JP4168789B2 - 平版印刷インキおよび印刷物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規にして有用なる印刷インキバインダー用樹脂を含む平版印刷インキに関する。さらに詳しくは、顔料分散性、印刷適性に優れた新聞印刷、枚葉印刷、ウェブ印刷、水無し印刷等のオフセット平版印刷に好適に用いられる平版印刷インキならびに印刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から平版インキ用樹脂には、ロジン変性フェノール樹脂が広く一般に使用されることが、例えば色材協会誌,第63巻,271頁(1990年)等に記載されている。しかしながら、一般的にこのロジン変性フェノール樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒド類を塩基性触媒下にて反応させて得たレゾール型フェノール樹脂と、ロジン類および各種多価アルコール類とを反応させて得られる。したがって、その製造工程上、未反応の、あるいは反応中にガスとして排出されるホルムアルデヒド類を処理する必要があり、また作業時の環境も必ずしも好ましいものではなく、昨今の環境衛生保全等の観点からホルムアルデヒド類を使用しない平版印刷インキが望まれている。
【0003】
一般に平版インキは、インキ用樹脂の他、石油系溶剤、植物油を主成分として形成されている。石油系溶剤においても地球環境保全、労働環境保全の観点から、脱芳香族化が行われている。さらに昨今では、より一層環境保全を配慮した、揮発性の石油系溶剤を一切含有しないVOC(揮発性有機化合物)フリータイプのインキへのニーズが高まっている。VOCとは、常温で揮発しやすい化合物のことであり、揮発性の石油系溶剤の他、上記ホルムアルデヒド類も含有される。米国環境保護庁はVOC測定方法として、110℃1時間の加熱による加熱残分測定を提示しており、実使用に即した測定方法として用いられている。
【0004】
ホルムアルデヒド類を使用しない平版印刷インキ用樹脂としては、ロジン変性アルキッド樹脂が公知であるが、非芳香族系溶剤に対しての溶解性に劣るため、それを用いて製造した平版インキは流動性や転移性において劣る等の問題点があった。ロジン変性アルキッド樹脂の溶解性を上げるべく、さらに植物油およびまたはその脂肪酸で変性したアルキッド樹脂では融点が著しく低下し、それを用いて得られた平版印刷インキは乾燥性、ブロッキング性、ミスチング性等において劣るという問題点を有していた。また、ロジン変性アルキッド樹脂は、一般的に乳化性状においても劣り、湿し水との乳化でインキがフローダウンする等の問題点も有していた。
【0005】
特許文献1においては、α,β−不飽和カルボン酸を反応させた酸変性ロジンを長鎖脂肪族アルコールでエステル化させて得られる樹脂が開示されており、樹脂融点を低下させることなく、非芳香族系溶剤への溶解性、インキ流動性等を向上させられるものの、乳化性状においては未だ不十分であるという問題点を有していた。
【0006】
特許文献2には非芳香族系溶剤への溶解性を向上させるべく、ロジン変性アルキッド樹脂に炭化水素樹脂を併用した印刷インキ用ワニスが開示されているが、汎用の炭化水素樹脂の量平均分子量は数百〜数千と小さいため、高速印刷時におけるミスチング性に劣るという問題点を有していた。
【0007】
さらに、ホルムアルデヒド類を使用しない平版印刷インキ用樹脂として、特許文献3においては、シクロペンタジエン系炭化水素樹脂にα,β−不飽和カルボン酸を付加し、長鎖脂肪族アルコールでエステル化させて得られる樹脂が開示されており、非芳香族系溶剤に対する溶解性および乳化特性は優れているものの、インキ中に使用される植物油への溶解性が不十分であるという問題点を有していた。
【特許文献1】
特開2000−159868号公報
【特許文献2】
特開2001−262032号公報
【特許文献3】
再表00/29455号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題を解決し、環境衛生保全上、好ましくないホルムアルデヒド類を原料として使用することなく、非芳香族系溶剤や植物油に良好な溶解性を有し、新聞印刷、枚葉印刷、ウェブ印刷、および水無し印刷等のオフセット平版印刷に好適に用いられ、さらに、VOCフリータイプのインキにも好適に用いられる印刷インキバインダー用樹脂を含む平版印刷インキおよびその印刷物に関する。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−159868号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2001−262032号公報
【0011】
【特許文献3】
特表00−29455号公報
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、環境衛生上好ましくないホルムアルデヒド類、すなわちそれを用いて製造するレゾール型フェノール樹脂を使用することなく、平版印刷適性、例えば顔料分散性、乳化適性、ミスチング性、乾燥性等において良好で、従来のロジン変性フェノール樹脂に匹敵する印刷適性を有するインキ用樹脂を含む平版印刷インキを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
一般式(1)
【化2】
