JP4170945B2 - 漏れ検査システム - Google Patents

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Description

本発明は、流量センサ用いてワークの漏れを検査する漏れ検査システムに関する。さらに詳細には、漏れ検査に要する時間を短縮することができる漏れ検査システムに関するものである。
従来から漏れ検査を行う場合には、差圧計が利用されている。この種の漏れ検査装置の1つとして、例えば、特開2001−59793号公報に開示されているものを挙げることができる。この差圧計を使用する漏れ検査装置では、ワークにエアを充填して、所定時間内における圧力降下の割合からワークの漏れ判定を行うようになっている。
また近年、小型で高速応答の流量センサが開発されており、そのような流量センサを使用して漏れ検査が行われるようになってきている。この流量センサを使用する漏れ検査では、ワークにエアを充填して、その後の流量変化からワークの漏れ判定を行うようになっている。そして、この場合には、流量センサにより微少流量の変化を検出することができるため、漏れ検査を非常に精度よく行うことができる。なお、小型で高速応答の流量センサの1つとして、例えば、特開2003−194608号公報に開示されているものを挙げることができる。
特開2001−59793号公報(第3〜4頁、第1図) 特開2003−194608号公報(第3〜5頁、第1図)
しかしながら、差圧計を使用して漏れ検査を行う場合には、ワークにエアを充填して、差圧を計測するための時間(10〜20秒程度)が必要である。このため、短いタクトタイムが要求される場合には不向きであった。
一方、流量センサを使用して漏れ検査を行う場合には、ワークにエアを充填してすぐに漏れ検査を行うことができる。ここで、漏れ検査を高精度に行うためには、微少流量の変化を検知することが必要となる。このため、漏れ検査に使用する流量センサは、有効断面積(特に、センサ流路)が小さい。したがって、ワークにエアを充填するまでに時間を要してしまう。よって、単に、差圧計の代わりに流量センサを使用したとしても、漏れ検査に要する時間を短縮することができなかった。
そこで、本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、短時間で高精度に漏れ検査を行うことができる漏れ検査システムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明に係る漏れ検査システムは、ワークに流体を充填して前記ワークの漏れ検査を行う漏れ検査システムにおいて、前記ワーク内に流体を充填する充填手段と、前記充填手段から前記ワークに流れる流体の流量を測定する流量センサと、前記流量センサをバイパスさせて流体を前記ワークへ供給するバイパス配管と、前記バイパス配管に設けられた開閉弁と、前記流量センサにより測定される流量値が予め設定された閾値を越えて、その後前記閾値を下回ったときに、前記開閉弁を閉状態にする開閉弁制御手段と、前記流量センサからの出力値に基づいて前記ワークの漏れ判定を行う判定手段と、を有することを特徴とするものである。
この漏れ検査システムにおいて漏れ検査を行う場合には、まず、充填手段によりワーク内に流体が充填される。このとき、バイパス配管に設けられた開閉弁を開状態にしておけば、流体の大部分はバイパス配管を通過してワーク内へ流れ込む。これにより、ワークへの流体の充填を短時間で行うことができる。
その後、ワークに流体が充填されて行くに連れて、流量センサにおける流量は徐々に減少していく。そして、流量センサで測定される流量(出力値)が閾値を下回ると、制御手段により開閉弁が閉状態にされる。これにより、流体は充填手段からバイパス配管を介さずに流量センサを通過してワークへと流れる。その後、判定手段により、流量センサからの出力値に基づいてワークの漏れ判定が行われる。
具体的には、開閉弁が閉じられて流量センサの出力値が安定した後、ワークに漏れが発生してなければ、流量センサの出力値は変化しないはずである。したがって、このとき流量センサの出力値が変化しない場合には「漏れなし」と判定される。一方、流量センサの出力値が変化した場合には、「漏れあり」と判定される。
このように、この漏れ検査システムでは、充填時には開閉弁が開き短時間でワークに流体を充填して、充填後に開閉弁を閉じて漏れ判定を行うので、短時間で高精度に漏れ検査を行うことができる。
なお、ノーマルクローズタイプの開閉弁を使用する場合には、流量センサの最大出力値よりも小さい閾値を越えたときに開閉弁を開くようにすればよい。
ここで、本発明に係る漏れ検査システムでは、前記流量センサは、流量を計測するための抵抗体と、前記抵抗体が架設されたセンサ流路と、エッチング加工された複数の薄板を備え、ボディに形成された側面開口部に配置された積層体と、前記側面開口部を塞ぐように前記ボディに密着して固定された基板とを有し、前記基板は、抵抗体を用いた計測原理を行うための電気回路に接続する電気回路用電極を備え、前記センサ流路は、抵抗体とその抵抗体に接続する抵抗体用電極とが設けられた測定チップを、前記抵抗体用電極と前記電気回路用電極とを接着して前記基板に実装することにより、前記測定チップあるいは前記基板の少なくとも一方に設けられた溝によって形成され、前記測定チップは、流れ方向上流側に設けられた上流温度検出抵抗体と、流れ方向下流側に設けられた下流温度検出抵抗体と、前記上流温度検出抵抗体と前記下流温度検出抵抗体との間に設けられ、前記上流温度検出抵抗体と前記下流温度検出抵抗体とを加熱する発熱抵抗体と、流体の温度を検出する流体温度検出抵抗体とを備えており、前記電気回路により、前記発熱抵抗体と前記流体温度検出抵抗体とが一定の温度差になるように制御され、前記上流温度検出抵抗体と前記下流温度検出抵抗体との温度差に基づき流体の流量が測定されることが望ましい。
なお、本明細書における「側面開口部」とは、ボディの側面(言い換えると、入出力ポートが開口していない面)であって基板が装着される面に開口した開口部を意味する。
