JP4166456B2 - 真空紫外光用合成石英ガラス、その製造方法及びこれを用いた真空紫外光用マスク基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は波長200nm以下の真空紫外線照射に対して優れた安定性を有する、真空紫外光用合成石英ガラス、その製造方法及びこれを加工してなる真空紫外光用マスク基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSIの高集積化と共に、集積回路パターンも微細化の一途をたどり、0.25μm以下の超微細パターンが描画された超LSIの量産化が行われ始めている。このような超微細パターンを得るには、それを描画する露光光源を短波長化する必要があり、エキシマレーザー光を光源とするステッパーが開発され、既にKrFエキシマレーザー光(波長248nm)を光源とするステッパーが量産化され、より波長の短いArFエキシマレーザー光(波長193nm)や、F2エキシマレーザー光(波長157nm)など真空紫外光を光源とするステッパーが注目を集めている。
【0003】
この真空紫外域においても十分な透過率を示す光学材料としては、合成石英ガラスや螢石などが挙げられるが、中でも高純度のケイ素化合物を原料として製造した合成石英ガラスは、200nm以下の真空紫外領域でも高い透過率を示すことから、真空紫外光を光源とするリソグラフィー工程の光学材料として広く用いられている。
【0004】
しかしながら、従来の合成石英ガラスは真空紫外域の短波長光を照射すると、構造欠陥が誘起され、透過率低下や蛍光発光中心を生成するなどの問題を有し、特にF2エキシマレーザーを光源とする超LSIのリソグラフィーに用いられる光学材料としては問題があった。
【0005】
エキシマレーザー照射による透過率低下などのレーザー耐性を改善する手段の一つとして、例えば特開平7−43891号公報あるいは特開平9−124337号公報においては、合成石英ガラス内のH2(水素分子)含有量を高め、レーザー照射によって生じた欠陥をH(水素原子)により修復し、レーザー耐性を向上される方法が提案されている。しかし、Hで修復された≡Si−H結合にレーザーが照射されることで、いわゆるE’センター(≡Si・)などの新たな欠陥が生成する問題がある。また、H2を含浸させるための工程が必要となるなど製造コストが高くなるという問題点がある。
【0006】
合成石英ガラスの原料として、一般に四塩化ケイ素(SiCl4)が用いられるが、この場合、Clが合成石英ガラス中に≡Si−Clの形態で残留し、レーザー耐性に悪影響を及ぼすことが知られている。この問題を解決するため、例えば特開平8−31723号公報ではアルコキシシランの様なClを含有しない原料を用いる方法が提案されている。この方法では、SiCl4を用いた場合に比べ原料コストが高くなる問題点と共に、原料中のCが合成石英ガラス中に残留することでレーザー耐性に悪影響を及ぼす問題がある。また、金属不純物は紫外域での光透過性を著しく低下させることが知られているが、Clには合成雰囲気中に存在する金属不純物を塩化物として系外に除去する働きがある。そのためClを含まない原料を用いた場合、金属不純物が増加し紫外域での透過率低下を招く。
【0007】
近年、エキシマレーザーに対する耐性が優れた合成石英ガラスを得る方法として、特開平8−67530号公報、特開平8−75901号公報などに開示されている様に、Fを含有した合成石英ガラスが提案されている。本方法では製造時に生じた欠陥および、レーザー照射などによって生じた欠陥は≡Si−Hなどに比べて結合エネルギーの大きい≡Si−Fの形態で修復されるため、欠陥修復後さらにレーザーを照射しても新たな欠陥は生成せず、レーザー耐性に優れているとされている。
【0008】
