JP2002085052A - 酵素反応を応用した簡易水質分析用器具 - Google Patents

酵素反応を応用した簡易水質分析用器具

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JP2002085052A
JP2002085052A JP2000279843A JP2000279843A JP2002085052A JP 2002085052 A JP2002085052 A JP 2002085052A JP 2000279843 A JP2000279843 A JP 2000279843A JP 2000279843 A JP2000279843 A JP 2000279843A JP 2002085052 A JP2002085052 A JP 2002085052A
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enzyme
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Takao Kawarabayashi
孝夫 瓦林
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KYORITSU RIKAGAKU KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酵素を応用した反応試薬を使用することによ
り特別な器具を使用することなく何人も簡単に安全に水
質測定ができる簡易水質分析器具。 【解決手段】 弾性を有する、少なくとも一部が透明又
は半透明の材料からなる密封容器に、被検物質と特異的
に反応し得る酵素試薬を封入してなる水質分析用器具を
提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は工程管理、工場排水
検査、飲料水検査、河川湖沼水質調査、農業管理など現
場において、誰でも安全に概略値が得られるように考案
された簡易水質測定器具に係わる技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】工場排水、環境水、飲料水等の水質測定に
は、一般に、工業用水試験方法(JISK0101)、工場排水
試験方法(JIS K0102)、上水試験方法の測定方法等が
用いられる。これらの方法は、試薬を発色させて分光光
度計で被検物質濃度を測定する吸光光度法、原子吸光
法、イオンクロマトグラフ法、ICP発光分析法等を利用
するものであるが、いずれも高価な機器を必要とし、さ
らには煩雑かつ熟練の操作が必要であるため、設備の調
った特定の場所で専門の技術者が操作する必要がある。
【0003】一方、工場排水、環境水、飲料水等を測定
する現場では、細かい数値は必要ないが概略値をその場
で知りたいというニーズが多くある。そこで、化学の知
識のない者でも安全で簡便に測定することのできる簡易
水質測定機器が開発されている。このような簡易水質測
定機器の多くは、試薬を発色させ、その色を標準の色列
と目視で比色して濃度を測定するものである。ここで、
試薬を検水(被検試料)に接触させる方法としては、試
薬瓶から小さなスプーンで1回分の試薬を検水に加える
方法、ラミネート袋に分封された1回分の試薬を、該ラ
ミネート袋を破いて検水に加える方法、ポリエチレンパ
イプに1回分の試薬を封入し、そのパイプの一端にピン
で穴をあけて検水を吸入する方法等が採用されている。
また、標準の色列としては、ガラスアンプルに色水を封
入したもの、色ガラスを並べたもの、色のついたプラス
チックを並べたもの、紙に色列を印刷したもの等が採用
されている。このような簡易水質測定機器により測定さ
れる被検物質には、りん酸イオン、過酸化水素、オゾン
等、様々なものがあるが、それぞれに問題点を含んでい
る。
【0004】りん酸イオンを測定する方法としては、モ
リブデンブルー法が一般的である。モリブデンブルー法
はJIS K0102、上水試験方法等で採用されているが、こ
の方法ではりん酸イオンを含む検水に硫酸酸性のモリブ
デン酸アンモニウムを添加してモリブドりん酸を生成さ
せ、これをアスコルビン酸、塩化すず等の還元剤で還元
することにより呈色させる(モリブデン青の青色)。こ
の色から、分光光度計での測定、標準の色列との肉眼で
の比色等によりりん酸濃度を測定している。
【0005】上記モリブデンブルー法では、発色させる
際にpH2以下の強酸性にする必要がある。pHが十分
に下がらないときには、シリカイオン等が同様に呈色す
るため、正しいりん酸イオン濃度が得られない。ここ
で、検水を酸性にするためには硫酸が用いられ、そのと
きの硫酸濃度は、ほとんどの場合には10%以下である
が、これを超える場合もある。そのときには、これは毒
物及び劇物取締法上の劇物となり、製造、販売、輸送、
取り扱いの際には万全の危険防止策が必要となる。
【0006】また、硫酸緩衝剤は粉体にすることができ
ないため、一定量を添加するためには何らかの計量手
段、例えば、メススポイト、点眼ビン等の用具が必要と
なり、その計量の手間も強いられている。さらに、上記
