JP4165721B2 - 蛍光ランプおよび照明装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は小径で細長い気密容器を備えた蛍光ランプおよびこれを用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、第1の従来技術である指針用蛍光ランプの断面図である。
【0003】
図において、81は気密容器、82は蛍光体層、83は内部電極、84は外面電極、85は遮光兼絶縁被覆、86は光導出窓、87は一方の端子、88は他方の端子、89はリード線である。
【0004】
気密容器81は、たとえば外径2.4mm、長さ50〜70mmの直管状の透光性のガラスバルブであり、内部に分圧比でキセノン40%、ネオン60%からなる希ガスが90Torr封入される。
【0005】
蛍光体層82は、気密容器81の内面に形成されている。
【0006】
内部電極83は、気密容器81の一端を貫通して封着されたリード線89の気密容器81内の先端に接続されたニッケル棒からなる。
【0007】
外面電極84は、気密容器81の長手方向に沿って気密容器81の外面に導電性塗料をスクリーン印刷し、乾燥後、焼成してなる。
【0008】
遮光兼絶縁被覆85は、エポキシ樹脂インクをスクリーン印刷によって塗布、乾燥して形成しており、外面電極84を外側から絶縁するとともに、光導出窓86を形成し、気密容器81のその他の部分を遮光している。
【0009】
一方の端子87は、銀ペーストを塗布し、乾燥後焼成して形成したもので、内部電極83のリード線の気密容器81から外部に導出している部分を被覆するように気密容器81の端部に被着されている。
【0010】
そうして、両端子87、88に点灯装置の出力端を接続してランプ電流3〜5mAで点灯すると、内部電極83と外面電極84との間に放電が生起し、発生した紫外線によって蛍光体層82が励起されて可視光を放射し,絶縁被覆85に形成した光導出窓86から白色光を導出する。このときの管面輝度は2000cd/m2である。
【0011】
図9は、第2の従来技術である読取用蛍光ランプの断面図である。
【0012】
図において、91は気密容器、92は蛍光体層、93a、93bは外面電極、94は透光性の絶縁被覆、95a、95bは端子である。
【0013】
気密容器91は、たとえば外径6mm、長さ200〜300mmの直管状の透光性のガラスバルブであり、内部にキセノンが80〜100Torr封入される。
【0014】
蛍光体層92は、気密容器91の内面に形成されている。
【0015】
外面電極93a、93bは、気密容器91の長手方向に沿って離間対向して気密容器91の外面に配設されている。外面電極93a、93b上には、光導出窓を形成するように一部を除いて遮光被膜が形成されることもある。
【0016】
絶縁被覆94は、たとえば透光性熱収縮チューブからなり、気密容器91の全周面に形成されている。
【0017】
端子95a、95bは、遮光兼絶縁被覆94を貫通して銀ペーストを塗布、乾燥、焼成して形成されている。
【0018】
そうして、端子95a、95b間に点灯装置の出力端を接続してランプ電流10〜20mAで点灯すると、外面電極93a、93b間で放電が発生して光導出窓の管面輝度が5000cd/mm2程度になる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
第1および第2の従来技術は、調光度を大きくすると明るさのちらつきを生じやすいという問題がある。第1の従来技術においては電極の一方が外面電極であるから、両方の電極が内部電極の場合に比べれば放電の広がりが得られるが、それでも全光点灯の2%に調光すると、明るさのちらつきが生じる。
【0020】
これに対して、第2の従来技術においては両方の電極が外面電極であるから、比較的良好な放電の広がりが得られるが、管径が6mmと大きく、またキセノンを80〜100Torr封入しているため、明るさのちらつきは第1の従来技術より大きい。
【0021】
この種の蛍光ランプをたとえば車載計器用の指針として用いる場合に限らないことであるが、広範囲にわたる調光が明るさのちらつきなしで可能であるということは、快適な照明を演出できることを意味するので、したがって好ましいことである。
【0022】
また、特に第1の従来技術においては、絶縁被覆を、エポキシ樹脂をスクリーン印刷によって塗布して形成しているため、塗布量のばらつきを生じ、指針として用いる場合には、その重量バランスをとるのに手間がかかった。そればかりか、遮光兼絶縁被覆の形成においても、工数が多くコスト高になっている。しかも、長時間の点灯により遮光兼絶縁被覆が劣化して剥離しやすいという問題がある。
