JP4171931B2 - 粉体塗装における粉体の気力輸送方法 - Google Patents
粉体塗装における粉体の気力輸送方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、比較的比重が大きく更に凝集性、付着性、流れ性といった点で、気力輸送するのに極めて取り扱いにくい性質を持っている粉体を取り扱う、粉体塗装における粉体の気力輸送方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
前記した比較的比重が大きく更に凝集性、付着性、流れ性といった点で、気力輸送するのに極めて取り扱いにくい性質を持っている粉体の一例として、粉体フラックスが知られている。例えば、特開平1−192467にはアルミニウム接合部の表面に、静電粉体塗装法によって粉体フラックスを付着した後、非酸化性雰囲気中で所定温度に加熱し、接合用ろう材を溶融して接合部材をろう付けする技術が開示されているが、これに用いる静電粉体塗装装置としては主に図2に示すような装置が用いられていた。
【0003】
すなわち、図2において符号1は圧力気体吹き込み型の流動床式のホッパで、該ホッパ1は管路8を介して制御装置6で調整された圧力気体を前記流動床式のホッパ1の底部の気体室11に導入し、多孔質板12を通してホッパ1内へ吹き込み、多孔質板12の上側にある粉体7が流動状態に貯溜される。2は前記ホッパ1の上蓋上に設置されたエゼクタポンプであり、該エゼクタポンプ2は制御装置6によって調整された圧力気体を管路5から受けて、エゼクタポンプ2内のベンチュリー作用によりホッパ1内に挿入された吸引管3から流動状態の粉体7を吸引し、さらにホース9を介して噴出ガン4へ輸送し、噴出ガン4から被塗物へ向けて噴出するように構成されている。
【0004】
また噴出ガン4は、電力ケーブル10を介して制御装置6と接続されており、これによって噴出ガン4の先端部に設けたコロナピンに高電圧を印加し被塗物との間に形成される電場によって、吐出ガン4から噴出される粉体7が静電気的に荷電され、被塗物面上に塗布される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし前記した従来技術には次のような問題があった。すなわち、粉体塗装する被塗物の塗装条件から極めて少量の吐出量で粉体塗装装置を運転しょうとすると、粉体の噴出が不安定になり、塗装品質を低下させることである。粉体塗装における一般的な塗装条件は、粉体の比重が0.9〜1.0、エゼクタポンプのエゼクトエアの圧力が1.5〜4.0kg/cm2 、粉体の噴出量が150〜400g/毎分、程度で使用される。しかし、粉体の噴出量を50g/毎分、以下で使用すると、粉体の噴出量が脈動したりして不安定となる。特に前記した粉体フラックス等において、粉体の比重が1.0を越えるような比較的比重の大きな粉体を取り扱う際に、粉体の噴出が不安定になる現象が顕著に現れる。
【0006】
その原因は、粉体の噴出量を低く押さえるにはエゼクタポンプ2のエゼクトエア圧力を低く押さえる必要があるが、エゼクトエアの圧力を1.5kg/cm2 以下に押さえると、エゼクタポンプ2から噴出ガン4へ粉体7を搬送する搬送力が低下するためと考えられる。
【0007】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、粉体の噴出量を比較的少量に絞って使用する場合において、比較的比重が大きく更に凝集性、付着性、流れ性といった点で、気力輸送するのに適さない性質を持つ粉体であっても、噴出ガンからの粉体の噴出量が脈動することなく、安定した粉体噴出量が永続的に得られる、粉体塗装における粉体の気力輸送方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するために、本発明では次のような粉体塗装における粉体の気力輸送方法とした。すなわち、比重が1.0を越える粉体を噴出量を50g/毎分以下に絞って噴出ガンから噴出させる際の粉体塗装における粉体の気力輸送方法であって、粉体輸送用エゼクタポンプ(2)の吐出側下流の粉体輸送管路であって、エゼクタポンプ(2)から100〜200mmの距離を持った位置に、粉体輸送管路内の下流へ向けてアシストエアの吹き込み口を持つアシストエア吹き込み用アダプタ(13)を設け、該アシストエア吹き込み用アダプタ(13)からアシストエアを吹き込みながら、ホッパ(1)内に流動状態に貯溜されている粉体(7)を、エゼクタポンプ(2)によって噴出ガン(4)へ輸送するようにし、該エゼクタポンプのエゼクトエア圧力を0.5〜1.5kg/cm2とし、該アシストエア吹き込み用アダプタから吹き込むアシストエアの圧力を0.5〜2.0kg/cm2とし、粉体噴出量を5〜50g/毎分として該噴出ガンから噴出させるようにしたことを特徴とする、粉体塗装における粉体の気力輸送方法とした。
