JP4171659B2 - 超音波流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電池電源を用いた超音波流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
送信側にも受信側にも働く少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流の順方向と、下流から上流の逆方向に超音波の送受信を行い、各向きにおける超音波の到達時間から流速さらに流量を求める超音波流量計で、送信側の超音波送受波器に加える駆動パルスのパルス幅生成を行うワンショット回路を備えた超音波流量計が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−253413号公報(第2,6欄、図1,5,6)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ガスメータに用いる超音波流量計では、電池電源で数年間にわたる検定有効期間中、確実に安定した動作をさせることが要求される。
【0005】
ところが、電池電圧が次第に低下するにつれて、ワンショット回路(モノステーブル・マルチバイブレータ)の出力パルス幅が変化するため、送信側の超音波送受波器を駆動するための最適幅から駆動パルス幅がずれてしまって、受信波の大きさが異常に小さくなり、受信波の特定波を確実に検出することができにくくなり、検出をやり直す必要が生じたりして、流量計としての計測精度が確保できないという問題点があった。
【0006】
電池電圧が低くなると、ワンショット回路の出力パルスの振幅が小さくなって、その分駆動パルスが小さくなって超音波パルスが小さくなるが、電池電圧が低くなることによって、ワンショット回路の出力パルスのパルス幅が変化すると、パルス幅が送受波器に対する最適幅からずれるために、さらに一層超音波パルスの振幅が小さくなり、受信波もより一層振幅が小さくなってしまうからである。
【0007】
電池電圧をワンショット回路に直接給電しなくて、電圧安定化回路を通して給電することも考えられるが、電圧安定化回路に用いる定電圧ICは、入力電圧よりある程度低い電圧しか出力できないため、電池の使用効率が悪くなり、電池寿命が短くなるという不都合がある。
【0008】
そこで、本発明は前記問題点を解消できる電池駆動の超音波流量計を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、送信側にも受信側にも働く少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流の順方向と、下流から上流の逆方向に超音波の送受信を行い、各向きの到達時間から流速さらに流量を求める超音波流量計であって、
送信側の超音波送受波器に加える駆動パルスのパルス幅生成を行うワンショット回路と、電源用の電池を有する超音波流量計において、
ワンショット回路の出力パルスのパルス幅を設定するための抵抗値の異なる複数の抵抗と、
使用する抵抗を選択する選択手段と、
超音波流量計の動作モードを、流速を求める計測モードと、ワンショット回路のパルス幅が所定範囲内に入るかどうかをチェックするチェックモードとに切り換える切換手段とを具備し、
ワンショット回路を複数有し、チェックモード時には、これら複数のワンショット回路をループ状に接続して発振器を構成するように計測時と異なる接続に切り換え、その発振周波数又は発振周期に基づいて、前記選択手段が使用する抵抗を選択することを特徴とする超音波流量計である。
【0011】
請求項2の発明は、送信側にも受信側にも働く少なくとも1対の振動子を設け、流体の流れの中を上流から下流の順方向と、下流から上流の逆方向に超音波の送受信を行い、各向きの到達時間から流速さらに流量を求める超音波流量計であって、
送信側の超音波振動子に加える駆動パルスのパルス幅生成を行うワンショット回路と、電源用の電池を有する超音波流量計において、
ワンショット回路の出力パルスのパルス幅を設定するための抵抗値の異なる複数の抵抗と、
前記パルス幅が送信側の超音波振動子の固有振動数の逆数の1/2になるように使用する抵抗を選択する選択手段と、
超音波流量計の動作モードを、流速を求める計測モードと、ワンショット回路のパルス幅が所定範囲内に入るかどうかをチェックするチェックモードとに切り換える切換手段とを具備し、
ワンショット回路を複数有し、チェックモード時には、これら複数のワンショット回路をループ状に接続して発振器を構成するように計測時と異なる接続に切り換え、その発振周波数又は発振周期に基づいて、前記選択手段が使用する抵抗を選択することを特徴とする超音波流量計である。