モリブデンブルー法ではモリブデン酸アンモニウムなど
のモリブデン酸塩を用いるが、モリブデンは現在の環境
基準の要監視項目に設定されている。さらに、りん酸イ
オンを測定する他の方法として、タルトラトアンチモン
酸カリウム等のアンチモン酸塩を使用するものがある
が、アンチモンは劇物であり、これも現在の環境基準の
要監視項目に設定されている。
【0007】りん酸イオンを検出するための簡易水質分
析法として現在実用化されているものでは、例えば、次
のようにしてりん酸イオンを測定する。まず、小さな容
器に検水を採り、これに硫酸酸性のモリブデン酸アンモ
ニウムを一定量添加する。次に、還元剤が密封されたポ
リエチレンの筒状容器の端にピン等で穴をあけ、モリブ
デン酸アンモニウムが添加された液をこのポリエチレン
の筒状容器内に、スポイトと同じような要領で半分程度
吸い込ませる。指定時間後に吸入された液の色を標準の
色列表と比較し、同一の色又は類似する色を探し、その
場所に記載されている数値をりん酸イオン濃度とする。
【0008】このような簡易水質分析法においては、使
用後の処理として、強酸性となった廃液を処理し、ま
た、使用器具を洗浄する必要があるが、これらの処理は
いずれも困難である。特に、廃液はpH2以下の特別管
理産業廃棄物となり、その処理については特殊な技能を
要し、処理が不可能な場合には廃液処理業者に委託する
必要がある。さらに、野外での測定の場合には、この処
理に十分な注意を払い、環境を汚すことにならないよう
に注意しなければならない。特に、モリブデン、すずな
どの重金属がそのまま廃棄される可能が高く、微量では
あるが環境上決して好ましいことではない。
【0009】また、上記簡易水質分析法は、操作が比較
的簡単なので、一般市民や児童、すなわち専門家以外の
者が用いることがある。その場合には、酸による皮膚傷
害、酸の飛沫飛散による目の損傷などの心配がある。ま
た、直接肌に触れなくても、希硫酸は例え少量でも衣服
に付けば穴があくなどの危険性がある。さらには、万一
誤って飲み込んだ場合も危険である。従って、簡易分析
といえども常に化学的知識を有する指導者を必要とす
る。
【0010】さらに、上記簡易水質分析法で用いる試薬
のうち、酸とモリブデン酸塩を還元剤と同封すると試薬
が劣化するため、これらは必ず別々に保管しなければな
らない。一方、医療現場では、体外診断薬として酵素反
応を応用した測定方法が利用されており、りん酸イオン
を測定する酵素試薬も販売されている。りん酸イオン以
外でも多くの項目の検出に酵素反応が利用され、一般的
なものとしては糖尿病の検査に使用する試験紙で尿中の
グルコースを測定するためのものもある。
【0011】しかし、これらの酵素試薬の取扱者はいず
れも専門家であり、保管、取扱器材ともに十分な設備の
もとで使用されているものである。従って、一般の人が
使えるような試薬の形では市販されていない。これは主
に、酵素が熱に弱く、ほとんどが冷蔵保存であるため、
野外等の現場に持ち出して使用するには適しておらず、
一般の流通に乗りにくいため、販売にも多大な経費が生
ずるからである。さらに使用可能期間も短いことも問題
であった。
【0012】過酸化水素を検出するための簡易水質分析
法として現在実用化されているものでは、例えば、次の
ようにして過酸化水素を測定する。まず、検水3mlをと
り、これに還元されたフェノールフタレイン水溶液(約
5%の水酸化ナトリウムを含む)を1滴加える。その
後、硫酸ニッケルと増量剤が密封されたポリエチレンパ
イプの一端に穴をあけ、スポイトと同じ要領で半分程度
吸い込ませる。指定時間後に標準の色列表と比較し過酸
化水素濃度を測定する。ここで、フェノールフタレイン
水溶液は、水酸化ナトリウム等の強アルカリ中では赤色
を呈するが、これを金属亜鉛粉末とともに加熱して還元
すると無色透明の液体となる。この還元されたフェノー
ルフタレイン水溶液は、ニッケルイオン等の触媒下で過
酸化水素と特異的に反応し、過酸化水素の量に応じて赤
色に発色する。これを比色定量するというのが該測定法
の原理である。
【0013】このような過酸化水素の測定法では、試薬
が強アルカリ性となるため、人体に触れると危険であ
り、特に目に入ると非常に危険である。また、廃棄する
場合には中和の必要が生ずる。さらに、操作が2操作と
なり、煩雑である。さらに、フェノールフタレイン水溶
液を還元状態に保持するために、粒状の金属亜鉛を添加
しておく必要があり、そのようにした場合でも約半年程
度しかその性能を保持できない。
【0014】オゾンを検出するための水質分析法として
現在実用化されているものとしては、インジゴカルミン
を利用する方法が一般的であり、上水試験方法として用
いられている。これはインジゴトリスルホン酸カリウム
の酸性溶液でオゾンが迅速にブルーのインジゴトリスル
ホン酸カリウムを脱色し、脱色による吸光度の減少割合
がオゾンの濃度に比例することを応用したものである。
【0015】しかし、この方法では、光路長50mmのセル
を使用して分光光度計を用いて測定しても0.05〜0.5mg/
lの範囲しか測定できず、目視の簡易な測定方法では、
せいぜい1〜3mg/l程度の測定範囲となってしまうため、
