JP4169634B2 - 殺菌方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉可能な内部構造を備える各種装置を次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする殺菌水により殺菌するための殺菌方法に関する。特に、次亜塩素酸ナトリウムを活性化して殺菌力を増強させた上で、医療、食品加工、農水産分野等、微生物による障害を殺菌により対処する分野に適用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、各種装置等における殺菌の目的で広く使用されている。次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、通常6w/w%または10w/w%濃度で供給され、この原液を使用時に希釈し、1〜1000ppmの濃度に希釈して殺菌水として使用していた。
【0003】
特に、殺菌対象が患者監視装置等の医療分野の装置である場合には、次亜塩素酸ナトリウムの濃度は一般に500〜1000ppmと高濃度に設定され、このような次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、殺菌対象である装置に供給して30分位かけて流し続ける殺菌が行われる。なお、実際に用いる次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHは、通常8.5〜10.0位であった。
【0004】
次亜塩素酸ナトリウム水溶液による殺菌処理後、使用済みの次亜塩素酸ナトリウム水溶液は排水として回収され処理される。また、殺菌処理後の装置は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が残留しないように、十分に清水で洗浄する必要があるが、ここでの洗浄後の排水も、使用済みの次亜塩素酸ナトリウム水溶液と同様に回収されて処理される。
【0005】
このような殺菌処理後の排水処理は、環境に対する影響が大きいという問題があった。また、排水処理をいわゆる活性汚泥法で行うような場合には、高濃度の次亜塩素酸ナトリウムが活性汚泥法を実施する排水処理施設の汚泥(微生物)に相当のダメージを与え、処理不能となる虞があった。そのため、前もって汚泥に対する毒性をなくすための面倒な前処理を行う必要があった。
【0006】
かかる問題点を解消し得る従来技術として、例えば特許文献1に示すように、次亜塩素酸ナトリウムを高濃度にすることなく殺菌力を増強することができ、自然界に放出しても環境に対する影響が少なくて済む次亜塩素酸ナトリウムの殺菌力増強装置が既に提案されている。
【0007】
すなわち、次亜塩素酸ナトリウム水溶液における殺菌力の主成分は次亜塩素酸(HOCl)であり、この次亜塩素酸の含有量は水溶液のpHに依存するという新たな事実に鑑み、次亜塩素酸ナトリウムと酸とを希釈後に混合してpHを調整することにより、塩素ガスの発生を防ぎ安全に、かつ殺菌効果を高めることが可能なことを明らかにした。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−182325号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した特許文献1に記載されたように、次亜塩素酸ナトリウムを高濃度にすることなく、所定のpHを調整により殺菌力を増強することができても、特に医療分野の装置の殺菌処理に際しては、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を比較的長い時間にわたり装置に流し続ける方法が採られており、結局多量の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を消費することから、コストアップの要因になるという問題があった。
【0010】
しかも、多量の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を消費することにより、殺菌処理後の排水処理も非常に面倒なものとなり、なおさら処理コストの増大を招き、さらにまた、排水処理後の廃液であっても自然界に多量に放出することで、環境に対する影響が危惧されるおそれがあった。一方、殺菌処理の際にその時間を短縮して、装置に流す次亜塩素酸ナトリウム水溶液を減少させればコスト低減は可能であるが、短い時間の殺菌処理では殺菌効果が減殺されて細菌の殺菌が不十分になるという問題が生じる。
【0011】
本発明は、以上のような従来技術が有する問題点に着目してなされたもので、次亜塩素酸ナトリウムを高濃度にすることなく殺菌力を増強することができ、しかも、コストアップを招くことなく高効率で確実な各種装置の殺菌を実現することができる殺菌方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]密閉可能な内部構造を備える各種装置を次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする殺菌水により殺菌するための殺菌方法において、
次亜塩素酸ナトリウム水溶液と、該次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpH調整用の酸との少なくとも一方を希釈してから双方を混合し、該混合後にその混合液のpHを3.0〜6.0の範囲内の所定pHに任意に調整して殺菌水とし、
