JP4165223B2 - 熱間多段圧延機及び熱間多段圧延機の圧延方法 - Google Patents

熱間多段圧延機及び熱間多段圧延機の圧延方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱間多段圧延機及び熱間多段圧延機の圧延方法に関する。
熱間金属鋼帯の圧延では、板端付近を中心とした作業ロール軸方向温度変化に基づき、ロールの熱膨張差で生じるロール径の幅方向変化、所謂サーマルクラウンが発生する。このサーマルクラウンが大きい場合、板端付近の板厚が厚くなる所謂エッジアップ形状となり、板幅方向に均一な板厚とならず製品歩留まりの低下を招くことになる。また、このエッジアップ形状が大きい場合、圧延材先後端部の圧延が安定せず、蛇行などが発生し易く圧延操業を著しく難しくする。これは、特に熱間ホットストリップミル圧延設備では、圧延材の先端が最終仕上げ圧延機から巻き取り機、所謂ダウンコイラに達し巻き取られるまでの通板時、更に巻き取り巻き出しを繰り返しながら圧延する可逆熱間設備、所謂ステッケル圧延設備においても、圧延後に圧延材の先端が巻き取り機に達し巻き取られるまでの通板時、等で大きな問題となる。このような状態では通板速度を下げるなど、慎重な操業の行われるのが普通であり、操業性を阻害させるだけでなく、生産性の低下をも引き起こすことになる。
また近年の熱間圧延設備においては、文献CAMP−ISIJ Vol.9(1996)−970「熱延後段スタンドへのハイスロール適用」にも発表されているように、耐摩耗性に優れたハイス系ロールを使用した圧延が多くなっている。上記文献にも説明されているように、ハイス系ロールは線膨張係数が大きいため、更にサーマルクラウンの制御が、重要な課題となっている。
CAMP−ISIJ Vol.9(1996)−970「熱延後段スタンドへのハイスロール適用」
特に、サーマルクラウンを含め、更に圧延材全体の板クラウンを良好に制御しようとした場合、各種の問題がある。
本発明は、以上のような成果に基づき、熱間圧延設備において更に有効なサーマルクラウン制御を実現する新たな熱間多段圧延機及び熱間多段圧延機の圧延方法の提供が目的である。
本発明では、ロール胴部の一方側のロール端部近傍にロール端に向かってロール径が増加する先太り部と、該先太り部に隣接したストレートロール部とを有するロール輪郭形状を備えた一対の上下作業ロールを設けて、これら各作業ロールの該先太り部が互いにロール軸方向に沿ったロール胴部の反対側に位置し、該ストレートロール部が対向するように前記各作業ロールを配置し、前記各作業ロールを支持する支持ロールを夫々設け、前記作業ロールをロール軸方向に沿って移動させるロールシフト装置を設け、前記作業ロールにロールベンディング力を作用させるロールベンディング装置を設ける。更に、前記ロールベンディング装置とは別のクラウン制御装置を設ける。
熱間多段圧延機及び熱間多段圧延機の圧延方法において、更に、有効なサーマルクラウン制御を実現できる。
まず、サーマルクラウンを含め、更に圧延材全体の板クラウンを良好に制御しようとした場合に生じる各種の現象を説明する。
作業ロールに発生するサーマルクラウン形状の概要を、図4に示す。図4は、サーマルクラウンが発生した時のロール表面形状を、ロール中心から片側のみを誇張して示したものである。即ち、サーマルクラウンは、ロール中心から板端に向かって図中に示されたS部まで、なだらかな2次曲線的な変化を呈し、板端E部の前後で急激に変化するような高次曲線的な形状を持つ。上記の急激な変化を示し始める点を、板端を規準として寸法aで表わし、以下これを熱的影響長さと呼称する。
また、寸法bで示される板端からロール端に向かった範囲も急激な変化を示し、以下ロール端まで再び緩やかに変化するようになる。しかし、板端E部からロール端までの範囲は、直接板形状に影響しないため、以降では無視する。このようなサーマルクラウンが発生した状態で圧延した場合、一般に板端付近の板厚が急激に増加し、圧延材はエッジアップ形状となる。
また、特にサーマルクラウンの制御で問題となるのは、板端E部の前後で急激に変化する熱的影響長さの部分である。従って、サーマルクラウン量としては、前記熱的影響長さの部分での径変化であるCsが問題となるが、通常略ロール端までの径変化Chで言う場合も多い。そこで以下では、サーマルクラウン量と言えばChを表わすものとし、ChはCsの2倍として取り扱う。
このようなサーマルクラウンの制御に対し、先の公知例では作業ロールの中途部からロール端にかけて、前記サーマルクラウン形状を補償する方向の凹クラウンを、作業ロールの一方に与えて圧延するため、これを有効に制御できたものである。また、圧延材の板幅が変わった場合や、サーマルクラウン量が変化した場合には、作業ロールの設定移動位置を適宜変更すれば、これらに追随した制御が可能となる。しかし、同一圧延材を圧延している途中であっても、サーマルクラウンは時々刻々変化する。特に、この変化は板端部のサーマルクラウン部に強く現れ、板中央部は熱的に安定しているため、比較的少ないものとなる。これに対し、作業ロールの移動位置を制御することで対応する場合は、応答性が遅く好ましい制御方法とは言い難い。
従って、先の文献CAMP−ISIJ Vol.9(1996)−970にも示唆されているように、作業ロールを撓ませることにより板クラウンを制御する、所謂ロールベンダの併用制御が好ましいと言える。
しかし、先の公知例は全て4段圧延機であり、従ってロールベンダは作業ロールベンダを意味する。この作業ロールベンダのみで、時々刻々変化するサーマルクラウンを制御することには問題が有る。これは、通常の熱間圧延機で使用されるロール径は、最大ロール面長によっても異なるが、一般には600mm以上となっている。このような作業ロールを用い、特に変化の大きな板端部のサーマルクラウンを制御するためにロールベンディング制御を行うと、板中央部近辺の板クラウン(以下ボディクラウン)も、大きく変化することになる。
従って、当初適切な移動位置に作業ロールを設定しても、これ以降の圧延の進行に従い、主に板端部で大きく変化するサーマルクラウンを、作業ロールベンダのみで制御しようとするとボディクラウンも変化するため、全体の板形状が悪化することになる。これは、板端付近を中心として生じるサーマルクラウン形状と、作業ロールベンダが主に板端付近の板クラウン形状(以下、エッジクラウン)に及ぼす効果の適合性が悪いことに原因がある。
更に、移動式作業ロールを備えた熱間圧延設備では、ロール摩耗形状を制御する等のため、所謂サイクリックシフトが良く行われる。これは、サーマルクラウンの制御のための好適な位置に、作業ロールの位置を設定できない場合が有ることを意味する。このような場合には、サーマルクラウン形状とロールのイニシャル凹クラウン形状の適合性が悪くなり、益々サーマルクラウンの制御が難しいものとなる。逆に、作業ロールの位置をサーマルクラウンの好適な制御から設定する場合、作業ロールの設定位置に対する許容範囲が狭くなり、作業ロールの位置に対する自由度が減少すると言える。
これにより、サイクリックシフトによる作業ロールの摩耗分散及びサーマル分散が、十分に実施できない場合も生じる、という問題がある。
