JP4167874B2 - クランプ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、取付部品を保持するクランプ装置に関する。更に詳しくは、二股に分かれた分岐製品、例えば、内燃機関に取り付けるインジェクタを取り付けるクランプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に関する技術には、図6に示す内燃機関用のインジェクタが存在する。図6は、インジェクタ100がシリンダヘッド131に取り付けられてクランプ105により固定された状態の側面図である。
このインジェクタ100は、図示上部のデリバリパイプ130にOリング120と、このOリング120を取り付ける保持部品125とを介して嵌着されている。そして、インジェクタ100の小フランジ100Dがデリバリパイプ130の端部に接合して固着されている。
【0003】
このインジェクタ100の下部側は、シリンダヘッド131の取付孔に嵌着する本体100Eが設けられている。又、この本体100Eの上部には、フランジ部100Bとクランプ105を取り付ける胴部100Fとが形成されている。
更に又、このインジェクタ100には、胴部100Fの上部にソレノイドコイルに結線するための電気コネクタ用の分岐管100Aが設けられている。このように構成されたインジェクタ100はフランジ部100B及び胴部100Fを設ける為に長くなるので問題となっている。
又、インジェクタ100の下部先端にはプランジャ100Cが設けられている。
【0004】
インジェクタ100をシリンダヘッド131に固定するクランプ105は、インジェクタ100の両側に並列に2個取り付けられている。このクランプ105は、シリンダヘッド131のねじ孔に座金107を介してボルト106が螺合することにより締め付けられる。このクランプ105は、インジェクタ100に対して横方向へ長くなるためにシリンダヘッド131の構造を変更しなければならない問題が存する。更に、ボルト106を介して取り付けるために流れ作業に於いて工数増加によるコスト高が生じている。
又、フランジ部100Bは、インジェクタ100のフランジ部100Bの反対側に配置された銅ガスケット121を介して固定されると共に、この銅ガスケット121によりフランジ部100Bの接合面がシールされる。この銅ガスケット121は、シリンダヘッド131内部からの熱に耐える金属ガスケットに構成されているために、ゴム状弾性能力がなくてシール能力に欠ける。
【0005】
インジェクタ100の下部には、板ばね状の支持板122が配置されている。この支持板122も耐熱性のために金属に構成されているので、シール能力に劣る欠点がある。
この支持板122は、インジェクタ100を弾性的に支持してクランプ105からの圧力によりインジェクタ100が破損するのを防止する。このために、銅ガスケット121のシール能力を発揮させるためには、インジェクタ100とシリンダヘッド131の取付孔の寸法精度を向上させなければならない。この寸法加工精度は、加工コストを引き上げることになる。
【0006】
このインジェクタ100には、デリバリパイプ130から圧送されるデリバリ燃料圧力が矢印Aで示すようにOリング120を介して下方へ受けることになる。尚、このデリバリ燃料圧送圧力は5から25MPaである。
一方、このインジェクタ100は、シリンダヘッド131内のガス圧力を矢印B方向へ受ける。このガス圧力は、5から20MPaである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようにして取り付けられたインジェクタ100は、クランプ105により銅ガスケット121を介してシリンダヘッド131に固着される。この為に、クランプ105を取り付けるための場所を必要とし、シリンダヘッド131を設計変更しなければならない。叉、クランプ105はボルト106を介して取り付けるために工数を多くして流れ作業に於けるコストが増加する。
又、インジェクタ100は、クランプ105で取り付けられるために、分岐管100Aの下部に胴部100Fとフランジ部100Bとを設けなければならないから長くなり、インジェクタ100を大型にする。更に、インジェクタ100を大型にすることは、デリバリパイプ130とシリンダヘッド131との距離が長くなるので、取付構造を複雑にする。
【0008】