(式中、Hは水素原子、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、mおよびnは0〜6の整数で、m+n=6である。)
で示される5員環化合物残基を構成成分として含む炭化水素樹脂とポリブタジエン中で有機過酸化物の存在下、不飽和二重結合含有化合物を反応させてなる樹脂を含むことを特徴とする平版印刷インキである。
【0014】
また、不飽和二重結合含有化合物が、水酸基、カルボン酸基またはその無水物基の何れかを分子内に有する化合物であることを特徴とする上記平版印刷インキである。
【0016】
また、本発明は、更に、ナフテン系炭化水素溶剤およびまたはパラフィン系炭化水素溶剤を含有する上記載の平版印刷インキである。
【0017】
また、本発明は、110℃1時間での加熱揮発分が1%以下である上記の平版印刷インキである。
【0018】
また、本発明は、基材上に上記の平版印刷インキを印刷してなる印刷物である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。本発明における炭化水素樹脂とは、下記一般式(1)
一般式(1)
【化3】
(式中、Hは水素原子、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、mおよびnは0〜6の整数で、m+n=6である。)
で示される5員環化合物残基を構成成分として含む炭化水素樹脂である。該炭化水素樹脂は、常法に従ってシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、これらの二〜五量体、共多量体等のごときシクロペンタジエン系単量体単独、またはシクロペンタジエン系単量体と共重合可能な共単量体との混合物を、触媒の存在下あるいは無触媒で熱重合して得られるものである。触媒としてはフリーデルクラフト型のルイス酸触媒、例えば三フッ化ホウ素およびそのフェノール、エーテル、酢酸等との錯体が通常使用される。本発明の炭化水素樹脂におけるシクロペンタジエン系単量体と、それと共重合可能な共単量体との共重合比は、少なくともシクロペンタジエン系単量体が15モル%以上であることが必要である。
【0020】
使用される共単量体の例としては、エチレン、プロピレン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、イソブチレンを酸触媒で二量化して得られるジイソブチレン(2,4,4−トリメチルペンテン−1と2,4,4−トリメチルペンテン−2との混合物)、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−オクテン、2−オクテン、4−オクテン、1−デセン等の炭素数2〜10のオレフィン類、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン等の鎖状共役ジエン類、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、イソプロペニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のビニル芳香族類、インデン、メチルインデン、クマロン(ベンゾフラン)、メチルクマロン(2−メチルベンゾフラン)等の芳香族不飽和化合物類等があげられる。
【0021】
この様な炭化水素樹脂としては、日本石油化学(株)社製のネオレジンEP−110、ネオレジンEP−140、ネオレジン540、ネオレジン560、丸善石油化学(株)社製のマルカレッツM100A、マルカレッツM600A、マルカレッツM890A、マルカレッツM825A、マルカレッツM845A、マルカレッツM905A、マルカレッツM925A、マルカレッツM510A、マルカレッツM525A、マルカレッツM545A、日本ゼオン(株)社製のクイントン1325、クイントン1345、東邦化学工業(株)社製のトーホーハイレジンPA−140、COPOREX2100等の市販の炭化水素樹脂を例示することができる。
【0022】
本発明における炭化水素樹脂は、上記炭化水素樹脂に不飽和カルボン酸またはその酸無水物を反応させて、酸変性炭化水素樹脂として用いることもできる。不飽和カルボン酸またはその酸無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、2,4−ヘキサジエノン酸(ソルビック酸)等が例示できる。これら不飽和カルボン酸またはその酸無水物の変性量としては、炭化水素樹脂100g当たり好ましくは0.01〜0.5モル、特に好ましくは0.02〜0.2モルである。変性温度は、150℃〜250℃の範囲が好適に用いられる。これら不飽和カルボン酸およびまたはその酸無水物の残存がないように変性量および変性温度を調整することが望ましい。これら不飽和カルボン酸およびまたはその酸無水物は、単独または任意の量比で複数を組み合わせて用いることが可能である。
【0023】
本発明におけるポリブタジエンとは、常法に従ってブタジエン単量体を触媒の存在下で重合して得られたポリブタジエンであれば特に限定されるものではなく、末端に水酸基、カルボン酸基または(メタ)アクリル基を導入した官能基末端ポリブタジエン、およびポリブタジエンをマレイン化、エポキシ化または(メタ)アクリル化した変性ポリブタジエン等を使用することも可能である。
【0024】