以上のような問題点は、ボディクラウン及びエッジクラウンの両方を、作業ロールベンダのみで好適に制御しようとすることに原因があった。
これに対し発明者等は鋭意検討を重ねた結果、主にエッジクラウンとボディクラウンを制御するに好適な制御手段を別々に設置し、これらを相互に関連付けて制御すれば、前記問題点を解決できることが分かった。更に上記制御を効果的に行うためには、好適な作業ロール径の使用範囲が存在することを明らかにした。
以下では、移動手段を有する作業ロールの片側凹クラウンの作用を、詳細に説明する。
図5は、原点を板中心とし、横軸に板幅方向の位置座標を採り、縦軸に作業ロールベンダが板クラウンに与える効果を、模式的に示したものである。ここで同図中の記号aで表わされた特性は、作業ロールベンダの低次数成分とし、bで表わされた特性は高次成分とする。また、縦軸の負側で示した効果は、板クラウンを凸方向にするデクリーズベンダの効果を表わし、作業ロールベンダの板クラウンに与える全効果は、上記a,bの特性を重ね合せたものとなる。ここで、板端に強く作用するのは、高次成分であるbの特性であることは明らかである。従って、これを有効に用いることができれば、サーマルクラウンの高次成分を、より効果的に制御することが可能となる。
しかし、作業ロールベンダのみを用いた制御では、低次数成分であるaの特性が必然的に作用するため、作業ロールベンダのベンディング力を変更すると、板中央部のボディクラウンまで変化することになる。これが、サーマルクラウンの高次成分を精度良く制御することを、困難にしている理由であった。これを抜本的に改善するためには、図中の特性cで表わされているような、この場合デクリーズ方向とは逆のインクリーズ方向に作用する、主に低次数成分の強い別の第2の形状制御手段を設けることである。即ち上記第2の形状制御手段を、作業ロールベンダのデクリーズ方向の低次数成分と略等しく、インクリーズ方向に作用させれば、両者の低次数成分は略打ち消し合い、結果として高次成分の効果を強く圧延材に作用させることができる。しかし実際の圧延では、常に両者の低次数成分を互いに略打ち消し合うよう、制御する必要がないのは当然である。このような制御の本質は、作業ロールベンダが本来持っている、高次及び低次数成分の制御特性を分離し、独立して制御できるようにすることで有る。従って、必要に応じて、高次及び低次数成分の効果を、自由に制御することは当然である。このようにすれば、サーマルクラウンのより効果的な高次成分の制御が、可能になることは明らかである。
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例である6段圧延機の正面図を、又図2及び図3は、図1でのII,I方向における断面矢視図を示す。本図に示すように6段圧延機は、直接圧延材1に接しこれを圧延する作業ロール2、これに接した中間ロール3及び中間ロール3に接した補強ロール4を、補強ロール4の軸受け箱6を介して、ハウジング5で支持する構造としてある。ハウジング5の下部には油圧ジャッキ7が設置され、これにより下補強ロール4の軸受け箱6を上下動させることにより、圧延材1を圧下する。前記作業ロール2及び中間ロール3のロール端には軸受け箱8及び9が取り付けられ、図2に示すように、これらの軸受け箱に力を作用させることにより各ロールを撓ませる油圧シリンダ10及び11が設置されている。
特に以下では、作業ロール2のギャップを拡大する方向に撓ませる油圧シリンダ10a及び11aをインクリーズベンディング装置(インクリーズベンダ)、逆方向に撓ませる油圧シリンダ10b及び11bをデクリーズベンディング装置(デクリーズベンダ)と呼ぶ。
また前記作業ロール2及び中間ロール3は、軸方向に移動可能なようにロールシフト装置が設置されている。シフト装置の一例を作業ロールに例をとり、図3を用いて説明する。図3は、作業ロール2の軸受け箱8を支持するシフト支持部材12、及びこれと継合されたシフトブヘッド13と、このシフトブヘッド13には片側の作業ロール軸受け箱8との結合を自在とするためのフック14、及び結合シリンダ15からなるシフト着脱装置が設置されている。更に、シフトブヘッド13には、ハウジング9に固定されたシフトシリンダ16が継合された構造としてある。このようにすることにより、シフト着脱装置を着状態にして、シフトシリンダ16を動作させることにより、作業ロール2及びシフト支持部材12を、自由な位置に移動させることが可能となる。特に、シフト支持部材12には、ベンディング装置10が内蔵してあるため、作業ロール2をシフトしてもベンディング力の作用点は変わらず、シフトストロークを大きく取ることが出来る。中間ロール3のシフト装置に関しても、同様な構造で可能となるため、図示は省略した。
以上のような6段圧延機の作業ロール2には、片側の一方にロール端に向かって次第に先太りとなる局所的凹クラウン2aを与え、これを上下点対称に配置すると共に図3に示すようなシフト装置を設置し、これらを上下逆方向に移動させる。
上記局所的凹クラウン2aの付与クラウン長さは、前述のサーマルクラウンの熱的影響長さと同程度か、それ以上とすることが望ましい。従って、一般的には、100〜350mm程度のクラウン長さを付与する。また凹クラウン形状は、ロールのサーマルクラウンを相殺するような形状が望ましいが、一般的には略2次曲線形状で十分である。少しサーマルクラウン形状との適合性が悪くなるが、ロール研削が簡単なテーパ状とすることも可能である。更に、上記凹クラウン量は、実際の圧延条件及び実績などで適宜決定すれば良く、普通には実圧延で発生する最大サーマルクラウンを制御するに足るクラウン量程度として置き、各種圧延条件によりシフト装置で適当な作業ロール位置を設定して圧延すれば良い。但し、凹クラウン量は小さい方が好ましい。これを必要以上に大きくした場合、上記凹クラウンによりエッジアップ形状の発生は阻止できるが、板端付近での大きなエッジドロップ形状の発生が、避けられないからである。
以下では、以上の構造とした圧延機におけるサーマルクラウンの制御特性を、シミュレーション計算により確認する。表1にシミュレーション計算に用いた、圧延機の主仕様及び圧延条件を示す。
Figure 0004165223
また、図6には、作業ロール端部に与えた局所的ロールクラウンの寸法、及び各ロールシフト位置の説明図を示した。同図で作業ロール2のロール端からクラウン開始点までの距離Lcwは275mmとし、ロールクラウン量Cwは2次曲線で150μを与えた。
また、各ロールのシフト位置は、圧延材1の板端を規準として、板端からロール端までの距離を用い、各々δw,δiで表わす。更に図7には、今回のシミュレーションに用いた、サーマルクラウンの形状を示す。同図中の曲線A,B,Cは、各々サーマルクラウン量が100,150,200μの場合を示し、熱的影響長さは約200mmで仮定した。
以上の条件で計算した一例を、以下に説明する。最初に上記のサーマルクラウンを与え、局所的ロールクラウンのないストレートロールを使用した6段圧延機でのシミュレーション結果を図8に示す。図8の横軸は、板中央を原点とした板幅方向の位置座標を、縦軸は圧延後の出側板厚分布(mm)を示し、図中の記号A,B,Cは、各々サーマルクラウン量を100,150,200μ与えた場合である。
