JP4166901B2 - シート仕分け装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷機や複写機等の画像形成装置に付設して設けられ又は一体に形成されるシート仕分け装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種のシート仕分け装置では、印刷機等の画像形成装置から排出される画像形成済みのシートを、例えば搬送経路の下流に設けられた単一のシート排出手段によりビンユニットの複数のビンに分配し、整合した後取り出すようになっている。整合後、綴じ処理等の処理を行うものもある。
ビンユニットは、複数のトレイを上下方向に重ね合わせ状態に設けることにより構成され、トレイの数だけのビン（トレイを底面とするシート収容空間）が形成される。
ビンユニットの上記積層構成により、複数のシートを各ビンに分配するためには、画像形成装置からのシートの排出毎にシート排出手段とビンユニットの指定ビンとを対応させる必要がある。その対応方式としては、大別して、シート排出手段を位置固定してビンユニットを上下方向に移動させるビン移動方式と、ビンユニットを位置固定してシート排出手段を上下方向に移動させるデフレクタ移動方式とがある。
【０００３】
綴じ処理機能を有する従来のデフレクタ移動方式の一例について、図２９に基づいて概略的に説明する。
例えば画像形成装置としての孔版印刷機８００から、ファンの吸引力でベルト上に密着させて搬送する吸着方式の搬送手段８０２によって排出された画像形成済みのシート（印刷用紙、転写紙、記録紙等の概念を含む。以下、同じ。）８０４は、装置本体下部に設けられた同様の吸着方式の水平搬送手段８０６，８０８で略水平に搬送され、偏向部材８１０で向きを略垂直方向に変えられ、同様の吸着方式の垂直搬送手段８１２で搬送される。
ビンユニット８１４の各トレイ８１６は、そのシート進入方向（シート搬送方向と同義で、矢印Ｆ方向。以下、同じ。）の先端部８１６ａが装置本体に支持されており、後端部８１６ｂは装置本体の両側に形成された縦孔８１８に上下方向に移動自在に設けられた軸部材８２０に固定されている。各トレイ８１６の後端部８１６ｂには、図示しないヒンジ構成を介して開閉される後端揃え面８２２が設けられている。
【０００４】
縦孔８１８の外方（紙面の手前側と奥側）には、図示しない縦軸を上下方向に移動するとともに回転駆動されるビン開閉カム８２４が設けられている。ビン開閉カム８２４の外周面には螺旋溝８２４ａが形成されており、この螺旋溝８２４ａに軸部材８２０の小径部８２０ａが係合されている。ビン開閉カム８２４が回転すると一つのトレイ８１６の後端部が例えば下方向に移動し、指定されたビン（ここではＢｎ）のシート進入口が拡大される。ビンＢｎはシート進入口側が下がった傾斜状態となり、シート８０４の自重による後端揃えが得られ易い状態となる。
【０００５】
ビン開閉カム８２４の動作に伴って、上下方向に移動可能な偏向爪（デフレクタ）８２６が指定されたビンＢｎの位置に対応し、垂直搬送手段８１２の搬送ベルト８２８間に爪先が入り込むように回動される。垂直搬送手段８１２により搬送されてきたシート８０４は、偏向爪８２６により先端を掬い上げられて偏向され、シート進入口が拡大されたビンＢｎへ進入する。ビン開閉カム８２４と偏向爪８２６等によってシート排出手段が構成されている。
【０００６】
各ビンへの所定枚数の分配が終了すると、図示しない整合手段により各ビン内に積載されたシート８０４のバラツキが修正される。シート８０４の整合動作が完了すると、ステイプラー８３０と一体に昇降するグリップ手段８３２のチャック部分がシート進入方向と略直交するシート幅方向に移動してシート束の端部をグリップする。
１番目のビン（最下ビン）で例示するように、後端揃え面８２２が二点鎖線で示す開放された状態で、シート束がグリップ手段８３２によりステイプラー８３０側へ、すなわち、シート進入方向と反対方向（矢印ＡＦ方向）へ移動させられ、綴じ処理される。グリップ手段８３２は、シート８０４のサイズに拘らず同じ位置（整合手段がシート８０４を突き当てる図示しない整合基準面の近傍）でグリップするようになっている。
グリップ手段８３２のシート幅方向の停止位置は、グリップ位置と、昇降動作においてビンユニット８１４と干渉しない退避位置の２か所となっている。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、今日においては画像形成装置にパーソナルコンピュータ等が接続されて作業の複合化、ネットワーク化が進んでおり、これに対応してシート仕分け装置についてもいわゆるメールボックス的使用機能を求める声が多い。
各ビンに番号を付与し、各個人（作業者）毎にビン番号を特定することにより、上記メールボックス的使用が可能であるが、ビン数が多ければ多いほど特定のビン番号を確認するのが面倒であるという問題があり、また、各個人とビン番号を関連付けた場合、ビン番号を有しない個人が一時的に使用する場合にはそのメールボックス的使用が制限されるなどシート仕分け装置の使用範囲を狭めることになる。
【０００８】
また、従来のシート仕分け装置では、ビンを単位として仕分けを行なう方式であるため、例えば印刷物の１部の枚数がビンの最大収容枚数より少なく、部数がビン数より多い仕分け作業の場合には、ビンユニット全体のスペース使用効率が極めて低い作業を繰り返さなければならないという不合理性があった。
【０００９】
そこで、本発明は、ビン番号を特定することなくメールボックス的使用機能を得ることができ、使用範囲の広いシート仕分け装置の提供を、その主な目的とする。
また、本発明は、ビンユニットのスペースを無駄無く効率的に使用できるシート仕分け装置の提供を、その主な目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、複数のビンに積載されたシート又はシート束に外観的な変化を付けて視覚的に区別することとした。
また、本発明は、上記目的を達成するために、ビン内での仕分けという概念を導入することとした。
【００１１】
具体的には、請求項１記載の発明では、画像形成装置から受け取った画像形成済みのシートを収容するビンが複数重ね合わせ状態に設けられたビンユニットと、上記ビンに収容されたシート又はシート束の端部に対して接離自在に設けられ該端部をグリップ可能なグリップ手段を有し、該グリップ手段の昇降動作によって上記グリップ手段と上記各ビンが個別に対応可能なシート仕分け装置において、上記グリップ手段と同期して昇降可能で、上記グリップ手段により移動させられたシート束に綴じ処理を行うステイプラーと、上記グリップ手段を制御する制御手段とを有し、上記制御手段は、上記グリップ手段の上記ステイプラーへの移動を制御するとともに、指定されたビンにおける上記シート又はシート束をビン外方へ所定距離ずらすように上記グリップ手段を制御する、という構成を採っている。
【００１２】
請求項２記載の発明では、請求項１記載の構成において、上記グリップ手段が上記シート又はシート束の取り出し側端部をグリップ可能に設けられ、上記制御手段は、上記取り出し側端部を取り出し方向へ所定距離引き出してずらすように上記グリップ手段を制御する、という構成を採っている。
【００１３】
請求項３記載の発明では、請求項１又は２記載の構成において、上記ビンユニット内のシート又はシート束を整合するための整合基準面と、この整合基準面に上記シート又はシート束を押圧する整合手段を有し、上記グリップ手段が、上記整合基準面に略平行な端部突き当て面を有している、という構成を採っている。
【００１４】
請求項４記載の発明では、請求３記載の構成において、上記端部突き当て面が上記整合基準面を兼ね、該端部突き当て面による整合が各ビン毎に行われ、該端部突き当て面による整合位置は他のビンにおける上記シート又はシート束と上記整合手段が干渉しないビン内方である、という構成を採っている。
【００１５】
請求項５記載の発明では、画像形成装置から受け取った画像形成済みのシートを収容するビンが複数重ね合わせ状態に設けられたビンユニットと、上記ビンに収容されたシート又はシート束の端部に対して接離自在に設けられ該端部をグリップ可能なグリップ手段を有し、該グリップ手段の昇降動作によって上記グリップ手段と上記各ビンが個別に対応可能なシート仕分け装置において、上記グリップ手段が、上記ビンに既に収容されているシート又はシート束とは区別してその後に該ビンに収容されるシート又はシート束をグリップ可能であり、上記ビンに収容された指定されたシート又はシート束をビン外方へ所定距離ずらすように上記グリップ手段を制御する制御手段を有する、という構成を採っている。
【００１６】
請求項６記載の発明では、請求項５記載の構成において、上記グリップ手段が上記シート又はシート束の取り出し側端部をグリップ可能に設けられ、上記制御手段は、上記取り出し側端部を取り出し方向へ所定距離引き出してずらすように上記グリップ手段を制御する、という構成を採っている。
【００１７】
請求項７記載の発明では、請求項５又は６記載の構成において、上記ビンユニット内のシート又はシート束を整合するための整合基準面と、この整合基準面に上記シート又はシート束を押圧する整合手段を有し、上記グリップ手段が、上記整合基準面に略平行な端部突き当て面を有している、という構成を採っている。
【００１８】