【0023】
さらに、第2の従来技術においても長時間の点灯により、熱収縮チューブが劣化するという問題がある。
【0024】
本発明は、調光度を大きくしても明るさのちらつきが発生しにくい小径で細長い蛍光ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することを第1の目的とする。
【0025】
本発明は、さらに遮光または絶縁被覆の形成が容易で、しかも被着量を一定にしやすい小径で細長い蛍光ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することを第2の目的とする。
【0026】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の蛍光ランプは、外径が5mm以下の透光性の細長い気密容器と;気密容器の内面に形成された平均粒径1μm以下の金属酸化物層と;金属酸化物層の内面に形成された蛍光体層と;気密容器内に100Torr以下の圧力で封入された分圧比でキセノンを10〜50%含むキセノンおよびクリプトンからなる希ガスと;気密容器の外面に配設された一対の電極と;を具備していることを特徴としている。
【0027】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0028】
気密容器は、ソーダライムガラス、鉛ガラスなどの軟質ガラスが好適であるが、要すればホウ珪酸ガラスなどの硬質ガラスやガラス以外の材料でも透光性および気密性と、蛍光ランプの作動温度における耐火性および加工性とを満足する材料であれば許容される。
【0029】
また、気密容器は、外径が5mm以下で細長いのであれば、その断面形状は自由である。たとえば断面が円形、楕円形または4角形などを採用することができる。外径が5mm以下と限定する理由は、次のとおりである。すなわち、外径が5mmを超えると、明るさのちらつきが発生しやすくなるからである。外径が5mm以下の場合、一般に気密容器の肉厚が0.2〜0.5mm程度であるから、内径は4〜4.6mm以下となる。
【0030】
さらに、気密容器の長さは特段制限されないが、一般的には50〜300mm程度が好ましい。
【0031】
金属酸化物層は、平均粒径1μm以下の金属酸化物からなり、気密容器と後述する蛍光体層との間に形成されている。
【0032】
上記金属酸化物には、アルミナ、酸化チタンなどを用いることができる。気密容器の内面に金属酸化物の層を形成し、次に蛍光体層を形成すればよい。
【0033】
蛍光体層は、気密容器の内面に間接的に形成される。すなわち、気密容器の内面にまずたとえばアルミナおよびまたは酸化チタンなどからなる金属酸化物層を形成し、この金属酸化物層の内面に蛍光体層を形成する。使用する蛍光体としては、3波長発光形の希土類蛍光体、ハロ燐酸カルシウム蛍光体など自由に選択することができる。発光色は白色または特定色であってもよい。
【0034】
また、蛍光体層には蛍光体の他に所望により他の物質を混合していてもよい。
【0035】
気密容器内に封入される希ガスは、100 Torr 以下の圧力で封入されたキセノンおよびクリプトンの混合ガスであるが、キセノンリッチであってもよいし、クリプトンリッチでもよい。ただし、希ガス中のキセノンの分圧比を10〜50%とする。
【0036】
希ガスの封入圧を100Torr以下に限定した理由は次のとおりである。すなわち、100Torrを超えると、封入希ガスの割合および封入圧さらには補助的手段の有無によっても変化するが、少なくとも所望の深い調光度で明るさのちらつきが発生しやすいので、不可である。
【0037】
電極は、アルミニウムなどの金属の薄板を気密容器の外面に接着剤によって貼着してもよいし、導電性金属ペーストを塗布、乾燥、焼成して形成してもよい。さらに要すれば、金属を蒸着またはその他の被着方法で被着して電極を形成してもよい。また、電極の形状は気密容器の長手方向に沿って離間対向するように配設するのが一般的である。
【0038】
電極間には必要な絶縁距離を設けるとともに、気密容器内で発生した光を導出するための窓を形成する。そして、窓以外の部分から光が出ないように遮光性にして、かつ絶縁性の被覆を形成することができる。要すれば、遮光性の部材と絶縁性の部材とを別にそれぞれ配設することができる。上記窓は、多くの場合、スリット状をなす。電極間には一対の間隙が形成されるが、その一方を遮光性部材で被覆して一方の間隙にのみ窓を形成することができる。計器の指針や読取用に用いる場合には、窓は一つがよい。しかし、他の用途において必要なら一対の窓を形成することができる。
【0039】