簡易水質分析法としては実用化されていない。尿素につ
いては、簡易な測定方法は知られていない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特別の器具
等を使用することなく、何人も簡単に取り扱い操作をす
ることができ、安全で環境にやさしい簡易水質分析器具
を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を行った結果、弾性を有す
る、少なくとも一部が透明又は半透明の材料からなる密
封容器に、被検物質と特異的に反応し得る酵素試薬を封
入してなる水質分析用器具を用いることにより、極めて
簡便に水質分析を行うことができ、さらにこの方法が安
全で、環境を汚染しないことを見出し、本発明に至っ
た。
【0018】すなわち、本発明は、弾性を有する、少な
くとも一部が透明又は半透明の材料からなる密封容器
に、被検物質と特異的に反応し得る酵素試薬を封入して
なる水質分析用器具を提供する。前記材料は、好ましく
はポリエチレンである。また、前記被検物質は、好まし
くは、りん酸イオン、過酸化水素、オゾン及び尿素から
なる群より選択される。
【0019】本発明の好ましい実施形態では、本発明
は、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオ
キシダーゼ、ペルオキシダーゼ、イノシン、4−アミノ
アンチピリン、及びN−エチル−N−(3−スルホプロ
ピル)−3−メトキシアニリン、並びにpH調整剤を含
む、りん酸イオン濃度を測定するための上記水質分析用
器具を提供する。
【0020】本発明の別の好ましい実施形態では、本発
明は、ペルオキシダーゼ、4−アミノアンチピリン、及
びN−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メト
キシアニリン、並びにpH調整剤を含む、過酸化水素濃度
又はオゾン濃度を測定するための上記水質分析用器具を
提供する。
【0021】本発明のさらに別の好ましい実施形態で
は、本発明は、ウレアーゼ及びpH調整剤を含む、尿素濃
度を測定するための上記水質分析用器具を提供する。さ
らに、本発明は、上記の水質分析用器具を防湿性の包装
体で被包してなる水質分析用パッケージを提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、弾性を有する、少なくとも一部が透明又は半
透明の材料からなる密封容器に、被検物質と特異的に反
応し得る酵素試薬を封入してなる水質分析用器具に関す
る。
【0023】上記水質分析用器具の密封容器に用いる材
料は、弾性を有していればよく、特に限定されないが、
該材料でできた筒を健常者が手の親指と人さし指で挟ん
で圧迫したときに容易に変形する程度の弾性を有するこ
とが好ましい。また、該材料は、画鋲等の尖端部を有す
る器具で容易に開口部(穴)を作製できる程度の硬度及
び厚さを有することが好ましい。さらに、前記密封容器
は、少なくとも一部が透明又は半透明であればよく、特
に限定されないが、その部分において該密封容器の中に
含まれる液体の色を確認できる程度に透明又は半透明で
あることが好ましい。これらの要件を満たす材料として
は、ポリエチレン等の高分子材料が挙げられる。
【0024】上記密閉容器の形状及び大きさは特に制限
されないが、片手で保持することができ、かつ、片手で
水質分析操作を行うことができる形状及び大きさである
ことが好ましい。該密閉容器の特に好ましい形状及び大
きさは、その一部に開口部(穴)を設け、その部分を10
0〜300ml容ビーカー内の半分程度の容積を占める液体に
浸し、スポイトの要領で該液体を吸引することのできる
形状及び大きさであり、例えば、図1に示す(2)のよ
うな形状である。
【0025】上記被検物質は、何らかの酵素が特異的に
反応し得るものであればよく、特に限定されないが、工
場排水、飲料水、河川湖沼、農業用水等、水(H2O)を
主成分とする液体中に含まれ得るものであることが好ま
しく、より好ましくは、りん酸イオン、過酸化水素、オ
ゾン及び尿素が挙げられる。
【0026】本明細書において、酵素がある物質と「反
応する」という場合の「反応する」は、該物質が該酵素
の基質である場合のみならず、該物質が該酵素とその基
質との反応において補助的に作用することをも意味す
る。例えば、4−アミノアンチピリンとN−エチル−N
−(3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(A
DPS)がペルオキシダーゼの作用により酸化縮合して
キノン色素が生成する酵素反応において、過酸化水素又
はオゾンが補助的に作用する場合には、本明細書では、
ペルオキシダーゼは過酸化水素又はオゾンと「反応す
る」という。
【0027】また、本明細書において、「特異的に」と
いう用語には、酵素がある物質とだけ反応するものであ
る場合のみならず、様々な被検物質を検出するための各
水質検査における酵素反応環境において、該酵素が1種
の物質とだけ反応する場合も含まれる。例えば、ペルオ
キシダーゼは、過酸化水素及びオゾンの両方と反応する