但し、計算条件はδi=0として板幅中央部付近の板クラウン(ボディクラウン)が略直線状(フラット)となるように、中間ロールベンダFiは160トンとし、作業ロールベンダFwは記号A,B,Cに応じて、各々−29,−38,−45トン(負はデクリーズベンダを表わす)とした。本図で明らかなように、各場合とも板端近傍で急激な板厚の増加が見られ、大きなエッジアップ形状となることが分かる。
以上のような形状は、ベンディング力の調整で改善することができるか否か、検討する。ここで、中間ロールベンダFiの板に与える効果は、板幅全体に亘って作用するため、ボディクラウンの制御には有効であるが、サーマルクラウンのように板端近傍で大きく変化する形状の制御に対しては有効でない。そこで記号Bの計算条件に対し、作業ロールベンダFwのみを−48トンとした場合を、記号B′で示した。この場合、エッジアップ量はBと比較し少し改善しているが、ボディクラウンが大きく凸形状側に変化し、全体の形状が悪化していることが分かる。以上よりロールベンダのみでは、板端近傍で局所的に大きく変化するサーマルクラウンの制御は、一般に非常に困難であるのが理解された。
次に、前述の仕様で、作業ロール端部に凹クラウンを与えた場合のシミュレーション結果の例を、図9に示す。この例での各ロールのシフト位置は、各々δw=25mm,δi=0mmとした。また図中の記号A,B,Cは、各々サーマルクラウンを100,150,200μ与えた場合を示し、各々のロールベンディング力は同図中に示してあるように、形状が良好となるような値に適宜調整してある。
本図と図8を比較すれば明らかであるが、問題となっているサーマルクラウンによるエッジアップ形状は著しく改善されており、全体の形状も良好に制御されているのが分かる。これは主に、作業ロール端部に与えた凹クラウンにより、サーマルクラウンの効果が抑制されたためである。また同時に良好な形状を得るためには、作業ロール及び中間ロールベンディング力も、発生したサーマルクラウン量に応じて、大きく変更しなければならないことが分かる。特に、サーマルクラウン量が大きくなるほど、作業ロールベンディング力はデクリーズ方向に大きくなっている。デクリーズベンディングの作用方向は、エッジアップ形状を抑制する方向と一致しており、この結果は当然であると言える。これに対し中間ロールベンディング力は、逆方向のインクリーズ側に大きく制御されている。これは作業ロールベンディング力をデクリーズ方向に大きくすると、ボディクラウンが凸形状側に大きくなるため、これを補償する必要が生じたからである。即ちこのことは、端部に凹クラウンを与えた作業ロールと、作業ロールベンダのみの併用制御では、サーマルクラウン量が変化した場合、良好な形状に追随制御できないことを表わしている。
上記の関係を更に明確にするため、図10を用いて説明する。
図10は、図9のサーマルクラウンが150μから、200μに変化したものとし、中間ロールベンダは80トンで固定し、作業ロールベンダのみで形状を制御した場合である。図中の記号B1,B2,B3は、作業ロールベンディング力Fwを各々−3,−9,−15トンにしてある。本図のB1でFw=−3トンの場合は、ボディクラウンは略平坦に制御されているが、エッジアップ形状は一番大きなものとなっている。
これに対し、作業ロールベンディング力をデクリーズ方向に大きくしていくと、エッジアップ形状は次第に減少しているが、ボディクラウンは明らかに凸方向に悪化していることが分かる。このことは、中間ロールベンダが無い場合、図9に示されるような良好な形状に制御できないことを示している。このように、サーマルクラウンをロールベンダで良好に制御する場合、作業ロールベンダのみでは不十分であり、中間ロールベンダが非常に重要な作用を果たすことが理解された。更に作業ロールベンダと中間ロールベンダは、一方がデクリーズ方向に作用させた場合、もう一方は逆のインクリーズ方向に作用させるように制御する必要のあることも、これまでの説明で明らかとなった。
また先に、移動式作業ロールを備えた熱間圧延設備では、ロール摩耗形状等を制御するため、サイクリックシフトが良く行われると述べた。このためには、作業ロールの設定位置に対する自由度の高い方が好ましい事も説明した。そこで以下では、作業ロールの設定位置と形状との関係を検討する。図11は、サーマルクラウンは150μ(一定)とし、作業ロールの設定位置δwを変更した時の、出側板形状を示したものである。図中の記号A,B,Cは、各々δwを100,50,0mmとした時の形状を示しており、各ロールのベンディング力は形状が良好になるように、図中の値で設定してある。本図より、δw=100の場合は少しエッジアップ形状が大きくなっているが、それ以外の形状は良好に制御されていると言える。特に、δw=100の場合、記号A′で示してあるように、作業ロールベンダを更にデクリーズ側に大きくすれば、他と同様な形状に制御されることが分かる。但しこの場合、ボディクラウンを良好に制御しようとすると、中間ロールベンディング力は約300トン程度必要となり、ロールネック強度が不足し実現不可能な制御条件であると言える。しかしこの制約は、本発明の本質的な限界を示しているものではなく、これを解決する方法は存在する。例えば、上記必要とされる中間ロールベンディング力には、圧延荷重により発生するロール系の撓み制御するためのベンディング力(基本ベンディング力)も加算されていることに注意すべきである。この基本ベンディング力を低減することは、従来技術の範囲で簡単に実現できる。例えば、作業ロール,補強ロールなどに、適当な凸形状のロールイニシャルクラウンを与える等である。但し、作業ロールに凸クラウンを与える場合は、これと作業ロール端部に与える凹クラウンと重ね合せた形状とすることは当然である。これにより必要な基本ベンディング力を少なくし、ロールの設定位置の自由度を大きく出来ることは自明である。更に、中間ロールベンダの代わりに大きな制御能力を持たせた、別の制御手段を設けることも出来る。これに関しては、後述する。
これに対し中間ロールベンダを用いない場合の、ロール設定位置と形状制御特性を、図12を用いて説明する。図12は、中間ロールベンダを80トンで固定し、ボディクラウンが略フラットとなるよう、作業ロールベンダのみで制御した場合を示す。他の条件及び図中の記号は、図11と同一にしてある。尚、記号Dはδw=25mmの場合であり、図9のBと同じ形状である。ここで本図と図11を比較すれば明らかであるが、中間ロールベンダを用いない場合は、形状の乱れが大きくなっていることが直ちに分かる。逆に、図11程度の形状に制御しようとした場合、作業ロールの設定位置を狭い範囲に限定する必要があると言える。
以上のことから、作業ロールベンダのみでなく、中間ロールベンダをも併用して制御すれば、作業ロールの設定位置の自由度を大きく拡大できることが明らかとなった。このことはまた、作業ロールの位置を粗く設定できることをも意味し、位置設定制御を著しく簡単にする効果の有ることは言うまでも無い。
このように本発明を用いれば、熱間圧延設備におけるサーマルクラウンの制御を、極めて効果的に実施できることが理解された。
