がマスク110の側壁に付着して、このマスク110の側壁に再付着膜142が形成される。再付着膜142とマスク110の下に存在する第1の被パターニング膜141とでは、互いに相が異なっている。従って、これらの境界では亀裂が生じ易い。
【0049】
次に、図16に示したように、例えばスパッタリング法によって、下地101およびマスク110の上の全面に第2の被パターニング膜144を形成する。
【0050】
次に、図17に示したように、下地101、第1の被パターニング膜141、マスク110および第2の被パターニング膜144を含む積層体を加熱または冷却する。これにより、再付着膜142とマスク110の下に存在する第1の被パターニング膜141との間に亀裂143を生じさせると共に、第2の被パターニング膜144のうちの下地101の上に形成された部分とマスク110の側壁に付着した部分との境界位置に亀裂145を生じさせる。亀裂143,145を生じさせる原理は、図1ないし図7を参照して説明した例または第1の実施の形態と同様である。
【0051】
積層体の加熱または冷却は、下地101を加熱または冷却することによって行ってもよい。下地101を加熱する場合には、第1の被パターニング膜141の形成時における下地101の温度、マスク110の形成時における下地101の温度、第1の被パターニング膜141のエッチング時における下地101の温度および第2の被パターニング膜144の形成時における下地101の温度のいずれよりも高い温度で下地101を加熱するのが好ましい。これにより、積層体を構成する各層は、下地101を加熱する工程より前のいずれの工程における膨張よりも大きく膨張するため、亀裂143,145が生じ易くなる。また、下地101を冷却する場合には、第1の被パターニング膜141の形成時における下地101の温度、マスク110の形成時における下地101の温度、第1の被パターニング膜141のエッチング時における下地101の温度および第2の被パターニング膜144の形成時における下地101の温度のいずれよりも低い温度で下地101を冷却するのが好ましい。これにより、積層体を構成する各層は、下地101を冷却する工程より前のいずれの工程における収縮よりも大きく収縮するため、亀裂143,145が生じ易くなる。
【0052】
次に、図18に示したように、積層体を溶剤に浸漬することによってマスク110を剥離(リフトオフ)する。これにより、マスク110の下に存在していた第1の被パターニング膜141によって、所望の形状の第1のパターン化薄膜146が形成される。また、下地101の上に形成された第2の被パターニング膜144によって、所望の形状の第2のパターン化薄膜147が形成される。この方法によれば、下地101の上に、連続するように第1のパターン化薄膜146と第2のパターン化薄膜147とを形成することができる。なお、マスク110を剥離する際には、超音波を用いて積層体に振動を加えてもよい。
【0053】
なお、本実施の形態において、図15に示した第1の被パターニング膜141のエッチング工程と、図16に示した第2の被パターニング膜144の形成工程との間に、下地101、第1の被パターニング膜141およびマスク110を含む積層体を加熱または冷却する工程を追加してもよい。この工程では、第1の実施の形態における図12に示した工程と同様に、再付着膜142とマスク110の下に存在する第1の被パターニング膜141との間に亀裂を生じさせる。亀裂を生じさせる原理は、第1の実施の形態と同様である。
【0054】
この場合における積層体の加熱または冷却は、下地101を加熱または冷却することによって行ってもよい。下地101を加熱する場合には、第1の実施の形態と同様に、第1の被パターニング膜141の形成時における下地101の温度、マスク110の形成時および第1の被パターニング膜141のエッチング時における下地101の温度のいずれよりも高い温度で下地101を加熱するのが好ましい。また、下地101を冷却する場合には、第1の実施の形態と同様に、第1の被パターニング膜141の形成時における下地101の温度、マスク110の形成時および第1の被パターニング膜141のエッチング時における下地101の温度のいずれよりも低い温度で下地101を冷却するのが好ましい。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態に係るパターン化薄膜形成方法によれば、再付着膜142とマスク110の下に存在する第1の被パターニング膜141との間に亀裂143を生じさせることにより、マスク110を剥離した後に、再付着膜142が第1のパターン化薄膜146の上に残ることを防止することができる。また、本実施の形態によれば、第2の被パターニング膜144のうちの下地101の上に形成された部分とマスク110に付着した部分との境界位置に亀裂145を生じさせるようにしたので、マスク110の剥離が容易になる。これらのことから、本実施の形態によれば、パターン化薄膜146,147の歩留りを向上させることができる。
【0056】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、図1ないし図7を参照して説明した例または第1の実施の形態と同様である。
【0057】