このような流量センサでは、流量計に流れ込んだ流体は、抵抗体が架設されたセンサ流路に流れ込む。そして、抵抗体を用いた計測原理に基づき、センサ流路を流れる流体の流量、つまり流量センサの内部を流れる流体の流量が測定される。具体的には、電気回路により、発熱抵抗体と流体温度検出抵抗体とが一定の温度差になるように制御され、上流温度検出抵抗体と下流温度検出抵抗体との温度差に基づき流体の流量が測定される。これにより、微少流量の変化も高精度に検知することができる。したがって、このような流量センサを使用することにより、漏れ検査システムにおいて高精度な漏れ検査を行うことができる。
そして、前記流量センサは、前記センサ流路を流れる流体の流速が1000m/s以下となるように有効断面積を変更する有効断面積変更手段を備えている
ここで、充填開始時に流量センサにおける流量が最大となり、流量センサには大流量の流体が流れるおそれがあり、そうなった場合には測定チップが破損する可能性がある。しかしながら、この漏れ検査システムで使用する流量センサには、センサ流路を流れる流体の流速が1000m/s以下となるように有効断面積を変更する有効断面積変更手段が備わっている。
このため、充填開始時に流量センサに大流量の流体が流れ込んでも、有効断面積変更手段によってセンサ流路を流れる流体の流速が1000m/s以下に抑えられる。そして、センサ流路を流れる流体の流速が1000m/s以下であれば、測定チップが破損しないことが確認されている(図9参照)。したがって、測定チップの破損を確実に防止することができる。
なお、有効断面積変更手段としては、オリフィスや蛇行流路などを挙げることができる。また、有効断面積変更手段は積層体内に設けてもよいし、積層体よりも上流の流路(例えば、入口流路など)に設けてもよい。
また、上記課題を解決するためになされた本発明に係る別形態の漏れ検査システムは、ワークにエアを充填して前記ワークの漏れ検査を行う漏れ検査システムにおいて、前記ワーク内にエアを充填する充填手段と、前記流量センサをバイパスさせて流体を前記ワークへ供給するバイパス配管と、前記バイパス配管に設けられた逆止弁と、前記流量センサからの出力値に基づいて前記ワークの漏れ判定を行う判定手段と、を有することを特徴とするものである。
この漏れ検査システムにおいて漏れ検査を行う場合には、まず、充填手段によりワーク内に流体が充填される。このとき、充填手段側とワーク側とで圧力差が発生するので逆止弁が開く。このため、充填手段から供給される流体は、バイパス配管を通過してワークへと流れ込む。このため、ワークへの流体の充填を短時間で行うことができるとともに、流量センサを破損することもない。そして、ワークに流体が充填されると、充填手段側とワーク側とで圧力差がなくなるので逆止弁が閉じる。
これにより、流体は充填手段からバイパス流路を介さずに流量センサを通過してワークへと流れる。その後、判定手段により、流量センサからの出力値に基づいてワークの漏れ判定が行われる。
具体的には、開閉弁が閉じられて流量センサの出力値が安定した後、ワークに漏れが発生してなければ、流量センサの出力値は変化しないはずである。したがって、このとき流量センサの出力値が変化しない場合には「漏れなし」と判定される。一方、流量センサの出力値が変化した場合には、「漏れあり」と判定される。
このように、この漏れ検査システムでは、充填時には逆止弁が開き短時間でワークに流体を充填して、充填後には逆止弁が閉じて漏れ判定を行うので、短時間で高精度に漏れ検査を行うことができる。
また、上記課題を解決するためになされた本発明に係る別形態の漏れ検査システムは、ワークにエアを充填して前記ワークの漏れ検査を行う漏れ検査システムにおいて、前記ワーク内にエアを充填する充填手段と、前記充填手段から前記ワークに流れる流体の流量を測定する流量センサと、前記流量センサからの出力値に基づいて前記ワークの漏れ判定を行う判定手段と、を有し、前記流量センサは、流量を計測するための抵抗体が架設されたセンサ流路と、入口流路と、出口流路と、ボディに形成された側面開口部に配置された積層体と、前記側面開口部を塞ぐように前記ボディに密着して固定された基板とを有し、前記基板は、抵抗体を用いた計測原理を行うための電気回路に接続する電気回路用電極を備え、前記積層体は、エッチング加工された複数の薄板を備え、前記ボディは、前記入口流路と前記出口流路とを前記センサ流路を介さずに連通させる連通流路と、その連通流路に設けられた逆止弁とを備え、前記センサ流路は、抵抗体とその抵抗体に接続する抵抗体用電極とが設けられた測定チップを、前記抵抗体用電極と前記電気回路用電極とを接着して前記基板に実装することにより、前記測定チップあるいは前記基板の少なくとも一方に設けられた溝によって形成され、前記測定チップは、流れ方向上流側に設けられた上流温度検出抵抗体と、流れ方向下流側に設けられた下流温度検出抵抗体と、前記上流温度検出抵抗体と前記下流温度検出抵抗体との間に設けられ、前記上流温度検出抵抗体と前記下流温度検出抵抗体とを加熱する発熱抵抗体と、流体の温度を検出する流体温度検出抵抗体とを備えており、前記電気回路により、前記発熱抵抗体と前記流体温度検出抵抗体とが一定の温度差になるように制御され、前記上流温度検出抵抗体と前記下流温度検出抵抗体との温度差に基づき流体の流量が測定されることを特徴することを特徴とするものである。
この漏れ検査システムにおいて漏れ検査を行う場合には、まず、充填手段によりワーク内に流体が充填される。このとき、流体は流量センサを通過してワークに流れ込む。そして、この漏れ検出システムにおける流量センサは、入口流路と出口流路とをセンサ流路を介さずに連通させる連通流路に設けられた逆止弁を備えている。
このため、入口流路と出口流路とで圧力差が発生すると、逆止弁が開き入口流路に流れ込んだ流体の大部分はそのまま出口流路へと流れる。そして、ワークに対する流体の充填が開始されると入口流路(充填手段側)と出口流路(ワーク側)とで圧力差が生じる。したがって、逆止弁が開き、流量センサに流れ込んだ流体は連通流路を通過してワークへと流れ込む。このため、ワークへの流体の充填を短時間で行うことができるとともに、流量センサにおける測定チップを破損することもない。