【0009】
更に、エゼクタポンプ(2)とアシストエア吹き込み用アダプタ(13)との間は直管(14)で接続されている、前記粉体塗装における粉体の気力輸送方法とした。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を説明する。本発明では、前記したような手段の粉体塗装における粉体の気力輸送方法としたので、比較的比重が大きく更に凝集性、付着性、流れ性といった点で、気力輸送するのに適さない性質を持つ粉体を、被塗物の塗装条件から極めて少量の吐出量で粉体塗装するために、エゼクタポンプのエゼクトエア圧力を、それに見合った値に低下させてエゼクタポンプの吸い込み量を低下させても、エゼクタポンプの吐出側においては、アシストエア吹き込み用アダプタから搬送管路の下流へむけて吹き込まれるアシストエアの作用によって、粉体が噴出ガンへと安定して搬送されるので、粉体噴出量が脈動することもなく安定して噴出することができる。
【0011】
なおアシストエアの吹き込み用アダプタを設ける位置をエゼクタポンプから100〜200mmとしたのは、100mm以下とした場合、アシストエアがエゼクタポンプの吸い込み側へ影響を与え、吸い込み量にばらつきをもたらすためであり、また200mmを越えると、エゼクタポンプとアダプタとの間における粉体搬送量に脈動が発生して、これがアシストエアの吹き込みによっても回復せずに、噴出ガンからの粉体噴出に脈動を発生させるためである。アシストエアの吹き込み用アダプタを設ける位置がエゼクトポンプから100〜200mmの範囲内において、粉体噴出量が5〜100g/毎分といった低噴出量を実用上何ら問題無く長時間安定して噴出することができる。
【0012】
【実施例】
以下本発明の粉体塗装における粉体の気力輸送方法を、その実施例を示す図と共に具体的に説明する。図1は本発明の粉体塗装における粉体の気力輸送方法を実施するための装置の全体構成を示す図である。図中従来例と同じ機能を果たす構成部分には同じ符号を付して説明する。
【0013】
図1において符号1は圧力気体吹き込み型の流動床式のホッパで、該ホッパ1は管路8を介して制御装置6で調整された圧力気体を前記流動床式のホッパ1の底部の気体室11に導入し、多孔質板12を通してホッパ1内へ吹き込み、多孔質板12の上側にある粉体7が流動状態に貯溜される。2は前記ホッパ1の上蓋上に設置されたエゼクタポンプであり、該エゼクタポンプ2は制御装置6によって調整された圧力気体を管路5から受けて、エゼクタポンプ2内のベンチュリー作用によりホッパ1内に挿入された吸引管3から流動状態の粉体7を吸引しエゼクトエアと共に搬送する。
【0014】
エゼクタポンプ2の下流には直管14を介してアシストエア吹き込み用のアダプタ13が接続され、該アダプタ13の吐出側にはホース9を介して噴出ガン4が接続される。アシストエア吹き込み用のアダプタ13は、制御装置6によって調整されたアシストエアを管路15を介して受けて、粉体搬送管路内の下流へ向けて吹き込む構造をしている。またアダプタ13は、エゼクタポンプ2からの距離Lが100〜200mmの範囲内に設けられる。更に噴出ガン4は、電気ケーブル10を介して制御装置6と接続されており、これによって噴出ガン4の先端部に設けたコロナピンに高電圧が印加され被塗物との間に電場が形成される。
【0015】
16は攪拌装置であって、該攪拌装置16は攪拌翼17をモータ18で回転させる回転式の攪拌装置であって、取り扱う粉体の性状により必要に応じて設けられるものである。本装置では比較的比重が大きく更に凝集性、付着性、流れ性といった点で、気力輸送するのに極めて取り扱いにくい性質を持っている粉体を取り扱うので、これらの粉体はホッパ1内でチャンネリング現象といわれる現象が起き易く、これの防止のために攪拌装置16が設けられる。チャンネリング現象とは、多孔質板12から吹き上げられる気体が流動状態の粉体中に局部的な通り道すなわちチャンネリングを形成して、流動状態を失わせる現象をいう。
【0016】
本装置において、ホッパ1内に流動状態に維持された粉体7は、エゼクタポンプ2によって吸引され、アシストエア吹き込み用のアダプタ13で吹き込まれるアシストエアによって加速され、噴出ガン4から被塗物へ向けて噴出する。そして吐出ガン4から噴出された粉体7は、噴出ガン4の先端に設けられたコロナピンからのコロナ放電により静電気的に荷電され、被塗物面上に塗布される。
