JP4167283B2 - 甘味料 - Google Patents
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Description
さらに、大量投与であるために、服用のし易さ及び携行の便が求められている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、糖又は糖アルコールを有効成分としながら瀉下作用などの消化器症状がなく、服用と携行が容易なメニエール病治療薬を提供すること、及び、糖又は糖アルコールを含有する、瀉下作用などの消化器症状がなく携行が容易な甘味料を提供することにある。
(1)単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、及び単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールに対し5〜50重量%の1種または2種以上の多糖類を含有するメニエール病治療薬。
(2)多糖類の含有量が10〜50重量%である、(1)のメニエール病治療薬。
(3)糖アルコールがエリスリトール又はキシリトールである、(1)又は(2)のメニエール病治療薬。
(4)多糖類がペクチン及び/又はキサンタンガムである、(1)〜(3)のいずれか1のメニエール病治療薬。
(5)単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、及び単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールに対し5〜50重量%の1種または2種以上の多糖類を含有する、メニエール病治療のためのゲル製剤。
(6)水分量が10〜55重量%である、(5)のゲル製剤。
(7)単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールに対し5〜50重量%の1種または2種以上の多糖類、及び単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールと多糖類の総量に対し10〜55重量%の水を加えて練和することからなる(6)のゲル製剤の製造方法。
(8)単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールに対し5〜50重量%の1種または2種以上の多糖類、及び単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールと多糖類の総量に対し10〜55重量%の水を練和してゲル製剤とし、ついで、このゲル製剤を乾燥、粉砕、造粒することからなるメニエール病治療のための粉剤又は顆粒剤の製造方法。
(9)上記(8)の製造方法によって得られる、メニエール病治療のための粉剤又は顆粒剤。
(10)単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、及び単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールに対し5〜50重量%の1種または2種以上の多糖類を含有する甘味料。
(11)糖アルコールがエリスリトール又はキシリトールである、(10)の甘味料。
(12)単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールに対し5〜50重量%の1種または2種以上の多糖類、及び単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールと多糖類の総量に対し10〜55重量%の水を練和してゲル製剤とし、ついで、このゲル製剤を乾燥、粉砕、造粒することからなる甘味料の製造方法。
本発明の甘味料は風味がよく、また、上記と同様の作用効果を有する。
多糖類としては、キサンタンガム、ペクチン、アラビアガム、ゼラチン、アルジネートナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、寒天などが挙げられる。これらを単独でも数種組み合わせてもよい。
糖アルコール類と多糖類の規定量を混合し、混合物に対し約10〜約55重量%、好ましくは約15〜約50%の精製水を加えて、常温又は必要に応じて加熱下に練和すると、練和物はゲル化しゼリー状になる。精製水の量が10重量%より少ないと粘度が上がりすぎ、また、55重量%を超えると希薄になりすぎて良質なゲルが得られないため好ましくない。