【0012】
ワンショット回路は、パルス幅を決めるために外付けのコンデンサと抵抗を有していて、抵抗の抵抗値が小さい程パルス幅が小さくなる。選択手段はパルス幅を監視し、最適のパルス幅になるように使用する抵抗を選択する。したがって、電池電圧が低下しても、パルス幅が最適値に保持される。
通常は計測モードで流速・流量の計測を行い、間欠的に短時間の間チェックモードに切り換えてパルス幅をチェックする。パルスが所定の範囲から外れていると、使用する抵抗を変更してパルス幅を最適幅に戻す。その後、切換手段は計測モードに戻る。
チェックモード時には、複数のワンショット回路をループ状に接続して発振器を構成し、該発振器の発振周波数又は発振周期に基づいて使用する抵抗を選択する。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2の超音波流量計において、チェックモード時に、発振器の周波数を計測して所定の範囲内となるように抵抗を選択することを特徴とするものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1、2又は3記載の超音波流量計において、通常は計測モードで流速・流量の計測を行い、間欠的に短時間の間チェックモードに切り替えてパルス幅をチェックすることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4の超音波流量計において、前記発振周波数又は発振周期が所定範囲内に入らないときに、アラームを出すように構成したことを特徴とするものである。
【0016】
発振周波数又は周期が、それぞれの所定範囲内に入らないときは、受信波検知が確実に行われないおそれがある。そこで、アラームを出して警告することで、計測精度が異常なままでいることを防止する。
【0017】
請求項6記載の発明は、1乃至5のうちのいずれか1項に記載の超音波流量計において、初期段階において、前記切換手段が一時的にチェックモードに切り換え、前記選択手段が使用する抵抗を選択するように構成したことを特徴とするものである。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の超音波流量計において、初期段階において、使用する抵抗として、特定の抵抗を選択するように構成したことを特徴とするものである。
【0019】
この発明では、超音波流量計を生産するにあたり、工場で流量計を組み立てて、電源用電池を接続した初期段階において、使用する抵抗として特定の抵抗、例えば抵抗値が最小のものを選択するように構成する。こうすることで、最初にチェック動作を行う必要がなく、しかも最初(初期段階)からパルス幅を最適幅に決めることが容易にできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面の実施例に従って説明する。
【0021】
〔実施例1〕
図1は本発明の実施例1の流量計のブロック図、図2はその要部の電気回路、図3は図2の電気回路の波形図である。
【0022】
図1で、送受波器1,2は図示されてない流管の上流と下流に一定の距離を離して配設された超音波振動子からなる送受波器で、切換スイッチ3,4を切り換えることで送信側にも受信側にも使用できる。切換スイッチ3,4が図示の状態では、送受波器1は送信側として使用され、送受波器2は受信側として使用されている。両送受波器1,2は図示されてない流管内の流体中を上流から下流、または下流から上流への超音波の送受信を行う。
【0023】
受信波検知部5は受信側の送受波器、例えば2が接続され、受信波を検知すると受信波検知信号を出力する。ただし、カウンタ6から第n受信波検知信号を受けると、それ以後は受信波検知を停止し、以後、受信波検知信号の出力はしない。
【0024】
送波器駆動部7はコントロール部8から第1送信送信指令信号を受けると、送信側の送受波器、例えば1をまず駆動し、その後は受信波検知部5から受信波検知信号を受ける度に送受波器、例えば1を駆動する。本実施例では無意味なn+1回目の駆動を行ってしまうが、受信側で無視するので問題はない。
【0025】
カウンタ6は、受信波検知部5からの受信波検知信号を計数し、n番目の受信波検知信号、即ち第n受信波検知信号を出力する。このカウンタ6はコントロール部8からの第1送信指令信号でリセットされるようになっている。
【0026】
カウンタ9は第1送信指令信号から第n受信波検知信号までの時間、即ち超音波の到達時間のn倍の総到達時間を計数測定する。計数測定したその時間(カウント値)はコントロール部8が読み取り、取り込む。この実施例では、第1送信指令信号でカウンタ9のカウント値がゼロクリアされ、計数を開始するように構成されている。
