JP4170213B2 - 密封容器入り高水分食品及びその製法 - Google Patents

密封容器入り高水分食品及びその製法 Download PDF

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本発明は、食品が液切りされた状態で充填、密封されており、喫食者が直接手でつまんで喫食する形態の密封容器入り高水分食品及びその製法に関する。
従来、密封加熱殺菌されてなる密封容器入りのシロップ漬け食品としては、桜桃果肉に、アルギン酸ソーダ含有のA液を付着させたのち、直ちに塩化カルシウム含有のB液に浸漬して果肉表面を糊料被膜で被覆し、糖液と共にビン詰めし、巻締、殺菌することにより得られた桜桃果肉ビン詰が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、液切り後、密封容器に充填された食品としては、剥皮された果実類の表面を、アルギン酸ナトリウム、ペクチン等のゲル化剤及びカルシウム塩等の凝固剤を用いてコーティングしたコーティング剥皮果実食品が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
また、液切り後、殺菌された食品としては、新鮮な果実、野菜またはこれらの細断片の組織中に、ペクチンおよびカラギーナンよりなる群から選ばれた1種以上の多糖類と、アルギン酸またはそのナトリウム塩、カリウム塩もしくはアンモニウム塩とを含有する多糖類水溶液を浸透させた果実または野菜を沸騰水で加熱殺菌した加工果肉が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
また、他の形態としては、含水率が15〜45%で糖濃度が30〜70%になるように糖類を含浸せしめた果物類、野菜類およびその加工物を、アルギン酸ナトリウム、カラギナン等の多価金属塩でゲル化する被膜液を付与した後、塩化カルシウム液等の多価金属塩水に浸漬することにより、ゲル状形成物質の被膜が形成された果実、野菜類及びその加工物が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
更には、液切り後、密封加熱殺菌されてなる密封容器入りの食品としては、スライスポテト片表面に、カラギナンガムおよび乳酸カルシウムを含むゲルコートを形成した後、包装用容器に封入し、加熱加圧殺菌処理を施したスライスポテトが知られている(例えば、特許文献5参照。)。
しかしながら、特許文献1の調味液中に浸漬している果実缶詰では、生食品本来の風味及び食感が得られないだけでなく、液体中に入っているためそのままでは食べづらく、喫食する際に容器等を必要としたり、液切りしても果実表面がベタつき、連食性、携帯性、喫食の簡便性に劣る。また、調味液中に果実の栄養成分が溶出しやすく、栄養摂取効率が悪くなるという問題点を有する。
特許文献2、3では、果実・野菜類の水分含量が過剰に高い食品が対象(水分含量85〜95重量%)で、常温で6ヶ月という長期間の保存は不可能である。また、特許文献4では、水分含量15〜45重量%に調整した果物・野菜類であるため、生食品に近い本来の風味及び食感が保持されていないという問題点を有する。更には、特許文献2〜4では、密封加熱殺菌が施されることのない食品を対象とするため、密封加熱殺菌時の食品原料の果肉及び果汁のドリップ(流出)を防止することは何ら考慮されておらず、食品原料がゲル状物で被覆されているものの、密封加熱殺菌時の食品原料の果肉及び果汁のドリップを防止するためにはゲル状物の付着性に改良の余地がある。
特許文献5も、食品表面にゲルコートが形成されているものの、ゲルコートの付着性に改良の余地があるため、高水分を含有する食品原料の密封加熱殺菌時のドリップを防止することは困難である。また、生食品に近い本来の風味、食感が保持されていないという問