また、作業ロール2の端部に局所的凹クラウンを与えた場合、一般に作業ロール2と中間ロール3の接触端部に作用する線圧が増大する。更に、サーマルクラウンを制御するため、作業ロールベンダをデクリーズ方向に大きく作用させた場合、ボディクラウンを制御するために、中間ロールベンダはインクリーズ側により大きな力を作用させる必要があると述べた。このことは、補強ロール4と中間ロール3間の特に接触ロール端に作用する線圧が増大することを意味する。これによりロール間の接触線圧が大きくなる場合には、スポーリング及びロールの偏摩耗等が発生し易く、ロール寿命の低下をもたらすことになる。これを極力緩和するためには、図24に示すように、作業ロール2に与えた凹クラウン2a側に、中間ロール3の端部に作業ロール2の凹クラウン2aを略補完する局所的凸クラウン3aを設ければ良い。上記中間ロール3の局所的凸クラウンの効果を、図13を用いて説明する。図13中の記号Qは、作業ロール2と中間ロール3間、及びRは中間ロール3と補強ロール4間の接触線圧を示す。図13(1)は、中間ロール3に局所的凸クラウンを与えない場合であり、図9に示したBと同一条件としている。これに対し図13(2)は、中間ロール端部に凸クラウンを与えた場合であり、凸クラウン形状は作業ロール2の凹クラウンと、完全に補完するように与えている。図13(1)及び図13(2)を比較すれば明らかなように、図中のDで示された接触線圧は、図13(2)では大きく減少していることが分かる。これにより、中間ロール3の端部に局所的凸クラウンを与えることにより、各ロールの偏摩耗などを抑制し、ロールを長寿命化する効果のあることは明らかである。特に作業ロール2に局所的凹クラウンを与えた場合には、この効果は顕著であると言える。
尚図24では、作業ロール2の局所的凹クラウンの先端部分に、略ストレートロール部を付加している。これは、局所的凹クラウン部分と接するロール間での接触幅を広げ、両者の間に発生する接触面圧を低下させる目的がある。このような場合、凹クラウンの実質開始点は、前記ストレートロール部を除いた部分を基準とた凹クラウンの開始点を意味するものとする。
しかし、以上のようにベンダとの併用でサーマルクラウンを制御する場合、特に作業ロール径の選択は重要な意味を持っている。即ち、サーマルクラウンにより生じる板クラウンを冪関数の多項式で近似すると、一般には4次式以上の高次成分として表わされる。従って、作業ロールベンダの板クラウンに及ぼす特性は、極力大きな高次成分を持つことが好ましい。このことは、作業ロール径は小径程好ましいことを意味する。しかし、作業ロール径が非常に小径であると、ロールベンダの効果はサーマルクラウンの熱的影響長さ以下の板端近傍の極限られた部分のみに作用するため、この場合は本質的にサーマルクラウンの制御に利する効果がないと言える。更に、圧延を安定して行うためには作業ロール駆動が望ましいが、小径の場合これができなくなる等の欠点もある。また作業ロール径が小径であると、作業ロールベンダで生成される板クラウンは、一般に複雑な特性を示すようになり、形状制御を難しくする問題も生じる。逆に大径である場合には、作業ロールベンダの板クラウンに及ぼす効果は低次成分が支配的となる。このためサーマルクラウンを制御しようとすると、ボディクラウンまで大きく変化することになり、効果的な制御が実現できるとは言い難い。以上から局所的凹クラウンを付けた作業ロールと、作業ロールベンダを併用してサーマルクラウンを制御する場合、適切な作業ロール径の使用範囲の存在することが分かる。以下これを、図14を用いて説明する。
図14は、板クラウンに及ぼす作業ロールのデクリーズベンダの特性を調べるため、横軸に作業ロール径をとり、縦軸に板クラウンの高次成分比率rを示している。ここで板クラウンの高次成分比率rとは、圧延機中心を原点として、左右の板端を±1で規格化した座標をxとし、作業ロールベンディング力をδFw変化させたときの板クラウンの変化量をδCwとし、これを4次の多項式を用いて、
δCw=a44+a22 …(1)
で最適近似した場合の係数a2,a4により、
r=a4/(a2+a4) …(2)
で定義した値である。即ち、δFwの変化で板端に生じる板クラウンの全変化量(a4+a2)に対する高次成分(a4)の比であり、この値が大きい程作業ロールベンダの板クラウンに及ぼす高次成分の効果が大きく、サーマルクラウンの制御には好適であると言える。また上記図14中の曲線A,B,Cは、入側板厚を3mmとし、各々最大板幅が1200,1500,1800mmの場合を示し、この時のロール面長は各々1400,1700,2000mmとし、圧延荷重は線圧で1.0t/mm、及びδFwはデクリーズ側に変化させて計算した。
本図より明らかなように、図中のaで示されるロール径以上としても、サーマルクラウンを制御するに好適な高次成分は殆ど変化しないことが分かる。逆にこの場合、圧延に必要な荷重や動力が大きくなり、圧延機も大型化し、製造コストが高くなる等の弊害が生じる。従って、サーマルクラウンを効果的に制御するためには、図中のaで示される作業ロール径以下とすることが、特に好適であることが明らかとなった。
更に、作業ロール径を小径とした時、板クラウンの高次成分比率rは、1以上となっている。これは(2)式の定義式から明らかであるが、a4及びa2の符号が異なるために生じたものである。即ちこの場合、a2で代表される板中央部付近のボディクラウン制御特性と、a4で代表される板端部付近のエッジクラウン制御特性が逆になるよう作用するため、作業ロールベンダ制御が難しくなると言える。また、図14の板クラウン高次成分比率rが1以上の小径作業ロールでは、実際的な熱間圧延設備において望ましい作業ロール駆動が困難になると言う意味も有る。従って、ここでは、実用的な意味からも図中のbで示されるロール径以上で、最小ロール径を規制する。
以上より、局所的凹クラウンロールとロールベンダとの併用で、サーマルクラウンを制御するに好適な作業ロール径の範囲を、使用最大板幅を横軸にとり図16に示した。上記図16の関係を式で表わせば、作業ロール径Dwは、使用最大板幅Wmを用いて、
Wm/6+100≦Dw≦Wm/6+350 …(3)
の範囲が、極めて好適であることが示される。
但し、板クラウンの高次成分比率rは、圧延条件などでその値は変化するが、(3)式の関係を逸脱するものでないことを述べておく。例えば図15は、圧延線圧を1.0t/mm、最大板幅1500mmとし、入側板厚を種々変更した時の板クラウンの高次成分比率rを示す。本図より高次成分比率rの値は、入側板厚により変化することが分かるが、何れの場合でも作業ロール径が600mm以上では、高次成分比率rの変化は僅かであると言える。この作業ロール径Dw=600mmは、(3)式でwm=1500mmとした時の上限値となっており、(3)式の関係範囲内であることが分かる。また、入側板厚を3mm、作業ロール径を500mm、最大板幅1500mmとし、圧延線圧を1.0±0.5t/mmとした場合の高次成分比率rは、0.45±約0.03(複合逆順)であった。この場合は、圧延線圧の高次成分比率rに与える影響は少なく、(3)式の関係を損なう程ものではないと言える。
