JP4168867B2 - 有機物汚染判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機物汚染判定方法、特に、有機物による物体表面の汚染を判定するための方法に関する。
調理器具、調理機械および食品保管用機械器具等の食品取扱用機械器具全般は、食品の安全性を図る上で衛生管理が不可欠であるため、食中毒の原因となる各種の微生物、油脂、蛋白質および炭水化物等の有機物による汚染がないよう清浄に維持する必要がある。なお、炭水化物等の有機物は、それ自体が直接的に食品の安全性を損なうものではないが、微生物の栄養源となるため、食品取扱用機械器具をそのような有機物による汚染がないよう清浄に保つ必要がある。
しかし、食品取扱用機械器具は、外見上清浄なように見えても、実際は有機物により汚染されている可能性がある。このため、食品取扱用機械器具の清浄さは、客観的に判定する必要がある。
そこで、食品取扱用機械器具の清浄さを客観的に判定するための方法の一つとして、特許文献1には、蛋白質を指標とした方法が記載されている。この方法では、先ず、食品取扱用機械器具等の物体の表面を拭取体により拭く。ここで、物体表面が微生物等の蛋白質により汚染されている場合は、当該蛋白質が拭取体により拭取られる。次に、蛋白質を発色させる試薬に当該拭取体を所定時間接触させる。そして、当該試薬が発色した場合、物体表面は蛋白質により汚染されているものと判定することができ、また、発色の状況により、蛋白質汚染の程度を判定することができる。一方、当該試薬が発色しない場合、物体表面は、蛋白質による汚染がないものと判定することができる。
また、他の客観的判定方法として、特許文献2には、ATPを指標とした方法が記載されている。なお、ATPは、アデノシン三リン酸を意味し、すべての生物の細胞内や食品等に含まれるエネルギー伝達物質(ヌクレオチド)である。この方法では、先ず、食品取扱用機械器具等の物体の表面を拭取体により拭く。ここで、物体表面が微生物や食品等により汚染されている場合は、当該微生物等が拭取体により拭取られる。次に、ATPと反応して蛍光する試薬と当該拭取体とを所定時間接触させる。微生物等が拭取体により拭取られている場合、当該微生物等に由来のATPが試薬と反応して蛍光するので、物体表面は微生物等により汚染されているものと判定することができ、また、蛍光の発光強度に応じて汚染の程度を判定することもできる。これに対し、蛍光が観測されない場合、物体表面は、微生物等による汚染がないものと判定することができる。
特開2001−289862公報 特開平11−56393号公報
特許文献1および特許文献2に記載された判定方法は、それぞれ蛋白質およびATPを指標としているため、蛋白質含有物質、微生物および食品等による物体表面の汚染を判定するためには有効であるが、物体表面が油脂や炭水化物等、蛋白質やATPを含まない有機物により汚染されている場合、その判定は実質的に不可能である。
また、特許文献2の判定方法は、蛍光およびその発光強度を確認するための特別な装置が必要になる上、微生物や食品等の種類毎にATP量が大幅に異なるため測定誤差が大きく、物体表面からATPを採取することができた場合であっても、その量が極めて微量である場合は、判定結果の信頼性に疑問の生じる場合がある。さらに、この方法において用いられる、ATPと反応して蛍光する試薬は、酵素等の特殊なものであるため、冷蔵が必要であり、取り扱いが困難である。
本発明の目的は、広範な種類の有機物による物体表面の汚染を正確に判定できるようにすることにある。
本発明の有機物汚染判定方法は、有機物による物体表面の汚染を判定するためのものであり、有機物を拭取り可能な拭取体を用いて物体表面を拭く工程と、物体表面を拭いた拭取体を無機電解質を含む水溶液に浸漬する工程と、拭取体が浸漬された水溶液の化学的酸素要求量を測定する工程とを含んでいる。
