以下、本発明の実施の形態に係る印刷物および携帯端末を、図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る印刷物の一種である書籍1を示す斜視図である。書籍1は、たとえば徒然草の解説本である。書籍1の各ページは、上段と下段とに分かれており、上段には、徒然草の本文が印刷され、下段にはその注釈や解説が印刷されている。また、下段の左隅には、左右に並べて2つの二次元コードパターン2,3が印刷されている。
二次元コードパターン2,3は、データを二次元コードにコード化したパターンである。二次元コードには、Code49、PDF417などのスタック型の二次元コードと、Veriコード、データ・マトリックス、QR(Quick Response)コード、マイクロQRコードなどのマトリックス型の二次元コードとがある。そして、たとえばQRコードのパターンには、約2800文字分のテキストデータをエンコードすることが可能である。
右側の二次元コードパターン2には、各ページの上段に印刷された徒然草の本文のテキストデータと、認証処理によるアクセス許可が不要であることを示す値を有するデータ(以下、認証要否指示データと記載する。)とを含むデータ列が、エンコードされて格納されている。
左側の二次元コードパターン3には、各ページの下段に印刷された徒然草の注釈や解説のテキストデータと、認証処理によるアクセス許可が必要であることを示す値を有する認証要否指示データとを含むデータ列が、エンコードされて格納されている。
そして、この認証要否指示データは、データ列内の所定の位置、たとえば先頭位置に必ず位置するようにしたり、所定のデータパターンを付加されたりしてエンコードされる。
以下、この2つの二次元コードパターン2,3を区別する場合には、右側の二次元コードパターンを、第二の二次元コードパターンとしての認証不要二次元コードパターン2と記載し、左側の二次元コードパターンを、第一の二次元コードパターンとしての認証必要二次元コードパターン3と記載する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る携帯端末を示すブロック図である。
携帯端末は、撮像デバイスとしてのCCD(Charge Coupled Device)10と、パターン判定部11と、デコード部12と、認証要否判定部14と、認証部としての認証処理部17と、表示制御部15と、出力デバイスとしての液晶表示デバイス16と、記憶デバイスとしてのメモリ13と、入力キー18と、を有する。
なお、パターン判定部11と、デコード部12と、認証要否判定部14と、認証処理部17と、表示制御部15とは、たとえば携帯端末の図示外の中央処理装置が、メモリ13に記憶されている二次元コード読取プログラムを実行することで、携帯端末に実現される。また、二次元コード読取プログラムは、たとえば、コンピュータ読取可能な記録媒体や、電子通信回線などの伝送媒体を介してメモリ13に記憶すればよい。
CCD10は、複数の受光素子が二次元のマトリックス状に配列されたものであり、これら複数の受光素子の配列と受光輝度とに基づく輝度分布データを出力する。
メモリ13は、データを記憶するものである。このメモリ13は、携帯端末に固定的に内蔵されていても、携帯端末から着脱可能に接続されていてもよい。
入力キー18は、たとえばテンキーなどのキーを有するものである。そして、ユーザのキー操作に応じた入力データを出力する。
液晶表示デバイス16は、複数の発光素子が二次元のマトリックス状に配列されたものであり、表示データが入力されると、これら複数の発光素子をその二次元配列に基づいて発光する。
パターン判定部11は、CCD10からの輝度分布データに、二次元コードパターンが含まれているか否かを判定し、二次元コードパターンが含まれている場合には、その二次元コードパターンを輝度分布データから抽出する。
デコード部12は、パターン判定部11により抽出された二次元コードパターンをデコードして、二次元コードパターンにコード化されていたデータ列を再生する。また、デコード部12は、再生したデータ列をメモリ13に記憶させる。
認証要否判定部14は、エンコード時に定めている取り決めにしたがって、デコード部12より入力されるデータ列から認証要否指示データを抽出し、その認証要否指示データの値に基づいて認証の要否を判定する。
認証処理部17は、認証要否判定部14によって認証処理によるアクセス許可が必要であると判定した場合に、入力キー18から入力される入力データと、二次元コード読取プログラムとともにメモリ13に記憶されているパスワードとを比較して、パスワードに一致する入力データが入力されると、承認と判定する。
