JP4172169B2 - ディスクカートリッジとディスクドライブ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、DVR、DVD、DVD−ROM等のディスク状記録媒体を収納又は交換可能に収納して用いるディスクカートリッジと、そのディスクカートリッジが装填されるディスクドライブ装置の技術分野に属するものであって、特に、ディスクカートリッジのシャッタ開閉駆動の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図44に示すように、DVR、DVD、DVD−ROM等のディスクカートリッジ101は、上下シェル102、103間にディスクDを回転自在に収納し、上下シェル102、103に形成された上下一対のピックアップ挿入口104を断面形状がほぼコ字状のシャッタ105によって上下シェル102、103の上側から開閉するように構成されていて、そのシャッタ105はディスクカートリッジ101の一側面101aに沿ってスライドされるように構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来のディスクカートリッジ101では、シャッタ105が外側に取り付けられているために、このシャッタ105を簡単にスライドさせて開くことができ、内部のディスクDにダメージを与えたり、そのディスクDに塵埃等を付着させて、データの記録及び/又は再生時にドロップアウトを招く等の問題があった。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するために発明されたものであって、シャッタを外側から簡単に開くことができないように、ディスク状記録媒体に収納されたインナ−ロータの回転によってピックアップ挿入口をシャッタで内側から開閉するようにしたディスクカートリッジにおけるインナ−ロータの回転によるシャッタの開閉を外部から簡単に行えにくいようにしたディスクカートリッジとディスクドライブ装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明のディスクカートリッジは、ディスク状記録媒体が収納された回転自在のインナ−ロータと、そのインナ−ロータの回転によってピックアップ挿入口を内側から開閉するシャッタとが備えられたディスクカートリッジであって、前記インナーロータの外周に形成された円弧状凸部の円周方向のほぼ中央位置にシャッタ開口開始用凹部が形成されると共に、前記インナーロータの外周で前記円弧状凸部に対するシャッタ開放のための回転方向の上流側に部分ギアが形成され、前記インナーロータがシャッタ閉塞位置へ回転復帰された時には、前記ディスクカートリッジの一方の側面に形成された窓孔が前記円弧状凸部によって閉塞され、かつ、前記シャッタ開口開始用凹部がその窓孔のほぼ中央部に配置されるように構成され、前記シャッタ開口開始用凹部及び前記部分ギアに係合されるシャッタ開口開始用凸部及びシャッタ開閉駆動用ラックを備えたラック部材で前記インナーロータが回転駆動されるように構成されたディスクカートリッジである。
また、上記の目的を達成するための本発明のディスクドライブ装置は、ディスク状記録媒体が収納された回転自在のインナ−ロータと、そのインナ−ロータの回転によってピックアップ挿入口を内側から開閉するシャッタとが備えられたディスクカートリッジの前記ディスク状記録媒体を記録及び/又は再生するディスクドライブ装置であって、前記インナーロータの外周に形成された円弧状凸部の円周方向のほぼ中央位置にシャッタ開口開始用凹部が形成されると共に、前記インナーロータの外周で前記円弧状凸部に対するシャッタ開放のための回転方向の上流側に部分ギアが形成され、前記インナーロータがシャッタ閉塞位置へ回転復帰された時には、前記ディスクカートリッジの一方の側面に形成された窓孔が前記円弧状凸部によって閉塞され、かつ、前記シャッタ開口開始用凹部がその窓孔のほぼ中央部に配置されるように構成され、前記シャッタ開口開始用凹部及び前記部分ギアに係合されるシャッタ開口開始用凸部及びシャッタ開閉駆動用ラックが備えられたラック部材を前記ディスクカートリッジの側面に沿って相対的にスライドさせて前記インナーロータを回転駆動するように構成されたディスクドライブである。
【0006】
上記のように構成された本発明のディスクカートリッジとディスクドライブ装置は、シャッタを外側から簡単に開くことができないように、ディスク状記録媒体が収納されたインナ−ロータの回転によってピックアップ挿入口をシャッタで内側から開閉するようにしたディスクカートリッジにおけるインナ−ロータを備えていて、そのインナーロータの外周に形成された円弧状凸部でディスクカートリッジの側面に形成された窓孔を閉塞されるようにして、その円弧状凸部の円周方向のほぼ中央部に形成されたシャッタ開口開始用凹部と、インナーロータの外周で円弧状凸部に対するシャッタ開放のための回転方向の上流側に形成された部分ギアとをディスクカートリッジの側面に沿って相対的にスライドされるラック部材のシャッタ開口開始用凸部とシャッタ開閉駆動用ラックを順次係合させてインナーロータを回転駆動するようにしたので、ディスクカートリッジのシャッタ閉塞状態では、インナーロータの部分ギアをディスクカートリッジ内に隠蔽しておくことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用したディスクカートリッジとディスクドライブ装置の実施の形態を図1〜図43を参照して、以下の順序で説明する。
(1)・・・ ディスクドライブ装置によるインナーロータをシャッタ開口開始位置とシャッタ開口終了位置との間でラック部材によって回転駆動する動作の説明(図1〜図9)
(2)・・・ インナーロータの外周のシャッタ開口開始用凹部、部分ギア及びシャッタ開口終了用凹部と、ラック部材のシャッタ開口開始用凸部、ラック及びシャッタ開口終了用凸部の相対関係に関する説明(図11及び図12)
(3)・・・ ディスクカートリッジの側面で構成されたラック部材に対する基準面に関する説明(図17〜図24)
(4)・・・ ラック部材のシャツタ開口開始用凸部及びシャツタ開口終了用凸部の支持構造の説明(図17〜図20)
(5)・・・ インナーロータを用いたディスクカートリッジの説明(図21〜図25)
(6)・・・ インナーロータの回転によって開閉されるシャツタ開閉機構に関する説明(図26〜図32)
(7)・・・ ディスクカートリッジに対するディスクドライブ装置におけるラック部材のスライド駆動方法の第1例の説明(図34〜図36)
(8)・・・ ディスクカートリッジに対するディスクドライブ装置におけるラック部材のスライド駆動方法の第2例の説明(図37〜図40)
(9)・・・ディスクカートリッジに対するディスクドライブ装置におけるラック部材のスライド駆動方法の第3例の説明(図41〜図43)
