JP4171942B2 - ズームレンズ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超広角域から超望遠域までをカバーする高倍率のビデオカメラ用ズームレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
民生用のビデオカメラ用のズームレンズにおいて、小型化された撮像素子の利点を生かす方向として、ズーム比が同じでより小型化を目指す方向と、実用的な大きさの中でよりズーム比の高倍率化を目指す方向とがある。
【0003】
ところで、上記ズームレンズにおけるズーム比の高倍率化に当たっては、望遠側において、手振れによる画面の揺れが実用上の大きな問題となっている。従って、このような手振れの影響を緩和する手段として、可変頂角プリズム等を用いた光学的手振れ補正手段と、レンズの有効像円の中から狭い範囲の像を切り出して出力するようにし、手振れに応じて、この切り出す範囲を逐次可変とした、映像信号処理による手振れ補正手段とが考案されている。
【0004】
そして、上記可変頂角プリズムを用いた手振れの補正においては、可変頂角プリズムが小さくても画角全体をカバーするようにレンズ系を構成することが、大きさ、コスト、消費電力の面から有利である。このような意図のもとに設計されたズームレンズとしては、例えば、特開平8−5913号公報に記載のものがある。
【0005】
ところで、上記公報に記載されたズームレンズにあっては、ズーム比が20倍程度であるが、昨今は、撮像素子の小型化に伴って、より大きなズーム比を有するズームレンズが求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ズーム比の高倍率化、例えば、40倍を越えるズーム比を考えると、下記のような問題があった。
【0007】
即ち、可変頂角プリズムを用いた光学的手振れ補正手段を用いたズームレンズにおいては、広角端の画角は狭い方が可変頂角プリズムを小さくすることができるので、レンズ系の小型化に好都合であるが、広角端における画角を狭くした分、望遠端における画角が極端に狭くなってしまって、手振れの補正後も残留している画面の揺れを拡大してしまうこととなって、手振れの補正とレンズ系の小型化とが両立し得ないという問題が発生する。
【0008】
また、一般的に、使用者にとってズームレンズのズーム比の高倍率化は、広角側と望遠側との両方の撮影領域が広がることになって好ましいことであるが、光学式手振れ補正を使用する限り、ズームレンズの広角化が限定されてしまうこととなって、上記使用者の希望に反することになってしまう。
【0009】
更に、上記公報に記載したような、従来のレンズ系の設計手段において、前玉の径が小さい超高倍率なズーム比を有するズームレンズにおいては、前玉、即ち、第1レンズ群の有効径によって光束が制限されるため、望遠端におけるF値が暗くなって第2レンズ群を通過する光束も細くなって、その結果、望遠端において第1レンズ群で発生する球面収差を第2レンズ群によって補正することができなくなるという問題が生じ、第1レンズ群を一般的な3枚のレンズで構成することができない。尚、上記望遠端において発生する球面収差を解決するためには、第1レンズ群を構成するレンズのレンズ面のうちの1つの面を非球面によって構成することが有効であるが、これにはコストの増加が避けられない。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、映像信号処理による手振れ補正手段の使用を前提として、画角を、広角端においては85°以上、望遠端においては2.5°以下とすることによって、超広角域から超望遠域までをカバーすることを可能にする小型で各種収差の補正が良好なズームレンズを提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明ズームレンズは、物体側より像面側へと順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有し、主として変倍を行うために光軸方向に移動可能とされた第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有し、変倍中の焦点位置の変動を補正すると共に焦点合わせを行うために光軸方向に移動可能とされた第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とから成り、第1レンズ群を、物体側から順に、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第1レンズと、凸レンズの第2レンズと、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第3レンズと、凸レンズの第4レンズと、凹レンズの第5レンズと凸レンズの第6レンズとの接合レンズと、凸レンズの第7レンズとによって構成し、第2レンズ群を、凹レンズの第8レンズと、凹レンズの第9レンズと凸レンズの第10レンズとの接合レンズとによって構成し、第3レンズ群を、凸レンズの第11レンズと、凹レンズの第12レンズと凸レンズの第13レンズとの接合レンズとによって構成し、第4レンズ群を、凹レンズの第14レンズと、凹レンズの第15レンズと凸レンズの第16レンズとの接合レンズとによって構成し、第5レンズ群を、凸レンズの第17レンズと、凸レンズの第18レンズと凹レンズの第19レンズとの接合レンズとによって構成し、f1.4を第1レンズ群の第1レンズ乃至第4レンズの合成焦点距離、fIを第1レンズ群の合成焦点距離、h1.4を光軸に平行で高さ1の近軸光線を物体側から入射させた時に、第4レンズL4から射出する時の近軸光線の高さ、f1.3を第1レンズ群の第1レンズ乃至第3レンズの合成焦点距離、f2を第2レンズの焦点距離、r6を第3レンズの像面側の面の曲率半径とすると、|fI/f1.4|<0.04、1.25<h1.4<1.5、0.2<|f1.3/f2|<0.5、0.8<r6/fI<1.5の各条件を満足するようにしたものである。
【0012】
従って、映像信号処理による手振れ補正手段の使用を前提として、画角が広角端においては85°以上、望遠端においては2.5°以下の画角を有し、超広角域から超望遠域までをカバーすることを可能にする小型で各種収差の補正が良好なズームレンズを構成することが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明ズームレンズの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、図1乃至図4は第1の実施の形態(数値実施例1)を示し、図5乃至図8は第2の実施の形態(数値実施例2)を示すものである。
【0014】
初めに、各実施の形態における共通の事項について説明する。
【0015】
尚、以下の説明において、「si」は物体側から数えてi番目の面、「ri」は上記面siの曲率半径、「di」物体側からi番目の面とi+1番目の面との間の面間隔、「ni」は第iレンズのd線(波長587.6nm)における屈折率、「νi」は第iレンズのアッベ数、「f」はレンズ全系の焦点距離、「Fno.」は開放F値、「ω」半画角を示すものとする。
【0016】
また、各実施の形態において用いられるレンズには、レンズ面が非球面によって構成されるものも含まれる。従って、非球面形状は、非球面の深さを「x」、光軸からの高さを「H」とすると、
x=H2/ri・{1+(1−H2/ri2)1/2}+A4・H4+A6・H6+A8・H8+A10・H10
によって定義されるものとする。尚、A4、A6、A8及びA10は、それぞれ4次、6次、8次及び10次の非球面係数である。
【0017】
第1及び第2の実施の形態におけるズームレンズ1及び2は、図1及び図5に示すように、物体側より像面IMG側へと順に、正の屈折力を有する第1レンズ群Gr1と、負の屈折力を有し、主として変倍を行うために光軸方向に移動可能とされた第2レンズ群Gr2と、正の屈折力を有する第3レンズ群Gr3と、負の屈折力を有し、変倍中の焦点位置の変動を補正すると共に焦点合わせを行うために光軸方向に移動可能とされた第4レンズ群Gr4と、正の屈折力を有する第5レンズ群Gr5とから成る19枚構成の光学系を有する。
【0018】
第1レンズ群Gr1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第1レンズL1と、凸レンズの第2レンズL2と、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第3レンズL3と、凸レンズの第4レンズL4と、凹レンズの第5レンズL5と凸レンズの第6レンズL6との接合レンズと、凸レンズの第7レンズL7の7枚のレンズによって構成される。
