JP4171773B2 - 水産物の乾燥方法および乾燥装置 - Google Patents

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Description

請求項に係る発明は、魚などの水産物(魚介類)を、天日乾燥によらずに乾燥させるための方法および装置に関するものである。
従来、魚などの水産物の乾燥はつぎのような方法で行われている。
1)天日乾燥。天日干しなどとも呼ばれるもので、屋外において魚などを太陽の光にさらすことにより乾燥させる方法である。
2)熱風乾燥。高温の空気を当てることにより乾燥させる方法である。
3)冷風乾燥。蒸発器や凝縮器を含む市販のヒートポンプを利用して冷風をつくり、これを送って魚などを乾燥させる方法である。
天日乾燥による場合には、広い衛生的な干場が必要であるうえ、乾燥能率や乾燥後の製品品質が天候に左右されやすいという短所がある。また、熱風乾燥によると、高温空気により脂肪分が酸化されて、魚が芳香を失ったり変色したりすることがある。
そのため、近年では、上記のようにヒートポンプを用いて冷風乾燥を実施することが多くなっている。冷風乾燥を含む魚干し方法について記載した例は、つぎの特許文献にも記載されている。
特開2000−300168号公報
上記のようにヒートポンプを利用して水産物の冷風乾燥を行う場合、つぎのような課題がともなう。
・ 水産物の内部の水分を十分に乾燥させることが難しい。ヒートポンプによっては十分な除湿が行い難いからである。すなわち、水産物に接して湿度が増した空気は、蒸発器を通して冷却・除湿したうえ凝縮器により加熱して所定の乾燥温度にするが、十分な除湿が行えないために循環空気の相対湿度が低くなく(たとえば70%前後である)、乾燥推進力が弱い。それを補うために空気の循環量を増やして(たとえば流速を2〜3m/sに高めて)伝熱係数(kJ/m2・h・K)を大きくするとしても、乾燥の進行により水産物の表面付近を乾かし得るばかりであり、内部の水分を十分に蒸発させることは困難なのである。
・ ヒートポンプにかけるコストが高くなる。つまり、まず、乾燥室(乾燥庫)の内部には塩分が多くなりがちであるため、不銹性の材料を使用する必要が生じ、ヒートポンプまたはその関連機器が高価になる。また、ヒートポンプは、外気温度の低い冬季においても夏季と同様に運転するよう設備されているのが一般であるため、エネルギー消費の面でも運転コストが高くなることが多い。
請求項に記載した乾燥方法および乾燥装置は、水産物の内部まで十分に乾燥させることができてコストも抑えられる、好ましい方法と装置を提供しようとするものである。
発明による水産物の乾燥方法は、水産物を屋内等で乾燥させる方法であって、水産物の表面に、平均温度が30℃以下(望ましくは20〜25℃)であり平均相対湿度が50%以下(望ましくは40%〜20%)の空気を、平均1m/s以下(たとえば0.3m/s以上)の流速で流すことを特徴とする。
なお、ここにいう「平均」は空間(場所)的な平均をさす。したがって、たとえば流速の平均が1m/s以下である状態には、一部に1.5m/s程度の流速の部分がある場合も含まれる。以下の記述においても同様である。
このようにすることにより、魚などの水産物はつぎのように乾燥する。すなわち、
a) 水産物の表面は、水産物の周囲を流れる空気に対する湿球温度をもつ薄い空気の層で覆われ、この空気は、この空気の周辺を流れる低温低湿の空気に吸収される。
b) 水産物の表面の水分および表面に近い内部の水分は、上記の湿球温度で、毛細管(毛管)内を表面に向かって浸み出し、蒸発する。水産物の内部の温度は、時間とともに、水産物の表面と同じ湿球温度に漸近して、長時間の経過後は水産物全体がほぼその湿球温度に等しくなる。
c) 上記のa)およびb)の現象が長時間つづくことにより、水産物はいわゆる恒率乾燥に近い状態で乾燥し、もって内部まで均一に乾燥したものとなる。上記a)・b)のような好ましい乾燥が進行するのは、適切な相対湿度を有する適温の空気(したがって乾燥推進力が強い空気)を使用し、それを上記のとおりゆっくりとした風速で流すからである。つまり、水産物の表面における空気の平均流速が1m/s以下と低いために急速な蒸発が起こらないうえ、その空気にて表面を冷やすわけでもないので、水産物には表面付近の乾燥・硬化による目詰まり等が発生せず、したがって毛細管を経て表面から、内部の水分が継続的に蒸発するのである。
