JP4170673B2 - 極板群の電槽挿入方法及び密閉型二次電池 - Google Patents

極板群の電槽挿入方法及び密閉型二次電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉型二次電池において、直方体状の電槽に正極板と負極板をセパレータを介して積層した極板群を挿入する極板群の電槽挿入方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
直方体状の電槽に正極板と負極板をセパレータを介して積層した極板群を電解液とともに収容して単電池を構成し、さらに複数の単電池を直列接続した状態で一体化して所要の出力電圧が得られるようにした密閉型二次電池として、図7に示すようなものが知られている。
【0003】
その密閉型二次電池1は、幅の狭い短側面と幅の広い長側面とを有する上面開口の直方体状の複数(図示例では6つ)の電槽3をその短側面を共用して相互に一体的に連結して成る一体電槽2にて構成され、各電槽3の上面開口は一体の蓋体4にて一体的に閉鎖されている。
【0004】
各電槽3内には、電槽3の長側面と平行な多数の正極板と負極板をセパレータを介して短側面方向に積層してなる極板群5が電解液とともに収納され、単電池6が構成されている。極板群5は、正極板と負極板を互いに反対側に突出させることで正極と負極のリード部7a、7bが設けられており、これらリード部7a、7bに正極と負極の集電体8a、8bが溶接にて接合されている。集電体8a、8bの上端部には外側に向けて突出する接続突部9が突出形成されている。
【0005】
一体電槽2の両端の電槽3の外側の短側面及び各電槽3、3間の短側面の上端部には、集電体8a、8bの接続突部9が両側から嵌入してその先端が当接する接続穴10が形成され、各単電池6は接続穴10に両側から嵌入させた接続突部9、9同士を溶接することで直列接続され、両端の電槽3の外側の短側面の接続穴10には正極又は負極の接続端子11が装着され、この接続端子11に設けられた接続突部12と集電体8a又は8bの接続突部9を溶接することで両端の単電池6に接続されている。
【0006】
蓋体4には、互いに隣り合う電槽3、3の隣接端部間を連通する連通路13が形成されるとともに、各電槽3の内部圧力が一定以上になったときに圧力を解放するための単一の安全弁14が配設されている。また、単電池6の温度を検出する温度検出センサを装着するセンサ装着穴15が適当な単電池6の極板群5の上端に接するように凹入形成されている。
【0007】
以上の密閉型二次電池1を電気自動車の駆動電源等の電源として用いる場合には、複数の密閉型二次電池1を冷媒通路となる間隙をあけて並列配置し、その接続端子11同士を順次直列接続して組電池を構成することで、所定の出力電圧を得ている。また、密閉型二次電池1、1間の冷媒通路に冷却媒体を通すことで密閉型二次電池1の各単電池6を効率的にかつ均一に冷却し、出力特性及び寿命特性の向上が図られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記密閉型二次電池1の製造工程には、一体電槽2の各電槽3に極板群5を挿入する工程があるが、その挿入工程時には、電池の軽量小型化のために電槽3の内寸法ぎりぎりの大きさの極板群5を挿入することが求められ、かつ高出力化のために極板群5の両側に設けたリード部7a、7bに集電体8a、8bを接合した極板群5を挿入するため、極板群5の挿入時に集電体や極板が電槽3と干渉して折れ曲がったり、電槽3の縁を破損させたりして、電池としての機能を損ねることがあるという問題があった。
【0009】
このような問題を解消する手段として、電槽3側にガイドを設けたり、電槽3の寸法を大きくすることが考えられているが、近年は特に強く求められている一層の小型軽量化に逆行し、電池の特性を低下させてしまうことになるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、電槽と極板群の間の隙間が小さくても、集電体が電槽の縁に当たる恐れがなく、容易に安定して挿入できる密閉型二次電池における極板群の電槽挿入方法及び密閉型二次電池を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の極板群の電槽挿入方法は、矩形状の正極板と負極板をセパレータを介して積層するとともに正極板と負極板を互いに反対側部に突出させて設けた両側のリード部に集電体を接合して成る密閉型二次電池用の極板群を、直方体状の電槽に挿入する密閉型二次電池における極板群の電槽挿入方法であって、両側の集電体の挿入端側の端部外面を内側に折り曲げた状態で挿入するものであり、極板群と電槽の間の隙間が小さくても、折り曲げた集電体の端部が極板群の挿入ガイドとして機能して容易に安定して挿入することができ、集電体の挿入側の端縁が電槽の縁に当たって挿入ができなかったり、電槽の縁を破損させて電池の特性を損ねる恐れを無くすことができる。