【0027】
コントロール部8は一定時間間隔で送受切換信号を反転出力することにより、2つの送受波器1と2の役割の切換を行う。各切り換え後、毎回切換によるノイズ等がおさまる時間をおいて、第1送信指令信号を出力する。そして、第n受信波検知信号が入力されると、カウンタ2が計数した測定値(カウント値)を読み取り、その直前に行った反対方向での測定値(カウント値)とを用いて、その間の流体の流速・流量を演算し、流量またはその積算値である積算流量を液晶表示部10に表示する。
【0028】
また、コントロール部8から送波器駆動部7へモード選択信号とパルス幅を選択する選択信号が入力されていて、送波器駆動部からのカウント値はコントロール部8が読み取るようになっている。通常の計測モードでは、コントロール部8はモード選択信号を“Low”として総到達時間の測定を行い、流速・流量を演算するが、定期的に短時間の間モード選択信号を“High”としてチェック動作に切り換え、ワンショット回路のパルス幅(換言すれば駆動パルスのパルス幅)を最適化するように構成してある。
【0029】
図2に、図1の送波器駆動部7の電気回路を示す。図3(a)(b)は図2の電気回路の波形図である。
【0030】
11と12はC-MOS ICのモノステーブル・マルチバイブレータからなるワンショット回路で、それぞれ出力パルスのパルス幅を決めるための外付けコンデンサCと、抵抗値の異なる複数の外付け抵抗R1,R2,R3,R4が接続されている。アナログスイッチ11A,12Aには、前記コントロール部8から、パルス幅を選択するための選択信号が2本のラインで入力されている。この選択信号は2本のラインの各ラインに印加される電圧の0又は1のバイナリ信号の組み合わせによって、抵抗R1〜R4のうち何れか1本を選択してVDDに接続するように構成されている。2つのワンショット回路11と12は同一パッケージに入っていて、ほぼ同じ特性となるため、パルス幅を決めるコンデンサCの容量を両ワンショット回路とも互いに同じ容量とし、又、抵抗R1〜R4から選択する1本の抵抗も、両ワンショット回路11と12について同じ抵抗値の抵抗を選択することで、両ワンショット回路の出力パルスのパルス幅をほぼ同じパルス幅とする。
【0031】
ORゲート13には前記コントロール部8からの第1送信指令信号と、前記受信波検知部5からの受信波検知信号とが入力され、そのORゲート13の出力であるトリガパルスは、ORゲート14を介して一方のワンショット回路12のCK入力に入力されている。また、ORゲート13の出力であるトリガパルスはANDゲード15を介してデジタルワンショット回路16のトリガ入力と、カウンタ17のリセット入力Rに入力されている。ANDゲート15には、コントロール部8からのモード選択信号も入力されている。このモード選択信号が“High”の時は流量計の動作モードがチェック動作に、“Low”のときは通常の計測モードに切り換えられる。
【0032】
デジタルワンショット回路16は、ANDゲート15からのトリガ入力があると一定時間“High”となる信号をQ出力として出力する。但し、デジタル的に行う。即ち、基準クロック発振器18からの基準クロックがCK入力に入力され、その基準クロックを計数することで前記一定時間を決めている。必要な周波数精度を有する基準クロックを所定数計数することで、正確な一定時間が得られ、この一定時間の間、デジタルワンショット回路16のQ出力が“High”となる(図3(b)のC参照)。実施例では一定時間を1msとした。
【0033】
カウンタ17は、デジタルワンショット回路16のQ出力と、2つのワンショット回路11,12で構成された発振器の出力とのANDをANDゲート19を介してそのCK入力に入力して計数するようになっていて、ワンショット回路16のQ出力が“High”の一定時間の間の2つのワンショット回路11と12とからなる発振器の出力パルス数を計数することで、ワンショット回路11と12のパルス幅に基づく周波数を知ることができる。
【0034】
ワンショット回路11と12のパルス幅を同じ値のT/2とすると、発振周期はTとあらわせる。したがって、発振周波数fは1/Tとなる。デジタルワンショット回路16のQ出力が“High”の間の一定時間の間の、周期Tの前期発振周波数1/Tのパルスをカウンタ17で計数することで、前記2つのワンショット回路11,12とからなる発振器の発振周波数(1/T)を測定できる。この実施例では前記一定時間を1msとしているので、この一定時間の間にカウンタ17で計数したカウント値の1000倍が前記2つのワンショット回路からなる発振器の発振周波数fとなる。したがって、その逆数1/fが前記周期Tとなり、パルス幅はT/2=1/2fとして求められる。