【0008】
(1)・・・ ディスクドライブ装置によるインナーロータをシャツタ開口開始位置とシャツタ開口終了位置との間でラック部材によって回転駆動する動作の説明
まず、図1〜図9によって、後述するディスクドライブ装置のラック部材によって、後述するディスクカートリッジのインナーロータを図1に示すシャツタ開口開始位置から図9に示すシャツタ開口終了位置まで回転駆動する動作について説明する。
【0009】
まず、図において、矢印a方向がインナーロータ4のシャッタ開放のための回転方向であり、矢印b方向がシャッタ閉塞のための回転方向である。
そして、図1は、インナーロータ4がシャツタ開口開始位置まで矢印b方向に戻されて、ロック部材36によってロックされている初期状態の様子を示している。
この時、インナーロータ4の外周面4aに円弧状に一体成形されている円弧状凸部であるシャツタ開口開始用凸部25がディスクカートリッジ1の一方の側面1cに形成されている凹溝34の底部34aの長さ方向のほぼ中央位置に開口された長方形状の窓孔35を通して凹溝34内に円弧状に突出されていて、このシャッタ開口開始用凸部25によって窓孔35が閉塞されている。そして、そのシャツタ開口開始用凸部25の円周方向のほぼ中央位置に形成されているインナーロータ4における被回転開始部であるシャツタ開口開始用凹部26がその窓孔35の長さ方向のほぼ中央位置に位置決めされている。
【0010】
そして、インナーロータ4の外周面4aで、シャッタ開口開始用凸部25より矢印b方向側に円弧状に一体成形されている外周ギアである部分ギア27が窓孔35からディスクカートリッジ1内の矢印b方向側の位置に引き込まれて隠蔽されている。
また、インナーロータ4の外周面4aで、部分ギア27より矢印b方向側に一定距離偏位された位置に形成されているロック用凹部兼用のシャツタ開口終了用凹部28をロック部材36がロックしている。なお、このロック部材36は合成樹脂等のモールド部品でほぼY形に構成されていて、下シェル3内のインナーロータ4の外周近傍位置に一体成形されている支点ピン38の周りに矢印c、d方向に回転自在に取り付けられている。そして、このロック部材36のロック解除アーム36aの先端36bが凹溝34の底部34aで、窓孔35より前面1a側に偏位された位置に形成されている孔39を通して凹溝34内に矢印d方向から突出されている。そして、このロック部材36のロック解除アーム36aとは反対側にあってほぼ二又状に形成されているロックアーム36cがモールドばね36cの弱いばね力によってインナーロータ4のシャツタ開口終了用凹部28内に係合されて、インナーロータ4をロックしている。
【0011】
従って、この初期状態では、図22及び図26によって後述するように、ディスクカートリッジ1のピックアップ挿入孔7が一対のシャッタ9、10によって内側から閉塞されていて、そのシャッタ9、10を開閉駆動するインナーロータ4の外周の部分ギア27がディスクカートリッジ1内に隠蔽されているので、ロック部材36のロック解除アーム36aを指で矢印c方向に押して、インナーロータ4のロックを解除したとしても、その部分ギア27をディスクカートリッジ1の外部から指で操作して、インナーロータ4を回転し、シャッタ9、10を開くことができない。
【0012】
次に、図2〜図9は、後述するディスクドライブ装置内に設けられているインナーロータ回転駆動手段であるラック部材71がディスクカートリッジ1の一方の側面1cに沿って矢印e方向に相対的にスライド駆動される様子を示したものである。
そして、図2に示すように、ラック部材71がディスクカートリッジ1に対して所定位置まで矢印e方向にスライド駆動された時に、そのラック部材71のインナーロータ回転駆動開始部である先端71a側のシャツタ開口開始用凸部72がロック部材36のロック解除アーム36aの先端36bを矢印c方向に押す。すると、このロック部材36のロックアーム36cがモールドばね36dに抗して矢印c方向に回転されてインナーロータ4のシャツタ開口終了用凹部28から離脱され、インナーロータ4のロックが解除される。
【0013】
次に、ラック部材71が引き続き矢印e方向へスライド駆動されると、シャツタ開口開始用凸部72がロック部材36のロック解除アーム36aの先端36bから矢印e方向に外れて、ロック部材36のロック解除アーム36aの先端36bがモールドばね36dのばね力によって再び孔39から凹溝34内に矢印d方向に再び突出される。
【0014】
しかし、図3に示すように、ラック部材71のシャツタ開口開始用凸部72がインナーロータ4の外周のシャツタ開口開始用凸部25に矢印e方向から当接されるのとほぼ同時に、ラック部材71のロック解除部兼用のラック74の先端側がロック部材36のロック解除アーム36aの先端36bに乗り上げて、このロック解除アーム36aを再び矢印c方向に押し込む。
すると、前述同様に、ロック部材36のロックアーム36cがモールドばね36dのばね力に抗してロック解除方向である矢印c方向に回転付勢されて、ロック解除状態となり、以後、インナーロータ4がシャツタ開口終了位置の直前まで回転される間、ロック部材36はそのロック解除状態に保持される。
【0015】
次に、図4に示すように、ラック部材71が引き続き矢印e方向にスライド駆動されると、その先端のシャツタ開口開始用凸部72がインナーロータ4のシャツタ開口開始用凹部26内にモールドばね73のばね力によって矢印g方向から係合される。そして、ラック部材71が引き続き矢印e方向にスライド駆動されることによって、シャツタ開口開始用凸部72がシャツタ開口終了用凹部28を矢印a方向に回転駆動して、インナーロータ4がシャツタ開口開始位置から矢印a方向に回転駆動開始されることになる。
【0016】
次に、図5に示すように、ラック部材71が引き続き矢印e方向にスライド駆動されると、ラック部材71のラック74がインナーロータ4の外周の部分ギア27に矢印e方向から噛合され、この噛合の直後に、ラック部材71のシャツタ開口開始用凸部72がインナーロータ4の外周のシャツタ開口開始用凹部26から相対的に矢印h方向に離脱される。
そして、この後は、図5〜図9に示すように、引き続き矢印e方向にスライド駆動されるラック部材71のラック74によってインナーロータ4の部分ギア27がノンスリップ状態で回転駆動されて、インナーロータ4がディスクカートリッジ1内で回転すべり摩擦に抗して矢印a方向に強力に回転駆動されることになる。
【0017】
この際、図7及び図8に示すように、ラック部材71のラック74によるインナーロータ4の部分ギア27の矢印a方向への回転途中において、ラック部材71のシャツタ開口終了用凸部75がモールドばね76に抗してロック部材36のロック解除アーム36aの先端36bを再び矢印c方向に押すため、そのロックアーム36cがモールドばね36dのばね力に抗してインナーロータ4の外周面4aの外周に円弧状に一体成形されているシャツタ開口終了用凸部29上に相対的に乗り上げる。