発明による水産物の乾燥方法は、とくに、充填材を有するケース内に上部から冷水を注ぐとともに下部から上部へ向けて空気を送る方式の除湿塔(減湿塔)を利用して空気を除湿(減湿。以下同様)し、さらに、そうして除湿した空気を含む空気(水産物に向けて送る空気)の温度を加熱手段にて上昇させることにより上記した温度および相対湿度の空気を得る(それをファン等で流す)ことを特徴とする。
上記した条件の空気をこのように除湿塔および加熱手段を利用して得る(ヒートポンプを使用しない)ことにより、つぎのような利点がある。第一には、たとえば5℃程度の低温の冷水を除湿塔で使用することによって高い熱交換効率を実現し、十分な除湿を行って所要の乾燥空気を効率的に得ることができる。第二に、除湿塔および加熱手段の構造が簡単であることから、コストを下げることが可能であり、塩分を含むことに対する錆び(腐食)対策も容易に行える。
発明による水産物の乾燥装置は、乾燥庫内で水産物を乾燥させる装置であり、乾燥庫の内部に、水産物を載せる複数段の網棚(水産物の下面にも空気を当て得る棚をいう。網のみには限らず、棒などでできたものをも含む)を備え、網棚の各段の間(上部および下部)に、平均温度が30℃以下(望ましくは20〜25℃)で平均相対湿度が50%以下(望ましくは40%〜20%)の空気を平均1m/s以下(たとえば0.3m/s以上)の流速で流し得るように構成したことを特徴とする。
この乾燥装置によれば、上記乾燥方法を適切に実施することができる。上記したように空気の条件を設定し、網棚に載せた水産物の上下両表面に沿って上記した適切な流速でその空気を流せるからである。そしてそれにより、内部まで十分に乾燥した好ましい乾燥水産物を得ることが可能である。なお、乾燥庫内に網棚を複数段設けることから、乾燥させようとする水産物の設置スペースを、天日乾燥における場合よりも効率的に利用できる。
発明による水産物の乾燥装置は、とくに、低温低湿空気(乾燥庫内よりも温度が低く絶対湿度が低い空気)を乾燥庫外で得る手段を有するほか、その低温低湿空気の乾燥庫内への導入手段とともに、乾燥庫内の空気の循環手段(ファンなど)および加熱手段を備えるようにしてもよい
この乾燥装置によれば、上記の各手段を用いて所要の乾燥空気(相対湿度の低い適温の空気)を得ることができ、上記の方法で水産物を好ましい状態に乾燥させることができる。所要の乾燥空気は、上記のとおり低温低湿空気を加熱することによって得るが、この装置では、低温低湿空気を乾燥庫外で得ることとしているためつぎのような利点がある。すなわち、冬季などには低温低湿空気として外気を利用することも可能であり、運転コストを節減することができる。また空気を低温低湿化するための手段は、乾燥庫外に設置するものであれば、多少大きめのスペースを占有することが許容されるほか庫内の空気が通過する部分以外には不銹性が要求されることもないから、比較的低コストで構成され得る。
発明の乾燥装置は、とくに、
・ 低温低湿空気を得る上記の手段として、充填材を有するケース内に上部から冷水を注ぐとともに下部から上部へ向けて空気を送る方式の除湿塔を上記の乾燥庫に付設し、
・ 乾燥庫内の空気の一部を取り出して上記の除湿塔により低温低湿空気とし、それを乾燥庫内へ導入するように乾燥庫と除湿塔とを接続する
ことを特徴とする。
この乾燥装置によれば、上記した乾燥方法を円滑に実施することができる。上記の除湿塔を利用して空気を除湿後、乾燥庫内へ導入したうえ、その乾燥庫内の空気を前記の加熱手段にて加熱できるからである。そのようにして上述の温度および相対湿度の空気を得たうえ、それを前記の循環手段によって循環空気と一様に混合し、好ましい流速で乾燥庫内に流し、水産物を適切な状態に乾燥させ得る。そしてその際、上記の除湿塔により十分な除湿を行って所要の乾燥空気を効率的に得ることが可能であるうえ、錆び対策等を含めて低コストで除湿塔を構成することができる、といった利点も付随する。