前記殺菌水を前記内部構造に所定時間供給して流し続ける洗浄殺菌工程と、
前記洗浄殺菌工程の後に、前記殺菌水の供給を止めた状態で前記内部構造に前記殺菌水を充填したまま所定時間留置する充填留置工程とを含み、
前記洗浄殺菌工程と前記充填留置工程とで、それぞれ使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を任意に調整可能とし、
前記充填留置工程で使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を、前記洗浄殺菌工程で使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度以下に設定することを特徴とする殺菌方法。
【0014】
]前記洗浄殺菌工程を、使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を第1の濃度に設定する第1洗浄殺菌工程と、該第1洗浄殺菌工程の後に、続けて使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を、前記第1の濃度に比べて低い第2の濃度に設定する第2洗浄殺菌工程とに分けることを特徴とする[]記載の殺菌方法。
【0015】
]前記充填留置工程では、前記第2洗浄殺菌工程で使用した前記第2の濃度の殺菌水を使用することを特徴とする[]記載の殺菌方法。
【0016】
]前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液と、該次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpH調整用の酸との少なくとも一方の希釈に、逆浸透水を用いることを特徴とする[1],[2]または[3]記載の殺菌方法。
【0017】
]前記各種装置として、患者の健康状態を監視する患者監視装置(50)のうち血液浄化装置において透析液供給に関する内部構造を殺菌対象とすることを特徴とする[1],[2],[3]または[4]記載の殺菌方法。
【0020】
前記本発明は次のように作用する。
前記[1]に記載の殺菌方法によれば、先ず次亜塩素酸ナトリウム水溶液と、該次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpH調整用の酸との少なくとも一方を希釈してから双方を混合し、該混合後にその混合液のpHを3.0〜6.0の範囲内の所定pHに任意に調整して殺菌水を生成する。
【0021】
次亜塩素酸ナトリウム水溶液における殺菌力の主成分は次亜塩素酸(HOCl)であり、水溶液中の次亜塩素酸の含有量はpHに影響される。次亜塩素酸ナトリウム水溶液は強アルカリ性であり、通常のpH状態では水溶液中の次亜塩素酸の含有量は極めて低いが、pH3.0〜6.0の範囲内の所定pHに調整することで、水溶液中に含まれる次亜塩素酸ナトリウムのほぼ95%以上が殺菌効果を奏する次亜塩素酸(HOCl)として存在することになる。
【0022】
かかるpHの調整の前に、次亜塩素酸ナトリウムとpH調整用の酸との少なくとも一方を予め希釈することで、pH調整のための混合により有毒な塩素ガスが発生することを防止することができる。このようにして、殺菌力が増強された次亜塩素酸ナトリウム水溶液である殺菌水は生成されるが、次述する洗浄殺菌工程と充填留置工程とで、それぞれ使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を、自動制御により任意に調整可能とすることができる。
【0023】
所定の次亜塩素酸ナトリウム濃度に調整された殺菌水が生成された後、洗浄殺菌工程において、殺菌対象である各種装置の内部構造に前記殺菌水を所定時間供給して流し続ける。ここでの殺菌水の流れによって、各種装置の内部構造の表面上に付着していた汚染物質等が除去されると共に、所定時間にわたり流れ続ける殺菌水により内部構造は殺菌される。
【0024】
前記洗浄殺菌工程の後に続く充填留置工程においては、前記殺菌水の供給を止めた状態で前記内部構造に殺菌水を充填したまま所定時間留置する。それにより、各種装置の内部構造が殺菌水で所定時間満たされ、内部構造と殺菌水との接触時間が十分に確保されるから、殺菌水をそのまま流し続ける場合に比べて殺菌水の消費量を増加させることなく、前記内部構造において増殖した細菌をより確実に殺菌できると共に、新たな細菌の増殖も抑制することができる。
【0025】
また、前記充填留置工程で使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を、前記洗浄殺菌工程で使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度以下に設定する。具体的には例えば、前記充填留置工程で使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を、前記洗浄殺菌工程で使用する殺菌水の最も濃い次亜塩素酸ナトリウム濃度の10分の1程度に設定しても、十分に殺菌効果を得ることができ、それにより、次亜塩素酸ナトリウムの消費をなおさら低減することができる。
【0026】
また、前記洗浄殺菌工程に関しては、前記[]に記載したように、使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を第1の濃度に設定する第1洗浄殺菌工程と、該第1洗浄殺菌工程の後に、続けて使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を、前記第1の濃度に比べて低い第2の濃度に設定する第2洗浄殺菌工程とに分けても良い。