以下では、同様な効果を奏する、別形式の圧延機を用いた実施例に関し説明する。図17は、同じ6段ミルの例であるが、一方の端部に局所的凹クラウンを与えて横方向に移動可能とした作業ロール2を上下点対称に配置し、同様に横方向に移動可能とした中間ロール3はストレートロールとした場合である。この圧延機でサーマルクラウンを制御する場合、作業ロール2の局所的凹クラウン2a部に圧延材1の一方の端部が位置するように、作業ロール2の設定位置が制御される。逆に中間ロール3は、そのロール端が圧延材1のもう一方の端部近傍に設置され圧延される。当然上下の作業ロール2及び中間ロール3は、略点対称に制御配置されるものとする。このような圧延機を用いた場合、作業ロール2の局所的凹クラウン2a部で、更には作業ロールベンダ特にデクリーズベンダとの併用でサーマルクラウンが好適に制御されることは、これまでの説明から明らかである。しかし中間ロール3には、作業ロール2の局所的凹クラウン2aの逃がしが設けられていないため、両者間の接触線圧が大きくなると言う欠点がある。しかし本形式の圧延機をサーマルクラウン制御に用いることは、別のメリットがある。即ち、例えサーマルクラウンが無い場合でも、補強ロール4などの主にロール系の撓みに基づき発生する板形状を制御するために、中間ロールに基本となるベンダ力(基本中間ロールベンダ力)は必要となる。これに対し、図17のような圧延機とすることにより、作業ロール2と中間ロール3の接触幅は、略板幅と等しく設定できる。これは、作業ロール2と中間ロール3間に発生する分布荷重の荷重幅を、略板幅と同程度にすることができ、板幅を外れた部分の作業ロール2に余分な外力が作用しないため、作業ロール2の撓み量が少なくなることを意味する。このことにより、前記必要とされる基本中間ロールベンダ力は小さくなり、中間ロール3の端部と補強ロール4間の中間ロールベンダにより発生する接触線圧を、低減する効果のあることが理解される。また先の図9の説明では、サーマルクラウン量が大きくなるほど、中間ロールベンダ力をインクリーズ方向に大きくすると述べた。この中間ロールベンダ力は、前記基本中間ロールベンダ力が加算された値であることに注意すれば、局所的凹クラウンロールとロールベンディング装置を併用してサーマルクラウンを制御する場合、本構造とする圧延機を用いることの効果は自明である。特に、圧延する板幅の範囲が広く、例えば使用最小板幅が最大板幅の0.4〜0.3にも及ぶ場合は、狭幅側の圧延材を圧延する時に効果的であると言える。
以上の説明では、横方向に移動可能とした中間ロール3,ロール端部に局所的凹クラウンを有する作業ロール2からなる、6段圧延機を用いて説明した。また、ロールベンダとの併用制御が効果的であることも述べた。このような6段圧延機におけるベンダ制御を併用したサーマルクラウン制御の本質は、補強ロール4などの主にロール系の撓みに基づき発生する板形状を制御するために好適な第2の形状制御手段と、作業ロール2に発生するサーマルクラウンを制御するに好適な第1の形状制御手段である、作業ロールベンダを併せ持っていると言うことである。即ち、サーマルクラウン制御の為、第1の形状制御手段はデクリーズ側に使用し、これにより生じる凸クラウン方向のボディクラウンを、第2の形状制御手段をインクリーズ方向に増大させることにより、全体の形状が平坦になるように制御する訳である。これまでの6段圧延機における第2の形状制御手段は、中間ロールベンダであった。しかし、上記第2の制御手段に関しては、以下のような各種の方式が適用可能である。
図18は、クロスシフト式4段圧延機における実施例を示す。本圧延機において、作業ロール2は横方向移動可能としたシフト装置と、圧延機中心に関し回転可能としたクロス装置が設置されており、クロス及びシフト装置に関しては、例えば特開平7−60310号で開示されているような構造とすれば良い。
上記作業ロール2の端部には、局所的凹クラウンを付加し、少なくともデクリーズベンダ、望ましくはインクリーズベンダの両方を第1の形状制御手段として設ける。また前記作業ロール2をクロスさせることにより、上下作業ロール2間の間隙(ロールギャップ)量を、板幅方向に対し略2次曲線的に可変制御でき、ボディクラウンの制御に有効であることは公知である。従ってこの場合、第2の形状制御手段は、作業ロール2のクロス装置が該当する。また図18は、作業ロール2をクロスした例であるが、補強ロール4のみを、又は作業ロール2と補強ロール4を同時にクロスさせるクロス装置を第2の形状制御手段とすることでも、同様な効果の得られることは自明である。更に、特開2000−33405号公報に開示されているようなクロス装置を備えた中間ロールを有する6段圧延機であっては、中間ロールクロス装置を第2の形状制御手段とすることも可能となる。このようなロールクロス装置を有する圧延機の特徴は、一般に形状制御効果が大きいことである。従って例えば、第1の形状制御手段をデクリーズ方向に大きく作用させても、第2の形状制御手段によりボディクラウンを好適に制御できることになる。このことは、より大径の作業ロールの使用を可能とし、また作業ロール設定位置の自由度を拡大することを意味する。従って、上記のような構造とした圧延機を熱間圧延設備に適用することは、サーマルクラウンの制御に対し非常に好適であると言える。
図19は6段圧延機の例で作業ロール2には、ロール端に局所的凹クラウンを設けて移動可能とし、少なくともデクリーズベンダ、望ましくはインクリーズベンダの両方を設け、これを第1の形状制御手段とする。また中間ロール3は、極大と極小を併せ持つ例えば3次曲線のロールプロフィルとし、移動可能とした第2の形状制御手段を有している。このような第2の形状制御手段を用いた中間ロール3をシフトさせることにより、実質上下作業ロール1間のギャップを略2次曲線的に可変制御でき、ボディクラウンの制御に有効であることは周知である。しかし上記第2の形状制御手段は、サーマルクラウンなど板端の局所的に生じる形状の制御に対しては殆ど効果がなく、従って第1の形状制御手段が必要となる。上記のような圧延機も、第2の形状制御手段による形状制御範囲を、大きく採ることが出来ることは公知である。従って、特にサーマルクラウンの制御に対し好適であることは、これまで述べた通りである。更に、上記の圧延機において中間ロール3に中間ロールベンダを設け、これを第2の形状制御手段としても良いことは当然である。この場合中間ロール3のシフト効果は、中間ロールベンダの効果を補強するように作用する。従って、第2の形状制御手段として、中間ロールベンダを採用しても、本質的な作用効果は同一であると言える。更に形状制御の応答性から言えば、第2の形状制御手段を中間ロールシフト装置とするよりも、中間ロールベンダとする方が、より好ましいことは説明の要が無く当然である。