そして、ワークに流体が充填されると、入口流路(充填手段側)と出口流路(ワーク側)とで圧力差がなくなるので逆止弁が閉じる。これにより、流体は充填手段からセンサ流路を通過してワークへと流れる。その後、判定手段により、流量センサからの出力値に基づいてワークの漏れ判定が行われる。
具体的には、開閉弁が閉じられて流量センサの出力値が安定した後、ワークに漏れが発生してなければ、流量センサの出力値は変化しないはずである。したがって、このとき流量センサの出力値が変化しない場合には「漏れなし」と判定される。一方、流量センサの出力値が変化した場合には、「漏れあり」と判定される。
このように、この漏れ検査システムでは、充填時には流量センサ内に設けた逆止弁が開き短時間でワークに流体を充填して、充填後には逆止弁が閉じて漏れ判定を行うので、短時間で高精度に漏れ検査を行うことができる。
本発明に係る漏れ検査システムによれば、ワークへの流体充填時には流量センサ(センサ流路)をバイパスさせて流体をワークへ充填し、ワークに流体が充填された後に流量センサの出力に基づいて漏れ検査を行うので、短時間で高精度に漏れ検査を行うことができる。
以下、本発明の漏れ検査システムを具体化した最も好適な実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態について説明する。そこで、第1の実施の形態に係る漏れ検査システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、漏れ検査システム1の概略構成を示す図である。
第1の実施の形態に係る漏れ検出システム1には、図1に示すように、充填手段であるレギュレータ2と、開閉弁3,4,5と、測定対象であるワーク6と、コントローラ7と、圧力センサ9と、流量センサ10と、メイン配管90と、バイパス配管91と、分岐配管92とが備わっている。そして、メイン配管90に、開閉弁3と流量センサ10とが配置されている。また、バイパス配管91に開閉弁4が配置され、分岐配管92に開閉弁5が配置されている。なお、分岐配管92の一端は大気解放されている。
コントローラ7は、開閉弁3〜5の動作を制御するとともに、ワーク6の漏れ判定を行うものである。このため、コントローラ7には、流量センサ10の出力信号が入力されるようになっている。また、流量センサ10の出力信号に基づき開閉弁4は制御されるようになっている。つまり、コントローラ7は、「開閉弁制御手段」と「判定手段」とに相当するものである。また、圧力センサ9は、レギュレータ2から供給される流体の圧力をモニタするために設けられている。
流量センサ10は、ワーク6に流体が充填された後にワーク6からの漏れ量、つまりレギュレータ2からワーク6に流れる流量を測定するものである。ここで、流量センサ10の概略構成を図2に示す。図2は、流量センサ10を示す断面図である。図2に示すように、本実施の形態に係る流量センサ10には、ボディ41と、センサ基板21と、積層体50とが備わっている。そして、積層体50がボディ41の流路空間44に装着された状態で、センサ基板21がシールパッキン48を介しボディ41にネジ固定で密着されている。
ボディ41は、図3および図4に示すように、直方体形状のものであり、左右対称に構成されている。なお、図3は、ボディ41を示す平面図である。図4は、図3におけるA−A断面図である。このボディ41には、両端面に入口ポート42と出口ポート46とが形成されている。そして、入口ポート42からボディ中央に向かって入口流路43が形成され、同様に出口ポート46からボディ中央に向かって出口流路45が形成されている。
また、ボディ41の上部には、積層体50を配置するとともにセンサ流路Sを形成するための流路空間44が形成されている。この流路空間44の横断面は、長方形の両短辺を円弧状(半円)にした形状になっており、その中央部に円弧状の凸部44Cが形成されている。凸部44Cは、積層体50(各薄板)の位置決めを行うためのものである。そして、流路空間44の下面の一部が入口流路43および出口流路45に連通している。すなわち、入口流路43と出口流路45とがそれぞれ90度に屈曲したエルボ部43Aと45Aを介して流路空間44に連通されている。さらに、流路空間44の外周に沿うようにボディ41の上面には、シールパッキン48を装着するための溝49が形成されている。
積層体50は、図5に示すように、3種類の薄板を合計12枚積層したものである。なお、図5は、積層体50の構造を示す分解斜視図である。この積層体50は、下から順に、メッシュ板51、両端開口板53、メッシュ板51、両端開口板53、オリフィス板52、両端開口板53,53、メッシュ板51、両端開口板53、メッシュ板51、両端開口板53、およびメッシュ板51が積層されて密着されたものである。
メッシュ板51、オリフィス板52、および両端開口板53は、ともに厚さが0.5mm以下のものであり、エッチングにより各形状の加工(マイクロマシニング加工)がなされたものである。そして、積層体50(各薄板)の投影形状は流路空間44の横断面形状と同じになっている。これにより、積層体50が流路空間44に隙間なく装着されるようになっている。
ここで、個々の薄板について説明する。まず、メッシュ板51について、図6、図7を用いて説明する。なお、図6(a)はメッシュ板51を示す平面図であり、図6(b)は図6(a)におけるA−A断面図である。図7は、メッシュ板51のメッシュ部51Mの拡大図である。メッシュ板51は、図6に示すように、その両端にメッシュ部51Mが形成された厚さが0.3mmの薄板である。メッシュ部51Mは、直径4mmの円形状であり、図7に示すように、メッシュを構成する孔(直径0.2mm)の中心間距離がすべて0.27mmとなるように形成されている。すなわち、各孔の中心が正三角形の各頂点となるように孔が形成されている。なお、メッシュ部51Mの厚さは、図6(b)に示すように他の部分よりも薄くなっており、その厚さは0.05〜0.1mmとなっている。