この有機物汚染判定方法において、物体表面を拭取体を用いて拭くと、物体表面を汚染している有機物は、拭取体により拭取られる。拭取られた有機物は、拭取体を水溶液に浸漬すると当該水溶液を汚染し、当該水溶液の化学的酸素要求量を高める。これに対し、物体表面が有機物により汚染されていない場合、物体表面を拭取体を用いて拭いても、拭取体には有機物が付着しない。このため、当該拭取体を水溶液に浸漬しても、当該水溶液は、有機物により汚染されることがないため、化学的酸素要求量が高まらない。したがって、拭取体が浸漬された水溶液の化学的酸素要求量を測定すると、有機物による物体表面の汚染の有無を判定することができる。
本発明の他の形態に係る有機物汚染判定方法は、同じく、有機物による物体表面の汚染を判定するためのものであり、有機物を拭取り可能な拭取体を用いて物体表面を拭く工程と、有機物を酸化可能でありかつ有機物を酸化する際の酸化還元反応により段階的に変色する酸化剤と無機電解質とを含む水溶液に、物体表面を拭いた拭取体を浸漬する工程とを含んでいる。
この有機物汚染判定方法において、物体表面を拭取体を用いて拭くと、物体表面を汚染している有機物は、拭取体により拭取られる。拭取られた有機物は、拭取体を水溶液に浸漬すると水溶液中に溶け込み、水溶液に含まれる酸化剤により酸化される。そして、当該酸化剤は、有機物を酸化する際の酸化還元反応により段階的に変色するため、その変色に従って水溶液を変色させる。これに対し、物体表面が有機物により汚染されていない場合、物体表面を拭取体を用いて拭いても、拭取体には有機物が付着しない。このため、当該拭取体を水溶液に浸漬しても、当該水溶液中に有機物が溶け込むことはないため、水溶液に含まれる酸化剤は、酸化還元反応に関与せず、水溶液を変色させない。したがって、拭取体が浸漬された水溶液の変色を観測すると、有機物による物体表面の汚染の有無を判定することができる。
本発明のさらに他の形態に係る有機物汚染判定方法は、同じく、有機物による物体表面の汚染を判定するためのものであり、有機物を拭取り可能な拭取体を用いて物体表面を拭く工程と、有機物を酸化可能な酸化剤と無機電解質とを含む水溶液に物体表面を拭いた拭取体を浸漬する工程と、水溶液における酸化剤の消費量を測定する工程とを含んでいる。
この有機物汚染判定方法において、物体表面を拭取体を用いて拭くと、物体表面を汚染している有機物は、拭取体により拭取られる。拭取られた有機物は、拭取体を水溶液に浸漬すると水溶液中に溶け込み、水溶液に含まれる酸化剤により酸化される。このため、水溶液に含まれる酸化剤は、有機物の酸化に伴い消費されることになる。これに対し、物体表面が有機物により汚染されていない場合、物体表面を拭取体を用いて拭いても、拭取体には有機物が付着しない。このため、当該拭取体を水溶液に浸漬しても、水溶液中に有機物が溶け込むことはないため、水溶液に含まれる酸化剤は消費されない。したがって、拭取体が浸漬された水溶液における酸化剤の消費量を測定すると、その結果に基づいて、有機物による物体表面の汚染の有無を判定することができる。
本発明の有機物汚染判定方法は、上述のような工程を含んでいるため、広範な種類の有機物による物体表面の汚染を正確に判定することができる。
本発明の有機物汚染判定方法は、有機物による物体表面の汚染を判定するためのものである。この判定方法を適用可能な物体は、特に限定されるものではないが、例えば、調理器具、調理機械および食品保管用機械器具等の食品取扱用機械器具全般、医療用具、医療機器等の、衛生管理が求められるもの全般を挙げることができる。
なお、物体表面とは、物体が容器等のものの場合はその内面を含む意味であり、物体が冷蔵庫等の食品保管用機器の場合はその内部表面を含む意味である。
また、物体表面を汚染している有機物の種類、すなわち、本発明の方法により判定可能な有機物の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、油脂、炭水化物および蛋白質を含む各種の有機化合物、食品並びに細菌等の微生物である。