【0018】
そして、図9がインナーロータ4のシャツタ開口終了位置を示したものであって、ラック部材71が図8に示す位置から図9に示す位置に至る直前に、そのラック部材71のシャツタ開口終了用凸部75がモールドばね76のばね力によってインナーロータ4の外周のシャツタ開口終了用凹部28内にモールドばね76によって矢印i方向から係合され、その直後に、ラック部材71のラック74がインナーロータ4の外周の部分ギア27から離脱される。
【0019】
そして、ラック部材71が図9に示すスライド終了位置まで矢印e方向に引き続き矢印e方向にスライド駆動されることにより、シャツタ開口終了用凸部75がシャツタ開口終了用凹部28を矢印a方向に回転駆動して、インナーロータ4がこの図9に示すシャツタ開口終了位置まで矢印a方向に回転駆動される。そして、インナーロータ4の外周のシャツタ開口開始用凸部2 5の矢印a方向側の端面25 aが、ディスクカートリッジ1内のインナーロータストッパ30に矢印a方向から当接して、インナーロータ4がシャツタ開口終了位置で停止され、これとほぼ同時に、ラック部材71のロックアーム71cがモールドばね71dのばね力によってインナーロータ4の外周のシャツタ開口終了用凸部29の矢印b方向側の端面29aに矢印c方向に落ち込んで、インナーロータ4がシャツタ開口終了位置にてインナーロータストッパ30とロックアーム71c間でロックされる。
そして、この時点で、後述するように、一対のシャッタ9、10がシャツタ開口終了位置まで完全に開かれて、ディスクカートリッジ1のピックアップ挿入孔7が完全開放されることになる。
【0020】
なお、ラック部材71のディスクカートリッジ1に対する矢印f方向のスライド駆動によって、インナーロータ4を図9に示すシャツタ開口終了位置から図4に示すシャツタ開口開始位置まで回転駆動して、後述するように、一対のシャッタ9、10をシャツタ開口開始位置まで閉じる動作は、上述した動作の逆動作となる。
つまり、ラック部材71が図9に示すシャツタ開口終了位置から矢印f方向にスライド駆動されると、ラック部材71のシャツタ開口終了用凹部28が矢印b方向に回転駆動される。この時、図8に示すように、ロック部材36のロックアーム36cがモールドばね36dのばね力に抗してインナーロータ4のシャツタ開口終了用凸部29上に乗り上げる。
【0021】
そして、図8〜図5に示すように、ラック部材71のラック74がインナーロータ4の外周の部分ギア27に噛合されて、インナーロータ4が矢印b方向にノンスリップ状態で回転駆動された後、図4に示すように、ラック部材71のシャツタ開口開始用凸部72によってインナーロータ4の外周のシャツタ開口開始用凹部26が矢印b方向に回転駆動されて、インナーロータ4がシャツタ開口開始位置まで矢印b方向に戻される。そして、インナーロータ4の外周に一体成形されているストッパ用凸部31等がディスクカートリッジ1のインナーロータストッパ30に矢印b方向から当接して、インナーロータ4がシャツタ開口開始位置で停止される。そして、これとほぼ同時に、ロック部材36のロックアーム36cがインナーロータ4のロック用凹部兼用のシャツタ開口終了用凹部28内に係合されて、インナーロータ4がシャツタ開口開始位置に再びロックされる。
そして、図3〜図1に示すように、ラック部材71が引き続き矢印f方向にスライド駆動されて、シャッタ開口開始用凸部72がインナーロータ4の外周のシャッタ開口開始用凹部26からモールドばね73のばね力に抗して離脱して、ラック部材71がディスクカートリッジ1から矢印f方向に切り離されることになる。
【0022】
(2)・・・ インナーロータの外周のシャッタ開口開始用凹部、部分ギア及びシャッタ開口終了用凹部と、ラック部材のシャッタ開口開始用凸部、ラック及びシャッタ開口終了用凸部の相対関係に関する説明
次に、図11及び図12によって、インナーロータ4の外周のシャッタ開口開始用凹部26、部分ギア27及びシャッタ開口終了用凹部28と、ラック部材71のシャッタ開口開始用凸部72、ラック74及びシャッタ開口終了用凸部75の相対関係について説明すると、インナーロータ4の外周のシャッタ開口開始用凹部26と部分ギア27の矢印a方向における1歯目27aとの間の部分ギア27のピッチ円CP上の長さL1と、ラック部材71のシャッタ開口開始用凸部72とラック74の矢印e方向のおける1歯目74aとの長さL2(L2=ギアモジュール×整数)を一致(L1=L2)させ、部分ギア27とラック74のモジュール及び歯数を一致させ、インナーロータ4の外周の部分ギア27の矢印a方向における最終歯27bとシャッタ開口終了用凹部28との間の部分ギア27のピッチ円CP上の長さL3と、ラック部材71のラック74の矢印e方向における最終歯74bとシャッタ開口終了用凸部75との間の長さL4とを一致(L3=L4)させたものである。
【0023】
以上のように構成したことによって、前述したように、ラック部材71の矢印e方向へのスライド駆動によって、ラック部材71のシャッタ開口開始用凸部72、ラック74及びシャッタ開口終了用凸部75をインナーロータ4の外周のシャッタ開口開始用凹部26、部分ギア27及びシャッタ開口終了用凹部28に順次係合及び噛合させながら、インナーロータ4を図4に示すシャッタ開口開始位置から図9に示すシャッタ開口終了位置まで矢印a方向に回転駆動する基本動作、及びラック部材71の矢印f方向へのスライド駆動によって、ラック部材71のシャッタ開口終了用凸部75、ラック74及びシャッタ開口開始用凸部72をインナーロータ4の外周のシャッタ開口終了用凹部28、部分ギア27及びシャッタ開口開始用凹部26に順次係合及び噛合させながら、インナーロータ4を矢印b方向に回転駆動する基本動作を正確、確実、かつ、スムーズに行える。
【0024】
従って、後述するディスクドライブ装置61に対するディスクカートリッジ1の挿入方式(スロットイン・トレイ方式等)の何れにおいても、インナーロータ4の回転駆動によるシャッタ開閉動作を常に確実、かつ、スムーズに行うことができる。
【0025】
なお、インナーロータ4の外周のシャッタ開口開始用凹部26と部分ギア27の1歯目27aとの間が円弧状のシャッタ開口開始用凸部25によって構成されていて、この間に部分ギア27が存在していないことから、ラック部材71を矢印e、f方向にスライド駆動して、シャッタ開口開始用凸部72をシャッタ開口開始用凹部26と部分ギア27の1歯目27aとの間でスライドさせる時に、そのシャッタ開口開始用凸部72がシャッタ開口開始用凸部72上をスムーズら乗り降りすることができ、シャッタ開口開始用凸部25が部分ギア27上を摺動して、「カタカタ」音が発生するようなことが全くない。