次に、オリフィス板52について図8を用いて説明する。なお、図8(a)は、オリフィス52を示す平面図であり、図8(b)は、図8(a)におけるA−A断面図である。オリフィス板52は、図8に示すように、エッチング加工により形成されたオリフィス52Aを2箇所に有している。なお、オリフィス板52の厚さは0.3mmである。
ここで、オリフィス板52に形成するオリフィス52Aの直径は、センサ流路Sにおける流体の流速を、測定チップ11が破損しない程度まで絞れる寸法に決定する必要がある。そこで、発明者らは、オリフィスの直径とセンサ流路Sにおける流速および測定チップ11の破損割合の関係を調べた。その結果を、図9に示す。図9は、1Mpaの流体を流量センサ10に流し込んだ場合の結果を示す。
図9に示すように、オリフィスを設けない場合には、センサ流路Sにおける流速が2000m/sを越えてしまい、30%程度の割合で測定チップ11が破損した。オリフィス52Aの直径を1.0mmとした場合には、センサ流路Sにおける流速が1040m/s程度に抑えられるが、5%程度の割合で測定チップ11が破損した。そして、オリフィス52Aの直径を0.5mmとした場合には、センサ流路Sにおける流速が620m/s程度に抑えられ、測定チップ11が破損することはなかった。
この調査結果から、センサ流路Sにおける流体の流速を1000m/s以下に抑えることにより、測定チップ11の破損を防止することができることが判明した。このため、本実施の形態では、オリフィス52Aの直径を0.5mmとしている。
流量センサ10では、オリフィス52Aを2箇所設けているが、オリフィス52Aは1次側、あるいは2次側にのみ設けることもできる。オリフィス52Aを1箇所にのみ設ける場合には、1次側に設けることが好ましい。1次側にオリフィス52Aを設ける方が、測定チップ11の破損をより確実に防止することができるからである。
最後に、両端開口板53について図10を用いて説明する。なお、図10(a)は両端開口板53を示す平面図であり、図10(b)は図10(a)におけるA−A断面図である。両端開口板53は、図10に示すように、外周部53Bと中央部53Dとを残すようにエッチング加工されたものである。これにより、両端開口板53には、その両端に開口部63が形成されている。なお、両端開口板53の厚さは0.5mmである。
図2に戻って、上記したメッシュ板51、オリフィス板52、および両端開口板53を組み合わせて、図5に示すように積層して密着した積層体50を流路空間44に装着することにより、連絡流路5,6が形成されている。そして、この連絡流路5,6にそれぞれオリフィス52Aが配置されている。なお、連絡流路5は、入口流路43とセンサ流路Sとを連通させるものであり、連絡流路6は、出口流路45とセンサ流路Sとを連通させるものである。
一方、センサ基板21は、測定流量を電気信号として出力するものである。このためセンサ基板21には、図11に示すように、ベースとなるプリント基板22の表面側(ボディ41への装着面側)において、その中央部に溝23が加工されている。そして、この溝23の両側に、電気回路用電極24,25,26,27,28,29が設けられている。一方、プリント基板22の裏面側には、電気素子31、32、33、34などで構成される電気回路が設けられている(図2参照)。そして、プリント基板22の中で、電気回路用電極24〜29が電気素子31〜34などで構成される電気回路と接続されている。さらに、プリント基板22の表面側には、後述するようにして、測定チップ11が実装されている。
ここで、測定チップ11について、図12を用いて説明する。なお、図12は、測定チップ11を示す平面図である。測定チップ11は、図12に示すように、シリコンチップ12に対して、半導体マイクロマシニングの加工技術を実施したものであり、このとき、チップ中央に溝13が加工されるとともに、抵抗体(熱線)用電極14,15,16,17、18,19がチップ両端に設けられる。
また、このとき、上流温度検出抵抗体R1が、抵抗体用電極15,17から延設されるとともに溝13の上に架設される。さらに、下流温度検出抵抗体R2が、抵抗体用電極17,19から延設されるとともに溝13の上に架設される。さらにまた、発熱抵抗体Rhが、上流温度検出抵抗体R1と下流温度検出抵抗体R2との間に、抵抗体用電極16,18から延設されるとともに溝13の上に架設される。また、測定チップ11においては、センサ流路Sの順方向上流側に流体温度検出抵抗体Rtが、抵抗体用電極14,16から延設される。
そして、測定チップ11の熱線用電極14,15,16,17,18,19を、センサ基板21の電気回路用電極24,25,26,27,28,29(図11参照)のそれぞれと、半田リフロー又は導電性接着剤などで接合することによって、測定チップ11をセンサ基板21に実装している。したがって、測定チップ11がセンサ基板21に実装されると、測定チップ11に設けられた流体温度検出抵抗体Rt、上流温度検出抵抗体R1、下流温度検出抵抗体R2、および発熱抵抗体Rhは、測定チップ11の抵抗体用電極14〜19と、センサ基板21の電気回路用電極24〜29(図11参照)とを介して、センサ基板21の裏面側に設けられた電気回路に接続されることになる。これにより、図13に示す定温度差回路と、図14に示す出力回路とが構成される。
ここで、図13に示す定温度差回路は、発熱抵抗体Rhを、流体温度検出抵抗体Rtで検出される流体温度と一定の温度差をもつように制御するための回路である。また、図14に示す出力回路は、上流温度検出抵抗体R1と下流温度検出抵抗体R2との温度差に相当する電圧値を出力するための回路である。この出力回路では、上流温度検出抵抗体R1と下流温度検出抵抗体R2とが直列に接続され、定電圧Vcが印可されるようになっている。そして、上流温度検出抵抗体R1と下流温度検出抵抗体R2との中点電位Voutが測定信号として出力されるようになっている。