本発明の判定方法を実施する場合は、先ず、拭取体を用いて物体表面を拭く。ここで用いられる拭取体は、物体表面に付着している有機物を拭取ることができるものである。また、拭取体は、後述する水若しくは水溶液に浸漬した場合、それ自体から水中若しくは水溶液中に有機物を溶出しないものが好ましい。このような拭取体としては、例えば、石英繊維、ガラス繊維、金属繊維または合成樹脂繊維、これらの繊維からなる綿や布帛、合成樹脂製の発泡体などが用いられる。
拭取体を用いて物体表面を拭く際には、物体表面全体を拭いてもよいし、物体表面のうち、有機物汚染を特に判定する必要がある部位のみを拭いてもよい。また、拭取体が作業者の皮脂等の手の汚れにより汚染されるのを避けるため、有機物による汚染のない手袋やピンセット等を用いて作業するのが好ましい。
本発明の判定方法は、上記工程以降の工程が形態により異なるため、次に、上記工程以降の工程を形態毎に説明する。
形態1
この形態では、上述の工程の後、物体表面を拭いた拭取体を水に浸漬する。ここで用いる水は、通常、実質的に有機物汚染のない水、例えば蒸留水や純水であるが、必要に応じ、無機電解質および界面活性剤のうちの少なくとも一種を含む水溶液であってもよい。無機電解質や界面活性剤は、拭取体により拭取られた有機物を水中に溶け込ませ易くするための成分であり、このような水溶液を水として用いると、物体表面の有機物汚染、特に、微量な有機物による汚染をもより正確に判定することができる。
ここで用いられる無機電解質は、主に、拭取体に拭取られた微生物の生物組織が浸透圧により水中に溶け込み易いようにするためのものであり、種類が特に限定されるものではないが、通常は水酸化ナトリウムや硫酸ナトリウム等である。また、界面活性剤は、拭取体に拭取られた有機物に親水性を与えるためのものであり、通常、アニオン性若しくはカチオン性のイオン性界面活性剤若しくは非イオン性界面活性剤のいずれかが用いられる。このような界面活性剤の種類は特に限定されるものではなく、各種のものを用いることができる。
なお、ここで用いる水の量は、拭取体の全体が水に浸漬するように設定するのが好ましい。
次に、拭取体が浸漬された水の化学的酸素要求量(COD)を測定する。この際、当該水は、拭取体が浸漬されたままの状態であってもよいし、拭取体が取出された状態であってもよい。また、化学的酸素要求量の測定は、公知の各種の方法、例えば、酸性過マンガン酸カリウム法、アルカリ性過マンガン酸カリウム法および二クロム酸カリウム法などに従って容易に実施することができる。因みに、化学的酸素要求量は、市販の測定キット(例えば、株式会社共立理化学研究所の商品名“パックテスト”)を用いると、より簡便に測定することができる。
ここで、物体表面が有機物により汚染されている場合、当該有機物は、拭取体から上記水中に移行して当該水を汚染するため、当該水の化学的酸素要求量を高める。このため、この場合に測定される化学的酸素要求量は、物体表面の有機物汚染の程度に応じて高まることになる。これに対し、物体表面が有機物により汚染されていない場合、上記水は、拭取体を浸漬しても有機物により汚染されることがないため、化学的酸素要求量が高まらない。このため、この場合に測定される化学的酸素要求量は、実質的にゼロのレベルになる。したがって、拭取体が浸漬された水の化学的酸素要求量の測定結果に基づいて、有機物による物体表面の汚染の有無若しくは汚染の程度を判定することができる。
なお、化学的酸素要求量の測定工程は、水中に含まれる有機物を酸化剤により酸化する工程を含み、また、化学的酸素要求量は、当該工程において還元される酸化剤の量に対応したものである。したがって、物体表面を汚染している有機物は、理論上、その種類とは無関係に、上記水の化学的酸素要求量を高めることになる。
