JP2014052369A - 金属の簡易検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粉塵や付着異物等に含まれる微量の金属成分について、大型で高価な専用機器を必要とせず、その発生現場で簡便に且つ迅速に検出でき、ある程度の量的判断も可能であり、周辺環境を悪化させず安全性にも優れる簡易検出方法を提供する。
【解決手段】被検物に、検出対象金属を溶出可能で且つ溶出した金属成分と呈色反応するキレート滴定用指示薬を含む金属検出液を接触させ、検出液の色変化の有無及び程度によって検出対象金属の有無及び存在量を判定する。
【選択図】なし

Description

本発明は、工場等に存在する粉塵、設備機器・工具・備品・衣類等に付着する異物、生産装置や構成部品の摩耗等によって生産工程で発生する異物等に含まれる微量の金属成分について、その発生現場で簡便に検出するための簡易検出方法に関する。
一般的に、電池、電子部品、各種機能性材料、食品等の製造及び処理工程においては、粉塵や異物に由来する金属成分の混入が微量であっても製品の欠陥、性能低下、製品及び作業の安全性低下等に繋がることがある。例えば、リチウム二次電池では、金属不純物の混入によって発熱し易くなり、甚だしい場合にはセルが爆発する危険性もある。従って、このような金属成分の有無を調べることが重要になるが、微量金属の検出手段として知られる原子吸光法、吸光光度法、発光分析法、蛍光X線分析法等では、大型で高価な専用機器を必要とする上、採取した被検試料を機器の設置場所に持ち込んで熟練技術者に操作を委ねることになり、非常に手間及び時間を要するため、生産工程中の様々な段階で被検試料を採取して簡易に且つ迅速に金属検出を行うには全く不向きである。
一方、金属の簡易な検出手段として、検出対象金属を溶出可能で且つ溶出した金属成分と呈色反応する呈色指示薬を含む金属検出液を用い、この金属検出液を被検物に接触させたときの色変化によって検出対象金属の有無を調べる方法も種々提案されている。例えば
、鉄を対象として、塩酸、硫酸、硝酸等の酸性水溶液に呈色指示薬のキシレノールオレンジを含有させた検出液を用いる方法(特許文献1)や、塩酸水溶液に呈色指示薬のオルトフェナントロリンを含有させた検出液を用いる方法(特許文献2)、銅を対象として、塩化アンモニウム及び酢酸を含む酸性水溶液に呈色指示薬のオキシンを含有させた検出液を用いる方法(特許文献3)等がある。
特開平11−326309号公報 特開2011−58881号公報 特許第2506749号公報
しかしながら、上記従来の呈色指示薬を含む金属検出液を用いる方法では、簡易に金属成分の有無を判定できても量的判断が難しい上、鉄を対象とする酸性水溶液のように強酸成分を含むことで液の調製や取扱い上の危険性があったり、また銅を対象とする酸性水溶液のようにアンモニア成分や酢酸成分を含むことで周辺に刺激臭や不快臭が立ち込めるといった難点があった。
本発明は、上述の事情に鑑みて、粉塵や付着異物等に含まれる微量の金属成分について
、大型で高価な専用機器を必要とせず、その発生現場で簡便に且つ迅速に検出できる上、ある程度の量的判断も可能であり、加えて周辺環境を悪化させず安全性にも優れる簡易検出方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1の発明に係る金属の簡易検出方法は、被検物に、検出対象金属を溶出可能で且つ溶出した金属成分と呈色反応するキレート滴定用指示薬を含む金属検出液を接触させ、該検出液の色変化の有無及び程度によって検出対象金属の有無及び存在量を判定することを特徴としている。
請求項2の発明は、上記請求項1の金属の簡易検出方法において、検出対象金属が鉄であり、金属検出液が硫酸塩類及び水溶性過酸化物類を溶解した水溶液中に鉄のキレート滴定用指示薬を含むものからなる構成としている。
請求項3の発明は、上記請求項2の金属の簡易検出方法において、金属検出液が、硫酸アンモニウム及び過酸化水素を溶解した水溶液中に、鉄のキレート滴定用指示薬としてタイロンを含むものからなる構成としている。
請求項4の発明は、上記請求項1の金属の簡易検出方法において、検出対象金属が銅であり、金属検出液が、水溶性過酸化物類及びリン酸塩類を溶解した水溶液からなる第一液と、還元性を有する有機酸又はその塩類を溶解した水溶液中に銅のキレート滴定用指示薬を含む第二液とからなり、これら第一液と第二液の混合液を被検物に接触させる構成としている。
請求項5の発明は、上記請求項4の金属の簡易検出方法において、金属検出液の前記第一液がペルオキソ二硫酸アンモニウム及びリン酸二水素アンモニウムを溶解した水溶液であり、第二液がL−アスコルビン酸の水溶液中に銅のキレート滴定用指示薬としてバソクプロインジスルホン酸二ナトリウムを含むものである構成としている。
請求項6の発明は、上記請求項1の金属の簡易検出方法において、検出対象金属が亜鉛であり、金属検出液が、炭酸塩類とアルカリ剤を溶解した水溶液中に亜鉛のキレート滴定用指示薬を含むものからなる構成としている。
請求項7の発明は、上記請求項6の金属の簡易検出方法において、金属検出液が、炭酸水素ナトリウム及び水酸化ナトリウムを溶解した水溶液中に、亜鉛のキレート滴定用指示薬としてジンコンを含むものからなる構成としている。
請求項8の発明は、上記請求項1の金属の簡易検出方法において、検出対象金属がアルミニウムであり、金属検出液が、炭酸塩類を溶解した水溶液からなる第一液と、有機酸又はその塩類を溶解した水溶液中にアルミニウムのキレート滴定用指示薬を含む第二液とからなり、これら第一液と第二液の混合液を被検物に接触させる構成としている。
請求項9の発明は、上記請求項8の金属の簡易検出方法において、金属検出液の前記第一液が炭酸ナトリウム水溶液であり、第二液がL−アスコルビン酸の水溶液中にアルミニウムのキレート滴定用指示薬としてエリオクロムシアニンRを含むものである構成としている。
請求項10の発明は、上記請求項1の金属の簡易検出方法において、検出対象金属がステンレス鋼であり、金属検出液が、有機酸又はその塩類と塩化物類と炭酸塩類を溶解した水溶液中に、鉄のキレート滴定用指示薬を含むものからなる構成としている。
請求項11の発明は、上記請求項10の金属の簡易検出方法において、金属検出液が、乳酸及び塩化ナトリウムと炭酸ナトリウムを溶解した水溶液中に、鉄のキレート滴定用指示薬としてo−フェナントロリンを含むものからなる構成としている。
請求項1の発明によれば、粉塵や付着異物等に含まれる微量の金属成分について、被検物を金属検出液に接触させるだけで、その液の色変化から該金属成分の有無を簡単に検出できる上、呈色指示薬がキレート滴定用指示薬であることから、変色度合によって金属成分のある程度の量的判断も可能となる。従って、本方法では、混入を生じる金属成分の発生現場において、該金属成分の検出検査を簡易に且つ迅速に低コストで行え、しかも操作が極めて簡単で判定時間も短いため、検査の場所や回数が多くなっても労力負担が少なくて済む。