表示制御部15は、認証要否判定部14あるいは認証処理部17からの指示に応じて、メモリ13からデータ列を読出し、このデータ列に含まれるテキストデータを含む表示データを生成する。また、表示制御部15は、この表示データを液晶表示デバイス16へ出力する。
次に、図1の印刷物に印刷されている認証不要二次元コードパターン2と認証必要二次元コードパターン3とを、図2の携帯端末で読み取る場合の動作について説明する。
携帯端末のCCD10に認証不要二次元コードパターン2を撮像させると、パターン判定部11は、CCD10の輝度分布データに基づいてその二次元コードパターン2が含まれていると判定し、その二次元コードパターン2を輝度分布データから抽出する。また、デコード部12は、この認証不要二次元コードパターン2をデコードして、認証不要二次元コードパターン2にコード化されていたデータ列を再生し、メモリ13に記憶させる。
また、デコード部12がデータ列を再生すると、認証要否判定部14は、そのデータ列から認証要否指示データを抽出し、その認証要否指示データの値に基づいて認証の要否を判定する。認証不要二次元コードパターン2の認証要否指示データは、認証処理が不要であることを示す値を有する。したがって、認証要否判定部14は、認証処理が不要であると判定して、表示制御部15にデータ列の表示を指示する。表示制御部15は、この認証要否判定部14からの指示に応じてメモリ13からデータ列を読出し、このデータ列に含まれるテキストデータを含む表示データを生成し、液晶表示デバイス16は、この表示データを表示する。これにより、液晶表示デバイス16には、認証不要二次元コードパターン2にエンコードされていた徒然草の本文が表示される。
次に、携帯端末のCCD10に二次元コードパターン3を撮像させると、パターン判定部11は、CCD10の輝度分布データに基づいてその二次元コードパターン3が含まれていると判定し、その二次元コードパターン3を輝度分布データから抽出する。また、デコード部12は、この認証必要二次元コードパターン3をデコードして、認証必要二次元コードパターン3にコード化されていたデータ列を再生し、メモリ13に記憶させる。
また、デコード部12がデータ列を再生すると、認証要否判定部14は、そのデータ列から認証要否指示データを抽出し、その認証要否指示データの値に基づいて認証処理の要否を判定する。認証必要二次元コードパターン3の認証要否指示データは、認証処理によるアクセス許可が必要であることを示す値を有する。したがって、認証要否判定部14は、認証処理によるアクセス許可が必要であると判定して、認証処理部17に、認証処理の実行を指示する。
認証処理部17は、入力キー18から入力される入力データと、メモリ13に記憶されているパスワードとを比較して、パスワードに一致する入力データが入力されると、そのデータへのアクセスを許可されたと判定し、表示制御部15にデータ列の表示を指示する。なお、パスワードは、予めメモリ13に記憶しておいても良いし、二次元コードパターン3内にデータとして格納しておいてもよい。表示制御部15は、この認証処理部17からの指示に応じて、メモリ13からデータ列を読出し、このデータ列に含まれるテキストデータを含む表示データを生成し、液晶表示デバイス16は、この表示データを表示する。これにより、液晶表示デバイス16には、認証必要二次元コードパターン3にエンコードされていた徒然草の注釈や解説が表示される。
以上のように、この実施の形態1に係る書籍1などの印刷物には、その各ページに、認証必要二次元コードパターン3と認証不要二次元コードパターン2との2つの二次元コードパターンを印刷している。そして、認証不要二次元コードパターン2には、各ページの上段に印刷された徒然草の本文のテキストデータと、認証処理が不要であることを示す値を有する認証要否指示データとを含むデータ列が格納され、認証必要二次元コードパターン3には、各ページの下段に印刷された徒然草の注釈や解説のテキストデータと、認証処理によるアクセス許可が必要であることを示す値を有する認証要否指示データとを含むデータ列が格納されている。