そうして、本発明の蛍光ランプは、小径で細長いとともに、平均粒径1μm以下の金属酸化物層を具備することにより、そのメカニズムが明確ではないが、明るさのちらつきを低減する作用があるため、所要の調光においても明るさのちらつきが発生しにくく、しかも所要の管面輝度を有する。
【0040】
また、金属酸化物層を具備し、希ガスの封入圧を100 Torr 以下に限定し、かつキセノンの分圧比を10〜50%とすることにより、その殆どの範囲内において、管面輝度を最大値の2%に調光しても明るさのちらつきが発生しない。
【0041】
請求項2の発明の蛍光ランプは、請求項1記載の蛍光ランプにおいて、金属酸化物層は、アルミナおよび酸化チタンの少なくとも一方を含んでいることを特徴としている。
【0042】
本発明は、金属酸化物層を上記のように構成することにより、明るさのちらつき防止またはパーフォーマンス改善、あるいはその両方を行うことができる。そして、アルミナは主として明るさのちらつきを防止し、酸化チタンは主として希ガスの気密容器の壁内への侵入を防止するように作用する。働程中に希ガスが気密容器の壁内に侵入していくにしたがって、封入ガス圧が低下し、これに伴い管面輝度が低下するので、酸化チタンによるその阻止は効果的である。
【0043】
請求項3の発明の蛍光ランプは、外径が5mm以下の透光性の細長い気密容器と;気密容器の内面に形成された蛍光体層と;気密容器内に80Torr以下の圧力で封入された分圧比でキセノンを10〜50%含むキセノンおよびクリプトンからなる希ガスと;気密容器の外面に配設された一対の電極と;を具備していることを特徴としている。
【0044】
本発明は、希ガスの封入圧および分圧比を上記のように構成することにより、気密容器の内面に直接蛍光体層を形成しても、その殆どの範囲内において、管面輝度を最大値の2%に調光しても明るさのちらつきが発生しない。
【0045】
以上説明した請求項1ないし3のいずれか一記載の蛍光ランプにおける第1の態様として、気密容器の端部において、蛍光体層に隣接してアルミナ層を具備していることが許容される。
【0046】
本態様は、管端部のアルミナ層を設けていることにより、蛍光ランプの暗黒特性が向上する。アルミナ層は、気密容器の内面にアルミナを含む金属酸化物層を形成し、その金属酸化物層の一端部を残して当該層の上に蛍光体層を形成することにより、容易に形成することができる。しかし、要すれば、気密容器の内面に蛍光体層を形成してから、気密容器の一端部の蛍光体層を除去して、そこにアルミナ層を形成することもできる。
【0047】
したがって、アルミナ層は、少なくともアルミナが含まれている必要があるが、他の物質が混合していることを許容するものであり、たとえば酸化チタンが適当量含有していてもよい。
【0048】
以上説明した請求項1ないし3のいずれか一記載の蛍光ランプおける第2の態様として、または上記第1の態様において、蛍光体層は、蛍光体粒子の間に介在するアルミナ微粒子を含んでいることが許容される。
【0049】
本態様においても暗黒特性を改善することができる。アルミナを予め蛍光体と混合しておくことにより、蛍光体層を形成するだけでもよいから、製造が簡単である。要すれば、さらに気密容器内の一端部にアルミナ層を形成することにより、さらに暗黒特性は改善される。
【0050】
請求項4の発明の蛍光ランプは、請求項1ないし3のいずれか一記載の蛍光ランプにおいて、ポリイミド樹脂の蒸着膜からなり、少なくとも外面電極を覆う絶縁被覆を具備していることを特徴としている。また、本発明は、上記第1および第2の態様のいずれか一に付加して実施することもできる。
【0051】
本発明においては、ポリイミド樹脂を蒸着することによって絶縁被覆を形成しているので、絶縁被覆の重量の部分的遍在がなくなる。このため、蛍光ランプを計器の指針に用いる場合に重量バランスをとりやすくなる。また、製造の工数も少なくなるので、コストを低減することができる。
【0052】
さらに、ポリイミド樹脂の成分であるオキシジアニリンの配合率を増やすか、または焼成温度を上げて黒色にすることにより、絶縁と遮光とを一つの被覆で実現することができる。しかし、さらに絶縁を良好にするために、透明性シリコーン樹脂を蛍光ランプの全体に被覆してもよい。
【0053】
以上説明した請求項1ないし4のいずれか一記載の蛍光ランプにおける第3の態様として、少なくとも電極の表面を覆う絶縁被覆と;絶縁被覆を貫通して各電極に接続しているとともに気密容器の軸方向に対して互いに異なる位置に配設された一対の端子と;を具備していることができる。また、本態様は、上記第1および第2の態様のいずれか一に付加して実施することもできる。
【0054】