この様なポリブタジエンとしては、未変性ポリブタジエンとして日本曹達(株)製のNISSO−PB B−1000、NISSO−PB B−2000、NISSO−PB B−3000、新日本石油化学(株)製の日石ポリブタジエンB−700、日石ポリブタジエンB−1000、日石ポリブタジエンB−2000、日石ポリブタジエンB−3000等が挙げられる。
【0025】
また官能基末端ポリブタジエンとしては、水酸基末端ポリブタジエンとして日本曹達(株)製のNISSO−PB G−1000、NISSO−PB G−2000、NISSO−PB G−3000、出光石油化学(株)製Poly bd R−15HT、Poly bd R−45HT、カルボキシル基末端ポリブタジエンとして日本曹達(株)製のNISSO−PB C−1000、(メタ)アクリル基末端ポリブタジエンとして日本曹達(株)製のNISSO−PB TEA−1000、NISSO−PB TE−2000等が挙げられる。
【0026】
また変性ポリブタジエンとしては、マレイン化ポリブタジエンとして新日本石油化学(株)製の日石ポリブタジエンM−1000−80、日石ポリブタジエンM−2000−20日石ポリブタジエンM−1000−20、日本曹達(株)製のNISSO−PB BN−1015、エポキシ化ポリブタジエンとして新日本石油化学(株)製の日石ポリブタジエンE−1000−8、日石ポリブタジエンE−1800−6.5、日本曹達(株)製のNISSO−PB BF−1000、(メタ)アクリル化ポリブタジエンとして新日本石油化学(株)製の日石ポリブタジエンMM−1000−80等が挙げられる。
【0027】
ポリブタジエンの数平均分子量は好ましくは500〜10000、さらに好ましくは500〜5000の範囲内にあるのが望ましい。数平均分子量が500未満では、ポリブタジエンの効果が十分に得られ難く、数平均分子量が10000を超えると、樹脂がゲル化し易く好ましくない。
【0028】
ポリブタジエンは、炭化水素樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部用いられる。0.1重量部未満では、ポリブタジエンの効果が十分に得られ難く、10重量部を超えると、樹脂がゲル化し易く好ましくない。
【0029】
本発明は、上記炭化水素樹脂およびポリブタジエン中で、有機過酸化物の存在下、不飽和二重結合化合物を反応させてなる樹脂の製造方法である。炭化水素樹脂中で不飽和二重結合化合物のラジカル重合が起こるとともに、炭化水素樹脂への不飽和二重結合化合物の付加反応も起こり得るため、炭化水素樹脂及び不飽和二重結合化合物重合物に由来する物性が両立し得るものである。さらに、高反応性のポリブタジエンが共存することに3次元化反応が促進され、高凝集力、高弾性の樹脂が得られるものである。
【0030】
本発明の不飽和二重結合含有化合物としては特に限定されるものではなく、例として(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類およびこれらの無水物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、1−ブチル(メタ)アクリレート、2−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(n=2〜20)、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(n=2〜20)、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルエステル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、ジビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−アミルビニルエーテル、イソアミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−オクタデシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、1−ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、1-ドコセン、1-テトラコセン、1-ヘキサコセン、1-オクタコセン、1-トリアコンテン、1-ドトリアコンテン、1-テトラトアコンテン、1-ヘキサトリアコンテン、1-オクタトリアコンテン、1-テトラコンテン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、ネオプレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のアルケン類;酢酸アリル、酢酸イソプロペニル、塩化アリル、塩化イソプロペニル、trans-塩化プロペニル、cis-塩化プロペニル等のアリル化合物;N−ビニルカルバゾール、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルフタルイミド等のN−ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル等のアクリロニトリル類等、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
上記不飽和二重結合含有化合物は、所望される樹脂物性に応じて適宜選択することができ、数種の化合物を混合して用いることにより、複数の要求物性を発現することが可能となる。得られる樹脂の凝集力を向上させるために、水酸基、カルボン酸基またはその無水物基の何れかを分子内に有する化合物を用いることが好ましい。