また、この実施の形態1に係る携帯端末は、二次元コードパターンを撮像するCCD10と、CCD10により撮像された二次元コードパターンから、その二次元コードパターンにコード化されているデータ列を再生するデコード部12と、認証処理を行う認証処理部17と、テキストデータが入力されると、これを表示する液晶表示デバイス16と、再生されたデータ列に含まれるテキストデータが、その表示のために認証処理によるアクセス許可を必要としている場合には認証処理部17の認証処理後にテキストデータを液晶表示デバイス16へ出力し、再生されたデータ列に含まれるテキストデータが、その表示に認証処理が不要である場合には認証処理部17の認証処理を経ずにそのテキストデータを液晶表示デバイス16へ出力する表示制御部15と、を有する。特に、この表示制御部15は、デコード部12により再生されたデータ列に、認証処理によるアクセス許可が必要であることを示す認証要否指示データが含まれている場合には、認証処理部17の認証処理によるアクセス許可後にそのデータ列に含まれるテキストデータを液晶表示デバイス16へ出力し、デコード部12により再生されたデータ列に、認証処理が不要であることを示す認証要否指示データが含まれている場合には、認証処理部17の認証処理を経ずにそのデータ列に含まれるテキストデータを液晶表示デバイス16へ出力する。
したがって、この実施の形態1によれば、書籍1の各頁に印刷する徒然草の本文あるいはその注釈や解説を記憶するデータベースを設けることなく簡単に、書籍1の各頁に印刷されているこれらの文章のテキストデータを、その紙面に印刷されている二次元コードパターンによって提供することができる。その結果、印刷物の利用者は、印刷物のハードコピーを作成する必要は特になくなる。また、印刷物の利用者は、印刷物の文章を自分で再入力しなくとも、正確で誤りの無いテキストデータを手軽に得ることができる。
しかも、書籍1の各頁に印刷する文章あるいはその文章に関連する解説などは、認証処理によりアクセス許可された場合にのみ液晶表示デバイス16に表示可能となるテキストデータがコード化される認証必要二次元コードパターン3と、認証処理を経ずに液晶表示デバイス16に表示可能なテキストデータがコード化される認証不要二次元コードパターン2とに分けてコード化されている。したがって、データの利用を、認証処理によって管理することができる。これにより、特定のデータを、アクセス権を持った者にのみ提供することができ、データを適切に提供することができる。
また、この実施の形態1では、二次元コードパターンにエンコードされているテキストデータを表示するためにアクセス許可が必要である場合には、認証処理部17は、入力キー18から入力される入力データと、二次元コード読取プログラムとともに予めメモリ13に記憶されているパスワードとを比較して認証している。これにより、単に印刷物を読むだけの人と、印刷物に記載されている文章を利用する人とを区別して、2つの二次元コードパターン2,3を利用するユーザの権限を管理することができる。
なお、認証時に入力されるパスワードは、たとえば印刷物とは別のスクラッチカード、シール、領収書などに印刷して書店にて販売すればよい。特に、スクラッチカード、シール、領収書では、それを書籍1の購入時に渡すようにすることで、パスワードなどを入手する煩わしさをユーザに与えなくて済む。また、入力キー18でのパスワード入力に換えて、書店などに設置された赤外線通信装置から携帯端末の赤外線ポートへパスワードを送信したり、無線通信やインターネット上のサーバから購入者の携帯端末の通信部へパスワードを送信したりすることで、パスワードを入力するようにしてもよい。この場合、認証処理部17は、この送信されたパスワードと、予めメモリ13に記憶されているパスワードとを比較して認証することになる。このように印刷物と分離してパスワードを提供することで、複数の印刷物に共通するパスワードを提供したり、パスワードを印刷物ごとに変えたり、所定の期間毎に変えたりすることも可能である。なお、パスワードが変わると、照合するパスワードおよび二次元コード読取プログラムも必要に応じて変更する必要がある。また、このパスワードを別の二次元コードパターンとして印刷物のカバー等の特定の個所に付しておいてもよい。
また、このように赤外線通信装置やサーバから携帯端末へパスワードを送信する場合には、携帯端末は購入時にその携帯端末に固有の番号(たとえば携帯電話端末であるならば電話番号など)を赤外線通信装置やサーバへ登録し、それ以降は、赤外線通信装置やサーバは、携帯端末から送信されてくる固有の番号とこの予め登録されている番号とを比較し、これらが一致する場合には購入処理をすることなく再度パスワードを携帯端末へ送信するように構成することで、パスワードの再発行が可能となる。