次に、本発明の第1または第2の実施の形態における積層体の加熱または冷却の方法の一例について説明する。この方法では、図19に示した加熱冷却装置を用いる。この加熱冷却装置は、積層体50が載置される平坦な上面を有する加熱冷却部51を備えている。この加熱冷却部51は、例えばステンレス鋼によって構成される。加熱冷却装置は、更に、加熱冷却部51の中に配置されたヒーター52と、加熱冷却部51の中を通るように配置された冷却管53と、加熱冷却部51の外部に配置され、冷却管53の両端に接続された液体窒素タンク54と、加熱冷却部51の外部に配置され、冷却管53の途中に挿入されたポンプ55とを備えている。液体窒素タンク54は、冷媒としての液体窒素を貯留する。加熱冷却装置は、更に、加熱冷却部51の上面の温度を検出する温度センサ56と、この温度センサ56、ヒーター52、およびポンプ55の電源線57に接続された温度コントローラ58とを備えている。温度コントローラ58は、温度センサ56の検出信号を入力すると共に、ヒーター52およびポンプ55を制御するようになっている。
【0058】
加熱冷却装置を用いて積層体50を加熱する場合には、温度コントローラ58は、温度センサ56の検出信号を入力して加熱冷却部51の上面の温度を測定しながら、加熱冷却部51の上面の温度が所定の温度になるようにヒーター52を制御して、ヒーター52によって積層体50を加熱する。
【0059】
また、加熱冷却装置を用いて積層体50を冷却する場合には、温度コントローラ58は、温度センサ56の検出信号を入力して加熱冷却部51の上面の温度を測定しながら、加熱冷却部51の上面の温度が所定の温度になるようにポンプ55を制御して、冷却管53を通過する液体窒素によって積層体50を冷却する。
【0060】
なお、積層体の加熱または冷却の方法は、図19に示した加熱冷却装置を用いる方法に限らない。例えば、積層体の加熱または冷却の方法としては、液体窒素等の所定の温度の液体中に積層体を浸漬する方法や、所定の温度の液体をスピンコート等の方法によって積層体の表面に塗布する方法や、所定の温度の雰囲気中に積層体を放置する方法でもよい。
【0061】
次に、積層体を加熱または冷却する際の下地101の温度とパターン化薄膜の歩留りとの関係を調べた実験の結果について説明する。この実験では、以下に示す条件で、第2の実施の形態に係るパターン化薄膜形成方法によってパターン化薄膜を形成した。
【0062】
この実験では、まず、下地101としてのSi基板上に、以下の条件でNiFeをスパッタリングして、厚み0.05μmの第1の被パターニング膜141を形成した。スパッタ装置としては、CVC社製の直流スパッタ装置VE8295(製品名)を用いた。スパッタ装置におけるターゲットはNiFeとした。スパッタ装置の出力は700Wとした。スパッタ装置におけるスパッタ室内には、Arガスを10sccmの流量で供給した。スパッタ室内におけるArガスの圧力は、1.0mTorr(約0.133Pa)とした。第1の被パターニング膜141の形成時に、基板(下地101)の温度は55℃まで上昇した。
【0063】
次に、第1の被パターニング膜141の上に、以下の条件でマスク110を形成した。まず、レジストとして、東京応化工業株式会社製の化学増幅型ネガ型レジストTOK TDUR−N620 GP(製品名)を塗布し、80℃で60秒間、プリベークを行い、厚み0.5μmのレジスト層を形成した。次に、ステッパ(露光装置)として、株式会社ニコン製NSR−TFHEX14C(製品名)を用い、レンズの開口数NAを0.6、コヒーレンスファクタσを0.75として、露光用マスクを通過した所定のパターンの光でレジスト層を露光して、レジスト層に潜像を形成した。露光用マスクにおける線幅は0.25μmとした。なお、コヒーレンスファクタσは、レティクル側から見た照明光学系のレンズ開口数をNA1、レティクル側から見た縮小レンズのレンズ開口数をNA2としたときに、σ=NA1/NA2で表される。ただし、NA2=NA/mであり、1/mは投影レンズの縮小率である。また、露光量(Dose)は、40mJ/cm2とした。次に、100℃で60秒間、現像前ベークを行った。次に、現像液として2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液を用いて、60秒間の現像を1回行った。
【0064】
次に、マスク110を用いて、以下の条件でイオンミリングを行って、第1の被パターニング膜141を選択的にエッチングした。イオンミリング装置としては、コモンウェルス社製8C(製品名)を用いた。イオンミリング装置における出力は、500W、500mAとした。エッチング室内のガスの圧力は3mTorr(約0.399Pa)とした。イオン照射角度は0°(イオン照射方向が基板に垂直)とした。第1の被パターニング膜141のエッチング時に、基板(下地101)の温度は80℃まで上昇した。
【0065】
次に、以下の条件で、下地101およびマスク110の上の全面に、W(タングステン)をスパッタして、厚み0.08μmの第2の被パターニング膜144を形成した。スパッタ装置としては、CVC社製の直流スパッタ装置VE8295(製品名)を用いた。スパッタ装置におけるターゲットはWとした。スパッタ装置の出力は700Wとした。スパッタ装置におけるスパッタ室内には、Arガスを10sccmの流量で供給した。スパッタ室内におけるArガスの圧力は、1.0mTorr(約0.133Pa)とした。第2の被パターニング膜144の形成時に、基板(下地101)の温度は55℃まで上昇した。
【0066】
次に、図19に示した加熱冷却装置を乾燥空気中に設置し、加熱冷却部51の上面の温度を所定の温度に設定した。ここで、所定の温度とは、図20に示したように、−196℃(液体窒素の温度)から200℃の範囲内の複数の温度の中から選択される。そして、この加熱冷却部51の上に、上述のように第2の被パターニング膜144まで形成された積層体を載置し、3分間放置した後、基板(下地101)が常温(23℃)になるまで放置した。