【0032】
水酸基を分子内に有する不飽和二重結合化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(n=2〜50)、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(n=1〜6)、エポキシ(メタ)アクリレート、水酸基末端ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基末端ポリエステル(メタ)アクリレートおよびその混合物等が挙げられる。
【0033】
カルボン酸基またはその無水物基を分子内に有する不飽和二重結合化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、およびその混合物等が挙げられる。
【0034】
不飽和二重結合含有化合物は、炭化水素樹脂100重量部に対して、好ましくは5〜500重量部、さらに好ましくは20〜300重量部用いられる。上記範囲以外では、炭化水素樹脂および不飽和二重結合含有化合物重合物それぞれに由来する物性が発現し難いため好ましくない。また、水酸基、カルボン酸基またはその無水物基の何れかを分子内に有する不飽和二重結合化合物を用いるときには、全不飽和二重結合化合物中、0.1〜30重量%が好ましい。0.1重量%未満では凝集力向上等の効果が得られにくく、30重量%を超えると反応中に樹脂粘度が高くなり易く好ましくない。
【0035】
有機過酸化物は、特に限定されるものではなく、分解温度等を鑑みて適宜選択される。例として、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジn−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカルボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジt−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート等のパーオキシエステル類;およびアセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート等、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
有機過酸化物は不飽和二重結合含有化合物100重量部に対して好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部使用される。0.1重量部より少ないと触媒効果が得られ難く、20重量部より多いと触媒切片が悪影響を及ぼし易く好ましくない。
【0037】
炭化水素樹脂およびポリブタジエン中での不飽和二重結合化合物の反応方法は、有機過酸化物の存在下であれば、特に限定されるものではない。必要に応じて有機溶剤を使用してもよく、60〜200℃で一般的なラジカル溶液重合法に準じて行うことができる。
【0038】
上記製造方法により得られる樹脂は、重量平均分子量3000〜200000、酸価40以下、融点70℃以上が好ましい。上記範囲以外では、インキにした際の乾燥性、乳化特性が不十分になりやすく好ましくない。
【0039】
本発明の印刷インキにおいて使用されるナフテン系炭化水素溶剤およびまたはパラフィン系炭化水素溶剤とは、いわゆるアロマレス(フリー)溶剤といわれる溶剤であり、商業的には、日本石油(株)製AFソルベント4〜8、O号ソルベントH等、出光興産(株)のスーパーゾルLA35、LA38等、エクソン化学(株)のエクソールD80、D110、D120、D130、D160、D100K、D120K、D130K等、梨樹化学社製D−SOL280、D−SOL300、マギーブラザーズ社製のMagieSol−40、44、47、52、60等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。実際の使用に当たっては、これらを任意の重量比で混合して用いることが可能である。さらに該炭化水素溶剤について詳しく述べると、該炭化水素溶剤を印刷インキとして用いるに当たって特に好ましいものは、そのアニリン点が60℃〜110℃の範囲にあるものである。もし、アニリン点が110℃より高い場合は、本発明の炭化水素樹脂との溶解性に乏しく、結果として印刷インキの流動性が不十分となり、印刷機上でのインキ転移が劣り転移不良を生じたり、印刷後の被印刷体上でのレベリングが不十分となり光沢不良の原因となる。一方、アニリン点が60℃より低い場合、印刷後のインキ被膜からの溶剤離脱性が悪くなり乾燥不良を生じ、ブロッキング、裏写り等の原因となる。
【0040】
さらに、本発明の印刷インキには植物油を含有させることもできる。植物油とは、グリセリンと脂肪酸とのトリグリセリドにおいて、少なくとも1つの脂肪酸が、炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する脂肪酸であるトリグリセリドである。例として、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油等が挙げられる。本発明において、さらに好適な植物油を挙げるとすれば、そのヨウ素価が少なくとも100以上である植物油が好ましく、さらにヨウ素価が120以上の植物油がより好ましい。ヨウ素価を120以上とすることで、インキ皮膜の酸化重合による乾燥性を高めることができ、特に熱風乾燥機を用いない枚葉印刷方式には有効である。