【0027】
かかる場合には、前記[]に記載したように、充填留置工程では、前記第2洗浄殺菌工程で使用した第2の濃度の殺菌水を使用するようにすれば、第2洗浄殺菌工程において、第2の濃度の殺菌水の供給を止めて内部構造にそのまま殺菌水を留置させるだけで、簡単に充填留置工程に移行することができる。
【0028】
また、殺菌水の生成においては、前記[]に記載したように、前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液と、該次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpH調整用の酸との少なくとも一方の希釈に、逆浸透水を用いると、微細粒子やエンドトキシンおよび溶存イオンを含まない純粋に近い水質を確保することができ、特に患者監視装置(50)等の医療分野の装置の殺菌処理に適している。
【0032】
なお、前記[]に記載したように、前述した殺菌方法は、前記各種装置として、患者の健康状態を監視する患者監視装置(50)のうち血液浄化装置において透析液供給に関する内部構造を殺菌対象とすれば、最適に殺菌処理を行うことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明を代表する各種実施の形態を説明する。
図1〜図3は本発明の第1実施の形態を示している。
図1は、本実施の形態に係る殺菌装置10を概略的に示す構成図である。この殺菌装置10は、密閉可能な内部構造を備える各種装置を次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする殺菌水により殺菌するための装置である。
【0034】
殺菌装置10は、配管経路11と、逆浸透装置20と、活性化手段である殺菌力増強装置100と、制御手段30と、多人数用透析液供給装置40と、殺菌対象とする患者監視装置50とを組み合わせて成る。
【0035】
配管経路11は、殺菌力増強装置100と各種装置とを連通接続し、殺菌力増強装置100で生成された殺菌水を各種装置に供給可能な配管構造であり、最も上流にある逆浸透装置20から延びる配管12は2方向に分岐され、一方の分岐部12aは多人数用透析液供給装置40に直接接続され、他方の分岐部12bは殺菌力増強装置100に接続されて、殺菌力増強装置100に希釈用水を供給した後、殺菌力増強装置100で生成された殺菌水を多人数用透析液供給装置40に供給するものである。
【0036】
配管12における2つの分岐部12a,12bの途中には、それぞれ電磁弁13a,13bが設けられている。多人数用透析液供給装置40ないし患者監視装置50に逆浸透水を供給する場合には、多人数用透析液供給装置40に直接つながる一方の分岐部12aにある電磁弁13aを開いて、他方の分岐部12bにある電磁弁13bを閉じ、殺菌力増強装置100に逆浸透水を供給する場合には、殺菌力増強装置100に繋がる他方の分岐部12bにある電磁弁13bを開いて、一方の分岐部12aにある電磁弁13aを閉じるようになっている。
【0037】
また、多人数用透析液供給装置40より下流側へ延びる配管14の途中には、複数の患者監視装置50,50…がそれぞれ分岐するように接続されており、配管14の下流端には、その排出口を開閉するための電磁弁15が設けられている。後述するが本実施の形態に係る殺菌方法で、洗浄殺菌工程の場合には電磁弁15を開き、充填留置工程の場合には電磁弁15を閉じるようになっている。
【0038】
逆浸透装置20は、殺菌力増強装置100で使う希釈用の逆浸透水を生成するものであり、具体的には例えば、不純物を含む水道水等の原水を半透膜で濾過することで、原水中に含まれる微細粒子やエンドトキシンおよび溶存イオンを除去する装置である。かかる逆浸透装置20は、水に高い圧力をかけて半透膜を通過させることにより、微細粒子やエンドトキシンはもとより、食塩、カルシウム塩を始めとするイオンまでも分離、除去することができる。逆浸透装置20には、図示省略したが水道管等の原水供給用の配管が接続されている。
【0039】
図3に示すように、殺菌力増強装置100は、次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする殺菌水を連続的に生成する装置であり、その経路管110が前記配管経路11の分岐部12bの途中に介装されており、経路管110には上流側から順に、供給口111、第1注入部114、第1混合器115、第2注入部118、第2混合器119、それに下流端には殺菌水の取出口120が接続されて成る。
【0040】
供給口111から供給される希釈用水は、前記逆浸透装置20で生成された逆浸透水である。第1注入部114には、ポンプ113を介して第1原液タンク112から次亜塩素酸ナトリウム原液が供給されるようになっている。第1原液タンク112の容量は適宜設定すれば良い。本実施の形態で用いる次亜塩素酸ナトリウム原液の濃度は6w/w%であり、pHは約12.4である。
【0041】
第1混合器115は、供給口111から供給された逆浸透水と、第1原液タンク112から供給された次亜塩素酸ナトリウム原液とを混ぜ合わせるための器機であり、一般に攪拌子等の混合手段を備えて成る。ここで混合とは、単純に混ぜ合わせる操作を意図し、その結果、化学変化を伴うかどうかは問わない。
