JP4172869B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、芳香族ポリカーボネート樹脂及び芳香族ポリエステル樹脂からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂に、無機充填剤、耐熱有機充填剤、またはゴム状充填剤が配合された場合であっても、射出成形時のジェッティング、フローマーク等の発生が抑制された熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、優れた機械特性、寸法安定性、及び耐薬品性を有している為に各種工業分野に幅広く使用されている。
【0003】
該樹脂組成物の剛性や線膨張係数等を改良する為に、ガラス繊維を配合する方法(特開昭54−94556号公報、特開平6−29344号公報)、タルク、マイカ等の鱗片状、板状の無機充填剤を配合する方法(特開昭55−129444号公報、特開平5−222283号公報)、ワラストナイト等の微細な繊維状無機充填剤を配合する方法(特開平7−149948号公報)が提案されている。これらの無機充填剤を配合した芳香族ポリカーボネート樹脂及び芳香族ポリエステル樹脂からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、剛性が改良され、優れた耐薬品性、高温特性を持つ材料である。またかかる無機充填剤にかえて、アラミド繊維やアラミド粉末といった耐熱有機充填剤を配合する場合もある。
【0004】
一方、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の衝撃強度を改良する為にゴム状充填剤を配合することは一般になされることである。更に、先に述べた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に無機充填剤を配合した場合、衝撃強度が低下するという問題がある。この問題を解決する為にも、ゴム状充填剤の配合が一般になされており、得られた樹脂組成物は、良好な衝撃強度を有する。
【0005】
しかしながら、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に、無機充填剤及びゴム状充填剤のような、かかる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に非相溶な成分が存在した場合、射出成形品表面にジェッティングやフローマークが発生し易いといった問題がある。
【0006】
このような射出成形品の表面外観不良に対しては、一般的に成形温度の向上または分子量の低減といった流動特性を向上させる方策により対応が可能である。しかしながらかかる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物においては、前者の対策はエステル交換反応に由来する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の分解を誘発し、一方後者の方策は機械的特性の低下を招くため十分には対応できない。
【0007】
すなわち、これらは芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂に、無機充填剤やゴム状充填剤を配合した熱可塑性樹脂組成物にとって、極めて重大かつ固有の問題であり、例えば特開昭61−91248号公報に記載の芳香族ポリカーボネートとグラフト重合体からなる樹脂組成物といった、成形条件等による幅広い対応が可能な樹脂組成物においては、発生しない問題である。
【0008】
そこで、剛性及び高温特性、耐薬品性、衝撃強度等の機械的特性に優れると共に、成形加工性、特に成形時のフローマークやジェッティングの発生が抑制された芳香族ポリカーボネートと芳香族ポリエステルからなる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物が強く要求されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、耐薬品性、剛性及び高温特性、衝撃強度等の機械的特性に優れると共に、成形加工性、特に成形時のフローマークやジェッティングの発生が抑制された芳香族ポリカーボネート樹脂及び芳香族ポリエステル樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、芳香族ポリカーボネート樹脂び芳香族ポリエステル樹脂からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂に、無機充填剤、耐熱有機系充填剤、またはゴム状充填剤等を配合した充填剤含有樹脂組成物において、更に特定の極めて分子量の高い重合体を配合した場合に、成形加工性、特に成形時のフローマークやジェッティングの発生が抑制されることを見出し本発明に到達した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A−1)芳香族ポリカーボネート樹脂40〜95重量%と(A−2)芳香族ポリエステル樹脂5〜60重量%との合計100重量%からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂(A成分)30〜98.99重量%、無機充填剤、耐熱有機充填剤、及びゴム状充填剤から選ばれる少なくとも1種の充填剤(B成分)1〜50重量%、及びGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定から算出された重量平均分子量が200万〜1000万である芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、アクリレート単量体、及びメタクリレート単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体を重合して得られた重合体(C成分)0.01〜20重量%、または380℃での動的剪断弾性率測定から算出された重量平均分子量が500万〜5000万であるフッ素化オレフィン系重合体(D成分)0.01〜20重量%からなる熱可塑性樹脂組成物に係るものである。