【0035】
さて、通常の計測モード時には、モード選択信号は“Low”となっているため、ゲート20,21,22のうち、20と22とが開、21が閉の状態にある。したがって、ワンショット回路11のQ出力Bがバッファ23を介して超音波送受波器1の一端に、ワンショット回路12のQ出力Aがバッファ24を介して送受波器1の他端に印加される。ゲート21は閉状態のため、一方のワンショット回路11のQ出力がゲート21と、ORゲート14を介して他方のワンショット回路12のCK入力へ戻されることはなく、コントロール部8からの第1送信指令信号と受信波検知部5からの受信波検知信号のORであるトリガパルスの立ち下がりで、ワンショット回路12がワンショットパルスAを出力し、更にパルスAの立ち下がりでワンショット回路11がワンショットパルスBを出力して、パルスAとパルスBの合成からなる1周期分の駆動パルスで、送信側の送受波器1を駆動する一連の動作を終了する(図3(a)参照)。図3(a)で、Tは前記1周期分の駆動パルスの周期を示す。
【0036】
なお、図4(a)は、計測モード時における図2の電気回路の一部、特にワンショット回路11,12とバッファ23,24と、送受波器1(2)との電気的接続を示す等価回路で、わかりやすく簡略化した図である。外付け抵抗R1〜R4は、選択された1個だけの抵抗を符号Rとして示している。同図(b)は同図(a)の波形図であり、図3(a)の波形図の一部と同じである。
【0037】
送受波器1と2を構成する超音波振動子の固有振動数f0は同じ値に設計されており、超音波流量計を量産する生産時では、それぞれの送受波器の固有振動数は、いずれもf0又はほぼf0である。したがって、ワンショット回路11と12のパルス出力のパルス幅T/2は、送受波器の設計周波数f0に適合するように定める。即ち、前記1周期分の駆動パルスの周期TをT=1/f0とするのが最適であるため、パルス幅T/2は1/2f0に極力近づけるのが好ましい。実施例ではf0=220kHzとしているため、パルス幅の最適値は2.27μsとなる。
【0038】
そうするために、モード選択信号を“High”にしてチェックモードに一時的に切り換える。この状態では、ゲート20と22は閉状態となり、送受波器1へは駆動パルスは印加されない。そして、ゲート21が開状態となり、一方のワンショット回路11のQ出力が、ゲート21とORゲート14を通じて、他方のワンショット回路12のCK入力へフィードバックされ再びワンショット回路12がパルスを出力することになり、この動作が繰り返し継続する。結局、ワンショット回路11の出力信号Bでいうと、ワンショット回路12の出力パルス幅T/2分を“Low”、ワンショット回路11の出力パルス幅T/2分を“High”とする方形波パルスを連続的に出力する発振回路(発振器)を構成することになる(図5(a)(b)参照)。図3(b)はチェックモード時における図2の電気回路の波形を示す。
【0039】
この発振回路の発振パルスを前記カウンタ17で一定期間の間、即ち1msの間にわたり計数して、そのカウント値を1000倍すると、発振回路の発振周波数fが求められる。求めた周波数fから、ワンショット回路11,12のパルス幅T/2を1/2fとして求めることができる。そして、求めたパルス幅が最適値の1/2f0から一定以上離れていると、コントロール部8が、パルス幅を選択するための選択信号をアナログスイッチ11A,12Aに出力して、パルス幅が最適値になるように、今まで接続されていた抵抗と異なる抵抗値の抵抗をR1〜R4の中から選択し、パルス幅を変える。したがって、図1の図示されてない電源電池の電圧が低下してパルス幅T/2が大きくなっても、チェック動作によって複数の抵抗の中から、より小さな抵抗値の抵抗を選択するように、アナログスイッチ11Aと12Aを切り換えることで、超音波振動子(送受波器)の固有振動数に合う最適値の抵抗を選択し、切り換える。
【0040】
このように、チェックモード時には、コントロール部8がモード選択信号を“High”とし、第1送信指令信号を出力し、1ms以上経ってからカウンタ17のカウント値を読み取ることで、ワンショット回路11,12の出力パルスのパルス幅を知ることができる。コントロール部8は、複数の抵抗R1〜R4から最適値の抵抗を選択してチェックを実行し、発振器の周波数をカウンタ17で計測して、所定の範囲内におさめることで、ワンショット回路11,12のパルス幅が最適となるように抵抗を選択する。
【0041】