発明の乾燥装置はさらに、上記した除湿塔におけるケースおよび充填材を、木材もしくは竹材(たとえば竹炭)またはプラスチックスにより形成したことを特徴とする。
この乾燥装置によればつぎのような利点もある。第一には、除湿塔のうち、上記の材料でできたケースが好ましい断熱性を発揮するため、空気の効果的な冷却が可能である。充填材を木材や竹材にする場合には、それらの表面に水膜が形成されやすいことによる冷却性能の高さも期待できる。第二に、除湿塔のうち冷水に接して機能する充填材およびケースが、錆びない材料によって形成されているため、乾燥庫内の空気に塩分が含まれる場合であっても長期間の安定した使用が可能である。第三に、除湿塔が軽量かつ安価に形成されるというメリットもある。
発明の乾燥装置は、とくに、複数の乾燥庫を設けるとともに各乾燥庫に上記の除湿塔を付設し、各除湿塔のケース内に上部から注ぐ冷水を、一つの共通の冷水供給手段から供給することを特徴とする。
この乾燥装置によれば、乾燥庫を複数台使用して多くの水産物を同時に乾燥させることができるうえ、共通の冷水供給手段から冷水を供給するために、設備コストを抑えてコンパクトな構成にすることが可能である。冷水供給手段が共通であり各除湿塔での冷水の温度が同じであっても、各乾燥庫内の空気の温度や相対湿度、流速は独立に設定できる(たとえば各除湿塔の運転状況(冷水や空気の流量等)を乾燥庫ごとに設定し、または前記の加熱手段や循環手段等の運転を乾燥庫ごとにコントロールできる)ので、乾燥庫ごとに種類の異なる水産物をそれぞれ適切に乾燥させることも可能である。
発明による水産物の乾燥方法によれば、内部まで十分に乾燥した好ましい水産物が得られる。天日乾燥を行う場合のように乾燥状態が天候に左右されることがなく、また、熱風乾燥をする場合のように脂肪分が酸化されて魚が芳香を失ったり変色したりすることもない。
発明の乾燥方法なら、とくに、除湿塔における高い熱交換効率に基づき、所要の乾燥空気を効率的に得ることができる。また、構造が簡単であるうえ錆び対策も行いやすいので、設備コストを下げることも可能である。
発明による水産物の乾燥装置によれば、上記の乾燥方法を適切に実施することができ、内部まで十分に乾燥した好ましい乾燥水産物を生産できる。
発明の乾燥装置によれば、所要の乾燥空気とするための低温低湿空気を、比較的低コストの手段を用いることによって得ることができ、運転コストを節約することが可能になる。
発明の乾燥装置を用いると、上記の乾燥方法を円滑に実施することができる。除湿塔によって所要の乾燥空気を効率的に得ることができるうえ、錆び対策等を含めて除湿塔を低コストに構成できるという利点もある。
発明の乾燥装置によれば、除湿塔が冷却性能や耐久性にすぐれていて、軽量かつ安価にも構成され得るというメリットがある。
発明の乾燥装置なら、低コストのコンパクトな設備にしながらも、多くの水産物を同時に乾燥させることができる。乾燥庫ごとに種類の異なる水産物をそれぞれ適切に乾燥させることも可能である。
発明の実施に関する一形態として、図1に、乾燥装置(乾燥機)100、乾燥空気温度制御装置200、冷水式低温除湿(減湿)装置300を組み合せた低温除湿(減湿)乾燥装置の実施例を示す。また図2(a)には、図1の装置において一例として5℃の冷水を低温除湿装置300に使用したときの湿度線図を示す。図2(b)は乾燥中の魚の周辺の乾燥条件を、同(c)は、空気量と絶対湿度による除湿(減湿)量と蒸発量の関係をそれぞれ示している。
図1の乾燥装置100では、除湿塔301の上部より出た除湿空気は、空気管107、外気取り込み口(冬場用)108を経て、除湿空気送風機109に至り、乾燥庫101に入る。その除湿空気は、乾燥使用済空気溜(乾燥に使用した後の湿った空気のための空気溜)102の上部に取付けられた循環空気フアン103により送出された循環空気とc点で合流し、その一部は、送風機を含む電気ヒータ111に入って加熱され、残りの空気とe点で合流する。この合流空気が、乾燥室を形成する乾燥台車106の各段のセイロ104の上に置かれた魚105に熱を与え、魚の水分が蒸発し、その蒸気は、周辺を流れる循環空気に吸収され、空気溜102に入りよく混合される。この空気溜102の空気温度は、乾燥空気温度制御装置200にて電気ヒータ111を制御されることにより、一定に保たれる。