このゲル剤を乾燥、粉砕すれば粉剤が得られる。また、上記練和物を押し出し造粒等の方法で造粒し、乾燥後製粒することによって顆粒剤が得られる。
乾燥、粉砕、及び造粒は、慣用の方法が何れも適用できる。
製剤化に際し、必要に応じて、有効成分に加えて、医薬上許容し得る担体、賦形剤、希釈剤、結合剤、防腐剤、安定剤、香味・着色剤などを配合することができる。
本発明のメニエール病治療薬は、糖アルコール類と多糖類とを練和して得たゲル剤をそのまま服用してもよく、また、ゲル剤から定法で製剤化して得られる粉剤又は顆粒剤を服用してもよい。
ゲル剤から得られる粉剤又は顆粒剤は、糖アルコール類原末に比較して容量が約2分の1に減量するため、保存、携帯に有利であり、患者にとって服用の負担が軽減される。
また、粉剤又は顆粒剤に用時に約10〜約55重量%の水を加えれば、再ゲル化して一塊のゼリー状となるため、服用がさらに容易となる。
本発明によるゲル剤は、糖アルコール類原末の飽和水溶液に対し容量が約4分の1に激減するため、従来の液状製剤と比較しても服用上格段に有利である。
多糖類としては、キサンタンガム、ペクチン、アラビアガム、ゼラチン、アルジネートナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、寒天などが挙げられる。これらを単独でも数種組み合わせてもよい。
多糖類の配合量は、上記と同様であり、糖アルコール類と多糖類を混合し、混合物に対し約10〜約55重量%、好ましくは約15〜約50%の精製水を加えて、常温又は必要に応じて加熱下に練和することによって、ゼリー状のゲル剤が得られる。
このゲル剤を、定法により乾燥、粉砕、あるいは顆粒剤に成形すれば、容量が原末に比較して顕著に低減した粉剤又は顆粒剤を得ることができる。粉剤又は顆粒剤は、用時に約10〜約55重量%の水を加えれば再ゲル化して、利用性のよいゲル剤とすることができる。
投与する糖アルコール類と多糖類の量は表1、表2に示すとおりである。投与薬剤は蒸留水に溶解させ、いずれの場合も水溶液の1回の投与量は8ml/kgとなるようにした。
1−a)キシリトール投与の場合
投与前、正常な便をしているモルモット45匹を、5匹ずつ9群に分け、表1に示すようにキシリトール等の水溶液を経口投与した。
ア)キシリトールのみを投与した場合の投与量による影響[比較例1]
キシリトール1.4g/kgでは下痢は起きなかったが、2.1g/kg投与群では3時間後には手指で押さえると便が容易に変形する程度の軟便の動物が1匹いた。2.8g/kgでは投与後1時間では異常は認められなかったが、投与後2時間ですべての動物に程度の差はあったが、明らかな下痢症状があらわれた。投与後3〜4時間で全動物が水様便となり、症状がもっとも重篤になったが、6時間後にはほぼ正常な便に戻った。
イ)キシリトールにキサンタンガムを添加
キシリトール2.8g/kgに、各々キサンタンガムを0.12g/kg、0.2g/kg、0.3g/kg添加し経口投与したところ、2時間目まではほとんど異常な便は認められなかったが、3〜4時間後に症状が出現した。その時点の便の評価を表に示した。便はキサンタンガムの量が増加するにつれ正常な便をするものが多くなり、0.3g/kgでは観察時間中に軟便は認められなかった。
ウ)キシリトールにペクチン(Pec)を添加
キシリトール2.8g/kgに、各々Pecを0.25g/kg、0.35g/kg添加し経口投与すると、0.25g/kgでは、便は2時間目から軟化傾向を示しはじめ、3〜4時間目にピークになった。0.35g/kgで軟便は認められなかった。
正常な便をしているモルモット5匹にキシロース2.8g/kgにペクチン0.3g/kgを添加し経口投与したところ、軟便は見られなかった。
投与前、正常な便をしているモルモット40匹を、5匹ずつ8群に分け、表2に示すようにEry溶液及び添加物を経口投与した。
ア)エリスリトール(Ery)のみ2.8g/kgを投与した場合[比較例2]
3時間後には全動物が泥状便となり、6時間後にも3匹は泥状便が続いていた。
イ)エリスリトール(Ery)にペクチン(Pec)を添加
Ery2.8g/kgにPecを各々0.1g/kg、0.3g/kg、0.5g/kg、1.0g/kg、1.5g/kg添加し、経口投与した。0.5g添加すると便は過半数が正常になり、1.5g/kg添加すると、便は正常よりむしろやや固くなることが分かった。