請求項2の発明によれば、検出対象金属が鉄である場合に、その有無及び量の多少を確実に判定できる上、検出液が強酸成分を含まず取扱い性に優れると共に、刺激臭や不快臭を発生しないので周辺環境を悪化させない。特に、請求項3の発明では、鉄のキレート滴定用指示薬及び鉄の溶出成分として特定のものを含む検出液を用いることから、鉄に対するより高い検出感度が得られる。
請求項4の発明によれば、検出対象金属が銅である場合に、その有無及び量の多少を確実に判定できる上、検出液が強酸成分を含まず取扱い性に優れると共に、刺激臭や不快臭を発生しないので周辺環境を悪化させない。特に、請求項5の発明では、銅のキレート滴定用指示薬及び銅の溶出成分として特定のものを含む検出液を用いることから、銅に対するより高い検出感度が得られる。
請求項6の発明によれば、検出対象金属が亜鉛である場合に、その有無及び量の多少を確実に判定できる上、検出液が強酸成分を含まず取扱い性に優れると共に、刺激臭や不快臭を発生しないので周辺環境を悪化させない。特に、請求項7の発明では、亜鉛のキレート滴定用指示薬及び亜鉛の溶出成分として特定のものを含む検出液を用いることから、亜鉛に対するより高い検出感度が得られる。
請求項8の発明によれば、検出対象金属がアルミニウムである場合に、その有無及び量の多少を確実に判定できる上、検出液が強酸成分を含まず取扱い性に優れると共に、刺激臭や不快臭を発生しないので周辺環境を悪化させない。特に、請求項9の発明では、アルミニウムのキレート滴定用指示薬及びアルミニウムの溶出成分として特定のものを含む検出液を用いることから、アルミニウムに対するより高い検出感度が得られる。
請求項10の発明によれば、検出対象金属がステンレス鋼である場合に、その有無及び量の多少を確実に判定できる上、検出液が強酸成分を含まず取扱い性に優れると共に、刺激臭や不快臭を発生しないので周辺環境を悪化させない。特に、請求項11の発明では、鉄のキレート滴定用指示薬及びステンレス鋼中の鉄の溶出成分として特定のものを含む検出液を用いることから、ステンレス鋼に対するより高い検出感度が得られる。
本発明の金属の簡易検出方法は、既述のように、被検物に、検出対象金属を溶出可能で且つ溶出した金属成分と呈色反応するキレート滴定用指示薬を含む金属検出液を接触させ
、該検出液の色変化の有無及び程度によって検出対象金属の有無及び存在量を判定することを特徴としており、粉塵や付着異物等に含まれる微量の金属成分について、その混入を生じる金属成分の発生現場において検出検査を簡易に且つ迅速に低コストで行える。そして、検出操作が極めて簡単で判定時間も短いため、検査の場所や回数が多くなっても労力負担が少なくて済む。従って、例えば、生産工程中の様々な段階で、被検試料を採取して本方法による該金属成分の検出検査を行って明らかな異常分を除くようにすれば、製品段階でX線分析等によって不良品を排除する場合に比較して、生産コストを大幅に低減できることになる。
この簡易検出方法において、被検物に上記の金属検出液を接触させる手段は、被検物自体を金属検出液中に添加又は浸漬する方法、器材表面の付着物を布材で拭き取り、この布材を金属検出液中に浸漬する方法、被検物の表面に金属検出液を塗布又は噴霧する方法等
、被検物の形態とサイズや存在状況に応じて適宜選択すればよい。
しかして、この簡易検出方法に用いる金属検出液は、その検出対象とする金属の種類によって呈色反応性と溶出性が異なるから、その金属種ごとに対応するキレート滴定用指示薬及び溶出成分を用いる。以下に、検出対象金属が鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス鋼である場合の各々の金属検出液の組成について説明する。
まず、鉄を検出対象とする場合、硫酸塩類と水溶性過酸化物類とを溶解した水溶液中に鉄のキレート滴定用指示薬を含む金属検出液を用いる。この金属検出液では、被検物に接触させることにより、該被検物に含まれる微量の鉄を確実に溶出可能であり、その接触に伴う色変化によって鉄の有無を確実に検出できると共に、予め同じ検出液による鉄濃度ごとの色変化度合が判る呈色サンプル又はそれに基づく呈色ゲージ(印刷物)を作成しておけば、検査液の色合いを比較することで量的判断を行える。
使用可能な鉄のキレート滴定用指示薬としては、タイロン、バソフェナントロリン、ビスフェノールA(BPA)、5−Br−PAPS、5−Br−PSAA、カルセインブルー、ジアンチピリルメタン、ニトロ−PAPS、ニトロソ−PSAP、PAR、PDTS
、o−フェナントロリン、ピロガロールレッド(PR)、TPTZ、Cu−PAN、ピロカテコールバイオレット(PV)、エリオクロムシアニンR、クロマズゾールS、スルホサリチル酸、サリチル酸、コウジ酸、ビンドシェドラースグリーン、バリアミンブルーB
、カコテリン、ナフチルアゾキシン、ポンタクローム・ブラックPV、オメガクロムバイオレットB、オキシン、フェロン、メチルチモールブルー(MTB)、XO、ピリジルアゾナフトール(PAN)、ジンコン、ジメチルナフチジン、エリオクロームブラックT(
BT)等が挙げられる。
なお、上記の略称は、PAPS:ホスホアデノシンホスホ硫酸、PSAA:ピリジルアゾ・プロピル・スルホプロピル−アミノアニリンNa塩、PSAP:プロピル・スルホプロピルアミノ−フェノール、PAR:ピリジルアゾ−レゾルシノール、PDTS:ピリジル−ビス(スルホフェニル)−トリアジン2Na塩、TPTZ:トリス(ピリジル)−トリアジン、Cu−PAN:Cu−EDTAとピリジルアゾナフトール(PAN)の混合物
、XO:ビス〔ビス(カルボキシメチル)アミノメチル〕−クレゾールスルホンスタレインNa塩である。
そして、例示した上記の鉄のキレート滴定用指示薬の中でも、タイロン(化学名:1,2-ジヒドロキシ-3,5-ベンゼンジスルホン酸二ナトリウム塩)は、鉄に対する呈色応答性に優れる点から、特に推奨される。このタイロンを呈色指示薬とした金属検出液では、鉄との呈色反応によって元の無色から青紫色への色変化を生じるが、亜鉛や銅、アルミニウムとは反応せず、また鉄酸化物は検出しない。
鉄のキレート滴定用指示薬の配合量は、金属検出液の水に対して0.01〜20W/V
%(水100mlに対して0.01〜20gの割合)の範囲で許容されるが、特に実用面からは 0
.5〜2W/V%の範囲が好ましく、少な過ぎては呈色の判定が難しくなり、またある程度の含有量で呈色応答性は限界になるため、多過ぎては不経済である。
鉄用の金属検出液に用いる前記の硫酸塩類と水溶性過酸化物類は、鉄を溶出させるための配合成分である。すなわち、後者の水溶性過酸化物類は金属(鉄)を水溶液中に溶出するのに必要な溶存酸素をもたらす成分である。また、前者の硫酸塩類は、鉄の溶出を速める成分であるが、同様の溶出促進作用を持つリン酸塩や炭酸塩等に比較し、使用時のpH等の関係から有効性が高いことが判明している。