【0019】
第2レンズ群Gr2は、凹レンズの第8レンズL8と、凹レンズの第9レンズL9と凸レンズの第10レンズL10との接合レンズの3枚のレンズによって構成される。
【0020】
第3レンズ群Gr3は、凸レンズの第11レンズL11と、凹レンズの第12レンズL12と凸レンズの第13レンズL13との接合レンズの3枚のレンズによって構成される。
【0021】
第4レンズ群Gr4は、凹レンズの第14レンズL14と、凹レンズの第15レンズL15と凸レンズの第16レンズL16との接合レンズの3枚のレンズによって構成される。
【0022】
第5レンズ群Gr5は、凸レンズの第17レンズL17と、凸レンズの第18レンズL18と凹レンズの第19レンズL19との接合レンズの3枚のレンズによって構成される。
【0023】
そして、ズームレンズ1及び2は、f1.4を第1レンズ群Gr1の第1レンズL1乃至第4レンズL4の合成焦点距離、fIを第1レンズ群Gr1の合成焦点距離、h1.4を光軸に平行で高さ1の近軸光線を物体側から入射させた時に、第4レンズL4から射出する時の近軸光線の高さ、f1.3を第1レンズ群の第1レンズ乃至第3レンズの合成焦点距離、f2を第2レンズの焦点距離、r6を第3レンズの像面側の面の曲率半径とすると、
|fI/f1.4|<0.04(以下、「条件式1」という。)、
1.25<h1.4<1.5(以下、「条件式2」という。)、
0.2<|f1.3/f2|<0.5(以下、「条件式3」という。)、
0.8<r6/fI<1.5(以下、「条件式4」という。)
の各条件を満足するようにしたものである。
【0024】
以上に記載したように、本発明ズームレンズ1及び2は、第1レンズ群Gr1を、超広角化の達成と望遠端の球面収差の補正を両立させることを目的として、7枚構成としたことに主な特徴を有する。
【0025】
第1レンズ群Gr1は、第1レンズL1乃至第3レンズL3から成る負の屈折力を有する前群と、第4レンズL4乃至第7レンズL7から成る正の屈折力を有する後群とに分けることができる。
【0026】
上記第1レンズ群Gr1の前群は、例えば、所謂一眼レフカメラにおけるレトロフォーカス型広角レンズの前群に似た構成を有し、画角に影響される広角端の主光線の傾きを小さく変換して、上記後群以降のレンズ系が包括する画角を狭くする働きを有するものである。
【0027】
そして、第1レンズ群Gr1の前群は、強い負の屈折力を有するにも係わらず、樽型の歪曲収差の発生を極力抑制するために、第1レンズL1と第3レンズL3が、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状のレンズとされ、更に、広角端の歪曲収差を正の屈折力で補正する必要があるため、凸レンズである第2レンズL2によってこれを補正するようにされている。
【0028】
上記第1レンズ群Gr1の後群は、前群で広がった光束を略アフォーカルにするための第4レンズL4と、収斂系を構成するための第5レンズL5、第6レンズL6及び第7レンズL7から成る。第5レンズL5、第6レンズL6及び第7レンズL7は一般的なビデオカメラ用ズームレンズの第1レンズ群に似た構成を有し、第2レンズ群Gr2とのバランスにおいて、ズーミング中における各種収差の変動を抑制する働きを持つものである。
【0029】
そして、第5レンズL5以降のレンズ系に従来の(既存の)レンズ構成を適用できるようにするため、第1レンズL1乃至第4レンズL4に略アフォーカル系の特性を持たせるための条件を規定するのが、上記条件式1である。
【0030】
従って、第1レンズL1乃至第4レンズL4によるアフォーカルの特性が崩れて負の屈折力を有するようになると、第5レンズL5乃至第7レンズL7の正の屈折力が強くなってしまい、ズーミングにおける中間の焦点距離域よりも望遠側において、球面収差とコマ収差を補正することが困難になる。反対に、第1レンズL1乃至第4レンズL4によるアフォーカルの特性が崩れて正の屈折力を有するようになると、第4レンズL4に起因する球面収差が大きくなり、その補正が困難となる。
【0031】
条件式2は、第5レンズL5以降のレンズ系に従来のレンズ構成を適用できるようにするためアフォーカル系(第1レンズL1乃至第4レンズL4)の各倍率を規定するためのものである。即ち、h1.4の値が条件式2で規定される範囲内となるようにしたのは、ズームレンズ1及び2においてズーム比の超高倍率化と小型化を両立させるために、第4レンズL4乃至第7レンズL7の有効径によって光束が制限されて規定される望遠端におけるF値を制限し、望遠端を暗くすることを収差補正の一手段として活用するためである。
【0032】
従って、条件式2において、h1.4の値が下限を越えると、第5レンズL5以降のレンズ系の画角が広がってしまい、第4レンズL4乃至第7レンズL7の有効径が増大し、望遠端における球面収差、コア収差及び軸上色収差を補正することが困難となる。また、h1.4の値が上限を越えると、第1レンズ群Gr1の前群の負の屈折力が強く成り過ぎてしまい、広角端における歪曲収差を補正することが困難となる。
【0033】
条件式3は、広角端における歪曲収差を、第2レンズL2によってバランス良く補正することができるようにするための条件を規定するものである。
【0034】
従って、|f1.3/f2|の値が下限を越えると、上記補正を十分に行うことができなくなり、樽型の歪曲が強く残っるようになる。また、|f1.3/f2|の値が上限を越えると、広角端における歪曲収差曲線の曲がりと倍率色収差曲線の曲がりが大きくなって、これらを中間像高と最大像高とでバランス良く補正することが困難になる。
【0035】
条件式4は、望遠端における球面収差の補正に関する条件を規定するものである。即ち、望遠端において、第4レンズL4乃至第7レンズL7から発生するアンダー側の球面収差を、第3レンズL3の像面IMG側の面s6で補正するためのものである。尚、従来のズームレンズにおいては、第1レンズ群から発生するアンダー側の球面収差は、第2レンズ群から発生するオーバー側の球面収差によって補正するように構成するのが一般的である。
【0036】
ズームレンズ1及び2においては、広角端から望遠端にズーミングする際に、第1レンズ群Gr1及び第2レンズ群Gr2を通る光束の太さが共に増大していく時は、上記従来の場合の手法と同様に、アンダー側とオーバー側の球面収差による打ち消し合いが働くが、望遠端におけるF値を暗くすることを収差補正の一手段としているために、第4レンズL4乃至第7レンズL7の有効径によって光束が制限されるので、第2レンズ群と第1レンズ群との間隔d13が大きくなるに従って、第2レンズ群Gr2を通過する光束の太さが減少に転じて、上記従来の手法であるアンダー側とオーバー側の球面収差による打ち消し合いが成り立たなくなる。従って、ズームレンズ1及び2のような望遠端が広角端に比べて極端に暗くなるズーム比が超高倍率のものにおいては、第1レンズ群Gr1から発生する球面収差は、第1レンズ群Gr1の中で極力抑え必要がある。
【0037】
従って、r6/fIの値が下限を越えると、オーバー側の球面収差が強くなって補正過剰となり、逆に、r6/fIの値が上限を越えると、球面収差の補正が不足すると共に、上記条件式2に適合させるために、第1レンズL1の負の屈折力が強くなって、広角端における歪曲収差を補正することが困難となる。
【0038】
望遠端における色収差の補正に関し、ズームレンズ1及び2は、第1レンズ群Gr1の第4レンズL4、第6レンズL6及び第7レンズL7が、ν4を第4レンズL4を構成する材質のアッベ数、ν6を第6レンズL6を構成する材質のアッベ数、ν7を第7レンズL7を構成する材質のアッベ数とすると、
70<(ν4+ν6+ν7)/3(以下、「条件式5」という。)
の条件を満足する材質によって構成される。
【0039】
尚、望遠レンズの色収差の補正及び2次スペクトルの補正には、レンズ系の前群の凸レンズにアッベ数が大きく、異常部分分散性を持つ材質を用いることが効果的であることが公知である。
【0040】
しかしながら、ズームレンズ1及び2にあっては、望遠端において、入射光束は第4レンズL4乃至第7レンズL7で最も広がるようになっている。従って、望遠端における色収差は、第4レンズL4乃至第7レンズL7の構成によって支配されるので、凸レンズである、第4レンズL4、第6レンズL6及び第7レンズL7を、一般的な望遠レンズにおける2次スペクトルの補正に適した材質とすること、即ち、上記条件式5を満足する材質、所謂超低分散ガラスによって形成することが必要となる。尚、既存のレンズ用の光学ガラスでは、上記条件式5を満足させることはできない。
【0041】