図20は4段圧延機の例で、作業ロール2には、ロール端に局所的凹クラウンを設けて移動可能とし、少なくともデクリーズベンダ、望ましくはインクリーズベンダの両方を設け、これを第1の形状制御手段とする。補強ロール4は、略ロール中心から一方のロール端に向かって次第に先細りとなる凸クラウンを与え、これを移動可能としたシフト装置を設ける。このような補強ロール4を、上下逆方向にシフトすることにより、実質上下作業ロール1間のギャップを略2次曲線的に可変制御でき、ボディクラウンの制御に有効であることは周知である。例えば、作業ロールに前記ロールクラウンとシフト装置を付与した例であるが、特許第2865804号で明らかである。従ってこの場合、第2の形状制御手段は、補強ロール4のシフト装置が該当する。このような圧延機に有っては、作業ロール2に付与した局所的凹クラウン側に、補強ロール4の凸クラウンを設けることが望ましい。このようにすれば、作業ロール2と補強ロール4間に発生する接触面圧を軽減でき、ロールの偏摩耗を抑制する効果のあることは、先の6段ミルの説明からも明らかである。
以上のような圧延機を、前後に巻き取り機を配して可逆圧延をする、ステッケルミル圧延設備に適用した例を図21に示す。図示されていない加熱炉などから抽出された圧延材1は、粗圧延機17で板厚が30mm前後になるまで繰り返し可逆圧延され、その後仕上げ圧延機18で圧延される。仕上げ圧延機18の前後には、巻き取り機20を加熱炉21内に設置した所謂ファーネスコイラが設置されており、粗圧延機17から搬送された圧延材1は仕上げ圧延機18で圧延されながら、ピンチロール19,デフロール22などを介し、巻き取り機20で巻き取られる。通常仕上げ圧延機18は、圧延材1の後端の圧延が完了すると直ちに停止逆転され、他方のファーネスコイラに向けた圧延が開始される。これを繰り返し、仕上げ圧延機18により可逆圧延された圧延材1が目標板厚に達すると、その後方に設置された冷却装置23により冷却されながら、ピンチロール24を介しダウンコイラ25により巻き取る圧延設備としている。
このようなステッケル圧延設備の操業で、最も注意すべき点の1つは、圧延材1の先端が圧延され巻き取り機20に巻き取られるまでの、無張力圧延時における圧延材1の蛇行である。蛇行が大きい場合には、特公平11−207403号に詳細説明されているように、巻き取り機マンドレルに設けられた圧延材先端挿入用開口部に、上手く圧延材1の先端が挿入できず、圧延停止などの事態が生じることもある。しかも可逆ステッケル圧延設備では、上記の圧延材1の先端挿入通板時は、必要な繰り返し圧延パス毎に発生し、益々前記危険性が高まると言える。
上記蛇行の発生原因との1つとして、サーマルクラウンの発生で生じたエッジアップ形状が上げられる。これは、先の文献CAMP−ISIJ Vol.9(1996)−970にも記載されているように、圧延材1の通板が安定しないことによる。従って、このような圧延設備で安定した操業を実現するためには、サーマルクラウンを有効に制御することは、極めて重要であることが理解される。以上により、本発明になる圧延機を、前後にファーネスコイラを備えたステッケル圧延設備に適用することは、格別な効果を奏すると言える。
また上記ステッケル圧延設備は可逆繰り返し圧延を行うため、所謂ホットストリップミル圧延設備と比較し、生産性の低いことは論を待たない。このような圧延設備で生産性を極力向上するためには、安定した操業を実現することの他に、ロール組み替えの頻度を極力少なくすることである。このためには、対摩耗性に優れたハイス系ロールの使用が望ましい。しかし、ハイス系ロールは熱膨張が大きく、大きなサーマルクラウンが発生するため、益々本発明になる圧延機をステッケル圧延設備に適用する意義が大きいと言える。
更に本発明になる圧延機を、特公平11−207403号に示されているツインミルに適用すれば、ツインミルが本来有している蛇行安定性に加えて、サーマルクラウンの制御を著しく向上させることができるため、絶大な効果を発揮できることは自明である。
図24は、ホットストリップミル仕上げ圧延設備の最終段に、本発明になる圧延機を適用した例である。ホットストリップミル仕上げ圧延設備では、圧延材1は図示されていない粗圧延設備または連続鋳造設備等から搬送され、仕上げ圧延機列26a〜gによりタンデム圧延されて、冷却装置23を通りダウンコイラ25で巻き取られる。このような熱間仕上げ圧延機列の最終スタンド26gに、本発明による圧延機を設置した。これは熱延材の板クラウン形状は、主に最終圧延スタンドでの圧延で決まる比重が非常に高く、このようなスタンドに、板クラウン制御性に優れた圧延機を適用すれば、製品品質及び歩留まりの向上が図られ、大きな効果を生むことは当然である。特に、表面品質を良好に保つためには、対摩耗性に優れ、肌荒れの少ないハイス系ロールの使用が望まれていることは、既に述べた通りである。従って、このような圧延スタンドに本発明になる圧延機を設置すれば、ハイス系ロールを使用しても良好なサーマルクラウン制御が可能となり、極めて板クラウン形状の優れた圧延が可能になることは、これまでの説明から明らかである。また、本発明による圧延機では、摩耗分散,サーマル分散のためのシフトも十分にとれ、且つ良好なサーマルクラウン制御も実施可能なため、スケジュールフリー圧延への適用及びロール組み替え頻度の減少など、更なる効果が発揮されると言える。
また一般にホットストリップミル仕上げ圧延設備最終段の圧延速度は、1000〜2000m/minと非常に高速で圧延される。従って、応答性の高いサーマルクラウン制御が望まれる訳である。これに対しても、圧延中のサーマルクラウン制御は、応答性の高いロールベンディング装置による正確な制御が可能であり、このような圧延設備の最終段に適用するのに極めて好適であることが理解される。
以上のようなロール端に局所的凹クラウンを有する作業ロールでサーマルクラウンを制御する場合、作業ロールのシフト位置は発生したサーマルクラウンの状況に応じて、適宜適切な位置に設定することは当然である。しかしロールのサーマルクラウンを、圧延中に直接精度良く検出することは、一般に困難であるため、圧延機出側に設置された板幅方向の板クラウンを計測する、クラウンメータの出力で間接的に検出し、これを制御することになる。また、上記作業ロールを圧延中にシフトさせ、サーマルクラウンを制御することは、応答性が遅く問題が有る。従って、非可逆式圧延設備であっては圧延コイルの切り替え時、又は可逆式圧延設備にあっては圧延パスの切り替え時に、適切な位置にロールを設定することが望ましい。これに対し圧延中は、これまで述べた第1及び第2の形状制御手段を用いて、サーマルクラウンを制御することになる。
上記圧延方法の要点は、検出されたサーマルクランに応じて、例えば第1の形状制御手段をデクリーズ方向に、第2の形状制御手段をインクリーズ方向に、各々圧延材に及ぼす作用に対して逆方向になるように制御しながら、圧延することである。当然サーマルクラウンが、ロールクーラント制御などの影響で時々刻々減少するような場合は、逆に第1の形状制御手段をインクリーズ方向に、第2の形状制御手段をデクリーズ方向に制御することは言うまでも無い。また実際の制御に当たり、第1の形状制御手段の操作量は、主に板端付近の形状出力に応じて決定し、第2の形状制御手段の操作量は、板中央部付近の形状出力に応じて決定するようにすれば、第1及び第2の形状制御手段による操作量の目標値を、明確に分別することがでる。これは、実際の制御方法を非常に分かり易くし、簡単にする効果が有る。