その硫酸塩類には、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素カルシウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素マグネシウム等の硫酸水素塩、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸マグネシウム等の亜硫酸塩、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素カルシウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素マグネシウム等の亜硫酸水素塩が含まれる。また、水溶性過酸化物類には、過酸化水素の他、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸塩、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム等の過ヨウ素酸塩、ペルオキソ二硫酸と、そのアンモニウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等のペルオキソ二硫酸塩、ペルオキソ一硫酸と、そのアンモニウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等のペルオキソ一硫酸塩、過蟻酸、過酢酸、過プロピオン酸、ペルオキシフタル酸、モノペルオキシフタル酸等の有機過酸、ペルオキソリン酸と、ペルオキソリン酸カリウム、ペルオキソリン酸ナトリウム等のペルオキソリン酸塩が含まれる。
そして、硫酸塩類としては、上記の例示した中で硫酸アンモニウムが液の調製や取扱い上の安全性及び安定性の面から最も好適である。また水溶性過酸化物類としても、上記の例示した中で過酸化水素が液の調製や取扱い上の安全性及び安定性の面から最も好適である。
鉄用の金属検出液における硫酸塩類の配合量は、金属検出液の水に対して0.01〜45W/V%の範囲で許容されるが、特に実用面からは2.5〜10W/V%の範囲が好ましく、少な過ぎては鉄の溶出性が不充分になり、逆に多過ぎてもある程度の含有量で呈色応答性が限界になるため不経済である。また、同様に水溶性過酸化物類の配合量は、金属検出液の水に対して 0.01〜36W/V%の範囲で許容されるが、特に実用面からは0.05〜0.2W/V%の範囲が好ましく、少な過ぎては鉄の溶出性が不充分であり、逆に多過ぎても鉄の酸化が進んで溶出性は不充分になる。なお、金属検出液のpHは4〜6程度がよく、低過ぎては反応性及び呈色性が不充分であり、逆に高過ぎては鉄の溶出性が不充分になる。
このような鉄用の金属検出液では、鉄を含む被検物に接触させてから通常5分以内の短時間で呈色反応が終了して色調は安定するから、接触後5分以上が経過した時点で鉄成分の有無の検出と量的判断を行える。特に、硫酸アンモニウム及び過酸化水素を溶解した水溶液中にキレート滴定用指示薬としてタイロンを含む金属検出液では、鉄の10ppmレベルでの高い検出感度が得られることが判明している。なお、検出液は、強酸成分を含まないため、その調製及び取扱いを安全に行える上、刺激臭や不快臭を発生しないので周辺環境を悪化させないという利点もある。
銅を検出対象とする場合は、水溶性過酸化物類及びリン酸塩類を溶解した水溶液からなる第一液と、還元性を有する有機酸又はその塩類を溶解した水溶液中に銅のキレート滴定用指示薬を含む第二液とからなる金属検出液を用いる。その第一液は反応促進用、第二液は銅検出用としての機能を持つが、このように二液タイプとすることで使用直前まで各々の安定性を確保し、銅の検出に際してこれら第一液と第二液の混合液を被検物に接触させることにより、高い反応性及び呈色性が得られるようにしている。
上記第一液に配合する水溶性過酸化物類は水溶液中に溶存酸素をもたらして銅をイオン化(溶出)させる成分である。またリン酸塩類は、銅の溶出を促進させるための成分であり、同様の溶出促進作用を持つ硫酸塩や炭酸塩等に比較し、使用時のpH等の関係から有効性が高いことが判明している。
その水溶性過酸化物類には、過酸化水素の他、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸塩、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム等の過ヨウ素酸塩、ペルオキソ二硫酸と、そのアンモニウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等のペルオキソ二硫酸塩、ペルオキソ一硫酸と、そのアンモニウム塩、カリウム塩、カルシウム塩
、ナトリウム塩、マグネシウム塩等のペルオキソ一硫酸塩、過蟻酸、過酢酸、過プロピオン酸、ペルオキシフタル酸、モノペルオキシフタル酸等の有機過酸、ペルオキソリン酸と
、そのカリウム塩、ナトリウム塩等のペルオキソリン酸塩が含まれる。また、リン酸塩類としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素マグネシウム
、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二マグネシウム等が挙げられる。
そして、水溶性過酸化物類としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウムが液の調製や取扱い上の安全性及び安定性の面から最も好適である。またリン酸塩類としても、上記の例示した中で、リン酸二水素アンモニウムが液の調製や取扱い上の安全性及び安定性の面から最も好適である。
この第一液における水溶性過酸化物類の配合量は、該第一液の水に対して0.01〜70W/V%の範囲で許容されるが、特に実用面からは2.5〜10W/V%の範囲が好ましく、少な過ぎては銅のイオン化が進みにくくなり、逆に多過ぎてもある程度の含有量で呈色応答性が限界になるため不経済である。また、同様にリン酸塩類の配合量は、第一液の水に対して0.01〜40W/V%の範囲で許容されるが、特に実用面からは2.5〜10W/V%の範囲が好ましく、少な過ぎては銅の溶出が不充分になり、逆に多過ぎてもある程度の含有量で呈色応答性が限界になるため不経済である。なお、第一液のpHは3〜5程度がよく、低過ぎては反応性及び呈色性が不充分であり、逆に高過ぎては銅の溶出が不充分になる。
前記第二液に配合する銅のキレート滴定用指示薬としては、バソクプロインジスルホン酸二ナトリウム、ビスフェノールA(BPA)、5−Br−PAPS、5−Br−PSAA、カルセインブルー、Cu−PAN、ムレキシド、PAR、PDTS、ピロガロールレッド、ビシンニコン酸ナトリウム、SATP、タイロン、TMPyP、TPPS、TPTZ、PAN、チアゾリルアゾルシン(TAR)、ピロカテコールバイオレット、XO、メチルチモールブルー、クロマズゾールS、MX、バリアミンブルーB、ナフチルアゾキシン、エリオクロームレッドB、ナフトールバイオレット、3,4-ジヒドロキシ-4'-ニトロアゾベンゼン、グリシンチモールブルー、グリシンクレゾールレッド、ファーストスルホンブラックF、7-(2-ピリジルアゾ)-8-ヒドロキシキノリン、カルセイン、エリオクロームブラックT(BT)、チモールフタレインコンプレクソン(TPC)、ジンコン、ジメチルナフチジン等が挙げられる。
なお、上記の略称は、SATP:サリシリデンアミノ-2-チオフェノール、TMPyP:テトラキス(N-メチルピリジウム-4-イル)-ポルフィンキス(P-トルエンスルホン酸)、TPPS:テトラフェニル−ポルフィンテトラスルホン酸−二硫酸・四水塩、PDTS:ピリジル−ビス(スルホフェニル)−トリアジン2Na塩、MX:アンモニウムパープレートと硫酸カリウムの混合物、である。PAPS、PSAA、Cu−PAN、PAR、TPTZ、PANについては、鉄のキレート滴定用指示薬の略称として既述している。