【0012】
また、集電体にレーザビーム又は電子ビームを照射して集電体とリード部を溶接する際に、集電体の挿入側端縁から適当距離の位置にレーザビーム又は電子ビームを照射して折り曲げ用の薄肉部を形成し、薄肉部で端部を折り曲げて挿入すると、集電体と極板群のリード部の溶接時を含めて極板群を電槽に挿入する前まで、集電体はその全長がリード部端面と平行な平面状態で極板群の両側端部のほぼ全長を保護しているため、溶接時のスパッタ等が極板群内に侵入するのを防止して電池の特性を損ねる恐れを無くし、かつ溶接後集電体の一端側から照明して他端側で画像認識することで、リード部と集電体との溶接のフィレット検査を行なうこともでき、しかも溶接時に若干の追加動作を行なうだけで薄肉部を形成することで、挿入時に容易に折り曲げることができ、極めて少ない工程を追加するだけで、上記作用効果を奏することができる。
【0013】
また、集電体の作製時に、集電体の挿入側端縁から適当距離の位置に折り曲げ用の薄肉部を形成し、薄肉部で端部を折り曲げて挿入しても、さらに集電体の作製時に、集電体の挿入側端部外面に内側に傾斜する勾配を形成しても、集電体のプレス型に若干の変更を加えるだけで同様の作用効果を奏することができる。
また、本発明の密閉型二次電池は、矩形状の正極板と負極板をセパレータを介して積層するとともに正極板と負極板を互いに反対側部に突出させて設けた両側のリード部に集電体を接合して成る極板群と、前記極板群を収容した直方体状の電槽とを備える密閉型二次電池であって、前記集電体の下端部外面に内側に傾斜する勾配を形成したものである。
また、矩形状の正極板と負極板をセパレータを介して積層するとともに正極板と負極板を互いに反対側部に突出させて設けた両側のリード部に集電体を接合して成る極板群と、前記極板群を収容した直方体状の電槽とを備える密閉型二次電池であって、前記集電体は、正極板及び負極板を挟持するための鍔部を側縁部に有するととともに、極板群を電槽に挿入するに当たり極板及び集電体が電槽と干渉するのを防止する折り曲げ部を先端所定位置に有するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態の密閉型二次電池における極板群の電槽挿入方法について、図1〜図5と図7を参照して説明する。
【0015】
本実施形態における密閉型二次電池1の基本構成は、図7を参照して説明した従来例と同じであり、その説明を援用する。なお、本実施形態の密閉型二次電池1は、ニッケル水素電池から成り、極板群5は、Niの発泡メタルに水酸化ニッケルを充填したものから成る複数枚の正極板とNiのパンチングメタルに水素吸蔵合金を含む負極構成物質を塗着して成る複数枚の負極板とを交互に配置するとともに、各正極板に横方向に開口部を有する袋状のセパレータを被せることにより正極板と負極板の間にセパレータを介装した状態で積層して構成されている。
【0016】
極板群5において、各正極板と負極板は互いに反対側の側縁部が外側に突出されてその突出側縁部が正極と負極のリード部7a、7bとして構成され、その側端縁にそれぞれ集電体8a、8bが溶着されている。
【0017】
集電体8a、8bはニッケルメッキ鋼板のプレス成形品から成り、図2に示すように、上端部には外側に向けて突出する接続突部9が突出形成され、両側縁部には極板群5のリード部7a、7bをその内側に保持するように折曲鍔16が形成されている。また、リード部7a、7bの長手方向の両端近傍と中間の複数箇所(図示例では合計4箇所)に全幅にわたるライン状の溶接部17が設けられている。この溶接部17は、図3に示すように、内面側にロウ材配置溝17aをプレス加工で形成してニッケルロウ18を配置して構成されている。また、溶接部17の両側位置では折曲鍔16に切欠19が形成され、溶接時に解けたニッケルロウ18が折り曲げ角部を伝って流れ出すのを防止している。
【0018】