【0067】
次に、上記積層体を、1時間、揺動しながらアセトン中に浸漬して、マスク110を剥離した。次に、積層体をアセトンにて洗浄した後、乾燥した。
【0068】
以上の工程によって、NiFeよりなり、線幅が約0.25μmの第1のパターン化薄膜146と、この第1のパターン化薄膜146の両側に配置され、Wよりなる第2のパターン化薄膜147とを有する積層体が得られた。
【0069】
次に、この積層体における第1のパターン化薄膜146と第2のパターン化薄膜147との境界部分の100箇所を、株式会社日立製作所製の走査型電子顕微鏡S7800(製品名)にて観察した。そして、観察した100箇所のうち、バリが存在しない箇所の割合を、パターン化薄膜の歩留りとした。
【0070】
図20は、上記の実験より得られた、積層体の基板(下地101)の加熱冷却温度(加熱冷却部51の上面の温度)と歩留りとの関係を示している。図20から、積層体の基板(下地101)を冷却する場合には、基板の温度を−60℃以下とするのが好ましいことが分かった。また、積層体の基板(下地101)を冷却する場合の基板の温度としては、液体窒素を用いて容易に実現することができる−196℃以上が好ましい。また、図20から、積層体の基板(下地101)を加熱する場合には、基板の温度を160〜180℃の範囲内の温度とするのが好ましいことが分かった。なお、基板の温度を200℃以上とした場合には、レジストよりなるマスク110を溶剤によって剥離することができなくなった。
【0071】
なお、上記の実験は、第2の実施の形態に関して行ったが、実験の結果から分かる加熱または冷却における好ましい温度範囲は、第1の実施の形態に関しても同様である。
【0072】
以下、本発明の各実施の形態に係るパターン化薄膜形成方法を、マイクロデバイスの一例としての薄膜磁気ヘッドの製造方法に適用した例について説明する。ここでは、スピンバルブ型の巨大磁気抵抗効果素子(以下、GMR素子と記す。)を用いた再生ヘッドを含む薄膜磁気ヘッドの例を挙げる。
【0073】
始めに、図21ないし図26を参照して、薄膜磁気ヘッドの製造方法の概略について説明する。図21ないし図26において、(a)はエアベアリング面に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示している。
【0074】
本例における薄膜磁気ヘッドの製造方法では、まず、図21に示したように、アルティック(Al2O3・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1の上に、スパッタリング法等によって、アルミナ(Al2O3)等の絶縁材料よりなる絶縁層2を、例えば1〜5μmの厚みに形成する。次に、絶縁層2の上に、スパッタリング法またはめっき法等によって、パーマロイ(NiFe)等の磁性材料よりなる再生ヘッド用の下部シールド層3を、例えば約3μmの厚みに形成する。
【0075】
次に、下部シールド層3の上に、スパッタリング法等によって、アルミナ等の絶縁材料よりなる下部シールドギャップ膜4を、例えば10〜200nmの厚みに形成する。次に、各実施の形態に係るパターン化薄膜形成方法を用いて、下部シールドギャップ膜4の上に、再生用のGMR素子5とリード層6を、それぞれ、例えば数十nmの厚みに形成する。ここで、GMR素子5は、第1の実施の形態におけるパターン化薄膜134または第2の実施の形態における第1のパターン化薄膜146に対応し、リード層6は、第2の実施の形態における第2のパターン化薄膜147に対応する。
【0076】
次に、下部シールドギャップ膜4およびGMR素子5の上に、スパッタリング法等によって、アルミナ等の絶縁材料よりなる上部シールドギャップ膜7を、例えば10〜200nmの厚みに形成する。
【0077】
次に、上部シールドギャップ膜7の上に、磁性材料からなり、再生ヘッドと記録ヘッドの双方に用いられる上部シールド層兼下部磁極層(以下、下部磁極層と記す。)8を、例えば3〜4μmの厚みに形成する。なお、下部磁極層8に用いる磁性材料は、NiFe、CoFe、CoFeNi、FeN等の軟磁性材料である。下部磁極層8は、スパッタリング法またはめっき法等によって形成される。
【0078】
なお、下部磁極層8の代わりに、上部シールド層と、この上部シールド層の上にスパッタリング法等によって形成されたアルミナ等の非磁性材料よりなる分離層と、この分離層の上に形成された下部磁性層とを設けてもよい。
【0079】
次に、図22に示したように、下部磁極層8の上に、スパッタリング法等によって、アルミナ等の絶縁材料よりなる記録ギャップ層9を、例えば50〜300nmの厚みに形成する。次に、磁路形成のために、後述する薄膜コイルの中心部分において、記録ギャップ層9を部分的にエッチングしてコンタクトホール9aを形成する。
【0080】
次に、記録ギャップ層9の上に、例えば銅(Cu)よりなる薄膜コイルの第1層部分10を、例えば2〜3μmの厚みに形成する。なお、図22(a)において、符号10aは、第1層部分10のうち、後述する薄膜コイルの第2層部分15に接続される接続部を表している。第1層部分10は、コンタクトホール9aの周囲に巻回される。
【0081】
次に、図23に示したように、薄膜コイルの第1層部分10およびその周辺の記録ギャップ層9を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機絶縁材料よりなる絶縁層11を所定のパターンに形成する。次に、絶縁層11の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層11の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。