そして、例示した上記の銅のキレート滴定用指示薬の中でも、バソクプロインジスルホン酸二ナトリウム(化学名:2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリンジスルホン酸二ナトリウム塩)は、銅に対する呈色応答性に優れる点から、特に推奨される。このバソクプロインジスルホン酸二ナトリウムを呈色指示薬とした金属検出液では、銅との呈色反応によって元の微黄色から橙赤色への色変化を生じるが、鉄やアルミニウム、ステンレス鋼とは反応せず、また銅酸化物は検出しない。
銅のキレート滴定用指示薬の配合量は、前記第二液の水に対して0.01〜20W/V
%の範囲で許容されるが、特に実用面からは0.05〜0.2W/V%の範囲が好ましく
、少な過ぎては呈色の判定が難しくなり、またある程度の含有量で呈色応答性は限界になるため、多過ぎては不経済である。
前記第二液に配合する還元性を有する有機酸又はその塩類は、金属検出液中に溶出した銅(II)を銅(I)に還元するものである。これは、第一液により溶出された銅が銅(II
)であるのに対し、キレート滴定用指示薬として好適なバソクプロインジスルホン酸二ナトリウムが銅(I)と選択的に橙赤色の錯体を形成することによる。
その具体例として、L−アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クロトン酸、グルコン酸、シュウ酸、コハク酸、グリシン、アラニン
、グルタミン酸、安息香酸、フタル酸、エリソルビン酸、グルクロン酸、没食子酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、2−ヒドロキシ酪酸、グリオキシル酸等が挙げられる。そして、これらの中でも、特にL−アスコルビン酸が液の調製や取扱い上の安全性及び安定性の面から最も好適である。
しかして、第二液における上記有機酸又はその塩類の配合量は、該第二液の水に対して0.01〜35W/V%の範囲で許容されるが、特に実用面からは5〜20W/V%の範囲が好ましく、少な過ぎては溶出した銅の酸化抑制作用が不充分になり、逆に多過ぎてはある程度の含有量で呈色応答性が限界になるため不経済である。また、第二液のpHは1〜3程度がよく、低過ぎては反応性及び呈色性が不充分であり、逆に高過ぎては銅の溶出性が不充分になる。
前記第一液と第二液との使用割合は、第一液/第二液の容積比で1/3〜3/1の範囲とするのがよく、第一液の比率が少な過ぎては銅の溶出性が悪化し、第二液の比率が少な過ぎては銅の検出感度が不充分になる。
このような銅用の金属検出液によれば、鉄の場合と同様に、被検物に含まれる微量の銅を確実に溶出可能であり、その接触に伴う色変化によって銅の有無を確実に検出できると共に、予め作成した呈色サンプル又は呈色ゲージと検査液の色合いを比較することで量的判断を行える。特に、前記第一液がペルオキソ二硫酸アンモニウム及びリン酸二水素アンモニウムを溶解した水溶液、第二液がL−アスコルビン酸の水溶液中にキレート滴定用指示薬としてバソクプロインジスルホン酸二ナトリウムを含むものである場合、銅の10ppmレベルでの高い検出感度が得られることが判明している。また、検出液は、第一液及び第二液共に強酸成分を含まないため、その調製及び取扱いを安全に行え、両液及び混合液共に刺激臭や不快臭を発生しないので周辺環境を悪化させないという利点がある。
亜鉛を検出対象とする場合、炭酸塩類とアルカリ剤を溶解した水溶液中に亜鉛のキレート滴定用指示薬を含む金属検出液を用いる。この金属検出液では、前記鉄用及び銅用の金属検出液と同様に、被検物に接触させることにより、該被検物に含まれる微量の亜鉛を確実に溶出可能であり、その接触に伴う色変化によって該亜鉛の有無を確実に検出できると共に、予め作成した呈色サンプル又は呈色ゲージと検査液の色合いを比較することで量的判断を行える。
使用可能な亜鉛のキレート滴定用指示薬としては、ジンコン、5−Br−PAPS、カルセイン、ニトロ−PAPS、PAR、エリオクロームブラックT(BT)、カルコン、エリオクローム・ブルー・ブラックB、エリオクロームレッドB、アシッドクローム・ダックブルー、ナフトールバイオレット、グリシンチモールブルー、ファーストグレイRA
、ジチゾン、ピリジルアゾナフトール(PAN)、Cu−PAN、ピロカテコールバイオレット(PV)、メチルチモールブルー(MTB)、XO、MX、ナフチルアゾキシン、ジメチルナフチジン、バリアミンブルーB、ベンジジン、ピロガロールカルボン酸等が挙げられる。なお、略称のPAPS、PAR、Cu−PAN、XO、MXについては、鉄及び銅のキレート滴定用指示薬の略称として既述している。
そして、例示した上記の亜鉛のキレート滴定用指示薬の中でも、ジンコン〔化学名:1-(2-ヒドロキシカルボニル-フェニル)-5-(2-ヒドロキシ-5-スルホフェニル)-3-フェニルホルマザンのナトリウム塩〕は、亜鉛に対する呈色応答性に優れる点から、特に推奨される。このジンコンを呈色指示薬とした金属検出液では、亜鉛との呈色反応によって元の橙黄色から青色への色変化を生じるが、アルミニウムやステンレス鋼とは反応せず、また亜鉛酸化物は検出しない。ただし、ジンコンは鉄及び銅と反応して赤褐色から赤色に変色する。
亜鉛のキレート滴定用指示薬の配合量は、金属検出液の水に対して0.01〜20W/V%の範囲で許容されるが、特に実用面からは0.01〜0.02W/V%の範囲が好ましく、少な過ぎては呈色の判定が難しくなり、またある程度の含有量で呈色応答性は限界になるため、多過ぎては不経済である。
亜鉛用の金属検出液に用いる前記の炭酸塩類とアルカリ剤は、亜鉛を溶出させるための配合成分であり、反応性及び呈色性と両性金属である亜鉛の溶出性のバランスに基づき、水溶液のpH調整をし易い組合せを選択している。その炭酸塩類には、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素マグネシウム等の炭酸水素塩と、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩とが含まれる。また、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
そして、炭酸塩類としては、上記の例示した中で炭酸水素ナトリウムが液の調製や取扱い上の安全性及び安定性の面から最も好適である。またアルカリ剤としても、上記の例示した中で水酸化ナトリウムが液の調製や取扱い上の安全性及び安定性の面から最も好適である。
亜鉛用の金属検出液における炭酸塩類の配合量は、金属検出液の水に対して0.01〜20W/V%の範囲で許容されるが、特に実用面からは2.5〜10W/V%の範囲が好ましく、少な過ぎては反応性及び呈色性が不充分であり、逆に多過ぎてはある程度の含有量で呈色応答性は限界になるため不経済である。また、同様にアルカリ剤の配合量は、金属検出液の水に対して0.01〜50W/V%の範囲で許容されるが、特に実用面からは0.02〜0.08W/V%の範囲が好ましく、少な過ぎても多過ぎても反応性及び呈色性が不充分になる。なお、検出液のpHは7〜9程度がよく、低過ぎても高過ぎても亜鉛の溶出性が低下する。