【0012】
本発明の(A−1)として使用するポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体を反応させて得られる芳香族カーボネート樹脂である。ここで用いる二価フェノールとしては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAという)、ビス(4ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォンなどが挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系であり、ビスフェノールAが特に好ましい。カーボネート前駆体としては、カルボニルハラルド、カルボニルエステル、ハロホルメートなどが挙げられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂を製造するに当り、上記二価フェノールを単独で用いてもまたは二種以上を併用してもよく、またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、二種以上のポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
【0013】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、あまりに低いと強度が十分でなく、あまりに高いと溶融粘度が高くなり成形し難くなる為、粘度平均分子量で表して通常10,000〜50,000、好ましくは、15,000〜30,000である。ここでいう粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/C=[η]+0.45×[η]2C
[η]=1.23×10-4M0.83
(但し[η]は極限粘度、Cはポリマー濃度で0.7)
【0014】
次にポリカーボネート樹脂を製造する基本的な手段を簡単に説明する。カーボネート前駆物質としてホスゲンを用いる溶液法では、通常酸結合剤及び有機溶媒の存在下で反応させる。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることができ、分子量調節剤としては例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノールのようなアルキル置換フェノール及び4−(2−フェニルイソプロピル)フェノールのようなアルアルキル置換フェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは10以上に保つのが好ましい。尚、結果として得られた分子鎖末端の全てが末端停止剤に由来の構造を有する必要はない。
【0015】
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応(溶融法)では、不活性ガス雰囲気下に所定割合の二価フェノール成分及び必要に応じて分岐剤等を炭酸ジエステルと加熱しながら攪拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また反応を促進するために、アルカリ金属化合物や含窒素塩基性化合物等の現在公知のエステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。また末端停止剤としてジフェニルカーボネートやメチル(2−フェニルオキシカルボニルオキシ)ベンゼンカルボキシレート等を、反応の初期段階でまたは反応の途中段階で添加すること、及び反応終了直前に従来公知の各種触媒失活剤を添加することも好ましく行われる。
【0016】
本発明の(A−2)として使用する芳香族ポリエステル樹脂とは、芳香族ジカルボン酸またはその反応性誘導体と、ジオール、またはそのエステル誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である。
【0017】
ここでいう芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4’−p−ターフェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸等の芳香族系ジカルボン酸が好適に用いられ、特にテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく使用できる。
【0018】
芳香族ジカルボン酸は二種以上を混合して使用してもよい。なお少量であれば、該ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を一種以上混合使用することも可能である。
【0019】
また本発明の芳香族ポリエステルの成分であるジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール等、2,2−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等の芳香環を含有するジオール等及びそれらの混合物等が挙げられる。更に少量であれば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を1種以上共重合してもよい。
【0020】