本発明は上述のような問題点に鑑み成されたものであって、その発明が解決しようとする技術的課題は、クランプ装置で取り付ける分岐製品の取付場所が構造上狭くとも簡単に取り付けられるようにして小型化すると共に、取付を容易にすることにある。
又、クランプ装置により、分岐製品の製作寸法に対する取付部の取付寸法との寸法誤差を吸収できるようにすると共に、寸法誤差を吸収することにより加工精度を低減して加工コストを安価にすることにある。
更に、取付部の振動等により取り付けられた分岐製品が破損しないように弾性的に保持すると共に、振動してもインジェクタが回動して不具合になるのを防止することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述のような技術的課題を解決するために成されたものであって、その技術的解決手段は以下のように構成されている。
【0010】
請求項1に係わる本発明のクランプ装置は、内燃機関の燃焼室のヘッドカバとなるシリンダヘッド(20)と燃焼室へ燃料を供給するデリバリパイプ(30)との間に配置されて一端部(1E)がシリンダヘッド(20)に連結すると共に他端部(1D)がデリバリパイプ(30)に連結し、且つ分岐部(10B)が形成されたインジェクタ(10)を保持するクランプ装置(1)において、
前記インジェクタ(10)は、シリンダヘッド(20)に嵌着される本体(10C)と、前記本体(10C)上部に形成され、分岐部(10B)を有する胴部(10A)と、前記胴部(10A)の上部に形成され、前記デリバリパイプ(30)内周面に嵌合される燃料コネクタ(10E)と、前記本体(10C)下部先端に形成された噴射パイプ(10D)と、を備え、
前記クランプ装置(1)は、前記インジェクタ(10)の分岐部(10B)を軸方向に通過可能な切欠部(1C1)を有する断面Cに形成され、全体が筒状体(1B)に形成され、
前記筒状体(1B)は、径方向に、前記切欠部(1C1)の切欠縁(1C、1C)側面から交互に形成されたスリット(1S)と、軸方向に、前記インジェクタ(10)の本体(10C)に密接する一端部(1E)と、前記デリバリパイプ(30)の端部に圧接すると共に前記デリバリパイプ(30)に形成された凹部と係止する凸状の係止部(1A)が形成された他端部(1D)と、前記インジェクタ(10)の胴部(10A)に嵌合する筒状の内周面(1N)と、を備え、
前記係止部(1A)が前記デリバリパイプ(30)と結合すると共に、前記切欠部(1C1)が前記インジェクタの分岐部(10B)と係合することによってインジェクタ(10)の回動を阻止することを特徴とするものである。
【0011】
この請求項1に係わる本発明のクランプ装置では、切欠部が分岐部を軸方向へ横切ってクランプ装置が分岐製品の胴部に嵌合することができるので、クランプ装置は分岐部を有する胴部を利用して分岐製品を一方の装置部品に固定することができる。このために、分岐製品の長さを短形に構成できるので、取付場所の制約を受けずに取り付けることができる利点がある。
叉、一方の装置部品と他方の装置部品との間隔寸法が加工精度により変化してもクランプ装置は軸方向に弾性変形して分岐製品を固定するので、分岐製品の加工精度のばらつきに関係なく、分岐製品を固定することが可能になる。
更に、一方の装置部品に振動が発生しても、クランプ装置により分岐製品を一方の装置部品に弾性的に固定しているので、振動力により分岐製品が破損するのを防止する。そして、クランプ装置には切欠部が設けられているので分岐製品に装着するのが容易であり、一方の装置部品と他方の装置部品との間隔に取付が容易になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる好ましい実施の形態のクランプ装置を、その図面に基づいて詳述する。尚、以下に説明する各図面は、実験データを基にした寸法関係が正確な設計図を基にしている。
【0019】
図1は、本発明に係わる実施の形態のクランプ装置を取り付けたインジェクタの側面図である。叉、図2は、図1のクランプ装置のA−A矢視を示す断面図である。
図1に於いて、1はクランプ装置である。図2に示すように、クランプ装置1は、円筒状に形成されている。そして、1側面に切欠縁1C、1Cが形成されており、その間が切欠部1C1になっている。この切欠縁1C、1C間は、インジェクタ10の分岐部10Bの直径の寸法と略同じ寸法に形成されて嵌り合う関係にある。つまり、この切欠縁1C、1C間の寸法は分岐部10Bが挿入できればよい。
【0020】