このような亜鉛用の金属検出液では、亜鉛を含む被検物に接触させてから通常5分以内の短時間で呈色反応が終了して色調は安定するから、接触後5分以上が経過した時点で亜鉛成分の有無の検出と量的判断を行える。特に、炭酸水素ナトリウム及び水酸化ナトリウムを溶解した水溶液中にキレート滴定用指示薬としてジンコンを含む金属検出液では、亜鉛の10ppmレベルでの高い検出感度が得られることが判明している。なお、検出液は、弱アルカリ性であるため、その調製及び取扱いを安全に行える上、刺激臭や不快臭を発生しないので周辺環境を悪化させないという利点もある。
アルミニウムを検出対象とする場合は、炭酸塩類を溶解した水溶液からなる第一液と、有機酸又はその塩類を溶解した水溶液中にアルミニウムのキレート滴定用指示薬を含む第二液とからなる金属検出液を用いる。その第一液はアルカリ性でアルミニウムの溶出用、第二液は酸性でアルミニウムの検出用としての機能を持つが、前記の銅用の金属検出液と同様に、二液タイプとすることで使用直前まで各々の安定性を確保し、アルミニウムの検出に際してこれら第一液と第二液の混合液を被検物に接触させることにより、高い反応性及び呈色性が得られるようにしている。
上記第一液に用いる炭酸塩類は、アルミニウムを溶出させるための成分であり、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩と、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素マグネシウム等の炭酸水素塩とが含まれる。そして、これらの中でも、炭酸ナトリウムが液の調製や取扱い上の安全性及び安定性の面から最も好適である。
この第一液における炭酸塩類の配合量は、該第一液の水に対して0.01〜40W/V
%の範囲で許容されるが、特に実用面からは0.5〜2W/V%の範囲が好ましく、少な過ぎても多過ぎてもアルミニウムの溶出性が不充分になる。また、第一液のpHは11〜13程度がよく、低過ぎても高過ぎてもアルミニウムの溶出が不充分になる。
前記第二液に配合するアルミニウムのキレート滴定用指示薬としては、エリオクロムシアニンR、ブロモフェノールレッド(BPR)、カルセイン、PR、PAR、タイロン、Cu−PAN、クロマズロールS、ヘマトキシリン、XO、メチルチモールブルー(MTB)、アルミノン、エリオクロームブラックT(BT)、ピロカテコールバイオレット(
PV)、アリザリンS、サリチル酸、ピロガロールカルボン酸、ジンコン、メチルカルセイン、メチルカルセインブルー、ジメチルナフチジン、ベンジジン、バリアミンブルーB等が挙げられる。なお、略称のPR、PAR、Cu−PAN、XOについては、鉄のキレート滴定用指示薬の略称として既述している。
そして、例示した上記のアルミニウムのキレート滴定用指示薬の中でも、エリオクロムシアニンRは、アルミニウムに対する呈色応答性に優れる点から、特に推奨される。このエリオクロムシアニンRを呈色指示薬とした金属検出液では、アルミニウムとの呈色反応によって元の橙色から赤紫色への色変化を生じるが、鉄や亜鉛、銅、ステンレス鋼とは反応せず、またアルミニウム酸化物は検出しない。
アルミニウムのキレート滴定用指示薬の配合量は、前記第二液の水に対して0.01〜20W/V%の範囲で許容されるが、特に実用面からは0.01〜0.04W/V%の範囲が好ましく、少な過ぎては呈色の判定が難しくなり、またある程度の含有量で呈色応答性は限界になるため、多過ぎては不経済である。
前記第二液に配合する有機酸又はその塩類は、アルカリ性である第一液を中和する成分である。これは、前記のエリオクロムシアニンRのようなキレート滴定用指示薬がアルカリ性での反応性及び呈色性に劣ることによる。その具体例として、L−アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クロトン酸、グルコン酸
、シュウ酸、コハク酸、グリシン、アラニン、グルタミン酸、安息香酸、フタル酸、エリソルビン酸、グルクロン酸、没食子酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、2−ヒドロキシ酪酸、グリオキシル酸等が挙げられる。そして、これらの中でも、特にL−アスコルビン酸が液の調製や取扱い上の安全性及び安定性の面から最も好適である。
しかして、第二液における有機酸又はその塩類の配合量は、該第二液の水に対して0.01〜35W/V%の範囲で許容されるが、特に実用面からは1.5〜6W/V%の範囲が好ましく、少な過ぎても多過ぎても反応性及び呈色性が不充分になる。また、第二液のpHは2〜4程度がよく、低過ぎても高過ぎても反応性及び呈色性が不充分になる。
前記第一液と第二液との使用割合は、第一液/第二液の容積比で9/11〜11/9の範囲とするのがよく、第一液の比率が少な過ぎてはアルミニウムの溶出性が悪化し、第二液の比率が少な過ぎてはアルミニウムの検出感度が不充分になる。
このようなアルミニウム用の金属検出液によれば、既述した鉄,銅,亜鉛の場合と同様に、被検物に含まれる微量のアルミニウムを確実に溶出可能であり、その接触に伴う色変化によってアルミニウムの有無を確実に検出できると共に、予め作成した呈色サンプル又は呈色ゲージと検査液の色合いを比較することで量的判断を行える。特に、前記第一液が炭酸ナトリウム水溶液、第二液がL−アスコルビン酸の水溶液中にキレート滴定用指示薬としてエリオクロムシアニンRを含むものである場合、高い検出感度が得られることが判明している。また、検出液は、第一液及び第二液共に強アルカリ成分や強酸成分を含まないため、その調製及び取扱いを安全に行え、両液及び混合液共に刺激臭や不快臭を発生しないので周辺環境を悪化させないという利点がある。
ステンレス鋼を検出対象とする場合、有機酸又はその塩類と塩化物類と炭酸塩類を溶解した水溶液中に鉄のキレート滴定用指示薬を含む金属検出液を用いる。この金属検出液では、被検物に接触させることにより、該被検物に含まれる微量のステンレス鋼から鉄を確実に溶出可能であり、その接触に伴う色変化によってステンレス鋼の有無を確実に検出できると共に、予め同じ検出液によるステンレス鋼濃度ごとの色変化度合が判る呈色サンプル又は呈色ゲージを作成しておけば、検査液の色合いを比較することで量的判断を行える。
このようなステンレス鋼の検出に使用可能な鉄のキレート滴定用指示薬としては、既述の検出対象が鉄である場合の鉄のキレート滴定用指示薬と共通しており、例えばo−フェナントロリン、バソフェナントロリン、ビスフェノールA(BPA)、5−Br−PAPS、5−Br−PSAA、カルセインブルー、ジアンチピリルメタン、ニトロ−PAPS、ニトロソ−PSAP、PAR、PDTS、ピロガロールレッド(PR)、タイロン、TPTZ、Cu−PAN、ピロカテコールバイオレット(PV)、エリオクロムシアニンR、クロマズゾールS、スルホサリチル酸、サリチル酸、コウジ酸、ビンドシェドラースグリーン、バリアミンブルーB、カコテリン、ナフチルアゾキシン、ポンタクローム・ブラックPV、オメガクロムバイオレットB、オキシン、フェロン、メチルチモールブルー(MTB)、XO、ピリジルアゾナフトール(PAN)、ジンコン、ジメチルナフチジン、エリオクロームブラックT(BT)等が挙げられる。なお、上記の略称は既述と同様である。