請求項８記載の発明では、画像形成装置から受け取った画像形成済みのシートを収容するビンが複数重ね合わせ状態に設けられたビンユニットと、上記ビンに収容されたシート又はシート束の端部に対して接離自在に設けられ該端部をグリップ可能なグリップ手段を有し、該グリップ手段の昇降動作によって上記グリップ手段と上記各ビンが個別に対応可能なシート仕分け装置において、上記グリップ手段が、上記ビンに既に収容されているシート又はシート束とは区別してその後に該ビンに収容されるシート又はシート束を受けるシート受け部を有し、該シート受け部に載った上記シート又はシート束をグリップ可能な位置に移動させるシート移動手段と、移動された上記シート又はシート束をビン外方へ所定距離ずらすように上記グリップ手段を制御する制御手段が設けられている、という構成を採っている。
【００１９】
請求項９記載の発明では、請求項８記載の構成において、上記グリップ手段が上記シート又はシート束の取り出し側端部をグリップ可能に設けられ、上記制御手段は、上記取り出し側端部を取り出し方向へ所定距離引き出してずらすように上記グリップ手段を制御する、という構成を採っている。
【００２０】
請求項１０記載の発明では、請求項８又は９記載の構成において、上記ビンユニット内の上記シート又はシート束を整合するための整合基準面と、この整合基準面に上記シート又はシート束を押圧する整合手段を有し、上記グリップ手段が、上記整合基準面に略平行な端部突き当て面を有し、上記整合手段は上記シート移動手段を兼ねる、という構成を採っている。
【００２１】
請求項１１記載の発明では、請求項５，６，７，８，９又は１０記載の構成において、上記グリップ手段が、上記ビンに既に収容されているシート又はシート束に対する位置を検知するための紙面検知手段を有している、という構成を採っている。
【００２２】
請求項１２記載の発明では、請求項１，２，３，４，５，６，７，８，９，１０又は１１記載の構成において、上記グリップ手段が上記シート又はシート束の端部に沿って移動可能に設けられ、上記制御手段は、シートのサイズ情報に基づいて上記グリップ手段を上記シート又はシート束の端部の略中央部をグリップする位置に位置付ける、という構成を採っている。
【００２３】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
まず、図１に基づいて本発明の一実施例に係るシート仕分け装置の全体構成を概略的に説明する。
本実施例におけるシート仕分け装置２は、画像形成装置としての孔版印刷機４に付設されている。孔版印刷機４は、例えば特開平７−３０９５２０号公報に開示される公知の印刷構成を有するもので、ここではその構成及び説明を省略する。
【００２４】
シート仕分け装置２は、下部フレーム６と上部フレーム８とから全体の枠組みが構成されており、下部フレーム６には、孔版印刷機４から搬送手段４ａによって排出される画像形成済みのシートＳ（以下、単にシートともいう）を受け取る搬送手段１０と、水平搬送手段１２と、偏向部材１４と、非仕分けモード時に使用される、昇降可能で大量排紙可能な排紙トレイ手段１６等が備えられている。搬送手段１０は、水平搬送手段１２と排紙トレイ手段１６とへ選択的にシートＳを案内する搬送路切り換え機能を有している（後述）。シート仕分け装置２の各動作は、制御手段１０２によって制御される。
【００２５】
上部フレーム８には、複数のトレイ１８が上下方向に重ね合わせ状態に設けられて形成されたビンユニット２０（本実施例ではビン数２０）と、偏向部材１４により搬送方向を切り換えられたシートＳを略垂直方向に搬送する垂直搬送手段２２と、この垂直搬送手段２２によって搬送されてくるシートＳを指定されたビンへ排出するシート排出手段２４と、後述する整合手段で整合されたシート束をグリップしてシート進入方向に移動させるグリップ手段２６と、グリップ手段２６により移動させられたシート束に綴じ処理を行うステイプラー２８等が備えられている。
【００２６】
シート排出手段２４は、指定されたビンのシート進入口を拡大するビン開閉カム３０と、ビン開閉カム３０を回転駆動するカム駆動手段（後述）と、垂直搬送手段２２の搬送面からシートＳを掬い上げて拡開されたビンへ導く偏向爪３２と、この偏向爪３２を駆動する偏向爪切り換え手段（後述）等を有しており、上下方向に昇降可能に設けられている。
孔版印刷機４の搬送手段４ａ、搬送手段１０、水平搬送手段１２、垂直搬送手段２２はいずれも、ファンの吸引力でシートＳを搬送ベルト上に密着させて搬送する吸着搬送構成を有している。これらの構成についても後で詳細に説明する。
【００２７】
図２に示すように、ビンの底面を形成するトレイ１８は、シート進入方向後端に固定された非開放型の後端揃え面１８ａを一体に有しており、シート積載面１８ｂには、積載されたシートＳをシート進入方向と略直交するシート幅方向の１方向から押圧してバラツキを修正する整合手段としての横方向整合手段３４の移動用穴１８ｃ，１８ｄと、主にシート進入方向の移動を制限するエンドフェンス３６の移動用穴１８ｅが形成されている。移動用穴１８ｅは、シートＳのサイズに応じて移動する場合又は縦方向の整合を行う場合の縦移動用穴１８ｆと、この縦移動用穴１８ｆに連設され、グリップ手段２６でシート束を移動させるときにエンドフェンス３６が退避する退避用穴１８ｇとからなる略Ｌ字形に形成されている。
図２では図示しないが、各トレイ１８の後端部両側には、ビン開閉カム３０の螺旋状のカム溝３０ａに係合する軸部材としてのトラニオン３８（図１）が固定されている。トレイ１８の先端部は、図１に示すように、上部フレーム８に固定された支持片４０に湾曲凸部１８ｈを介して点接触又は線接触状態に支持されており、ビン開閉時における摩擦が小さいヒンジ機能が得られるようになっている。
【００２８】
次に、図２に基づいて、グリップ手段２６とステイプラー２８をビンユニット２０の任意のビンＢに対応させるべく同時昇降させる昇降機構及びこれを駆動する駆動源等について説明する。なお、以下に示す軸やプーリ等は上部フレーム８に適宜に支持されており、これについての説明は省略する。
ビンユニット２０の３隅に対応して３つの垂直ベルト４２，４４，４６が配置されている。ビンＢのシート進入方向後端側の一方に位置する垂直ベルト４２は、プーリ４８，５０間に掛け渡されており、シート進入方向先端側の一方に位置する垂直ベルト４４は、プーリ５２と、水平に延びる駆動軸５４の一端に固定されたプーリ５６間に掛け渡されている。駆動軸５４の他端にはプーリ５８が固定されており、このプーリ５８とプーリ６０間に垂直ベルト４６が掛け渡されている。垂直ベルト４２の下方に位置するプーリ５０と同軸上に固定されたプーリ６２と、垂直ベルト４４の下方に位置するプーリ５６と同軸上に固定されたプーリ６４間には水平ベルト６６が掛け渡されており、駆動軸５４の回転が垂直ベルト４２に伝達されるようになっている。
【００２９】
駆動軸５４の延長端にはギヤ６８が固定されており、このギヤ６８は駆動源としてのステッピングモータ７０の回転軸に固定されたギヤ７２に噛み合っている。従って、ステッピングモータ７０が回転すると、３つの垂直ベルト４２，４４，４６が同時に同一方向に回転移動する。
グリップ手段２６は、垂直ベルト４２と４４間に配置された水平軸７４に摺動自在に取り付けられており、シートＳの進入方向及びその反対方向に移動できるようになっている。水平軸７４の一端は垂直ベルト４２に沿って設けられた垂直軸７６に摺動自在に設けられた円筒状のスライダ７８に取り付けられており、スライダ７８は垂直ベルト４２に結合されている。水平軸７４の他端は、垂直ベルト４４に結合されて上下移動可能な二股ジョイント８０に取り付けられている。水平軸７４と同時に昇降できるように、ステッピングモータ８２と、プーリ８４は設けられており、ステッピングモータ８２の回転軸に固定されたプーリ８６とプーリ８４間には水平軸７４に沿う水平ベルト８８が掛け渡されている。グリップ手段２６は水平ベルト８８に結合されており、これによりグリップ手段２６はステッピングモータ８２を駆動源として、その昇降動作とは独立してシートＳの進入方向及びその反対方向への水平移動ができるようになっている。
【００３０】
ステイプラー２８は、垂直ベルト４４と４６間に配置された水平軸９０に摺動自在に取り付けられており、シートＳの進入方向と略直交するシート幅方向に水平移動できるようになっている。水平軸９０の一端は垂直ベルト４４に結合された二股ジョイント８０に取り付けられており、他端は垂直ベルト４６に結合されたジョイント９２に取り付けられている。従って、グリップ手段２６とステイプラー２８はステッピングモータ７０の回転により同時に昇降する。
本実施例によれば、単一の駆動源（ステッピングモータ７０）でグリップ手段２６とステイプラー２８を同時に昇降させることができるので、低コスト及び簡易な構成で昇降機構を実現できる。
【００３１】
水平軸９０と同時に昇降できるように、ステッピングモータ９４と、プーリ９６は設けられており、ステッピングモータ９４の回転軸に固定されたプーリ９８とプーリ９６間には水平軸９０に沿う水平ベルト１００が掛け渡されている。ステイプラー２８は水平ベルト１００に連結されており、これによりステイプラー２８はステッピングモータ９４を駆動源として、その昇降動作とは独立してシートＳの進入方向と略直交するシート幅方向への水平移動ができるようになっている。
【００３２】
本実施例では、ビンＢのシート進入口側と反対側、すなわち、シートＳの進入方向先端側にステイプラー２８を設け、整合後のシート束をグリップ手段２６でシートＳの進入方向に移動させる構成としたので、図１に示すように、垂直搬送手段２２とビンＢのシート進入口との間隔を従来に比べて短くすることができる。これにより、シートＳがＡ４以下の小サイズの場合でも、又、薄肉で腰の弱い場合でも、垂直搬送手段２２の搬送力で確実にビンＢ内へ進入させて排出することができ、排出ジャムを防止することができる。
また、ステイプラー２８の従来とは逆の配置構成により、トレイ１８のステイプラー２８側は常時開放した構成でよいので、従来のように後端揃え面１８ａを開放した後グリップ手段２６を移動させる必要がない。このため、整合動作からステイプラー２８による処理までの時間を短縮することができる。