更に、クランプ装置1は、軸方向の両端部が、デリバリパイプ30の端部に圧接している他端部1Dと、インジェクタ10の本体10Cの段部(取付部)に密接している一端部1Eとに形成されている。他端部1Dにはデリバリパイプ30に設けられた凹部に係止する凸状の係止部1Aが形成されている。そして、クランプ装置1は係止部1Aによりデリバリパイプ30と結合して回動不能にされている。
叉、クランプ装置1の切欠部1C1はインジェクタ10の分岐部10Bと係合するのでインジェクタ10はクランプ装置1により回動が阻止される
【0021】
このクランプ装置1は、図2に示すように断面がCに形成され全体が筒状体1Bに形成されている。図3及び図4は本発明に係わる実施の形態を示すクランプ装置1である。
図3は、このクランプ装置1の側面図である。又、図4は図3の平面図である。
図3に示すように、金属製の環状をなす筒状体1Bには径方向から交互にスリット1Sが形成されてばね力を付与している。又、筒状体1Bには内周面1Nが設けられており、この内径寸法により筒状体1Bに設計された弾性力が付与されるようにする。更に又、筒状体1Bの両端は一端部1Eと他端部1Dに形成されていると共に、他端部1Dに係止部1Aが形成されている。そして側面には軸方向へ貫通する切欠縁1C,1Cが形成されている。
このクランプ装置1は、ステンレス鋼、ばね鋼、超弾性合金等の材料から製作されている。
【0022】
クランプ装置1により固着されるインジェクタ10は、シリンダヘッド20の孔にOリング20Pを介して嵌着する本体10Cが設けられている。この本体10C内にはソレノイド・コイル等が内蔵されている。叉、本体10Cの先端にはニードルバルブ等が内蔵された噴射パイプ10Dが設けられている。更に、本体10Cの上部には胴部10Aが形成されていると共に、胴部10Aから二股に分れた分岐部10Bが形成されている。この分岐部10Bの内部には、ソレノイド・コイルに結線する電気コネクタが設けられている。
更に、胴部10Aの上部には、デリバリパイプ30に嵌合する燃料コネクタ10Eが設けられている。この燃料コネクタ10EはOリング35を介してデリバリパイプ30の内周面に嵌合している。
【0023】
シリンダヘッド20は、一方の装置部品に相当し、内燃機関の燃焼室のヘッドカバとなる。叉、デリバリパイプ30は、他方の装置部品に相当し、シリンダヘッド20に取り付けられて燃焼室へ燃料を供給するパイプである。
このデリバリパイプ30とシリンダヘッド20との間隔は構造的に小さくしなければならない技術的課題が存する。叉、内燃機関のコスト低減からインジェクタの加工精度を下げてコストの低減が求められている。
【0024】
このように構成されたインジェクタ10は、本体10Cがシリンダヘッド20に嵌着すると共に、燃料コネクタ10Eがデリバリパイプ30に嵌合して連結する。このとき、インジェクタ10の噴射パイプ10Dは、Oリング20Pによりシリンダヘッド20との嵌合間がシールされる。更に、燃料コネクタ10Eの嵌合間はOリング35によりシールされている。このとき、インジェクタ10に於けるシリンダヘッド20とデリバリパイプ30との間隔の製作上の誤差は、燃料コネクタ10Eがデリバリパイプ30に嵌合してシールされながら上下へ移動することにより吸収される。
【0025】
このクランプ装置1の一端部1Eは、インジェクタ10の段部(取付部)に圧接されると共に、他端部1Dは、デリバリパイプ30の端面に圧接する。そして、シリンダヘッド20とデリバリパイプ30との間隔の製作上の誤差は、クランプ装置1が弾性力を有するように構成されているから、その寸法差はクランプ装置1が弾性変形して両方のシリンダヘッド20とデリバリパイプ30とを圧接する。
更に、クランプ装置1の他端部1Dに設けられた係止部1Aは、デリバリパイプ30の端部に設けられた凹部に係合して連結し、両部品は一体に結合する。叉、クランプ装置1は、インジェクタ10の胴部10Aに嵌合すると共に、切欠縁1C、1Cが分岐部10Bに当接して回動不能に固定する。
【0026】
クランプ装置1は分岐部10Bを設けた胴部10Aを介して固定するためにクランプ装置1を取り付ける部分が不用になる。、特に、クランプ装置1を取り付ける為の部分を必要としないからインジェクタ10の長さを短形に構成できる。その結果、インジェクタ10を小型にすると共に、クランプ装置1の装着を容易にする。しかも、インジェクタ10の加工寸法誤差があっても、弾性を有するクランプ装置1により簡単に吸収することが可能になる。