また本発明の芳香族ポリエステルは少量の分岐剤を導入することにより分岐させることができる。分岐剤の種類に制限はないがトリメシン酸、トリメリチン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0021】
具体的な芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、等の他、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、等の共重合ポリエステルが挙げられる。これらのうち、機械的性質等のバランスがとれたポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートおよびこれらの混合物が好ましく使用できる。
【0022】
また得られた芳香族ポリエステル樹脂の末端基構造は特に限定されるものではなく、末端基における水酸基とカルボキシル基の割合がほぼ同量の場合以外に、一方の割合が多い場合であってもよい。またかかる末端基に対して反応性を有する化合物を反応させる等により、それらの末端基が封止されているものであってもよい。
【0023】
かかる芳香族ポリエステル樹脂の製造方法については、常法に従い、チタン、ゲルマニウム、アンチモン等を含有する重縮合触媒の存在下に、加熱しながらジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを重合させ、副生する水または低級アルコールを系外に排出することにより行われる。例えば、ゲルマニウム系重合触媒としては、ゲルマニウムの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、フェノラート等が例示でき、更に具体的には、酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、テトラメトキシゲルマニウム等が例示できる。
【0024】
また本発明では、従来公知の重縮合の前段回であるエステル交換反応において使用される、マンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等の化合物を併せて使用でき、及びエステル交換反応終了後にリン酸または亜リン酸の化合物等により、かかる触媒を失活させて重縮合することも可能である。
【0025】
また芳香族ポリエステル樹脂の分子量については特に制限されないが、o−クロロフェノールを溶媒として25℃で測定した固有粘度が0.4〜1.2、好ましくは0.65〜1.15である。
【0026】
本発明でB成分として用いる無機充填剤としては、ガラス繊維(チョップドストランド)、炭素繊維、金属被覆炭素繊維、金属繊維、ワラストナイト、ゾノトライト、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー等の繊維状充填剤、タルク、マイカ、ガラスフレーク、グラファイトフレーク等の板状充填剤、ガラス短繊維(ミルドファイバー)、炭素短繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン等の粒子状充填剤を挙げることができる。
【0027】
また本発明のB成分として用いる耐熱有機充填剤とは、本発明のA成分である芳香族ポリカーボネート系樹脂の成形加工温度において溶融しないものをいい、かかる充填剤としては、アラミド繊維、ポリアリレート繊維等の繊維状充填剤、アラミド粉末、フェノール樹脂粒子、架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子等の粒子状充填剤を挙げることができる。
【0028】
本発明でB成分として使用するゴム状充填剤としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の共役ジエン単量体の重合体、ブタジエン−スチレン、ブタジエン−アクリロニトリルのような共重合体、アルキルアクリレート単量体、アルキルメタクリレート単量体の重合体または共重合体、及び更に共役ジエンを共重合したアクリレート−ジエン系共重合体、EPDMゴム、及びポリオルガノシロキサンゴムとアクリレートゴムが相互に絡み合った構造を有する複合ゴム重合体等のゴム状基体に対して、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、アルキルアクリレート単量体、アルキルメタクリレート単量体等から選択される1種以上の成分を共重合して得られたゴム状充填剤を使用することができる。これらのゴム状充填剤は公知の乳化重合、懸濁重合、塊状重合、塊状懸濁重合によって製造することができる。
【0029】
本発明で使用し得る共役ジエン単量体としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘプタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられ、この中でもブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0030】
本発明でゴム状基体において使用し得るアクリレート単量体としてはn−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、またメタクリレート単量体としてはヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートを挙げることができる。またこれらのアクリレート等と上記の共役ジエンとを共重合することにより得られたゴム状基体も使用可能である。更にはポリオルガノシロキサンゴム成分の存在下にアクリレート単量体もしくはメタクリレート単量体を膨潤させた状態で重合し、またはポリオルガノシロキサンゴムとアクリレート単量体等とを同時に重合し、かかるポリオルガノシロキサンゴムとアクリレートゴムが相互に絡み合った構造を有する複合ゴム重合体もゴム状基体として使用することができる。