【0042】
第1混合器115への逆浸透水の供給は一定流量に制御され、また、ポンプ113は、後述する制御手段30の制御により任意の出力で稼動し、次亜塩素酸ナトリウムの注入量が自動的に調整される。かかる制御手段30による制御により、殺菌水における次亜塩素酸ナトリウム濃度を任意に調整することができるようになっている。
【0043】
第2注入部118には、ポンプ117を介して第2原液タンク116から酸の原液が供給されるようになっている。第2原液タンク116の容量は、前記第1原液タンク112と同様に適宜設定すればよい。酸は本実施の形態では酢酸を使用しており、その濃度は30w/w%と99w/w%である。なお、酸には前記酢酸の代わりに、塩酸、あるいは酢酸と塩酸の混合酸を用いても良い。
【0044】
第2混合器119は、希釈された次亜塩素酸ナトリウムと、第2原液タンク116から供給された酸とを混ぜ合わせるための器機であり、具体的には前記第1混合器115と同様に構成されている。かかる第2混合器119によって混合され、pH調整された希釈次亜塩素酸ナトリウムは、取出口120から殺菌水として排出されるように構成されている。なお、酸供給用のポンプ117は、前記ポンプ113と同様に、後述する制御手段30の制御により任意の出力で稼動し、酸の注入量が調整される。
【0045】
また、経路管110の途中の適所には、薬剤検出手段として、図示省略したがpH計、電気電導率計、酸化還元電位計、または次亜塩素酸濃度計を必要に応じて設けると良い。特に次亜塩素酸濃度計は、第1混合器115と第2注入部118の途中や、第2混合器119と取出口120の途中に設けると良い。
【0046】
また、誤動作等の防止のために、経路管110の入口付近に圧力スイッチ121を配置し、供給口111付近に所定の圧力があるときにポンプ113,117が働くように設定したり、ポンプ117の出口側配管のポンプ117に近い位置に電磁弁122を設けて、希釈水を導入できるように構成されている。
【0047】
制御手段30は、殺菌装置10を集中管理するものであり、インターフェース,CPU,RAM,ROM等から構成されたマイクロコンピュータから成る。特に制御手段30は、前記殺菌力増強装置100における殺菌水の生成および前記配管経路11における殺菌水の供給等を自動的に制御するように設定されている。ここで殺菌力増強装置100における殺菌水の生成に関しては、詳しくは後述するが、殺菌水のpHを3.0〜6.0の範囲内の所定pHに調整すると共に、次亜塩素酸ナトリウム濃度を1ppm〜1000ppmの範囲内の所定濃度に調整するようにプログラムされている。
【0048】
また、前記配管経路11における殺菌水の供給に関しても、詳しくは後述するが、洗浄殺菌工程においては、前記殺菌力増強装置100で生成された殺菌水を各患者監視装置50に所定時間供給して流し続けるように制御し、充填留置工程においては、前記殺菌水の供給を止めた状態で各患者監視装置50に殺菌水を充填したまま所定時間留置するように、それぞれ配管経路11を通る殺菌水の流通を制御するようにプログラムされている。
【0049】
多人数用透析液供給装置40は、複数の患者監視装置50,50…に対して透析液を供給するための装置であり、具体的には例えば、透析原液を所定容量希釈し、この希釈液に直接重炭酸粉末を電導度制御により粉注し溶解して、一度に多量の透析液を生成することができるように構成されている。重炭酸粉末を装置で自動的に溶解させるように制御することにより、水溶液として貯めておく必要がない。なお、多人数用透析液供給装置40の詳細な構成は既に一般的であるので説明は省略するが、殺菌力増強装置100から供給された殺菌水を各患者監視装置50に送り出すための送液ポンプが内蔵されている。
【0050】
各患者監視装置50で血液透析等の血液浄化処理を行う場合には、前記配管経路11にある電磁弁13aと電磁弁13bは閉じられており、多人数用透析液供給装置40で透析液が生成されて、この透析液が各患者監視装置50に供給される。一方、各患者監視装置50で血液透析等の血液浄化処理が終了した後、殺菌処理を行う場合には、前記配管経路11にある電磁弁13aを閉じ電磁弁13bを開いて、殺菌力増強装置100で生成された殺菌水を、多人数用透析液供給装置40を介して各患者監視装置50に供給するように制御される。
【0051】
患者監視装置50は、一般には患者の心電図、呼吸、血圧、および血液状態等を同時に計測、監視することが可能で、患者の健康状態を監視するために使用するための装置である。かかる患者監視装置50は、その関連機器として、電導度測定装置、血液浄化(分析)装置、全血活性化凝固時間測定装置、輸液ポンプ、シリンジポンプ、心電図モニタ、除細動器、誘導心電計等の全部または一部を具備して成る。
【0052】
本実施の形態で殺菌対象とする患者監視装置50は、特に殺菌処理が必要となる血液浄化装置を必ず含むように構成されたものであり、かかる血液浄化装置において透析液供給に関する内部構造が殺菌対象となる。ここで透析液供給に関する内部構造とは、ダイアライザーに透析液系に接続する透析液回路と、該透析液回路の途中に設けられる各種ポンプ、電磁弁、脱気チャンバー等の関連機器が該当する。なお、患者監視装置には、薬事法で定められている「集中患者監視装置」と「一人用患者監視装置」とがあるがどちらでも良い。
【0053】
次に第1実施の形態の作用を説明する。
