JP4169539B2 - セラミックス多孔体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、泡状の外観を呈し、フィルター、バブラー、ガス供給部材、半導体製造装置用部材、人工骨、細胞培養担体、人工臓器、触媒担体等として用いられるセラミックス多孔体製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のセラミックス多孔体としては、ほぼ球形状の多数の気孔の隣接するもの同士が連通孔を介して連通する三次元網目状の骨格構造を有するものが知られている(特開平4−202071号公報(特許第2506502号)参照)。
このセラミックス多孔体は、セラミックス粉末及び架橋重合によって硬化し得る有機物質を溶媒に分散又は溶解させたスラリーに調製し、このスラリーに架橋剤を添加し、撹拌して発泡させた状態で成形、硬化(ゲル化成形)させた後、成形体を乾燥し、焼成して製造されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のセラミックス多孔体では、機械的な強度が低いと共に、パーティクル(ダスト)の発生があり、かつ、透過性に劣る不具合がある。
かかる不具合が生じる原因を探るため、骨格構造における連通孔の周辺を走査型電子顕微鏡で観察したところ、連通孔の縁を形成する結晶粒子の異常形態を見出した。
すなわち、連通孔の縁には、単粒子がとさか形状、サボテン形状になっている形態が見られ、又、連通孔の縁部には、結晶粒径と同等の大きさで隣接する気孔を連通する微小孔も見受けられ、連通孔の縁では、結晶粒子の成長が抑制されているという事実である。
上記結晶粒子の成長の異常部は、セラミックス多孔体に外力が加わったとき、応力集中して破壊起点となり、又、とさか形状やサボテン形状になっている部分が剥落してパーティクル(ダスト)となることは、容易に推測される。
【0004】
このように、連通孔の縁を形成する結晶粒子の成長の異常形態は、セラミックス多孔体の製造過程において生じると考えられる。
すなわち、スラリー段階の泡は、セラミックス粉末を含む液体媒質、殆どの場合、水性スラリーによって形成されているが、硬化前のスラリーが表面張力によって移動し、隣接する気泡間の部分の一部が薄くなって破れて連通孔が形成される。このようにしてできた気孔間を繋ぐ連通孔の縁は、スラリーが薄くなってから破れること、破れたときのスラリーの粘性が高く、膜が破れてから縁が丸くなるまでの流動性が少ないことから鋭利な形状となっている。あるいは、乾燥後の温度変化等により、気泡中の空気が膨張、収縮するときに、薄い膜を破壊して連通孔を形成する場合、破壊によって生成した乾燥物の小片が気孔の壁面に付着していることもあるからである。
【0005】
ちなみに、気孔率80%のあるアルミナセラミックス多孔体(空気中において1600℃の温度で2時間かけて焼成)の連通孔の縁、縁から2μmの位置及び縁から4μmの位置における結晶粒子の平均粒径は、0.80μm、1.67μm及び1.81μmであり、縁から100μmの位置だと8.52μmとなる。気孔率75%のあるハイドロキシアパタイト多孔体(空気中において1200℃の温度で2時間かけて焼成)の連通孔の縁、縁から0.5μmの位置、縁から1μmの位置及び縁から1.5μmの位置における結晶粒子の平均粒径は、0.42μm、0.5μm、0.55μm及び0.62μmであり、又、気孔率75%のある炭化珪素セラミックス多孔体(減圧アルゴンガス雰囲気において230℃の温度で2時間かけて焼成)の連通孔の縁、縁から2μmの位置及び縁から4μmの位置における結晶粒子の平均粒径は、0.49μm、4.38μm及び4.38μmであった。
【0006】