題点を有する。
このように、特許文献1〜5では、食品原料を密封加熱殺菌処理しても生食品から果肉や果汁のドリップが防止され、より生食品に近い本来の風味・食感を残し、手でつまんで食べる際に持ちやすくて、手が汚れたりベタつかず、連食性、携帯性、喫食の簡便性、長期保存性の全てを満足した高水分食品については今まで全く知られていなかった。
特開昭54−143542号公報(第2〜3頁、実施例1、2) 特開平3−76531号公報 特開昭59−210863号公報 特開昭55−3755号公報 特開平2−308762号公報(第3頁、実施例)
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、生食品に近い本来の風味・食感を有し、また、手でつまんで食べる際に持ちやすくて、手が汚れたりベタつかないため、連食性、携帯性、喫食の簡便性に優れ、更に常温にて6ヶ月の長期保存性にも優れた密封容器入り高水分食品及びその製法を提供することにある。
本発明は、液切り後、密封加熱殺菌されてなる密封容器入り高水分食品であって、食品原料表面に、カルシウムイオンを施与した後に、ゲル化剤及び増粘多糖類から選ばれた少なくとも一つを含有する被覆層が形成され、且つ、水分含量が50〜80重量%であることを特徴とする密封容器入り高水分食品によって前記目的を達成する。
好ましくは、被覆層の厚みが0.1〜1.0mmである。
また、密封容器入り高水分食品の製法は、下記工程(1)〜(6)を順次行うことを特徴とするものである。
(1)食品原料を準備する工程。
(2)食品原料にカルシウムイオンを施与する工程。
(3)カルシウムイオンが施与された食品原料を、乾燥条件50〜60℃、1〜3時間で一次乾燥する工程。
(4)一次乾燥された食品原料に、ゲル化剤及び増粘多糖類から選ばれた少なくとも一つを含有する被覆層を形成する工程。
(5)被覆層が形成された食品原料を、乾燥条件50〜60℃、0.5〜1.5時間で二次乾燥する工程。
(6)二次乾燥された被覆層形成食品原料を、包装容器に充填、密封し加熱殺菌する工程。
好ましくは、一次乾燥条件が50〜60℃、1〜3時間である。更に好ましくは、二次乾燥条件が50〜60℃、0.5〜1.5時間である。
すなわち、本発明者らは、喫食者が直接手で容器からつまんで喫食する形態の高水分食品において、手でつまんでもベタつかないにも拘らず、生食品に近い本来の風味、食感を付与する食品について検討を行った結果、食品原料表面にゲル化剤及び増粘多糖類から選ばれた少なくとも一つを含有する被覆層を設けることにより食品原料からの果肉や果汁等のドリップを防止すると共に、食品全体の水分含量を特定することにより生食品に近い風味及び食感を付与し得、密封加熱殺菌を施すことにより上記風味及び食感等を損なわずに長期間保存し得ることを見出し、本発明に到達した。
本発明の高水分食品は、液切り後、密封加熱殺菌されているので、喫食者が開封後直接手でつまみ食べでき、喫食用容器やスプーン等が必要なく、喫食の簡便性に優れるものである。
また、本発明の高水分食品は、水分含量が特定範疇に設定されているので、生食品本来の風味及び食感が付与されている。
更には、本発明によれば、食品原料に特定の被覆層が形成されているので、密封加熱殺菌によっても果肉及び果汁等のドリップを防止することができる。従って、上記の風味及び食感が保持されると共に、喫食時に手が汚れたりベタつかないので、連食性、携帯性、喫食の簡便性に優れ、更には、栄養成分の溶出をも防止することができ、栄養摂取効率にも優れる。
本発明によれば、常温で約6ヶ月の長期保存をした後であっても、腐敗が防止されると共に手へのベタつきが防止され、連食性、携帯性、喫食の簡便性に優れ、良好な風味及び食感が保持される。
次に、本発明を詳しく説明する。