が、どちらか片方しか含まない液体の水質検査において
はその物質とだけ反応するのであり、従って、その物質
と特異的に反応するものということができる。この場
合、ペルオキシダーゼは、過酸化水素と特異的に反応し
得る酵素であると同時に、オゾンと特異的に反応し得る
酵素であるということができる。
【0028】上記密封容器に封入される上記酵素試薬
は、上記被検物質と特異的に反応し得る酵素を含む。該
酵素は、被検物質に応じて、当業者が容易に選択するこ
とができるため、特に限定されないが、該被検物質の存
在下における該酵素の反応により生産される産物が呈色
するものであることが好ましい。このような酵素は、被
検物質に応じて当業者が容易に選択することができる
が、被検物質が過酸化水素又はオゾンである場合には、
例えば、ペルオキシダーゼを挙げることができる。ある
いは、前記酵素は、前記被検物質の存在下における該酵
素の反応により生産される産物が、呈色する物質に変換
され得るものであることが好ましい。このような酵素
は、被検物質に応じて当業者が容易に選択することがで
きるが、被検物質がりん酸イオンである場合には、例え
ば、プリンヌクレオシドホスホリラーゼを挙げることが
でき、被検物質が尿素である場合には、例えば、ウレア
ーゼを挙げることができる。
【0029】さらに、上記酵素試薬は、酵素と被検物質
との反応に関与する他の試薬を含むことができる。この
ような試薬は、酵素と被検物質の組み合わせに応じて当
業者が適切に選択することができるため、特に制限され
ないが、好ましくは、該被検物質が該酵素の基質である
場合には、その酵素反応において補助的に作用する物質
とすることができ、該被検物質が該酵素とその基質との
反応において補助的に作用する物質である場合には、該
酵素の基質、及び、必要に応じて、その他の補助的作用
物質とすることができる。例えば、被検物質がりん酸イ
オンであり、酵素がプリンヌクレオシドホスホリラーゼ
である場合には、例えば、イノシンを添加するとよい。
被検物質が過酸化水素又はオゾンであり、酵素がペルオ
キシダーゼである場合には、例えば、4−アミノアンチ
ピリン及びADPSを添加するとよい。
【0030】さらに、上記酵素試薬は、必要に応じて、
酵素と被検物質との反応により得られる酵素反応産物を
呈色物質に変換するための試薬を含むことができる。こ
のような試薬は、採用する呈色法に応じて当業者が適切
に選択することができるが、該呈色法(酵素反応産物の
呈色物質への変換法)は、化学的反応、酵素反応等のい
ずれを利用するものであってもよく、当業者に公知の方
法を採用することができる。例えば、被検物質がりん酸
イオンであり、酵素がプリンヌクレオシドホスホリラー
ゼである場合には、酵素反応産物であるヒポキサンチン
に、例えば、キサンチンオキシダーゼを作用させて過酸
化水素を生成させ、過酸化水素とペルオキシダーゼの作
用により4−アミノアンチピリンとADPSとを酸化縮
合させて、呈色物質である高感度キノン色素を生成させ
ることができるため、キサンチンオキシダーゼ、ペルオ
キシダーゼ、4−アミノアンチピリン及びADPSを添
加するとよい。
【0031】上記密閉容器は、上記酵素試薬の他に、pH
調整剤、防腐剤、乾燥剤、酸化防止剤、増量剤等の添加
物を含んでもよい。pH調整剤は、典型的にはpH緩衝剤で
ある。該pH緩衝剤は、密閉容器中における反応系のpHを
ある狭い範囲内に保つことを目的として添加されるが、
保つべきpH範囲は、使用する酵素又は酵素群の至適pH、
安定pH等を参照することにより、当業者は容易に決定す
ることができる。また、pH緩衝剤としては、多種多様な
ものが当技術分野において知られており、当業者は、緩
衝剤によって保つべきpH範囲、被検物質、密閉容器中で
の反応に関与する物質等に応じて適切なものを選択する
ことができるが、好ましくはくえん酸緩衝剤を用いるこ
とができる。その他の添加物については、当業者が適宜
選択して用いることができる。
【0032】上記密閉容器に封入される内容物(酵素試
薬、添加物等)は、固体又は液体のどちらでもよいが、
試薬の貯蔵安定性及び水質分析の操作性の観点から固体
であることが好ましく、試薬の検水への溶解性及び酵素
反応の迅速性の観点から粉体であることがさらに好まし
い。
【0033】本発明の水質分析用器具は、上記密閉容器
に上記酵素試薬、上記添加物等を封入することにより作
製することができ、これは当業者に公知の具体的手順に
従って行うことができる。該酵素試薬は、上記のような
酵素その他の必要な成分を混合することにより調製する
ことができる。これらの成分は、市販のものを用いても
よいし、新たに調製してもよい。該酵素試薬を液体とす
る場合には、これらの成分を水性溶媒に溶解するとよ
い。この場合において添加物を加える場合には、これも
また該水性溶媒に溶解する。該酵素試薬を固体とする場
合には、必要な全ての成分を固体として用意し、混合す
るとよい。この場合には、固体として市販されている成
分を用いてもよいし、液体の成分を固化してもよい。固
化するための方法としては、当業者に公知の方法を用い
ることができるが、好ましくは凍結乾燥法を用いる。こ
の場合において添加物を加える場合には、これもまた同