ウ)エリスリトール(Ery)にペクチン(Pec)、アドソルビン、炭酸カルシウムを添加
表2に示すようにEry2.8g/kgにPec0.5g/kgさらに天然ケイ酸アルミニウム(アドソルビン)0.17g/kgと炭酸カルシウム50mg/kgを加えた場合、Pec0.5g/kgさらに天然ケイ酸アルミニウム0.17g/kgを加えた場合のいずれも殆どの動物が正常な便であった。
胃腸症状は灌流固定の際、大腸、直腸、結腸の状態、便の形成状況については、1)便の固さと形、2)形のある便の形成された長さと便の間隔と配列状態の2点について特に観察し、表3の基準により判定した。直腸、結腸内で正常便の形成された長さは肛門を起点に計測し、便の間隔が一定かどうかもあわせて観察した。
各回転毎にライスネル膜の伸展と内リンパ腔の容積変化を計測し、その結果を下記の計算式により積分して、蝸牛毎に膜の伸展率、内リンパ嚢の面積増加率を求めた。術側の左側では内リンパ腔の容積変化から、内リンパ水腫減荷効果を評価した。
モルモット60匹を各群10匹ずつ6群に分け、各群に次に示すように薬物の投与を行った。Ery水溶液は1回投与量が8ml/kgとなるように調整した。
群 投与薬剤 灌流(投与後)
第1群:対照群 蒸留水8ml/kg 3時間後
第2群:E1H群 Ery2.8g/kg 1時間後
第3群:E2H群 同 2時間後
第4群:E3H群 同 3時間後
第5群:E6H群 同 6時間後
第6群:E12H群 同 12時間後
結果を表4に示す。
対照群はすべて正常便であった。E1H,E2H群は直腸付近では正常な便が形成されていたが、次第に軟便に移行していた。E3H,E6H群はすべて泥状便であった。E6H群の5匹中1匹は泥状便にわずかな軽回が認められたが、形は形成されていなかった。E12H群では全動物でほぼ正常な固さの便が形成されていた。
イ)形のある便の形成された長さと便の間隔と配列状態
対照群では55.0±8.8cmで、便の大きさは一定で、その間隔も一定であったが、E1H群では一部軟便で、大きさは不整、間隔もバラバラになっているなど不定になっており、便の形成された長さは22.8±6.9cmであった。E2H−E6H群では一部軟便に近い部分もあったが、腸内はほぼ泥状便で満たされており、形の形成は0cmであった。投与後12時間のE12H群では、ほぼ一定の形をした便が66.0±12.1cm形成されていた。便の間隔は対照群では通常約0.7〜1cmでほぼ一定であるところ、E12H群の一部の動物では8〜10cmの箇所もあり、不定であった。
以上から、Ery投与による下痢は2〜3時間で重篤なものとなり、6時間後も継続しているが、12時間後には正常に復することが分かった。
術側における膜の伸展と面積の増加の関連
術側における膜の伸展率(IR−L)、面積増加率(IR−S)の平均±標準偏差を表5に示す。なお、対照群は閉鎖術を施行していない右側(対照側)をも計測して、閉鎖術を施行していない、すなわち無処置のライスネル膜の伸展率、内リンパ腔の面積増加率を表5に加えて示した。
図1は横軸に膜の伸展率、縦軸に面積増加率をとり、各動物群毎に術側の2変数の散布図と回帰直線を示したものである。内リンパ水腫が生ずると、内リンパ腔の体積が増加し、ライスネル膜が伸展する。図1から、蒸留水を投与した対照群術側では、この両者の間に統計学的に1次相関が存在すると推計される。薬剤投与により水腫の減荷が起こると、膜が伸展しているにもかかわらず、内リンパ腔の面積増加が少なくなり、回帰直線が下方に移動することになる。
糖アルコール類の内リンパ水腫減荷作用を確実なものとするには、糖アルコール類の瀉下作用を打ち消す方法を考案しなくてはならないことが分かった。
左側内リンパ嚢の閉鎖術施行1ヶ月後、モルモット40匹を各群10匹ずつ4群に分け、各群に次に示すように薬物投与を行い、一定時間経過後に灌流固定した。
[2−2−a:ペクチン(P)の添加量による効果の違いを観察する]
[2−2−b:ペクチン(Pec)0.5g/kg添加し、投与後の経時的変化を観察する]
なお、薬剤の1回投与量は第7群から10群までは8ml/kgとした。
灌流固定の際、大腸、直腸、結腸の状態、特に便の形成状況を観察した。灌流固定後の脱灰、脱水、包埋、染色、光学顕微鏡での観察、計測は第1グループと同様に行った。
便の固さ、間隔の判定と便の形成された長さは上記の2グループに分けて観察した。
[2−2−a:ペクチン(Pec)の添加量による投与後3時間後の効果の違いを観察する]
結果は表6に示す。