また、測定チップ11がセンサ基板21に実装されると、測定チップ11の溝13は、センサ基板21の溝23と重なり合う。よって、図2に示すように、測定チップ11が実装されたセンサ基板21を、ボディ41に対して、積層体50およびシールパッキン48を介して密着すると、ボディ41の流路空間44において、センサ基板21と測定チップ11との間に、測定チップ11の溝13やセンサ基板21の溝23などからなる細長い形状のセンサ流路Sが形成される。そのため、センサ流路Sには、流体温度検出抵抗体Rt、上流温度検出抵抗体R1、下流温度検出抵抗体R2、および発熱抵抗体Rhが橋を渡すように設けられることになる。
上記の流量センサ10では、入口ポート42を介して入口流路43へ流れ込んだ流体は、センサ流路Sへ流れ込む。そして、センサ流路Sから流れ出した流体は、出口流路45を介して出口ポート46からボディ41の外部に流れ出す。
ここで、センサ流路Sへ流れ込む流体は、積層体50内におけるメッシュ部51Mを通過した後に、センサ流路Sに流れ込む。したがって、非常に流れが整えられた状態の流体が、センサ流路Sを流れる。
また、ワーク6への流体充填開始時に、流量センサ10に大流量の流体が流れ込んだ場合には、積層体50に設けられたオリフィス板52に形成されたオリフィス52Aによって流量が絞られる。具体的には、センサ流路Sにおける流体の流速は、確実に1000m/s以下に抑えられる。本実施の形態では、オリフィス52Aの直径を0.5mmとしているので、センサ流路Sにおける流体の流速は、約620m/sに抑えらる。これにより、測定チップ11の破損を確実に防止することができる(図9参照)。
そして、センサ流路Sを流れる流体は、センサ流路Sに橋設された発熱抵抗体Rhから熱を奪う。そうすると、センサ基板21の裏面側に設けられた電気回路(図13に示す定温度差回路)により、流体温度検出抵抗体Rtと発熱抵抗体Rhとが一定の温度差になるように制御される。
また、センサ基板21の裏面側に設けられた電気回路(図14に示す出力回路)により、直列に接続され定電圧Vcが印可された上流温度検出抵抗体R1と下流温度検出抵抗体R2との中点電位Voutが測定信号として出力される。このとき、流体が順方向の流れの場合には、上流温度検出抵抗体R1の温度(抵抗値)が低下し、下流温度検出抵抗体R2の温度(抵抗値)が増加するため、中点電位Voutが増加する。
次に、本実施の形態に係る漏れ検査システム1によって、ワーク6の漏れ検査を行う場合について説明する。まず、漏れ検査を行うワーク6がメイン配管90にクランプされる。ワーク6のセットが終了したら、コントローラ7により開閉弁3,4が開状態にされる。これにより、ワーク6への流体の充填が開始される。このとき、レギュレータ2から供給される流体は、メイン流路90およびバイパス流路91を通過してワーク6へ流れ込む。そして、メイン流路90には流量センサ10が配置されているので有効断面積が小さいため、流体の大部分はバイパス配管91を通過してワーク6へ流れ込む。このため、ワーク6への流体充填の時間が短縮される。なお、流量センサ10にも大流量の流体が流れるが上記したように流量センサ10(測定チップ11)が破損することはない。
その後、ワーク6に流体が充填され漏れ試験を行う圧力に近づくと、レギュレータ2側とワーク6側との圧力差が小さくなる。これにより、レギュレータ2からワーク6へ流れる流体の流量が減少する。このため、流量センサ10の出力値が小さくなっていく。
そして、流量センサ10の出力値(流量に相当する)が閾値を下回るとコントローラ7により、開閉弁4が閉状態にされる。これにより、バイパス配管91は遮断される。その後、開閉弁4が閉じられてから所定時間が経過したら、ワーク6の漏れ量が流量センサ10によって測定される。なお、閾値は、流量センサ10の最低出力値を確認して予め決めておけばよい。また、所定時間は、開閉弁4が閉じられてから流量センサ10の出力値が安定するまでの時間であり、試験により予め求めておけばよい。
そして、このときの流量センサ10の出力値に基づきコントローラ7により、ワーク6の漏れ判定(良品・不良品の判定)が行われる。流量センサ10は、微少流量の変化を精度よく測定することができるので、漏れ検査システム1では、短時間で高精度に漏れ検査を行うことができる。
つまり、ワーク6に漏れが発生してなければ、流量センサ10の出力値(開閉弁4が閉じられてから所定時間が経過したときの安定値)は変化しないはずである。したがって、このとき流量センサ10の出力値が変化しない場合には「漏れなし」と判定される。一方、流量センサ10の出力値が変化(本実施の形態では増加)した場合には、「漏れあり」と判定される。そして、その判定結果が不図示の表示装置に表示される。
そして、コントローラ7によりワーク6の漏れ判定が行われた後、開閉弁3が閉状態にされる。続いて、コントローラに7により開閉弁5が開状態にされる。これにより、ワーク6に充填された流体の排気が行われる。その後、開閉弁5が閉状態にされ、ワーク6がメイン配管90から取り外され、次のワークがメイン配管90にクランプされる。そして、上記した動作が繰り返し行われる。
ここで、従来の流量センサを使用したシステムと本実施の形態に係るシステム1とにより漏れ検査を行ったときにおけるそれぞれの流量センサからの出力値を図15に示す。図15において、破線で示すのが従来のシステムであり、実線で示すのが本実施の形態に係るシステム1である。
従来のシステムでは、充填開始から流量センサの出力値が安定するまでに約14秒かかっている。これに対して、本実施の形態に係るシステム1では、充填開始から流量センサの出力値が安定するまでの時間は約7秒である。したがって、本実施の形態に係るシステム1は、ワークの漏れ判定(漏れ量の測定)を行うまでの時間を半減することができる。このように、本実施の形態に係るシステム1は、短時間で高精度な漏れ検査を行うことができる。