そして、例示した上記の鉄のキレート滴定用指示薬の中でも、o−フェナントロリン(化学名:1,10-フェナントロリン)は、鉄(II)に対する呈色応答性に優れる点から、特に推奨される。このo−フェナントロリンを呈色指示薬とした金属検出液では、鉄との呈色反応によって元の無色から赤色への色変化を生じるが、亜鉛や銅、アルミニウムとは反応しない。
鉄のキレート滴定用指示薬の配合量は、金属検出液の水と有機酸又はその塩類との混合液に対して0.01〜20W/W%(混合液100gに対して0.01〜20gの割合)の範囲で許容されるが、特に実用面からは0.1 25〜0.5W/W%の範囲が好ましく、少な過ぎては呈色の判定が難しくなり、またある程度の含有量で呈色応答性は限界になるため、多過ぎては不経済である。
ステンレス鋼用の金属検出液に用いる前記の有機酸又はその塩類と塩化物類は、ステンレス鋼から鉄を溶出させるための配合成分である。すなわち、前者の有機酸又はその塩類は、金属(ステンレス鋼)の不動態皮膜の破壊と鉄の溶出を速める成分である。また、後者の塩化物類は不動態皮膜の破壊をもたらす成分である。
上記の有機酸及びその塩類としては、L−アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クロトン酸、グルコン酸、シュウ酸、コハク酸、グリシン、アラニン、グルタミン酸、安息香酸、フタル酸、エリソルビン酸、グルクロン酸、没食子酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、2−ヒドロキシ酪酸、グリオキシル酸等が挙げられる。そして、これらの中でも、特に乳酸が液の調製や取扱い上の安全性及び安定性の面から最も好適である。
また、上記の塩化物類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。そして、これらの中でも、特に塩化ナトリウムが液の調製や取扱い上の安全性及び安定性の面から最も好適である。
ステンレス鋼用の金属検出液における有機酸又はその塩類の配合量は、金属検出液の水に対して任意の範囲で許容されるが、特に実用面からは40〜60W/W%の範囲が好ましく、少な過ぎてはステンレス鋼からの鉄の溶出性が不充分になり、逆に多過ぎてもある程度の含有量で呈色応答性が限界もしくは不充分になるために不経済である。また、同様に塩化物類の配合量は、金属検出液の水と有機酸又はその塩類の混合液に対して0.01〜36W/W%の範囲で許容されるが、特に実用面からは7.5〜18W/W%の範囲が好ましく、少な過ぎてはステンレス鋼からの鉄の溶出性が不充分になり、逆に多過ぎてもある程度の含有量で呈色反応性が限界になるために不経済である。
ステンレス鋼用の金属検出液に用いる前記の炭酸塩類は、水溶液を中和する成分であり、前記の乳酸のような有機酸の調製や取扱い上の安全性を向上させると共に、該金属検出液が良好な検出性能を発揮できるようにpH調整する。
その炭酸塩類としては、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩と、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素マグネシウム等の炭酸水素塩とが含まれる。そして、これらの中でも、炭酸ナトリウムが液の調製や取扱い上の安全性及び安定性の面から最も好適である。
ステンレス鋼用の金属検出液における炭酸塩類の配合量は、金属検出液の水と有機酸又はその塩類との混合液に対して0.01〜40W/W%の範囲で許容されるが、特に実用面からは0.625〜2.5W/W%の範囲が好ましく、少な過ぎては反応性及び呈色性が不充分になり、逆に多過ぎてはステンレス鋼からの鉄の溶出性が不充分になる。なお、金属検出液のpHは1〜3程度がよく、低過ぎては反応性及び呈色性が不充分になり、逆に高過ぎてはステンレス鋼からの鉄の溶出性が不充分になる。
このようなステンレス鋼用の金属検出液では、ステンレス鋼を含む被検物に接触させてから通常5分以内の短時間で呈色反応が終了して色調は安定するから、接触後5分以上が経過した時点でステンレス鋼成分の有無の検出と量的判断を行える。特に、乳酸及び塩化ナトリウムと炭酸ナトリウムを溶解した水溶液中にキレート滴定用指示薬としてo−フェナントロリンを含む金属検出液では、ステンレス鋼の10ppmレベルでの高い検出感度が得られることが判明している。なお、検出液は、強酸成分を含まないため、その調製及び取扱いを安全に行える上、刺激臭や不快臭を発生しないので周辺環境を悪化させないという利点もある。
上述した鉄用、銅用、亜鉛用、ステンレス鋼用の各金属検出液による簡易検出方法では、該検出液を常温で使用できる。一方、アルミニウム用の金属検出液では、検出感度(発色性)より該検出液を70〜90℃程度の加温状態で用いることが推奨される。
また、上述した鉄用、銅用、亜鉛用、アルミニウム用、ステンレス鋼用の各金属検出液は水性液であるため、被検物が例えばグリコール系固形物のような水溶性固形物中に金属を含むものであれば、該固形物を金属検出液中で溶解させることで支障なく簡易検出を行える。これに対し、被検物が例えば炭化水素系高粘性物のような非水溶性固形物中に金属を含むものである場合は、該被検物を有機溶剤等の極性の低い溶剤に溶解させ、その溶液と金属検出液を混合して静置すれば、混合液が2層に分離し、その金属検出液層側が呈色反応で変色するから、やはり簡易検出が可能である。
以下に、本発明の金属の簡易検出方法について、実施例によって具体的に説明する。なお、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
実施例1
精製水100V%に対し、タイロン(同仁化学研究所社製)1.0W%、硫酸アンモニウム(和光純薬工業社製)5W%、30%過酸化水素水(和光純薬工業社製)0.1W%を添加混合し、pH4.5で無色透明な鉄用検出液を調製した。そして、この鉄用検出液の各10mlをガラス試験管に収容し、被検物として平均粒度75μmの微細鉄粉を10ppm(0.001%)、100ppm(0.01%)、1000ppm(0.1%)、10000ppm(1%)の各濃度となるように添加し、それぞれ5分後に液の色変化を観察した。その結果、10ppmでは淡紫色、100ppmでは青紫色、1000ppm及び10000ppmでは暗青紫色を呈しており、鉄の存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベル、100ppmレベル、1000ppm以上のレベルの3段階の鉄濃度レベルの区別が可能であった。
実施例2