そこで、本発明は、高い気孔率を持つ割に高い強度を持ち、パーティクル(ダスト)の発生が無く、かつ、透過性に優れるセラミックス多孔体製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明のセラミックス多孔体の製造方法は、セラミックス粉末、液体媒質、起泡剤及びゲル化主剤を混合泡立てして泡状のスラリーを調製し、泡状のスラリーにゲル化副剤を添加混合し、注型してゲル化体とし、ゲル化体を乾燥してほぼ球形状の多数の気孔の隣接するもの同士が連通孔を介して連通する三次元網目状の骨格構造を有する成形体とし、成形体を直接又は成形体を仮焼成して仮焼成体としてから焼成して焼成体とするセラミックス多孔体の製造方法において、前記成形体、仮焼成体又は焼成体における各連通孔の縁を機械的に除去することを特徴とする。
【0011】
【作用】
上記セラミックス多孔体においては、骨格構造の全体の結晶粒径が均一になる。
骨格構造は、閉気孔しか含まないか、実質的に無気孔であることが好ましい。骨格構造を形成するセラミックスとしては、アルミナ、アルミナ−シリカ、リン酸カルシウム系、炭化珪素、ジルコニア、その他が用いられる。
【0012】
本発明のセラミックス多孔体の製造方法においては、各連通孔の縁の異常部分が除去され、連通孔の孔径が大きくなる。
各連通孔の縁の機械的な除去は、成形体、仮焼成体又は焼成体に対してダイヤモンド粉末や炭化珪素粉末等の硬質微粒子を分散含有した水等の液体又は寒天等のゲルを透過させることによって行われる。
各連通孔の縁の除去は、焼成体に対してでも可能であるが、強度が低い仮焼成体に対して行うのが能率的であり、成形体に対して行う場合は、成形体を溶解しない液体媒質を用いる。
成形体、仮焼成体又は焼成体に対する、硬質微粒子を分散含有した液体又はゲルの透過は、一方向から行ってもよいし、多方向から行ってもよい。
各連通孔の縁の除去後には、硬質微粒子等が成形体、仮焼成体又は焼成体中に残存しないことが必要である。このため、硬質微粒子は、骨格構造の気孔径(一次粒子間の隙間)より粒径が大きいことが好ましい。同程度の大きさであると、硬質微粒子が骨格構造の一次粒子間の隙間に刺さった状態となるからである。
【0013】
上記本発明の方法以外の第2のセラミックス多孔体の製造方法としては、セラミックス粉末、液体媒質、起泡剤及びゲル化主剤を混合泡立てして泡状のスラリーを調製し、泡状のスラリーにゲル化副剤を添加混合し、注型してゲル化体とし、ゲル化体を乾燥してほぼ球形状の多数の気孔の隣接するもの同士が連通孔を介して連通する三次元網目状の骨格構造を有する成形体とし、成形体を直接又は成形体を仮焼成して仮焼成体としてから焼成して焼成体とするセラミックス多孔体の製造方法において、前記仮焼成体又は焼成体における各連通孔の縁を化学的に除去してもよい。
第2のセラミックス多孔体の製造方法においては、本発明の方法と同様に、各連通孔の縁の異常部分が除去され、連通孔の孔径が大きくなる。
各連通孔の縁の化学的な除去は、リン酸や硫酸に対する仮焼成体又は焼成体の浸漬、あるいは硼酸ナトリウム溶融塩による高温での溶解によって行われる。
これは、形態的に不安的な異常部は、他の部分より溶解速度が大きいことに基づく。
浸漬に際し、リン酸や硫酸を加熱、加圧して溶解速度を速めることも可能である。
【0014】
又、上記本発明の方法以外の第3のセラミックス多孔体の製造方法として、セラミックス粉末、液体媒質、起泡剤及びゲル化主剤を混合泡立てして泡状のスラリーを調製し、泡状のスラリーにゲル化副剤を添加混合し、注型してゲル化体とし、ゲル化体を乾燥してほぼ球形状の多数の気孔の隣接するものが同士が連通孔を介して連通する三次元網目状の骨格構造を有する成形体とし、成形体を直接又は成形体を仮焼成して仮焼成体としてから焼成して焼成体とするセラミックス多孔体の製造方法において、前記成形体若しくは仮焼成体の焼成又は焼成体の再焼成中における各連通孔の縁の結晶粒子に対する蒸発−凝縮機構を進行させてもよい。
第3のセラミックス多孔体の製造方法においては、各連通孔の縁の結晶粒径が他の部分の結晶粒径と同等になる。
蒸発は、ポテンシャルの高い部分、すなわち、異常部で選択的に速く進行し、凝縮は、ポテンシャルの低い部分、すなわち、凹部に選択的に起こる。
焼成又は再焼成は、水素ガス雰囲気又は真空雰囲気において1800℃以上の高温で行われたり、あるいは塩素等のハロゲンを含有する雰囲気で行われ、この雰囲気では、揮発性の化合物の生成により、蒸発−凝縮機構の進行温度が低下する。