このFを含有した合成石英ガラスを得る方法としては、SiCl4などを原料とする一般的方法で製造した合成石英ガラスに後からFを含浸させる方法(特開平13−19450号公報)および、SiF4などのF含有化合物を原料として合成石英ガラスを製造する方法(特開平12−26467号公報)などがある。しかし、工業化を図る場合、いずれの方法もF化合物を取り扱うため、作業が煩雑となり危険性が高いと共に、原料コストが高く、また副生する弗酸に対して人体および環境への影響面から様々な対策が必要となるなど、製造コストが高くなる問題もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、これまでは主として、H2およびF含浸処理などの後処理や、原料にClを含有しないアルコキシシランやF化合物を使用するなど、合成石英ガラスの基本構造や製造方法を大幅に変更することで真空紫外光照射に対する耐性向上を目指し開発が行われていた。その結果、耐性改善には一応の効果が見られたものの、特殊で高価な原料を用いたり、製造設備の大規模な改造が必要になると共に製造工程が複雑となるなど、作業性および製造コストの面などで新たな課題が生じていた。このため、超LSIの量産化に対して、真空紫外光用光学素材の開発は必要不可欠であり、レーザー耐性が高く高品質でかつ経済的な光学材料とその製造方法が強く望まれていた。
【0010】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、SiCl4などのガラス形成原料を用いたスート法(VAD法)で合成された石英ガラスに対して、過大で不必要な修飾を行うことなく、既存の汎用設備を使用して安価でかつレーザー耐性に優れた真空紫外光用合成石英ガラス及びその製造方法を提供し、さらにこの真空紫外光用合成石英ガラスを用いた真空紫外光用マスク基板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため合成石英ガラスの諸物性と、真空紫外光照射に対する耐性との相関について鋭意検討を行った結果、合成石英ガラスに含有されるOH基、H2分子、酸素欠乏型欠陥および酸素過剰型欠陥の含有量と、石英ガラスの構造決定温度である仮想温度が耐性に対して特に重要であり、それぞれの値を特定の範囲に制限することで、耐性に優れた真空紫外光用合成石英ガラスを得ることが出来ることを見出した。さらに、この合成石英ガラスを真空紫外光用マスク基板として用いた場合、特に優れた性能を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、波長157nmの真空紫外光に対する内部透過率が1cmあたり50%以上でありかつ、波長157nmの真空紫外光を0.1mJ/cm2のエネルギー密度で1×108ショット照射しても内部透過率の低下の割合が5%以下であることを特徴とする真空紫外光用合成石英ガラスであり、その中でも、OH基含有量が1〜50ppm、H2含有量が1×1017個/cm3以下、酸素欠乏型欠陥および酸素過剰型欠陥の含有量が共に1×1016個/cm3以下であることを特徴とする真空紫外光用合成石英ガラスであり、さらに、その仮想温度が900〜1300℃の範囲であることを特徴とする真空紫外光用合成石英ガラスである。
【0013】
また、ガラス形成原料を酸水素火炎中で火炎加水分解して得られたシリカ微粒子をターゲット上に堆積させスート体を合成し、その後の熱処理で透明ガラス化するいわゆるスート法において、酸水素火炎のH2とO2とのモル比(H2/O2比)を2.0〜3.0とし、スート体の熱処理をCO雰囲気で行い、透明ガラス化を酸素含有雰囲気で行うことを特徴とする、前記物性の真空紫外光用合成石英ガラスの製造方法、及び、前記物性の真空紫外光用合成石英ガラスを、真空紫外光用マスク基板として使用する用途も本願発明の範囲に含まれるものである。
【0014】
以下本発明を詳細に説明する。
【0015】
酸水素火炎中で合成されたシリカ微粒子は、通常、数100から1000ppm程度のOH基を含有する。一般にスート体はその後、H2等の還元ガス雰囲気で熱処理することで、OH基濃度の低減化が行われるが、H2などで脱水処理した場合、酸素欠乏型欠陥が生成し、真空紫外域での透過率が低下することが分かった。本発明者は、さまざまな条件で脱水方法を検討した結果、COガスで処理した石英ガラスは、その処理条件を適切に選ぶことで、酸素欠乏型欠陥を誘起することなく、OH基濃度の低減が可能であることを見出した。
【0016】