【0026】
図4等に開示されているように、ロック部材36のロック解除アーム36aのラック74に対する接触面である先端36bにおけるラック長さ方向の幅W1がラック74のピッチP1より十分に大きく設定されているので、ラック74の刃先がこのロック解除アーム36aの先端36bをモールドばね36dに抗して矢印c方向に押し込みながら、その先端36b上を矢印e、f方向に摺動する際にも、「カタカタ」音が発生せず、ロック解除アーム36bを矢印c方向に確実に押し込みながら、ラック74が矢印e、f方向にスムーズにスライドすることができる。
【0027】
また、この際、図11及び図12に示されているように、ラック部材71のシャッタ開口開始用凸部72及びシャッタ開口終了用凸部75の先端形状がR形状に構成されているので、前述したように、これらシャッタ開口開始用凸部72及びシャッタ開口終了用凸部75をインナーロータ4の外周のシャッタ開口開始用凹部26及びシャッタ開口終了用凹部28に対して係合、離脱する際の負荷を軽減させることができる。
従って、ラック部材71によってインナーロータ4を矢印a、b方向に回転駆動して、シャッタ9、10を開閉駆動する動作を低トルクでスムーズに行えるばかりか、これらシャッタ開口開始用凸部72及びシャッタ開口終了用凸部75やシャッタ開口開始用凹部26及びシャッタ開口終了用凹部28相互の摩耗及び損傷を極力防止することができる効果を得ることができる。
【0028】
(3)・・・ ディスクカートリッジの側面で構成されたラック部材に対する基準面に関する説明
次に、図13〜図16によって、ディスクカートリッジ1の一方の側面で形成された基準面33に関して説明すると、後述するように、ディスクカートリッジ1の上下シェル2、3は合成樹脂等のモールド部材で成形されていて、凹溝34が上下厚さ方向の中央部に沿って水平状に形成されている一方の側面1cであって、凹溝34の上下両側面は正確に寸法出しされた基準面33に形成されている。
【0029】
一方、図14の(A)、図15及び図16に示されたラック部材71の一例では、そのラック部材71が合成樹脂等のモールド部材でほぼ帯板形状に成形されたものであって、そのラック部材71の一方の側面71bの幅方向(上下方向)の中央部に沿ってシャッタ開口開始用凸部72、モールドばね73、ラック74、シャッタ開口終了用凸部75及びモールドばね76が一列状(水平状)に一体成形されている。
【0030】
従って、図2〜図9で説明したように、ラック部材71をディスクカートリッジ1の一方の側面1cに沿って相対的に矢印e、f方向にスライド駆動して、ラック部材71のシャッタ開口開始用凸部72、ラック74及びシャッタ開口終了用凸部75をディスクカートリッジ1の凹溝34内に沿って矢印e、f方向に移動させて、これらシャッタ開口開始用凸部72、ラック74及びシャッタ開口終了用凸部75をインナーロータ4の外周のシャッタ開口開始用凹部26、部分ギア27及びシャッタ開口終了用凹部28に順次係合及び噛合させながらインナーロータ4を矢印a、b方向に回転駆動する際に、ラック部材71の一方の側面71bの上下両側をディスクカートリッジ1の凹溝34の上下両側の基準面33で正確に案内する。
【0031】
これにより、図13及び図14の(A)に示すように、ラック部材71のシャッタ開口開始用凸部72、ラック74及びシャッタ開口終了用凸部75のシャッタ開口開始用凹部26、部分ギア27及びシャッタ開口終了用凹部28に対するそれぞれの係合(噛合)深さD2を常に設計値に正確に規定することができる。
従って、部品寸法に多少のバラツキがあっても、前述したように、ラック部材71の矢印e、f方向のスライド駆動によって、インナーロータ4を矢印a、b方向にノンスリップ状態で正確、かつ、確実に回転駆動して、シャッタ9、10の開閉駆動を常に確実に行えるので、後述するディスクドライブ装置61に対するディスクカートリッジ1の挿入方式(スロットイン・トレイ方式等)に拘らず、シャツタ9、10の開閉動作を確実に行える。
【0032】
なお、図14の(A)は、ラック部材71の他方の側面(ディスクカートリッジ1側とは反対側の面)71cを後述するカートリッジホルダ64等で形成したスライド基準部65で受け止める。そして、ディスクカートリッジ1の他方の側面1dを板ばねやコイルばね等の側圧ばね6によってj方向から押圧して、その反力によってラック部材71の一方の側面71cをディスクカートリッジ1の基準面33に矢印k方向から弾性的に押圧するように構成することができる。
【0033】
このように構成すれば、部品寸法のバラツキによる係合(噛合)深さD2の変動をより一層確実に防止して、高い信頼性を確保できる。
なお、この際、図14のスライド基準部65と、側圧ばね66の配置を左右に反転しても同様の効果を得ることができる。
また、図14の(B)は、ラック部材71のシャッタ開口開始用凸部72、モールドばね73、ラック74、シャッタ開口終了用凸部75及びモールドばね76をそのラック部材71の幅方向(上下方向)の上又は下に偏位させて設けて、そのラック部材71の一方の側面71bをディスクカートリッジ1の凹溝34の上下両側の基準面33のうちの一方のみで案内させるように構成したものであるが、この場合でも、同様の効果が得られる。
【0034】
(4)・・・ ラック部材の説明
次に、図17〜図24によってラック部材のシャッタ開口開始用凸部72及びシャッタ開口終了用凸部75の支持構造について説明すると、まず、図17、図18及び図19は、ラック部材71にラック74を合成樹脂等のモールド部材で成形する際に、シャッタ開口開始用凸部72、モールドばね73、シャッタ開口終了用凸部75及びモールドばね76を一体成形したものである。
【0035】
そして、図17は、シャッタ開口開始用凸部72及びシャッタ開口終了用凸部75を先端で片持ち支持するモールドばね73、76をラック部材71の長さ方向(矢印e、f方向)に対して前後逆向けにして、これらのモールドばね73、76のラック部材71に対する接続点73a、76aをラック部材71の両端71a、71dに対する内側位置に配置したものである。
また、図18は、シャッタ開口開始用凸部72及びシャッタ開口終了用凸部75を先端で片持ち支持するモールドばね73、76を同一方向に向けて、これらのモールドばね73、76のラック部材71に対する接続点73a、76aを同一方向に配置したものである。
また、図19は、シャッタ開口開始用凸部72及びシャッタ開口終了用凸部75を中央で支持するモールドばね73、76の矢印e、f方向の両端をラック部材71に対する接続点73a、73b及び76a、76bに構成したものである。
【0036】