【００３３】
次に、図３に基づいて、シート仕分け装置２の動作を制御する制御手段１０２について説明する。
なお、制御手段１０２は、ＣＰＵ、Ｉ／Ｏインターフェース、ＲＡＭ、ＲＯＭ等を含めたマイクロコンピュータを意味する。
制御手段１０２は、グリップ手段２６とステイプラー２８を同時昇降させる駆動源であるステッピングモータ７０、グリップ手段２６の水平移動駆動源としてのステッピングモータ８２、ステイプラー２８の水平移動駆動源としてのステッピングモータ９４等を制御する。また、シート仕分け装置２に設けられた操作パネル１０４や孔版印刷機４の制御手段１０６との間で信号の授受を行う。
上記操作パネル１０４はシート仕分け装置２に一体に設ける必要はなく、孔版印刷機４に設けてもよく、孔版印刷機４の操作パネルと兼用してもよい。また、上記制御手段１０２も孔版印刷機４の制御手段と兼用してもよい。
【００３４】
次に、各ビンＢに収容されたシートＳのバラツキを修正（整合）するエンドフェンス３６や横方向整合手段３４等について説明する。
図４に示すように、ビンユニット２０のシート進入方向先端側には、ビンユニット２０の周囲をシート進入方向と略直交するシート幅方向に取り囲む枠体１２５が設けられており、枠体１２５はシート進入方向及びその反対方向に移動可能となっている。枠体１２５は、上部横枠１２６、下部横枠１２８、右側縦枠１３０、左側縦枠１３２を有しており、シートＳの進入方向の移動を制限する突き当て面としてのエンドフェンス３６は、上部横枠１２６と下部横枠１２８間に支持されている。位置的基準について説明すると、右側は装置の手前側、左側は装置の奥側である（以下、同じ。）
制御手段１０２は、孔版印刷機４からシートＳのサイズ情報を受けると、枠体１２５を移動させ、エンドフェンス３６をシートＳのサイズに対応した位置に位置させる。
【００３５】
本実施例では、ビンユニット２０に収容され又は処理が終了したシートＳは、ビンユニット２０の右側面から手前側（矢印Ｎ方向）へ引き出されて取り出される。右側面のシート進入方向後端側には、整合基準面としての基準フェンス１３４が設けられている。
基準フェンス１３４は、上部フレーム８に支持片１３６，１３７を介して回転自在に支持された垂直軸１３８に基端を固定されており、垂直軸１３８に固定されたギヤ１４０とこれに噛み合うウォームギヤ１４２及びステッピングモータ１４４等からなる駆動構成１４５によって回動される。グリップ手段２６が小サイズのシートＳをグリップするときはグリップ手段２６と基準フェンス１３４が干渉するため、この場合には基準フェンス１３４は実線で示す整合位置から外方に回動されて二点鎖線で示す退避位置に位置付けられる。
【００３６】
枠体１２５の右側縦枠１３０の内面（破線ハッチングで表示）は、整合基準面としての移動基準フェンス１３０ａであり、この移動基準フェンス１３０ａと整合位置にある基準フェンス１３４とは面一となるように設定されている。従って、横方向整合手段３４（図２）による矢印Ｎ方向への押圧動作において、シートＳのシート進入方向における後端側は基準フェンス１３４で揃えられ、先端側は移動基準フェンス１３０ａで揃えられる。シートＳの縦方向の整合は、トレイ１８の後端揃え面１８ａに対するエンドフェンス３６の押圧動作によってなされる。
【００３７】
移動基準フェンス１３０ａの幅ｗ（図７）は、グリップ手段２６が小サイズのシートＳの略中央部をグリップしてステイプラー２８へ向けて移動させた際、グリップ手段２６と移動基準フェンス１３０ａが干渉しない大きさ（幅）に設定されており、また、シートＳの取り出し性、枠体１２５の円滑な移動を得るための簡易・軽量構成等を考慮して最小限に設定されている。シートＳが小サイズの場合には基準フェンス１３４と移動基準フェンス１３０ａ間の距離が短くなるので、相互の補いによって右側面全体を覆う基準フェンスを設けた場合と同等の整合機能を得ることができるが、大サイズで特に腰の弱い場合には離れすぎて相互補いの効果が得られず、移動基準フェンス１３０ａが整合基準面としての機能を発揮できなくなる虞がある。この懸念を解消するために、補助基準面手段１４６（図４）が設けられている。
【００３８】
補助基準面手段１４６は、右側縦枠１３０に回転自在に支持された垂直軸１４８と、この垂直軸１４８の上端部に基端を固定された上部水平アーム１５０と、垂直軸１４８の下端に基端を固定された下部水平アーム１５４と、上部水平アーム１５０の自由端と下部水平アーム１５４の自由端間に略垂直に支持された基準バー１５６を有している。補助基準面手段１４６は、グリップ手段２６がステイプラー２８側に移動する場合や、シートＳを取り出す場合には実線で示す整合位置から二点鎖線で示す退避位置に前述した基準フェンス１３４と同様に、垂直軸１４８に固定されたギヤ１５１とこれに噛み合うウォームギヤ１５２及びステッピングモータ１５３等からなる駆動構成１５５によって回動される。なお、ステイプラー２８とグリップ手段２６を有しないシート仕分け装置では、この補助基準面手段１４６は手動で回動するようにしてもよい。
基準バー１５６は、その整合位置では、右側縦枠１３０に対する上部水平アーム１５０と下部水平アーム１５４の摩擦係合等の構成によって固定的に位置決めされ、その内方側面は移動基準フェンス１３０ａと面一となる。
かかる構成によって、グリップ手段２６の移動時に干渉することなく、且つ枠体１２５の大型・重量化を来すことなく、また、シートＳの取り出し性を低減させることなく大サイズのシートＳの整合を高精度に行うことができる。
【００３９】
図５に示すように、上部フレーム８の中央部の上下には、シート進入方向に延びる水平軸１５８，１６０が設けられており、これらにはそれぞれ円筒状のスライダ１６２，１６４が摺動自在に設けられている。上方のスライダ１６２は枠体１２５の上部横枠１２６に連結されている。上方の水平軸１５８に沿って、プーリ１６６、１６７間に掛け渡された水平ベルト１６８が設けられており、この水平ベルト１６８も枠体１２５の上部横枠１２６にスライダ１６２を介して連結されている。水平ベルト１６８に略直交する状態に、プーリ１６７と同軸に固定されたプーリ１６９とプーリ１７０間に掛け渡された水平ベルト１７２が設けられている。プーリ１７０は、ベルト１７４を介して枠体１２５の移動駆動源としてのステッピングモータ１７６により回転駆動される。
【００４０】
一方、下方のスライダ１６４は枠体１２５の下部横枠１２８に連結されている。下方の水平軸１６０に沿って、プーリ１７８、１７９間に掛け渡された水平ベルト１８０が設けられており、この水平ベルト１８０も枠体１２５の下部横枠１２８にスライダ１６４を介して連結されている。水平ベルト１８０と略直交する状態に、プーリ１７９と同軸に固定されたプーリ１８１とプーリ１８２間に掛け渡された水平ベルト１８４が設けられている。上方の水平ベルト１７２のプーリ１６９，１７０とこれに対応する下方の水平ベルト１８４のプーリ１８１，１８２はそれぞれ同軸に固定されている。
従って、上記上方ベルト構成と下方ベルト構成はステッピングモータ１７６の回転により同時に駆動され、枠体１２５はシート進入方向又はその反対方向に移動する。
【００４１】
図６に示すように、枠体１２５の上部横枠１２６の左半部内にはシート進入方向と略直交するシート幅方向に延びる水平軸１８６が設けられており、この水平軸１８６にはエンドフェンス３６の上端に一体に形成されたスライダ部３６ａが摺動自在に嵌合されている。また、水平軸１８６に沿って水平ベルト１８８が設けられており、スライダ部３６ａは水平ベルト１８８に結合され、水平ベルト１８８はプーリ１９０と、ステッピングモータ１９２の回転軸に固定されたプーリ１９４間に掛け渡されている。図示しないが下部横枠１２８においても同様な構成となっている。かかる構成により、エンドフェンス３６のシート進入方向と略直交するシート幅方向の退避移動が可能となっている。なお、図５及び図６では上部横枠１２６と下部横枠１２８の略半分しか表示していない。また、スライダ１６２と水平ベルト１６８は上述したように結合されているが、図６では見やすくするために水平方向に離した状態に表示している。
【００４２】
図５に示すように、横方向整合手段３４は、垂直方向に延びるジョガーフェンス１９６と、ジョガーフェンス１９６上下端から水平に延びるアーム１９８，２００と、アーム１９８，２００の自由端間にジョガーフェンス１９６と略平行に支持された大サイズ対応の補助ジョガーバー２０２等から構成されている。
ジョガーフェンス１９６の上端は、シート進入方向と略直交するシート幅方向に延びる水平軸２０４に摺動自在に設けられた円筒状のスライダ２０６に結合されており、上方のアーム１９８の基端部はスライダ２０６に一体に設けられた軸２０８に回動自在に支持されている。水平軸２０４に沿って水平ベルト２１０が設けられており、スライダ２０６は水平ベルト２１０に結合され、この水平ベルト２１０はプーリ２１２とプーリ２１４間に掛け渡されている。プーリ２１４は、ベルト２１６を介して横方向整合手段３４の駆動源としてのステッピングモータ２１８により回転駆動される。
【００４３】
一方、ジョガーフェンス１９６の下端は、シート進入方向と略直交するシート幅方向に延びる水平軸２２０に摺動自在に設けられた円筒状のスライダ２２２に連結されており、下方のアーム２００の基端部はスライダ２２２に一体に設けられた軸２２４に回動自在に支持されている。水平軸２２０に沿って水平ベルト２２６が設けられており、スライダ２２２は水平ベルト２２６に結合され、この水平ベルト２２６はプーリ２２８とプーリ２３０間に掛け渡されている。上方の水平ベルト２１０のプーリ２１２，２１４とこれに対応する下方の水平ベルト２２６のプーリ２２８，２３０はそれぞれ同軸に固定されている。従って、ステッピングモータ２１８の回転により、ジョガーフェンス１９６及び補助ジョガーバー２０２が上下同時に駆動されてシート進入方向と略直交するシート幅方向に往復移動可能となっている。