なお、図2でバッファ23,24は、信号A,Bに基づき送受波器1又は2に電圧を印加する電気回路(又は回路部品)を表現しており、実際には、送受の切換スイッチ3,4もこの電気回路に含めて構成するものである。
【0042】
更に又、どの抵抗を選択しても、カウンタ17のカウント値が所定の範囲内に入らないときには、駆動パルスのパルス幅を所定範囲におさめられないと判断して、図1の液晶表示部の表示を点滅させてアラームを出し、警告することで、間違った計測を継続しないようにしている。
【0043】
図3(b)はチェックモード時の波形図で、信号Bが継続して出力され、発振回路が発振している状態を示す。なお、信号Bの発生がトリガパルスから少し遅れてスタートしているが、わずかの遅れであり、この遅れで出力パルスの計数誤差が発生したとしても、周期T以内の誤差に過ぎないので、問題になるほどではない。
【0044】
ところで、実施例では、ワンショット回路11,12に、周知のC-MOS IC、TC74HC4538を用いており、出力パルス幅T/2は、電池電圧VDDが低下するにつれて大きくなるため、初期段階で電池電圧VDDが高い時には、パルス幅が小さくなる傾向にある。したがって、生産時、流量計を組み立てて電源電池を接続した段階では、先ず抵抗R1〜R4のうち最大の抵抗値の抵抗を選択して接続するようにするとよい。こうすることで、初期段階でのチェック動作を省略して、簡単に最適値の抵抗を選択して接続することが可能となる。
【0045】
また、流量計を組み立てた初期段階で、コントロール部8を構成するマイクロコンピュータの初期設定後に、先ず、チェックモードにして最適値の抵抗を選択するようにしてもよい。こうすることで、初期段階から確実に計測精度を確保することが可能になる。
【0046】
[実施例2]
図6は、実施例2の要部電気回路図で、上記実施例1の電気回路図の図2の代わりにこの図6の電気回路を使う点が実施例1と違っている。
【0047】
この実施例2では、チェックモード時にANDゲート15が開き、トリガパルスがデジタルショット回路16Aのトリガ入力に入ると、2つのワンショット回路11と12からなる前記発振回路(図5(a)参照)の発振パルスをデジタルワンショット回路16Aが(CK端子にその発振パルスを入力して)計数し、その1000発を計数するまでの間Q出力端子に“High”の信号を出力する。するとANDゲート19Aが開いて、基準クロック発振部18Aの基準クロックがANDゲート19Aを通してカウンタ17AのCK入力に入力される。カウンタ17AはトリガパルスがR入力に入ることでリセットされているので、基準クロック発振器18Aからの基準クロックを、前記ワンショット回路11と12とからなる発振回路(発振器)の発振パルス1000発の間だけ計数して、そのカウント値をコントロール部8へ出力する。このカウント値は、ワンショット回路11,12の出力パルスのパルス幅に対応しているので、計数した該カウント値に基づいて、コントロール部8が、選択信号を判断して出力し、複数の抵抗R1〜R4から最適値の抵抗を選択するように働く。このように、実施例2では、2つのワンショット回路11と12で構成した発振回路の発振パルスの一定数の間の基準クロックを計数して、ワンショット回路11,12のパルス幅を計測し、計測したパルス幅に基づいて、最適値の抵抗を選択するようにした点が実施例1と異なるが、その効果は実施例1と同等である。
【0048】
【発明の効果】
本発明の超音波流量計は上述のように構成されているので、リチウム電池等の電池電源を用いて、電池電圧が低下したときでも、ワンショット回路の出力パルスのパルス幅を、送受波器の固有振動数に合う最適値に自動的に変更できるため、電池電圧を最低限度まで有効に活用でき、電池寿命を長く使える。
【0049】
また、定電圧回路などが不要で、定電圧回路を用いることによる電力の損失もない。
【0050】
そして、電池のエネルギーを効率よく使用できるため、電池の使用本数を減らせるとか、電池容量を小さくできる効果がある。
【0051】
また、常に送受波器に最適なパルス幅で駆動するため、電圧低下による受信波の振幅低下を少なくでき、受信波検知の際のS/Nが向上し、受信波の検知が的確にできるため、結果的に流量計としての計測精度が向上する。受信波検知は受信波の特定の波、例えば第3波を検知するが、第3波の検知が確実に行われるため、第3波検知の失敗による再トライの必要もなくなる。
【0052】
また、通常は計測モードとし、時々短時間の間チェックモードとすることで、流量計測動作に悪影響を与えないで、パルス幅を最適値に変更できる。
【0053】
そして、ワンショット回路のパルス幅を正確にチェックできるため、より効果的に抵抗値を選択できる。