空気溜102の空気の一部は、排気管112を経て、冷水式低温除温装置300の除湿塔301の下部に入り、除湿塔301の上部に入る冷水と向流直接接触し、この空気は、冷却/除湿されて除湿塔301の上部より排出され、空気管107を経て、除湿空気送風機109により、乾燥庫101内に戻る。
冷水式低温除湿装置300では、冷水槽357に設置された水中ポンプ358によつて冷水(5℃)が除湿塔301の上部に送られ、下部から入った「湿った空気」と、除湿塔301の内部にある充填材307の表面で上記冷水が直接接触する。これにより、冷水は温度上昇し、下部より流出して冷水槽357に戻る。
乾燥空気温度制御装置200は、乾燥使用済空気溜102の温度を一定にするための装置である。即ち、魚105を乾燥した後の空気温度を常に一定にするために、乾燥台車前(乾燥前)の空気温度を電気ヒータ111を介して調整するのである。
操作盤の温度調節計202にて乾燥使用済空気温度を設定し、乾燥使用済空気溜102に設けた温度センサー205により温度を正確に検出して、当該空気溜102の空気温度が常に設定値になるよう、電力調整器203で電気ヒータ111を制御する。除湿空気量G0と循環空気量Gとの比(= G0/G)を0.1〜0.2にすれば、(t1−t2)≦2〜3℃になる。
冷水式低温除湿装置300は、除湿塔301、冷凍機353、冷水コイル355、および水中ポンプ358等により構成される。除湿塔301は、塔内(プラスチツクまたは木材等でできたケースの内部)に充填材(プラスチツク片、木片、竹炭など)307を充填して、下部から乾燥使用済空気を流入させ、冷却および除湿して上部より取り出す。上部からは5℃前後の冷水を流下させ、塔内で空気と向流直接接触させて、湿った空気を冷却/除湿する。これにより冷水は温水になり、冷水槽357に戻される。
冷水槽357から除湿塔301の上部までの冷水の送水は、水中ポンプ358よって行なわれる。冷水は、水中ポンプ358と調整弁308・309とによつて、除湿塔301の上部に送水される流量(L kg/h)と冷水槽に戻す流量とに分けられる。
除湿塔301の上部に送水する流量(L kg/h)と除湿塔301を通過する空気量(G0 kg/h)との比は、次の通りである。
L/G0=0.8〜1.0
冷水槽に戻す流量によって冷水槽357の中の水の撹拌を行ない、水槽内の水温の均一化をはかる。また、冷水槽357内の水温は、温度センサー359で検出し、制御装置200内の冷水温度制御器369によって5℃前後に保つ。
魚の場合、乾燥中に魚の温度が上昇して魚の品質が低下することのないように配慮する必要がある。
また、良好な乾燥を行うためには、魚の周辺を流れる循環空気の平均流速をv=1 m/s以下にする必要がある。周辺の空気と魚表面の伝熱係数hは、
G’=ug(1+H)/vH …(1)
h=0.054(G’)0.8 (2500<G’<15000) …(2)
ここで、
G’:湿り空気の質量速度(kg/m2・h)であり、
ug:流速(m/h)
t1 :乾燥室入口の空気温度(℃)
t2 :乾燥室出口の空気温度(℃)
H:空気の湿度(kg−水蒸気/kg−乾き空気)(t1、t2の平均温度における湿度)
vH :湿り比容(m3/kg−乾き空気)(t1、t2の平均温度における湿り比容)
h:伝熱係数(kJ/m2・h・K)
である。
蒸発量Rは、次の通りである。
R=Ah(t−tw)/λ …(3)
ここで、
R:蒸発量(kg/h)
A:乾燥面積(m2
h:伝熱係数(kJ/m2・h・K)
t:t1、t2の平均値(℃)
tw:tにおける湿球温度(℃)
λ:twにおける蒸発潜熱(kJ/kg)
である。
上記から明らかなように、一部の循環空気を除湿し、循環空気の風量を適切にし、循環空気の温度を20〜30℃以下に設定すると、循環空気からの熱が、魚の表面での蒸発に使われ、表面温度は循環空気の湿球温度に等しくなり、その蒸発量が、魚の表面および内部の毛細管からの水分の浸み出し量につり合う。魚の内部の温度は、循環空気の湿球温度にほぼ等しくなるように変化し、蒸発が長くつづく。すなわち、恒率乾燥に近い乾燥期間が長くなる。