このクランプ装置1の取付状態は、誤差を図5に示すような弾性変形範囲内の荷重特性にして解消する。つまり、クランプ装置1の長さは、図5に示す範囲において、取付長さL1になるように圧縮して取り付ける。そして、シリンダヘッド20とデリバリパイプ30との寸法間隔が製作誤差により変化してもクランプ装置1の長さが図5のL2とL3内でインジェクタ10を固定するようにすると確実に固定されると共に、弾性圧着が可能になる。しかも、シリンダヘッド20の振動等に対してもクランプ装置1の弾性力により固定し、インジェクタ10が振動により破損するのも防止する。
【0032】
以上のクランプ装置1に於いて、切欠縁1Cは筒状体1Bの軸方向へ直線の貫通状態に形成したが、筒状体1Bの側面にU形状に形成しても良い。例えば、一端部1E側から切欠縁1CをU形状に形成すると良い。このようにして他端部1Dとデリバリパイプ30の端面を接合し、結合力を強固にすると共に、この接合面をシールすることもできる。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係わるクランプ装置1によれば、筒状体1Bは径方向からスリットが形成されることによってばね力が付与されており、その内周面1Nはインジェクタ10の胴部10Aに嵌合されると共に、その他端部1Dに設けた係止部1Aがデリバリパイプ30と係合されることによって、クランプ装置自体の回動が阻止される。また、クランプ装置の切欠縁1C、1Cはインジェクタ10の胴部10Aに形成されている分岐部10Bと係合されるので、インジェクタの回動が阻止される。
更に、クランプ装置インジェクタ10への装着を容易にする。しかも、インジェクタ10の取付にかかわる寸法の加工誤差は、弾性を有するクランプ装置により簡単に吸収することが可能になる。この為に、クランプ装置及びインジェクタの製作コストを低減できる効果を奏する。
しかも、シリンダヘッド20の振動等に対してもクランプ装置の弾性力により対応し、インジェクタが振動により破損するのも効果的に防止する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施の形態に係わるクランプ装置をインジェクタに取り付けた側面図である。
【図2】 図1のクランプ装置A−A矢視を示す断面図である。
【図3】 本発明の第2実施の形態に係わるクランプ装置の側面図である。
【図4】 図3のクランプ装置の平面図である。
図5】 本発明に係わるクランプ装置の荷重ー長さの許容範囲を示す特性のグラフである。
図6】 従来のクランプ装置を取り付けたインジェクタの側面図である。
【符号の説明】
1 クランプ装置
1A 係止部
1B 筒状体
1C 切欠縁
1C1 切欠部
1D 他端部
1E 一端部
1F 環状溝
1N 内周面
10 分岐製品(インジェクタ)
10A 胴部
10B 分岐部
10C 本体
10D 噴射パイプ
10E 燃料コネクタ
20 一方の装置部品(シリンダヘッド)
20P Oリング
30 他方の装置部品(デリバリパイプ)

Claims (1)

  1. 内燃機関の燃焼室のヘッドカバとなるシリンダヘッドと燃焼室へ燃料を供給するデリバリパイプとの間に配置されて一端部がシリンダヘッドに連結すると共に他端部がデリバリパイプに連結し、且つ分岐部が形成されたインジェクタを保持するクランプ装置において、
    前記インジェクタは、
    シリンダヘッドに嵌着される本体と、
    前記本体上部に形成され、分岐部を有する胴部と、
    前記胴部の上部に形成され、前記デリバリパイプ内周面に嵌合される燃料コネクタと、
    前記本体下部先端に形成された噴射パイプと、
    を備え
    前記クランプ装置は、前記インジェクタの分岐部を軸方向に通過可能な切欠部を有する断面Cに形成され、全体が筒状体に形成され、
    前記筒状体は、
    径方向に、前記切欠部の切欠縁側面から交互に形成されたスリットと、
    軸方向に、前記インジェクタの本体に密接する一端部と、
    前記デリバリパイプの端部に圧接すると共に前記デリバリパイプに形成された凹部と係止する凸状の係止部が形成された他端部と、
    前記インジェクタの胴部に嵌合する筒状の内周面と、
    を備え、
    前記係止部が前記デリバリパイプと結合すると共に、前記切欠部が前記インジェクタの分岐部と係合することによってインジェクタの回動を阻止することを特徴とするクランプ装置。
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