このCOによる脱水作用については明確でないが、H2等の還元性の強いガスで処理すると、ガラスの網目構造を形成する≡Si―O―Si≡のOと反応して、≡Si―Si≡の酸素欠乏型欠陥ができるためと考えられる。H2に比べて、COは還元力が弱く、条件を適切に選べば、ガラス網目構造のOと反応することがなく、酸素欠乏型欠陥が生成しないものと考えられる。
【0017】
OH基は真空紫外域で吸収を示すため、OH基含有量が少ない程真空紫外域での透過率は上昇する。ただし、OH基には、ガラスの構造を安定化させる作用があるため、OH基濃度が1ppm未満になると構造が不安定になり、COガスで脱水しても酸素欠乏型欠陥が生成する。このため、OH基濃度は1ppm以上であることが好ましい。この時、同時にH2含有量が1×1017個/cm3以下であることが好ましい。OH基含有量が1〜50ppmであってもH2含有量が1×1017個/cm3より多いと目的の真空紫外光照射耐性が得られないことがある。
【0018】
真空紫外光照射耐性に悪影響を及ぼす酸素過剰型欠陥は、H2過剰の条件で合成を行うことで生成が抑制される。この時、H2の一部は石英ガラス中に取り込まれ、真空紫外光照射により生じた欠陥と反応して、≡Si−H結合を生成する。≡Si−H結合は、通常の≡Si−O−Si≡結合と比べて結合エネルギーが小さく、そのため真空紫外光照射により比較的容易に解裂し欠陥の原因になると考えられる。また、H2の還元作用により、H2過剰になると、酸素欠乏型欠陥≡Si−Si≡が生成し、真空紫外光照射耐性が低下する。すなわち、H2分子はOH基の作用とは逆に、真空紫外光照射耐性に悪影響を及ぼすため、その含有量を一定量以下に制限することが重要である。H2の含有量は1×1017個/cm3以下で真空紫外光照射耐性の高い合成石英ガラスが得られる。通常、合成雰囲気中のH2濃度が高くなると石英ガラス中のH2含有量もそれに伴って増加するため、合成時のH2濃度管理は真空紫外光用合成石英ガラスにとって重要である。
【0019】
このようにして、酸素欠乏型欠陥および酸素過剰型欠陥の濃度を抑制した石英ガラスであっても、仮想温度が適切な範囲でないと、歪んだ≡Si−O−Si≡結合が生成し、真空紫外光照射耐性を悪化させることがある。その理由は、この歪んだ結合は、通常の結合に比べて不安定であり、真空紫外光照射により容易に解裂するためである。この歪んだ結合を抑制するためには、ガラスの構造決定温度を900〜1300℃に、さらに、1000〜1200℃に設定することが好ましい。
【0020】
金属不純物(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、その他の金属)は紫外域に吸収を示すためその含有量は出来るだけ少ない方が望ましい。金属不純物含有量が多くなると、真空紫外光照射前の光透過性(初期透過率)が低下することがあるだけでなく、真空紫外光照射により金属不純物に起因する欠陥が生成し、所望の耐性が得られないことがある。初期透過率および真空紫外光照射による透過率低下から耐性に影響する金属不純物とその含有量について検討した。その結果、Li,Na,Kなどのアルカリ金属、Mg,Caなどのアルカリ土類金属、Ti,Cr,Fe,Ni,Cu,Zr,Moなどの遷移金属、その他Alなどの金属が真空紫外光照射の耐性を低下させることが分った。そしてその含有量と耐性との関係から、金属不純物の総量が50ppb以下のときに高い耐性が得られ、さらに20ppb以下、特に10ppb以下で、より高い耐性が得られるのである。
【0021】
合成石英ガラスでは一般的に、取り扱いやすさ、価格の点などから原料にSiCl4が用いられる。このため、合成された石英ガラスには、Clが残存する可能性があり、このClはガラス内部で直接Siと結合して≡Si−Clの形態で存在していると考えられる。この≡Si−Cl結合は、真空紫外光照射により容易に解裂し欠陥の原因となるため、Cl含有量は出来るだけ低い方が好ましい。Cl含有量は10ppm以下であれば真空紫外光用合成石英ガラスとして十分満足出来る耐性が得られ、より好ましくは1ppm以下で、より高い耐性が得られるのである。
【0022】