【００４４】
図７に示すように、補助ジョガーバー２０２を支持するアーム１９８（２００）は、捩じりコイルバネ２３２（２３４）によってビンＢの内方へ回動するように付勢されており、スライダ２０６（２２２）に一体に形成された支持部材２３６（２３８）によって補助ジョガーバー２０２とジョガーフェンス１９６が面一となるように制限されている。なお、捩じりコイルバネ２３２（２３４）は上方又は下方のいずれか一方に設けてもよい。
【００４５】
シートＳが小サイズの場合には、ジョガーフェンス１９６のみにより横方向の整合がなされる。補助ジョガーバー２０２の移動用穴１８ｄのビン内方への入り込み長さは、エンドフェンス３６との干渉を回避するためにジョガーフェンス１９６の移動用穴１８ｃより短く設定されている。小サイズのシートＳを整合すべく制御手段１０２によりステッピングモータ２１８が駆動されて横方向整合手段３４がビン内方へ向けて移動させられると、二点鎖線で示すように、補助ジョガーバー２０２はエンドフェンス３６の移動用穴１８ｆに達する手前で移動用穴１８ｄの内方端に当接してそれ以上の移動を制限される。
ジョガーフェンス１９６は、アーム１９８（２００）が捩じりコイルバネ２３２（２３４）の付勢力に抗して回動するため移動を許容され、小サイズのシート束の側部を押圧する。押圧されたシート束の反対側は、基準フェンス１３４、基準バー１５６、移動基準フェンス１３０ａによって揃えられる。ジョガーフェンス１９６の移動用穴１８ｃの内方端は、小サイズのシートＳの領域内に入り込むように形成されており、ジョガーフェンス１９６のいわゆるオーバーランによる確実な揃えができるようになっている。
【００４６】
シートＳが大サイズの場合には、ジョガーフェンス１９６と補助ジョガーバー２０２とによってシート束の側部を押圧する。実質的には、幅Ｈの広さの押圧面となるので、大サイズのシート束でもトレイ１８との摩擦による回動モーメントを生じさせることなく、すなわちバラケを生じることなく基準フェンス側に移動させることができる。
本実施例における横方向整合手段３４によれば、小サイズと大サイズに個別に対応した整合手段を設ける必要がなく、且つ、駆動源を一つにできるため、構成の簡易化及び消費電力の低減を図ることができる。
補助ジョガーバー２０２の移動用穴１８ｄの内方端は、大サイズのシートＳの領域内に入り込むように形成されており、オーバーランによる確実な揃えができるようになっている。
【００４７】
押圧されたシート束の反対側は、基準フェンス１３４、基準バー１５６、移動基準フェンス１３０ａによって揃えられる。この場合、基準フェンス１３４と移動基準フェンス１３０ａの間の距離が大きくなるので、腰の弱いシートＳでは基準面不足となって揃え不良が発生する可能性があるが、基準バー１５６が存在するため、移動基準フェンス１３０ａの基準面幅ｗは実質的にｗ１に拡げられた状態となり、上記不具合を抑制することができる。
【００４８】
制御手段１０２は、孔版印刷機４からシートＳのサイズ信号を受けると、これに対応した枠体１２５のホームポジションＭからの移動距離をＲＯＭから抽出し、これに基づいてステッピングモータ１７６を駆動して枠体１２５を移動させ、エンドフェンス３６をサイズに対応した位置に位置付ける。この状態でエンドフェンス３６はシートＳのシート進入方向の移動を制限する突き当て面として機能するが、シートＳがビン内に所定枚数収容された後は、縦方向の整合手段として機能する。
【００４９】
すなわち、制御手段１０２はビン内への排出完了の信号を受けると、枠体１２５をシート進入方向と反対方向に移動させる。これによりシート束のシート進入方向先端はエンドフェンス３６でトレイ１８の後端揃え面１８ａに向けて押圧され、縦方向の整合がなされる。
縦、横の整合動作が完了すると、制御手段１０２はステッピングモータ１７６を駆動して枠体１２５をホームポジションＭに戻し、さらにステッピングモータ１９２を駆動してエンドフェンス３６をシート進入方向と略直交するシート幅方向に退避させる。すなわち、グリップ手段２６によるシート束移動領域からエンドフェンス３６を退避させる。
【００５０】
エンドフェンス３６の上記動作に伴って、ステッピングモータ７０，８２（図２）が駆動されてグリップ手段２６が所定のグリップ位置に位置付けられ、シート束の側部がグリップされる。この場合、シートＳが小サイズの場合には、制御手段１０２はグリップ手段２６の移動に先立って、ステッピングモータ１４４（図４）を駆動して基準フェンス１３４を外方に退避させる。同様に、ステッピングモータ１５３（図４）を駆動して基準バー１５６を外方に退避させる。グリップ手段２６がシート束をグリップした状態でステイプラー２８へ向けて移動すると、横方向整合手段３４はホームポジションに戻される。
【００５１】
次に、グリップ手段２６の本発明に係る構成及び機能について説明する。
グリップ手段２６は、図２に示すように、水平ベルト８８に固定されたベース４００と、このベース４００の両側に設けられたチャック４０２，４０２等を有している。
図８に示すように、ベース４００は、内部構成を見やすくするために二点鎖線で表示したベース上部４００ａと、水平軸７４に摺動自在に設けられたベース下部４００ｂとから構成されている。
各チャック４０２はそれぞれ、後端側（シート幅方向外方側）をベース上部４００ａに軸支されて下方への回動を制限された固定アーム４０２ａと、同じく後端側をベース上部４００ａに軸支されて上下方向に回動自在に設けられた可動アーム４０２ｂとから構成されており、可動アーム４０２ｂ間は軸４０６で連結されている。２つの可動アーム４０２ｂは軸４０６を介してベース上部４００ａ内に設けられたソレノイド４０８により同期回動されるようになっている。ソレノイド４０８の本体部に固定軸４１０を介して回転自在に駆動レバー４１２が支持されており、駆動レバー４１２の一端部は軸４０６に長孔を介して連結され、他端部はソレノイド４０８の可動ロッド４０８ａにピン４１５を介して連結されている。
ソレノイド４０８がオンして可動ロッド４０８ａが引っ込むと、各チャック４０２の可動アーム４０２ｂが下方に回動して固定アーム４０２ａとの間でシート又はシート束の取り出し側端部をグリップする。
【００５２】
チャック４０２，４０２間には、可動アーム４０２ｂの動きに支障を来さないように、下端部を固定アーム４０２ａに固定された支持板４１４が設けられている。支持板４１４のシート側は、整合基準面としての基準フェンス１３４、移動基準フェンス１３０ａに略平行な端部突き当て面４１４ａとなっている。この端部突き当て面４１４ａの位置は、グリップ手段２６のグリップ位置（後述）で基準フェンス１３４とほぼ面一となるように設定されている。なお、端部突き当て面４１４ａはベース上部４００ａに一体に形成することもできる。
【００５３】
ベース下部４００ｂには、シート幅方向に延びる軸４１６が両端部を支持片４１８，４１８に支持されて設けられており、ベース上部４００ａの下面に形成されたブラケット４２０，４２０が挿通されている。各ブラケット４２０は軸４１６に対する挿通孔４２０ａを有しており、ベース上部４００ａの下面のシート幅方向外方端部と、これから内方へ短い間隔をおいた位置の２箇所に設けられている。
また、ベース下部４００ｂには、モータ４２２と、このモータ４２２で駆動される駆動プーリ４２４と、この駆動プーリ４２４とシート幅方向に間隔を有する従動プーリ４２６が設けられており、駆動プーリ４２４と従動プーリ４２６間には水平ベルト４２８が掛けられている。この水平ベルト４２８にブラケット４２９を介してベース上部４００ａが連結されている。従って、ステッピングモータ４２２の回転によりベース上部４００ａはシート幅方向に往復移動可能となっている。ベース下部４００ｂは、ブラケット４２５を介して水平ベルト８８（図２）に連結されている。
【００５４】
また、図８に示すように、ベース下部４００ｂには、シート幅方向内方側から外方へ向かって順に、シート又はシート束のグリップ位置を検知するためのグリップ位置検知センサー４３０、シート又はシート束の引き出し位置を検知するための引き出し位置検知センサー４３２、ベース上部４００ａのホームポジション（退避位置）を検知するためのホームポジション検知センサー４３４が設けられている。これらはいずれも光透過型センサーを使用している。
ベース上部４００ａの下面には、上記各センサーをオン・オフさせる遮蔽板４３５が設けられている。
【００５５】
孔版印刷機４に接続された図示しないパーソナルコンピュータから、ビンユニット２０内の特定のシート束を区別する指令が出されると、図９に示すように、その特定のビンにグリップ手段２６が対応付けられ、ベース上部４００ａがグリップ位置に位置付けられる。その後、シート束の取り出し側端部がグリップされ、取り出し方向（矢印Ｎ方向）に所定距離（後述）引き出される。このようにシート束をビン外方に引き出すことにより、そのシート束は他のビンのシート束から視覚的に容易に区別され、オペレータはその特定のシート束を容易に取り出すことができる。
【００５６】
このビンユニット２０内での特定のシート又はシート束の区別動作を図１０のフローチャート及び図１１に基づいて説明する。
制御手段１０２は、図示しないパーソナルコンピュータから孔版印刷機４の制御手段１０６を介して、あるいは孔版印刷機４の制御手段１０６から直接に特定のシート又はシート束を引き出す指令があるかどうかチェックし（Ｓ１）、指令があった場合にはグリップ手段２６の昇降を制御して特定のシート束が収容されている指定ビンにグリップ手段２６を対応させる（Ｓ２）。
