JP4170479B2 - Dcモータの電流検出制御装置及び該装置を搭載する電気機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、換気扇や送風機等に搭載されるDCモータの駆動電圧をPWMで調整し、120度矩形波通電や120度以上のオーバーラップした矩形波通電で使用される、巻線電流を検出しその大きさが過大にならない様に制限して駆動する電流検出制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球温暖化を抑制するためにACモータに代わって効率の高いDCモータが採用されており、快適性や制御性を増すために振動や騒音を低減し制御の安定性を向上させて駆動するDCモータの電流検出制御装置が要求されている。
【0003】
従来、この種のDCモータの電流検出制御装置は、図4に示すものが知られている。
【0004】
以下図4、図5および図6を参照しながら説明する。図4に示す様にDCモータ20の固定子1には3相巻線が施され、この3相巻線に予め定められた方向と順序で順次巻線電流を通電するための複数のスイッチング素子2のQ1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6と複数の還流ダイオードD1、D2、D3、D4、D5、D6が接続されている。また、複数のスイッチング素子2は直流電源15に接続され、駆動電圧の供給を受ける。3相巻線に流れる巻線電流は複数のスイッチング素子2により合成されて電流検出抵抗3のR1に流れ、図5に示す様な巻線電流の波形を検出する。基準電流設定手段4は抵抗分割によって予め設定された基準電流値を設定し、信号比較手段5はコンパレータによって基準電流値とR1により検出された巻線電流の波形を比較して巻線電流の方が大きい時”L”、小さい時”H”の比較信号を出力する様に構成する。
【0005】
駆動電圧設定手段18は抵抗分圧によってDCモータ20の固定子1の3相巻線に加わる駆動電圧の大きさを設定する。PWM変換手段12は駆動電圧設定手段18によって設定される駆動電圧をPWMの信号に変換する。PWM変換手段12はマイコン16に内蔵され、PWM制限手段17に出力する。PWM制限手段17はD−フリップフロップ回路で、信号比較手段5によって出力される比較信号をリセットに入力しPWMの信号をクロックに入力させD入力を”H”とすると、巻線電流が基準電流値より大きい場合”L”の信号を出力してPWMの信号の幅を細くし、巻線電流が小さい場合”H”の信号を出力してPWMの信号の幅を変更しない。更にPWMの信号の1周期が終わるとクロックに入力されるPWMの信号により”H”を出力し、図5に示す様なPWM制限波形を出力する。
【0006】
次に、DCモータ20の回転子8には磁石が施され、回転子8の位置を検出する位置検出手段9はホールICのH1、H2、H3が使用され、相切換信号発生手段10は位置検出手段9より発生する回転子の位置検出信号にもとづいて複数の固定子巻線に予め定められた方向と順序で順次巻線電流を通電するための相切換信号を発生させる。相切換信号発生手段10はマイコン16に内蔵され、PWM相切換合成手段13に出力する。PWM相切換合成手段13は論理回路の集合でPWM制限手段17によって制限されたPWMの信号とPWM変換手段12のPWMの信号と相切換信号発生手段10より発生する相切換信号を合成する。プリドライバ14はブートストラップ回路等で、PWM相切換合成手段13より出力する信号を実際に複数のスイッチング素子2が動作する信号に変換する。
【0007】
上記構成において、PWM制限手段17は電流検出抵抗3のR1により検出された巻線電流が基準電流値より大きくなると、PWMの信号を”L”にしてPWMの幅を細くして巻線電流を小さくし、巻線電流が小さくなるとPWMの信号の幅を変更しないので、図5に示す様に巻線電流が基準電流値を超えない様に制限していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この様な従来の電流検出制御装置では、巻線電流が基準電流値より大きくなった時のみPWMの幅を細くして巻線電流を制限するため、電流波形が平らになって歪み、この巻線電流の歪みによって回転トルクに脈動を発生させるため、DCモータから振動が発生することがあり、電流波形が歪まずに巻線電流の過電流を制限し、振動を低減することが要求されている。