【0041】
さらに、本発明においては、天ぷら油等の食用に供された、回収、再生された再生植物油も用いることができる。再生植物油としては、含水率を0.3重量%以下、ヨウ素価を100以上、酸価を3以下として再生処理した油が好ましい。含水率を0.3重量%以下にすることにより水分に含まれる塩分等のインキの乳化挙動に影響を与える不純物を除去することが可能となり、ヨウ素価を100以上として再生することにより、乾燥性、すなわち酸化重合性の良いものとすることが可能となり、さらに酸価が3以下の植物油を選別して再生することにより、インキの過乳化を抑制することが可能となる。回収植物油の再生処理方法としては、濾過、静置による沈殿物の除去、および活性白土等による脱色といった方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
次に、本発明における印刷インキとしての使用形態について説明する。本発明における印刷インキは、通常平版印刷インキ、例えば枚葉インキ、ヒートセット輪転インキ、新聞インキ(コールドセット輪転インキ)等の形態において使用される。一般的には、
顔料 5〜30重量%
樹脂 10〜40重量%
炭化水素溶剤 0〜60重量%
植物油 0〜70重量%
乾燥促進剤 0〜 5重量%
その他添加剤 0〜10重量%
からなる組成にて使用される。VOCフリータイプのインキとして使用する際には、上記組成において、炭化水素溶剤を0重量%とする。この際、必要に応じて脂肪酸モノエステル化合物を0〜60重量%含有しても差し支えない。
【0043】
脂肪酸モノエステル化合物としては、動植物油脂肪酸と1価アルキルアルコールとのエステル化合物を用いることができる。例として、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、水添大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸等の脂肪酸と炭素数1〜8のアルコールとのエステル化合物が挙げられる。
【0044】
本発明の製造方法により得られた樹脂は炭化水素溶剤およびまたは植物油に溶解して調整したワニスとして使用される。平版印刷インキは、常温から100℃の間で、顔料、ワニスおよびまたはそのゲルワニス等の印刷インキ成分を、ニーダー、三本ロール、アトライター、サンドミル、ゲートミキサー等の練肉、混合、調整機を用いて製造される。
【0045】
顔料としては、無機顔料および有機顔料を示すことができる。無機顔料としては黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カドミウムレッド、酸化チタン、亜鉛華、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム粉、ベンガラ等が、有機顔料としては、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、β−オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系モノアゾ、アセト酢酸アリリド系ジスアゾ、ピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料、銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(塩素または臭素化)銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系等)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系等の多環式顔料および複素環式顔料等の公知公用の各種顔料が使用可能である。
【0046】
次に乾燥促進剤としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、2−エチル酪酸、ナフテン酸、オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、セカノイック酸、トール油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ジメチルヘキサノイック酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイック酸、ジメチルオクタノイック酸等の有機カルボン酸の金属塩、たとえばカルシウム、コバルト、鉛、鉄、マンガン、亜鉛、ジルコニウム塩等の公知公用の化合物が使用可能であり、印刷インキ表面および内部硬化を促進するために、これらの複数を適宜併用して使用することもできる。
【0047】