このように構成すれば、各モールドばね73、76によって、シャッタ開口開始用凸部72及びシャッタ開口終了用凸部75に前述したインナーロータ4の外周のシャッタ開口開始用凹部26及びシャッタ開口終了用凹部28に対する係合、離脱方向である矢印g、h方向及び矢印i、j方向に移動可能に支持させることができ、これらシャッタ開口開始用凸部72及びシャッタ開口終了用凸部75をそれぞれシャッタ開口開始用凹部26及びシャッタ開口終了用凹部28にモールドばね73、76のばね力によって矢印g、i方向から常に深く、確実に係合させる基本的な動作を確実に実行することができる。また、これらシャッタ開口開始用凸部72及びシャッタ開口終了用凸部75をモールドばね73、76のばね力に抗してシャッタ開口開始用凹部26及びシャッタ開口終了用凹部28から矢印h、j方向に離脱させる基本的な動作もスムーズに実行することができる。
そして、図17〜図19に示したモールド一体構造によれば、シャッタ開口開始用凸部72及びシャッタ開口終了用凸部75をラック部材71に別加工して、組み付ける工程を省略することができるので、コスト面においても有利である。
【0037】
次に、図20は、シャッタ開口開始用凸部72及びシャッタ開口終了用凸部75をコイルばねや板ばね等のばね部材78、79を介して矢印g、h方向及び矢印i、j方向に移動可能に支持させたものであり、この場合にも、シャッタ開口開始用凸部72及びシャッタ開口終了用凸部75をシャッタ開口開始用凹部26及びシャッタ開口終了用凹部28に矢印g、h方向及び矢印i、j方向に係合、離脱する基本的な動作を確実、かつ、スムーズに行える。
【0038】
(5)・・・ インナーロータを用いたディスクカートリッジの説明
次に、図21〜図32によって、インナーロータ4を用いたディスクカートリッジ1について説明すると、まず、図21〜図24に示すように、ディスクカートリッジ1の上下シェル2、3、インナーロータ4、一対のシャッタ9、10等は合成樹脂等のモールド部材によって成形されたものである。そして、ほぼ対称形状の上下シェル2、3を上下から結合することによって扁平なほぼ方形状に構成されているディスクカートリッジ1の前面1aは緩やかな円弧状に湾曲されていて、直線状に形成された後面1bの左右両端には対称状のテーパ部が形成され、左右両側面1c、1dは平行状に形成されている。そして、一方の側面1cの厚さ方向の中央部に沿って前述した凹溝34が水平状に形成され、前述したように、その凹溝34の底面34aに窓孔35及び孔39が開口されている。そして、下シェル3のほぼ中央部から前面1aの中央部にかけて長孔形状のピックアップ挿入孔5が形成されている。
【0039】
そして、インナーロータ4は円形の皿形に成形されていて、底部4bの外周に円形の外周壁4cが一体成形され、その底部4bの中央部から外周にかけて、下シェル3のピックアップ挿入孔5と同一形状の開口部4dが形成されている。そして、このインナーロータ4が上下シェル2、3間に形成された円形のロータ収容部8内に水平状に組み込まれて、回転自在に取り付けられていて、そのインナーロータ4の底部4b上で、外周壁4cの内部に形成されたディスク収納部6内にディスク状記録媒体であるDVR等のディスクDが水平状で、回転自在及び一定量の上下動が可能な状態に収納されている。
【0040】
そして、上シェル2の下面の中央部に、強磁性部材で形成されたほぼ円盤形状のディスククランパ11が上シェル2の下面に溶着等にて固着されたクランパ支持リング12によって取り付けられていて、このディスククランパ11は上シェル2に対して回転自在であると共に、上下方向に一定範囲内で昇降可能に支持されている。そして、上シェル2の上面の中央部にはほぼU形状の膨出部2aが形成されている。なお、ディスクカートリッジ1の他方の側面1dで前面1a側寄りの位置に半円形状のロック用凹部13が形成されている。
【0041】
そして、ほぼ半円形状に成形されている薄板形状の一対のシャッタ9、10がインナーロータ4の底部4bと下シェル3との間に水平状に形成されたスペースであるシャッタ収納スペース7内に同一高さで収納されている。
そして、インナーロータ4の回転によって一対のシャッタ9、10を開閉駆動するシャッタ開閉機構16がインナーロータ4の底部4bと、下シェル3との間に組み込まれている。そして、このシャッタ開閉機構16は、インナーロータ4の底部4bの下面で、180°対向位置に一体成形されて、一対のシャッタ9、10の互いに反対側の端部を回転自在に支持し、自らもインナーロータ4一体に回動される一対の回動支点ピン17、18と、一対のシャッタ9、10の互いに反対側の端部に形成されたほぼ平行状の一対のカム溝19、20と、下シェル3の底部4b上の180°対向位置に一体成形された固定ピンである一対のカムピン21、22とによって構成された、いわゆるカム機構で構成されている。
【0042】
(6)・・・ インナーロータの回転によって開閉されるシャッタ開閉機構の説明
次に、図26〜図32によって、インナーロータ4の回転によって開閉されるシャッタ開閉機構16の開閉動作を説明すると、このシャッタ開閉機構16は、図22、図26及び図28に示すように、インナーロータ4が前述したシャッタ開口開始位置(=シャッタ閉塞位置)まで矢印b方向に回転復帰された状態では、一対のシャッタ9、10が一対の回動支点ピン17、18を中心に矢印m方向から回動してピックアップ挿入孔5の中心付近を斜めに横切るシャツタ閉塞位置にて互いに近接される。そして、これら一対のシャツタ9、10の端縁に沿ってZ形で、上下対称状に形成されているオーバーラップ用斜面9a、10aで上下から重なり合って、下シェル3のピックアップ挿入孔5とインナーロータ4の開口4dとの中央重なり部分の開口部を閉塞している。
即ち、このシャッタ閉塞状態では、インナーロータ4の底部4bと、一対のシャッタ9、10とによって、下シェル3のピックアップ挿入孔5の全域が完全に閉塞されている状態となる。
【0043】
一方、このシャッタ開閉機構16は、図27及び図32に示すように、インナーロータ4が前述したシャッタ開口終了位置(=シャツタ開放位置)まで矢印a方向に回転されると、一対の回動支点ピン17、18の矢印a方向への回動動作に同期された一対のカム溝19、20とカムピン21、22とによるいわゆるカム作用によって、一対のシャッタ9、10が一対の回動支点ピン17、18を中心として互いに遠ざかる方向である矢印n方向に回動されて、これら一対のシャッタ9、10がピックアップ挿入孔5の両側位置まで平行状に開かれる。
そして、この際、インナーロータ4の開口4dがピックアップ挿入孔5上に完全に重なって、このピックアップ挿入孔5の全域が完全に開放された状態となる。
【0044】
なお、図25は、インナーロータ4の外周のシャッタ開口開始用凸部25、シャッタ開口開始用凹部26、部分ギア27、シャッタ開口終了用凹部28の配置を説明していて、シャッタ開口開始用凸部25はインナーロータ4の最大半径R1に沿って円弧状に形成され、部分ギア27はその最大半径R1を内接円とする中間半径R2に沿って円弧状に形成され、シャッタ開口終了用凹部28は最小半径R3である外周面4aに形成されている。