以上、詳細に説明したように第1の実施の形態に係る漏れ検査システム1によれば、ワーク6への流体充填時には、流体の大部分がバイパス配管を通過してワーク内へ流れ込む。これにより、ワーク6への流体の充填を短時間で行うことができる。そして、ワーク6に流体が充填されて行くに連れて、流量センサ10における流量が徐々に減少していき、流量センサ10の出力値が閾値を下回ると、コントローラ7により開閉弁4が閉状態にされる。これで、流体はレギュレータ2からバイパス配管91を介さずに流量センサ10を通過してワーク6へと流れる。そして、流量センサ10の出力値が安定したところで、コントローラ7により流量センサ10からの出力値の変化に基づいてワーク6の漏れ判定が行われる。
このように、この漏れ検査システム1では、充填時には開閉弁4を開き短時間でワーク6に流体を充填して、充填後に開閉弁4を閉じてワーク6の漏れ判定を行うので、短時間で高精度に漏れ検査を行うことができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態に係る漏れ検査システムは、基本的な構成を第1の実施の形態に係る漏れ検査システム1とほぼ同じくするが、開閉弁4の代わりに逆止弁をバイパス配管91に設けた点が異なる。また、流量センサにおける積層体の形状も少し異なる。そこで、以下の説明では、第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、第1の実施の形態と同様の構成のものについては同符号を付して説明を適宜省略する。
そこで、第2の実施の形態に係る漏れ検査システムについて、図16を参照しながら説明する。図16は、漏れ検査システム1Aの概略構造を示す図である。第2の実施の形態に係る漏れ検査システム1Aには、図16に示すように、レギュレータ2と、開閉弁3,5と、逆止弁70と、ワーク6と、コントローラ7と、圧力センサ9と、流量センサ10Aと、メイン配管90と、バイパス配管91と、分岐配管92とが備わっている。そして、メイン配管90に、開閉弁3と流量センサ10Aとが配置されている。また、バイパス配管91に逆止弁70が配置され、分岐配管92に開閉弁5が配置されている。なお、分岐配管92の一端は大気解放されている。
つまり、漏れ検査システム1Aは、第1の実施の形態に係る漏れ検査システム1において、バイパス配管91に開閉弁4を配置する代わりに逆止弁70を配置しているのである。このため、コントローラ7は、開閉弁3,5の動作を制御するとともに、ワーク6の漏れ判定を行うようになっている。
ここで、流量センサ10Aに備わる積層体50Aについて図17を参照しながら説明する。なお、図17は、積層体50Bの構造を示す分解斜視図である。積層体50Aは、図17に示すように、2種類の薄板を合計12枚積層したものである。この積層体50Aは、下から順に、メッシュ板51、両端開口板53、メッシュ板51、両端開口板53,53,53,53、メッシュ板51、両端開口板53、メッシュ板51、両端開口板53、およびメッシュ板51が積層されて密着されたものである。つまり、積層体50Aは、第1の実施の形態における積層体50のオリフィス板52を両端開口板53に入れ替えたものである。このように、オリフィス板51が不要になるのは、バイパス配管91に逆止弁70を配置したため、センサ流路Sに大流量の流体が流れ込むことがないからである。
続いて、上記した漏れ検査システム1Aによって、ワーク6の漏れ検査を行う場合について説明する。まず、漏れ検査を行うワーク6がメイン配管90にクランプされる。ワーク6のセットが終了したら、コントローラ7により開閉弁3が開状態にされる。これにより、ワーク6への流体の充填が開始される。そうすると、レギュレータ2側とワーク6側とで圧力差が発生する。このため、逆止弁70が開く。これにより、レギュレータ2から供給される流体の大部分は、バイパス流路91を通過してワーク6へ流れ込む。したがって、ワーク6への流体充填の時間が短縮される。
その後、ワーク6に流体が充填され漏れ試験を行う圧力に近づくと、レギュレータ2側とワーク6側との圧力差が小さくなる。このため、逆止弁70が閉じる。これにより、バイパス配管91は遮断される。このため、レギュレータ2からワーク6へ流れる流体はセンサ流路Sを通過する。その後、開閉弁3が開かれたときから所定時間が経過したら、ワーク6の漏れ量が流量センサ10によって測定される。なお、所定時間は、開閉弁3が開かれてから流量センサ10の出力値が安定するまでの時間であり、試験により予め求めておけばよい。
そして、このときの流量センサ10の出力値に基づきコントローラ7により、ワーク6の漏れ判定(良品・不良品の判定)が行われる。流量センサ10は、微少流量の変化を精度よく測定することができるので、漏れ検査システム1Aでも、短時間で高精度に漏れ検査を行うことができる。
そして、コントローラ7によりワーク6の漏れ判定が行われた後、開閉弁3が閉状態にされる。続いて、コントローラに7により開閉弁5が開状態にされる。これにより、ワーク6に充填された流体の排気が行われる。その後、開閉弁5が閉状態にされ、ワーク6がメイン配管90から取り外され、次のワークがメイン配管90にクランプされる。そして、上記した動作が繰り返し行われる。
以上、詳細に説明したように第2の実施の形態に係る漏れ検査システム1Aによれば、ワーク6への流体充填時には、レギュレータ2側とワーク6側とで圧力差が生じるため逆止弁70が開く。このため、流体の大部分がバイパス配管91を通過してワーク6内へ流れ込む。これにより、ワーク6への流体の充填を短時間で行うことができる。そして、ワーク6に流体が充填され、レギュレータ2側とワーク6側とで圧力差が小さくなると逆止弁70が閉じる。これで、流体はレギュレータ2からバイパス配管91を介さずに流量センサ10を通過してワーク6へと流れる。そして、流量センサ10の出力値が安定したところで、コントローラ7により流量センサ10からの出力値の変化に基づいてワーク6の漏れ判定が行われる。
このように、この漏れ検査システム1Aでは、充填時には逆止弁70が開き短時間でワーク6に流体が充填され、ワーク6に流体が充填されると逆止弁70が閉じて、その後、ワーク6の漏れ判定を行うので、短時間で高精度に漏れ検査を行うことができる。