また、特開平4−334393号に記載の1,10−フェナントロリン、多価金属およびカルボン酸とで形成される金属錯体、例えば酢酸マンガンと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるマンガン/酢酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、オクチル酸マンガンと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるマンガン/オクチル酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、ナフテン酸マンガンと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるマンガン/ナフテン酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、トール油マンガンと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるマンガン/トール油酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、ナフテン酸鉄と1,10−フェナントロリンとの反応で得られる鉄/ナフテン酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、ネオデカン酸コバルトと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるコバルト/ネオデカン酸/1,10−フェナントロリン複合錯体等の、当該文献における実施例1ないし実施例6記載の化合物等が使用可能である。さらに、これらドライヤーを本発明で使用の溶剤に非溶解性の物質でカプセル化し用いることも可能である。
【0048】
さらに、該印刷インキには、必要に応じてその他の添加剤を使用することが可能である。例えば、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤、スリキズ防止剤としては、カルナバワックス、木ロウ、ラノリン、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の天然ワックス、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックス、およびシリコーン化合物等の合成ワックスを例示することができる。また皮張り防止剤としては、クレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール等フェノール類および、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等オキシム類等を挙げることができる。
【0049】
本発明の製造方法で得られた樹脂は、植物油およびまたは炭化水素溶剤に溶解したワニスとして使用されるが、通常、窒素気流下、160〜270℃の範囲で溶解する。また、該ワニスに弾性を付与するため、ゲル化剤を添加し、樹脂骨格中に架橋構造を付与したゲルワニスとして使用することが可能である。ゲル化剤としては、一般的には金属錯体が用いられるが、代表的な化合物としてアルミニウム錯体化合物を挙げることができる。その様なアルミニウム錯体化合物としては、環状アルミニウム化合物類、例えば環状アルミニウムオキサイドオクテート(川研ファインケミカル:アルゴマー800A)、環状アルミニウムオキサイドステアレート(川研ファインケミカル:アルゴマー1000S)等、アルミニウムアルコラート類、例えば、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート(川研ファインケミカル:AIPD)、アルミニウム−sec−ブチレート(川研ファインケミカル:ASPD)、アルミニウムイソプロピレート−モノ−sec−ブチレート(川研ファインケミカル:AMD)等、アルミニウムアルキルアセテート類、例えばアルミニウム−ジ−n−ブトキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−EB2)、アルミニウム−ジ−n−ブトキサイド−メチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−MB2)、アルミニウム−ジ−iso−ブトキサイド−メチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−MB12)、アルミニウム−ジ−iso−ブトキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−EB102)、アルミニウム−ジ−iso−プロポキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−EP12、川研ファインケミカル:ALCH)、アルミニウム−トリス(エチルアセトアセテート)(川研ファインケミカル:ALCH−TR)、アルミニウム−トリス(アセチルアセトナート)(川研ファインケミカル:アルミキレート−A)、アルミニウム−ビス(エチルアセトアセテート)−モノアセチルアセトナート(川研ファインケミカル:アルミキレートD)等、アルミニウム石鹸、例えばアルミニウムステアレート(日本油脂(株)製)、アルミニウムオレエート、アルミニウムナフテネート、アルミニウムラウレート等、およびアルミニウムアセチルアセトネート等を例示することができる。これらのゲル化剤は、ワニス100重量部に対し、0.1重量%から10重量%の範囲で通常使用される。
【0050】