様に固体として用意し、混合する。特に、該酵素試薬を
粉体とする場合には、必要な全ての成分を固体として用
意し、粉砕混合するとよい。なお、酵素試薬、添加物等
を固体、特に粉体とする場合には、水質分析用器具の作
製作業は全て、乾燥した環境で行うのが望ましく、その
際の湿度は、好ましくは50%以下、より好ましくは4
0%以下とする。該作業を行う際の温度は特に制限され
ないが、好ましくは10℃〜30℃、より好ましくは1
0℃〜20℃、最も好ましくは約15℃とする。
【0034】以上のようにして作製した本発明の水質分
析用器具を用いると、簡便に水質分析を行うことができ
る。該水質分析の検水(被検試料)は水(H2O)を主成
分とする液体であればよく、特に制限されないが、例え
ば、工場排水、飲料水、河川湖沼、農業用水等を挙げる
ことができる。以下に、図1に示す本発明の水質分析用
器具を用いる場合を例として、分析手順を説明する。
【0035】本発明の水質分析用器具の密封容器中に含
まれる酵素試薬、添加物等により被検物質の量に応じた
呈色が得られる場合には、まず、該密封容器の一部に画
鋲等を用いて小さな開口部を作り、指で本体を押して内
部の空気を追い出す(図2)。次いで、その開口部を、
容器に採取しておいた検水に浸けて指をゆるめると、ス
ポイトと同様に自動的に検水が該密封容器に吸い込まれ
る(図3)。その後、上記酵素試薬の反応に十分な時間
(例えば、約1〜5分間)の経過後に、吸入された液体
の色を標準の色列表と比較し、同じ色、あるいは似た色
を探し、その場所に記載されている数値を読むことによ
り(図4)、簡単に検水中の被検物質濃度を測定するこ
とができる。
【0036】本発明の水質分析用器具の密封容器中に含
まれる酵素試薬、添加物等により被検物質の量に応じた
呈色が得られない場合には、まず、検水を容器に少量
(例えば、約3ml)採取し、該密封容器の一端を鋏で切
断し、その内容物を検水に添加する。その後、上記酵素
試薬の反応に十分な時間(例えば、約1〜5分間)の経
過後に、反応産物を定量することができる。この反応産
物の定量は、当業者に公知の方法を用いて行うことがで
きるが、好ましくは呈色反応を利用する方法を用いる。
呈色反応を利用すると、その色を標準の色列表と比較
し、同じ色、あるいは似た色を探し、その場所に記載さ
れている数値を読むことにより簡単に検水中の被検物質
濃度を測定することができる。
【0037】本発明の水質分析用器具によれば、酵素の
特異反応を応用することで検水を強酸性に保つ必要がな
いため、保存、輸送、測定作業、及び廃棄における危険
性が回避される。特に、廃棄に関しては、含まれる酵素
は人体にも影響せず、さらには温度に弱く、耐久性もな
く分解してしまうため、自然界へ流失しても環境に与え
る影響が少ない。
【0038】以上に、本発明の水質分析用器具について
十分に詳細に説明されているが、該水質分析用器具の好
ましい実施形態を、りん酸イオン、過酸化水素、オゾン
及び尿素を被検物質とするものについて、以下に説明す
る。本発明の好ましい実施形態では、本発明は、プリン
ヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダー
ゼ、ペルオキシダーゼ、イノシン、4−アミノアンチピ
リン、及びADPS、並びにpH調整剤を含む、りん酸イ
オン濃度を測定するための上記水質分析用器具に関す
る。ここで、上記4−アミノアンチピリン及びADPS
に代えて、類似反応を示すフェノール系又はアニリン系
のトリンダー試薬類を用いてもよく、さらには、TMB
Z−PS(N-(3-Sulfopropyl)-3,3',5,5'-tetramethylb
enzidine、ナトリウム塩)を用いてもよい。また、pH調
整剤としては、発色時のpHを中性にするため、及びポリ
エチレンパイプに封入する際の作業性等の観点から、く
えん酸緩衝剤(例えば、無水くえん酸1gと、無水くえん
酸三ナトリウム97gとの混合物)が好ましい。
【0039】この実施形態では、検水中の無機りんに、
イノシンの存在下、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ
を作用させ、ヒポキサンチンを生成させる。次に、この
ヒポキサンチンにキサンチンオキシダーゼを作用させ、
過酸化水素を生成させる。この生成した過酸化水素の存
在下、ペルオキシダーゼの作用で4−アミノアンチピリ
ンとADPSを酸化縮合させて高感度キノン色素に導
き、その発色の度合いを標準色と比色して濃度を読み取
ることができる。
【0040】本発明の別の好ましい実施形態では、本発
明は、ペルオキシダーゼ、4−アミノアンチピリン、及
びADPS、並びにpH調整剤を含む、過酸化水素濃度又
はオゾン濃度を測定するための上記水質分析用器具に関
する。ここで、上記4−アミノアンチピリン及びADP
Sに代えて、類似反応を示すフェノール系又はアニリン
系のトリンダー試薬類を用いてもよく、さらには、TM
BZ−PSを用いてもよい。また、pH調整剤としては、
発色時のpHを中性にするため、及びポリエチレンパイプ
に封入する際の作業性等の観点から、くえん酸緩衝剤