またこれまでの説明では、主に作業ロールベンダはデクリーズ側に、中間ロールベンダはインクリーズ側に制御した例を挙げて説明してきた。これに対し、作業ロール2に与える局所的凹クラウン量を大きくすれば、作業ロールベンダをインクリーズ側で制御することも可能となるが、この時にはエッジドロップ形状が大きくなると言う欠点のあることは前述した。
これを説明するため、表1の条件で板クラウンをシミュレーションした結果を、図22に示す。図22のサーマルクラウンの条件は、図7の曲線Bと同一とし、サーマルクラウン量Chは150μで与えた。これに対し作業ロール端部に与えた局所的凹クラウンは、ロール端からクラウン開始点までの距離Lcwは350mmとし、ロールクラウン量Cwは2次曲線で300μと、過大な局所的凹クラウンを与えた場合である。また図22の横軸は板幅で規格化した座標とし、縦軸は圧延後の出側板厚分布を示す。尚、各ロールのベンディング力は形状が良好となるように、同図中に示した値で調整してある。本図と図9を比較すれば明らかであるが、板端部付近では大きな板厚減少が生じており、エッジドロップ形状が大きくなることが直ちに理解される。しかもこの場合、作業ロールベンディング力はインクリーズ方向に大きな値としているのに対し、中間ロールベンディング力は逆のデクリーズ方向に大きく作用する必要性を示している。これは、大きな作業ロールベンディング力は、過大な局所的凹クラウンの作用で発生するエッジドロップ形状を、極力エッジアップするために必要となるのに対し、この作用で発生する凹形状のボディクラウンを補償するため、中間ロールベンディング力は逆のデクリーズ方向に大きく必要となったためである。このように、発生したサーマルクラウンとロール端に与えた局所的凹クラウンの関係によっては、作業ロールベンディング力はインクリーズ側で設定する必要の有ることが示された。しかしこの場合であっても、例えば圧延途中でサーマルクラウンが増加した場合には、作業ロールベンディング力は減少(デクリーズ方向に増加)させると共に、中間ロールベンディング力これと逆方向に作用させるという関係は、これまでの説明と同様である。
更に上記のような場合であっても、(3)式に示す好適なロール径の使用範囲は変わらないことを、図23を用いて説明する。図23は作業ロール径のみを、(3)式の上限である550mmとした他は、図22の計算条件と同一である。但し同図中に示すように、ロールベンディング力は形状が良好となるように、適宜変更してある。本図と図22を比較すれば明らかであるが、板端付近でのエッジドロップ形状が、更に大きくなっている。これは、先に説明した板クラウンの高次成分比率rが、低下したことに対応している。即ち、板端付近により強く作用する高次の制御成分が減少し、エッジアップ制御特性が低下したためである。これに対し、より作業ロールベンディング力をより大きくしても、殆ど改善されないことが、同図中の記号A,Bを比較することで分かる。これは、作業ロールベンディング力を大きく作用させても、ボディクラウンを良好にするためには中間ロールベンディング力もデクリーズ側により大きくする必要があり、作業ロールベンディング力を大きくした効果が減殺されるためであると言える。これより、サーマルクラウンを制御する場合、インクリーズまたはデクリーズ側で制御するに係わらず、小径側の作業ロールを用いた方が好適であることが言え、(3)式の有効性がこの例からも裏付けられたことになる。
以上より、好ましくは局所的凹クラウン量は極力小さくし、第1の形状制御手段である作業ロールベンダにはデクリーズ機能を設け、これと第二の形状制御手段との併用制御を行うことにより、エッジアップ及びエッジドロップ形状ともに良好な圧延を可能ならしめ、製品歩留まり及び品質の向上にも大きく寄与することになることが理解された。更に好適なサーマルクラウン制御を実施する場合、作業ロール径の範囲を(3)式で示す範囲で選択することは申すまでも無い。
他にも、圧延中時々刻々変化するサーマルクラウンに対する圧延方法に関しては、別案がある。即ち、図1に示す移動可能な中間ロールを有する6段圧延機において、圧延中は作業ロール2をシフトするのではなく、中間ロール3を板端から外側に遠ざけるようにシフトすることである。これにより中間ロール3の端部で、作業ロール2端部の局所的凹クラウン部を押圧するため、作業ロール2の端部に局所的曲げ変形を与えることができ、板端部のみを更に圧下することができる。中間ロール3を逆方向にシフトすれば、板端部の圧下を低減できることは当然である。
更に、図1〜図3、及び図17に示される6段式圧延機に有っては、ロール端の局所的凹クラウンを、作業ロール2ではなく中間ロール3に与えることも可能である。当然、作業ロールベンダ及び中間ロールベンダは、合わせ持っているものとする。この場合の欠点として、中間ロール3の局所的凹クラウンの効果は、作業ロール2を介して間接的に圧延材1に作用するため、直接作業ロール2に与えた場合よりも、サーマルクラウンの制御に対する効果が、かなり少なくなると言うことが上げられる。しかし例えば作業ロール2は、シフト装置を有するストレートロールとすれば、作業ロール2のシフトは板幅と関係なく自由に与えることができると言う長所はある。これにより作業ロール2のシフトは、サーマルクラウン量を少なくする(サーマル分散)、又はロール摩耗の分散の目的のみから、その位置を自由に設定できることになる。特に、サーマル分散を目的としたシフトを実施すれば、作業ロール1に発生するサーマルクラウン量を、極力少なくすることが可能となる。更にこの場合には、ベンダの制御特性がサーマルクラウンの制御性に大きく関係するようになるため、特に(3)式の関係を満たすロール径とすることが望ましい。従って、このような形式の圧延機も、本発明の範囲に含まれることは当然である。
またこれまで、中間ロール及び作業ロールは各々独立にシフト可能なように説明した。しかし、同一シフトとするようにすることも可能である。特に、図12及び図20に示されるように、局所的凹クラウンを有する作業ロール2と接し、作業ロール2の凹クラウンと略補完する局所的凸クラウンを持つロールを有する場合等、両者を同一のシフト装置により同時にシフトさせることもできる。逆に同時シフトとする場合には、同時にシフトする互いに接する2本のロール端は、略補完し合う凹凸クラウンを与えることが望ましい。これによりシフト位置に係わらず常に、両者間の面圧を極力小さく押さえることが可能となるからである。以上のようにすれば、シフト装置の削減が可能となり、製造コストを下げることができる。
更に、ロール端に与える凹クラウンは、他の別な曲線と重ね合せて与えることも可能である。例えば、作業ロール全体に亘って凸の2次曲線クラウンを与え、この一方のロール端に必要な局所的凹クラウン形状を重ね合せて、全体のロール形状とする、等である。