【0082】
次に、絶縁層11のうちの後述するエアベアリング面20側(図23(a)における左側)の斜面部分からエアベアリング面20側にかけての領域において、記録ギャップ層9および絶縁層11の上に、記録ヘッド用の磁性材料によって、上部磁極層12のトラック幅規定層12aを形成する。上部磁極層12は、このトラック幅規定層12aと、後述する連結部分層12bおよびヨーク部分層12cとで構成される。トラック幅規定層12aは、例えばめっき法によって形成される。
【0083】
トラック幅規定層12aは、記録ギャップ層9の上に形成され、上部磁極層12の磁極部分となる先端部12a1と、絶縁層11のエアベアリング面20側の斜面部分の上に形成され、ヨーク部分層12cに接続される接続部12a2とを有している。先端部12a1の幅は記録トラック幅と等しくなっている。すなわち、先端部12a1は記録トラック幅を規定している。接続部12a2の幅は、先端部12a1の幅よりも大きくなっている。
【0084】
トラック幅規定層12aを形成する際には、同時に、コンタクトホール9aの上に磁性材料よりなる連結部分層12bを形成すると共に、接続部10aの上に磁性材料よりなる接続層13を形成する。連結部分層12bは、上部磁極層12のうち、下部磁極層8に磁気的に連結される部分を構成する。
【0085】
次に、トラック幅規定層12aの周辺において、トラック幅規定層12aをマスクとして、記録ギャップ層9および下部磁極層8の磁極部分における記録ギャップ層9側の少なくとも一部をエッチングする。記録ギャップ層9のエッチングには例えば反応性イオンエッチングが用いられ、下部磁極層8のエッチングには例えばイオンミリングが用いられる。図23(b)に示したように、上部磁極層12の磁極部分(トラック幅規定層12aの先端部12a1)、記録ギャップ層9および下部磁極層8の磁極部分の少なくとも一部の各側壁が垂直に自己整合的に形成された構造は、トリム(Trim)構造と呼ばれる。
【0086】
次に、図24に示したように、全体に、アルミナ等の無機絶縁材料よりなる絶縁層14を、例えば3〜4μmの厚みに形成する。次に、この絶縁層14を、例えば化学機械研磨によって、トラック幅規定層12a、連結部分層12bおよび接続層13の表面に至るまで研磨して平坦化する。
【0087】
次に、図25に示したように、平坦化された絶縁層14の上に、例えば銅(Cu)よりなる薄膜コイルの第2層部分15を、例えば2〜3μmの厚みに形成する。なお、図25(a)において、符号15aは、第2層部分15のうち、接続層13を介して薄膜コイルの第1層部分10の接続部10aに接続される接続部を表している。第2層部分15は、連結部分層12bの周囲に巻回される。
【0088】
次に、薄膜コイルの第2層部分15およびその周辺の絶縁層14を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機絶縁材料よりなる絶縁層16を所定のパターンに形成する。次に、絶縁層16の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層16の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。
【0089】
次に、図26に示したように、トラック幅規定層12a、絶縁層14,16および連結部分層12bの上に、パーマロイ等の記録ヘッド用の磁性材料によって、上部磁極層12のヨーク部分を構成するヨーク部分層12cを形成する。ヨーク部分層12cのエアベアリング面20側の端部は、エアベアリング面20から離れた位置に配置されている。また、ヨーク部分層12cは、連結部分層12bを介して下部磁極層8に接続されている。
【0090】
次に、全体を覆うように、例えばアルミナよりなるオーバーコート層17を形成する。最後に、上記各層を含むスライダの機械加工を行って、記録ヘッドおよび再生ヘッドを含む薄膜磁気ヘッドのエアベアリング面20を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0091】
このようにして製造される薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面(エアベアリング面20)と再生ヘッドと記録ヘッド(誘導型電磁変換素子)とを備えている。再生ヘッドは、GMR素子5と、エアベアリング面20側の一部がGMR素子5を挟んで対向するように配置された、GMR素子5をシールドするための下部シールド層3および上部シールド層(下部磁極層8)とを有している。
【0092】
記録ヘッドは、互いに磁気的に連結され、エアベアリング面20側において互いに対向する磁極部分を含み、それぞれ少なくとも1つの層を含む下部磁極層8および上部磁極層12と、この下部磁極層8の磁極部分と上部磁極層12の磁極部分との間に設けられた記録ギャップ層9と、少なくとも一部が下部磁極層8および上部磁極層12の間に、これらに対して絶縁された状態で配設された薄膜コイル10,15とを有している。本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、図26(a)に示したように、エアベアリング面20から、絶縁層11のエアベアリング面20側の端部までの長さが、スロートハイトTHとなる。なお、スロートハイトとは、2つの磁極層が記録ギャップ層を介して対向する部分の、エアベアリング面側の端部から反対側の端部までの長さ(高さ)をいう。