広角側における球面収差とコマ収差の補正に関し、ズームレンズ1及び2にあっては、第3レンズ群Gr3を構成する第11レンズL11乃至第13レンズL13の各面のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にした。
【0042】
第2レンズ群Gr2を出た発散光束を収斂光束に転じて第4レンズ群Gr4に送る働きをする第3レンズ群Gr3は、強い正の屈折力を有し、また、広角端においては最も光束が広がる部分なので、広角端における球面収差とコマ収差に関して支配的な影響力を有する部分である。従って、発散光束を収斂光束に緩やかに転じさせるためには、第3レンズ群Gr3を正の屈折力を2つのレンズ群に分け、更に、その一方に負の屈折力を有する接合面を設けるようにすることが有効であり、ズームレンズ1及び2あっては、第3レンズ群Gr3を、凸レンズ(第11レンズL11)と、凹レンズ(第12レンズL12)と凸レンズ(第13レンズL13)との接合レンズによって構成し、球面収差の発生とコマ収差の発生を抑制するようにしている。そして、更に万全を期すため、上記したように、第11レンズL11乃至第13レンズL13の各面s20乃至s24のうちの少なくとも1面を非球面とすると共に、非球面とされた面のうちの少なくとも1面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にしたものである。
【0043】
広角端における非点収差と歪曲収差の補正に関し、ズームレンズ1及び2にあっては、第5レンズ群Gr5を構成する第17レンズL17乃至第19レンズL19の各面s30乃至s34のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にした。
【0044】
第4レンズ群Gr4で外側に跳ね上げられた主光線は、第5レンズ群Gr5において、最大像高より光線高が高くなり、射出瞳が像面より後側になるように第5レンズ群Gr5で折り曲げる必要がある。従って、主光線を緩やかに折れ曲がるようにするために、第5レンズ群GR5においては、正の屈折力を2つのレンズ群に分け、その一方に負の屈折力を有する接合面を設けるようにする。即ち、凸レンズ(第17レンズL17)と、凸レンズ(第18レンズL18)と凹レンズ(第19レンズL19)との接合レンズによって構成し、非点収差及び歪曲収差の発生を抑制するようにしている。
【0045】
そして、更に万全を期すため、上記したように、第17レンズL17乃至第19レンズL19の各面s30乃至s34のうちの少なくとも1面を非球面とすると共に、非球面とされた面のうちの少なくとも1面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にした。
【0046】
ズームレンズ1及び2は、ビデオカメラ用なので、手振れ補正手段が適用されるものである。即ち、ズームレンズ1及び2には、可変頂角プリズム等を用いた光学的手振れ補正手段ではなく、レンズの有効像円の中から狭い範囲の像を切り出して出力するようにし、手振れに応じて、この切り出す範囲を逐次可変とした、映像信号処理による手振れ補正手段が適用される。
【0047】
尚、手振れの画面に対する影響は、一般的に、広角側では非常に小さく、望遠側になるほど大きく現れるものである。そして、映像信号処理による手振れ補正手段においては、撮像素子の有効画素範囲全体から手振れの補正後に切り出される有効画面の寸法は、ズーミングの全域において一定であり、上記有効画素範囲全体から有効画面となる部分を除いた残りの部分が、手振れの補正に用いることができる部分である。手振れの補正が殆ど必要ない広角側においても、上記手振れの補正に用いる範囲を有効に使用するようにすると、有効像円は有効画素範囲全体をカバーしなければならなくなる。
【0048】
従って、ズームレンズ1及び2においては、広角端において、上記有効画面に対して既に十分な超広角レンズとなっているので、有効像円を広げて更に広角化を行うことは困難なので、広角側では有効画素範囲上での手振れの補正範囲を狭く制限し、望遠側では手振れ補正範囲を広くするように有効像円を設定するようにする。
【0049】
次に、各実施の形態に固有の事項について説明する。
【0050】
表1にズームレンズ1の各値を示す。
【0051】
【表1】
【0052】
上記表1に示すように、ズームレンズ1のズーミング及びフォーカシングに伴う動作によって面間隔d13、d18、d24及びd29は可変(variable)となる。従って、表2に広角端(f=1.00)、望遠端(f=39.87)及び広角端と望遠端との中間焦点位置(f=17.56)におけるd13、d18、d24及びd29の各値を示す。
【0053】
【表2】
【0054】
また、第3レンズ群Gr3及び第5レンズ群Gr5において、第12レンズL12の面s20及び第18レンズの面s32は非球面に形成されている。表3に上記面s20及びs32の4次、6次、8次、10次の非球面係数A4、A6、A8、A10を示す。
【0055】
【表3】
【0056】
尚、上記表3中の「E」は、10を底とする指数表現を意味するものとする(後述する表7においても同様。)。
【0057】
表4にズームレンズ1の前記条件式1乃至5の値と、f、Fno.及び2ωの値を示す。
【0058】
【表4】
【0059】
図2乃至図4にズームレンズ1の広角端、広角端と望遠端との中間焦点位置及び望遠端における球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図をそれぞれ示す。尚、球面収差図において、実線はd線、破線はg線(波長435.8nm)、一点鎖線はC線(波長656.3nm)における値を示すものであり、非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面における値を示すものである。
【0060】
表5にズームレンズ2の各値を示す。
【0061】
【表5】
【0062】
上記表5に示すように、ズームレンズ1のズーミング及びフォーカシングに伴う動作によって面間隔d13、d18、d24及びd29は可変(variable)となる。従って、表6に広角端(f=1.00)、望遠端(f=39.76)及び広角端と望遠端との中間焦点位置(f=17.17)におけるd13、d18、d24及びd29の各値を示す。
【0063】
【表6】
【0064】
また、第3レンズ群Gr3及び第5レンズ群Gr5において、第12レンズL12の面s20及びs21と、第18レンズの面s32は非球面に形成されている。表7に上記面s20、s21及びs32の4次、6次、8次、10次の非球面係数A4、A6、A8、A10を示す。
【0065】
【表7】
【0066】
表8にズームレンズ2の前記条件式1乃至5の値と、f、Fno.及び2ωの値を示す。
【0067】
【表8】
【0068】
図6乃至図8にズームレンズ2の広角端、広角端と望遠端との中間焦点位置及び望遠端における球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図をそれぞれ示す。尚、球面収差図において、実線はd線、破線はg線、一点鎖線はC線における値を示すものであり、非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面における値を示すものである。
【0069】
このように、本発明ズームレンズ1及び2は、35mmフィルムを使用するカメラ用のレンズに換算するとfが25mm〜1000mm相当の超広角域〜超望遠域をカバーするズーム比40倍の超高倍率ズームレンズを、5群19枚構成で、3枚の超低分散ガラスを用いると共に、有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状、所謂ガラスモールド非球面レンズを2枚用いたレンズ系によって、ズーミングの全域において歪曲収差を初めとする各種収差がバランス良く補正された高画質の画像を得ることを可能にしたものである。
【0070】
尚、ズームレンズ1は具体的には、有効画素範囲の対角線長を4.5mm、有効画面の対角線長を3.38mmにした場合には、全長が125.5mm、前玉(第1レンズL1)径は56mm、絞り径は約9.2mm、第2レンズ群Gr2の移動量は約30mm、第4レンズ群Gr4の移動量は約12mmとなる。従って、第2レンズ群Gr2及び第4レンズ群Gr4の移動量が従来のズームレンズと同程度であるので、これらのレンズ群の移動機構に従来技術を適用することができるために生産性が良く、また、小型ビデオカメラ用のズームレンズとして十分実用になる大きさを有するにもかかわらず、画角85°を越える超広角域から画角2.5°以下の超望遠域をカバーし、映像信号処理方式による手振れ補正手段にも対応して、超望遠域での手持ち撮影が可能である。