最初に図3において、殺菌力増強装置100による殺菌水の生成について説明する。前述したように、次亜塩素酸ナトリウム水溶液における殺菌力は、次亜塩素酸(HOCl)によるものであり、水溶液中の次亜塩素酸の含有量はpHに影響される。詳しくは図5に示すように、pH6.0を境としてpHがこれ以下になると次亜塩素酸の含有量はほぼ95%まで増大し、逆にpHが3.0より低く下がり過ぎると次亜塩素酸の含有量は急激に減少する。
【0054】
従って、殺菌力増強装置100で殺菌水を生成するに際し、次亜塩素酸の含有量をほぼ95%以上に活性化させて強力な殺菌力を得るには、pH3.0〜6.0の範囲に調整することが重要となり、最も好ましくはpH4.0〜5.0の範囲に調整することで、水溶液中に含まれる次亜塩素酸ナトリウムのほぼ100%が、殺菌効果を奏する次亜塩素酸として存在することになる。
【0055】
このような原理に基づき、殺菌力増強装置100では、以下のようにして殺菌水が生成される。すなわち、逆浸透装置20から希釈用の逆浸透水が、供給口111より供給されて経路管110内をその下流側へと流れるが、その途中で先ず第1原液タンク112中の次亜塩素酸ナトリウム原液が、ポンプ113の稼動により第1注入部114で逆浸透水中に注入される。
【0056】
続いて、下流にある第1混合器115によって、逆浸透水と注入された次亜塩素酸ナトリウム原液とが十分に混合され、次亜塩素酸ナトリウム原液は適度に希釈される。本実施の形態では、原液の濃度は最初の6w/w%から100ppm位まで希釈される。次亜塩素酸の濃度は1〜1000ppmの範囲内の所定濃度に任意に調整される。
【0057】
かかる濃度調整は、図1中の制御手段30により自動的に制御されるものであり、具体的には次亜塩素酸ナトリウムの濃度に関して、その制御量xが経路管110の適所に設けた次亜塩素酸濃度計(図示せず)から連続的に捉えられ、その制御量の現在値x1が、予め目標設定部により決められた濃度に対応する目標値x2と比較される。
【0058】
そして、現在値x1が目標値x2に一致するように、ポンプ113の稼動出力が制御される。ここでポンプ113の稼動出力を初期値より上げると、これに比例して原液の供給量が増大するので現在値x1は高くなり、逆にポンプ113の稼動出力を初期値より下げると、これに比例して原液の供給量が減少するので現在値x1は低く調整される。
【0059】
前記第1混合器115で所定濃度に希釈された次亜塩素酸ナトリウム水溶液に対し、次は第2原液タンク116中の酢酸が、ポンプ117の作動により第2注入部118から注入される。続いて、第2注入部118の下流にある第2混合器119によって、既に希釈された次亜塩素酸ナトリウム水溶液と酢酸とが十分に混合され、希釈された次亜塩素酸ナトリウムのpHが低下するように調整される。
【0060】
最終的に調整されるpHは、pH3.0〜6.0の範囲内の所定pHに任意に調整されるが、例えば本実施の形態では、次亜塩素酸ナトリウムのpHは、原液時のpH12.4からpH4.0まで低下させられる。ここでのpH調整は、前記pH計による検出値を基として、前述した次亜塩素酸の濃度調整と同様の要領で行えば良い。
【0061】
すなわち、pH調整も図1中の制御手段30により自動的に制御されるものであり、具体的には任意のpH(例えばpH4.0)に関して、その制御量yがpH計(図示せず)から連続的に捉えられ、その制御量の現在値y1が、予め目標設定部により決められたpH(例えばpH4.0)に対応する目標値y2と比較部で比較される。
【0062】
そして、制御手段30により現在値y1が目標値y2に一致するように、ポンプ117の稼動出力が制御される。ここでポンプ117の稼動出力を初期値より上げると、これに比例して酸の供給量が増大するので現在値y1は低くなり、逆にポンプ117の稼動出力を初期値より下げると、これに比例して酸の供給量が減少するので現在値y1は高く調整される。
【0063】
希釈混合後の混合液のpHが前記pH3.0〜6.0の範囲だと、図5のグラフに示すように、次亜塩素酸(HOCl)の含有量が高まるだけでなく、いわゆるバッファーアクションも抑えることができ、塩素ガスの発生を防ぐことができ、安全性を確保することができる。
【0064】
このように、pH調整された希釈次亜塩素酸ナトリウム水溶液では、次亜塩素酸の濃度は約100ppm、pHは4.0、また酸化還元電位は約+1050mVとなり、微生物の生存範囲外の液性を有することが証明されている。また、経路管110の適所に、前述の如くpH計、電気電導率計、酸化還元電位計、または次亜塩素酸濃度計を設ければ、これらの計測値を考慮して、殺菌水の水質を最適な状態に容易に管理することができる。
【0065】
以上のように殺菌力増強装置100によって、次亜塩素酸ナトリウムと酸とを希釈後に混合してpHを低下させることにより、塩素ガスの発生を防いで安全性を確保でき、かつ殺菌効果を高めることができる。このように生成された殺菌水は、従来の次亜塩素酸ナトリウム原液の消費量の1/10程度の量で、従来と同等以上の殺菌効果が認められ、取出口120から適宜排出されて殺菌処理に使用される。殺菌対象である各患者監視装置50は、血液透析等の血液浄化処理が終了した後に殺菌処理される。
【0066】
図2は殺菌方法の流れを示している。先ず殺菌力増強装置100で生成された殺菌水を、洗浄殺菌工程として、配管経路11を介して多人数用透析液供給装置40ないし各患者監視装置50の内部構造に所定時間供給して流し続ける(S101,S102)。このように殺菌水を流し続けることで、殺菌水の流れにより、多人数用透析液供給装置40や各患者監視装置50の内部構造の表面上に付着していた汚染物質等が除去されると共に、所定時間にわたり流れ続ける殺菌水により前記内部構造は殺菌される。