図1の低温除湿乾燥装置は、次の特性を持つ湿度線図を与える。
1) 除湿塔301の上部に供給する冷水の温度/流量を一定に保持すれば、除湿塔301の上部から出る冷却/除湿空気の温度t3および湿度H3は一定にできる。即ち、図2においてb点が固定される。
2) 除湿塔301を流れる空気量G0と循環空気量Gとの比(=G0/G)を0.1〜0.2にする。これにより、図2でc点が固定され、t1−t2≦ 2〜3(℃)となる。
3) 乾燥使用済空気溜102(図1)の温度t2を一定にする。即ち、t=t2の線上にa点が決まる。これによつて、d点、e点が決まる。
図3に、魚の乾燥を開始してから15時間経過する間の湿度線図の変化を示す。図3(a)は、本装置による乾燥では、乾燥中の循環空気の温度が当初設定した温度t2であることを示している。この点により、本装置においては乾燥による魚の変質が生じない。同(b)は、製品乾燥時間中に低温除湿乾燥を行うため、表面乾燥期間が長くとれることを示している。
最終的な空気および魚の状態は、次の通りになる。
1) 空気の湿度は、H≧H3
2) 空気の温度は、t2=一定値
3) 魚の温度は、t≦t2
上記1)、2)、3)の処置によつて、この低温除湿乾燥装置では、表面蒸発期間が伸びて魚は内部までよく乾燥する。
図1等に示した低温除湿乾燥装置(最大入庫量50kgのもの。型式MS−50)を使用してアジ等の有姿乾燥(開干しまたは丸干し)を行った結果を表1に示す。各例は、乾燥装置100の乾燥庫101中(乾燥台車106上)に同じ種類の魚(魚種)を合計50kg入れたうえ乾燥させるという要領で、表中の4魚種を乾燥させたものである。表に示す「乾燥度合(%)」とは、乾燥前の魚の重量に対する乾燥後の魚の重量の割合を示している。表1によれば、重量減少幅の大きな好ましい乾燥が、冷風乾燥等の方法によるよりも短い時間で行えることが分かる。
Figure 0004171773
図4および図5には、外気利用の乾燥装置(冷水式低温除湿装置を使用しない場合)であって、乾燥装置100と乾燥空気温度制御装置200とからなる実施例を示す。すなわち、図1の装置から冷水式低温除湿装置300を取り除き、除湿塔301等を使わないで外気を導入することにより実施したときの実施例である(図1の低温除湿装置300には、いつでも外気利用の運転ができるように外気取り入れ口108および乾燥空気排気口361を用意している)。50kg型の乾燥装置100(魚等の入庫量が50kg)を用い、12月はじめより4月まで、昼間/夜間の連続運転(外気利用)で乾燥加工を実施した。この場合、乾燥温度は25〜30℃である。
図4の装置によっても、図5にしたがって魚等を適切に乾燥させることができる。このような外気利用の運転は、次の時期と時間帯に実施することができる。すなわち、冬季(11〜5月)なら昼間および夜間、夏季(6〜10月)なら夜間のみである。通常の天日干しと同様に、この装置によって十分に魚の乾燥を行うことが可能である。
なお、図4の例のように図1の除湿塔を用いない場合、乾燥庫101の排出空気管112からの排気に臭気を伴うときがあり得る。そのような場合には、除湿塔(図1の除湿塔301など)を脱臭装置113として利用するとよい。
つづく図6には、複数台の乾燥装置100を含む多量並列処理型の低温除湿乾燥装置を示す。3台の乾燥装置100(乾燥庫101)のそれぞれに除湿塔301が付設され、除湿塔301への冷水は共通の冷水槽357から供給するようにしている。
発明の実施についての一形態を示す図であつて、乾燥装置(乾燥機)100と乾燥空気温度制御装置200、冷水式低温除湿装置300を組み合せた低温除湿乾燥装置の概念図を示すものである。 図2(a)には、図1の装置において5℃の冷水を低温除湿装置300に使用したときの湿度線図を示す。同(b)は乾燥中の魚の周辺の乾燥状況を、同(c)は、空気量と絶対湿度による除湿量と蒸発量の関係をそれぞれ示している。 図1の低温除湿乾燥装置を使って魚の乾燥を実施する場合の湿度線図の変化を図3(a)に示し、乾燥中の庫内循環空気の絶対湿度の変化を同(b)に示している。 除湿塔を使用する代わりに外気を乾燥庫101内に導入して魚の乾燥を行う場合の低温除湿乾燥装置を示す概念図である。 図5(a)には図4の場合の湿度線図を示し、同(b)には乾燥中の魚の周辺の乾燥状況を、同(c)には空気量と絶対湿度による除湿量と蒸発量の関係をそれぞれ示している。 複数台の乾燥装置100を含む多量並列処理型の低温除湿乾燥装置を示す概念図である。