本発明の密封容器入り高水分食品は、食品原料表面にゲル化剤及び増粘多糖類から選ばれた少なくとも一つを含有する被覆層が形成されてなる食品であり、液切りされた状態で密封容器に充填されている。
まず、一般に、高水分食品とは、水分含量が食品全体重量中50重量%以上の食品を指す。しかしながら、本発明では、このような高水分食品の中でも、水分含量を高水分食品全体重量中50〜80重量%とすることが、ドリップを好適に防止でき、生食品に近い風味及び食感を付与する点で重要である。更に好適には、高水分食品全体重量中60〜75重量%であることが望ましい。
次に、本発明に係る食品原料は、一般に知られている食用果実、食用野菜等の中から適宜選択して用いればよく、例えば、パイナップル、クランベリー、リンゴ、イチゴ、オレンジ、ぶどう、あんず、いちじく、バナナ、マンゴ、なつめ、さんざし、デーツ、柿、アプリコット、プルーン、トマト、人参、パパイヤ、ピーチ、梨、ブルーベリー、チェリー、グアバ、キウイ、カキ、ネーブル等が挙げられる。この中でも、特に好ましくは、生食品に近い本来の風味及び食感が好適に保持できる点で、パイナップル、クランベリーは好適である。
また、本発明に係るゲル化剤は、例えば、カラギナン、アラビアガム、ジェランガム、寒天、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タマリンドシーガム等が挙げられる。
本発明に係る増粘多糖類は、例えば、アルギン酸ナトリウム、ペクチン等が挙げられる。
本発明では、上記ゲル化剤及び増粘多糖類の中から適宜選択して単独もしくは複数組合せて用いればよい。この中でも、特に高水分食品の風味及び食感の点でペクチンが好適である。
次に、本発明の密封容器入り高水分食品は、例えば、次のようにして製造される。
まず、適宜、食品原料の皮やヘタ等を取り除いたり、適宜の大きさにカットしたり、糖類を施与する糖度調整、水分を施与する水分調整等を行い、食品原料を準備する。
上記食品原料の水分含量は、食品原料全体重量中好ましくは75重量%以上、更に好ましくは85重量%以上に調整されていることが、最終製品の特定水分含量に調整しやすい点で好適である。なお、本工程では、準備された食品原料が上記水分含量に調整されてい
れていることが好適で、食品原料の出発形態は、生食品、冷凍品、缶詰品、糖漬品等から適宜選択して用いればよい。この中でも、特に生食品に近い本来の風味及び食感を得る点で生食品が好適である。
例えば、生パイナップルの場合、皮、芯部を取り除き、厚さ10mmの輪切りパイナップルを用意し、更に約1/4にカットして、略一口サイズのパイナップルを準備すればよい。
なお、食品原料の糖度は、好ましくはBx10〜50、更に好ましくはBx20〜25に調整することが、風味の点及び果肉や果汁のドリップ防止の点で好適である。ここで、食品原料本来の糖度がBx10〜50であればそのまま用いればよく、食品原料の糖度がBx10未満である場合は、例えば糖類粉末をまぶす、糖類溶液中に浸漬する、糖類溶液を噴霧する等の方法から食品原料の種類、形態等により適宜選択して調整すればよいが、特に好ましくは、糖類溶液中に浸漬する方法は短時間で均一な糖度とすることができる点で望ましい。
上記糖類としては、ショ糖、異性化糖、タガトース、トレハロース、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖、異性化乳糖、オリゴ糖、糖アルコール、還元澱粉糖化物等の糖質甘味料等が挙げられ、これらの中から適宜選択して単独もしくは複数組合せて用いればよい。
また、本工程においては、必要に応じて、例えば乳製品、果汁、果肉、酒類、酸味料、安定剤、乳化剤、香料、着色料、各種栄養成分(ビタミン類、ミネラル類、食物繊維等)等の副原料を添加してもよい。