(例えば、無水くえん酸1gと、無水くえん酸三ナトリウ
ム97gとの混合物)が好ましい。
【0041】この実施形態では、検水中の過酸化水素又
はオゾンの存在下、ペルオキシダーゼの作用で4−アミ
ノアンチピリンとADPS(N−エチル−N−(3−ス
ルホプロピル)−3−メトキシアニリン)を酸化縮合さ
せ高感度キノン色素に導き、その発色の度合いを標準色
と比色して濃度を読み取ることができる。本発明のさら
に別の好ましい実施形態では、本発明は、ウレアーゼ及
びpH調整剤を含む、尿素濃度を測定するための上記水質
分析用器具に関する。ここで、pH調整剤としては、発色
時のpHを中性にするため、及びポリエチレンパイプに封
入する際の作業性等の観点から、くえん酸緩衝剤(無水
くえん酸0.5gを粉末にしたものと、無水くえん酸三ナト
リウム49gとの混合物)が好ましい。
【0042】この実施形態では、検水中の尿素にウレア
ーゼを作用させてアンモニウムを生成させる。ここで、
アンモニウムは呈色物質ではないので、さらにこれを検
出する手段が必要となり、このため、密封容器の一端を
鋏で切断し、その内容物を検水に添加することによりア
ンモニウムを生成させる。アンモニウムを検出する手段
としては、好ましくはインドフェノール法を挙げること
ができる。該インドフェノール法は、塩素剤、フェノー
ル剤等を用いてアンモニウムを発色させる方法であり、
当業者であれば適切に必要な試薬を選択することができ
る。また、アンモニウムを比色定量するための市販の器
具やキットを用いてもよく、例えば、パックテストアン
モニウム(型式:WAK-NH4;共立理化学研究所製)を用
いることができる。
【0043】さらに、本発明は、上記の水質分析用器具
を防湿性の包装体で被包してなる水質分析用パッケージ
に関する。該包装体は防湿性の材料からなるものであれ
ばよく、特に制限されないが、好ましくはラミネート包
装体、より好ましくはアルミラミネート包装体である。
このような包装体による被包は、上記水質分析用器具を
外気から遮断することのできる様式であればよく、その
具体的な方法は特に制限されない。また、上記パッケー
ジは、水質分析用器具とともに、乾燥剤、酸化防止剤、
脱酸素剤等を含んでもよい。このようなパッケージによ
り、本発明の水質分析用器具、特に密封容器内の酵素試
薬の性能を、少なくとも6月にわたって、安定に維持す
ることができる。
【0044】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明する。ただし、これらの実施例は説明のためのも
のであり、本発明の技術的範囲を制限するものではな
い。 〔実施例1〕りん酸イオン測定用簡易水質分析器具 以下のようにして、りん酸イオン測定用簡易水質分析器
具1000本を作製した。なお、以下に示す試薬の混合作業
及びポリエチレンパイプへの封入作業は、温度15℃、
湿度40%の条件下で行った。
【0045】まず、無水くえん酸(和光純薬工業株式会
社:コードNo.036-05522)1gと、無水くえん酸三ナトリ
ウム(和光純薬工業株式会社:コードNo.203-13605)97
gとを混合し、くえん酸緩衝剤98gを調製した。該くえん
酸緩衝剤98gに、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ
(東洋紡績株式会社:コードNo.PNP-301、15U/mg)0.06
7g、キサンチンオキシダーゼ(東洋紡績株式会社:コー
ドNo.XTO-212、20U/mg)0.5g、ペルオキシダーゼ(東洋
紡績株式会社:コードNo.PEO-301、110purpurogalline
単位/mg)0.02g、イノシン(株式会社興人:コードNo.1
120)1.5g、4−アミノアンチピリン(和光純薬工業株
式会社:コードNo.017-02272)0.5g、及びADPS(N
−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メトキシ
アニリン、ナトリウム塩、一水和物;株式会社同仁化学
研究所:コードNo.82611-88-9)0.5gを添加し、粉砕混
合してりん酸イオン測定用試薬を調製した。以上のよう
にして得たりん酸イオン測定用試薬を、100mgずつポリ
エチレンパイプ(外径10mm×70mm)に封入し、りん酸イ
オン測定用簡易水質分析器具(図1)1000本を得た。
【0046】次に、りん酸イオン濃度が知られている溶
液について、該りん酸イオン測定用簡易水質分析器具を
用いて、次のような手順でりん酸イオン濃度を測定し
た。該簡易水質分析器具のポリエチレンパイプにピンで
開口部をつくり(図2)、スポイトの要領で検水をおよ
そ半分程度(約1.5ml)吸入した(図3)。検水を吸入
して5分後に標準色(図5)と比色したところ(図
4)、0.05〜2mg/lまでのりん酸イオンを正確に定量す
ることができた。なお、試薬量の多少の変動及び検水量
の多少の変動は発色(すなわち定量性)には影響しなか
った。
【0047】〔実施例2〕過酸化水素測定用簡易水質分
析器具 以下のようにして、過酸化水素測定用簡易水質分析器具
1000本を作製した。なお、以下に示す試薬の混合作業及
