JP4167670B2 - 反射型投影システム、反射スクリーン - Google Patents
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Description
さらに、上述した従来の反射スクリーンでは、その製造工程が複雑になり、結果として製造コストが高くなるという問題があった。
しかし、特許文献4に記載の反射スクリーンでは、断面が鋸歯状のスクリーン面に反射面と光吸収面とを明確に分けて製造する必要があるが、鋸歯状の山の一方を反射面とし、他方を光吸収面として作り分けることは、困難であって、製造単価が高くなってしまうという問題があった。
請求項1の発明は、映像光を投射する映像源(L)と、前記映像光を反射させて観察可能にする反射スクリーン(10)と、を備えた反射型投影システムにおいて、前記反射スクリーンは、スクリーン面に対して直交する断面において、光を透過可能な光透過部(12)と、光を吸収する光吸収部(14)とを備え、前記光透過部と前記光吸収部とが、スクリーン面に沿って交互に形成されており、前記光吸収部の屈折率は、前記光透過部の屈折率に比べて低く、前記光透過部を通過した前記映像光を反射する反射層(13)を前記光透過部の裏面側に備え、前記映像光は、略直線偏光であって、前記映像光の偏光方向(A)は、前記光透過部と前記光吸収部が同一断面形状を保ちながら延在する方向と略一致していること、を特徴とする反射型投影システムである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の反射型投影システムにおいて、通過する光の偏光状態を所定の偏光方向の直線偏光に揃える偏光層(16)を有し、前記偏光層により揃えられる所定の偏光方向は、前記映像光の偏光方向(A)と略一致していること、を特徴とする反射型投影システムである。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の反射型投影システムにおいて、前記反射層(13)は、一方向の偏光のみを選択的に反射する偏光反射材により形成されており、前記偏光反射材が選択的に反射する偏光方向は、前記映像光の偏光方向(A)と略一致していること、を特徴とする反射型投影システムである。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の反射型投影システムにおいて、少なくとも前記反射スクリーンが設置される空間を照明する照明光源(G)をさらに備え、前記照明光源の照明光は、略直線偏光であって、前記照明光の偏光方向(B)は、前記映像光の偏光方向(A)と略直交していること、を特徴とする反射型投影システムである。
請求項7の発明は、映像源から投影された映像光を反射させて観察可能にする反射スクリーンであって、スクリーン面に対して直交する断面において、光を透過可能な光透過部(12)と、光を吸収する光吸収部(14)と、を備え、前記光透過部と前記光吸収部とが、スクリーン面に沿って交互に形成されており、少なくとも前記光透過部の裏面側に前記光透過部を通過した前記映像光を反射する反射層(13)を備える反射スクリーンにおいて、前記光吸収部の屈折率は、前記光透過部の屈折率に比べて低く、前記反射層は、一方向の偏光のみを選択的に反射する偏光反射材により形成されており、前記偏光反射材が選択的に反射する偏光方向は、前記光透過部と前記光吸収部が同一断面形状を保ちながら延在する方向と略一致していること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
(1)映像光は、略直線偏光であって、映像光の偏光方向は、光透過部と光吸収部が同一断面形状を保ちながら延在する方向と略一致しているので、映像光をより効率よく反射することができる。これは光透過部と、光吸収部とに屈折率差を持たせており、そのため界面に入射する偏光方向によって反射率が異なる為である。映像光の偏光方向は界面に対してS偏光になるため反射率が高い。よって光吸収層に入射し損失する割合を最も小さくすることが可能となる。
図2は、本実施例における反射型投影システムを示した斜視図である。ただし、図2では、説明のため反射層13を形成していない状態を示している。なお、図1及び図2は、説明のため各部寸法、形状などを適宜誇張して示しており、室内照明G,映像源L,反射スクリーン10をまとめて模式的に示しているので、実際とは配置関係が異なり、各光線の入射角度などが後述の説明における大小関係と異なる部分が含まれている。
プロジェクター光学エンジン部(映像源)Lは、液晶プロジェクターであって、投射される映像光の偏光状態は、直線偏光となっており、図2中に矢印で示した偏光方向Aが水平方向となるように配置されている。