【0071】
また、前記実施の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施するに当たっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってならないものである。
【0072】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように本発明ズームレンズは、物体側より像面側へと順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有し、主として変倍を行うために光軸方向に移動可能とされた第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有し、変倍中の焦点位置の変動を補正すると共に焦点合わせを行うために光軸方向に移動可能とされた第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とから成り、第1レンズ群を、物体側から順に、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第1レンズと、凸レンズの第2レンズと、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第3レンズと、凸レンズの第4レンズと、凹レンズの第5レンズと凸レンズの第6レンズとの接合レンズと、凸レンズの第7レンズとによって構成し、第2レンズ群を、凹レンズの第8レンズと、凹レンズの第9レンズと凸レンズの第10レンズとの接合レンズとによって構成し、第3レンズ群を、凸レンズの第11レンズと、凹レンズの第12レンズと凸レンズの第13レンズとの接合レンズとによって構成し、第4レンズ群Gr4を、凹レンズの第14レンズと、凹レンズの第15レンズと凸レンズの第15レンズとの接合レンズとによって構成し、第5レンズ群を、凸レンズの第17レンズと、凸レンズの第18レンズと凹レンズの第19レンズとの接合レンズとによって構成し、f1.4を第1レンズ群の第1レンズ乃至第4レンズの合成焦点距離、fIを第1レンズ群の合成焦点距離、h1.4を光軸に平行で高さ1の近軸光線を物体側から入射させた時に、第4レンズL4から射出する時の近軸光線の高さ、f1.3を第1レンズ群の第1レンズ乃至第3レンズの合成焦点距離、f2を第2レンズの焦点距離、r6を第3レンズの像面側の面の曲率半径とすると、|fI/f1.4|<0.04、1.25<h1.4<1.5、0.2<|f1.3/f2|<0.5、0.8<r6/fI<1.5の各条件を満足するようにしたので、超広角域から超望遠域までをカバーすることができ、ズーミングの全域において各種収差、特に、球面収差をバランス良く補正することができる。
【0073】
請求項2に記載した発明にあっては、ν4を第4レンズを構成する材質のアッベ数、ν6を第6レンズを構成する材質のアッベ数、ν7を第7レンズを構成する材質のアッベ数とすると、第4レンズ、第6レンズ及び第7レンズを、70<(ν4+ν6+ν7)/3の条件を満足する材質によって構成したので、望遠端における色収差及び2次スペクトルを効果的に補正することができる。
【0074】
請求項3及び請求項4に記載した発明にあっては、第3レンズ群を構成するレンズの各面のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にしたので、広角側における球面収差及びコマ収差の発生を抑制することができる。
【0075】
また、請求項5乃至請求項8に記載した発明にあっては、第5レンズ群を構成するレンズの各面のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にしたので、広角側における非点収差及び歪曲収差の発生を抑制することができる。
【0076】
更に、請求項9乃至請求項16に記載した発明にあっては、望遠端における有効像円を、広角端における有効像円よりも大きくしたので、映像信号処理方式の手振れ補正に用いる撮像素子の有効画素範囲全体から有効画面を抜き出した手振れ補正範囲を、広角域においても有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2乃至図4と共に、本発明ズームレンズの第1の実施の形態を示すものであり、本図はレンズ構成を示す概略図である。
【図2】広角端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図3】広角端と望遠端との中間焦点位置における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図4】望遠端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図5】図6乃至図8と共に、本発明ズームレンズの第2の実施の形態を示すものであり、本図はレンズ構成を示す概略図である。
【図6】広角端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図7】広角端と望遠端との中間焦点位置における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図8】望遠端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【符号の説明】
1…ズームレンズ、2…ズームレンズ、Gr1…第1レンズ群、Gr2…第2レンズ群、Gr3…第3レンズ群、Gr4…第4レンズ群、Gr5…第5レンズ群、L1…第1レンズ、L2…第2レンズ、L3…第3レンズ、L4…第4レンズ、L6…第6レンズ、L7…第7レンズ、L8…第8レンズ、L9…第9レンズ、L10…第10レンズ、L11…第11レンズ、L12…第12レンズ、L13…第13レンズ、L14…第14レンズ、L15…第15レンズ、L16…第16レンズ、L17…第17レンズ、L18…第18レンズ、L19…第19レンズ、IMG…像面
【発明の属する技術分野】
本発明は、超広角域から超望遠域までをカバーする高倍率のビデオカメラ用ズームレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
民生用のビデオカメラ用のズームレンズにおいて、小型化された撮像素子の利点を生かす方向として、ズーム比が同じでより小型化を目指す方向と、実用的な大きさの中でよりズーム比の高倍率化を目指す方向とがある。
【0003】
ところで、上記ズームレンズにおけるズーム比の高倍率化に当たっては、望遠側において、手振れによる画面の揺れが実用上の大きな問題となっている。従って、このような手振れの影響を緩和する手段として、可変頂角プリズム等を用いた光学的手振れ補正手段と、レンズの有効像円の中から狭い範囲の像を切り出して出力するようにし、手振れに応じて、この切り出す範囲を逐次可変とした、映像信号処理による手振れ補正手段とが考案されている。
【0004】
そして、上記可変頂角プリズムを用いた手振れの補正においては、可変頂角プリズムが小さくても画角全体をカバーするようにレンズ系を構成することが、大きさ、コスト、消費電力の面から有利である。このような意図のもとに設計されたズームレンズとしては、例えば、特開平8−5913号公報に記載のものがある。
【0005】
ところで、上記公報に記載されたズームレンズにあっては、ズーム比が20倍程度であるが、昨今は、撮像素子の小型化に伴って、より大きなズーム比を有するズームレンズが求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ズーム比の高倍率化、例えば、40倍を越えるズーム比を考えると、下記のような問題があった。
【0007】
即ち、可変頂角プリズムを用いた光学的手振れ補正手段を用いたズームレンズにおいては、広角端の画角は狭い方が可変頂角プリズムを小さくすることができるので、レンズ系の小型化に好都合であるが、広角端における画角を狭くした分、望遠端における画角が極端に狭くなってしまって、手振れの補正後も残留している画面の揺れを拡大してしまうこととなって、手振れの補正とレンズ系の小型化とが両立し得ないという問題が発生する。
【0008】
また、一般的に、使用者にとってズームレンズのズーム比の高倍率化は、広角側と望遠側との両方の撮影領域が広がることになって好ましいことであるが、光学式手振れ補正を使用する限り、ズームレンズの広角化が限定されてしまうこととなって、上記使用者の希望に反することになってしまう。
【0009】