【0093】
次に、図27ないし図30を参照して、上記薄膜磁気ヘッドにおける再生ヘッドの製造方法の一例について詳しく説明する。図27ないし図30は磁極部分のエアベアリング面(媒体対向面)に平行な断面を示している。
【0094】
本例における再生ヘッドの製造方法では、まず、図27に示したように、基板1の上に絶縁層2を形成し、絶縁層2の上に下部シールド層3を形成する。次に、下部シールド層3の上に、アルミナ等の絶縁材料よりなる第1のシールドギャップ膜4aを形成する。次に、第1のシールドギャップ膜4aの上に、後述するGMR素子を形成すべき領域を除いて、アルミナ等の絶縁材料よりなる第2のシールドギャップ膜4bを形成する。第1のシールドギャップ膜4aおよび第2のシールドギャップ膜4bは、図26における下部シールドギャップ膜4に対応する。次に、第2のシールドギャップ膜4bの上に、再生用のGMR素子となる層5aを形成する。次に、層5aの上において、GMR素子を形成すべき位置に、例えば図2に示したマスク110を形成する。
【0095】
次に、図28に示したように、マスク110を用いて、例えばイオンミリングによって、層5aを選択的にエッチングして、GMR素子5を形成する。このように、GMR素子5はエッチング法によって形成される。
【0096】
次に、図29に示したように、第1のシールドギャップ膜4a、第2のシールドギャップ膜4bおよびマスク110の上の全面に、GMR素子5に電気的に接続される一対のリード層6を、所定のパターンに形成する。次に、マスク110を除去する。このように、リード層6はリフトオフ法によって形成される。また、GMR素子5およびリード層6は、併用法によって形成されると言うこともできる。
【0097】
次に、図30に示したように、シールドギャップ膜4a,4b、GMR素子5およびリード層6の上に、アルミナ等の絶縁材料よりなる第3のシールドギャップ膜7aを形成し、GMR素子5をシールドギャップ膜4a,7a内に埋設する。次に、GMR素子5の近傍を除く、第3のシールドギャップ膜7aの上に、アルミナ等の絶縁材料よりなる第4のシールドギャップ膜7bを形成する。第3のシールドギャップ膜7aおよび第4のシールドギャップ膜7bは、図26における上部シールドギャップ膜7に対応する。次に、シールドギャップ膜7a,7bの上に、下部磁極層8を形成する。その後の薄膜磁気ヘッドの製造工程は、図22ないし図26を参照して説明した通りである。
【0098】
上述の図27ないし図30に示した再生ヘッドの製造方法では、図28に示したように、層5aをエッチングする際にマスク110の側壁に再付着膜142が生じる。この再生ヘッドの製造方法では、図29に示したようにリード層6を形成した後であって、マスク110を剥離する前に、基板1を加熱または冷却して、再付着膜142とマスク110の下に存在する層5a(GMR素子5)との間に亀裂を生じさせると共に、リード層6のうちの第1のシールドギャップ膜4aの上に形成された部分とマスク110の側壁に付着した部分との境界位置に亀裂を生じさせる。
【0099】
また、図27ないし図30に示した再生ヘッドの製造方法では、更に、図28に示したように層5aをエッチングした後であって、リード層6を形成する前に、基板1を加熱または冷却して、層5aをエッチングする際にマスク110の側壁に生じる再付着膜とマスク110の下に存在する層5a(GMR素子5)との間に亀裂を生じさせてもよい。
【0100】
図27ないし図30に示した再生ヘッドの製造方法によれば、パターン化薄膜としてのGMR素子5およびリード層6の歩留りを向上させることができ、結果的に再生ヘッドおよびこの再生ヘッドを含む薄膜磁気ヘッドの歩留りを向上させることができる。
【0101】
以下、本発明の各実施の形態が適用されるヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置について説明する。まず、図31を参照して、ヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダ210について説明する。ハードディスク装置において、スライダ210は、回転駆動される円盤状の記録媒体であるハードディスクに対向するように配置される。このスライダ210は、主に図26における基板1およびオーバーコート層17からなる基体211を備えている。基体211は、ほぼ六面体形状をなしている。基体211の六面のうちの一面は、ハードディスクに対向するようになっている。この一面には、表面がエアベアリング面となるレール部212が形成されている。レール部212の空気流入側の端部(図31における右上の端部)の近傍にはテーパ部またはステップ部が形成されている。ハードディスクが図31におけるz方向に回転すると、テーパ部またはステップ部より流入し、ハードディスクとスライダ210との間を通過する空気流によって、スライダ210に、図31におけるy方向の下方に揚力が生じる。スライダ210は、この揚力によってハードディスクの表面から浮上するようになっている。なお、図31におけるx方向は、ハードディスクのトラック横断方向である。スライダ210の空気流出側の端部(図31における左下の端部)の近傍には、本発明の各実施の形態が適用される薄膜磁気ヘッド100が形成されている。
【0102】