【0015】
なお、大型のセラミックス多孔体を製造する場合等、特にその均一性を高める等の必要がある場合には、スラリー中に分散剤を加えることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的な実施例、比較例を参照して説明する。
【0017】
実施例1〜5、比較例1
先ず、セラミックス粉末として平均粒径1μmのローソーダアルミナ100重量部、液体媒質としてイオン交換水20重量部、分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム1重量部、起泡剤としてラウリル硫酸トリエタノールアミン0.5重量部及びゲル化主剤としてエポキシ樹脂4重量部を撹拌機で混合撹拌しながら空気を導入して泡立て、泡状のスラリーを調製した。
次に、泡状のスラリーを撹拌しながら、これにゲル化副剤としてイミノビスプロピルアミン1重量部を添加し、型に鋳込み、30分程経過すると、ゲル化が十分に進行しゲル化体となった。
次いで、ゲル化体を型から取り出し、60℃の温度で一昼夜乾燥して成形体(乾燥体)を得た。
得られた成形体は、ほぼ球形状の多数の気孔の隣接するもの同士が連通孔を介して互いに連通する三次元網目状の骨格構造を有していた。
【0018】
次に、成形体を空気中において1200℃の温度で2時間加熱(仮焼成)して仮焼成体とし、これをダイヤモンド砥石を用いて加工し直径50mm、長さ100mmの円柱形状の6本の仮焼成体を得た。
一方、仮焼成体の一部から一辺2mmの立方体状のテストピースを切り出し、顕微鏡で観察したところ、骨格構造における連通孔の縁以外の部分は、アルミナの結晶粒子が1.5μmまで成長していたが、連通孔の縁は、1μm程度でアルミナの結晶粒子が成長していないように見受けられた。
又、水銀圧入ポロシメータで気孔分布を測定したところ、0.3μmと50〜100μmにピークが見られた。この結果、アルミナ一次粒子間の隙間が0.3μm、気孔径が50〜100μmで、連通孔の最小径が20μm程度であることが分る。
次いで、平均粒径5μmの炭化珪素粉末50重量部、イオン交換水50重量部及び分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム0.1重量部を混合してスラリーを調製し、このスラリーを、循環システムを構成するポンプにより流速30cm/秒で圧送し、円柱形状の5本の仮焼成体にその長手方向から10分、1時間、2時間、5時間及び10時間透過させる(実施例1〜5)一方、残る1本をスラリーを透過させない仮焼成体(比較例1)とした。
そして、スラリーを透過させた5本の仮焼成体を、イオン交換水で十分洗浄して炭化珪素粉末を除去し、120℃の温度で1時間乾燥した後、スラリーを透過させなかった仮焼成体も含め、空気中において1600℃の温度で2時間焼成して焼成体とし、6本のアルミナセラミックス多孔体を得た。
得られた各アルミナセラミックス多孔体の平均気孔径は、150μmであり、又、気孔率、異常部の有無、圧縮強度、圧力損失及びパーティクル数零カウント迄の時間は、それぞれ表1に示すようになった。
なお、異常部の有無は、各アルミナセラミックス多孔体から一辺2mmの立方体形状のテストピースを切り出して走査型電子顕微鏡写真を撮影し、特に、気孔を連通する連通孔の縁を5000倍程度の高倍率で観察し、骨格構造の他の部分より結晶粒子の成長が抑制されているか否かを見、又、サボテン形状等の異常の有無を見た。
圧縮強度は、各アルミナセラミックス多孔体から、直径10mm、高さ10mmの短円柱形状のテストピースをダイヤモンド工具で切り出し、乾燥後、圧縮強度を測定した。
又、パーティクル数零カウント迄の時間は、上記各テストピースをイオン交換水で十分洗浄した後、衝撃を加えながらパーティクルカウンターを用いて発塵が無くなる迄の時間を測定した。
【0019】
【表1】
Figure 0004169539
【0020】
表1から分るように、機械的処理を施して連通孔の縁の異常部を無くすると、気孔率、機械的強度が高くなると共に、異常部の除去に伴う連通孔径の拡大につれて透過抵抗が大幅に少なくなり、かつ、実質的なパーティクル発生が無くなっている。