【0054】
請求項5の発明では、パルス幅が大幅にずれた時に、ずれたまま流量計測を継続して、流量積算値などの計測値がとんでもない不具合な値になってしまうおそれがなくなる。
【0055】
請求項6の発明は、初期の段階から、抵抗が最適値のものを選択できるので、しばらくの間間違った流量計測値を採用してしまうことがない。
【0056】
請求項7の発明は、電池接続時などの初期時点で簡単に最適値の抵抗を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のブロック図。
【図2】図1のブロック図の要部の電気回路図。
【図3】図2の電気回路の波形図で、(a)は計測モード時の態様を、(b)はチェックモード時の態様の図。
【図4】図2の電気回路で、計測モード時の一部の回路の等価回路(a)と、その波形図(b)。
【図5】図2の電気回路で、チェックモード時の一部の回路の等価回路(a)と、その波形図(b)。
【図6】本発明の他の実施例の要部電気回路図。
【符号の説明】
1,2 送受波器
8 選択手段を構成するコントロール部
8 切換手段を構成するコントロール部
10 アラームを表示する液晶表示部
11,12 ワンショット回路
11A,12A アナログスイッチ
R,R1,R2,R3,R4 抵抗
T/2 パルス幅
Claims (7)
- 送信側にも受信側にも働く少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流の順方向と、下流から上流の逆方向に超音波の送受信を行い、各向きの到達時間から流速さらに流量を求める超音波流量計であって、
送信側の超音波送受波器に加える駆動パルスのパルス幅生成を行うワンショット回路と、電源用の電池を有する超音波流量計において、
ワンショット回路の出力パルスのパルス幅を設定するための抵抗値の異なる複数の抵抗と、
使用する抵抗を選択する選択手段と、
超音波流量計の動作モードを、流速を求める計測モードと、ワンショット回路のパルス幅が所定範囲内に入るかどうかをチェックするチェックモードとに切り換える切換手段とを具備し、
ワンショット回路を複数有し、チェックモード時には、これら複数のワンショット回路をループ状に接続して発振器を構成するように計測時と異なる接続に切り換え、その発振周波数又は発振周期に基づいて、前記選択手段が使用する抵抗を選択することを特徴とする超音波流量計。 - 送信側にも受信側にも働く少なくとも1対の振動子を設け、流体の流れの中を上流から下流の順方向と、下流から上流の逆方向に超音波の送受信を行い、各向きの到達時間から流速さらに流量を求める超音波流量計であって、
送信側の超音波振動子に加える駆動パルスのパルス幅生成を行うワンショット回路と、電源用の電池を有する超音波流量計において、
ワンショット回路の出力パルスのパルス幅を設定するための抵抗値の異なる複数の抵抗と、
前記パルス幅が送信側の超音波振動子の固有振動数の逆数の1/2になるように使用する抵抗を選択する選択手段と、
超音波流量計の動作モードを、流速を求める計測モードと、ワンショット回路のパルス幅が所定範囲内に入るかどうかをチェックするチェックモードとに切り換える切換手段とを具備し、
ワンショット回路を複数有し、チェックモード時には、これら複数のワンショット回路をループ状に接続して発振器を構成するように計測時と異なる接続に切り換え、その発振周波数又は発振周期に基づいて、前記選択手段が使用する抵抗を選択することを特徴とする超音波流量計。 - チェックモード時に、発振器の周波数を計測して所定の範囲内となるように抵抗を選択することを特徴とする請求項1又は2記載の超音波流量計。
- 通常は計測モードで流速・流量の計測を行い、間欠的に短時間の間チェックモードに切り替えてパルス幅をチェックすることを特徴とする請求項1、2又は3記載の超音波流量計。
- 前記発振周波数又は発振周期が所定範囲内に入らないときに、アラームを出すように構成したことを特徴とする請求項4記載の超音波流量計。
- 初期段階において、前記切換手段が一時的にチェックモードに切り換え、前記選択手段が使用する抵抗を選択するように構成したことを特徴とする請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の超音波流量計。
- 初期段階において、使用する抵抗として、特定の抵抗を選択するように構成したことを特徴とする請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の超音波流量計。
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