図1には、スクリーンの使用状態における垂直方向断面を示している。反射スクリーン10は、ベース部11,単位プリズム形状12,反射層13,光吸収部14,正反射防止層15,偏光層16等を備えている。
単位プリズム形状12及び光吸収部14は、図1に示した断面形状を保ったまま水平方向に延在している。先に述べたように映像光の偏光方向は、水平方向であるから、映像光の偏光方向と、単位プリズム形状12及び光吸収部14が同一断面形状を保ちながら延在する方向とが一致している。この理由については後述する。
また、本実施例における反射層13は、一方向の偏光のみを選択的に反射する偏光反射材により形成されている。本実施例の反射層13は、誘電体と導体とを交互に面方向に並べて配置したワイヤーグリッド偏光子を用いて形成しており、反射層13が選択的に反射する偏光方向は、水平方向となっており、映像光の偏光方向と一致している。従って、映像光については効率よく反射しながら、偏光方向が一致しない外光等については、殆ど反射しない。このワイヤーグリッド偏光子は、偏光選択性を持つ反射層であり、別途反射層を設ける必要はない。なお、反射されない光は、裏面方向に透過していくので、外光がスクリーン裏側のいずれかの面で(例えば壁で)反射することを防ぐ為に、例えば黒色の光吸収層を裏面にさらに配置してもよい。反射層13には、ワイヤーグリッド偏光子の他に、例えばDBEF(住友スリーエム株式会社製)を使用してもよい。
本実施例の反射層13の反射率は、偏光方向が一致する偏光に対しては、400〜700nm平均で81.1%であり、これと直交する方向の偏光については、3.4%である。
正反射防止層15は、以下の機能を有している。
(1)映像源Lが反射スクリーン最表面に映り込んで観察されてしまうことを防止する。
(2)反射スクリーンに投影された画像の観察可能な角度を広げる。
なお、正反射防止層15のさらに表面側に、帯電防止処理、ハードコート処理、防汚処理等の各種表面処理を追加して施してもよいが、その場合には、表面の微細凹凸形状を残す必要がある。
本実施例における偏光層16により揃えられる所定の偏光方向は、水平方向となるように設けられている。よって、偏光層16を通過可能な偏光方向は、映像光の偏光方向と略一致している。このようにすることにより、映像光については偏光層16を通過して反射層13側へ進むことができるが、偏光層16の所定の偏光方向以外の方向の偏光成分を有した光(例えば外光)は、その大部分が偏光層16により吸収される。
そして、単位プリズム形状12と光吸収部14との境界面で全反射した映像光は、反射層13に到達して反射され、その後さらに全反射するなどして観察可能な光線として観察者方向へ戻される。
偏光した光が反射を行う場合、偏光の状態(偏光方向)と反射面との関係により、反射率が異なることは、既に知られており、反射面に対してS偏光のほうがP偏光よりも反射率が高い。
本実施例の反射スクリーン10では、単位プリズム形状12と光吸収部14との界面において全反射を利用しているので、この界面に到達する光が界面との関係においてS偏光に近いほど効率よく映像光を反射させることができる。
図3は、偏光方向の違いによる反射率の変化を本実施例の反射スクリーン10のスクリーン面に対する入射角度毎に実測した結果をプロットした図である。
図3には、映像光の偏光方向が垂直方向の場合と、偏光方向が水平方向の場合とを、偏光方向が水平方向で入射角度0°の映像光を基準として示している。図3から、映像光の偏光方向が水平方向の場合の方が、偏光方向が垂直方向の場合よりも反射強度が高いことが分かる。この理由は、映像光の偏光方向が水平方向の場合には、単位プリズム形状12と光吸収部14との界面に到達する映像光の偏光状態が、この界面との関係においてS偏光となる光が多くなるからである。
なお、反射スクリーン10を映像光の偏光方向に合わせて回転してしまうと、本来の映像源L及び室内照明Gとの位置関係が崩れてしまうので、この位置関係を崩さないように、本実施例では、映像光が水平方向の直線偏光で投射されるような映像源Lを使用している。
さらに、本実施例では、コントラストの高い映像をより明るい室内環境において観察可能とするために、室内照明Gについても、反射型投影システムの一部として、以下に示す改良を施している。
このように、本実施例によれば、明るい室内であっても、コントラストが高く、高輝度であって映り込みのない画像を得ることができる。
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