次に、以上の構成の密閉型二次電池1の製造工程を説明する。まず、極板群5の製造に際しては、所定枚数の負極板と所定枚数のセパレータを被せた正極板とを、そのリード部7a、7bを互いに反対側部に突出させた状態で交互に積層して極板群5を形成する。次に、極板群5の各リード部7a、7bの側端縁が平面を形成するように揃え、その側端縁に当接するように集電体8a、8bを配置する。次に、集電体8a、8bの各溶接部17に外面側からレーザビーム又は電子ビームを照射し、ニッケルロウ18を加熱溶融させ、リード部7a、7bと集電体8a、8bを各溶接部17において溶接接合する。
【0019】
この溶接時に、集電体8a、8bの下端部の切欠19の形成位置で、その外面に全幅にわたってレーザビーム又は電子ビームを照射して溶融させ、図2に仮想線で示し、図3に一点鎖線で示すように、容易に折り曲げ可能な薄肉部20を形成しておく。但し、この状態では集電体8a、8bは全長にわたって平面状態であるため、次の溶接検査を支障なく行なうことができる。
【0020】
次に、集電体8a、8bの上端側又は下端側から集電体8a、8bの板面と平行な照明光を照射するとともに反対側から画像認識することで、リード部7a、7bの端縁と集電体8a、8bの接合面との隅部に適正なフィレットが形成されて確実に溶接接合されているか否かの検査を行う。こうして、適正に集電体8a、8bが溶接接合された極板群5を、一体電槽2の各電槽3に順次挿入する。
【0021】
一体電槽2の各電槽3に対する極板群5の挿入工程に際しては、図4、図5に示すように、複数(図示例では6個)の一体電槽2を下向き姿勢で並列配置した状態でパレット21にて保持し、そのパレット21を一体電槽2の並列方向と直交する方向、即ち各一体電槽2の電槽3の並列方向に移動させ、複数の一体電槽2における各電槽3を順次所定の挿入位置Iに位置決めし、挿入位置Iにおけるパレット21の下部に配設された挿入ガイド22を介して下方から極板群5を保持した挿入治具23を上昇動作させて挿入する。
【0022】
この極板群5の挿入に際して、その直前に集電体8a、8bの下端部(挿入時には上端部となっている)を両外側から押圧して、図3に仮想線で示すように、薄肉部20にて折り曲げ、図1及び図4、図5に示すように、集電体8a、8bの挿入端部に内側に折り曲げられた折り曲げ部24を形成する。その後、挿入治具23を上昇動作させることで、極板群5を電槽3内に挿入する。なお、極板群5の挿入時には、接続突部9が突出している集電体8a、8bの上端部(挿入時には下端部となっている)は予め内側に折り曲げられており、挿入後、挿入治具23に設けられた拡幅片25にて外側に押し広げられて接続突部9を接続穴10に嵌入させる。
【0023】
以上のようにして一体電槽2の各電槽3に極板群5が挿入されて収容配置された後、隣接する電槽3に収容配置された極板群5の集電体8a、8bの接続突部9、9同士を溶接し、また両端の電槽3の外側の集電体8a又は8bの接続突部9と接続端子11の接続突部12とを溶接し、また必要に応じて一体電槽2の側面部においても、隣接する電槽3、3に臨むように形成した開口部で集電体8a、8b同士を接続板を介して接続し、その開口部を封止した後、各電槽3内に所定量の電解液を注入し、最後に蓋体4にて密閉閉鎖して密閉型二次電池1が完成する。
【0024】
本実施形態によれば、極板群5と電槽3に挿入する工程で極板群5の両側の集電体8a、8bの挿入側端部に折り曲げ部24を形成した状態で挿入するので、極板群5と電槽3の間の隙間が小さくても、折り曲げ部24が極板群5の挿入ガイドとして機能するため、容易に安定して挿入することができる。従って、集電体8a、8bの挿入側の端縁が電槽3の縁に当たって挿入ができなかったり、電槽3の縁を破損させて電池の特性を損ねる恐れを無くすことができる。
【0025】
また、集電体8a、8bにレーザビーム又は電子ビームを照射して集電体8a、8bとリード部7a、7bを溶接する際に、集電体8a、8bの挿入側端縁から適当距離の位置にレーザビーム又は電子ビームを照射して折り曲げ用の薄肉部20を形成しておき、挿入時にこの薄肉部20で折り曲げて上記折り曲げ部24を形成しているので、集電体8a、8bと極板群5のリード部7a、7bの溶接時に集電体8a、8bはその全長がリード部7a、7b端面と平行な平面状態で極板群5の両側端部のほぼ全長を保護し、溶接時のスパッタ等が極板群5内に侵入するのを防止して電池の特性を損ねる恐れを無くすことができ、また溶接後集電体8a、8bの一端側から照明して他端側で画像認識することで、上記のようにリード部7a、7bと集電体8a、8bとの溶接のフィレット検査を行なうこともできる。
【0026】