このため、本発明の有機物汚染判定方法は、物体の蛋白質汚染または微生物汚染のみの判定に限定されることなく、油脂、炭水化物およびその他の有機化合物を含む広範な種類の有機物による物体の汚染を容易に、しかも正確に判定することができる。
形態2
この形態では、上述の工程の後、酸化剤を含む水溶液に物体表面を拭いた拭取体を浸漬する。ここで用いる水溶液は、通常、実質的に有機物汚染のない水、例えば蒸留水や純水に酸化剤を溶解したものである。また、ここで用いられる酸化剤は、拭取体により拭取られた有機物を酸化可能でありかつ当該有機物を酸化する際の酸化還元反応により段階的に変色する酸化剤である。このような酸化剤としては、例えば、水溶液中の溶質のうち、有機物を選択的に酸化することができかつ酸化数の変化に応じて発色する、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩が好ましく用いられる。
また、ここで用いられる水溶液は、必要に応じ、形態1の場合と同様の目的で、無機電解質および界面活性剤のうちの少なくとも一種をさらに含んでいてもよい。さらに、水溶液の量は、拭取体の全体が水に浸漬するように設定するのが好ましい。
この工程において、拭取体により拭取られた有機物は、水溶液中に溶け込み、水溶液に含まれる酸化剤により酸化される。そして、当該酸化剤は、有機物を酸化する際の酸化還元反応により還元されて段階的に変色するため、その変色に従って水溶液を変色させる。これに対し、物体表面が有機物により汚染されていない場合、拭取体から水溶液中に有機物が溶け込むことはないため、水溶液に含まれる酸化剤は、酸化還元反応に関与せず、水溶液を変色させない。したがって、拭取体が浸漬された水溶液の変色を観測すると、有機物による物体表面の汚染の有無を判定することができ、また、水溶液の変色具合に応じて有機物による物体表面の汚染の程度を判定することができる。
また、この形態の方法は、水溶液に含まれる酸化剤により有機物を酸化させているので、物体の蛋白質汚染または微生物汚染のみの判定に限定されることなく、油脂、炭水化物およびその他の有機化合物を含む広範な種類の有機物による物体の汚染を容易に、しかも正確に判定することができる。
形態3
この形態では、上述の工程の後、酸化剤を含む水溶液に物体表面を拭いた拭取体を浸漬する。ここで用いる水溶液は、通常、実質的に有機物汚染のない水、例えば蒸留水や純水に所定量の酸化剤を溶解したものである。ここで用いられる酸化剤は、拭取体により拭取られた有機物を酸化可能なものであれば、特に限定されるものではないが、通常は、水溶液中の溶質のうち、有機物を選択的に酸化可能なもの、例えば、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩や二クロム酸カリウム等の二クロム酸塩が好ましく用いられる。
また、ここで用いられる水溶液は、必要に応じ、形態1の場合と同様の目的で、無機電解質および界面活性剤のうちの少なくとも一種をさらに含んでいてもよい。さらに、水溶液の量は、拭取体の全体が水に浸漬するように設定するのが好ましい。
この工程では、物体表面が有機物により汚染されている場合、当該有機物は、拭取体を水溶液に浸漬すると水溶液中に溶け込み、水溶液に含まれる酸化剤により酸化される。このため、水溶液に含まれる酸化剤は、有機物の酸化に伴い消費される。これに対し、物体表面が有機物により汚染されていない場合、拭取体を水溶液に浸漬しても、水溶液中に有機物が溶け込むことはないため、水溶液に含まれる酸化剤は消費されない。
次に、拭取体が浸漬された水溶液における酸化剤の消費量を測定する。この際、当該水溶液は、拭取体が浸漬されたままの状態であってもよいし、拭取体が取出された状態であってもよい。また、酸化剤の消費量の測定は、公知の各種の定量分析法に従って実施することができる。