更に、上記公報に記載したような、従来のレンズ系の設計手段において、前玉の径が小さい超高倍率なズーム比を有するズームレンズにおいては、前玉、即ち、第1レンズ群の有効径によって光束が制限されるため、望遠端におけるF値が暗くなって第2レンズ群を通過する光束も細くなって、その結果、望遠端において第1レンズ群で発生する球面収差を第2レンズ群によって補正することができなくなるという問題が生じ、第1レンズ群を一般的な3枚のレンズで構成することができない。尚、上記望遠端において発生する球面収差を解決するためには、第1レンズ群を構成するレンズのレンズ面のうちの1つの面を非球面によって構成することが有効であるが、これにはコストの増加が避けられない。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、映像信号処理による手振れ補正手段の使用を前提として、画角を、広角端においては85°以上、望遠端においては2.5°以下とすることによって、超広角域から超望遠域までをカバーすることを可能にする小型で各種収差の補正が良好なズームレンズを提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明ズームレンズは、物体側より像面側へと順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有し、主として変倍を行うために光軸方向に移動可能とされた第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有し、変倍中の焦点位置の変動を補正すると共に焦点合わせを行うために光軸方向に移動可能とされた第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とから成り、第1レンズ群を、物体側から順に、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第1レンズと、凸レンズの第2レンズと、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第3レンズと、凸レンズの第4レンズと、凹レンズの第5レンズと凸レンズの第6レンズとの接合レンズと、凸レンズの第7レンズとによって構成し、第2レンズ群を、凹レンズの第8レンズと、凹レンズの第9レンズと凸レンズの第10レンズとの接合レンズとによって構成し、第3レンズ群を、凸レンズの第11レンズと、凹レンズの第12レンズと凸レンズの第13レンズとの接合レンズとによって構成し、第4レンズ群を、凹レンズの第14レンズと、凹レンズの第15レンズと凸レンズの第16レンズとの接合レンズとによって構成し、第5レンズ群を、凸レンズの第17レンズと、凸レンズの第18レンズと凹レンズの第19レンズとの接合レンズとによって構成し、f1.4を第1レンズ群の第1レンズ乃至第4レンズの合成焦点距離、fIを第1レンズ群の合成焦点距離、h1.4を光軸に平行で高さ1の近軸光線を物体側から入射させた時に、第4レンズL4から射出する時の近軸光線の高さ、f1.3を第1レンズ群の第1レンズ乃至第3レンズの合成焦点距離、f2を第2レンズの焦点距離、r6を第3レンズの像面側の面の曲率半径とすると、|fI/f1.4|<0.04、1.25<h1.4<1.5、0.2<|f1.3/f2|<0.5、0.8<r6/fI<1.5の各条件を満足するようにしたものである。
【0012】
従って、映像信号処理による手振れ補正手段の使用を前提として、画角が広角端においては85°以上、望遠端においては2.5°以下の画角を有し、超広角域から超望遠域までをカバーすることを可能にする小型で各種収差の補正が良好なズームレンズを構成することが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明ズームレンズの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、図1乃至図4は第1の実施の形態(数値実施例1)を示し、図5乃至図8は第2の実施の形態(数値実施例2)を示すものである。
【0014】
初めに、各実施の形態における共通の事項について説明する。
【0015】
尚、以下の説明において、「si」は物体側から数えてi番目の面、「ri」は上記面siの曲率半径、「di」物体側からi番目の面とi+1番目の面との間の面間隔、「ni」は第iレンズのd線(波長587.6nm)における屈折率、「νi」は第iレンズのアッベ数、「f」はレンズ全系の焦点距離、「Fno.」は開放F値、「ω」半画角を示すものとする。
【0016】
また、各実施の形態において用いられるレンズには、レンズ面が非球面によって構成されるものも含まれる。従って、非球面形状は、非球面の深さを「x」、光軸からの高さを「H」とすると、
x=H2/ri・{1+(1−H2/ri2)1/2}+A4・H4+A6・H6+A8・H8+A10・H10
によって定義されるものとする。尚、A4、A6、A8及びA10は、それぞれ4次、6次、8次及び10次の非球面係数である。
【0017】
第1及び第2の実施の形態におけるズームレンズ1及び2は、図1及び図5に示すように、物体側より像面IMG側へと順に、正の屈折力を有する第1レンズ群Gr1と、負の屈折力を有し、主として変倍を行うために光軸方向に移動可能とされた第2レンズ群Gr2と、正の屈折力を有する第3レンズ群Gr3と、負の屈折力を有し、変倍中の焦点位置の変動を補正すると共に焦点合わせを行うために光軸方向に移動可能とされた第4レンズ群Gr4と、正の屈折力を有する第5レンズ群Gr5とから成る19枚構成の光学系を有する。
【0018】
第1レンズ群Gr1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第1レンズL1と、凸レンズの第2レンズL2と、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第3レンズL3と、凸レンズの第4レンズL4と、凹レンズの第5レンズL5と凸レンズの第6レンズL6との接合レンズと、凸レンズの第7レンズL7の7枚のレンズによって構成される。
【0019】
第2レンズ群Gr2は、凹レンズの第8レンズL8と、凹レンズの第9レンズL9と凸レンズの第10レンズL10との接合レンズの3枚のレンズによって構成される。
【0020】
第3レンズ群Gr3は、凸レンズの第11レンズL11と、凹レンズの第12レンズL12と凸レンズの第13レンズL13との接合レンズの3枚のレンズによって構成される。
【0021】
第4レンズ群Gr4は、凹レンズの第14レンズL14と、凹レンズの第15レンズL15と凸レンズの第16レンズL16との接合レンズの3枚のレンズによって構成される。
【0022】
第5レンズ群Gr5は、凸レンズの第17レンズL17と、凸レンズの第18レンズL18と凹レンズの第19レンズL19との接合レンズの3枚のレンズによって構成される。
【0023】
そして、ズームレンズ1及び2は、f1.4を第1レンズ群Gr1の第1レンズL1乃至第4レンズL4の合成焦点距離、fIを第1レンズ群Gr1の合成焦点距離、h1.4を光軸に平行で高さ1の近軸光線を物体側から入射させた時に、第4レンズL4から射出する時の近軸光線の高さ、f1.3を第1レンズ群の第1レンズ乃至第3レンズの合成焦点距離、f2を第2レンズの焦点距離、r6を第3レンズの像面側の面の曲率半径とすると、
|fI/f1.4|<0.04(以下、「条件式1」という。)、
1.25<h1.4<1.5(以下、「条件式2」という。)、
0.2<|f1.3/f2|<0.5(以下、「条件式3」という。)、
0.8<r6/fI<1.5(以下、「条件式4」という。)
の各条件を満足するようにしたものである。
【0024】
以上に記載したように、本発明ズームレンズ1及び2は、第1レンズ群Gr1を、超広角化の達成と望遠端の球面収差の補正を両立させることを目的として、7枚構成としたことに主な特徴を有する。
【0025】
第1レンズ群Gr1は、第1レンズL1乃至第3レンズL3から成る負の屈折力を有する前群と、第4レンズL4乃至第7レンズL7から成る正の屈折力を有する後群とに分けることができる。
【0026】
上記第1レンズ群Gr1の前群は、例えば、所謂一眼レフカメラにおけるレトロフォーカス型広角レンズの前群に似た構成を有し、画角に影響される広角端の主光線の傾きを小さく変換して、上記後群以降のレンズ系が包括する画角を狭くする働きを有するものである。
【0027】
そして、第1レンズ群Gr1の前群は、強い負の屈折力を有するにも係わらず、樽型の歪曲収差の発生を極力抑制するために、第1レンズL1と第3レンズL3が、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状のレンズとされ、更に、広角端の歪曲収差を正の屈折力で補正する必要があるため、凸レンズである第2レンズL2によってこれを補正するようにされている。