次に、図32を参照して、ヘッドジンバルアセンブリ220について説明する。ヘッド・ジンバル・アセンブリ220は、スライダ210と、このスライダ210を弾性的に支持するサスペンション221とを備えている。サスペンション221は、例えばステンレス鋼によって形成された板ばね状のロードビーム222、このロードビーム222の一端部に設けられると共にスライダ210が接合され、スライダ210に適度な自由度を与えるフレクシャ223と、ロードビーム222の他端部に設けられたベースプレート224とを有している。ベースプレート224は、スライダ210をハードディスク300のトラック横断方向xに移動させるためのアクチュエータのアーム230に取り付けられるようになっている。アクチュエータは、アーム230と、このアーム230を駆動するボイスコイルモータとを有している。フレクシャ223において、スライダ210が取り付けられる部分には、スライダ210の姿勢を一定に保つためのジンバル部が設けられている。
【0103】
ヘッドジンバルアセンブリ220は、アクチュエータのアーム230に取り付けられる。1つのアーム230にヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドアームアセンブリと呼ばれる。また、複数のアームを有するキャリッジの各アームにヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドスタックアセンブリと呼ばれる。
【0104】
図32は、ヘッドアームアセンブリの一例を示している。このヘッドアームアセンブリでは、アーム230の一端部にヘッドジンバルアセンブリ220が取り付けられている。アーム230の他端部には、ボイスコイルモータの一部となるコイル231が取り付けられている。アーム230の中間部には、アーム230を回動自在に支持するための軸234に取り付けられる軸受け部233が設けられている。
【0105】
次に、図33および図34を参照して、ヘッドスタックアセンブリの一例とハードディスク装置について説明する。図33はハードディスク装置の要部を示す説明図、図34はハードディスク装置の平面図である。ヘッドスタックアセンブリ250は、複数のアーム252を有するキャリッジ251を有している。複数のアーム252には、複数のヘッドジンバルアセンブリ220が、互いに間隔を開けて垂直方向に並ぶように取り付けられている。キャリッジ251においてアーム252とは反対側には、ボイスコイルモータの一部となるコイル253が取り付けられている。ヘッドスタックアセンブリ250は、ハードディスク装置に組み込まれる。ハードディスク装置は、スピンドルモータ261に取り付けられた複数枚のハードディスク262を有している。各ハードディスク262毎に、ハードディスク262を挟んで対向するように2つのスライダ210が配置される。また、ボイスコイルモータは、ヘッドスタックアセンブリ250のコイル253を挟んで対向する位置に配置された永久磁石263を有している。
【0106】
スライダ210を除くヘッドスタックアセンブリ250およびアクチュエータは、スライダ210を支持すると共にハードディスク262に対して位置決めする。
【0107】
このハードディスク装置では、アクチュエータによって、スライダ210をハードディスク262のトラック横断方向に移動させて、スライダ210をハードディスク262に対して位置決めする。スライダ210に含まれる薄膜磁気ヘッドは、記録ヘッドによって、ハードディスク262に情報を記録し、再生ヘッドによって、ハードディスク262に記録されている情報を再生する。
【0108】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず種々の変更が可能である。例えば、本発明は、半導体デバイスや、薄膜を用いたセンサやアクチュエータ等の、薄膜磁気ヘッド以外のマイクロデバイスの製造方法にも適用することができる。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし3のいずれかに記載のパターン化薄膜形成方法では、再付着膜とマスクの下に存在する被パターニング膜との間に亀裂を生じさせる。従って、本発明によれば、マスクを剥離した後に、再付着膜がパターン化薄膜の上に残ることを防止でき、その結果、パターン化薄膜の歩留りを向上させることができるという効果を奏する。
【0110】
また、請求項4ないし11のいずれかに記載のパターン化薄膜形成方法によれば、再付着膜と第1の被パターニング膜との間に亀裂を生じさせることにより、マスクを剥離した後に、再付着膜が第1のパターン化薄膜の上に残ることを防止することができる。また、本発明によれば、第2の被パターニング膜のうちの下地の上に形成された部分とマスクに付着した部分との境界位置に亀裂を生じさせることにより、マスクの剥離を容易にすることができる。これらのことから、本発明によれば、パターン化薄膜の歩留りを向上させることができるという効果を奏する。
【0111】
また、請求項12ないし14のいずれかに記載のマイクロデバイスの製造方法では、上記の各パターン化薄膜形成方法のいずれかを用いてパターン化薄膜を形成する。従って、本発明によれば、パターン化薄膜の歩留りを向上させることができ、その結果、マイクロデバイスの歩留りを向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パターン化薄膜形成方法の一例における一工程を示す断面図である。
【図2】 パターン化薄膜形成方法の一例におけるマスクの他の形状を示す断面図である。
【図3】 パターン化薄膜形成方法の一例におけるマスクの更に他の形状を示す断面図である。
【図4】 パターン化薄膜形成方法の一例におけるマスクの更に他の形状を示す断面図である。
【図5】 図1に続く工程を説明するための断面図である。