また、入力あるいは送信されたパスワードと照合するパスワードは、二次元コード読取プログラムとともに配布されて予めメモリ13に記憶されていなくてもよい。たとえば、照合するパスワードは、認証必要二次元コードパターン3に、アクセス許可が必要であることを示す値を有する認証要否指示データとともにエンコードされて格納されていてもよい。また、認証要否指示データの値そのものを、照合するパスワードとして利用してもよい。このように、認証必要二次元コードパターン3に、照合するパスワードを格納しておくことで、照合するパスワードが互いに異なる複数の認証必要二次元コードパターン3に対して、1つの二次元コード読取プログラムを共通に利用することができる。なお、認証要否指示データの値そのものを、パスワードが互いに異なる複数の認証必要二次元コードパターン3での照合パスワードとする場合、それらの間で認証処理が不要であることを示す値を共通の1つの値として、認証要否判定部14は、認証要否指示データの値が認証が不要であることを示す値である場合には認証処理が不要であり、それ以外の場合には常に認証によるアクセス許可が必要であると判断すればよい。
なお、この実施の形態1では、書籍1を例として印刷物を説明しているが、新聞、電車などの中刷り、ポスター、新聞、チケットなどの印刷物にも好適に利用することができる。
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2に係る印刷物である書籍4を示す斜視図である。書籍4は、住宅情報誌である。書籍4の各ページには、複数の住宅に関する情報が住宅毎に段分けされて印刷されており、各段には、物件情報として、住宅の間取り、大きさ、種類などが印刷されている。特に、各段には、その住宅あるいは連絡先の住所や電話番号は、全く印刷されていないか、あるいは、たとえばおおよその住宅の所在地が判断できる程度に住宅のたとえば丁目までが印刷されている。
また、各段には、左右に並べて、第一の二次元コードパターンとしての認証必要二次元コードパターン5と、第二の二次元コードパターンとしての認証不要二次元コードパターン6との2つの二次元コードパターンが印刷されている。
認証不要二次元コードパターン6には、印刷されている物件情報のテキストデータと、認証処理が不要であることを示す値を有する認証要否指示データとを含むデータ列が、エンコードされて格納されている。
認証必要二次元コードパターン5には、その住宅あるいは連絡先のすべての住所および電話番号のテキストデータを暗号化したデータと、認証処理によるアクセス許可が必要であることを示す値を有する認証要否指示データとを含むデータ列が、エンコードされて格納されている。
なお、認証要否指示データは、実施の形態1と同様に、各データ列内の予め定められた位置になっているか、あるいは、所定のデータパターンが付加されていればよい。また、認証必要二次元コードパターン5においてテキストデータを暗号化する暗号化アルゴリズムとしては如何なるものであってもよいが、たとえば共通鍵方式や公開鍵方式などの暗号化アルゴリズムであればよい。
図4は、本発明の実施の形態2に係る携帯端末を示すブロック図である。
携帯端末は、CCD10と、パターン判定部11と、デコード部12と、認証要否判定部14と、認証部としての認証復号部20と、表示制御部15と、液晶表示デバイス16と、メモリ13と、赤外線ポート21と、を有する。なお、パターン判定部11と、デコード部12と、認証要否判定部14と、認証復号部20と、表示制御部15とは、たとえば携帯端末の図示外の中央処理装置が、メモリ13に記憶されている二次元コード読取プログラムを実行することで、携帯端末において実現される。また、二次元コード読取プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体や電子通信回線などの伝送媒体を介してメモリ13に記憶しておけばよい。実施の形態1と同じ機能を有する構成要素は、実施の形態1の同名の構成要素と同一の符号を付して、その説明を省略する。
赤外線ポート21は、赤外線を受光する受光素子を有するものである。そして、その受光素子が受光した赤外線の強度パターンに応じた受光データを出力する。
認証復号部20は、認証要否判定部14が認証処理によるアクセス許可が必要であると判定した場合に実行される。そして、認証復号部20は、赤外線ポート21から出力される受光データを復号キーとして、メモリ13に記憶されているデコード済みのデータ列を、メモリ13に記憶されている暗号鍵で復号し、この復号されたデータ列をメモリ13に記憶させる。なお、復号されたデータ列は、メモリ13に記憶されているデコード済みのデータ列に上書きにより記憶されても、デコード済みのデータ列とは別に記憶させてもよい。