続いて指定ビンにおける整合動作が完了したかどうかをチェックし（Ｓ３）、ホームポジション検知センサー４３４のオン・オフをチェックする（Ｓ４）。オン（検知状態）の場合には（図１１（ａ））、制御手段１０２はベース上部４００ａが退避位置にあると判断し、モータ４２２を駆動してベース上部４００ａをシート束の取り出し側端部に接近する方向へ前進させる（Ｓ５）。なお、本実施例では、全てのサイズのシートＳにおいて、シートＳのシート進入方向に平行な側部（取り出し側端部）の略中央部をグリップする制御を行なうようになっているが、この点については後で説明する（以下の他の実施例において同じ）。
【００５７】
続いて、グリップ位置検知センサー４３０のオン・オフをチェックし（Ｓ６）、オン（検知状態）の場合にはベース上部４００ａを停止させる（Ｓ７）。次に、ソレノイド４０８をオンしてシート束の取り出し側端部をグリップさせる（Ｓ８）、（図１１（ｂ））。グリップがなされたら、モータ４２２を逆回転させてベース上部４００ａを退避させ（Ｓ９）、引き出し位置検知センサー４３２のオン・オフをチェックする（Ｓ１０）。オン（検知状態）の場合にはベース上部４００ａを停止させ（Ｓ１１）、（図１１（ｃ））、ソレノイド４０８をオフしてグリップを解除する（Ｓ１２）。グリップを解除したらベース上部４００ａを退避させ（Ｓ１３）、ホームポジション検知センサー４３４のオン・オフをチェックする（Ｓ１４）。オンしたらベース上部４００ａを停止させる（Ｓ１５）、（図１１（ｄ））。
【００５８】
Ｓ４において、ホームポジション検知センサー４３４がオフ（非検知状態）の場合には、制御手段１０２はモータ４２２を駆動してベース上部４００ａを退避させ（Ｓ１６）、ホームポジション検知センサー４３４のオン・オフをチェックする（Ｓ１７）。ホームポジション検知センサー４３４がオンしたらベース上部４００ａを停止させる（Ｓ１８）。
このようにグリップ手段２６を制御することにより、図１１（ｄ）に示すように、ビンユニット２０の多数のシート束の中から特定のシート束の端部が所定距離ｋ引き出されてビン外方へずらされる。ベース上部４００ａがホームポジションに位置したときにチャック４０２の先端と引き出された特定のシート束の端部との間には隙間が存在し、グリップ手段２６の昇降動作において干渉しないように位置設定されている。所定距離ｋはシート束の引き出し端部が崩れない範囲で適宜に設定されるものである。
【００５９】
これにより、オペレータは積載状態の多数のシート束の外観を見るだけで特定のシート束を容易に視認できる。グリップするシート束の端部は４辺のうちのいずれでもよいが、本実施例のように取り出し側端部をグリップして引き出せば、特定のシート束の確認が一層容易であるとともに、引き出し方向と取り出し方向が同じであるので確認後の取り出しが容易となる。かかる観点から、所定距離ｋの大きさは、指で挟んでそのまま取り出せる程度が望ましい。束ではなく単葉シートの区別動作の場合も同様である。
【００６０】
また、本実施例ではグリップ手段２６が端部突き当て面４１４ａを有しているので、整合手段による整合済みのシート束の端部をそのまま崩さずに引き出すことができ、整合手段による整合の効果を低減させない利点がある。
整合手段、整合基準面、端部突き当て面４１４ａを有しない構成においても上述の端部引き出しによる特定のシート又はシート束の区別機能は得ることができる。
また、グリップ位置、引き出し位置、ホームポジションの３つの位置を決めるためにグリップ位置検知センサー４３０、引き出し位置検知センサー４３２、ホームポジション検知センサー４３４を設けたが、例えばホームポジション検知センサー４３４のみを設置するとともにモータ４２２をステッピングモータとし、ホームポジションを基準にして他の２つの位置をステップ数のカウントで決定するようにしてもよい（以下の他の実施例において同じ）。
【００６１】
グリップ手段２６が有する端部突き当て面４１４ａを整合基準面として、すなわち基準フェンス１３４、移動基準フェンス１３０ａの代替部材として使用することもできる。
この場合には、各ビンにシートを分配した後、各ビン毎にグリップ手段２６を対応させて整合動作を行なう。図１２に示すように、整合前のシートＳは二点鎖線で示す位置にある。ビン毎に有効な整合動作が得られるように、ベース上部４００ａの整合位置（上記グリップ位置に相当）はシート束をビン内方へ押し込む位置に設定されている。ベース上部４００ａが整合位置にある状態で横方向整合手段３４によりシート束が端部突き当て面４１４ａに押圧され、整合がなされる。
整合が完了すると、ベース上部４００ａのチャック４０２がシート束の取り出し側端部をグリップし、次のビンでの整合に支障を来さないように、シート束が引き出し位置より内方の戻し位置に戻される。この戻し位置の制御は、モータ４２２のステップ数の管理又は位置検知センサーによって行われる。整合したシート束が指定された特定シート束の場合には引き出し位置まで引き出される。１つのビンの整合が終わると、ベース上部４００ａはホームポジションに退避し、グリップ手段２６が上昇又は下降して次のビンに対応する。
このようにすれば、基準フェンス１３４、移動基準フェンス１３０ａを設ける必要がないので、構成が簡易となる。
【００６２】
上記実施例は、ビンユニット２０全体における特定のビンのシート又はシート束を他のビンのシート又はシート束と区別する制御方式であるが、１つのビン内でのさらなる仕分け、区別動作の実施例を以下に示す。なお、上記実施例と同一部分は同一符号で示し、構成、機能上の重複説明は特に必要がない限り省略する。
【００６３】
図１３に示すように、本実施例におけるグリップ手段５０のチャック４０２，４０２の固定アーム４０２ａの先端側には、シート幅方向へ延びるとともに下方へ傾斜するシート受け部４３６が一体に形成されている。また、一方のチャック４０２の固定アーム４０２ａの後端側にはブラケット４３８が一体に形成されており、ブラケット４３８の下方には紙面検知手段としての紙面検知センサー４４０が設けられている。紙面検知センサー４４０は、ベース上部４００ａに固定された支持板４４２で支持されている。
【００６４】
例えば、ビンユニット２０の各ビンの最大収容枚数が１００枚で、同一原稿の印刷用紙を５０枚単位で４０部仕分けるケースを、図１４のフローチャート及び図１５に基づいて説明する。
因みに、ビンユニット２０のビン数は既述の通り２０であるので、従来の仕分け方式を採用すれば、最初に５０枚ずつ２０ビンに仕分けした後、それを取り出してから、さらに５０枚ずつ２０ビンに仕分けることになる。
【００６５】
本実施例では、まず最初のビンにおいて制御手段１０２は所定枚数（５０枚）が排出され且つ整合（基準フェンス１３４に対する横方向整合手段３４の整合）が完了したかどうかをチェックし（Ｓ１）、整合完了が確認されると、ホームポジション検知センサー４３４のオン・オフをチェックする（Ｓ２）。オン（検知状態）の場合には制御手段１０２はベース上部４００ａが退避位置にあると判断し、モータ４２２を駆動してベース上部４００ａをシート束の取り出し側端部に接近する方向へ前進させる（Ｓ３）。続いて、グリップ位置検知センサー４３０のオン・オフをチェックし（Ｓ４）、オン（検知状態）の場合にはベース上部４００ａを停止させる（Ｓ５）。なお、グリップ手段５０は各ビンに対して上記実施例の場合よりも上方に位置するように予め制御される。
【００６６】
次に、グリップ手段５０を下降させる（Ｓ６）。グリップ手段５０が下降すると、シート受け部４３６の先端が既に整合されている５０枚のシート束Ａの上面に押さえる状態に接触し、固定アーム４０２ａが上方に若干回動してこれに伴うブラケット４３８の変位で紙面検知センサー４４０がオンする。制御手段１０２は紙面検知センサー４４０のオン・オフをチェックし（Ｓ７）、オン（検知状態）になったらグリップ手段５０の下降を停止させる（Ｓ８）。この状態で残りのシート５０枚が排出され、シート受け部４３６に積載される（図１５（ａ））。
制御手段１０２は残りのシート５０枚が排出されたかどうかをチェックし（Ｓ９）、５０枚目の排出信号を受けると、シート移動手段としての横方向整合手段３４を駆動し、端部突き当て面４１４ａを整合基準面として整合がなされる（Ｓ１０）、（図１５（ｂ））。この場合、端部突き当て面４１４ａによる整合が基準フェンス１３４によって阻害されないように、基準フェンス１３４を退避させるか、あるいはグリップ位置を基準フェンス１３４よりビン内方に設定する。
【００６７】
次いで制御手段１０２は、ソレノイド４０８をオンしてシート束Ｂの取り出し側端部をグリップさせる（Ｓ１１）。グリップがなされたら、モータ４２２を逆回転させてベース上部４００ａを退避させ（Ｓ１２）、引き出し位置検知センサー４３２のオン・オフをチェックする（Ｓ１３）。この引き出し動作においてシート受け部４３６とシート束Ａとの間で摩擦が生じるが、シート受け部４３６は下方に傾斜する形状であるので一部しか接触せず、摩擦が少ないためにシート束Ａは引きずり出されない。なお、グリップした後に紙面検知センサー４４０がオフするまでグリップ手段５０を上昇させてからベース上部４００ａを退避させるようにしてもよい。
引き出し位置検知センサー４３２がオン（検知状態）の場合にはベース上部４００ａを停止させ（Ｓ１４）、ソレノイド４０８をオフしてグリップを解除する（Ｓ１５）。グリップを解除したらベース上部４００ａを退避させる（Ｓ１６）。この場合も、シート受け部４３６は下方に傾斜する形状であるのでシート束Ｂは引きずり出されない。続いて、ホームポジション検知センサー４３４のオン・オフをチェックする（Ｓ１７）。オンしたらベース上部４００ａを停止させる（Ｓ１８）、（図１５（ｃ））。
【００６８】