【図6】 図5に続く工程を説明するための断面図である。
【図7】 図6に続く工程を説明するための断面図である。
【図8】 パターン化薄膜形成方法の一例における被パターニング膜の成長の様子を示す説明図である。
【図9】 本発明の第1の実施の形態に係るパターン化薄膜形成方法における一工程を示す断面図である。
【図10】 図9に続く工程を説明するための断面図である。
【図11】 図10に続く工程を説明するための断面図である。
【図12】 図11に続く工程を説明するための断面図である。
【図13】 図12に続く工程を説明するための断面図である。
【図14】 本発明の第2の実施の形態に係るパターン化薄膜形成方法における一工程を示す断面図である。
【図15】 図14に続く工程を説明するための断面図である。
【図16】 図15に続く工程を説明するための断面図である。
【図17】 図16に続く工程を説明するための断面図である。
【図18】 図17に続く工程を説明するための断面図である。
【図19】 本発明の各実施の形態における積層体の加熱または冷却のために用いられる加熱冷却装置の構成を示す説明図である。
【図20】 本発明の各実施の形態における積層体を加熱または冷却する際の下地の温度とパターン化薄膜の歩留りとの関係を調べた実験の結果を示す特性図である。
【図21】 本発明の各実施の形態を適用した薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を示す断面図である。
【図22】 図21に続く工程を説明するための断面図である。
【図23】 図22に続く工程を説明するための断面図である。
【図24】 図23に続く工程を説明するための断面図である。
【図25】 図24に続く工程を説明するための断面図である。
【図26】 図25に続く工程を説明するための断面図である。
【図27】 本発明の各実施の形態を適用した再生ヘッドの製造方法の一例における一工程を示す断面図である。
【図28】 図27に続く工程を説明するための断面図である。
【図29】 図28に続く工程を説明するための断面図である。
【図30】 図29に続く工程を説明するための断面図である。
【図31】 本発明の各実施の形態が適用されるヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダを示す斜視図である。
【図32】 本発明の各実施の形態が適用されるヘッドジンバルアセンブリを含むヘッドアームアセンブリを示す斜視図である。
【図33】 本発明の各実施の形態が適用されるハードディスク装置の要部を示す説明図である。
【図34】 本発明の各実施の形態が適用されるハードディスク装置の平面図である。
【図35】 従来のリフトオフ法における問題点を説明するための断面図である。
【図36】 従来のエッチング法における問題点を説明するための断面図である。
【図37】 従来の併用法における問題点を説明するための断面図である。
【符号の説明】
101…下地、110…マスク、121…被パターニング膜、122…亀裂、123…パターン化薄膜。
Claims (14)
- マスクを用いてパターン化薄膜を形成するパターン化薄膜形成方法であって、
下地の上に被パターニング膜を形成する工程と、
前記被パターニング膜の上にマスクを形成する工程と、
前記マスクを用いて前記被パターニング膜を選択的にドライエッチングする工程と、
前記ドライエッチングする工程の後に、前記下地、被パターニング膜およびマスクを含む積層体を加熱または冷却して、前記被パターニング膜のドライエッチングの際に前記被パターニング膜より分離された物質が前記マスクに付着して形成された再付着膜と前記マスクの下に存在する被パターニング膜との間に亀裂を生じさせる工程と、
前記亀裂を生じさせる工程の後に、前記マスクを剥離することによって、前記マスクの下に存在していた被パターニング膜によってパターン化薄膜を形成する工程と
を備えたことを特徴とするパターン化薄膜形成方法。 - 前記亀裂を生じさせる工程は、前記被パターニング膜の形成時における下地の温度、前記マスクの形成時における下地の温度および前記被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度のいずれよりも高い温度で前記下地を加熱することを特徴とする請求項1記載のパターン化薄膜形成方法。
- 前記亀裂を生じさせる工程は、前記被パターニング膜の形成時における下地の温度、前記マスクの形成時における下地の温度および前記被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度のいずれよりも低い温度で前記下地を冷却することを特徴とする請求項1記載のパターン化薄膜形成方法。
- マスクを用いてパターン化薄膜を形成するパターン化薄膜形成方法であって、
下地の上に第1の被パターニング膜を形成する工程と、
前記第1の被パターニング膜の上にマスクを形成する工程と、
前記マスクを用いて前記第1の被パターニング膜を選択的にドライエッチングする工程と、
前記ドライエッチングする工程の後に、前記下地および前記マスクの上の全面に第2の被パターニング膜を形成する工程と、
前記第2の被パターニング膜を形成する工程の後に、前記下地、第1の被パターニング膜、マスクおよび第2の被パターニング膜を含む積層体を加熱または冷却して、前記第1の被パターニング膜のドライエッチングの際に前記第1の被パターニング膜より分離された物質が前記マスクに付着して形成された再付着膜と前記マスクの下に存在する第1の被パターニング膜との間に亀裂を生じさせると共に、第2の被パターニング膜のうちの前記下地の上に形成された部分と前記マスクに付着した部分との境界位置に亀裂を生じさせる工程と、