次に、図3の印刷物に印刷されている認証不要二次元コードパターン6と認証必要二次元コードパターン5とを、図4の携帯端末で読み取る場合の動作について説明する。
携帯端末のCCD10に二次元コードパターン6を撮像させると、パターン判定部11は、CCD10の輝度分布データから二次元コードパターン6を抽出し、デコード部12は、二次元コードパターン6をデコードして再生したデータ列をメモリ13に記憶させる。また、認証要否判定部14は、その再生されたデータ列の認証要否指示データの値に基づいて、認証処理が不要であると判定し、表示制御部15にデータ列の表示を指示する。表示制御部15は、この認証要否判定部14からの指示に応じて、メモリ13からデータ列を読出し、このデータ列に含まれるテキストデータを含む表示データを生成し、液晶表示デバイス16に表示させる。これにより、液晶表示デバイス16には、認証不要二次元コードパターン6にエンコードされていた印刷されている物件情報が表示される。
次に、携帯端末のCCD10に二次元コードパターン5を撮像させると、パターン判定部11は、CCD10の輝度分布データから二次元コードパターン5を抽出し、デコード部12は、この二次元コードパターン5をデコードして再生したデータ列をメモリ13に記憶させる。また、認証要否判定部14は、その再生されたデータ列の認証要否指示データの値に基づいて、認証処理によるアクセス許可が必要であると判定し、認証復号部20に、認証処理のための復号処理の実行を指示する。
認証復号部20は、赤外線ポート21から出力される受光データを復号キー(暗号鍵)として、メモリ13に記憶されているデコード済みのテキストデータを復号し、この復号されたテキストデータをメモリ13に記憶させる。その後、認証復号部20は、表示制御部15にテキストデータの表示を指示する。表示制御部15は、この認証処理部からの指示に応じて、メモリ13から復号されたテキストデータを読出し、液晶表示デバイス16に表示させる。これにより、液晶表示デバイス16には、認証必要二次元コードパターン5にエンコードされた、住宅あるいはその連絡先のすべての住所および電話番号が表示される。これにより、ユーザは、住宅の詳しい住所や連絡先を知ることができる。
なお、赤外線ポート21が受光した受光データが正しい復号キーと一致していない場合には、暗号化されているテキストデータを正しいテキストデータに復号することができない。そのため、液晶表示デバイス16には、意味不明のテキストが表示されることになる。あるいは、本文データに所定の識別子を含ませておき、復号後にその識別子が正しく復号されているか否かに基づいて、正しく復号されたか否かを判定するようにしてもよい。その場合には、正しく復号されなかったときには、データの表示を禁止する。
以上のように、この実施の形態2では、認証処理を経ずに液晶表示デバイス16に表示可能なテキストデータは、そのデータをコード化した認証必要二次元コードパターン5が印刷されている紙面に印刷されている物件情報のテキストデータを含むものであり、認証処理によりアクセス許可された場合にのみ液晶表示デバイス16に表示可能となるテキストデータは、その物件情報にかかる住宅あるいは連絡先の住所や電話番号のテキストデータを含むものである。したがって、紙面に印刷されている物件情報のテキストデータを、同じ紙面に印刷されている認証不要二次元コードパターン6によって、認証することなく提供することができ、しかも、物件情報にかかる住宅あるいは連絡先の住所や電話番号のテキストデータを、同じ紙面に印刷されている認証必要二次元コードパターン5によって、認証された後に提供することができる。
特に、この実施の形態2のように、物件について重要な付加情報である住宅あるいは連絡先の住所や電話番号を、認証必要二次元コードパターン5のみで提供し、紙面に印刷しないようにすることで、カメラ付き携帯電話端末やデジタルカメラなどを用いた所謂デジタル万引き(情報誌などの書籍4を購入することなく、情報のみをカメラで撮像して盗むこと)を効果的に抑制することができる。