また、その他のゲル化剤として、油脂類をゲル化せしめる性質を有する環状ジペプチド類、例えば特開平7−247473、特開平7−247474および特開平7−247475に記載の環状ジペプチド類、有機液体をゲル化せしめる性質を有するビスアミド類、例えば特開平5−320617に記載のエチレンビス(12−ヒドロキシオクタデカン酸)アマイド等のビスアミド類、特開平1−164432記載の層構造を有する粉末状のアルミニウム−マグネシウム化合物、例えばAl−Mg−ヒドロキシカプリレート、Al−Mg−ヒドロキシミリステート、Al−Mg−ヒドロキシパルミテート、Al−Mg−ヒドロキシステアレート、Al−Mg−ヒドロキシベヘネート等を適宜使用することが可能である。
【0051】
さらに、本発明の製造方法で得られた樹脂は、沸点が140℃以下の脂肪族およびまたは脂環族炭化水素溶剤に、適当な粘度となるように溶解することによって、凸版、グラビア、あるいはフレキソ等の印刷インキとして使用し、紙等の基材に印刷することができる。
【0052】
【実施例】
次に具体例をもって、本発明を詳細に説明する。尚、例中「部」とは重量部を示す。
樹脂の白濁温度は、樹脂2gと炭化水素溶剤18gとを試験管に入れ、ノボコントロール(Novocontrol)社製全自動濁点測定装置ケモトロニック(Chemotoronic)にて測定した。また、インキのタックは東洋精機(株)製インコメーターにてロール温度30℃、400rpm、1分後の値を測定した。
【0053】
製造例1
セパラブル4口フラスコに温度制御用レギュレーター、冷却管、撹拌装置を取り付けて、クイントン1325(日本ゼオン(株)製ジシクロペンタジエン系樹脂)396部、日石ポリブタジエンB−1000(新日本石油化学(株)製ポリブタジエン)4部、キシレン300部を仕込み、窒素気流下90℃に加熱し溶解させた。次いで、スチレン408部、2−エチルヘキシルメタクリレート180部、無水マレイン酸12部、パーブチルO(日本油脂(株)製過酸化物、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)12部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃2時間反応させ、パーブチルO3部を添加し、さらに90℃2時間反応させた。反応終了後、加熱減圧によりキシレンを留去し、酸価が13、白濁温度が73℃(日本石油(株)アロマフリーソルベント7号:AF7)、融点が118℃、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPC)におけるポリスチレン換算重量平均分子量(以下Mw)が6.9万の樹脂(A1)を得た。
【0054】
製造例2
製造例1と同様の装置に、マルカレッツM510(丸善石油化学(株)製ジシクロペンタジエン系樹脂)を376部、日石ポリブタジエンB−1000を 2部、無水マレイン酸を20部仕込み、窒素気流下180℃で3時間反応させた。次いで、150℃に冷却し、スチレン402部、イソブチルメタクリレート30部、ラウリルメタクリレート150部、メタクリル酸18部、パーブチルD(日本油脂(株)製過酸化物、ジt−ブチルパーオキサイド)12部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、150℃2時間反応させ、パーブチルD3部を添加し、さらに150℃2時間反応させ、酸価が21、白濁温度が68℃(AF7)、融点が116℃、Mwが8.0万の樹脂(A2)を得た。
【0055】
製造例3
製造例1と同様の装置に、マルカレッツM510を396部、日石ポリブタジエンB−1000を4部、キシレンを300部仕込み、窒素気流下90℃に加熱し溶解させた。次いで、スチレン366部、ブチルメタクリレート120部、イソボルニルメタクリレート90部、無水マレイン酸12部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12部、パーブチルO12部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃2時間反応させ、パーブチルO3部を添加し、さらに90℃2時間反応させた。反応終了後、加熱減圧によりキシレンを留去し、酸価が12、白濁温度が75℃(AF7)、融点が134℃、Mwが8.5万の樹脂(A3)を得た。
【0056】
製造例4
製造例1と同様の装置に、キシレン300部を仕込み、窒素気流下90℃に加熱し、スチレン408部、2−エチルヘキシルメタクリレート180部、無水マレイン酸12部、パーブチルO12部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃2時間反応させ、パーブチルO3部を添加し、さらに90℃2時間反応させた。反応終了後、クイントン1325を396部、日石ポリブタジエンB−1000を4部添加し、溶解させた後に、加熱減圧によりキシレンを留去したが、不均一であった。
【0057】
製造例5
製造例1と同様の装置に、マルカレッツM510を475部、無水マレイン酸25部仕込み、窒素ガスを吹き込みながら昇温加熱し、180℃で3時間反応させた。次いで、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール27部を添加し、水を分離除去しながら、250℃で5時間反応させ、酸価が14、白濁温度が89℃(AF7)、融点が156℃、Mwが3.5万の樹脂(A4)を得た。
【0058】
製造例6