【0028】
上記第1レンズ群Gr1の後群は、前群で広がった光束を略アフォーカルにするための第4レンズL4と、収斂系を構成するための第5レンズL5、第6レンズL6及び第7レンズL7から成る。第5レンズL5、第6レンズL6及び第7レンズL7は一般的なビデオカメラ用ズームレンズの第1レンズ群に似た構成を有し、第2レンズ群Gr2とのバランスにおいて、ズーミング中における各種収差の変動を抑制する働きを持つものである。
【0029】
そして、第5レンズL5以降のレンズ系に従来の(既存の)レンズ構成を適用できるようにするため、第1レンズL1乃至第4レンズL4に略アフォーカル系の特性を持たせるための条件を規定するのが、上記条件式1である。
【0030】
従って、第1レンズL1乃至第4レンズL4によるアフォーカルの特性が崩れて負の屈折力を有するようになると、第5レンズL5乃至第7レンズL7の正の屈折力が強くなってしまい、ズーミングにおける中間の焦点距離域よりも望遠側において、球面収差とコマ収差を補正することが困難になる。反対に、第1レンズL1乃至第4レンズL4によるアフォーカルの特性が崩れて正の屈折力を有するようになると、第4レンズL4に起因する球面収差が大きくなり、その補正が困難となる。
【0031】
条件式2は、第5レンズL5以降のレンズ系に従来のレンズ構成を適用できるようにするためアフォーカル系(第1レンズL1乃至第4レンズL4)の各倍率を規定するためのものである。即ち、h1.4の値が条件式2で規定される範囲内となるようにしたのは、ズームレンズ1及び2においてズーム比の超高倍率化と小型化を両立させるために、第4レンズL4乃至第7レンズL7の有効径によって光束が制限されて規定される望遠端におけるF値を制限し、望遠端を暗くすることを収差補正の一手段として活用するためである。
【0032】
従って、条件式2において、h1.4の値が下限を越えると、第5レンズL5以降のレンズ系の画角が広がってしまい、第4レンズL4乃至第7レンズL7の有効径が増大し、望遠端における球面収差、コア収差及び軸上色収差を補正することが困難となる。また、h1.4の値が上限を越えると、第1レンズ群Gr1の前群の負の屈折力が強く成り過ぎてしまい、広角端における歪曲収差を補正することが困難となる。
【0033】
条件式3は、広角端における歪曲収差を、第2レンズL2によってバランス良く補正することができるようにするための条件を規定するものである。
【0034】
従って、|f1.3/f2|の値が下限を越えると、上記補正を十分に行うことができなくなり、樽型の歪曲が強く残っるようになる。また、|f1.3/f2|の値が上限を越えると、広角端における歪曲収差曲線の曲がりと倍率色収差曲線の曲がりが大きくなって、これらを中間像高と最大像高とでバランス良く補正することが困難になる。
【0035】
条件式4は、望遠端における球面収差の補正に関する条件を規定するものである。即ち、望遠端において、第4レンズL4乃至第7レンズL7から発生するアンダー側の球面収差を、第3レンズL3の像面IMG側の面s6で補正するためのものである。尚、従来のズームレンズにおいては、第1レンズ群から発生するアンダー側の球面収差は、第2レンズ群から発生するオーバー側の球面収差によって補正するように構成するのが一般的である。
【0036】
ズームレンズ1及び2においては、広角端から望遠端にズーミングする際に、第1レンズ群Gr1及び第2レンズ群Gr2を通る光束の太さが共に増大していく時は、上記従来の場合の手法と同様に、アンダー側とオーバー側の球面収差による打ち消し合いが働くが、望遠端におけるF値を暗くすることを収差補正の一手段としているために、第4レンズL4乃至第7レンズL7の有効径によって光束が制限されるので、第2レンズ群と第1レンズ群との間隔d13が大きくなるに従って、第2レンズ群Gr2を通過する光束の太さが減少に転じて、上記従来の手法であるアンダー側とオーバー側の球面収差による打ち消し合いが成り立たなくなる。従って、ズームレンズ1及び2のような望遠端が広角端に比べて極端に暗くなるズーム比が超高倍率のものにおいては、第1レンズ群Gr1から発生する球面収差は、第1レンズ群Gr1の中で極力抑え必要がある。
【0037】
従って、r6/fIの値が下限を越えると、オーバー側の球面収差が強くなって補正過剰となり、逆に、r6/fIの値が上限を越えると、球面収差の補正が不足すると共に、上記条件式2に適合させるために、第1レンズL1の負の屈折力が強くなって、広角端における歪曲収差を補正することが困難となる。
【0038】
望遠端における色収差の補正に関し、ズームレンズ1及び2は、第1レンズ群Gr1の第4レンズL4、第6レンズL6及び第7レンズL7が、ν4を第4レンズL4を構成する材質のアッベ数、ν6を第6レンズL6を構成する材質のアッベ数、ν7を第7レンズL7を構成する材質のアッベ数とすると、
70<(ν4+ν6+ν7)/3(以下、「条件式5」という。)
の条件を満足する材質によって構成される。
【0039】
尚、望遠レンズの色収差の補正及び2次スペクトルの補正には、レンズ系の前群の凸レンズにアッベ数が大きく、異常部分分散性を持つ材質を用いることが効果的であることが公知である。
【0040】
しかしながら、ズームレンズ1及び2にあっては、望遠端において、入射光束は第4レンズL4乃至第7レンズL7で最も広がるようになっている。従って、望遠端における色収差は、第4レンズL4乃至第7レンズL7の構成によって支配されるので、凸レンズである、第4レンズL4、第6レンズL6及び第7レンズL7を、一般的な望遠レンズにおける2次スペクトルの補正に適した材質とすること、即ち、上記条件式5を満足する材質、所謂超低分散ガラスによって形成することが必要となる。尚、既存のレンズ用の光学ガラスでは、上記条件式5を満足させることはできない。
【0041】
広角側における球面収差とコマ収差の補正に関し、ズームレンズ1及び2にあっては、第3レンズ群Gr3を構成する第11レンズL11乃至第13レンズL13の各面のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にした。
【0042】
第2レンズ群Gr2を出た発散光束を収斂光束に転じて第4レンズ群Gr4に送る働きをする第3レンズ群Gr3は、強い正の屈折力を有し、また、広角端においては最も光束が広がる部分なので、広角端における球面収差とコマ収差に関して支配的な影響力を有する部分である。従って、発散光束を収斂光束に緩やかに転じさせるためには、第3レンズ群Gr3を正の屈折力を2つのレンズ群に分け、更に、その一方に負の屈折力を有する接合面を設けるようにすることが有効であり、ズームレンズ1及び2あっては、第3レンズ群Gr3を、凸レンズ(第11レンズL11)と、凹レンズ(第12レンズL12)と凸レンズ(第13レンズL13)との接合レンズによって構成し、球面収差の発生とコマ収差の発生を抑制するようにしている。そして、更に万全を期すため、上記したように、第11レンズL11乃至第13レンズL13の各面s20乃至s24のうちの少なくとも1面を非球面とすると共に、非球面とされた面のうちの少なくとも1面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にしたものである。
【0043】
広角端における非点収差と歪曲収差の補正に関し、ズームレンズ1及び2にあっては、第5レンズ群Gr5を構成する第17レンズL17乃至第19レンズL19の各面s30乃至s34のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にした。
【0044】
第4レンズ群Gr4で外側に跳ね上げられた主光線は、第5レンズ群Gr5において、最大像高より光線高が高くなり、射出瞳が像面より後側になるように第5レンズ群Gr5で折り曲げる必要がある。従って、主光線を緩やかに折れ曲がるようにするために、第5レンズ群GR5においては、正の屈折力を2つのレンズ群に分け、その一方に負の屈折力を有する接合面を設けるようにする。即ち、凸レンズ(第17レンズL17)と、凸レンズ(第18レンズL18)と凹レンズ(第19レンズL19)との接合レンズによって構成し、非点収差及び歪曲収差の発生を抑制するようにしている。
【0045】
そして、更に万全を期すため、上記したように、第17レンズL17乃至第19レンズL19の各面s30乃至s34のうちの少なくとも1面を非球面とすると共に、非球面とされた面のうちの少なくとも1面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にした。
【0046】