【0021】
実施例6〜10
先ず、実施例1〜5を参考にし、それらとほぼ同様にして気孔率を変えた5つの成形体を作製し、各成形体を仮焼成して円柱形状の仮焼成体とし、それらに炭化珪素スラリーの透過による除去加工を施した後に同じ気孔率となるようにした。
次に、各仮焼成体を実施例1〜5と同様に焼成して焼成体とし、気孔率60%の5本のアルミナセラミックス多孔体を得た。
得られた各アルミナセラミックス多孔体の気孔率、異常部の有無、圧力損失、及びパーティクル数零カウント迄の時間は、実施例1〜5と同様に測定したところ、それぞれ比較例1のそれらを併記する表2に示すようになった。
【0022】
【表2】
Figure 0004169539
【0023】
表2から分るように、機械的処理を施して連通孔の縁の結晶粒子の小さい異常部を除去し、連通孔の縁の結晶粒径を骨格構造の他の部分の結晶粒径と実質的に同等にすると、同じ気孔径、気孔率のアルミナセラミックス多孔体の機械的強度が大幅に向上する。
なお、各アルミナセラミックス多孔体の空気の透過量と圧力損失を測定したところ、連通孔の大きさの平均値の2乗に反比例した圧力損失があることが確認できた。
【0024】
実施例11〜15、比較例2
先ず、セラミックス粉末として平均粒径0.5μmの炭化珪素粉末100重量部、液体媒質としてイオン交換水40重量部、気泡剤としてラウリル硫酸トリエタノールアミン1重量部、焼結助剤として比表面積260m2/g のカーボンブラック2重量部及び平均粒径1.6μmの炭化硼素粉末0.5重量部並びにゲル化主剤としてポリエチレンイミン6重量部を撹拌機で混合撹拌しながら空気を導入して泡立て、泡状のスラリーを調製した。
次に、泡状のスラリーを撹拌しながら、これにゲル化副剤としてエポキシ樹脂2重量部を添加し、型に鋳込み、30分経過すると、ゲル化が十分に進行しゲル化体となった。
次いで、ゲル化体を型から取り出し、60℃の温度で一昼夜乾燥して成形体(乾燥体)を得た。
得られた成形体は、ほぼ球形状の多数の気孔の隣接するもの同士が連通孔を介して互いに連通する三次元網目状の骨格構造を有していた。
【0025】
次に、成形体をアルゴンガス雰囲気において1800℃の温度で1時間加熱(仮焼成)して仮焼成体とし、これをダイヤモンド砥石を用いて加工し直径50mm、長さ100mmの円柱形状の6本の仮焼成を得た。
一方、仮焼成体の一部から、縦5mm、横5mm、長さ10mmの直方体状のテストピースを切り出し、水銀圧入ポロシメータで気孔分布を測定したところ、0.02μm、0.2μm及び10μmにピークが見られた。
次いで、実施例1〜5と同様に、平均粒径5μmの炭化珪素粉末50重量部、イオン交換水50重量部及び分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム0.1重量部を混合してスラリーを調製し、このスラリーを、循環システムを構成するポンプにより流速30cm/秒で圧送し、円柱形状の5本の仮焼成体にその長手方向から10分、1時間、2時間、5時間及び10時間透過させる(実施例11〜15)一方、残る1本をスラリーを透過させない仮焼成体(比較例2)とした。
そして、スラリーを透過させた5本の仮焼成体を、実施例1〜5と同様に、イオン交換水で十分に洗浄して炭化珪素粉末を除去し、120℃の温度で1時間乾燥した後、スラリーを通過させなかった仮焼成体も含め、アルゴンガス雰囲気において2200℃の温度で1時間焼成して焼成体とし、6本の炭化珪素セラミックス多孔体を得た。
得られた各炭化珪素セラミックス多孔体の平均気孔径は、100μmであり、又、気孔率、異常部の有無、圧縮強度、圧力損失及びパーティクル数零カウント迄の時間は、実施例1〜5と同様に測定したところ、それぞれ表3に示すようになった。
【0026】
【表3】
Figure 0004169539
【0027】
表3から分るように、機械的処理を施して連通孔の縁の異常部を無くすると、気孔率、機械的強度が高くなると共に、異常部の除去に伴う連通孔の径の拡大につれて、透過抵抗が大幅に少なくなり、かつ、実質的なパーティクル発生が無くなっている。