【0031】
更に本発明のゴム状充填剤で使用し得る芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3,5−ジエチルスチレンを挙げることができ、中でもスチレンが好ましい。シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、エタクリロニトリルを挙げることができ、中でもアクリロニトリルが好ましい。またゴム状基体に共重合するアクリレート単量体及びメタクリレート単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート等を挙げることができ、中でもエチルアクリレート、メチルメタクリレートが好ましい。
【0032】
ゴム状基体に、上記の少なくとも1種の単量体を共重合する場合には、かかる基体はゴム状充填剤の全量を100重量%とした場合、少なくとも10重量%を含むものであり、好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは50〜80重量%含有されるものである。またかかる基体に共重合する成分が芳香族ビニル単量体と、シアン化ビニル単量体、アクリレート単量体、メタクリレート単量体から選ばれた少なくとも1種との混合物である場合には、芳香族ビニル単量体とかかる他の単量体との全量100重量%中、芳香族ビニル単量体が60〜90重量%であることが好ましい。更にかかる単量体と共に無水マレイン酸、マレイミド、N−メチルマレイミド等の官能性単量体をゴム状充填剤全体100重量%中10重量%以下の範囲で共重合することも可能である。
【0033】
尚、ゴム状基体に他の単量体を共重合する場合、通常かかる他の単量体成分が基体に共重合されることなく重合した成分が混在するが、かかる成分の分子量は通常標準ポリスチレン換算のGPC測定で算出される重量平均分子量において50,000〜500,000のものである。
【0034】
本発明でC成分として使用するGPC測定から算出された重量平均分子量が200万〜1000万である芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、アクリレート単量体、及びメタクリレート単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体を重合して得られた重合体において使用される各種単量体については、前述したB成分であるゴム状充填剤において、ゴム状基体に共重合する単量体と同様のものが使用できる。好ましくは、スチレン、アクリロニトリル、エチルアクリレート、メチルメタクリレートを挙げることができ、すなわちこれらの単独重合体、及びこれらを2種以上含有する共重合体を使用することができる。C成分において重量平均分子量が200万未満のものではジェッティング等の改良効果が十分でなく、1000万を超えるものでは改良効果に対して流動性の悪化の影響が大きくなる。本発明のC成分で使用する重合体の重量平均分子量は、標準ポリスチレン樹脂による較正曲線を使用したGPC測定により算出されるものである。
【0035】
本発明でD成分として使用する380℃での動的剪断弾性率測定から算出された重量平均分子量が500万〜5000万であるフッ素化オレフィン系重合体としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体が挙げられ、中でもポリテトラフルオロエチレンが好ましく使用できる。かかるフッ素化オレフィン系重合体の形態としては、乳化重合時のディスパージョンを凝析し、洗浄して得た固体状のものの他、ディスパージョンの濃縮液をそのまま使用するもの、及び他のポリマーのディスパージョンと共に凝析することにより得た混合物等種々の形態のものが使用可能である。D成分において重量平均分子量が500万を超えるものではジェッティング等の改良効果が不十分であり、5000万を超えるものは改良効果に対して流動性の低下が大きくなる。
【0036】
かかるフッ素化オレフィン系重合体の分子量の算出方法は、380℃で動的剪断弾性率を使用する方法で算出できる。更に専用の計算ソフトを利用するのが好ましい。
【0037】
本発明においては、C成分またはD成分を配合することにより、本発明のA成分である芳香族ポリカーボネート系樹脂に無機充填剤等のB成分を配合した樹脂組成物を、射出成形した場合に生ずるジェッティング等の外観不良を低減することが可能となる。中でもC成分においては、ウエルド強度、耐衝撃性を十分に維持した状態でかかる外観不良を低減することが可能となるため、好ましく使用でき、特にスチレン65〜80重量%及びアクリロニトリル20〜35重量%の合計100重量%からなる共重合体がより好ましく使用できる。またC成分と共に、D成分である重量平均分子量が500万〜5000万のポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化ポリオレフィン重合体を併用することもできるが、かかる場合には両者の合計100重量%中、C成分が50重量%以上とすることが好ましい。
【0038】
本発明で用いるA成分、B成分、及びC成分またはD成分の割合としては、合計100重量%中A成分30〜98.99重量%、B成分1〜50重量%、及びC成分0.01〜20重量%またはD成分0.01〜20重量%である。好ましくは、A成分65〜98.5重量%、B成分1〜30重量%、C成分0.5〜5重量%である。A成分が30重量%未満では、射出成形における成形加工性が劣り外観が悪化すると共に、強度も劣るようになる。一方A成分が98.99重量%を超える場合も強度、耐衝撃性等の改良効果が不十分となる。一方B成分が1重量%未満では強度、耐衝撃性が不十分となり、50重量%を超える場合には射出成形における成形加工性が劣り外観が悪化する。またC成分またはD成分が0.01重量%未満ではジェッティング等の改良効果が不十分であり、20重量%を超える場合には成形加工性が劣るため逆に外観が悪化する。