Ｓ２において、ホームポジション検知センサー４３４がオフ（非検知状態）の場合には、制御手段１０２はモータ４２２を駆動してベース上部４００ａを退避させ（Ｓ１９）、ホームポジション検知センサー４３４のオン・オフをチェックする（Ｓ２０）。ホームポジション検知センサー４３４がオンしたらベース上部４００ａを停止させる（Ｓ２１）。
【００６９】
図１５（ｃ）に示すように、１ビン内で、５０枚のシート束Ｂが距離ｋ’引き出されて５０枚のシート束Ａと仕分けされる。この動作をビン毎に行なうことにより、取り出し作業を伴わない１回の仕分け作業で、５０枚単位で４０部仕分ける仕分け作業を行なうことができ、ビンの収容能力を最大限に活かすことができる。
【００７０】
端部突き当て面４１４ａで整合されたシート束Ｂは端部突き当て面４１４ａで支持されたまま引き出されるので、引き出し動作において取り出し側端部が崩れることが防止される。
図１５で示した例は全てのビン内で仕分けをする例であるが、上記制御方式によれば、特定のビン内だけでシート束の仕分けを行なうこともできる。また、複数枚のシートが収容される予定の特定のビンにおいて特定の１枚のシートを引き出して区別することもできる。
グリップ手段５０は後から排出されるシート又はシート束を自力でグリップできないので、整合手段を有しない構成ではシート受け部４３６に載ったシート又はシート束をグリップ可能な位置に移動させるシート移動手段が設けられる。
グリップ手段５０が端部突き当て面４１４ａを有しない構成においても、ビン内の仕分け、区別は可能である。
また、紙面検知センサー４４０を設けずに、既に積載されているシート又はシート束の上面に対するグリップ手段５０の位置決めを、グリップ手段５０の昇降駆動源であるステッピングモータ７０のステップ数のカウントで行なうことも可能である（以下の他の実施例において同じ）。
【００７１】
図１６に示すように、後から排出されて落下するシートと干渉しない程度に可動アーム４０２ｂが上方に大きく回動する構成のグリップ手段５２を用いれば、自力でシート又はシート束をグリップできるので、シート移動手段は不要となる。
【００７２】
次に、全てのサイズのシートＳにおいて、シートＳのシート進入方向に略平行な側部（取り出し側端部）の略中央部をグリップする制御（上記各実施例に共通）について説明する。
図１７はシートＳが小サイズの場合を示している。図１７において、符号Ｐ１は上記ホームポジション、Ｐ２は上記グリップ位置、Ｐ３は上記引き出し位置である。グリップ手段２６の水平移動路には、グリップ手段２６を基準位置ＨＰに位置付けるための反射型のセンサー１０８が設けられている。基準位置ＨＰはシートサイズに応じた「略中央部をグリップする位置」を決定するための位置である。
基準位置ＨＰは、グリップ手段２６が小サイズのシートＳの取り出し側端部の略中央部に位置する位置に設定されている。従って、ここでの小サイズのシートＳの場合には、グリップ手段２６の基準位置ＨＰがそのまま略中央部をグリップする位置となる。
【００７３】
上記小サイズのシート束の整合動作が完了すると、制御手段１０２によりベース上部４００ａがホームポジションＰ１からグリップ位置Ｐ２に移動させられる。このとき、端部突き当て面４１４ａがシート束の取り出し側端部に突き当てられる。次いで、制御手段１０２によってベース上部４００ａのソレノイド４０８がオンされ、シート束の取り出し側端部の略中央部がチャック４０２，４０２によってグリップされる。区別動作をさせる場合、その後、ベース上部４００ａが引き出し位置Ｐ３に退避させられる。
この場合、取り出し側端部の略中央部をグリップしているので、引き出し動作中に回動モーメントが生じることはなく、シート乱れも生じない。偏った位置をグリップすることによるシート束の回動モーメントを考慮した強力なグリップ力を必要としないので、グリップ手段２６の構成を小さくできる利点もある。
【００７４】
一方、シート束をグリップ手段２６でグリップしてステイプラー２８へ移動させる場合には、エンドフェンス３６が縦移動用穴１８ｆ、退避用穴１８ｇを移動して退避する。エンドフェンス３６が退避すると、制御手段１０２によってステッピングモータ８２が制御され、グリップ手段２６が所定距離ｍ移動させられる。この所定距離ｍは、シート束の先端がステイプラー２８の綴じ位置に達する距離で、予めＲＯＭに記憶されている。制御手段１０２は、孔版印刷機４の制御手段１０６からシートサイズの情報を受けると、これに対応した所定距離ｍをＲＯＭから抽出し、ステッピングモータ８２を駆動する。
【００７５】
シート束の略中央部をグリップして移動させるので、シート束の中心線とのずれが少なく、回動モーメントによるシートの乱れはほとんど生じない。また、本実施例ではシート進入方向に長さを有する端部突き当て面４１４ａによってシート束の側部が支持され、そのままの状態で移動されるので、基準フェンス１３４等により整合された状態がそのまま維持され、グリップ移動における乱れをより一層抑制することができる。
【００７６】
図１８は大サイズのシートＳの場合を示している。上述のように、グリップ手段２６の基準位置ＨＰは小サイズのシートＳに合わせて設定されているので、制御手段１０２は、孔版印刷機４の制御手段１０６からシートサイズの情報を受けると、予めＲＯＭに記憶されている各サイズに対応した「基準位置ＨＰからシート束の取り出し側端部の略中央部をグリップできる位置までの距離Ｒ」を抽出し、ステッピングモータ８２を駆動する。これにより、グリップ手段２６は大サイズのシート束の取り出し側端部の略中央部をグリップできる位置に位置する。
【００７７】
大サイズのシート束の整合動作が完了すると、上記と同様に、制御手段１０２によりベース上部４００ａがホームポジションＰ１からグリップ位置Ｐ２に移動させられる。このとき、端部突き当て面４１４ａがシート束の取り出し側端部に突き当てられる。次いで、制御手段１０２によってベース上部４００ａのソレノイド４０８がオンされ、シート束の取り出し側端部の略中央部がチャック４０２，４０２によってグリップされる。その後、ベース上部４００ａが引き出し位置Ｐ３に退避させられる。小サイズのシート束の場合と同様に、引き出し動作中に回動モーメントが生じることはない。
【００７８】
シート束をグリップ手段２６でグリップしてステイプラー２８へ移動させる場合には、エンドフェンス３６が縦移動用穴１８ｆ、退避用穴１８ｇを移動して退避する。エンドフェンス３６が退避すると、制御手段１０２によってステッピングモータ８２が制御され、グリップ手段２６が所定距離ｍ１移動させられる。この所定距離ｍ１は、シート束の先端がステイプラー２８の綴じ位置に達する距離で、予めＲＯＭに記憶されている。制御手段１０２は、孔版印刷機４の制御手段１０６からシートサイズの情報を受けると、これに対応した所定距離ｍ１をＲＯＭから抽出し、ステッピングモータ８２を駆動する。
【００７９】
グリップ手段２６の基準位置ＨＰは任意に設定することができるが、使用頻度が最も多いサイズのシートＳの取り出し側端部の略中央部をグリップできる位置に設定すれば制御が簡単となる利点がある。
グリップ手段２６が単一のチャック４０２を有する構成である場合には、図１９に示すように、チャック４０２の両側に支持板４１４を固定して端部突き当て面４１４ａをシート進入方向に長さを有するように形成すればよい。
なお、端部突き当て面４１４ａを有しないグリップ手段２６でも、シート又はシート束の取り出し側端部の略中央部をグリップする制御により、グリップ移動（シート幅方向、シート進入方向）時の乱れは十分に抑制することができる。
【００８０】
なお、上記各実施例では、ステイプラー２８にシート又はシート束を移動させる従来のグリップ手段を利用して本発明に係る「端部引き出しによる仕分け動作」を説明したが、綴じ処理機能を有しない構成では、グリップ手段の機能は本発明に係る機能のみとなる。
また、上記各実施例における機能は、ステイプラー２８がシート進入口側にある従来の構成であっても、またビン移動方式の構成であっても同様に得ることができる。
【００８１】
次に、孔版印刷機４から受け取ったシートＳを搬送する構成等について説明する。
搬送路切り換え機能を有する搬送手段１０は、図１及び図２０に示すように、下部フレーム６内の一対の側板２５０，２５０に支持された箱状のベース２５２と、ベース２５２内に軸支された駆動プーリ２５４、従動プーリ２５５と、これらのプーリ間にその一部がベース２５２上面に露出するように掛け渡された複数の搬送ベルト２５６と、ベース２５２の下面に取り付けられた吸引ファン２５７等を有している。搬送手段１０は、駆動プーリ２５４の回転軸を支点として上下方向に回動可能に支持されている。
搬送ベルト２５６には多数の貫通孔ｈが形成されており、孔版印刷機４から受け取ったシートＳは、吸引ファン２５７の吸引作用により搬送ベルト２５６上に密着した状態で搬送される。
【００８２】
ベース２５２のシート出口側下部には、搬送手段１０の位置を水平搬送手段１２に対向させる仕分け位置ＳＰ１（図１で実線で示す位置）と、排紙トレイ手段１６に対向させる非仕分け位置ＳＰ２（同二点鎖線で示す位置）とに選択的に切り換える切り換え駆動手段２５８が設けられている。
切り換え駆動手段２５８は、ベース２５２の下部に設けられたブラケット２６０と、ブラケット２６０に回転自在に支持された軸２６１と、この軸２６１の両端に固定されたピニオン２６２，２６２と、側板２５０，２５０に形成された、ピニオン２６２，２６２が噛み合うラック部２６３，２６３と、軸２６１の中央部に固定されたウォームホイール２６４と、このウォームホイール２６４に噛み合うウォームギヤ２６５と、ウォームギヤ２６５を駆動するモータ２６６（図２２参照）を有している。
一対のラック部２６３，２６３は、駆動プーリ２５４の回転軸を支点とした軸２６１の変位軌跡に対応して扇形状に形成されている。