次に本発明の合成石英ガラスの製造方法について説明する。本発明の真空紫外光用合成石英ガラスの製造方法は、運転操作性、生産性、品質安定性、コストなどからスート法が好ましい。以下、スート法について具体的に説明する。
【0023】
スート法では、例えば、多重管構造の石英ガラス製バーナーの中心からSiCl4などの原料を供給し、その外側の管からH2およびO2を供給して原料を火炎加水分解してシリカ微粒子を合成する。この時のH2とO2との比を理論量2.0よりH2過剰とすることで、酸素過剰型欠陥の生成を抑制できる。ただし、比が3.0を越えると、H2過剰となり、H2分子および酸素欠乏型欠陥の濃度を適切な範囲に保てなくなるので、H2とO2との比は、2.0〜3.0の範囲であることが必要である。このシリカ微粒子は多量のOH基を含有するため、第一の熱処理として、COガス雰囲気で、1100〜1450℃の温度範囲で5時間以上熱処理を行い、OH基濃度を適切な範囲まで低減させる。この時の温度が1450℃より高いと、ガラス化が起こり、OH基濃度の低減が不充分となる。逆に温度が1100℃以下である脱OH基速度が遅く、処理時間が長くなり、実用的でない。続いて、1450〜1550℃の酸素含有雰囲気で第二の熱処理を行い、透明ガラス化する。第二の熱処理を、酸素含有雰囲気で行うのは、この熱処理で酸素欠乏型欠陥が生成するのを抑制するためである。
【0024】
原料は、取り扱いおよび入手が容易で、かつ安価であるなどの点からSiCl4が望ましい。原料にSiCl4などのCl含有ケイ素化合物を使用することで、特別な処理を行うことなく金属不純物含有量を50ppb以下にすることが出来る。しかし、本発明は特にこれに限定されるものではなく、原料中にClを含有していれば、SiCl4以外の原料を用いても良い。原料にSiCl4の様なCl含有物を用いた場合、スート中にClが残留するが、この残留したClは、第一の熱処理の際、OH基と共に除去されるため特別な処理を行うことなく、Cl濃度を10ppm以下にすることができる。
【0025】
以上記述した条件で合成石英ガラスを製造すれば、原料に高価で副生物の処理設備が必要なF化合物を使用したり、H2濃度を高めるための特別な処理設備を設置する必要がないため、汎用的な製造方法、製造設備により、安価で優れた真空紫外光照射耐性を有する、真空紫外光用合成石英ガラスを得ることが可能である。
【0026】
このようにして合成した石英ガラスを、所定の形状に加工、研磨して真空紫外光用マスク基板として使用した場合、優れた真空紫外光照射耐性を示し、真空紫外光用マスク基板としての使用に特に適している。
【0027】
【実施例】
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何等限定されるものではない。
【0028】
実施例1〜4
原料にSiCl4を使用して、スート法により合成石英ガラスインゴットを製造した。石英ガラス製バーナーの中心管から原料を供給し、バーナーの外管からH2およびO2をH2/O2比が2.2となるように供給してスートを合成した。このスートを1vol%(容積%)COガス雰囲気、1250℃で3時間熱処理(第1の熱処理)して脱OH基処理を行った。その後、O2含有雰囲気で、1500℃、5時間熱処理(第2の熱処理)して合成石英ガラスインゴットを得た。このインゴットから厚さ10mmのテストピースを切り出し、実施例1の評価用試料とした。
【0029】
実施例2、3および4の試料も実施例1の試料と同様にして作製した。実施例1〜4の試料の製造条件を表1に示す。
【0030】
【表1】
各試料の含有成分の定量方法は以下の通りである。
【0031】
OH基含有量は約2.7μmの吸収からIR測定法により定量した。H2含有量は、ラマン分光測定法で定量した。H2に対応するピークは約4150cm-1にあらわれ、このピークの面積強度と石英ガラスの基本構造による約800cm-1のピークの面積強度との比からH2含有量を算出した。
【0032】
酸素欠乏型欠陥については、VUVスペクトルを測定し、163nmの吸収係数から、酸素過剰型欠陥は、VUVおよびUVスペクトルを測定し、185nmおよび326nmの吸収係数から濃度を算出して評価した。