【0045】
また、図28〜図32は、前述したように、ラック部材71がディスクカートリッジ1の一方の側面(基準面23)1cに沿って矢印e方向に相対的にスライド駆動されて、そのシャッタ開口開始用凸部72、ラック74及びシャッタ開口終了用凸部75がインナーロータ4のシャッタ開口開始用凹部26、部分ギア27及びシャッタ開口終了用凹部28に順次係合、噛合されながら、インナーロータ4が図28に示すシャッタ開口開始位置(=シャッタ閉塞位置)から図32に示すシャッタ開口終了位置(=シャッタ開放位置)まで回転駆動される際に、シャッタ開閉機構16のカム作用によって一対のシャッタ9、10を図28に示すシャッタ閉塞位置から図32に示すシャッタ開放位置まで開放させる順序を示したものである。
【0046】
次に、図33〜図36等は、ディスクドライブ装置61を示したものであって、ディスクカートリッジ1がフロントパネル62の上部側に形成されているスリット形状のカートリッジ挿入口63から内部のカートリッジホルダ64内に矢印o方向に挿入されて、そのディスクカートリッジ1の他方の側面1dに形成されているロック用凹部13にカートリッジホルダ64内に取り付けられているロック手段であるロックアーム67が係合されて、このディスクカートリッジ1がカートリッジホルダ64内にロック(保持)される。
【0047】
そして、この後に、後述するラック部材71のスライド駆動方法によって、インナーロータ4が回転駆動されて、図22に示されているシャッタ9、10が矢印m方向に開放される。
そして、この後、カートリッジホルダ64がそのまま水平に下降されるか、或いは後方へ一度水平に引き込まれた後に、水平に下降されて位置決めされると、ディスクカートリッジ1のピックアップ挿入孔5内にスピンドルモータのディスクテーブル及び光学ピックアップ等(何れも図示せず)が下方から相対的に挿入される。そして、ディスクテーブルによってディスクDがインナーロータ4内のディスク収納部6の上下中間位置まで浮上されると共に、ディスククランパ11によってディスクテーブル上にセンターリング及びチャッキングされる。
そして、スピンドルモータによってディスクDが一定速度で回転駆動され、ディスクDに光学ピックアップ等によってデータの記録及び/又は再生が行われるように構成されている。
【0048】
(7)・・・ ディスクカートリッジに対するディスクドライブ装置によるラック部材のスライド駆動方法の第1例の説明
次に、図34〜図36によって、ディスクカートリッジ1に対するラック部材71のスライド駆動方法の第1例について説明すると、この第1例では、図34及び図35に示すように、ディスクカートリッジ1がディスクドライブ装置61の内部のカートリッジホルダ64内に矢印o方向から挿入されて、ロックアーム67によってロック用凹部13がロックされ、カートリッジ挿入センサ(図示せず)によってカートリッジホルダ64内へのディスクカートリッジ1の挿入が検出されると、ラック部材71がラック駆動手段であるラック駆動モータ81によって図35に示すシャツタ開口開始位置P11から図36に示すシャツタ開口終了位置P12までディスクカートリッジ1の前述した基準面33に沿って矢印e方向にスライド駆動される。すると、前述したように、インナーロータ4が矢印a方向に回転駆動されて、シャッタ開放動作が行われるように構成されている。
【0049】
なお、ディスクDの記録及び/又は再生後は、ラック駆動モータ81によってラック部材71が図36に示すシャツタ開口終了位置P12から図35に示すシャツタ開口開始位置P11まで矢印f方向にスライド駆動されて、前述したように、インナーロータ4が矢印b方向に回転駆動されて、シャツタ閉塞動作が行われる。そして、この後、図34に示すように、ディスクカートリッジ1がカートリッジ挿入口63からディスクドライブ装置61の外部へ矢印p方向に排出される。
従って、前述したように、ディスクカートリッジ1のピックアップ挿入孔5をシャッタで閉塞した状態で、ディスクドライブ装置61の外部へ排出することができるので、ダストがディスクカートリッジ1内に侵入されることがない。
【0050】
この第1例によれば、ディスクカートリッジ1をカートリッジホルダ64に定位置に固定(位置決め)したままで、ラック部材71のみを小スペース内でスライド駆動するだけで、インナーロータ4を回転駆動して、シャッタ開放動作を行えるので、ディスクドライブ装置61の小型化を促進することができる。また、ラック部材71を駆動すれば良いので、機構が簡単であり、コストダウンを図ることができる。
【0051】
(8)・・・ ディスクカートリッジに対するディスクドライブ装置によるラック部材のスライド駆動方法の第2例の説明
次に、図37〜図40によって、ディスクカートリッジ1に対するラック部材71のスライド駆動方法の第2例について説明すると、この第2例では、ラック部材71をディスクドライブ装置61の内部の定位置に固定し、図37及び図38に示すように、ディスクカートリッジ1がディスクドライブ装置61の内部のカートリッジホルダ64内に矢印o方向から挿入されて、ロックアーム67によってロック用凹部13がロックされ、カートリッジ挿入センサ(図示せず)によってカートリッジホルダ64内へのディスクカートリッジ1の挿入が検出されると、カートリッジホルダ駆動手段であるカートリッジホルダ駆動モータ82によってカートリッジホルダ64がディスクカートリッジ1と一体に図39に示すシャツタ開口開始位置P21から図40に示すシャツタ開口終了位置P22までラック部材71と平行に矢印f方向にスライド駆動される。すると、前述したように、ラック部材71がディスクカートリッジ1に対して相対的に矢印e方向にスライド駆動されることになって、インナーロータ4が矢印a方向に回転駆動されて、シャッタ開放動作が行われるように構成されている。
【0052】
なお、ディスクDの記録及び/又は再生後は、カートリッジホルダ駆動モータ82によってカートリッジホルダ64がディスクカートリッジ1と一体に図40に示すシャツタ開口終了位置P22から図39に示すシャツタ開口開始位置P21まで矢印e方向にスライド駆動されて、前述したように、インナーロータ4が矢印b方向に回転駆動されて、シャッタ閉塞動作が行われる。そして、この後、図38及び図39に示すように、ディスクカートリッジ1がカートリッジ挿入口63からディスクドライブ装置61の外部へ矢印p方向に排出される。
【0053】
この第1例によれば、カートリッジホルダ64を図37に示すディスクカートリッジ挿入位置から矢印f方向に水平に引き込んだ後に垂直に下降させるようなL型軌道に沿って移動させるディスクドライブ装置61に最適である。そして、ラック部材71は定位置に固定しておけば良く、このラック部材71のスライド駆動機構を設ける必要がないことから、構造の簡素化、コストダウンを促進することができる。