びポリエチレンパイプへの封入作業は、温度15℃、湿
度40%の条件下で行った。まず、無水くえん酸(和光
純薬工業株式会社:コードNo.036-05522)1gと、無水く
えん酸三ナトリウム(和光純薬工業株式会社:コードN
o.203-13605)97gとを混合し、くえん酸緩衝剤98gを調
製した。
【0048】該くえん酸緩衝剤98gに、ペルオキシダー
ゼ(東洋紡績株式会社:コードNo.PEO-301、110purpuro
galline単位/mg)0.15g、4−アミノアンチピリン(和
光純薬工業株式会社:コードNo.017-02272)0.5g、及び
ADPS(株式会社同仁化学研究所:コードNo.82611-8
8-9)0.5gを添加し、粉砕混合して過酸化水素測定用試
薬を調製した。以上のようにして得た過酸化水素測定用
試薬を、100mgずつポリエチレンパイプ(外径10mm×70m
m)に封入し、過酸化水素測定用簡易水質分析器具(図
1)1000本を得た。
【0049】次に、過酸化水素濃度が知られている溶液
について、該過酸化水素測定用簡易水質分析器具を用い
て、次のような手順で過酸化水素濃度を測定した。該簡
易水質分析器具のポリエチレンパイプにピンで開口部を
つくり(図2)、スポイトの要領で検水をおよそ半分程
度(約1.5ml)吸入した(図3)。検水を吸入して1分
後に標準色(図6)と比色したところ(図4)、0.02〜
5mg/lまでの過酸化水素を正確に定量することができ
た。なお、試薬量の多少の変動及び検水量の多少の変動
は発色(すなわち定量性)には影響しなかった。
【0050】〔実施例3〕オゾン測定用簡易水質分析器
具 オゾン測定用試薬としては、オゾンが過酸化水素と同じ
ように強力な酸化力を有する点を利用し、過酸化水素測
定用試薬を使用した。過酸化水素測定用試薬を、100mg
ずつポリエチレンパイプ(外径10mm×70mm)に封入し、
オゾン測定用簡易水質分析器具(図1)1000本を得た。
【0051】次に、オゾン濃度が知られている溶液につ
いて、該オゾン測定用簡易水質分析器具を用いて、次の
ような手順でオゾン濃度を測定した。該簡易水質分析器
具のポリエチレンパイプにピンで開口部をつくり(図
2)、スポイトの要領で検水をおよそ半分程度(約1.5m
l)吸入した(図3)。検水を吸入して1分後に標準色
(図7)と比色したところ(図4)、0.1〜5mg/lまでの
オゾンを正確に定量することができた。なお、試薬量の
多少の変動及び検水量の多少の変動は発色(すなわち定
量性)には影響しなかった。
【0052】〔実施例4〕尿素測定用簡易水質分析器具 以下のようにして、尿素測定用簡易水質分析器具1000本
を作製した。なお、以下に示す試薬の混合作業及びポリ
エチレンパイプへの封入作業は、温度15℃、湿度40
%の条件下で行った。
【0053】まず、無水くえん酸(和光純薬工業株式会
社:コードNo.036-05522)0.5gを粉末にしたものと、無
水くえん酸三ナトリウム(和光純薬工業株式会社:コー
ドNo.203-13605)49gとを混合し、くえん酸緩衝剤49.5g
を調製した。該くえん酸緩衝剤98gに、ウレアーゼ(東
洋紡績株式会社:コードNo.URH-201)0.5gを添加し、粉
砕混合して尿素測定用試薬を調製した。以上のようにし
て得た尿素測定用試薬を、50mgずつポリエチレンパイプ
(外径6mm×40mm)に封入し、尿素測定用簡易水質分析
器具(図1)1000本を得た。
【0054】次に、尿素濃度が知られている検水につい
て、該尿素測定用簡易水質分析器具を用いて、次のよう
な手順で尿素濃度を測定した。蓋付きの適当なビンに検
水3mlを採取し、これに尿素測定用簡易水質分析器具を
鋏で切って中身の試薬を添加し、蓋をして溶解させて3
分間反応させた。こうして生成されたアンモニウムを、
パックテストアンモニウム(型式:WAK-NH4;共立理化
学研究所製)を用い、取扱説明書の記載に従って発色さ
せ、アンモニウムに変換した後1分の時点で標準色(図
8)と比色したところ(図4)、0.16〜8mg/lまでの尿
素を正確に定量することができた。なお、試薬量の多少
の変動及び検水量の多少の変動は発色(すなわち定量
性)には影響しなかった。
【0055】〔実施例5〕りん酸イオン測定用酵素混合
試薬及び過酸化水素測定用酵素混合試薬の性能の経時変
化 過酸化水素測定用試薬は酵素1種類のみが含まれる試薬
であり、湿度による性能低下の可能性も低いと考え、調
合した試薬を封入したテストチューブを5本ずつアルミ
ラミネート包装する際に、乾燥剤を同封しない場合の保
存状態を調べた。一方、りん酸イオン測定用試薬は酵素
が3種類含まれる試薬であり、湿度による性能低下の可
能性が高いことから、調合した試薬を封入したテストチ
ューブを5本ずつアルミラミネート包装する際に、乾燥
剤を同封した場合の保存状態を調べた。これらは、アル
ミラミネート包装後に20〜35℃の室温に放置した。
【0056】各経過時における性能評価は、両テストチ
ューブでそれぞれ標準水溶液を測定した場合の吸光度の
値により行った。各標準水溶液の濃度は、過酸化水素測
定の場合は0mg/L及び1mg/Lの2種類、りん酸イオン測定