【0017】
このようにして塗布される粉体の量を極めて少量に絞るには、エゼクタポンプ2へ供給するエゼクトエアの圧力を低く制御することになるが、エゼクトエアの圧力を低く押さえてエゼクタポンプの粉体吸引量を少量に押さえても、汲み上げられた粉体は、エゼクタポンプの下流に設けられたアシストエア吹き込み用のアダプタ13から吹き込まれるアシストエアによって加速されて、噴出ガン4へ搬送されるので、ホース9の途中で失速したり脈動することもなく、極めて安定して噴出ガン4から噴出される。
【0018】
【実験例】
本発明者らの実験によれば、上記のような条件のもとで、長時間にわたって極めて安定した粉体の噴出が得られた。これらの条件は従来不可能であった範囲である。
【0019】
なお、本実施例では噴出ガン4にコロナピンによる高電圧印加型の噴出ガンを用いたが、これに限定されるものではなく、摩擦帯電型の噴出ガンを用いても同様の効果がえられる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、特許請求の範囲に記載したような粉体塗装における粉体の気力輸送方法としたので、粉体の噴出量を比較的少量に絞って使用する場合において、比較的比重が大きく更に凝集性、付着性、流れ性といった点で、気力輸送するのに適さない性質を持つ粉体であっても、噴出ガンからの粉体の噴出量が脈動することなく、安定した粉体噴出量が永続的に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粉体塗装における粉体の気力輸送方法を実施するための装置の全体構成を示す図。
【図2】従来の静電粉体塗装装置を示す図。
【符号の説明】
1…ホッパ、 2…エゼクタポンプ、 4…噴出ガン、 6…制御装置、 7…粉体、 13…アダプタ、 14…直管、
Claims (2)
- 比重が1.0を越える粉体を噴出量を50g/毎分以下に絞って噴出ガンから噴出させる際の粉体塗装における粉体の気力輸送方法であって、粉体輸送用エゼクタポンプ(2)の吐出側下流の粉体輸送管路であって、エゼクタポンプ(2)から100〜200mmの距離を持った位置に、粉体輸送管路内の下流へ向けてアシストエアの吹き込み口を持つアシストエア吹き込み用アダプタ(13)を設け、該アシストエア吹き込み用アダプタ(13)からアシストエアを吹き込みながら、ホッパ(1)内に流動状態に貯溜されている粉体(7)を、エゼクタポンプ(2)によって噴出ガン(4)へ輸送するようにし、該エゼクタポンプのエゼクトエア圧力を0.5〜1.5kg/cm2とし、該アシストエア吹き込み用アダプタから吹き込むアシストエアの圧力を0.5〜2.0kg/cm2とし、粉体噴出量を5〜50g/毎分として該噴出ガンから噴出させるようにしたことを特徴とする、粉体塗装における粉体の気力輸送方法。
- エゼクタポンプ(2)とアシストエア吹き込み用アダプタ(13)との間が直管で接続されている、請求項1に記載された粉体塗装における粉体の気力輸送方法。
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JP05546596A JP4171931B2 (ja) | 1996-02-19 | 1996-02-19 | 粉体塗装における粉体の気力輸送方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05546596A JP4171931B2 (ja) | 1996-02-19 | 1996-02-19 | 粉体塗装における粉体の気力輸送方法 |
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JPH09220514A JPH09220514A (ja) | 1997-08-26 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05546596A Expired - Lifetime JP4171931B2 (ja) | 1996-02-19 | 1996-02-19 | 粉体塗装における粉体の気力輸送方法 |
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1996
- 1996-02-19 JP JP05546596A patent/JP4171931B2/ja not_active Expired - Lifetime
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