この中でも、特にpHが酸性ではない食品原料を用いる場合には、酸味料を添加して食品原料のpHを酸性に調整することが、後工程の密封加熱殺菌の条件を緩和し、食品の品質を維持する点で更に好適である。なお、食品原料のpHの調整は、本工程に限らず、後述のカルシウムイオンの施与工程において行ってもよい。
次に、食品原料にカルシウムイオンを施与する。カルシウムイオンを施与することで、食品原料の組織を強化すると共に後述する被覆層のゲルセットを強化することができる点で好適である。
上記カルシウムイオンとしては、例えば、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられ、これらは単独でも数種併用してもよい。もしくは、これらカルシウムを単独もしくは数種含有する卵殻カルシウム、骨カルシウム、貝殻カルシウム、乳清カルシウム等のカルシウム含有原料を用いてもよい。この中でも、特に高水分食品の風味及び食感の点で、乳酸カルシウムが好適である。
カルシウムイオンの施与方法は、カルシウムイオン含有溶液を噴霧する、該溶液中に食品原料を浸漬する、カルシウムイオン粉末をまぶす等が挙げられ、適宜選択すればよい。この中でも、特にカルシウムイオンを溶液状で用いることが、カルシウムイオンを均一に付与する点、カルシウムイオンの食品原料への浸透性の点で好適である。
なお、上記カルシウムイオンを添加する際に、副原料として、例えばクエン酸等の酸味料、香料、色素、糖類等を適宜添加してもよい。
次に、必要に応じて、食品原料を液切りする。液切り工程を設けることは、最終製品の品質のバラツキを防止したり、後述する乾燥工程の条件を緩和することができる点で好適である。
液切り方法は、遠心分離、金網などの方法を適宜選択すればよい。
また、液切り条件は、特に限定するものではなく、液滴が落下しにくくなる程度まで行えばよい。
次に、カルシウムイオンが施与された食品原料を一次乾燥する。一次乾燥を行うことで、後工程で形成される被覆層が付着しやすい水分含量となり、該被覆層の安定な土台を形成することができるため、被覆層の付着強化の点で好適である。
乾燥方法は、特に限定されるものではないが、流体乾燥、マイクロ波乾燥、真空凍結乾燥等を適宜選択すればよい。この中でも、特に流体乾燥は、食品の食感を損なわずに水分含量を調整しやすい点で好適である。流体乾燥とは、熱風を循環させる一般の熱風乾燥装置の他、熱風を対象物に対して上下から直接吹きつけて乾燥する装置(例えば、荒川製作所製のジェットゾーンシステム(連続式)、ジェットロースト式(バッチ式)等)、コーヒーの焙煎などに用いられる熱風が対流する装置、扇風機、乾燥機、熱風機、エアーコンディショナー等を用い、食品に流体を吹き付けて乾燥する方法である。
乾燥条件としては、用いる装置等によって適宜設定すればよいが、食品原料の水分含量を、食品原料全体重量中好ましくは60〜90重量%、更に好ましくは67〜73重量%とすることが、後工程で形成する被覆層の付着を強化でき、最終製品の水分含量を特定範囲内に調整する点で望ましい。具体的には、50〜60℃、1〜3時間に設定することが品質劣化防止の点で望ましい。
次に、一次乾燥された食品原料表面に、ゲル化剤及び増粘多糖類から選ばれた少なくとも一つを含有する被覆層を形成する。
被覆層の形成方法は、前工程で施与したカルシウムイオンに、ゲル化剤及び増粘多糖類から選ばれた少なくとも一つを接触させる。つまり、ゲル化剤及び増粘多糖類から選ばれた少なくとも一つとカルシウムイオンとが反応することにより、ゲルセットし、被覆層が形成される。
具体的な接触方法としては、例えば、ゲル化剤及び増粘多糖類から選ばれた少なくとも一つを含有する粉末成分をまぶす、ゲル化剤及び増粘多糖類から選ばれた少なくとも一つを含有する溶液中に浸漬する、該溶液を噴霧する等の方法が挙げられ適宜選択すればよいが、この中でも溶液への浸漬は、短時間で均一な被覆層が得られる点で好適である。