また、この実施の形態2では、認証処理によりアクセス許可された場合にのみ液晶表示デバイス16に表示可能となる物件情報にかかる住宅あるいは連絡先の住所や電話番号のテキストデータは、暗号化された上で認証必要二次元コードパターン5にコード化されている。したがって、認証処理によりアクセス許可された場合にのみ液晶表示デバイス16に表示可能となるテキストデータは、単にデコードされただけでは暗号化された状態になっている。したがって、認証されていない状態で、このテキストデータを利用することはできない。そして、二次元コードパターンにエンコードされているテキストデータを表示するために認証が必要である場合には、認証復号部20は、赤外線ポート21から入力される受光データを用いて、暗号化されているテキストデータを復号している。これにより、単に印刷物を読むだけの人と、印刷物に記載されている以上の追加情報を知りたい人とを区別して、二次元コードパターンを利用するユーザを管理することができる。
また、この実施の形態2では、認証復号部20が、送信された認証データを復号キーとして、デコード部12により再生されたデータ列から、認証処理によりアクセス許可された場合にのみ液晶表示デバイス16に表示可能となるテキストデータを復号する。したがって、暗号により認証処理を実現しており、読み取り機器を不正に改変したとしても、その部分の出力データを不正に得ることを難しくすることができる。
なお、この実施の形態2では、住宅情報誌を例として印刷物を説明しているが、その他の書籍、新聞、電車などの中刷り、ポスター、新聞、チケットなどの印刷物にも好適に利用することができる。そして、印刷されている文章に関連する追加情報としては、たとえば、新聞記事に対する用語説明やその他の追加説明、電車などの中吊り公告での見出しに対する内容の説明などの追加説明などが挙げられる。
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3に係る印刷物である書籍7を示す斜視図である。書籍7は、たとえば英語を学習するための問題集である。書籍7の各ページには、穴埋め問題が印刷されている。また、ページの右下には、1つの二次元コードパターン8が印刷されている。
二次元コードパターン8には、認証処理が不要であることを示す値を有する認証要否指示データと、問題文のテキストデータと、認証処理によるアクセス許可が必要であることを示す値を有する認証要否指示データと、解答および解説のテキストデータを暗号化したデータとを、その順番に含むデータ列が、エンコードされて格納されている。
なお、データ列の所定の位置にデータ列のヘッダ情報の格納領域を設け、この格納領域に、データ列の長さなどとともに、解答および解説のテキストデータを暗号化したデータのデータ列での始点および/または終点を格納するようにしてもよい。
図6は、本発明の実施の形態3に係る携帯端末を示すブロック図である。
携帯端末は、CCD10と、パターン判定部11と、デコード部12と、データ列分割格納部31と、認証部としての認証処理部33と、復号部32と、表示制御部34と、液晶表示デバイス16と、メモリ13と、入力キー18と、を有する。なお、パターン判定部11と、デコード部12と、データ列分割格納部31と、認証処理部33と、復号部32と、表示制御部34とは、たとえば携帯電話端末の図示外の中央処理装置が、メモリ13に記憶されている二次元コード読取プログラムを実行することで、携帯端末に実現される。また、二次元コード読取プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体や電子通信回線などの伝送媒体を介してメモリ13に記憶しておけばよい。実施の形態1の構成要素と同じ機能を有する構成要素は、実施の形態1の同名の構成要素と同一の符号を付して、その説明を省略する。
データ列分割格納部31は、デコード部12により再生されたデータ列を、認証不要データ列と、認証必要データ列とに分割してメモリ13に記憶させる。
認証処理部33は、入力キー18から入力される入力データと、二次元コード読取プログラムとともに予めメモリ13に記憶されているパスワードとを比較して、パスワードに一致する入力データが入力されると、アクセス許可と判定し、その判定結果をメモリ13に記憶させる。なお、パスワードは、入力キー18から入力するのではなく、通信によりダウンロードしてもよい。
復号部32は、メモリ13に、アクセス許可との判定結果と、認証必要データ列とが記憶されている場合に、認証必要データ列に含まれる暗号化されたテキストデータを復号する。この復号に使用するキーは、予めメモリ13に記憶されていても、あるいは、サーバなどから図示外の通信部へ送信させて入手してもよい。また、復号部32は、復号したテキストデータおよび復号完了フラグをメモリ13に記憶させる。
表示制御部34は、入力キー18から出力される入力データに応じて、メモリ13に記憶されているテキストデータを含む表示データを生成する。