本態様において、絶縁被覆は、ポリイミド樹脂を蒸着したものが好適であるが、ポリイミド樹脂を塗布してもよい。また、絶縁被覆はポリイミド樹脂に限定されないで、たとえばシリコーン樹脂など他の絶縁材料を用いることができる。
【0055】
端子は、各電極に接続されていれば、気密容器のどの部分に対向する位置でもよい。しかし、蛍光ランプの発光を利用するためには、一般的には気密容器の一端部近傍に位置させるのが好都合である。
【0056】
そうして、本態様においては、端子が気密容器の軸方向に対して互いに異なる位置に配設されているので、端子間の絶縁距離を確保しやすい。また、蛍光ランプを支持すると同時に、端子に対する電気接続を行うのが容易になる。
【0057】
請求項5の発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に支持された請求項1ないし4のいずれか一記載の蛍光ランプと;を具備していることを特徴としている。
【0058】
本発明において、照明装置は照明器具、液晶などのバックライト、OA機器の読取装置、車載用計器の照光指針など蛍光ランプの発光を利用するあらゆる装置に適応する。
【0059】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0060】
図1は、本発明の蛍光ランプの第1の実施形態を示す断面図である。
【0061】
図において、1は気密容器、2は蛍光体層、3a、3bは電極、4は絶縁被覆、5a、5bは端子、6はアルミナ層である。
【0062】
気密容器1は、外径5.0mm、肉厚0.5mm、長さ200mmのガラスバルブからなる。
【0063】
蛍光体層2は、3波長発光形蛍光体を用いていて気密容器1の内面に形成されている。
【0064】
電極3a、3bは、アルミニウムの薄板を気密容器1の軸方向に沿って互いに離間対向した状態で外面に接着して形成したものである。
【0065】
絶縁被覆4は、電極3a、3bを外方から包囲するように黒色のポリイミド樹脂を蒸着して形成している。したがって、絶縁被覆4は、遮光膜を兼ねている。絶縁被覆4を形成するに際して、電極3a、3bの間において気密容器1の軸に沿って光導出窓および端子のそれぞれの予定部をマスキングしておく。光導出窓のマスキングを除去すれば、光導出窓(図示しない。)が形成される。
【0066】
端子5a、5bは、絶縁被覆の端子予定部のマスキングを除去してから銀ペーストを塗布、乾燥、焼成して形成したもので、気密容器1の軸方向に互いに離間した位置に配設されている。そして、端子5a、5bは絶縁被覆4の表面から若干突出していて点灯装置のコネクタの接続を容易にしている。
【0067】
アルミナ層6は、気密容器1の一端部において、蛍光体層2に隣接して形成されている。このアルミナ層6は、蛍光ランプの暗黒特性を改善するために作用する。すなわち、蛍光ランプが暗黒中において点灯する場合に、アルミナ層から初期電子が放出されるので、ほぼ瞬時に始動することができる。暗黒特性を問題にしない場合、または他の手段によって暗黒特性を改善する場合には、アルミナ層は省略することができる。
【0068】
気密容器1の内部にはキセノンおよびクリプトンを所定の割合において所定の圧力で封入するが、種々の組み合わせのものを製作して、その性能を比較した。
【0069】
表1は、上記蛍光ランプの希ガスの混合比および封入ガス圧の変化に対する点灯状態におけるちらつきの程度を測定した結果を示す。
【0070】
【表1】
表1から明らかなように、キセノンが90%以下で、封入圧が100Torr以下においては、全光状態では明るさののちらつきは見られなかった。キセノンが70%以下で、封入圧が80Torr以下においては、調光して管面輝度を全光時の50%まで調光しても明るさのちらつきは発生しなかった。また、キセノンが50%以下で、封入圧が80Torr以下においては、管面輝度を全光時の10%まで調光しても明るさのちらつきは発生しなかった。さらに、キセノンが50%以下で封入圧が30Torr、キセノンが30%で封入圧が50Torrおよびキセノンが10%で封入圧が80Torrにおいては、管面輝度を全光時の2%まで調光しても明るさのちらつきは発生しなかった。
【0071】
図2は、本発明の蛍光ランプの第2の実施形態を示す斜視図である。
【0072】
図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0073】
本実施形態は、気密容器1の内面に薄い金属酸化物層7を形成し、かつアルミナ層を有さない以外は図1と同一構造である。金属酸化物層7は、平均粒径が1μm以下で、アルミナおよびまたは酸化チタンからなる。蛍光体層2は、金属酸化物層7の上に形成する。
【0074】