また、溶接時に若干の追加動作を行なって薄肉部20を形成することで、挿入時に容易に折り曲げ部24を形成することができ、極めて少ない工程を追加するだけで、上記作用効果を奏することができる。
【0027】
以上の実施形態の説明では、集電体8a、8bの折り曲げ部24を形成する挿入側端部の両側にも折曲鍔16が形成されている例を示したが、図6(a)に示すように、折り曲げ部24の両側まで切欠19を延長して折曲鍔16を設けない構成としてもよい。また、上記実施形態の説明では溶接部17に対するレーザビームや電子ビームの照射による溶接時に、そのレーザビームや電子ビームの照射によって薄肉部20を形成する例を示したが、図6(b)に示すように、集電体8a、8bのプレス成形時に薄肉部20を形成してもよい。また、図6(c)に示すように、集電体8a、8bのプレス成形時や成形後の切断加工によって、挿入側端部の外面に内側に向けて傾斜する勾配面26を形成しても良く、場合によっては図6(d)に示すように、集電体8a、8bのプレス成形時に折り曲げ部24を同時に形成してもよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明の極板群の電槽挿入方法及び密閉型二次電池によれば、以上の説明から明らかなように、両側の集電体の挿入端側の端部外面を内側に折り曲げた状態で挿入することにより、極板群と電槽の間の隙間が小さくても、折り曲げた集電体の端部が極板群の挿入ガイドとして機能して容易に安定して挿入することができ、集電体の挿入側の端縁が電槽の縁に当たって挿入ができなかったり、電槽の縁を破損させて電池の特性を損ねる恐れを無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の密閉型二次電池における極板群の電槽挿入方法を示す斜視図である。
【図2】同実施形態の極板群に用いた集電体の斜視図である。
【図3】図2のA−A矢視拡大断面図である。
【図4】同実施形態における極板群挿入装置の要部の縦断正面図である。
【図5】同実施形態における極板群の挿入装置の要部の縦断側面図である。
【図6】同実施形態の極板群に用い得る集電体の各種変形例を示す図3と同様の断面図である。
【図7】従来例の密閉型二次電池の部分縦断正面図である。
【符号の説明】
1 密閉型二次電池
3 電槽
5 極板群
7a、7b リード部
8a、8b 集電体
20 薄肉部
24 折り曲げ部
26 勾配面

Claims (6)

  1. 矩形状の正極板と負極板をセパレータを介して積層するとともに正極板と負極板を互いに反対側部に突出させて設けた両側のリード部に集電体を接合して成る密閉型二次電池用の極板群を、直方体状の電槽に挿入する密閉型二次電池における極板群の電槽挿入方法であって、両側の集電体の挿入端側の端部外面を内側に折り曲げた状態で挿入することを特徴とする極板群の電槽挿入方法。
  2. 集電体にレーザビーム又は電子ビームを照射して集電体とリード部を溶接する際に、集電体の挿入側端縁から適当距離の位置にレーザビーム又は電子ビームを照射して折り曲げ用の薄肉部を形成し、薄肉部で端部を折り曲げて挿入することを特徴とする請求項1記載の極板群の電槽挿入方法。
  3. 集電体の作製時に、集電体の挿入側端縁から適当距離の位置に折り曲げ用の薄肉部を形成し、薄肉部で端部を折り曲げて挿入することを特徴とする請求項1記載の極板群の電槽挿入方法。
  4. 集電体の作製時に、集電体の挿入側端部外面に内側に傾斜する勾配を形成したしたことを特徴とする請求項1記載の極板群の電槽挿入方法。
  5. 矩形状の正極板と負極板をセパレータを介して積層するとともに正極板と負極板を互いに反対側部に突出させて設けた両側のリード部に集電体を接合して成る極板群と、前記極板群を収容した直方体状の電槽とを備える密閉型二次電池であって、前記集電体の下端部外面に内側に傾斜する勾配を形成したことを特徴とする密閉型二次電池。
  6. 矩形状の正極板と負極板をセパレータを介して積層するとともに正極板と負極板を互いに反対側部に突出させて設けた両側のリード部に集電体を接合して成る極板群と、前記極板群を収容した直方体状の電槽とを備える密閉型二次電池であって、前記集電体は、正極板及び負極板を挟持するための鍔部を側縁部に有するととともに、極板群を電槽に挿入するに当たり極板及び集電体が電槽と干渉するのを防止する折り曲げ部を先端所定位置に有することを特徴とする密閉型二次電池。
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