【0039】
また、A成分中(A−1)である芳香族ポリカーボネートと(A−2)芳香族ポリエステルとの割合は、かかるA成分100重量%中(A−1)40〜95重量%、及び(A−2)5〜60重量%であり、好ましくは、(A−1)60〜90重量%、(A−2)10〜30重量%である。(A−1)が40重量%未満及び(A−2)が60重量%を超える場合には衝撃強度や寸法精度に劣り、一方(A−2)が5重量%未満及び(A−1)が95重量%を超える場合には耐薬品性、成形加工性に劣るため好ましくない。
【0040】
更に本発明においては、A成分の成形加工時の熱劣化を抑制するため各種の熱安定剤が好ましく使用される。かかる熱安定剤としては亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的にはトリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。これらの熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、A成分である芳香族ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.1重量部が更に好ましい。
【0041】
また本発明の熱可塑性樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することもできる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量は、A成分である芳香族ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して0.0001〜0.05重量部が好ましい。
【0042】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。かかる離型剤としては、オレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、パラフィンワックス、蜜蝋等が挙げられる。かかる離型剤の配合量は、A成分の芳香族ポリカーボネート系樹脂100重量部に対し、0.01〜2重量部が好ましい。
【0043】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、光安定剤を配合することができる。かかる光安定剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2‘−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。かかる光安定剤の配合量は、A成分である芳香族ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部が好ましい。
【0044】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、帯電防止剤を配合することができる。かかる帯電防止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無水マレイン酸ジグリセライド等が挙げられる。
【0045】
本発明に使用する熱可塑性樹脂組成物は、上記成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。更に、本発明の目的を損なわない範囲で、樹脂組成物に通常用いられる核剤、難燃剤、発泡剤、染顔料等が含まれても差支えない。本発明で得られた熱可塑性樹脂組成物は、特に射出成形に適したものであるが、かかる射出成形法としては通常の射出成形だけでなく、射出圧縮成形、ガスインジェクション中空成形、二色成形、高速射出成形、その他の各種射出成形法においても有用である。
【0046】
【発明実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明する。なお実施例中の部及び%は重量部及び重量%であり、評価は下記の方法によった。
【0047】
(1)外観;ASTM D638に記載の引張りダンベルを成形し、ジェッティング、フローマークの有無を目視によって判定した。尚、判定は下記に従って行った。
○・・・ジェッティング及びフローマークの外観不良なし
×・・・ジェッティングまたはフローマークの外観不良あり
(2)衝撃強度;ASTM D256に準拠し、厚み1/8”にて測定した。
(3)ウエルド保持率;ASTM D638に記載の引張りダンベルを用いて、ダンベルの両端にゲートを作成し、ダンベル中央にウエルドが形成されるようにして引張り強度を測定した。また、ASTM D638に準拠し、通常の引張り強度を測定し、ウエルド強度の保持率を次式に従い算出した。尚、ウエルド保持率は70%以上であることが実用上好ましく、特に75%以上が好ましい。
【0048】
【数1】
【0049】
[実施例1〜10及び比較例1〜11]
表1及び表2に示す各成分を表記載の量及び、かかる合計100重量部に対しリン系安定剤(ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト)(旭電化工業(株)製PEP−8)を0.1重量部及びカーボンブラックを0.5重量部混合し、径30mmのベント式押出機[ナカタニ(株)製VSK−30]によりシリンダー温度270℃でペレット化した。このペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機[FANUC(株)製T−150D]によりシリンダー温度270℃、金型温度90℃にて試験片を成形し、評価結果を示した。