表2は、図2に示す蛍光ランプについて、希ガスの混合比および封入ガス圧の変化に対する点灯状態における明るさのちらつきの程度を測定した結果を示す。
【0075】
【表2】
表2から明らかなように、キセノンが90%以下で、封入圧が100Torr以下においては、全光状態での明るさのちらつきは見られなかった。キセノンが90%以下で、封入圧が80Torr以下においては、調光して管面輝度を全光時の50%まで調光しても明るさのちらつきは発生しなかった。また、キセノンが70%以下で、封入圧が80Torr以下、キセノンが50%以下で、封入圧が100Torr以下およびキセノンが30%以下で封入圧が120Torr以下においては、管面輝度を全光時の10%まで調光しても明るさのちらつきは発生しなかった。さらに、キセノンが50%以下で封入圧が50Torr、キセノンが30%で封入圧が80Torrおよびキセノンが10%で封入圧が100Torrにおいては、管面輝度を全光時の2%まで調光しても明るさのちらつきは発生しなかった。
【0076】
図3は、本発明の蛍光ランプの第3の実施形態を示す斜視図である。
【0077】
図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0078】
本実施形態は、車載用計器の指針として好適な小形の蛍光ランプである。すなわち、気密容器は外径が2.4mm、長さが60mmである。
【0079】
希ガスは、分圧比でキセノン10%、クリプトン90%を80Torr封入している。
【0080】
気密容器の内面にはアルミナおよび酸化チタンを重量比で1:1の割合で混合した金属酸化物層を形成し、その一端部を除いて蛍光体層を形成した。蛍光体を形成しない部分の金属酸化物層はアルミナ層を形成する。
【0081】
蛍光体は、3波長発光形(緑色;LaPO4:Ce、Tb、青色;BaMgAl14O23:Eu2+、赤色;(Y、Gd)BO3:Eu)を用いた。蛍光体にはアルミナ微粒子を1重量%混合した。
【0082】
8は光導出窓で、気密容器の軸方向に沿って幅1mmに形成されている。
【0083】
図示していないが、電極は幅1.5mmである。
【0084】
絶縁被覆4はポリイミド樹脂を蒸着により厚さ30μmに形成している。絶縁被覆の膜厚ばらつきによるランプの重量ばらつきは無視できる程度であった。なお、従来の場合は、30mg程度の重量ばらつきが発生した。
【0085】
そうして、この蛍光ランプの両端子を20KHz、1500Vの高周波電源に接続してランプ電流5mAで点灯したところ、管面輝度は2000cd/m2が得られた。また、絶縁耐圧は交流3000Vまで問題がなかった。さらに、管面輝度が全光時の2%になるまでPWM方式によって100Hzの周期で調光しても明るさのちらつきは発生しなかった。
【0086】
図4は、図3に示す実施形態の蛍光ランプと金属酸化物層に酸化チタンを含まない以外は同一構成の比較用の蛍光ランプとの点灯時間に対する相対管面輝度の変化を説明するグラフである。
【0087】
図において、曲線Aは図3に示す蛍光ランプ、曲線Bは比較用の蛍光ランプである。酸化チタンを含む蛍光ランプは点灯時間が約10000時間経過以降において、比較用の蛍光ランプより管面輝度の低下が明らかに少ない。
【0088】
次に、暗黒特性についての試験結果を説明する。
【0089】
試験をしたのは、(1)アルミナを用いない他は図3と同一構成の蛍光ランプ、(2)蛍光体層にアルミナを1重量%混合したのみの蛍光ランプ、(3)蛍光体層にアルミナを5重量%混合したのみの蛍光ランプ、(4)気密容器の一端部にアルミナ層を形成したのみの蛍光ランプおよび(5)図3の蛍光ランプの5種類の蛍光ランプであり、各々50個試作して試験した。
【0090】
試験の条件は、明るい場所に12時間放置し、次に暗黒中に12時間放置の繰り返しを168時間実施した後、暗黒中に1時間放置して、平均点灯遅れ時間を測定した。
【0091】
その結果、(1)は253秒、(2)は76秒、(3)は3.9秒、(4)は0.2秒、(5)は0.1秒であった。
【0092】
図5は、本発明の蛍光ランプの第4の実施形態の断面を概念的に示す拡大断面図である。
【0093】
本実施形態は、気密容器1の断面形状を楕円形にしたものである。4は絶縁被覆であるが、蛍光体層、電極、端子などは図6も含めて図示を省略してある。
【0094】
図6は、本発明の蛍光ランプの第5の実施形態の断面を概念的に示す拡大断面図である。
【0095】
本実施形態は、気密容器1の断面形状を4角形にしたものである。
【0096】
図7は、本発明の照明装置の一実施形態である車載用計器を示す要部分解斜視図である。
【0097】