(第3の実施の形態)
最後に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態に係る漏れ検査システムは、基本的な構成を第2の実施の形態に係る漏れ検査システム1Aとほぼ同じくするが、流量センサの構成が異なる。具体的には、本実施の形態では、逆止弁を流量センサに内蔵した点が異なる。そこで、以下の説明では、第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、第2の実施の形態と同様の構成のものについては同符号を付して説明を適宜省略する。
そこで、第3の実施の形態に係る漏れ検査システムについて、図18を参照しながら説明する。図18は、漏れ検査システム1Bの概略構造を示す図である。第3の実施の形態に係る漏れ検査システム1Bには、図18に示すように、レギュレータ2と、開閉弁3,5と、ワーク6と、コントローラ7と、圧力センサ9と、パイパス配管に相当する連通流路80と逆止弁81とを内蔵する流量センサ10Bと、メイン配管90と、分岐配管92とが備わっている。そして、メイン配管90に、開閉弁3と流量センサ10Bとが配置されている。また、分岐配管92に開閉弁5が配置されている。なお、分岐配管92の一端は大気解放されている。つまり、漏れ検査システム1Bは、第2の実施の形態に係る漏れ検査システム1Aにおいて、バイパス配管および逆止弁を流量センサに内蔵した構造になっている。
ここで、第3の実施の形態に漏れ検査システム1Bに備わる流量センサ10Bについて、図19を参照しながら説明する。図19は、流量センサ10Bの概略構成を示す断面図である。流量センサ10Bには、図19に示すように、ボディ41の流路空間44に装着された積層体50Bと、入口流路43と出口流路45とをセンサ流路Sを介さずに連通させる連通流路80と、その連通流路80に設けられた逆止弁81とが備わっている。
このような流量センサ10Bでは、入口流路43と出口流路45とで圧力差が発生すると逆止弁81が開弁する。これにより、入口流路43と出口流路45とは連通流路80によりセンサ流路Sを介さずに連通する。このため、流量センサ10Bに大流量の流体が流れ込んだ場合には、入口流路43と出口流路45とで圧力差が発生するために逆止弁81が開弁する。そうすると、入口流路43に流れ込んだ流体の大部分は、センサ流路Sを通過することなくそのまま出口流路45へ流れる。その後、入口流路43と出口流路43との圧力差が小さくなると逆止弁81が閉弁するので、流体はセンサ流路Sに流れ込む。
続いて、上記した漏れ検査システム1Bによって、ワーク6の漏れ検査を行う場合について説明する。まず、漏れ検査を行うワーク6がメイン配管90にクランプされる。ワーク6のセットが終了したら、コントローラ7により開閉弁3が開状態にされる。これにより、ワーク6への流体の充填が開始される。このとき、レギュレータ2から供給される流体は、流量センサ10Bを通過してワーク6へと流れる。
ここで、流体が流量センサ10Bに供給されると、入口流路43と出口流路45とで圧力差が発生する。このため逆止弁81が開く。これにより、入口流路43と出口流路45とは連通流路80によりセンサ流路Sを介さずに連通する。このため、流量センサ10Cの入口流路43に流れ込んだ流体の大部分は、センサ流路Sを通過することなくそのまま出口流路45へ流れ、ワーク6へ充填される。したがって、ワーク6への流体充填の時間が短縮される。
その後、ワーク6に流体が充填され漏れ試験を行う圧力に近づくと、入口流路43と出口流路43との圧力差が小さくなるので逆止弁81が閉じる。これにより、連通流路80は遮断される。このため、レギュレータ2からワーク6へ流れる流体はセンサ流路Sを通過する。
そして、開閉弁3が開かれたときから所定時間が経過したら、ワーク6の漏れ量が流量センサ10Bによって測定される。なお、所定時間は、開閉弁3が開かれてから流量センサ10Bの出力値が安定するまでの時間であり、試験により予め求めておけばよい。
このときの流量センサ10Bの出力値に基づきコントローラ7により、ワーク6の漏れ判定(良品・不良品の判定)が行われる。流量センサ10Bは、微少流量の変化を精度よく測定することができるので、漏れ検査システム1Bでも、短時間で高精度に漏れ検査を行うことができる。
そして、コントローラ7によりワーク6の漏れ判定が行われた後、開閉弁3が閉状態にされる。続いて、コントローラに7により開閉弁5が開状態にされる。これにより、ワーク6に充填された流体の排気が行われる。その後、開閉弁5が閉状態にされ、ワーク6がメイン配管90から取り外され、次のワークがメイン配管90にクランプされる。そして、上記した動作が繰り返し行われる。
以上、詳細に説明したように第3の実施の形態に係る漏れ検査システム1Bによれば、ワーク6への流体充填時には、入口流路43と出口流路45とで圧力差が生じるため逆止弁81が開く。このため、流量センサ10Bに供給された流体の大部分が連通流路80を通過してワーク6内へ流れ込む。これにより、ワーク6への流体の充填を短時間で行うことができる。そして、ワーク6に流体が充填され、入口流路43と出口流路45とで圧力差が小さくなると逆止弁81が閉じる。これで、流体はレギュレータ2から連通流路80を介さずにセンサ流路Sを通過してワーク6へと流れる。そして、出力センサ10Bの出力値が安定したところで、コントローラ7により流量センサ10Bからの出力値の変化に基づいてワーク6の漏れ判定が行われる。
このように、この漏れ検査システム1Bでは、充填時には流量センサ10Bに内蔵された逆止弁81が開き短時間でワーク6に流体が充填され、ワーク6に流体が充填されると逆止弁81が閉じて、その後、ワーク6の漏れ判定を行うので、短時間で高精度に漏れ検査を行うことができる。
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、図20に示すように、開閉弁4の1次側と2次側との差圧を計測する差圧計95を設け、その差圧計の出力信号を開閉弁4の制御に利用してもよい。具体的には、差圧計95の出力信号のみ、あるいは流量センサ10および差圧計95の出力信号の両方を利用して、開閉弁を閉じるタイミングを制御するようにすればよい。