【0067】
洗浄殺菌工程では詳しくは後述するが、所定時間にわたり均一の次亜塩素酸ナトリウム濃度の殺菌水を継続して流すわけではなく、最初は第1洗浄殺菌工程として、使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を第1の濃度に設定し(S101)、次に第2洗浄殺菌工程として、使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を、前記第1の濃度に比べて低い第2の濃度に設定する(S102)。
【0068】
続いて充填留置工程として、前記洗浄殺菌工程の後に前記殺菌水の供給を止めた状態で、多人数用透析液供給装置40ないし各患者監視装置50の内部構造に殺菌水を充填したまま所定時間留置する(S103)。それにより、多人数用透析液供給装置40ないし各患者監視装置50の内部構造が殺菌水で所定時間満たされ、内部構造と殺菌水との接触時間が十分に確保されるから、殺菌水をそのまま流し続ける場合に比べて殺菌水の消費量を増加させることなく、前記内部構造において増殖した細菌をより確実に殺菌できると共に、新たな細菌の増殖も抑制することができる。
【0069】
充填留置工程で使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度は、前記洗浄殺菌工程で使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度以下に設定すると良い。具体的には例えば、充填留置工程で使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を、前記洗浄殺菌工程で使用する殺菌水の最も濃い次亜塩素酸ナトリウム濃度の10分の1程度に設定しても、十分に殺菌効果を得ることができ、それにより、次亜塩素酸ナトリウムの消費をなおさら低減することができる。洗浄殺菌工程と充填留置工程とで、それぞれ使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度は、制御手段30による自動制御により任意に調整することができる。
【0070】
以下に、図2に示す各工程をさらに詳細に説明する。先ず、洗浄殺菌工程(S101,S102)では、前述したように殺菌力増強装置100で殺菌水を生成すべく、配管経路11の上流側にある一方の分岐部12aの電磁弁13aを開き、他方の分岐部12bの電磁弁13bを閉じて、殺菌力増強装置100に逆浸透水を供給する。
【0071】
殺菌力増強装置100で生成された殺菌水は、殺菌力増強装置100に内蔵された送液ポンプ、あるいは配管経路11の適所に設けた送液ポンプ等により多人数用透析液供給装置40まで送られ、多人数用透析液供給装置40からその内蔵ポンプ等により、各患者監視装置50に供給される。各患者監視装置50から流れ出る使用済みの殺菌水は逐次排出される。
【0072】
第1洗浄殺菌工程(S101)では、前記殺菌力増強装置100により生成する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度が20〜70ppm(高濃度;第1の濃度)になるように、前記制御手段30の制御によりポンプ113の稼働出力が自動調整される。また、殺菌水のpHは前述した如くpH4.0になるように、前記制御手段30の制御により第2注入部118の稼働出力も自動調整される。
【0073】
このように生成された殺菌水を、第1洗浄殺菌工程の所要時間として予め設定された50分間にわたり、配管経路11を介して多人数用透析液供給装置40ないし各患者監視装置50の内部構造に供給して流し続ける。なお、所要時間である50分間にわたり前述した値の濃度およびpHの殺菌水が継続して生成され、この殺菌水は、同じく前記制御手段30による送液ポンプの稼働制御により、50分間にわたり所定流量で多人数用透析液供給装置40や各患者監視装置50に供給されることになる。
【0074】
50分間の第1洗浄殺菌工程が終了すると、今度は第2洗浄殺菌工程(S102)に移行する。第2洗浄殺菌工程では、前記殺菌力増強装置100により生成する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度が5〜10ppm(低濃度;第2の濃度)になるように、前記制御手段30の制御によりポンプ113の稼働出力が自動調整される。なお、殺菌水のpHは、第1洗浄殺菌工程と同様にpH4.0に自動調整される。
【0075】
このように生成された殺菌水を、第2洗浄殺菌工程の所要時間として予め設定された10分間にわたり、配管経路11を介して多人数用透析液供給装置40ないし各患者監視装置50の内部構造に供給して流し続ける。なお、所要時間である10分間にわたり前述した値の濃度およびpHの殺菌水が継続して生成され、この殺菌水は、同じく前記制御手段30による送液ポンプの稼働制御により、10分間にわたり所定流量で多人数用透析液供給装置40や各患者監視装置50に供給されることになる。
【0076】
10分間の第2洗浄殺菌工程が終了すると、今度は充填留置工程(S103)に移行する。すなわち、前記殺菌力増強装置100による殺菌水の生成が停止すると共に、各送液ポンプの稼働も停止し、新たな殺菌水は多人数用透析液供給装置40ないし各患者監視装置50に供給されなくなる。そして、配管経路11、多人数用透析液供給装置40、それに各患者監視装置50の内部には、前記第2洗浄殺菌工程で使用された殺菌水がそのまま充填された状態となり、所定時間として一晩ほど留置する。このとき、配管経路11の下流端にある電磁弁15は閉じられている。