上記被覆層の厚みは、0.1〜10mmであることが食感及び密封加熱殺菌時のドリップ防止の点で好適である。
次に、必要に応じて、ゲル化剤もしくは増粘多糖類から選ばれた少なくとも一つを含有する被覆層が形成された食品原料を液切りする。液切り方法、液切り条件等はカルシウムイオンを施与した後の食品原料の液切り工程で説明した内容と同様である。
次に、ゲル化剤及び増粘多糖類から選ばれた少なくとも一つを含有する被覆層形成食品原料を二次乾燥する。二次乾燥を行うことで、前工程で形成された被覆層の食品原料表面への付着が強化される点で好適である。
乾燥方法は、上述した一次乾燥と同一である。この中でも、特に流体乾燥は、食品原料の食感を損なわずに最終的に得られる高水分食品の水分含量を調整しやすい点で好適である。
二次乾燥条件は、食品の水分含量が食品全体重量中50〜80重量%となるように乾燥する。具体的には、50〜60℃、0.5〜1.5時間に設定することが品質劣化防止の点で望ましい。
次に、上記工程を経た被覆層形成食品原料を、缶、ビン、パウチのような合成樹脂製袋などの耐熱性のある密封可能な包装容器に充填、密封した後、加熱殺菌を施す。このとき、上記食品原料は、液切りされた状態で充填、密封されることが重要である。すなわち、包装容器に調味料等の液体に浸漬された状態で密封されていると、喫食時に手が調味料等の液体で汚れ、ベタつきが防止できないのである。
加熱殺菌方法は、長期保存と品質保持の観点からボイル殺菌等が挙げられる。
加熱殺菌の条件は、80〜100℃、20〜60分の条件とすることが、高水分食品の
組織の崩壊を防止しながら最終製品の水分含量を調整し得、食感、風味及び外観の点で望ましい。
上記の製法によれば、一次乾燥及び二次乾燥が行われているため、ドリップを起しやすい高水分食品を密封加熱殺菌する場合であっても、好適にドリップを防止することができる。従って、上記のように得られた密封容器入り高水分食品は、そのまま喫食することは勿論のこと、菓子類の具材、糖衣などの各種加工食品に利用することができ、汎用性の高い密封容器入り高水分食品である。
なお、本発明の高水分食品の水分含量及び糖度の測定の一例を、以下に説明する。
水分含量は、マッシャー等にて粉砕した高水分食品10gをケット赤外線水分計(ケット社製)にて105℃30分測定し、その値を採る。
また、糖度は、マッシャー等にて粉砕した高水分食品10gを蒸留水で約4倍に希釈し、液状にしてBxメーターで測定する。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
〈実施例1〉
《密封容器入りパイナップル食品の調製》
まず、生パイナップルの皮及び芯部を取り除き、果肉を一口サイズ(40mm×20mm×10mm)にカットし、生パイナップル片5個を準備した。なお、各生パイナップル片の水分含量は85重量%であり、糖度Bx15、pH3.4であった。
次に、上記生パイナップル片を乳酸カルシウム5%溶液に10分間浸漬した後、金網に載せて乳酸カルシウム溶液の液滴が落下しなくなるまで放置することにより液切りを行った。
その後、乳酸カルシウム溶液で処理された生パイナップル片を、熱風棚乾燥(60℃1時間の条件)で一次乾燥を施した。一次乾燥後の水分含量は、食品全体重量中77重量%であった。
引き続き、一次乾燥されたパイナップル片をペクチン1%溶液に3分間浸漬することにより、パイナップル片表面に被覆層を形成し、再び金網に載せて液滴が落下しなくなるまで放置した。
次いで、被覆層が形成されたパイナップル片を熱風棚乾燥(60℃1時間の条件)で二次乾燥した。
その後、二次乾燥されたパイナップル片を耐熱性パウチに5個充填し、ヒートシールして90℃4分間ボイル殺菌することにより、密封容器入りパイナップル食品を得た。
《水分含量の測定方法》