ズームレンズ1及び2は、ビデオカメラ用なので、手振れ補正手段が適用されるものである。即ち、ズームレンズ1及び2には、可変頂角プリズム等を用いた光学的手振れ補正手段ではなく、レンズの有効像円の中から狭い範囲の像を切り出して出力するようにし、手振れに応じて、この切り出す範囲を逐次可変とした、映像信号処理による手振れ補正手段が適用される。
【0047】
尚、手振れの画面に対する影響は、一般的に、広角側では非常に小さく、望遠側になるほど大きく現れるものである。そして、映像信号処理による手振れ補正手段においては、撮像素子の有効画素範囲全体から手振れの補正後に切り出される有効画面の寸法は、ズーミングの全域において一定であり、上記有効画素範囲全体から有効画面となる部分を除いた残りの部分が、手振れの補正に用いることができる部分である。手振れの補正が殆ど必要ない広角側においても、上記手振れの補正に用いる範囲を有効に使用するようにすると、有効像円は有効画素範囲全体をカバーしなければならなくなる。
【0048】
従って、ズームレンズ1及び2においては、広角端において、上記有効画面に対して既に十分な超広角レンズとなっているので、有効像円を広げて更に広角化を行うことは困難なので、広角側では有効画素範囲上での手振れの補正範囲を狭く制限し、望遠側では手振れ補正範囲を広くするように有効像円を設定するようにする。
【0049】
次に、各実施の形態に固有の事項について説明する。
【0050】
表1にズームレンズ1の各値を示す。
【0051】
【表1】
【0052】
上記表1に示すように、ズームレンズ1のズーミング及びフォーカシングに伴う動作によって面間隔d13、d18、d24及びd29は可変(variable)となる。従って、表2に広角端(f=1.00)、望遠端(f=39.87)及び広角端と望遠端との中間焦点位置(f=17.56)におけるd13、d18、d24及びd29の各値を示す。
【0053】
【表2】
【0054】
また、第3レンズ群Gr3及び第5レンズ群Gr5において、第12レンズL12の面s20及び第18レンズの面s32は非球面に形成されている。表3に上記面s20及びs32の4次、6次、8次、10次の非球面係数A4、A6、A8、A10を示す。
【0055】
【表3】
【0056】
尚、上記表3中の「E」は、10を底とする指数表現を意味するものとする(後述する表7においても同様。)。
【0057】
表4にズームレンズ1の前記条件式1乃至5の値と、f、Fno.及び2ωの値を示す。
【0058】
【表4】
【0059】
図2乃至図4にズームレンズ1の広角端、広角端と望遠端との中間焦点位置及び望遠端における球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図をそれぞれ示す。尚、球面収差図において、実線はd線、破線はg線(波長435.8nm)、一点鎖線はC線(波長656.3nm)における値を示すものであり、非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面における値を示すものである。
【0060】
表5にズームレンズ2の各値を示す。
【0061】
【表5】
【0062】
上記表5に示すように、ズームレンズ1のズーミング及びフォーカシングに伴う動作によって面間隔d13、d18、d24及びd29は可変(variable)となる。従って、表6に広角端(f=1.00)、望遠端(f=39.76)及び広角端と望遠端との中間焦点位置(f=17.17)におけるd13、d18、d24及びd29の各値を示す。
【0063】
【表6】
【0064】
また、第3レンズ群Gr3及び第5レンズ群Gr5において、第12レンズL12の面s20及びs21と、第18レンズの面s32は非球面に形成されている。表7に上記面s20、s21及びs32の4次、6次、8次、10次の非球面係数A4、A6、A8、A10を示す。
【0065】
【表7】
【0066】
表8にズームレンズ2の前記条件式1乃至5の値と、f、Fno.及び2ωの値を示す。
【0067】
【表8】
【0068】
図6乃至図8にズームレンズ2の広角端、広角端と望遠端との中間焦点位置及び望遠端における球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図をそれぞれ示す。尚、球面収差図において、実線はd線、破線はg線、一点鎖線はC線における値を示すものであり、非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面における値を示すものである。
【0069】
このように、本発明ズームレンズ1及び2は、35mmフィルムを使用するカメラ用のレンズに換算するとfが25mm〜1000mm相当の超広角域〜超望遠域をカバーするズーム比40倍の超高倍率ズームレンズを、5群19枚構成で、3枚の超低分散ガラスを用いると共に、有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状、所謂ガラスモールド非球面レンズを2枚用いたレンズ系によって、ズーミングの全域において歪曲収差を初めとする各種収差がバランス良く補正された高画質の画像を得ることを可能にしたものである。
【0070】
尚、ズームレンズ1は具体的には、有効画素範囲の対角線長を4.5mm、有効画面の対角線長を3.38mmにした場合には、全長が125.5mm、前玉(第1レンズL1)径は56mm、絞り径は約9.2mm、第2レンズ群Gr2の移動量は約30mm、第4レンズ群Gr4の移動量は約12mmとなる。従って、第2レンズ群Gr2及び第4レンズ群Gr4の移動量が従来のズームレンズと同程度であるので、これらのレンズ群の移動機構に従来技術を適用することができるために生産性が良く、また、小型ビデオカメラ用のズームレンズとして十分実用になる大きさを有するにもかかわらず、画角85°を越える超広角域から画角2.5°以下の超望遠域をカバーし、映像信号処理方式による手振れ補正手段にも対応して、超望遠域での手持ち撮影が可能である。
【0071】
また、前記実施の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施するに当たっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってならないものである。
【0072】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように本発明ズームレンズは、物体側より像面側へと順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有し、主として変倍を行うために光軸方向に移動可能とされた第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有し、変倍中の焦点位置の変動を補正すると共に焦点合わせを行うために光軸方向に移動可能とされた第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とから成り、第1レンズ群を、物体側から順に、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第1レンズと、凸レンズの第2レンズと、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第3レンズと、凸レンズの第4レンズと、凹レンズの第5レンズと凸レンズの第6レンズとの接合レンズと、凸レンズの第7レンズとによって構成し、第2レンズ群を、凹レンズの第8レンズと、凹レンズの第9レンズと凸レンズの第10レンズとの接合レンズとによって構成し、第3レンズ群を、凸レンズの第11レンズと、凹レンズの第12レンズと凸レンズの第13レンズとの接合レンズとによって構成し、第4レンズ群Gr4を、凹レンズの第14レンズと、凹レンズの第15レンズと凸レンズの第15レンズとの接合レンズとによって構成し、第5レンズ群を、凸レンズの第17レンズと、凸レンズの第18レンズと凹レンズの第19レンズとの接合レンズとによって構成し、f1.4を第1レンズ群の第1レンズ乃至第4レンズの合成焦点距離、fIを第1レンズ群の合成焦点距離、h1.4を光軸に平行で高さ1の近軸光線を物体側から入射させた時に、第4レンズL4から射出する時の近軸光線の高さ、f1.3を第1レンズ群の第1レンズ乃至第3レンズの合成焦点距離、f2を第2レンズの焦点距離、r6を第3レンズの像面側の面の曲率半径とすると、|fI/f1.4|<0.04、1.25<h1.4<1.5、0.2<|f1.3/f2|<0.5、0.8<r6/fI<1.5の各条件を満足するようにしたので、超広角域から超望遠域までをカバーすることができ、ズーミングの全域において各種収差、特に、球面収差をバランス良く補正することができる。