【0033】
仮想温度はIRスペクトルの約2260cm-1にあらわれる吸収の位置から計算により求めた。Cl含有量は検量線法により蛍光X線測定法で定量した。不純物金属含有量はICP質量分析法で求めた。
【0034】
157nmの透過率は、F2エキシマレーザーを1パルス当たりのエネルギー密度0.1mJ/cm2で1×108パルス照射し、照射前後の157nmの外部透過率の変化で評価した。表2に各試料の評価結果の一覧を示す。
【0035】
表2に示すように、本発明の範囲の合成石英ガラスである実施例の試料は、真空紫外光用光学材料として優れた性能を持つ合成石英ガラスである。
【0036】
【表2】
比較例1
CO処理時間を1時間とした以外は実施例2と同様な条件で合成した石英ガラスインゴットからテストピースを切り出し、比較例1の試料とした。比較例1のOH基含有量は、67ppmであった。この試料の、初期透過率は23%と低く、真空紫外光用光学材料として適さないものであった。
【0037】
比較例2
H2/O2比を3.5とする以外は実施例2と同様な条件で合成した石英ガラスインゴットからテストピースを切り出し、比較例2の試料とした。比較例2のH2含有量は、0.6×1018個/cm3であった。この試料には、酸素欠乏型欠陥による吸収が観察され、真空紫外光用光学材料として適さないものであった。
【0038】
比較例3
第2の熱処理をN2ガス雰囲気で行う以外は、実施例2と同様な条件で合成した石英ガラスインゴットからテストピースを切り出し、比較例3の試料とした。この試料には、酸素欠乏型欠陥が観察され、真空紫外光用光学材料として適さないものであった。
【0039】
比較例4
第1の熱処理をH2ガス雰囲気で行う以外は、実施例2と同様な条件で合成した石英ガラスインゴットからテストピースを切り出し、比較例4の試料とした。比較例4の試料のH2含有量は、1.0×1018個/cm3であった。この試料には、酸素欠乏型欠陥による吸収が観察され、真空紫外光用光学材料として適さないものであった。
【0040】
【発明の効果】
本発明により、真空紫外光照射耐性に優れた合成石英ガラス及びこれを用いた真空紫外光用マスク基板の提供が可能となった。本発明の方法では、石英ガラス中のOH基、H2、酸素欠乏型欠陥、酸素過剰型欠陥の各濃度、および仮想温度を制御することで構造を安定化するため、安価で取り扱いの容易なSiCl4などのClを含有した原料の使用が可能である。さらに、Clには金属不純物除去効果があるため金属不純物濃度低減のための特別な処理が不要となり製造コストが削減出来る。このように本発明の方法によれば、安価で高品質な真空紫外光用合成石英ガラスの提供が可能である。
Claims (6)
- 波長157nmの真空紫外光に対する内部透過率が1cmあたり50%以上であり、波長157nmの真空紫外光を0.1mJ/cm2のエネルギー密度で1×108ショット照射しても内部透過率の低下が5%以下であり、酸素欠乏型欠陥および酸素過剰型欠陥の含有量が共に1×10 16 個/cm 3 以下であり、構成元素としてフッ素元素を含有しないことを特徴とする真空紫外光用合成石英ガラス。
- 請求項1記載の合成石英ガラスでかつ、OH基含有量が1〜50ppm、H2含有量が1×1017個/cm3以下であることを特徴とする真空紫外光用合成石英ガラス。
- 請求項1又は請求項2に記載の合成石英ガラスでかつ、ガラスの仮想温度が900〜1300℃である真空紫外光用合成石英ガラス。
- 仮想温度が1000〜1200℃であることを特徴とする請求項3に記載の真空紫外光用合成石英ガラス。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の合成石英ガラスでかつ、金属不純物含有量の総和が50ppb以下、Cl含有量が10ppm以下である真空紫外光用合成石英ガラス。
- 金属不純物含有量の総和が20ppb以下、Cl含有量が1ppm以下である請求項5記載の真空紫外光用合成石英ガラス。
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