精製水100V%に対し、ジンコン(同仁化学研究所社製)0.01W%、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業社製)5W%、水酸化ナトリウム(和光純薬工業社製)0.04W%を添加混合し、pH8.1で橙黄色の亜鉛用検出液を調製した。そして、この亜鉛用検出液の各10mlをガラス試験管に収容し、被検物として平均粒度10μmの微細亜鉛粉を10ppm、100ppm、1000ppm、10000ppmの各濃度となるように添加し、それぞれ5分後に液の色変化を観察した。その結果、10ppmでは赤褐色、100ppmでは青紫色、1000ppmでは青色、10000ppmでは濃紺色を呈しており、亜鉛の存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベル、100ppmレベル、1000ppmレベル、10000ppmレベルの4段階の亜鉛濃度レベルの区別が可能であった。
実施例3
精製水100V%に対し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(和光純薬工業社製)5W%
、リン酸二水素アンモニウム(和光純薬工業社製)5W%を添加混合し、pH3.8の銅検出用第一液を調製した。また、精製水100V%に対し、バソクプロインジスルホン酸二ナトリウム(同仁化学研究所社製)0.1W%、L−アスコルビン酸(和光純薬工業社製)10W%を添加混合し、pH2.0の銅検出用第二液を調製した。そして、これら第一液と第二液を容積比1:1で混合し、得られた微黄色の混合液の各10mlをガラス試験管に収容し、被検物として平均粒度50μmの微細銅粉を10ppm、100ppm、1000ppm、10000ppmの各濃度となるように添加し、それぞれ5分後に液の色変化を観察した。その結果、10ppmでは黄色、100ppmでは橙黄色、1000ppmでは橙赤色、10000ppmでは暗橙赤色を呈しており、銅の存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベル、100ppmレベル、1000ppmレベル、10000ppmレベルの4段階の銅濃度レベルの区別が可能であった。
実施例4
精製水100V%に対し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業社製)1W%を添加混合し、pH11.2のアルミニウム検出用第一液を調製した。また、精製水100V%に対し、エリオクロムシアニンR(東京化成工業社製)0.02W%、L−アスコルビン酸(和光純薬工業社製)3W%を添加混合し、pH2.6のアルミニウム検出用第二液を調製した
。その第一液の各5mlをガラス試験管に収容し、被検物として平均粒度100μmの微細アルミニウム粉を10ppm、100ppm、1000ppm、10000ppmの各濃度となるように添加し、それぞれヒーターによって外側から1分間加熱して液温を80
℃に加温した。そして、これら第一液と第二液を容積比1:1で混合し、得られた橙色の各混合液について各々5分後に液の色変化を観察した。その結果、10ppmでは淡赤紫色、100ppmでは赤紫色、1000ppmでは濃赤紫色、10000ppmでは暗赤紫色を呈しており、アルミニウムの存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベル、100ppmレベル、1000ppmレベル、10000ppmレベルの4段階のアルミニウム濃度レベルの区別が可能であった。なお、同様の検出試験でヒーターによる加熱を行わなかった場合、アルミニウム濃度10ppm及び100ppmでは発色が弱く、かろうじてアルミニウムの存在を判定できたが、両濃度レベル間の区別は困難であった。
実施例5
実施例1で調製した鉄用検出液の各10mlをガラス試験管に収容し、被検物として微細鉄粉を含むグリコール系固形物を鉄濃度として10ppm、100ppmとなるように添加混合し、それぞれ5分後に液の色変化を観察した。その結果、10ppmでは淡紫色
、100ppmでは青紫色を呈しており、鉄の存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベルと100ppmレベルの区別が可能であった。
実施例6
実施例2で調製した亜鉛用検出液の各10mlをガラス試験管に収容し、被検物として微細亜鉛粉を含むグリコール系固形物を亜鉛濃度として10ppm、100ppmとなるように添加混合し、それぞれ5分後に液の色変化を観察した。その結果、10ppmでは赤色、100ppmでは赤褐色を呈しており、亜鉛の存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベルと100ppmレベルの区別が可能であった。
実施例7
実施例3で調製した銅検出用第一液と第二液との容積比1:1の混合液の各10mlをガラス試験管に収容し、被検物として微細銅粉を含むグリコール系固形物を銅濃度として10ppm、100ppmとなるように添加混合し、それぞれ5分後に液の色変化を観察した。その結果、10ppmでは淡黄色、100ppmでは橙黄色を呈しており、銅の存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベルと100ppmレベルの区別が可能であった。
実施例8
実施例4で調製したアルミニウム検出用第一液の各5mlをガラス試験管に収容し、被検物として微細アルミニウム粉を含むグリコール系固形物をアルミニウム濃度として10ppm、100ppmとなるように添加混合し、それぞれヒーターによって外側から1分間加熱して液温を80℃に加温した。そして、これら第一液と実施例4で調製したアルミニウム検出用第二液とを容積比1:1で混合し、得られた橙色の各混合液について各々5分後に液の色変化を観察した。その結果、10ppmでは淡赤紫色、100ppmでは赤紫色を呈しており、アルミニウムの存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベルと100ppmレベルの区別が可能であった。なお、同様の検出試験でヒーターによる加熱を行わなかった場合、アルミニウム濃度10ppm及び100ppmでは発色が弱く、かろうじてアルミニウムの存在を判定できたが、両濃度レベル間の区別は困難であった。
実施例9
実施例1で調製した鉄用検出液の各10mlに対し、被検物としての微細鉄粉を含む炭化水素系高粘性物をヘキサンに溶解した溶液を鉄濃度として10ppm、100ppmとなるように添加混合し、その混合液をガラス試験管に収容して静置して5分後に観察した
。その結果、混合液がヘキサン溶液の上層と鉄用検出液の下層とに分離し、その下層が10ppmでは淡紫色、100ppmでは青紫色を呈しており、鉄の存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベルと100ppmレベルの区別が可能であった。
実施例10
実施例2で調製した亜鉛用検出液の各10mlに対し、被検物としての微細亜鉛粉を含む炭化水素系高粘性物をヘキサンに溶解した溶液を亜鉛濃度として10ppm、100ppmとなるように添加混合し、その混合液をガラス試験管に収容して静置して5分後に観察した。その結果、混合液がヘキサン溶液の上層と亜鉛用検出液の下層とに分離し、その下層が10ppmでは赤色、100ppmでは赤褐色を呈しており、亜鉛の存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベルと100ppmレベルの区別が可能であった。