前記亀裂を生じさせる工程の後に、前記マスクを剥離することによって、前記マスクの下に存在していた第1の被パターニング膜によって第1のパターン化薄膜を形成すると共に、前記下地の上に形成された第2の被パターニング膜によって第2のパターン化薄膜を形成する工程と
を備えたことを特徴とするパターン化薄膜形成方法。 - 前記亀裂を生じさせる工程は、前記第1の被パターニング膜の形成時における下地の温度、前記マスクの形成時における下地の温度、前記第1の被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度および前記第2の被パターニング膜の形成時における下地の温度のいずれよりも高い温度で下地を加熱することを特徴とする請求項4記載のパターン化薄膜形成方法。
- 前記亀裂を生じさせる工程は、前記第1の被パターニング膜の形成時における下地の温度、前記マスクの形成時における下地の温度、前記第1の被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度および前記第2の被パターニング膜の形成時における下地の温度のいずれよりも低い温度で下地を冷却することを特徴とする請求項4記載のパターン化薄膜形成方法。
- マスクを用いてパターン化薄膜を形成するパターン化薄膜形成方法であって、
下地の上に第1の被パターニング膜を形成する工程と、
前記第1の被パターニング膜の上にマスクを形成する工程と、
前記マスクを用いて前記第1の被パターニング膜を選択的にドライエッチングする工程と、
前記ドライエッチングする工程の後に、前記下地、第1の被パターニング膜およびマスクを含む積層体を加熱または冷却して、前記第1の被パターニング膜のドライエッチングの際に前記第1の被パターニング膜より分離された物質が前記マスクに付着して形成された再付着膜と前記マスクの下に存在する第1の被パターニング膜との間に亀裂を生じさせる工程と、
前記再付着膜と第1の被パターニング膜との間に亀裂を生じさせる工程の後に、前記下地および前記マスクの上の全面に第2の被パターニング膜を形成する工程と、
前記第2の被パターニング膜を形成する工程の後に、前記下地、第1の被パターニング膜、マスクおよび第2の被パターニング膜を含む積層体を加熱または冷却して、第2の被パターニング膜のうちの前記下地の上に形成された部分と前記マスクに付着した部分との境界位置に亀裂を生じさせる工程と、
前記境界位置に亀裂を生じさせる工程の後に、前記マスクを剥離することによって、前記マスクの下に存在していた第1の被パターニング膜によって第1のパターン化薄膜を形成すると共に、前記下地の上に形成された第2の被パターニング膜によって第2のパターン化薄膜を形成する工程と
を備えたことを特徴とするパターン化薄膜形成方法。 - 前記再付着膜と第1の被パターニング膜との間に亀裂を生じさせる工程は、前記第1の被パターニング膜の形成時における下地の温度、前記マスクの形成時における下地の温度および前記第1の被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度のいずれよりも高い温度で下地を加熱することを特徴とする請求項7記載のパターン化薄膜形成方法。
- 前記再付着膜と第1の被パターニング膜との間に亀裂を生じさせる工程は、前記第1の被パターニング膜の形成時における下地の温度、前記マスクの形成時における下地の温度および前記第1の被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度のいずれよりも低い温度で下地を冷却することを特徴とする請求項7記載のパターン化薄膜形成方法。
- 前記境界位置に亀裂を生じさせる工程は、前記第1の被パターニング膜の形成時における下地の温度、前記マスクの形成時における下地の温度、前記第1の被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度および前記第2の被パターニング膜の形成時における下地の温度のいずれよりも高い温度で下地を加熱することを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載のパターン化薄膜形成方法。
- 前記境界位置に亀裂を生じさせる工程は、前記第1の被パターニング膜の形成時における下地の温度、前記マスクの形成時における下地の温度、前記第1の被パターニング膜のドライエッチング時における下地の温度および前記第2の被パターニング膜の形成時における下地の温度のいずれよりも低い温度で下地を冷却することを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載のパターン化薄膜形成方法。
- 1以上のパターン化薄膜を含むマイクロデバイスの製造方法において、前記パターン化薄膜が、請求項1ないし11のいずれかに記載のパターン化薄膜形成方法によって形成されることを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
- 前記マイクロデバイスは薄膜磁気ヘッドであることを特徴とする請求項12記載のマイクロデバイスの製造方法。
- 前記パターン化薄膜は磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項13記載のマイクロデバイスの製造方法。
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