【0054】
(9)・・・ ディスクカートリッジに対するディスクドライブ装置によるラック部材のスライド駆動方法の第3例の説明
次に、図41〜図43によって、ディスクカートリッジ1に対するラック部材71のスライド駆動方法の第3例について説明すると、この第3例は、前述した第1例におけるラック部材71のスライド駆動と、第2例におけるカートリッジホルダ64のスライド駆動とを組み合せたものである。
【0055】
即ち、図41及び図42に示すように、ディスクカートリッジ1がディスクドライブ装置61の内部のカートリッジホルダ64内に矢印o方向から挿入されて、ロックアーム67によってロック用凹部13がロックされ、カートリッジセンサ(図示せず)によってカートリッジホルダ64内へのディスクカートリッジ1の挿入が検出されると、ラック駆動モータ81によってラック部材71が図42に示すシャツタ開口開始位置P11から図43に示すシャツタ開口終了位置P12まで矢印e方向にスライド駆動される。そして、これと同時に、カートリッジホルダ駆動モータ82によってカートリッジホルダ64がディスクカートリッジ1と一体に図42に示すシャツタ開口開始位置P21からシャツタ開口終了位置P22まで矢印f方向にスライド駆動される。従って、ラック部材71の矢印e方向のスライドストロークと、カートリッジホルダ64の矢印f方向のスライドストロークとの合計のスライドストロークによって、ラック部材71がディスクカートリッジ1に対して矢印e方向に相対的に所定のストローク分をスライド駆動する。すると、前述したように、インナーロータ4が矢印a方向に素早く回転駆動されて、シャッタ開放動作が素早く行われるように構成されている。
【0056】
なお、ディスクDの記録及び/又は再生後は、ラック駆動モータ81によってラック部材71が図43に示すシャツタ開口終了位置P12から図42に示すシャツタ開口開始位置P11まで矢印f方向にスライド駆動されるのと同時に、カートリッジホルダ64も図43に示すシャツタ開口終了位置P22からシャツタ開口開始位置P21まで矢印e方向にスライド駆動されて、シャッタ閉塞動作が行われる。そして、この後、図42及び図41に示すように、ディスクカートリッジ1がカートリッジ挿入口63からディスクドライブ装置61の外部へ矢印p方向に排出される。
【0057】
この第3例によれば、ラック部材71のディスクカートリッジ1に対する矢印e方向のスライドストロークとディスクカートリッジ1のラック部材71に対する矢印f方向のスライドストロークとの合計のスライドストロークによって、インナーロータ4を回転駆動して、シャッタ開閉動作を行うことができる。従って、ラック部材71及びディスクカートリッジ1のそれぞれのスライドストロークを、前述した第1、第2例の1/2に縮小することができて、全体の小型化が可能となる。そして、ラック部材71又はディスクカートリッジ1のスライド駆動時間も前述した第1、第2例の1/2に短縮することができるので、ディスクドライブ装置61の内部へのディスクカートリッジ1のローディング時間及びアンローディング時間の短縮化を実現できる。
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変更が可能である。
例えば、本発明のディスクカートリッジ1は、上シェル2の全部又は一部を下シェル3に対して開閉可能に構成して、ディスクDをディスク収納部6内に出し入れ可能に収納するようにして、通常、キャディと称されるディスクカートリッジにも適用可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明のディスクカートリッジとディスクドライブ装置は、次のような効果を奏することができる。
【0060】
請求項1及び請求項2は、シャッタを外側から簡単に開くことができないように、ディスク状記録媒体が収納されたインナ−ロータの回転によってピックアップ挿入口をシャッタで内側から開閉するようにしたディスクカートリッジにおけるインナ−ロータを備えていて、そのインナーロータの外周に形成された円弧状凸部でディスクカートリッジの側面に形成された窓孔を閉塞されるようにして、その円弧状凸部の円周方向のほぼ中央部に形成されたシャッタ開口開始用凹部と、インナーロータの外周で円弧状凸部に対するシャッタ開放のための回転方向の上流側に形成された部分ギアとをディスクカートリッジの側面に沿って相対的にスライドされるラック部材のシャッタ開口開始用凸部とシャッタ開閉駆動用ラックを順次係合させてインナーロータを回転駆動するようにしたので、ディスクカートリッジのシャッタ閉塞状態では、インナーロータの部分ギアをディスクカートリッジ内に隠蔽しておくことができる。従って、その部分ギアをディスクカートリッジの外部から簡単に操作して、インナーロータを回転させて、シャッタを外部から簡単に開くことができず、不用意にシャッタを開いて、ディスク状記録媒体にダメージを与えたり、塵埃等が侵入してディスク状記録媒体に付着し、記録及び/又は再生時にドロップアウトを招くことがない。
【0061】
請求項3〜請求項6は、インナーロータの外周のシャッタ開口開始用凹部、部分ギア及びシャッタ開口終了用凹部と、ラック部材のシャッタ開口開始用凸部、ラック及びシャッタ開口終了用凸部との寸法関係を正確に規定することができるので、ラック部材でインナーロータを回転駆動して、シャッタを開閉する基本的動作を正確、かつ、スムーズに行え、ディスクドライブ装置へのディスクカートリッジの挿入方式(スロットイン・トレイ方式等)に拘らず有効となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用したディスクカートリッジとディスクドライブ装置の実施の形態におけるラック部材でインナーロータを回転駆動する動作を説明する初期状態の一部切欠き下面図である。
【図2】 図1の初期状態からインナーロータの回転駆動の開始を示した一部切欠き下面図である。
【図3】 図2に連続したインナーロータの回転駆動動作を示した一部切欠き下面図である。
【図4】 図3に連続したインナーロータの回転駆動動作を示した一部切欠き下面図である。
【図5】 図4に連続したインナーロータの回転駆動動作を示した一部切欠き下面図である。
【図6】 図5に連続したインナーロータの回転駆動動作を示した一部切欠き下面図である。
【図7】 図6に連続したインナーロータの回転駆動動作を示した一部切欠き下面図である。
【図8】 図7に連続したインナーロータの回転駆動動作を示した一部切欠き下面図である。
【図9】 図8に連続したインナーロータの回転駆動動作の終了を示した一部切欠き下面図である。