なお、上記工程中の水分含有量の測定方法は、それぞれの工程におけるパイナップル片をマッシャーにて粉砕した後、粉砕パイナップル10gをケット赤外線水分計(ケット社製)にて105℃30分測定した値を採ったものである。
《糖度の測定方法》
また、上記工程中の糖度の測定方法は、パイナップル片をマッシャーにて粉砕した後、粉砕パイナップル10gを蒸留水で約4倍に希釈し、液状にしてBxメーターで測定したものである。
〈比較例1〉
実施例1と同様の生パイナップル片を、熱風棚乾燥(60℃1時間の条件)を行った後、該パイナップル片を耐熱性パウチに5個充填し、ヒートシールして90℃4分間ボイル
殺菌することにより、密封容器入りパイナップル食品を得た。
〈比較例2〉
一次乾燥として60℃、9時間の条件で熱風棚乾燥を行い、二次乾燥として60℃、1時間の条件で熱風棚乾燥を行う他は、実施例1と同様にして密封容器入りパイナップル食品を得た。
〈比較例3〉
一次乾燥を行わず、生パイナップル片表面に被覆層を形成して液切りした後、60℃、1時間の条件で熱風棚乾燥を行う他は、実施例1と同様にして密封容器入りパイナップル食品を得た。
実施例1及び比較例1〜3で得られた密封容器入りパイナップル食品を6ヶ月間常温で保存した後に開封し、水分含量及び被覆層の厚みを測定した。その結果を表1に示す。
その後、専門パネラー20名が喫食し、その風味、食感、手へのベタつき、長期保存性、ドリップ防止性を評価した結果を表1に併せて示す。
Figure 0004170213
実施例1の密封容器入りパイナップル食品は、開封後手で直接つまんでも手がベタつくことがなく、連食性、携帯性、喫食の簡便性に優れていた。更には、6ヶ月もの長期保存を行ったにも拘らず、生食品本来のみずみずしい風味及び食感が保持され、パウチ内が食品の水分の流出によってベタつくことも防止されていた。
一方、比較例1の密封容器入りパイナップル食品は、果肉及び果汁のドリップが生じ、手でつまむと手がベタつき、連食性、携帯性、喫食の簡便性に劣るものであった。また、果肉及び果汁のドリップにより、風味及び食感が生食品本来の持つそれらに比べて劣るものであった。更には、若干変色していた。
比較例2品は、手で直接つまんでもベタつくことがなく、連食性、携帯性、喫食の簡便性に優れていたものの、生食品本来の風味及び食感には程遠いものであった。
比較例3品は、若干ドリップが生じており、パイナップル食品を手でつまむと手がベタついた。また、生食品本来の風味及び食感を得ることができなかった。更には、若干変色していた。

Claims (3)

  1. 液切り後、密封加熱殺菌されてなる密封容器入り高水分食品であって、食品原料表面に、カルシウムイオンを施与した後に、ゲル化剤及び増粘多糖類から選ばれた少なくとも一つを含有する被覆層が形成され、且つ、水分含量が50〜80重量%であることを特徴とする密封容器入り高水分食品。
  2. 被覆層の厚みが0.1〜1.0mmである請求項1記載の密封容器入り高水分食品。
  3. 下記工程(1)〜(6)を順次行うことを特徴とする密封容器入り高水分食品の製法。
    (1)食品原料を準備する工程。
    (2)食品原料にカルシウムイオンを施与する工程。
    (3)カルシウムイオンが施与された食品原料を、乾燥条件50〜60℃、1〜3時間で一次乾燥する工程。
    (4)一次乾燥された食品原料に、ゲル化剤及び増粘多糖類から選ばれた少なくとも一つを含有する被覆層を形成する工程。
    (5)被覆層が形成された食品原料を、乾燥条件50〜60℃、0.5〜1.5時間で二次乾燥する工程。
    (6)二次乾燥された被覆層形成食品原料を、包装容器に充填、密封し加熱殺菌する工程。
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