次に、図5の印刷物に印刷されている二次元コードパターン8を、図6の携帯端末で読み取り、その液晶表示デバイス16に表示する動作について説明する。
携帯端末のCCD10に認証不要二次元コードパターン8を撮像させると、パターン判定部11は、CCD10の輝度分布データにから二次元コードパターン8を抽出し、デコード部12は、この二次元コードパターン8をデコードして再生したデータ列をメモリ13に記憶させる。
データ列分割格納部31は、デコード部12により再生されたデータ列が入力される。そして、データ列分割格納部31は、再生されたデータ列を認証不要データ列と、認証必要データ列とに分割してメモリ13に記憶させる。具体的には、たとえば、データ列分割格納部31は、認証処理が不要であることを示す値を有する認証要否指示データから、認証処理によるアクセス許可が必要であることを示す値を有する認証要否指示データの直前までのデータを、認証不要データ列とし、それ以降のデータを認証必要データ列として分割する。これにより、認証不要データ列には、認証処理が不要であることを示す値を有する認証要否指示データと、問題文のテキストデータとが含まれることになる。また、認証必要データ列には、認証が必要であることを示す値を有する認証要否指示データと、解答および解説のテキストデータを暗号化したデータとが含まれることになる。
また、認証処理部33は、入力キー18から入力される入力データと、二次元コード読取プログラムとともに予めメモリ13に記憶されているパスワードとを比較し、復号部32は、アクセス許可の判定結果がメモリ13に記憶されている場合には、認証必要データ列に含まれる暗号化されたテキストデータを復号し、復号したテキストデータおよび復号完了フラグをメモリ13に記憶させる。
表示制御部34は、入力キー18から問題文の表示を指示する入力データが入力されると、メモリ13に記憶されている認証不要データ列から問題文のテキストデータを抽出して表示データを生成する。液晶表示デバイス16には、この表示データを表示する。これにより、液晶表示デバイス16には、認証処理が不要な問題文が表示される。
入力キー18から解答および解説の表示を指示する入力データが入力されると、表示制御部34は、メモリ13に復号完了フラグが記憶されていることを確認し、復号完了フラグが記憶されている場合には、認証必要データ列から解答および解説のテキストデータを抽出して表示データを生成する。液晶表示デバイス16には、この表示データを表示する。これにより、液晶表示デバイス16には、認証処理によるアクセス許可が必要な解答および解説が表示される。
なお、入力キー18から解答および解説の表示を指示する入力データが入力された場合に、メモリ13に復号完了フラグが記憶されていない場合には、表示制御部34は、認証処理を行う表示データを生成し、これを液晶表示デバイス16に表示させる。これにより、ユーザに必要な認証処理が行われる。その後、解答および解説の表示が可能となる。
以上のように、この実施の形態3に係る問題集などの印刷物では、認証処理が不要であることを示す値を有する認証要否指示データと、問題文のテキストデータと、認証処理によるアクセス許可が必要であることを示す値を有する認証要否指示データと、解答および解説のテキストデータを暗号化したデータとを、その順番に含むデータ列が、印刷された1つの二次元コードパターン8にエンコードされて格納されている。
また、この実施の形態3に係る携帯端末では、表示制御部34は、デコード部12により再生されたデータ列において、認証処理によるアクセス許可が必要であることを示す値を有する認証要否指示データが出現するまでの先頭部分における問題文のテキストデータを、認証処理部33の認証処理を経ずに液晶表示デバイス16に表示させ、先のデータ列において認証処理によるアクセス許可が必要であることを示す値を有する認証要否指示データより後に位置する解答及び開設のテキストデータを、認証処理部33の認証処理後に液晶表示デバイス16に表示させる。
したがって、書籍7に印刷された問題文のテキストデータと、その解答および解説のテキストデータとを記憶するデータベースを構築しなくとも、これらのテキストデータを、書籍7のユーザへ提供することができる。特に、問題文とその解答などとが1つの二次元コードデータから一度に読み込まれるので、問題と解答とを々確認する場合であっても、二次元コードデータを読み込むことなく、便利に利用することができる。しかも、1つの二次元コードパターン8に、認証処理を経ずに液晶表示デバイス16に表示可能なテキストデータと、認証処理によりアクセス許可された場合にのみ液晶表示デバイス16に表示可能となるテキストデータとがコード化されていても、これらを、認証処理が必要であることを示す値を有する認証要否指示データで区別して、それぞれの利用を管理することができる。