ここで、測定の結果、拭取体を浸漬する前の水溶液中に含まれる所定量の酸化剤が減少していることが判明すれば、当該酸化剤は有機物の酸化のために消費されたことになるため、物体表面は有機物により汚染されているものと判定することができる。また、酸化剤の減少量が多い場合は水溶液中の有機物量が多いことを意味し、酸化剤の減少量が少ない場合は水溶液中の有機物量が少ないことを意味することになるため、酸化剤の具体的な消費量に基づいて、物体表面の有機物による汚染の程度を判定することができる。これに対し、測定の結果、酸化剤が減少していなければ、物体表面は有機物により汚染されていないものと判定することができる。
また、この形態の方法は、水溶液に含まれる酸化剤により有機物を酸化させているので、物体の蛋白質汚染または微生物汚染のみの判定に限定されることなく、油脂、炭水化物およびその他の有機化合物を含む広範な種類の有機物による物体の汚染を容易に、しかも正確に判定することができる。
[他の実施の形態]
(1)上述の各形態に係る有機物汚染判定方法において用いられる拭取体は、物体表面に付着している有機物を効果的に拭取ることができるようにするため、必要に応じ、物体表面に対して適用する際に、予め水により湿潤されていてもよい。
この場合、拭取体を湿潤させる水は、通常、実質的に有機物汚染のない水、例えば蒸留水や純水であるが、必要に応じ、無機電解質および界面活性剤のうちの少なくとも一種を含む水溶液であってもよい。因みに、ここで用いられる無機電解質および界面活性剤は、物体表面を汚染している有機物を拭取り易くしたり、拭取体により拭取られた有機物を水中に溶け込ませ易くしたりするための成分である。したがって、拭取体を湿潤させるための水としてこのような水溶液を用いると、物体表面の汚染、特に、微量な有機物による汚染をもより正確に判定することができる。なお、この水溶液において用いられる無機電解質および界面活性剤は、通常、上述の形態1において説明したものと同様のものである。
(2)上述の形態1に係る有機物汚染判定方法において、拭取体を浸漬するための水溶液や拭取体を湿潤させるための水溶液が界面活性剤を含む場合、当該界面活性剤が化学的酸素要求量の測定結果に影響する可能性がある。このため、このような場合は、使用する界面活性剤の量を予め確認しておき、化学的酸素要求量の測定結果を当該界面活性剤量に基づいて補正するのが好ましい。
(3)上述の形態2および形態3に係る有機物汚染判定方法において、拭取体を浸漬するための水溶液や拭取体を湿潤させるための水溶液が無機電解質や界面活性剤を含む場合、当該無機電解質や界面活性剤が水溶液に含まれる酸化剤により酸化される可能性があるため、水溶液の変色若しくは酸化剤の消費量が影響を受ける可能性がある。このため、このような場合は、使用する無機電解質や界面活性剤の量およびそれが水溶液の変色や酸化剤の消費量に与える影響を予め調べておき、それを考慮して水溶液の変色を判定したり、酸化剤の消費量を補正したりするのが好ましい。
試験体の作成
次の四種類の試験体を作成した。
(無汚染ステンレス板)
清浄なSUS304板をそのまま用いた。
(蛋白質汚染ステンレス板)
清浄なSUS304板上に、濃度が10mg/mLのアルブミン水溶液を0.01mL滴下し、風乾させた。ここで用いたアルブミン水溶液は、和光純薬工業株式会社の牛血清由来アルブミンを蒸留水に溶解したものである。
(炭水化物汚染ステンレス板)
清浄なSUS304板上に、濃度が10mg/mLのぶどう糖水溶液を0.01mL滴下し、風乾させた。ここで用いたぶどう糖水溶液は、和光純薬工業株式会社の特級ぶどう糖を蒸留水に溶解したものである。
(油脂汚染ステンレス板)
清浄なSUS304板上に、濃度が10mg/mLのオレイン酸ナトリウム水溶液を0.01mL滴下し、風乾させた。ここで用いたオレイン酸水溶液は、和光純薬工業株式会社のオレイン酸ナトリウム試薬(濃度60%以上)を蒸留水に溶解したものである。
実施例