実施例11
実施例3で調製した銅検出用第一液と第二液との容積比1:1の混合液の各10mlに対し、被検物としての微細銅粉を含む炭化水素系高粘性物をヘキサンに溶解した溶液を銅濃度として10ppm、100ppmとなるように添加混合し、その混合液をガラス試験管に収容して静置して5分後に観察した。その結果、混合液がヘキサン溶液の上層と銅用検出液の下層とに分離し、その下層が10ppmでは淡黄色、100ppmでは橙黄色を呈しており、銅の存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベルと100ppmレベルの区別が可能であった。
実施例12
実施例4で調製したアルミニウム検出用第一液の各5mlをガラス試験管に収容し、被検物として微細アルミニウム粉を含む炭化水素系高粘性物をヘキサンに溶解した溶液をアルミニウム濃度として10ppm、100ppmとなるように添加混合し、それぞれヒーターによって外側から1分間加熱して液温を80℃に加温した。そして、これら第一液と実施例4で調製したアルミニウム検出用第二液とを容積比1:1で混合し、得られた橙色の各混合液について各々5分後に液の色変化を観察した。その結果、混合液がヘキサン溶液の上層とアルミニウム用検出液の下層とに分離し、その下層が10ppmでは淡赤紫色
、100ppmでは赤紫色を呈しており、アルミニウムの存在を明瞭に判定できると共に
、色合いの差によって10ppmレベルと100ppmレベルの区別が可能であった。なお、同様の検出試験でヒーターによる加熱を行わなかった場合、アルミニウム濃度10ppm及び100ppmでは発色が弱く、かろうじてアルミニウムの存在を判定できたが、両濃度レベル間の区別は困難であった。
実施例13
精製水と乳酸(和光純薬工業社製)を質量比1:1で混合した溶液に対し、o−フェナントロリン(同仁化学研究所社製)0.25W%、塩化ナトリウム(和光純薬工業社製)15W%、炭酸ナトリウム(和光純薬工業社製)1.25W%を添加混合し、pH1.8の無色透明なステンレス鋼用検出液を調製した。そして、この検出液の各10mlをガラス試験管に収容し、被検物として平均粒度45μmの微細ステンレス鋼(SUS316L)粉を10ppm、100ppm、1000ppm、10000ppmの各濃度となるように添加し、それぞれ5分後に液の色変化を観察した。その結果、10ppmでは淡赤色、100ppmでは赤色、1000ppm及び10000ppmでは濃赤色を呈しており、ステンレス鋼の存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベル、100ppmレベル、1000ppm以上のレベルの3段階のステンレス鋼濃度レベルの区別が可能であった。
実施例14
実施例13で調製したステンレス鋼用検出液の各10mlをガラス試験管に収容し、被検物として微細ステンレス鋼(SUS316L)粉を含むグリコール系固形物をステンレス鋼濃度として10ppm、100ppmとなるように添加混合し、それぞれ5分後に液の色変化を観察した。その結果、10ppmでは淡赤色、100ppmでは赤色を呈しており、ステンレス鋼の存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベルと100ppmレベルの区別が可能であった。
実施例15
実施例13で調製したステンレス鋼用検出液の各10mlに対し、被検物としての微細ステンレス鋼(SUS316L)粉を含む炭化水素系高粘性物をヘキサンに溶解した溶液をステンレス鋼濃度として10ppm、100ppmとなるように添加混合し、その混合液をガラス試験管に収容して静置して5分後に観察した。その結果、混合液がヘキサン溶液の上層とステンレス鋼用検出液の下層とに分離し、その下層が10ppmでは淡赤色、100ppmでは赤色を呈しており、ステンレス鋼の存在を明瞭に判定できると共に、色合いの差によって10ppmレベルと100ppmレベルの区別が可能であった。

Claims (11)

  1. 被検物に、検出対象金属を溶出可能で且つ溶出した金属成分と呈色反応するキレート滴定用指示薬を含む金属検出液を接触させ、該検出液の色変化の有無及び程度によって検出対象金属の有無及び存在量を判定することを特徴とする金属の簡易検出方法。
  2. 検出対象金属が鉄であり、金属検出液が硫酸塩類及び水溶性過酸化物類を溶解した水溶液中に鉄のキレート滴定用指示薬を含むものからなる、請求項1に記載の金属の簡易検出方法。
  3. 金属検出液が、硫酸アンモニウム及び過酸化水素を溶解した水溶液中に、鉄のキレート滴定用指示薬としてタイロンを含むものからなる、請求項2に記載の金属の簡易検出方法。
  4. 検出対象金属が銅であり、金属検出液が、水溶性過酸化物類及びリン酸塩類を溶解した水溶液からなる第一液と、還元性を有する有機酸又はその塩類を溶解した水溶液中に銅のキレート滴定用指示薬を含む第二液とからなり、これら第一液と第二液の混合液を被検物に接触させる、請求項1に記載の金属の簡易検出方法。
  5. 金属検出液の前記第一液がペルオキソ二硫酸アンモニウム及びリン酸二水素アンモニウムを溶解した水溶液であり、第二液がL−アスコルビン酸の水溶液中に銅のキレート滴定用指示薬としてバソクプロインジスルホン酸二ナトリウムを含むものである、請求項4に記載の金属の簡易検出方法。
  6. 検出対象金属が亜鉛であり、金属検出液が、炭酸塩類とアルカリ剤を溶解した水溶液中に、亜鉛のキレート滴定用指示薬を含むものからなる、請求項1に記載の金属の簡易検出方法。
  7. 金属検出液が、炭酸水素ナトリウム及び水酸化ナトリウムを溶解した水溶液中に、亜鉛のキレート滴定用指示薬としてジンコンを含むものからなる、請求項6に記載の金属の簡易検出方法。
  8. 検出対象金属がアルミニウムであり、金属検出液が、炭酸塩類を溶解した水溶液からなる第一液と、有機酸又はその塩類を溶解した水溶液中にアルミニウムのキレート滴定用指示薬を含む第二液とからなり、これら第一液と第二液の混合液を被検物に接触させる、請求項1に記載の金属の簡易検出方法。
  9. 金属検出液の前記第一液が炭酸ナトリウム水溶液であり、第二液がL−アスコルビン酸の水溶液中にアルミニウムのキレート滴定用指示薬としてエリオクロムシアニンRを含むものである、請求項8に記載の金属の簡易検出方法。
  10. 検出対象金属がステンレス鋼であり、金属検出液が、有機酸又はその塩類と塩化物類と炭酸塩類を溶解した水溶液中に、鉄のキレート滴定用指示薬を含むものからなる、請求項1に記載の金属の簡易検出方法。
  11. 金属検出液が、乳酸及び塩化ナトリウムと炭酸ナトリウムを溶解した水溶液中に、鉄のキレート滴定用指示薬としてo−フェナントロリンを含むものからなる、請求項10に記載の金属の簡易検出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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