【0077】
このように充填留置工程では、前記第2洗浄殺菌工程で使用した第2の濃度の殺菌水をそのまま使用する。それにより、前記第2洗浄殺菌工程において、第2の濃度の殺菌水の供給を止めて、配管経路11、多人数用透析液供給装置40、それに各患者監視装置50の内部構造にそのまま殺菌水を留置させるだけで、簡単に充填留置工程に移行することができる。
【0078】
前記充填留置工程が終了すると、配管経路11、多人数用透析液供給装置40、それに各患者監視装置50の内部構造に留置させていた殺菌水を総て外部に排出させ、また、配管経路11等の内部構造に殺菌水が残留しないように逆浸透水で洗浄する。すなわち、逆浸透装置20で生成した逆浸透水を、停止中の殺菌力増強装置100を経由させずに配管経路11の上流側にある一方の分岐部12aを介して多人数用透析液供給装置40に供給し、多人数用透析液供給装置40から各患者監視装置50に所定時間供給して排出させれば良い。
【0079】
以上のような殺菌方法の各工程(S101〜S103)は、前記殺菌力増強装置100における殺菌水の生成および前記配管経路11における殺菌水の供給を制御手段30で自動的に制御することにより、効率良くスムーズに実施することができ、特に、洗浄殺菌工程(第1洗浄殺菌工程、第2洗浄殺菌工程)や充填留置工程のそれぞれの所要時間や、各工程で使用する殺菌水の濃度等を任意に調整することが可能となる。前述した各工程における具体的な所要時間は一例にすぎない。
【0080】
図4は本発明の第2実施の形態を示している。
本実施の形態では、活性化手段を前記殺菌力増強装置100ではなく、別の殺菌力増強装置101として構成している。なお、第1実施の形態と同様の内容について重複した説明を省略する。
【0081】
本実施の形態に係る殺菌力増強装置101は、一の混合槽130を用いて少量の次亜塩素酸ナトリウム殺菌水を生成するものである。本装置では、供給口131から供給される逆浸透水は電磁弁132を経由して、混合槽130内に所定量供給されるように構成されている。
【0082】
第1原液タンク133内の次亜塩素酸ナトリウム原液は、ポンプ134を介して計量器135に導かれ、該計量器135で所定量計量されてから混合槽130内に供給される。次亜塩素酸ナトリウム原液は、循環ポンプ141の働きにより希釈水と十分に混合される。
【0083】
混合槽130内で所定量の次亜塩素酸ナトリウム原液が希釈されたら、次に、第2原液タンク136内の酸が、ポンプ137を介して計量器138に導かれ、該計量器138で所定量計量されてから混合槽130内に供給される。そして、前記循環ポンプ141の働きにより、新たに供給された酸と前記希釈された次亜塩素酸ナトリウムとが混合槽130内で十分に混合される。
【0084】
このようにして、前記第1の実施の形態と同様に殺菌力の増強された次亜塩素酸ナトリウム殺菌水は、混合槽130の底部より延びる給液管の電磁弁139を開放すると取出口140から適宜排出され、前述した殺菌方法で使用される。また、図示したように、混合槽130内にフロート水位計142を設けて、混合液の量を管理したり、循環ポンプ141の循環経路途中に次亜塩素酸濃度計143を設けても良い。
【0085】
以上のような本実施の形態に係る殺菌力増強装置101によれば、少量の次亜塩素酸ナトリウム殺菌水を生成するのに優れ、また本装置は開放系に構成されるため、構造的に簡易であり容易に製造することができる。また、殺菌力増強装置101で生成された殺菌水は、前記第1実施の形態で説明した殺菌方法と同様に洗浄殺菌工程や充填留置工程で使用される。
【0086】
なお、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、活性化手段は前記殺菌力増強装置100や前記殺菌力増強装置101で具体的に説明した構成に限定されるものではない。
【0087】
また、前記殺菌力増強装置100,101では、先ず次亜塩素酸ナトリウムを希釈してから、次に酸を注入してpH調整したが、この注入順序を逆にして、先ず酸を希釈してから、次に次亜塩素酸ナトリウムを注入しても、前述したのと同じ殺菌効果が認められる。
【0088】
さらに、前記実施の形態では、前記洗浄殺菌工程を、殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を第1の濃度に設定する第1洗浄殺菌工程と、殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を、前記第1の濃度に比べて低い第2の濃度に設定する第2洗浄殺菌工程とに分けたが、もちろん、前記洗浄殺菌工程を、均一の次亜塩素酸ナトリウム濃度の殺菌水を継続して流すようにしても良い。
【0089】
【発明の効果】