【0009】
また、このDCモータの電流検出制御装置を搭載した電気機器はDCモータから発生する振動により共振し、大きな騒音を発生することがあり、DCモータからの振動を低減し、共振による大きな騒音を低減することが要求されている。
【0010】
また、このDCモータの電流検出制御装置を搭載した換気扇、送風機等は、図6に示す様に巻線電流を一定にし、従ってトルクを一定にし、静圧が変わっても風量の変化を少なくする風量制御が要望されることがあり、上記従来のDCモータの電流検出制御装置を使用して巻線電流を制限し続けた場合、ほぼ同様な効果が得られるが、振動、騒音が発生し、更にこの様な状態で運転を続けると回転が不安定になることがあり、電流波形が歪まずに巻線電流を制限し続けて一定に制御した場合、振動、騒音を低減し、更に回転が安定し、制御の安定性を向上することが要求されている。
【0011】
本発明はこの様な従来の課題を解決するものであり、DCモータからの振動の発生を低減し、また、電気機器との共振による騒音の発生を低減し、更に巻線電流を制限し続けて大きさを一定に制御した場合でも回転が安定し、制御の安定性を向上させて駆動することのできるDCモータの電流検出制御装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明を解決するための本発明のDCモータの電流検出制御装置は巻線電流の電流波形が歪まずに波形を保ったまま電流制限を行うものである。
【0013】
本発明によれば上記手段により、DCモータからの振動の発生を低減し、また、電気機器との共振による騒音の発生を低減し、更に巻線電流を制限し続けて大きさを一定に制御した場合でも回転が安定し、制御の安定性を向上させて駆動するDCモータの電流検出制御装置が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載した発明は、複数の固定子巻線に接続され予め定められた方向と順序で順次巻線電流を通電するための複数のスイッチング素子と、前記複数のスイッチング素子により通電した巻線電流を合成して電流波形を検出する電流検出抵抗と、予め定められた基準電流値を設定する基準電流設定手段と、前記基準電流設定手段より出力される基準電流値と前記電流検出抵抗より出力される巻線電流の大きさを比較して比較信号を出力する電流比較手段と、複数の固定子巻線に加える駆動電圧を設定する駆動電圧設定手段と、前記駆動電圧設定手段から出力される設定電圧をPWMの信号に変換するPWM変換手段と、前記電流比較手段の比較信号において巻線電流が基準電流値より大きい場合、出力しているPWMの信号の幅を細くして駆動電圧を下げて巻線電流を小さくし、巻線電流が基準電流値より小さい場合、出力しているPWMの幅がPWM変換手段より出力されるPWMの幅より細い場合は出力するPWMの幅を太くして駆動電圧を上げて巻線電流を大きくし、PWM変換手段より出力されるPWMの幅と同じか太い場合は出力するPWMの幅をPWM設定手段のPWMの幅に保ち駆動電圧を変更しないPWM制限手段とを備えたものであり、PWM制限手段は駆動電圧を調整してPWMの幅を変更するため、電流波形全体が電流制限を受けるため、電流波形が歪まずに巻線電流の過電流を制限し、振動を低減して駆動する作用がある。
【0015】
本発明の請求項2に記載の発明は請求項1記載のDCモータの電流検出制御装置を搭載する電気機器であり、電流波形が歪まずに巻線電流の過電流を制限し、DCモータによる振動の発生を低減し、電気機器との共振による騒音の発生を低減して駆動する作用がある。
【0016】