本実施例において、映像光の偏光方向に対応して反射層13、偏光層16、偏光フィルター17などを単位プリズム形状12及び光吸収部14と組み合わせて使用した例を示したが、これに限らず、例えば、偏光層16を省略するなど、これらの中の一部を適宜省略してもよい。
11 ベース部
12 単位プリズム形状
13 反射層
14 光吸収部
15 正反射防止層
16 偏光層
17 偏光フィルター
Claims (8)
- 映像光を投射する映像源と、
前記映像光を反射させて観察可能にする反射スクリーンと、
を備えた反射型投影システムにおいて、
前記反射スクリーンは、スクリーン面に対して直交する断面において、光を透過可能な光透過部と、光を吸収する光吸収部とを備え、前記光透過部と前記光吸収部とが、スクリーン面に沿って交互に形成されており、
前記光吸収部の屈折率は、前記光透過部の屈折率に比べて低く、
前記光透過部を通過した前記映像光を反射する反射層を前記光透過部の裏面側に備え、
前記映像光は、略直線偏光であって、前記映像光の偏光方向は、前記光透過部と前記光吸収部が同一断面形状を保ちながら延在する方向と略一致していること、
を特徴とする反射型投影システム。 - 請求項1に記載の反射型投影システムにおいて、
前記光透過部は、スクリーン面に対して直交する断面において、裏面側における幅より前記映像源側における幅が広い略楔形状であってスクリーン面に沿って前記映像光の偏光方向と直交する方向に多数並べて形成された単位プリズム形状であること、
を特徴とする反射型投影システム。 - 請求項1又は請求項2に記載の反射型投影システムにおいて、
通過する光の偏光状態を所定の偏光方向の直線偏光に揃える偏光層を有し、
前記偏光層により揃えられる所定の偏光方向は、前記映像光の偏光方向と略一致していること、
を特徴とする反射型投影システム。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の反射型投影システムにおいて、
前記反射層は、一方向の偏光のみを選択的に反射する偏光反射材により形成されており、
前記偏光反射材が選択的に反射する偏光方向は、前記映像光の偏光方向と略一致していること、
を特徴とする反射型投影システム。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の反射型投影システムにおいて、
少なくとも前記反射スクリーンが設置される空間を照明する照明光源をさらに備え、
前記照明光源の照明光は、略直線偏光であって、
前記照明光の偏光方向は、前記映像光の偏光方向と略直交していること、
を特徴とする反射型投影システム。 - 映像源から投影された映像光を反射させて観察可能にする反射スクリーンであって、スクリーン面に対して直交する断面において、光を透過可能な光透過部と、光を吸収する光吸収部と、を備え、前記光透過部と前記光吸収部とが、スクリーン面に沿って交互に形成されており、少なくとも前記光透過部の裏面側に前記光透過部を通過した前記映像光を反射する反射層を備える反射スクリーンにおいて、
前記光吸収部の屈折率は、前記光透過部の屈折率に比べて低く、
通過する光の偏光状態を所定の偏光方向の直線偏光に揃える偏光層を有し、
前記偏光層により揃えられる所定の偏光方向は、前記光透過部と前記光吸収部が同一断面形状を保ちながら延在する方向と略一致していること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 映像源から投影された映像光を反射させて観察可能にする反射スクリーンであって、スクリーン面に対して直交する断面において、光を透過可能な光透過部と、光を吸収する光吸収部と、を備え、前記光透過部と前記光吸収部とが、スクリーン面に沿って交互に形成されており、少なくとも前記光透過部の裏面側に前記光透過部を通過した前記映像光を反射する反射層を備える反射スクリーンにおいて、
前記光吸収部の屈折率は、前記光透過部の屈折率に比べて低く、
前記反射層は、一方向の偏光のみを選択的に反射する偏光反射材により形成されており、
前記偏光反射材が選択的に反射する偏光方向は、前記光透過部と前記光吸収部が同一断面形状を保ちながら延在する方向と略一致していること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項6又は請求項7に記載の反射スクリーンにおいて、
前記光透過部は、スクリーン面に対して直交する断面において、裏面側における幅より前記映像源側における幅が広い略楔形状であってスクリーン面に沿って前記映像光の偏光方向と直交する方向に多数並べて形成された単位プリズム形状であること、
を特徴とする反射スクリーン。
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