本発明に係る殺菌方法によれば、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と、該次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpH調整用の酸との少なくとも一方を希釈してから双方を混合し、該混合後にその混合液のpHを3.0〜6.0の範囲内の所定pHに任意に調整して殺菌水とし、この殺菌水を洗浄殺菌工程で各種装置の内部構造に所定時間供給して流し続け、洗浄殺菌工程後の充填留置工程では、殺菌水の供給を止めた状態で前記内部構造に殺菌水を充填したまま所定時間留置し、また、前記洗浄殺菌工程と前記充填留置工程とで、それぞれ使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を任意に調整可能であるから、次亜塩素酸ナトリウムの殺菌力を増強することができ、また次亜塩素酸ナトリウムの消費量をなるべく抑制することで、コストアップを招くことなく高効率で確実かつ安全な各種装置の殺菌を実現することができる。
特に、前記充填留置工程で使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を、前記洗浄殺菌工程で使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度以下に設定することにより、次亜塩素酸ナトリウムの消費をなおさら低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る殺菌装置を概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係る殺菌方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施の形態に係る殺菌装置を構成する殺菌力増強装置を概略的に示す説明図である。
【図4】本発明の第2実施の形態に係る殺菌装置を構成する殺菌力増強装置を概略的に示す説明図である。
【図5】pHと有効塩素存在百分率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…殺菌装置
11…配管経路
12…配管
12a…分岐部
12b…分岐部
13a…電磁弁
13b…電磁弁
14…配管
15…電磁弁
20…逆浸透装置
30…制御手段
40…多人数用透析液供給装置
50…患者監視装置
100…殺菌力増強装置
110…経路管
111…供給口
112…第1原液タンク
113…ポンプ
114…第1注入部
115…第1混合器
116…第2原液タンク
117…ポンプ
118…第2注入部
119…第2混合器
120…取出口
121…圧力スイッチ
122…電磁弁
101…殺菌力増強装置
130…混合槽
131…供給口
132…電磁弁
133…第1原液タンク
134…ポンプ
135…計量器
136…第2原液タンク
137…ポンプ
138…計量器
139…電磁弁
140…取出口
141…循環ポンプ
142…フロート水位計
143…次亜塩素酸濃度計

Claims (5)

  1. 密閉可能な内部構造を備える各種装置を次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする殺菌水により殺菌するための殺菌方法において、
    次亜塩素酸ナトリウム水溶液と、該次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpH調整用の酸との少なくとも一方を希釈してから双方を混合し、該混合後にその混合液のpHを3.0〜6.0の範囲内の所定pHに任意に調整して殺菌水とし、
    前記殺菌水を前記内部構造に所定時間供給して流し続ける洗浄殺菌工程と、
    前記洗浄殺菌工程の後に、前記殺菌水の供給を止めた状態で前記内部構造に前記殺菌水を充填したまま所定時間留置する充填留置工程とを含み、
    前記洗浄殺菌工程と前記充填留置工程とで、それぞれ使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を任意に調整可能とし、
    前記充填留置工程で使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を、前記洗浄殺菌工程で使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度以下に設定することを特徴とする殺菌方法。
  2. 前記洗浄殺菌工程を、使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を第1の濃度に設定する第1洗浄殺菌工程と、該第1洗浄殺菌工程の後に、続けて使用する殺菌水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を、前記第1の濃度に比べて低い第2の濃度に設定する第2洗浄殺菌工程とに分けることを特徴とする請求項記載の殺菌方法。
  3. 前記充填留置工程では、前記第2洗浄殺菌工程で使用した前記第2の濃度の殺菌水を使用することを特徴とする請求項記載の殺菌方法。
  4. 前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液と、該次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpH調整用の酸との少なくとも一方の希釈に、逆浸透水を用いることを特徴とする請求項1,2または3記載の殺菌方法。
  5. 前記各種装置として、患者の健康状態を監視する患者監視装置のうち血液浄化装置において透析液供給に関する内部構造を殺菌対象とすることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の殺菌方法。
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