第8群(E+P3H群:Pec0.5g/kg添加)では3匹が泥状便、他の7匹のうち軟便、やや軟便が各1匹、3匹は正常な固さであった。これら7匹の便の間隔はいずれも不定であった。形成された便の長さの平均(10匹)は19.2±21.7であった。
[2−2−b:ペクチン(Pec)0.5g/kg添加し、投与後の経時的変化を観察する]
結果は表7に示す。
第10群(E+P12H::12時間後灌流)では全動物が正常便で、便の間隔は一定、形成された便の長さの平均は45.4±11.5cmであった。
ペクチンの添加量の差による内リンパ水腫減荷効果の違い、さらに減荷効果の経時変化を検討する場合に、術側においては、各群の膜の伸展率、面積変化率の平均と標準偏差を比較検討しても、効果を明確に判定することは困難である。そこで第1グループでの観察と同様に、図2及び3の直線の傾きとY切片を比較することにより、検討した。
表8に各群の膜の伸展率と面積増加率の平均と標準偏差、図2に散布図と回帰直線を示す。
表9に各群の伸展率と面積増加率の平均と標準偏差、図3に散布図と回帰直線を示す。
多糖類自体に内リンパ水腫減荷効果があるかどうかを組織学的に検討した。まず、5匹のモルモットの左側のみに内リンパ嚢閉鎖術を施行し、1ヶ月後、正常な便をしている事を確認した上で多糖類であるペクチンを0.5g/kg経口投与し、3時間後灌流固定した。閉鎖術、組織作成などの手順、及び便と組織の観察、計測は上記と同様で行った。
Eryを成人(体重60kg)に1日3回投与する場合、1回量は10〜80g、好ましくは15〜30gになると考えられる。Ery21gを粉剤として投与すると、その容積は約53mlとなる。また、飽和水溶液として投与するなら、65mlの蒸留水を要し、その容積は78ml、重量は86gとなる。1日3回服用するため、これを携行することはメニエール病の患者にとって大変面倒なことであるのに対し、本発明のゲル剤は、次のとおり、容量、重量ともに顕著に軽減される。
処方例1
エリスリトール 21g
ペクチン 3.75g
蒸留水 11.25ml
エリスリトール 21g
キザンタンガム 2.25g
蒸留水 4.25ml
現在我が国において一般に用いられているイソソルビド製剤は、体積30ml、重量40.5g(イソソルビトール含有量21g)であるのに対し、本発明のゲル剤は、容量、重量とも約3分の2とすることができる。
また、イソソルビド製剤の利用において患者が最も不便を感じているのは、独特の苦味と並んで、500ml(約700g)のボトル入りの液体での運搬の困難さ、保存の煩雑さであるが、本発明のゲル剤は乾燥粉砕して粉剤とし、また造粒も容易なことから、粉剤、顆粒剤の形で必要な服用回数分だけ携行できるため便利である。また、粉剤、顆粒剤に蒸留水を加えることで瞬間的にゲル剤になり、服用時に患者が希望により水を加えゲル剤にすることで、さらに服用が便利なものとなった。
Claims (3)
- 単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、並びに該単糖類、少糖類又は糖アルコールに対し5〜50重量%の、ペクチン、キサンタンガム、アルジネートナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース及び寒天よりなる群から選ばれる1種の多糖類を有効成分として含有する消化器症状を防止するための甘味剤。
- 糖アルコールがエリスリトール又はキシリトールである、請求項1に記載の甘味料。
- 単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、並びに該単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールに対し5〜50重量%の、ペクチン、キサンタンガム、アルジネートナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース及び寒天よりなる群から選ばれる1種の多糖類、並び該単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールと該多糖類の総量に対し10〜55重量%の水を練和してゲル製剤とし、ついで、このゲル製剤を乾燥、粉砕、造粒することからなる消化器症状を防止するための甘味剤の製造方法。
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