製造例1と同様の装置に、重合ロジン(ハリマ化成(株)製、2量体60%含有)を470部、無水マレイン酸30部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら昇温加熱し、180℃で1時間反応させ、無水マレイン酸変性重合ロジンを得た。次いで、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを158部を添加し、水を分離除去しながら、240℃で15時間反応させ、酸価が22、白濁温度が67℃(AF7)、融点が161℃、Mwが5.1万の樹脂(A5)を得た。
【0059】
ゲルワニスの製造例
製造例7
攪拌機、冷却管、温度計付きフラスコに、製造例1で得られた樹脂(A1)50部、アマニ油15部、日本石油(株)製アロマフリーソルベント5号(AF5)34.5部、川研ファインケミカル(株)製ゲル化剤(ALCH)を0.5部を仕込み、窒素気流下で190℃で1時間加熱反応させ、ゲルワニス(B1)を得た。
【0060】
製造例8〜21
表1〜3に示した比率にて製造例2〜6で得られた樹脂(A2〜5)を製造例7と同様に反応させ、ゲルワニス(B2〜15)を得た。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
実施例1
東洋インキ製造(株)製藍リオノールブルーFG7330を20部、製造例7で得られたゲルワニス(B1)22.5部、日本石油(株)製アロマフリーソルベント5号(AF5)4.1部、ナフテン酸マンガン0.9部を常法に従い3本ロールミルを用いて練肉し、タック9.4の枚葉印刷インキを作成した。
【0065】
実施例2〜3、比較例1〜2
表4に示した配合比率にて、実施例1と同様に練肉を行い、タック9.4の枚葉印刷インキを作成した。
【0066】
【表4】
【0067】
実施例4〜6、比較例3〜4
表5に示した配合比率にて、実施例1と同様に練肉を行い、タック9.4のVOCフリー枚葉印刷インキを作成した。何れのインキも110℃1時間での加熱揮発分は1%以下であった。
【0068】
【表5】
【0069】
実施例7
東洋インキ製造(株)製藍リオノールブルーFG7330を20部、製造例7で得られたゲルワニス(B6)21部、日本石油(株)製アロマフリーソルベント4号(AF4)10部を常法に従い3本ロールミルを用いて練肉し、タック6.8のオフ輪印刷インキを作成した。
【0070】
実施例8〜9、比較例5〜6
表6に示した配合比率にて、実施例7と同様に練肉を行い、タックが6.8のオフ輪印刷インキを作成した。
【0071】
【表6】
【0072】
枚葉印刷試験評価
実施例1〜6および比較例1〜4のインキを、三菱ダイヤI−4枚葉印刷機(三菱重工(株)製)にて10,000枚/時で用紙をSKコート 4/6 90kg(山陽国策(株)製)として各インキ2万枚の印刷試験を行い、印刷物のベタ着肉状態、光沢、地汚れおよび網点50%印刷部のドットゲインを比較した。湿し水はアクワマジックNS(東洋インキ製造(株)製)1.5%の水道水を用いて行い、水巾の下限付近での印刷状態の比較を行うために、水巾の下限値よりも2%高い水ダイヤル値で印刷を行った。結果を表7に示した。
【0073】
【表7】
【0074】
(注1):(株)村上色彩技術研究所製光沢計グロスメーターモデルGM−26にて60°光沢を測定した。
【0075】
(注2):(株)きもと製反射濃度計GRETAG D196にて網点50%印刷部のドットゲインを測定した。
【0076】
オフ輪印刷試験評価
実施例7〜9および比較例5〜6のインキを、三菱BT2−800NEOオフ輪印刷機(三菱重工(株)製)にて800rpmで用紙をNPIコート紙66.5kg(日本製紙(株)製)として各インキ2万枚の印刷試験を行い、印刷物のベタ着肉状態、光沢、地汚れおよび網点50%印刷部のドットゲインを比較した。湿し水はアクワマジックNS(東洋インキ製造(株)製)1.5%の水道水を用いて行い、水巾の下限付近での印刷状態の比較を行うために、水巾の下限値よりも2%高い水ダイヤル値で印刷を行った。結果を表8に示した。
【0077】
【表8】
【0078】
(注1):(株)村上色彩技術研究所製光沢計グロスメーターモデルGM−26にて60°光沢を測定した。
【0079】
(注2):(株)きもと製反射濃度計GRETAG D196にて網点50%印刷部のドットゲインを測定した。
【0080】
【発明の効果】
本発明に係わる、製造方法により得られた樹脂は、非芳香族系溶剤や植物油に対する溶解性に優れており、非芳香族系溶剤および植物油を用いて調整された印刷インキ、さらには揮発性溶剤を含有せず植物油成分からなる印刷インキとして優れた印刷適性を提供することができる。また、樹脂構成成分として、フェノール樹脂を使用しないため、該樹脂を製造するに当たって必要とされるホルムアルデヒド類を使用することがないため、労働衛生環境の保全、ホルムアルデヒド含有液の処理コストの低減等を図ることが可能となる。
Claims (5)
- 不飽和二重結合含有化合物が、水酸基、カルボン酸基またはその無水物基の何れかを分子内に有する化合物であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷インキ。
- 更に、ナフテン系炭化水素溶剤およびまたはパラフィン系炭化水素溶剤を含有する請求項1または2記載の平版印刷インキ。
- 110℃1時間での加熱揮発分が1%以下である請求項1または2記載の平版印刷インキ。
- 基材上に請求項1ないし4いずれか記載の平版印刷インキを印刷してなる印刷物。
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