【0073】
請求項2に記載した発明にあっては、ν4を第4レンズを構成する材質のアッベ数、ν6を第6レンズを構成する材質のアッベ数、ν7を第7レンズを構成する材質のアッベ数とすると、第4レンズ、第6レンズ及び第7レンズを、70<(ν4+ν6+ν7)/3の条件を満足する材質によって構成したので、望遠端における色収差及び2次スペクトルを効果的に補正することができる。
【0074】
請求項3及び請求項4に記載した発明にあっては、第3レンズ群を構成するレンズの各面のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にしたので、広角側における球面収差及びコマ収差の発生を抑制することができる。
【0075】
また、請求項5乃至請求項8に記載した発明にあっては、第5レンズ群を構成するレンズの各面のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にしたので、広角側における非点収差及び歪曲収差の発生を抑制することができる。
【0076】
更に、請求項9乃至請求項16に記載した発明にあっては、望遠端における有効像円を、広角端における有効像円よりも大きくしたので、映像信号処理方式の手振れ補正に用いる撮像素子の有効画素範囲全体から有効画面を抜き出した手振れ補正範囲を、広角域においても有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2乃至図4と共に、本発明ズームレンズの第1の実施の形態を示すものであり、本図はレンズ構成を示す概略図である。
【図2】広角端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図3】広角端と望遠端との中間焦点位置における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図4】望遠端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図5】図6乃至図8と共に、本発明ズームレンズの第2の実施の形態を示すものであり、本図はレンズ構成を示す概略図である。
【図6】広角端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図7】広角端と望遠端との中間焦点位置における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図8】望遠端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【符号の説明】
1…ズームレンズ、2…ズームレンズ、Gr1…第1レンズ群、Gr2…第2レンズ群、Gr3…第3レンズ群、Gr4…第4レンズ群、Gr5…第5レンズ群、L1…第1レンズ、L2…第2レンズ、L3…第3レンズ、L4…第4レンズ、L6…第6レンズ、L7…第7レンズ、L8…第8レンズ、L9…第9レンズ、L10…第10レンズ、L11…第11レンズ、L12…第12レンズ、L13…第13レンズ、L14…第14レンズ、L15…第15レンズ、L16…第16レンズ、L17…第17レンズ、L18…第18レンズ、L19…第19レンズ、IMG…像面
Claims (16)
- 物体側より像面側へと順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、
負の屈折力を有し、主として変倍を行うために光軸方向に移動可能とされた第2レンズ群と、
正の屈折力を有する第3レンズ群と、
負の屈折力を有し、変倍中の焦点位置の変動を補正すると共に焦点合わせを行うために光軸方向に移動可能とされた第4レンズ群と、
正の屈折力を有する第5レンズ群とから成り、
上記第1レンズ群は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第1レンズと、凸レンズの第2レンズと、物体側に凸面を向けた凹メニスカス形状の第3レンズと、凸レンズの第4レンズと、凹レンズの第5レンズと凸レンズの第6レンズとの接合レンズと、凸レンズの第7レンズとによって構成され、
上記第2レンズ群は、凹レンズの第8レンズと、凹レンズの第9レンズと凸レンズの第10レンズとの接合レンズとによって構成され、
上記第3レンズ群は、凸レンズの第11レンズと、凹レンズの第12レンズと凸レンズの第13レンズとの接合レンズとによって構成され、
上記第4レンズ群は、凹レンズの第14レンズと、凹レンズの第15レンズと凸レンズの第16レンズとの接合レンズとによって構成され、
上記第5レンズ群は、凸レンズの第17レンズと、凸レンズの第18レンズと凹レンズの第19レンズとの接合レンズとによって構成され、
以下の各条件を満足するようにした
ことを特徴とするズームレンズ。
|fI/f1.4|<0.04
1.25<h1.4<1.5
0.2<|f1.3/f2|<0.5
0.8<r6/fI<1.5
但し、
f1.4:第1レンズ群の第1レンズ乃至第4レンズの合成焦点距離、
fI:第1レンズ群の合成焦点距離、
h1.4:光軸に平行で高さ1の近軸光線を物体側から入射させた時に、第4レンズから射出する時の近軸光線の高さ、
f1.3:第1レンズ群の第1レンズ乃至第3レンズの合成焦点距離、
f2:第2レンズの焦点距離、
r6:第3レンズの像面側の面の曲率半径、
とする。 - 第4レンズ、第6レンズ及び第7レンズが下記の条件を満足する材質によって構成された
ことを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
70<(ν4+ν6+ν7)/3
但し、
ν4:第4レンズを構成する材質のアッベ数、
ν6:第6レンズを構成する材質のアッベ数、
ν7:第7レンズを構成する材質のアッベ数、
とする。 - 第3レンズ群を構成するレンズの各面のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にした
ことを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。 - 第3レンズ群を構成するレンズの各面のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にした
ことを特徴とする請求項2に記載のズームレンズ。 - 第5レンズ群を構成するレンズの各面のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にした
ことを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。 - 第5レンズ群を構成するレンズの各面のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にした
ことを特徴とする請求項2に記載のズームレンズ。 - 第5レンズ群を構成するレンズの各面のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にした
ことを特徴とする請求項3に記載のズームレンズ。 - 第5レンズ群を構成するレンズの各面のうち、少なくとも1の面を非球面によって構成すると共に、該非球面によって構成された面のうち、少なくとも1の面を有効径において近軸球面の深さより浅い非球面形状にした
ことを特徴とする請求項4に記載のズームレンズ。 - 望遠端における有効像円を、広角端における有効像円よりも大きくした
ことを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。 - 望遠端における有効像円を、広角端における有効像円よりも大きくした
ことを特徴とする請求項2に記載のズームレンズ。 - 望遠端における有効像円を、広角端における有効像円よりも大きくした
ことを特徴とする請求項3に記載のズームレンズ。 - 望遠端における有効像円を、広角端における有効像円よりも大きくした
ことを特徴とする請求項4に記載のズームレンズ。 - 望遠端における有効像円を、広角端における有効像円よりも大きくした
ことを特徴とする請求項5に記載のズームレンズ。 - 望遠端における有効像円を、広角端における有効像円よりも大きくした
ことを特徴とする請求項6に記載のズームレンズ。 - 望遠端における有効像円を、広角端における有効像円よりも大きくした
ことを特徴とする請求項7に記載のズームレンズ。 - 望遠端における有効像円を、広角端における有効像円よりも大きくした
ことを特徴とする請求項8に記載のズームレンズ。
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