図において、図3と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0098】
本実施形態は、蛍光ランプを計器の指針として組み込んだもので、9は計器の回転軸、10はコネクタ兼ランプ支持具である。
【0099】
回転軸9は、図示しない計器本体から延在している。
【0100】
コネクタ兼ランプ支持具10は、回転軸9の先端に固定されていて、蛍光ランプの端子5a、5bを外側から抱持することにより、蛍光ランプを機械的に支持するとともに、点灯装置に電気的に接続する。回転軸の内部にはリード線が通線している。
【0101】
【発明の効果】
請求項1ないし4の各発明によれば、調光度を大きくして最大値の2%にしても明るさのちらつきが発生しにくい小径で細長い蛍光ランプを提供することができる。
【0102】
請求項1の発明によれば、加えて小径で細長いとともに、透光性気密容器の内面に金属酸化物層を具備し、希ガスがキセノンおよびクリプトンからなり、キセノンの分圧比が10〜50%で、かつ封入圧が100 Torr 以下であることにより、その殆どの範囲内で管面輝度を最大値の2%に調光しても明るさのちらつきが発生しない蛍光ランプを提供することができる。
【0103】
請求項2の発明によれば、加えてアルミナおよび酸化チタンの少なくとも一方を含む金属酸化物層を備えることにより、明るさのちらつき防止およびまたはパーフォーマンス改善が得られる蛍光ランプを提供することができる。
【0104】
請求項3の発明によれば、加えてキセノンが10〜50%で封入圧が80Torr以下の希ガスを封入していることにより、金属酸化物層がなくてもその殆どの範囲内で管面輝度を最大値の2%に調光しても明るさのちらつきが発生しない蛍光ランプを提供することができる。
【0105】
請求項4の発明によれば、加えてポリイミド樹脂の蒸着により形成した絶縁被覆を備えることにより、絶縁被覆の重量ばらつきが少なくてコスト低減のできる蛍光ランプを提供することができる。
【0106】
請求項5の発明によれば、請求項1ないし4の効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の蛍光ランプの第1の実施形態を示す断面図
【図2】 本発明の蛍光ランプの第2の実施形態を示す断面図
【図3】 本発明の蛍光ランプの第3の実施形態を示す斜視図
【図4】 図3に示す実施形態の蛍光ランプと金属酸化物層に酸化チタンを含まない以外は同一構成の比較用の蛍光ランプとの点灯時間に対する相対管面輝度の変化を説明するグラフ
【図5】 図5は、本発明の蛍光ランプの第4の実施形態の断面を概念的に示す拡大断面図
【図6】 図5は、本発明の蛍光ランプの第5の実施形態の断面を概念的に示す拡大断面図
【図7】 本発明の照明装置の一実施形態としての車載用計器の要部分解斜視図
【図8】 第1の従来技術である指針用蛍光ランプの断面図
【図9】 第2の従来技術である読取用蛍光ランプの断面図
【符号の説明】
1…気密容器
2…蛍光体層
3a…電極
3b…電極
4…絶縁被覆
5a…電極
7…金属酸化物層
Claims (5)
- 外径が5mm以下の透光性の細長い気密容器と;
気密容器の内面に形成された平均粒径1μm以下の金属酸化物層と;
金属酸化物層の内面に形成された蛍光体層と;
気密容器内に100Torr以下の圧力で封入された分圧比でキセノンを10〜50%含むキセノンおよびクリプトンからなる希ガスと;
気密容器の外面に配設された一対の電極と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。 - 金属酸化物層は、アルミナおよび酸化チタンの少なくとも一方を含んでいることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。
- 外径が5mm以下の透光性の細長い気密容器と;
気密容器の内面に形成された蛍光体層と;
気密容器内に80Torr以下の圧力で封入された分圧比でキセノンを10〜50%含むキセノンおよびクリプトンからなる希ガスと;
気密容器の外面に配設された一対の電極と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。 - ポリイミド樹脂の蒸着膜からなり、少なくとも外面電極を覆う絶縁被覆を具備していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の蛍光ランプ。
- 照明装置本体と;
照明装置本体に支持された請求項1ないし4のいずれか一記載の蛍光ランプと;
を具備していることを特徴とする照明装置。
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