【0050】
なお、表1及表2記載の各成分を示す記号は下記の通りである。
(A成分)
(A−1)芳香族ポリカーボネート樹脂
ホスゲン法により得られたビスフェノールA型ポリカーボネート:パンライトL−1250;帝人化成(株)製、粘度平均分子量25,000
【0051】
(A−2)芳香族ポリエステル樹脂
▲1▼ PBT/PET:ポリブチレンテレフタレート樹脂(帝人(株)製TRB−H、固有粘度1.07)及びポリエチレンテレフタレート樹脂(帝人(株)製TR−8580、固有粘度0.8)を7/3の重量割合にて混合した混合物
▲2▼ PET/PBT:ポリエチレンテレフタレート樹脂(帝人(株)製TR−8580、固有粘度0.8)及びポリブチレンテレフタレート樹脂(帝人(株)製TRB−H、固有粘度1.07)を7/3の重量割合にて混合した混合物
▲3▼ PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂(帝人(株)製TR−8580、固有粘度0.8)
【0052】
(B成分)無機充填剤
▲1▼ WSN:ワラストナイト;NYCO製 NYGLOS4
▲2▼ タルク:タルク;林化成(株)製 HST0.8
▲3▼ GF:ガラス繊維;日東紡(株)製 3PE−948
(B成分)ゴム状充填剤
▲4▼ S2001:ポリオルガノシロキサンゴムとアクリレートゴムが相互に絡み合った構造を有する複合ゴム重合体にメチルメタクリレートを共重合したゴム状充填剤;三菱レイヨン(株)製 メタブレンS−2001
▲5▼ EXL:ブタジエンゴムにメチルメタクリレートを共重合したゴム状充填剤;呉羽化学工業(株)製 パラロイドEXL2602
【0053】
(C成分)高分子量ポリマー
HAS:GPC測定により算出された重量平均分子量が700万であるアクリロニトリル−スチレン共重合体;ゼネラルエレクトリックカンパニイ社製、ブレンデックス869
PA−30:GPC測定により算出された重量平均分子量が250万であるアクリル樹脂;鐘淵化学工業(株)製、PA−30
(C成分以外)
AS:GPC測定により算出された重量平均分子量が14万であるアクリロニトリルとスチレンの重量比が28:72のアクリロニトリル−スチレンランダム共重合体
PMMA:GPC測定により算出された重量平均分子量が60万であるポリメチルメタクリレート
(D成分)
PTFE:動的剪断弾性率測定から算出された重量平均分子量が2000万のポリテトラフルオロエチレン20重量%とメタクリル樹脂80重量%との混合物;三菱レイヨン(株)製(アクリル改質PTFE)、メタブレンA−3000
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
これらの表から明らかなように、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル樹脂、及び無機充填剤及び/またはゴム状充填剤からなる樹脂組成物は成形品にジェッティングやフローマークが生じ、実用上十分な成形品が得られない一方、本発明の更に特定分子量のポリマーを少量加えた組成物においては、それらが解消され良好な成形品が得られることが分かる。特にC成分を加えた系ではウエルド強度が良好であり実用上より好ましい成形品が得られることが分かる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、機械的特性や耐薬品性に加え、更に衝撃強度や剛性に優れると共に、成形時のジェッティング等の外観不良が抑制された成形品が得られるものであり、電子・電機・情報機器分野、建設機械・工作機械等各種機械分野、自動車分野等広く工業的に有用であり、特にジェッティング等の外観不良の発生しやすい電子・電機機器等の外殻、自動車・建設機械の外板部材、及び住宅等の外板部材等、比較的大型の部材を必要とする分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例においてウエルド強度測定用の試験片の外観状態を示す写真である(実施例1:フローマークやジェッティングが生じてない)。
【図2】本発明の実施例においてウエルド強度測定用の試験片の外観状態を示す写真である(比較例1:フローマーク(左端の縞模様)やジェッティング(試験片の幅が絞り込まれていく部分の、水に密度の異なる透明の液体を注ぎ込んだような乱れた模様)が生じている)。
Claims (2)
- (A−1)芳香族ポリカーボネート樹脂40〜95重量%と(A−2)芳香族ポリエステル樹脂5〜60重量%との合計100重量%からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂(A成分)30〜98.99重量%、無機充填剤、耐熱有機充填剤、及びゴム状充填剤から選ばれる少なくとも1種の充填剤(B成分)1〜50重量%、及びGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定から算出された重量平均分子量が200万〜1000万である芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体とを重合して得られた重合体(C成分)0.01〜20重量%の合計100重量%からなる熱可塑性樹脂組成物。
- C成分がスチレン65〜80重量%及びアクリロニトリル20〜35重量%の合計100重量%からなる共重合体である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
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