【図10】 図6の側面図である。
【図11】 インナーロータのシャッタ開口開始用凹部及びシャッタ開口終了用凹部の部分ギアに対する位置関係と、ラック部材のシャッタ開口開始用凸部及びシャッタ開口終了用凸部とラックとの位置関係を説明する下面図である。
【図12】 図11と同様のに下面図である。
【図13】 インナーロータの部分ギアとラック部材のラックとの噛合部を拡大して示した下面図である。
【図14】 図10のA−A矢視での一部切欠き断面図である。
【図15】 ラック部材の斜視図である。
【図16】 ラック部材の側面、下面及び上面を示した図面である。
【図17】 ラック部材の基本形態の断面下面図である。
【図18】 ラック部材の第1変形例の断面下面図である。
【図19】 ラック部材の第2変形例の断面下面図である。
【図20】 ラック部材の第3変形例の断面下面図である。
【図21】 ディスクカートリッジとラック部材の斜視図である。
【図22】 ディスクカートリッジの図21のB−B矢視での断面図である。
【図23】 ディスクカートリッジの上下シェルを分解した下面側斜視図である。
【図24】 ディスクカートリッジのインナーロータ、シャッタ、ディスクを分解した下面側斜視図である。
【図25】 インナーロータの下面図である。
【図26】 ディスクカートリッジのピックアップ挿入孔のシャッタ閉塞状態を示した下面図である。
【図27】 ディスクカートリッジのピックアップ挿入孔のシャッタ開放状態を示した下面図である。
【図28】 ラック部材によるインナーロータの回転駆動によってシャッタを開閉駆動するシャツタ閉塞状態を示す透視状態の下面図である。
【図29】 図28に連続したラック部材によるインナーロータのシャツタ開放動作を示す透視状態の下面図である。
【図30】 図29に連続したラック部材によるシャッタ開放動作を示す透視状態の下面図である。
【図31】 図30に連続したラック部材によるシャッタ開放動作を示す透視状態の下面図である。
【図32】 図31に連続したラック部材によるシャッタ開放完了を示した透視状態の下面図である。
【図33】 ディスクカートリッジとディスクドライブ装置を示した斜視図である。
【図34】 ディスクカートリッジのシャッタ開閉駆動を行うラック部材のスライド駆動方法の第1例の初期状態を示す透視状態の斜視図である。
【図35】 図34に連続したラック部材のスライド駆動方法の第2例を示す透視状態の斜視図である。
【図36】 図35に連続したラック部材のスライド駆動方法の第2例を示す透視状態の斜視図である。
【図37】 ディスクカートリッジのシャッタ開閉駆動方法を行うディスクカートリッジに対するラック部材の相対的スライド駆動方法の第2例の初期状態を示す透視状態の斜視図である。
【図38】 図37に連続したディスクカートリッジに対するラック部材の相対的スライド駆動方法の第2例を示す透視状態の斜視図である。
【図39】 図38に連続したディスクカートリッジに対するラック部材の相対的スライド駆動方法の第2例を示す透視状態の斜視図である。
【図40】 図39に連続したディスクカートリッジに対するラック部材の相対的スライド駆動方法の第2例を示す透視状態の斜視図である。
【図41】 ディスクカートリッジのシャッタ開閉駆動を行うディスクカートリッジとラック部材の相対的スライド駆動方法の第3例を示す透視状態の斜視図である。
【図42】 図41に連続したディスクカートリッジに対するラック部材の相対的スライド駆動方法の第3例を示す透視状態の斜視図である。
【図43】 図42に連続したディスクカートリッジに対するラック部材の相対的スライド駆動方法の第3例を示す透視状態の斜視図である。
【図44】 従来のディスクカートリッジの斜視図である。
【符号の説明】
Dはディスク状記録媒体であるディスク、1はディスクカートリッジ、4はインナーロータ、5はピックアップ挿入口、9、10はシャッタ、25は円弧状凸部であるシャッタ開口開始用凸部、26はシャッタ開口開始用凹部、27は外周ギアである部分ギア、28はシャッタ開口終了用凹部、61はディスクドライブ装置、71はラック部材、72はシャッタ開口開始用凸部、74はラック、75はシャッタ開口終了用凸部、73、76はモールドばねである。

Claims (3)

  1. ディスク状記録媒体が収納された回転自在のインナ−ロータと、そのインナ−ロータの回転によってピックアップ挿入口を内側から開閉するシャッタとが備えられたディスクカートリッジであって、
    記インナーロータの外周に形成された円弧状凸部の円周方向のほぼ中央位置にシャッタ開口開始用凹部が形成されると共に、前記インナーロータの外周で前記円弧状凸部に対するシャッタ開放のための回転方向の上流側に部分ギアが形成され、
    記インナーロータがシャッタ閉塞位置へ回転復帰された時には、前記ディスクカートリッジの一方の側面に形成された窓孔が前記円弧状凸部によって閉塞され、かつ、前記シャッタ開口開始用凹部がその窓孔のほぼ中央部に配置されるように構成され、
    記シャッタ開口開始用凹部に係合されるシャッタ開口開始用凸部及び前記部分ギアに係合されるシャッタ開閉駆動用ラックを備えたラック部材で前記インナーロータが回転駆動されるように構成されたことを特徴とするディスクカートリッジ。
  2. ディスク状記録媒体が収納された回転自在のインナ−ロータと、そのインナ−ロータの回転によってピックアップ挿入口を内側から開閉するシャッタとが備えられたディスクカートリッジの前記ディスク状記録媒体を記録及び/又は再生するディスクドライブ装置であって、
    前記インナーロータの外周に形成された円弧状凸部の円周方向のほぼ中央位置にシャッタ開口開始用凹部が形成されると共に、前記インナーロータの外周で前記円弧状凸部に対するシャッタ開放のための回転方向の上流側に部分ギアが形成され、
    前記インナーロータがシャッタ閉塞位置へ回転復帰された時には、前記ディスクカートリッジの一方の側面に形成された窓孔が前記円弧状凸部によって閉塞され、かつ、前記シャッタ開口開始用凹部がその窓孔のほぼ中央部に配置されるように構成され、
    前記シャッタ開口開始用凹部及び前記部分ギアに係合されるシャッタ開口開始用凸部及びシャッタ開閉駆動用ラックが備えられたラック部材を前記ディスクカートリッジの側面に沿って相対的にスライドさせて前記インナーロータを回転駆動するように構成された
    ことを特徴とするディスクドライブ装置。
  3. 前記インナーロータの前記シャッタ開口開始用凹部と前記部分ギアの1歯目との間のピッチ円上の長さを前記ラック部材の前記シャッタ開口開始用凸部と前記ラックの1歯目との間の長さと一致させた
    ことを特徴とする請求項1に記載のディスクカートリッジ。
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