本発明の請求項3に記載の発明は請求項2の電気機器は換気扇、送風機、空気調和機の何れかであることを特徴とする電気機器であり、電流波形が歪まずに巻線電流を制限し続けて一定に制御し、振動や共振による騒音を低減し、更に回転が安定し、制御の安定性を向上させて駆動する作用がある。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図1、図2および図3を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示す様に電流比較手段19は、信号比較手段5と、信号保持手段6と比較タイミング手段7からなり、信号比較手段5はコンパレータによって基準電流値とR1により検出された巻線電流の波形を比較して巻線電流の方が大きい時”H”、小さい時”L”の比較信号を出力する様に構成する。信号保持手段6はD−フリップフロップ回路で、信号比較手段5によって出力される比較信号をクロックに入力し、D入力は”H”とする。また比較タイミング手段7は巻線電流の1周期において、比較したい任意のタイミングと期間だけ”H”とし、それ以外は”L”とし、毎周期同じタイミングと期間で出力される。期間はPWMの信号の大小が確実に検出できるPWMの信号の1周期以上とする。比較タイミング手段7はマイコンに内蔵され、D−フリップフロップのリセットに出力する。
【0019】
上記構成において、PWM制限手段11は信号保持手段6の出力より巻線電流が基準電流値より大きい場合、出力するPWMの信号の幅を細くして駆動電圧を下げて巻線電流を小さくし、巻線電流が基準電流値より小さい場合、出力しているPWMの幅がPWM変換手段より出力されるPWMの幅より細い場合は出力するPWMの信号の幅を太くして駆動電圧を上げて巻線電流を大きくし、PWM変換手段より出力されるPWMの幅と同じか太い場合は出力するPWMの幅を一定に保ち複数の固定子巻線に加える駆動電圧を一定にする作用を行うので、図2の様になる。PWM制限手段11はマイコン16に内蔵されPWM相切換合成手段13に出力される。
【0020】
図3はDCモータ20を搭載した電気機器21の例で、電気機器21は換気扇としている。その他は従来例と同じである。
【0021】
【発明の効果】
以上の様に本発明によれば、DCモータの電流制限を行った場合、DCモータから発生する振動を低減し、電気機器との共振による大きな騒音を低減し、換気扇、送風機、空気調和機において巻線電流を制限し続けて大きさを一定に制御して風量制御をした場合、回転が安定し、制御の安定性を向上させて駆動できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のDCモータの電流検出制御装置の回路構成図
【図2】同DCモータの電流検出制御装置の回路波形の図
【図3】同DCモータを搭載した電気機器の例の図
【図4】従来のDCモータの電流検出制御装置の回路構成図
【図5】同DCモータの電流検出制御装置の回路波形の図
【図6】同巻線電流を一定に制御した場合の風量特性の図
【符号の説明】
2 複数のスイッチング素子
3 電流検出抵抗
4 基準電流設定手段
11 PWM制限手段
12 PWM変換手段
18 駆動電圧設定手段
19 電流比較手段
20 DCモータ
21 電気機器
Claims (3)
- 複数の固定子巻線に接続され予め定められた方向と順序で順次巻線電流を通電するための複数のスイッチング素子と、前記複数のスイッチング素子により通電した巻線電流を合成して電流波形を検出する電流検出抵抗と、予め定められた基準電流値を設定する基準電流設定手段と、前記基準電流設定手段より出力される基準電流値と前記電流検出抵抗より出力される巻線電流の大きさを比較して比較信号を出力する電流比較手段と、複数の固定子巻線に加える駆動電圧を設定する駆動電圧設定手段と、前記駆動電圧設定手段から出力される設定電圧をPWMの信号に変換するPWM変換手段と、前記電流比較手段の比較信号において巻線電流が基準電流値より大きい場合、出力しているPWMの信号の幅を細くして駆動電圧を下げて巻線電流を小さくし、巻線電流が基準電流値より小さい場合、出力しているPWMの幅がPWM変換手段より出力されるPWMの幅より細い場合は出力するPWMの幅を太くして駆動電圧を上げて巻線電流を大きくし、PWM変換手段より出力されるPWMの幅と同じか太い場合は出力するPWMの幅をPWM設定手段のPWMの幅に保ち駆動電圧を変更しないPWM制限手段とを備えたDCモータの電流検出制御装置。
- 請求項1記載のDCモータの電流検出制御装置を搭載する電気機器。
- 請求項2の電気機器は換気扇、送風機、空気調和機の何れかであることを特徴とする電気機器。
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