また、この実施の形態3の携帯端末は、認証処理部33により認証されたことがメモリ13に記憶されると、復号部32は、これを確認してデコード部12により再生されたデータ列から、認証処理によりアクセス許可された場合にのみ液晶表示デバイス16に表示可能となるテキストデータを復号する。したがって、認証処理部33においてアクセス許可が一旦得られれば、復号部32は、認証処理によりアクセス許可された場合にのみ液晶表示デバイス16に表示可能となるテキストデータが複数入力されたとしても、そのテキストデータの度に認証処理部33において認証処理を行うことなく、連続的に復号をすることができる。
なお、この実施の形態3では、書籍の形態の問題集を例として印刷物を説明しているが、その他の書籍、新聞、電車などの中刷り、ポスター、新聞、チケットなどの印刷物にも好適に利用することができる。
以上の各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形、変更が可能である。
上記各実施の形態では、印刷物における文章のテキストデータを二次元コードパターンにコード化し、このテキストデータを液晶表示デバイス16に表示させている。この他にも、音声出力デバイスにテキストデータを読み上げさせてもよい。また、二次元コードパターンに、印刷物の紙面を撮像した画像データや、紙面に印刷される挿絵やグラフなどの画像データ、音声データ、その他のマルチメディアデータをコード化し、それらのデータに対応した出力デバイスに出力するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、テキストデータは、そのまま液晶表示デバイス16に表示されるだけである。この他にもたとえば、携帯端末にテキストデータなどの出力データの編集機能を設けるようにしてもよい。特に、テキストデータにたとえば括弧などの所定の記号を挿入することで、括弧内のテキストデータの表示/非表示が制御できるようにしてもよい。これにより、自分でテキストデータに含まれる文章の穴埋め問題などを簡単に自作することができる。
また、上記各実施の形態では、テキストデータなどのデータをコード化した二次元コードパターン2,3,5,6,8は、印刷物に印刷されて提供されている。この他にもたとえば、テレビ受信機などに、テキストデータなどのデータをコード化した二次元コードパターンを表示させ、これを上記各実施の形態の携帯端末で撮像するようにしてもよい。これにより、たとえば料理番組の料理のレシピ、旅行番組などでの店舗案内、その他の情報を誤りなく提供することができる。
なお、上記各実施の形態の携帯端末で利用されるデコード部は、たとえば、印刷物毎にその印刷物に印刷される二次元コードパターンと対で作成されればよい。これにより、携帯端末のデコード部を印刷物毎に変更することができ、認証部の認証処理のパスワードによって、個人単位での利用を管理することができるとともに、印刷物毎に作成されるデコード部によって、印刷物単位での利用を管理することができる。特に、デコード部をその印刷物とは別に供給することで、たとえばダウンロードなどで印刷物とは別にデコード部を入手しなければならなくなるので、印刷物とともに供給した場合に比べてデコード部が入手し難くなり、印刷物単位での利用を厳格に管理することができる。その結果、たとえば、月刊誌などにおいてある号のデコード部が解析されてしまったとしても、その他の号の二次元コードパターンがそのデコード部で再生されてしまうことを効果的に防止することができる。
また、認証処理によりアクセス許可された場合にのみ所定の出力デバイスから出力可能となる出力データとしては、上述した例のほかにも、たとえば、付加情報が掲載されているURL(Uniform Resource Locator)、付加情報の入手のための連絡先としての電話番号や電子メールアドレスなどであってもよい。
更に、認証処理を経ずに出力デバイスから出力可能となる出力データとして、たとえば情報を有料で提供するURLを含めるとともに、認証処理によりアクセス許可された場合にのみ所定の出力デバイスから出力可能となる出力データとして、そのURLでの認証番号や認証コードを含めるようにしてもよい。このような組み合わせでデータをコード化することで、たとえばスクラッチカードなどのようにゴミを出さずに、各種の認証処理などが可能となる。