【００８３】
搬送手段１０の仕分け位置ＳＰ１及び非仕分け位置ＳＰ２への揺動は、制御手段１０２によって制御される。制御手段１０２は、孔版印刷機４からモード信号を受けると、これに基づいてモータ２６６を駆動する。図１に示すように、仕分け位置ＳＰ１を検知するポジションセンサ２６７と、非仕分け位置ＳＰ２を検知するポジションセンサ２６８が設けられており、制御手段１０２はこれらのセンサの検知信号に基づいてモータ２６６の駆動、回転方向を制御する。
【００８４】
水平搬送手段１２は、図１、図２１に示すように、箱状のベース２７０と、ベース２７０内に軸支された駆動プーリ２７２、従動プーリ２７３と、これらのプーリ間にその一部がベース２７０上面に露出するように掛け渡された複数の搬送ベルト２７４と、ベース２７０の下面に取り付けられた吸引ファン２７５等を有している。ベース２７０のシート進入口側には、搬送手段１０により搬送されるシートＳの先端が受渡し部位でジャムとならないように搬送手段１０側に向かって下方に傾斜した複数の案内片２７６が設けられている。水平搬送手段１２は、搬送手段１０と同様に吸着搬送機能を有する。
【００８５】
垂直搬送手段２２は、図２２及び図２３に示すように、支柱２９０と、この支柱２９０の上下端部に図示しない軸受を介して回転自在に支持された上下ローラ２９２、２９４と、ガイド板２９５と、上下ローラ２９２、２９４間にその一部がガイド板２９５上面に露出するように掛け渡された複数の搬送ベルト２９６と、吸引ファン２９８と、この吸引ファン２９８を支持するとともに周囲空間を遮断して吸引ファン２９８の吸引作用を生じせしめる外壁部材３００等を有している。
駆動ローラとしての下ローラ２９４の一端部には駆動ギヤ３０２が固定されており、駆動ベルト３０４を介してモータ３０６で回転駆動される。なお、ベース２５２、２７０、ガイド板２９５の搬送ベルト２５６、２７４、２９６で覆われる部分には多数の貫通孔が形成されている。
【００８６】
ガイド板２９５は、搬送ベルト２９６の支持領域からはみ出すシート両端部のカール等を制限するもので、換言すれば、搬送ベルト２９６の設置数の必要最小限化に寄与し、モータ３０６の小型化、低エネルギー化に寄与するものである。
また、中間部を支持されることなく上下方向に延びる搬送ベルト２９６の回転移動時の水平方向の振れを制限し、シートＳの垂直搬送時の安定化にも寄与するものである。
【００８７】
図２２に示すように、ビンユニット２０の高さ方向に延びる複数のレール部材３０８に摺動自在にシート排出手段２４のベースとしての昇降枠３１０が設けられている。昇降枠３１０は、右側部３１０ａと、左側部３１０ｂと、これらを連結する連結部３１０ｃとから構成されており、右側部３１０ａと左側部３１０ｂは連結部３１０ｃに対してコ字形のブラケット３１２で固定されている。右側部３１０ａと左側部３１０ｂにはそれぞれビン開閉カム３０が支持されているとともに、右側部３１０ａには、両方のビン開閉カム３０を回転させる駆動モータ３１４等が支持されている。
【００８８】
シート搬送方向左側の支持フレーム３０９には、図２４に示すように、円柱状のレール部材３０８と、細板状のレール部材３１６が備えられている。昇降枠３１０の右側部３１０ａの図面上の左側はレール部材３０８に摺動自在に支持されており、図面上の右側はガイドローラ３１８を介してレール部材３１６と支持フレーム３０９との間をコロ接触で移動するようになっている。上記コ字形のブラケット３１２は支持フレーム３０９に上下方向に形成された長孔３０９ａを移動可能に設けられている。また、支持フレーム３０９には長孔３０９ａに略平行に、トラニオン３８の支持軸３９（図２５）をガイドするガイド溝３０９ｂが形成されている。昇降枠３１０の左側部３１０ｂも同様の構成となっている。
【００８９】
図２５に示すように、昇降枠３１０にはビン開閉カム３０を回転駆動するカム駆動手段３２０が設けられている。
昇降枠３１０の右側部３１０ａにおけるカム駆動手段３２０の構成は、ビン開閉カム３０の上側にカム軸３２２を介して一体に結合されるカムプーリ３２４と、右側部３１０ａに支持される駆動モータ３１４と、駆動モータ３１４の回転軸に固定された駆動プーリ３２６と、カムプーリ３２４と駆動プーリ３２６間に掛け渡された駆動ベルト３２８と、駆動プーリ３２６と同軸に固定された駆動ギヤ３４０（傘歯車）と、この駆動ギヤに噛み合う従動ギヤ３４２（傘歯車）と、従動ギヤ３４２の回転軸としての連結軸３４４を有している。
昇降枠３１０の左側部３１０ｂにおけるカム駆動手段３２０の構成も駆動モータ３１４を除いて同様である。符号３４５は軸受部を示している。
【００９０】
ビン開閉カム３０の螺旋状のカム溝３０ａは、図２６に示すように、段付きローラ状のトラニオン３８の小径部が摺動自在に係合できるように形成されている。本実施例では、ビン開閉カム３０の１回転で１つのトラニオン３８はビン開閉カム３０の上端縁と下端縁の距離だけ上下に移動するように設定されている。昇降枠３１０の左側部３１０ｂにおいても同様の構成となっている。
昇降枠３１０の右側部３１０ａの駆動モータ３１４が回転すると、ビン開閉カム３０が回転するが、ギヤ列を介して連結軸３４４が回転するため、同時に左側部３１０ｂのビン開閉カム３０も回転する。
【００９１】
図２６では、下から３番目のビンＢ３へシートＳを排出するための動作を示しており、ビンＢ３のトラニオン３８がビン開閉カム３０によって下方へ案内されつつある状態を示している。支持フレーム３０９のガイド溝３０９ｂの下端にはビンＢ１のトラニオン３８が当接し、その上にビンＢ２のトラニオン３８が当接しているので、ビン開閉カム３０の回転が終了すると、ビンＢ２のトラニオン３８の上にビンＢ３のトラニオン３８が当接するため、昇降枠３１０はトラニオン３８の１個の高さ分上昇する。
これによって指定されたビンＢ３のシート進入口が拡開される。
【００９２】
昇降枠３１０には、ビン開閉カム３０と共にシート排出手段２４を構成する偏向爪３２と偏向爪切り換え手段３４６が支持されている。
偏向爪３２は、爪先３２ｂの部分に搬送ベルト２９６が入り込む切欠部３２ｃがシート幅方向に複数形成されており（図２３参照）、全体として櫛歯状に形成されている。各爪先３２ｂは偏向爪３２の偏向位置ｑ１において搬送ベルト２９６間に入り込む（図２８、図２４参照）。
偏向爪切り換え手段３４６は、図２７及び図２８に示すように、上述の連結軸３４４と、この連結軸３４４に固定された爪揺動カム３４８と、爪揺動カム３４８を挟む状態に連結軸３４４に嵌挿されたＨ字形状の爪揺動レバー３５０と、爪揺動レバー３５０の下端と偏向爪３２との間に配されたストローク調整スプリング３５２と、このストローク調整スプリング３５２の下端に結合された爪軸３５４を有している。
【００９３】
偏向爪３２の係止部３２ａと昇降枠３１０の連結部３１０ｃとの間にはスプリング３５６が設けられており、スプリング３５６によって偏向爪３２は常時垂直搬送手段２２の搬送面から離れるように付勢され、連結部３１０ｃのストッパ３５８に当接して退避位置ｑ２に保持される。
爪揺動レバー３５０は一対のレバー片３５０ａ，３５０ｂと、これらを結合する結合片３５０ｃとからなり、レバー片３５０ａ，３５０ｂの上部には長穴３６０が、下部には溝３６２が形成されている。
ビン開閉カム３０の回転がなされると、連結軸３４４が回転し、これと同期して爪揺動カム３４８が回転する。爪揺動カム３４８が回転すると、爪揺動レバー３５０等によって偏向爪３２が押圧され、偏向爪３２は垂直搬送手段２２からシートＳを掬い上げる偏向位置ｑ１に位置する。この場合、垂直搬送手段２２のガイド板２９５に対する偏向爪３２の接触圧の変動はストローク調整スプリング３５２によって吸収されるので、耐久性を得ることができる。符号３６４は、シートセンサを示す。
【００９４】
【発明の効果】
請求項１記載の発明によれば、指定されたビンにおけるシート又はシート束をビン外方へ所定距離ずらすこととしたので、オペレータはビン番号を特定・確認することなくビンユニットの外観を見るだけで容易に特定のシート又はシート束を多数のシート又はシート束群の中から区別することができる。これにより、メールボックス的機能を制限なく得ることができる。
【００９５】
請求項２記載の発明によれば、取り出し側端部を取り出し方向へ所定距離引き出してずらすこととしたので、特定のシート又はシート束の見分けが一層容易となり、シート又はシート束の取り出しも容易となる。
【００９６】
請求項３記載の発明によれば、整合基準面に略平行な端部突き当て面を有する構成としたので、引き出した後でも整合後の状態をそのまま維持でき、整合手段による整合機能を活かすことができる。
【００９７】
請求項４記載の発明によれば、端部突き当て面によって整合を行なう構成としたので、整合基準面を不要にでき、構成の簡易化を図ることができる。
【００９８】
請求項５記載の発明によれば、ビン内でさらなる仕分けを行なう構成としたので、ビンユニットの容積を効率的に使用した仕分け作業を行なうことができる。
【００９９】
請求項６記載の発明によれば、ビン内で仕分けする構成において、取り出し側端部を取り出し方向へ所定距離引き出してずらすこととしたので、特定のシート又はシート束の見分けが一層容易となり、シート又はシート束の取り出しも容易となる。
【０１００】
請求項７記載の発明によれば、ビン内で仕分けする構成において、整合基準面に略平行な端部突き当て面を有する構成としたので、引き出した後でも整合後の状態をそのまま維持でき、整合手段による整合機能を活かすことができる。
【０１０１】
請求項８記載の発明によれば、シート受け部とシート移動手段によってビン内でさらなる仕分けを行なう構成としたので、ビンユニットの容積を効率的に使用した仕分け作業を行なうことができる。
【０１０２】