蒸留水を用いて石英繊維の綿を湿潤させた。そして、この綿を用い、各試験体の表面を拭いた。なお、綿は、試験体毎に別々のものを用いた。また、作業者の手の汚れで綿が汚染されないようにするため、綿をピンセットで保持しながら作業した。
次に、試験管に1.5mLの蒸留水を入れ、この蒸留水中に試験体を拭いた綿を浸漬して撹拌し、当該蒸留水の化学的酸素要求量を測定した。ここで、化学的酸素要求量の測定は、常温アルカリ性過マンガン酸カリウム酸化法による化学的酸素要求量判定キット(株式会社共立理化学研究所の商品名“パックテスト WAK−COD(D)”)を用いて測定した。具体的には、綿を取り出した蒸留水に、当該キットに付属のチューブ1本内に封入された粉末(主試薬が過マンガン酸カリウム)の全量を加え、蒸留水の温度を30℃に保温した。そして、4分後、同キットに付属の発色判定表に従って蒸留水の発色具合を判定し、蒸留水の化学的酸素要求量を判定した。結果を表1に示す。
比較例1
市販の蛋白質判定用キット(バイオトレース社の商品名“プロテクト”)に付属の綿棒の綿部分に、同キットに付属のモイスチャライザーを4滴垂らした。そして、この綿棒を用い、各試験体の表面を拭いた。なお、綿棒は、試験体毎に別々のものを用いた。
次に、同キットの取扱説明書に記載の方法に従い、綿棒により採取された蛋白質量を判定した。具体的には、綿棒の綿部分を同キットに付属の試薬管の試薬部分に挿入し、撹拌した後、20℃に保温した。そして、10分後、同キットに付属の発色判定表に従って試薬の発色具合を判定し、綿棒により採取された蛋白質量を判定した。結果を表1に示す。
比較例2
市販のATP判定用キット(キッコーマン株式会社の商品名“ルシパックII”)に付属の綿棒の綿部分を、蒸留水により湿潤させた。そして、この綿棒を用い、各試験体の表面を拭いた。なお、綿棒は、試験体毎に別々のものを用いた。
次に、同キットの取扱説明書に記載の方法に従い、綿棒により採取されたATP量を判定した。具体的には、綿棒の綿部分を同キットに付属の試薬管の試薬部分に挿入して撹拌し、その数秒後、試薬部分の相対発光量を計測した。相対発光量は、東亜電波工業株式会社の商品名“ATPテスタ AF−50”を用いて計測した。結果を表1に示す。
Figure 0004168867
評価
表1によると、実施例では、ステンレス板の蛋白質汚染、炭水化物汚染および油脂汚染の全てを判定できたのに対し、比較例1は、ステンレス板の蛋白質汚染のみしか判定することができず、また、比較例2は、ステンレス板のいずれの汚染も判定することができなかったことがわかる。

Claims (3)

  1. 有機物による物体表面の汚染を判定するための方法であって、
    前記有機物を拭取り可能な拭取体を用いて前記物体表面を拭く工程と、
    前記物体表面を拭いた前記拭取体を無機電解質を含む水溶液に浸漬する工程と、
    前記拭取体が浸漬された前記水溶液の化学的酸素要求量を測定する工程と、
    を含む有機物汚染判定方法。
  2. 有機物による物体表面の汚染を判定するための方法であって、
    前記有機物を拭取り可能な拭取体を用いて前記物体表面を拭く工程と、
    前記有機物を酸化可能でありかつ前記有機物を酸化する際の酸化還元反応により段階的に変色する酸化剤と無機電解質とを含む水溶液に、前記物体表面を拭いた前記拭取体を浸漬する工程と、
    を含む有機物汚染判定方法。
  3. 有機物による物体表面の汚染を判定するための方法であって、
    前記有機物を拭取り可能な拭取体を用いて前記物体表面を拭く工程と、
    前記有機物を酸化可能な酸化剤と無機電解質とを含む水溶液に前記物体表面を拭いた前記拭取体を浸漬する工程と、
    前記水溶液における前記酸化剤の消費量に基づいて、前記水溶液の化学的酸素要求量を測定する工程と、
    を含む有機物汚染判定方法。
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