【0028】
参考例1
先ず、比較例1のアルミナセラミックス多孔体を1cm角で長さ10cmの直方体形状に加工し、これに硼酸ナトリウム粉をアセトン中に30%分散したスラリーをかけ、アルミナセラミックス多孔体の気孔中に硼酸ナトリウムスラリーを含浸させた。
次に、アセトンを乾燥させた後、これを1000℃の温度に保持してある炉中に投入して硼酸ナトリウムを融解させ、10分間保持して炉内から取り出して空気中で放冷し、しかる後、希塩酸中で2時間煮沸して硼酸ナトリウムを溶解除去し、アルミナセラミックス多孔体を得た。
得られたアルミナセラミックス多孔体の気孔率、異常部の有無、圧縮強度、圧力損失及びパーティクル数零カウント迄の時間は、実施例1〜5と同様に測定したところ、それぞれ比較例1のそれらを併記する表4に示すようになった。
【0029】
【表4】
Figure 0004169539
【0030】
表4から分るように、化学的処理を施して異常部を除去することにより、気孔率、機械的強度が高くなると共に、パーティクルの発生が無くなり、かつ、透過抵抗が小さくなる。
【0031】
参考例2,3
比較例1の仮焼成体と比較例1の焼成体を水素ガス雰囲気において1900℃の温度で5時間焼成又は再焼成して焼成体又は再焼成体とし、アルミナセラミックス多孔体をそれぞれ得た。
得られた両セラミックス多孔体の結晶粒子は、ほとんど20μm程度に粒成長しており、又、気孔率、異常部の有無、圧縮強度、圧力損失及びパーティクル粒零カウント迄の時間は、実施例1〜5と同様に測定したところ、それぞれ比較例1のそれらを併記する表5に示すようになった。
【0032】
【表5】
Figure 0004169539
【0033】
表5から分るように、仮焼成体又は焼成体を高温水素ガス中で処理をして異常部を変質させ、骨格構造の全体の結晶粒径を均質とすることにより、高い気孔率で高い機械的強度を持つと共に、パーティクルの発生が無くなり、かつ、透過抵抗が小さくなる。
【0034】
ちなみに、空気中において1600℃の温度で2時間焼成した、機械的処理無しのアルミナセラミックス多孔体の粒子構造は、図1に示すようになり、又、上記アルミナセラミックス多孔体を水素ガス雰囲気において1840℃の温度で10時間再焼成したものの粒子構造は、図2に示すようになった。
図2から分るように、高温水素ガス中での処理により、全体の結晶粒径が実質的に等しくなっている。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のセラミックス多孔体製造方法によれば、骨格構造の全体の結晶粒径が均一になるので、高い気孔率を持つ割に高い強度を持ち、パーティクル(ダスト)の発生が無く、かつ、透過性に優れるものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気中において1200℃の温度で2時間焼成した、機械的処理無しのアルミナセラミックス多孔体の粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図2】図1のアルミナセラミックス多孔体を水素ガス雰囲気において1840℃の温度で10時間再焼成したものの粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。

Claims (1)

  1. セラミックス粉末、液体媒質、起泡剤及びゲル化主剤を混合泡立てして泡状のスラリーを調製し、泡状のスラリーにゲル化副剤を添加混合し、注型してゲル化体とし、ゲル化体を乾燥してほぼ球形状の多数の気孔の隣接するもの同士が連通孔を介して連通する三次元網目状の骨格構造を有する成形体とし、成形体を直接又は成形体を仮焼成して仮焼成体としてから焼成して焼成体とするセラミックス多孔体の製造方法において、前記成形体、仮焼成体又は焼成体における各連通孔の縁を機械的に除去することを特徴とするセラミックス多孔体の製造方法。
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