の場合は0mg/L、0.5mg/L及び2mg/Lの3種類とし、過酸
化水素測定についてはサンプル吸入後1分、りん酸イオ
ン測定についてはサンプル吸入後5分での吸光度を測定
した。測定波長は、サンプル内の酵素反応による最終生
成物であるキノン色素の最大吸収波長539nmとし、測定
機器としては小型分光光度計UV-1240(島津製作所)を
用いた。表1及び表2、並びに図9及び図10に、過酸
化水素およびりん酸イオンの測定結果を示す。
【0057】
【表1】
【表2】
【0058】過酸化水素測定用簡易水質分析器具の場
合、該簡易水質分析器具製造後約半年を経過した時点で
も吸光度の低下は見られなかった。従って、過酸化水素
測定用混合試薬は、アルミラミネート包装内に封入すれ
ば、少なくとも半年以上は性能の低下が生じないことが
確認された。
【0059】りん酸イオン測定用簡易水質分析器具の場
合、該簡易水質分析器具製造後3ヶ月を経過した時点か
ら若干の性能低下の兆候は見られるものの、約6ヶ月を
経過した時点において吸光度で約85%以上の性能を維持
していた。従って、りん酸イオン測定用混合試薬は、過
酸化水素測定用混合試薬より若干性能は劣るが、目視で
の比色による濃度判定という本測定の性質に鑑みれば、
少なくとも半年以上は十分な性能を維持するものと考え
られる。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明の水質分析用器具
による分析では、検水の前処理として強酸性にする必要
性がないため、操作を簡略化することができ、従って、
本体以外に必要となる実験器具が少ない。また、この分
析は、安全で、操作が簡単、かつ環境に優しいという特
徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる反応試薬(1)と簡易水質分析
器具の実施の形態(2)を示す正面図である。
【図2】実施における作業図で、指で穴があいた本体の
空気を追い出している状態を示す図である。
【図3】実施における作業図で、容器(3)に入った検
水(4)を吸い込んでいる状態を示す図である。
【図4】本体(5)を指定時間後に色列表(6)と比色
している状態を示す図である。
【図5】りん酸イオンの定量に用いる標準色の色列表を
示す図である。
【図6】過酸化水素の定量に用いる標準色の色列表を示
す図である。
【図7】オゾンの定量に用いる標準色の色列表を示す図
である。
【図8】尿素の定量に用いる標準色の色列表を示す図で
ある。
【図9】過酸化水素の定量に用いる水質分析用パッケー
ジにおける、酵素試薬の貯蔵安定性を示す図である。
【図10】りん酸イオンの定量に用いる水質分析用パッ
ケージにおける、酵素試薬の貯蔵安定性を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 酵素試薬 2 水質分析用器具 3 容器 4 検水 5 検水を含んだ水質分析用器具 6 色列表
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12Q 1/26 C12Q 1/26 1/28 1/28 1/48 1/48 Z 1/58 1/58

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性を有する、少なくとも一部が透明又
    は半透明の材料からなる密封容器に、被検物質と特異的
    に反応し得る酵素試薬を封入してなる水質分析用器具。
  2. 【請求項2】 前記材料がポリエチレンである請求項1
    記載の水質分析用器具。
  3. 【請求項3】 前記被検物質が、りん酸イオン、過酸化
    水素、オゾン及び尿素からなる群より選択される請求項
    1記載の水質分析用器具。
  4. 【請求項4】 プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キ
    サンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、イノシン、
    4−アミノアンチピリン、及びN−エチル−N−(3−
    スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、並びにpH調
    整剤を含む、りん酸イオン濃度を測定するための請求項
    3記載の水質分析用器具。
  5. 【請求項5】 ペルオキシダーゼ、4−アミノアンチピ
    リン、及びN−エチル−N−(3−スルホプロピル)−
    3−メトキシアニリン、並びにpH調整剤を含む、過酸化
    水素濃度又はオゾン濃度を測定するための請求項3記載
    の水質分析用器具。
  6. 【請求項6】 ウレアーゼ及びpH調整剤を含む、尿素濃
    度を測定するための請求項3記載の水質分析用器具。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の水
    質分析用器具を防湿性の包装体で被包してなる水質分析
    用パッケージ。
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