第1の実施の形態に係る漏れ検査システムの概略構成を示す図である。 第1の実施の形態に係る流量センサの概略構成図である。 ボディの平面図である。 図3のA−A断面図である。 図2に示す積層体の分解斜視図である。 メッシュ板を示す図であり、(a)が平面図、(b)がA−A断面図である。 図6のメッシュ部の拡大図である。 オリフィス板を示す図であり、(a)が平面図、(b)がA−A断面図である。 オリフィスの直径およびセンサ流路における流体の流速と、測定チップの破損割合との関係を示す図である。 両端開口板を示す図であり、(a)が平面図、(b)がA−A断面図である。 センサ基板の斜視図である。 測定チップの平面図である。 定温度差回路の回路図である。 出力回路の回路図である。 漏れ検査を行ったときにおける流量センサの出力値を示す図である。 第2の実施の形態に係る漏れ検査システムの概略構成を示す図である。 第2の実施の形態に係る漏れ検査システムで使用する流量センサに備わる積層体の分解斜視図である。 第3の実施の形態に係る漏れ検査システムの概略構成を示す図である。 第3の実施の形態に係る漏れ検査システムに備わる流量センサの断面図である。 本発明に係る漏れ検査システムの変形例の概略構成を示す図である。
符号の説明
1,1A,1B 漏れ検査システム
2 レギュレータ
3,4,5 開閉弁
6 ワーク
7 コントローラ
10,10A,10B 流量センサ
70 逆止弁
80 連通流路
81 逆止弁
90 メイン配管
91 パイパス配管
92 分岐配管

Claims (2)

  1. ワークに流体を充填して前記ワークの漏れ検査を行う漏れ検査システムにおいて、
    前記ワーク内に流体を充填する充填手段と、
    前記充填手段から前記ワークに流れる流体の流量を測定する流量センサと、
    前記流量センサをバイパスさせて流体を前記ワークへ供給するバイパス配管と、
    前記バイパス配管に設けられた開閉弁と、
    前記流量センサにより測定される流量値が予め設定された閾値を越えて、その後前記閾値を下回ったときに、前記開閉弁を閉状態にする開閉弁制御手段と、
    前記流量センサからの出力値に基づいて前記ワークの漏れ判定を行う判定手段と、を有し、
    前記流量センサは、
    流量を計測するための抵抗体と、
    前記抵抗体が架設されたセンサ流路と、
    エッチング加工された複数の薄板を備え、ボディに形成された側面開口部に配置された積層体と、
    前記側面開口部を塞ぐように前記ボディに密着して固定された基板と、
    前記センサ流路を流れる流体の流速が1000m/s以下となるように有効断面積を変更する有効断面積変更手段とを有し、
    前記基板は、抵抗体を用いた計測原理を行うための電気回路に接続する電気回路用電極を備え、
    前記センサ流路は、抵抗体とその抵抗体に接続する抵抗体用電極とが設けられた測定チップを、前記抵抗体用電極と前記電気回路用電極とを接着して前記基板に実装することにより、前記測定チップあるいは前記基板の少なくとも一方に設けられた溝によって形成され、
    前記測定チップは、
    流れ方向上流側に設けられた上流温度検出抵抗体と、
    流れ方向下流側に設けられた下流温度検出抵抗体と、
    前記上流温度検出抵抗体と前記下流温度検出抵抗体との間に設けられ、前記上流温度検出抵抗体と前記下流温度検出抵抗体とを加熱する発熱抵抗体と、
    流体の温度を検出する流体温度検出抵抗体とを備えており、
    前記電気回路により、前記発熱抵抗体と前記流体温度検出抵抗体とが一定の温度差になるように制御され、前記上流温度検出抵抗体と前記下流温度検出抵抗体との温度差に基づき流体の流量が測定されることを特徴とする漏れ検査システム。
  2. ワークにエアを充填して前記ワークの漏れ検査を行う漏れ検査システムにおいて、
    前記ワーク内にエアを充填する充填手段と、
    前記充填手段から前記ワークに流れる流体の流量を測定する流量センサと、
    前記流量センサからの出力値に基づいて前記ワークの漏れ判定を行う判定手段と、を有し、
    前記流量センサは、
    流量を計測するための抵抗体が架設されたセンサ流路と、
    入口流路と、
    出口流路と、
    ボディに形成された側面開口部に配置された積層体と、
    前記側面開口部を塞ぐように前記ボディに密着して固定された基板とを有し、
    前記基板は、抵抗体を用いた計測原理を行うための電気回路に接続する電気回路用電極を備え、
    前記積層体は、エッチング加工された複数の薄板を備え、
    前記ボディは、
    前記入口流路と前記出口流路とを前記センサ流路を介さずに連通させる連通流路と、
    その連通流路に設けられた逆止弁とを備え、
    前記センサ流路は、抵抗体とその抵抗体に接続する抵抗体用電極とが設けられた測定チップを、前記抵抗体用電極と前記電気回路用電極とを接着して前記基板に実装することにより、前記測定チップあるいは前記基板の少なくとも一方に設けられた溝によって形成され、
    前記測定チップは、
    流れ方向上流側に設けられた上流温度検出抵抗体と、
    流れ方向下流側に設けられた下流温度検出抵抗体と、
    前記上流温度検出抵抗体と前記下流温度検出抵抗体との間に設けられ、前記上流温度検出抵抗体と前記下流温度検出抵抗体とを加熱する発熱抵抗体と、
    流体の温度を検出する流体温度検出抵抗体とを備えており、
    前記電気回路により、前記発熱抵抗体と前記流体温度検出抵抗体とが一定の温度差になるように制御され、前記上流温度検出抵抗体と前記下流温度検出抵抗体との温度差に基づき流体の流量が測定されることを特徴することを特徴とする漏れ検査システム。
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