符号の説明
100 乾燥装置(乾燥機)
101 乾燥庫
102 乾燥使用済空気溜
103 循環空気フアン(循環手段)
105 魚(水産物)
106 乾燥台車(網棚)
109 送風機(導入手段)
111 電気ヒータ(加熱手段)
200 乾燥空気温度制御装置
300 冷水式低温除湿装置
301 除湿塔
307 充填材
353 冷凍機
357 冷水槽

Claims (6)

  1. 水産物を乾燥させる方法であって、
    水産物の表面に、平均温度が30℃以下で平均相対湿度が50%以下の空気を流すこと
    および、充填材を有するケース内に上部から冷水を注ぐとともに下部から上部へ向けて空気を送る方式の除湿塔を利用して空気を除湿し、さらに、そうして除湿した空気を含む空気の温度を加熱手段にて上昇させることにより、上記した温度および相対湿度の空気を得ること
    を特徴とする水産物の乾燥方法。
  2. 水産物を乾燥させる方法であって、
    水産物の表面に、平均温度が30℃以下で平均相対湿度が50%以下の空気を、1m/s以下の平均流速で流すこと、
    および、充填材を有するケース内に上部から冷水を注ぐとともに下部から上部へ向けて空気を送る方式の除湿塔を利用して空気を除湿し、さらに、そうして除湿した空気を含む空気の温度を加熱手段にて上昇させることにより、上記した温度および相対湿度の空気を得ること
    を特徴とする水産物の乾燥方法。
  3. 乾燥庫内で水産物を乾燥させる装置であって、
    乾燥庫の内部に、水産物を載せる複数段の網棚を備え、網棚の各段の間に、平均温度が30℃以下で平均相対湿度が50%以下の空気を流し得るよう構成されていること
    低温低湿空気を乾燥庫外で得る手段を有するほか、その低温低湿空気の乾燥庫内への導入手段とともに、乾燥庫内の空気の循環手段および加熱手段を備えること、
    および、低温低湿空気を得る上記の手段として、充填材を有するケース内に上部から冷水を注ぐとともに下部から上部へ向けて空気を送る方式の除湿塔が上記の乾燥庫に付設され、乾燥庫内の空気の一部を取り出して上記の除湿塔により低温低湿空気とし、それを乾燥庫内へ導入するよう乾燥庫と除湿塔とが接続されていること
    を特徴とする水産物の乾燥装置。
  4. 乾燥庫内で水産物を乾燥させる装置であって、
    乾燥庫の内部に、水産物を載せる複数段の網棚を備え、網棚の各段の間に、平均温度が30℃以下で平均相対湿度が50%以下の空気を1m/s以下の平均流速で流し得るよう構成されていること、
    低温低湿空気を乾燥庫外で得る手段を有するほか、その低温低湿空気の乾燥庫内への導入手段とともに、乾燥庫内の空気の循環手段および加熱手段を備えること、
    および、低温低湿空気を得る上記の手段として、充填材を有するケース内に上部から冷水を注ぐとともに下部から上部へ向けて空気を送る方式の除湿塔が上記の乾燥庫に付設され、乾燥庫内の空気の一部を取り出して上記の除湿塔により低温低湿空気とし、それを乾燥庫内へ導入するよう乾燥庫と除湿塔とが接続されていること
    を特徴とする水産物の乾燥装置。
  5. 上記の除湿塔が、木材もしくは竹材またはプラスチックスによりケースおよび充填材を形成されたものであることを特徴とする請求項3または4に記載した水産物の乾燥装置。
  6. 複数の乾燥庫を有するとともに各乾燥庫に上記の除湿塔が付設されており、各除湿塔のケース内に上部から注ぐ冷水が、一つの共通の冷水供給手段から供給されることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載した水産物の乾燥装置。
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