請求項９記載の発明によれば、シート受け部とシート移動手段によってビン内で仕分けする構成において、取り出し側端部を取り出し方向へ所定距離引き出してずらすこととしたので、特定のシート又はシート束の見分けが一層容易となり、シート又はシート束の取り出しも容易となる。
【０１０３】
請求項１０記載の発明によれば、整合手段がシート移動手段を兼ねる構成としたので、シート移動手段を別途設けることなくビン内での仕分けを行なうことができる。
【０１０４】
請求項１１記載の発明によれば、紙面検知手段を有する構成としたので、既に積載されているシート又はシート束に対するグリップ手段の位置決めを容易に行なうことができる。
【０１０５】
請求項１２記載の発明によれば、シートのサイズに拘らずグリップ手段をシート又はシート束の端部の略中央部をグリップする位置に位置付ける構成としたので、回動モーメントによるシートの乱れを防止できるとともに、グリップ手段を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例に係るシート仕分け装置の概要正面図である。
【図２】グリップ手段とステイプラーの昇降機構を示す斜視図である。
【図３】制御ブロック図である。
【図４】縦方向と横方向の整合基準面を示す概要斜視図である。
【図５】エンドフェンスと横方向整合手段の駆動機構を示す概要斜視図である。
【図６】エンドフェンスの退避駆動機構を示す概要斜視図である。
【図７】横方向整合手段とエンドフェンスによる整合動作を示す概要平面図である。
【図８】グリップ手段の分解斜視図である。
【図９】グリップ手段がグリップ位置に位置した状態の概要平面図である。
【図１０】指定されたビンのシート又はシート束を引き出す動作のフローチャートである。
【図１１】指定されたビンのシート束を引き出す動作を示す概要側面図で、（ａ）はグリップ手段がホームポジションに位置している状態を示す図、（ｂ）はグリップ位置でグリップしている状態を示す図、（ｃ）はシート束を引き出した状態を示す図、（ｄ）はホームポジションに復帰した状態を示す図である。
【図１２】グリップ手段の端部突き当て面で整合を行なう場合のグリップ手段の位置を示す概要平面図である。
【図１３】他の実施例におけるグリップ手段の分解斜視図である。
【図１４】図１３で示したグリップ手段によるビン内での仕分けを行なう動作のフローチャートである。
【図１５】図１３で示したグリップ手段によるビン内でのシート束の仕分け、引き出し動作を示す概要側面図で、（ａ）はグリップ位置で後から排出されるシートを受け取る状態を示す図、（ｂ）は後から排出されシートを整合した状態を示す図、（ｃ）は後から排出されシートの束を引き出してホームポジションに復帰した状態を示す図である。
【図１６】ビン内でのシート又はシート束の仕分けを行なうタイプのグリップ手段の変形例を示す概要側面図である。
【図１７】小サイズのシートにおけるグリップ移動動作を示す概要平面図である。
【図１８】大サイズのシートにおけるグリップ移動動作を示す概要平面図である。
【図１９】グリップ手段の変形例を示す概要平面図である。
【図２０】搬送手段の斜視図である。
【図２１】水平搬送手段の斜視図である。
【図２２】垂直搬送手段周辺の概要断面図である。
【図２３】垂直搬送手段の概要側面図である。
【図２４】シート排出手段と垂直搬送手段との関係を示す概要正面図である。
【図２５】カム駆動手段の概要側面図で、ビン開閉カムを正規の位置からずらした状態の図ある。
【図２６】カム駆動手段の概要要部側面図である。
【図２７】偏向爪切り換え手段の斜視図である。
【図２８】偏向爪切り換え手段の断面図である。
【図２９】従来のシート仕分け装置の概要正面図である。
【符号の説明】
４ 画像形成装置としての孔版印刷機
２０ ビンユニット
２６，５０，５２ グリップ手段
３４ 整合手段としての横方向整合手段
３４ シート移動手段としての横方向整合手段
１０２ 制御手段
１３０ａ 整合基準面としての移動基準フェンス
１３４ 整合基準面としての基準フェンス
４１４ａ 端部突き当て面
４３６ シート受け部
４４０ 紙面検知手段としての紙面検知センサー
Ｂ ビン
Ｓ 画像形成済みのシート

Claims (12)

1. 画像形成装置から受け取った画像形成済みのシートを収容するビンが複数重ね合わせ状態に設けられたビンユニットと、上記ビンに収容されたシート又はシート束の端部に対して接離自在に設けられ該端部をグリップ可能なグリップ手段を有し、該グリップ手段の昇降動作によって上記グリップ手段と上記各ビンが個別に対応可能なシート仕分け装置において、
   上記グリップ手段と同期して昇降可能で、上記グリップ手段により移動させられたシート束に綴じ処理を行うステイプラーと、上記グリップ手段を制御する制御手段とを有し、上記制御手段は、上記グリップ手段の上記ステイプラーへの移動を制御するとともに、指定されたビンにおける上記シート又はシート束をビン外方へ所定距離ずらすように上記グリップ手段を制御することを特徴とするシート仕分け装置。
2. 請求項１記載のシート仕分け装置において、
   上記グリップ手段が上記シート又はシート束の取り出し側端部をグリップ可能に設けられ、上記制御手段は、上記取り出し側端部を取り出し方向へ所定距離引き出してずらすように上記グリップ手段を制御することを特徴とするシート仕分け装置。
3. 請求項１又は２記載のシート仕分け装置において、
   上記ビンユニット内のシート又はシート束を整合するための整合基準面と、この整合基準面に上記シート又はシート束を押圧する整合手段を有し、上記グリップ手段が、上記整合基準面に略平行な端部突き当て面を有していることを特徴とするシート仕分け装置。
4. 請求項３記載のシート仕分け装置において、
   上記端部突き当て面が上記整合基準面を兼ね、該端部突き当て面による整合が各ビン毎に行われ、該端部突き当て面による整合位置は他のビンにおける上記シート又はシート束と上記整合手段が干渉しないビン内方であることを特徴とするシート仕分け装置。
5. 画像形成装置から受け取った画像形成済みのシートを収容するビンが複数重ね合わせ状態に設けられたビンユニットと、上記ビンに収容されたシート又はシート束の端部に対して接離自在に設けられ該端部をグリップ可能なグリップ手段を有し、該グリップ手段の昇降動作によって上記グリップ手段と上記各ビンが個別に対応可能なシート仕分け装置において、
   上記グリップ手段が、上記ビンに既に収容されているシート又はシート束とは区別してその後に該ビンに収容されるシート又はシート束をグリップ可能であり、上記ビンに収容された指定されたシート又はシート束をビン外方へ所定距離ずらすように上記グリップ手段を制御する制御手段を有することを特徴とするシート仕分け装置。
6. 請求項５記載のシート仕分け装置において、
   上記グリップ手段が上記シート又はシート束の取り出し側端部をグリップ可能に設けられ、上記制御手段は、上記取り出し側端部を取り出し方向へ所定距離引き出してずらすように上記グリップ手段を制御することを特徴とするシート仕分け装置。
7. 請求項５又は６記載のシート仕分け装置において、
   上記ビンユニット内のシート又はシート束を整合するための整合基準面と、この整合基準面に上記シート又はシート束を押圧する整合手段を有し、上記グリップ手段が、上記整合基準面に略平行な端部突き当て面を有していることを特徴とするシート仕分け装置。
8. 画像形成装置から受け取った画像形成済みのシートを収容するビンが複数重ね合わせ状態に設けられたビンユニットと、上記ビンに収容されたシート又はシート束の端部に対して接離自在に設けられ該端部をグリップ可能なグリップ手段を有し、該グリップ手段の昇降動作によって上記グリップ手段と上記各ビンが個別に対応可能なシート仕分け装置において、
   上記グリップ手段が、上記ビンに既に収容されているシート又はシート束とは区別してその後に該ビンに収容されるシート又はシート束を受けるシート受け部を有し、該シート受け部に載った上記シート又はシート束をグリップ可能な位置に移動させるシート移動手段と、移動された上記シート又はシート束をビン外方へ所定距離ずらすように上記グリップ手段を制御する制御手段が設けられていることを特徴とするシート仕分け装置。
9. 請求項８記載のシート仕分け装置において、
   上記グリップ手段が上記シート又はシート束の取り出し側端部をグリップ可能に設けられ、上記制御手段は、上記取り出し側端部を取り出し方向へ所定距離引き出してずらすように上記グリップ手段を制御することを特徴とするシート仕分け装置。
10. 請求項８又は９記載のシート仕分け装置において、
    上記ビンユニット内の上記シート又はシート束を整合するための整合基準面と、この整合基準面に上記シート又はシート束を押圧する整合手段を有し、上記グリップ手段が、上記整合基準面に略平行な端部突き当て面を有し、上記整合手段は上記シート移動手段を兼ねることを特徴とするシート仕分け装置。
11. 請求項５，６，７，８，９又は１０記載のシート仕分け装置において、
    上記グリップ手段が、上記ビンに既に収容されているシート又はシート束に対する位置を検知するための紙面検知手段を有していることを特徴とするシート仕分け装置。
12. 請求項１，２，３，４，５，６，７，８，９，１０又は１１記載のシート仕分け装置において、
    上記グリップ手段が上記シート又はシート束の端部に沿って移動可能に設けられ、上記制御手段は、シートのサイズ情報に基づいて上記グリップ手段を上記シート又はシート束の端部の略中央部をグリップする位置に位置付けることを特徴とするシート仕分け装置。

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