本発明の一実施例である6段圧延機の正面図を示す。 本発明の一実施例である6段圧延機の縦断面図を示す。 本発明の一実施例である6段圧延機の水平面断面図を示す。 サーマルクラウンの説明図である。 クラウン制御の作用説明図である。 本発明の一実施例であるロール寸法説明図である。 サーマルクラウンの形状説明図である。 板クラウンのシミュレーション結果図である。 板クラウンのシミュレーション結果図である。 板クラウンのシミュレーション結果図である。 板クラウンのシミュレーション結果図である。 板クラウンのシミュレーション結果図である。 ロール間線圧分布比較図である。 作業ロールベンダの板クラウンに及ぼす高次成分比率説明図である。 高次成分比率と入側板厚との関係説明図である。 使用作業ロール径の範囲説明図である。 本発明の一実施例である6段圧延機の正面図を示す。 本発明の一実施例である6段圧延機の正面図を示す。 本発明の一実施例である6段圧延機の正面図を示す。 本発明の一実施例である6段圧延機の正面図を示す。 ステッケルミル圧延設備配置図を示す。 板クラウンのシミュレーション結果図を示す。 板クラウンのシミュレーション結果図を示す。 ホットストリップミル仕上げ圧延設備配置図を示す。 本発明の一実施例であるロール形状説明図を示す。

Claims (14)

  1. ロール胴部の一方側のロール端部近傍にロール端に向かってロール径が増加する先太り部と、該先太り部に隣接したストレートロール部とを有するロール輪郭形状を備えた一対の作業ロールを設けて、これら各作業ロールの該先太り部が互いにロール軸方向に沿ったロール胴部の反対側に位置し、該ストレートロール部が対向するように前記各作業ロールを配置し、前記各作業ロールを支持する中間ロールを夫々設け、前記各中間ロールを支持する補強ロールを夫々設け、
    前記作業ロールをロール軸方向に沿って移動させるロールシフト装置と、前記作業ロールにロールベンディング力を作用させるロールベンディング装置と、前記中間ロールにロールベンディング力を作用させる中間ロールベンディング装置とを設けたことを特徴とする熱間多段圧延機。
  2. ロール胴部の一方側のロール端部近傍にロール端に向かってロール径が増加する先太り部と、該先太り部に隣接したストレートロール部とを有するロール輪郭形状を備え、圧延材を圧延する一対の作業ロールを設けて、これら各作業ロールの該先太り部が互いにロール軸方向に沿ったロール胴部の反対側に位置し、該ストレートロール部が対向するように前記各作業ロールを配置し、前記各作業ロールを支持する中間ロールを夫々設け、前記各中間ロールを支持する補強ロールを夫々設け、
    前記作業ロールをロール軸方向に沿って移動させるロールシフト装置と、前記作業ロールにロールベンディング力を作用させるロールベンディング装置と、前記中間ロールのロール軸を水平面内で圧延材進行方向の直角方向に対してクロスさせる中間ロールクロス装置又は前記中間ロールをロール軸方向に沿って移動させるロールシフト装置とを設けたことを特徴とする熱間多段圧延機。
  3. ロール胴部の一方側のロール端部近傍にロール端に向かってロール径が増加する先太り部と、該先太り部に隣接したストレートロール部とを有するロール輪郭形状を備えた一対の作業ロールを設けて、これら各作業ロールの該先太り部が互いにロール軸方向に沿ったロール胴部の反対側に位置し、該ストレートロール部が対向するように前記各作業ロールを配置し、前記各作業ロールを支持する支持ロールを夫々設け、
    前記作業ロールをロール軸方向に沿って移動させるロールシフト装置と、前記作業ロールにロールベンディング力を作用させるロールベンディング装置と、前記支持ロールをロール軸に沿って移動させる支持ロールシフト装置とを設け、前記ロールシフト装置により前記作業ロールを移動させた後も該ストレートロール部が対向するよう構成したことを特徴とする熱間多段圧延機。
  4. ロール胴部の一方側のロール端部近傍にロール端に向かってロール径が増加する先太り部と、該先太り部に隣接したストレートロール部とを有するロール輪郭形状を備え、圧延材を圧延する一対の作業ロールを設けて、これら各作業ロールの該先太り部が互いにロール軸方向に沿ったロール胴部の反対側に位置し、該ストレートロール部が対向するように前記各作業ロールを配置し、前記各作業ロールを支持する支持ロールを夫々設け、
    前記作業ロールをロール軸方向に沿って移動させるロールシフト装置と、前記作業ロールにロールベンディング力を作用させるロールベンディング装置と、前記作業ロールのロール軸を水平面内で圧延材進行方向の直角方向に対してクロスさせるロールクロス装置とを設け、前記ロールシフト装置により前記作業ロールを移動させた後も該ストレートロール部が対向するよう構成したことを特徴とする熱間多段圧延機。
  5. ロール胴部の一方側のロール端部近傍にロール端に向かってロール径が増加する先太り部と、該先太り部に隣接したストレートロール部とを有するロール輪郭形状を備えた一対の作業ロールを該作業ロールの該先太り部が互いにロール軸方向に沿ったロール胴部の反対側に位置し、該ストレートロール部が対向するように配置し、
    前記作業ロールをロール軸方向に沿って移動させるロールシフト装置と、圧延材板幅方向でほぼ中央部及び両端部の板幅全体の板クラウン制御可能な第一の制御手段と、圧延材板幅方向でほぼ中央部のみの板クラウン制御可能な第二の制御手段とを設け、前記ロール シフト装置により前記作業ロールを移動させた後も該ストレートロール部が対向するよう構成したことを特徴とする熱間多段圧延機。
  6. 請求項1〜請求項5の何れかに記載の熱間多段圧延機において、
    ロール端に向かってロール径が増加する前記先太り部のロール径の増加開始部をロール胴端部から略350mm以内とすることを特徴とする熱間多段圧延機。
  7. 請求項1〜請求項5の何れかに記載の熱間多段圧延機において、
    前記作業ロール径をDw、圧延する圧延材の最大板幅をWmとした場合に、前記作業ロール径Dwの範囲を、Wm/6+100≦Dw≦Wm/6+350の式を満たす範囲内とすることを特徴とする熱間多段圧延機。
  8. ロール胴部の一方側のロール端部近傍にロール端に向かってロール径が増加する先太り部と、該先太り部に隣接したストレートロール部とを有する一対の作業ロールを、これら先太り部が互いにロール軸方向に沿った反対側に位置し、該ストレートロール部が対向するように配置し、前記各作業ロールを夫々支持する中間ロールと、前記中間ロールを夫々支持する補強ロールを備えた熱間多段圧延機の圧延方法であって、
    圧延材の圧延条件に基づいてロール軸方向に移動する前記各作業ロールの位置を制御し、
    前記作業ロールの胴部に生じるサーマルクラウンに応じて前記作業ロールにロールベンディング力を作用させる作業ロールベンディング力を制御し、
    前記中間ロールにロールベンディング力を作用させる中間ロールベンディング力を制御して前記作業ロールベンディング力による圧延材の板クラウンへの影響を調節するようにしたことを特徴とする熱間多段圧延機の圧延方法。
  9. ロール胴部の一方側のロール端部近傍にロール端に向かってロール径が増加する先太り部と、該先太り部に隣接したストレートロール部とを有する一対の作業ロールを、これら先太り部が互いにロール軸方向に沿った反対側に位置し、該ストレートロール部が対向するように配置し、前記各作業ロールを夫々支持する中間ロールと、前記中間ロールを夫々支持する補強ロールを備えた熱間多段圧延機の圧延方法であって、
    圧延材の圧延条件に基づいてロール軸方向に移動する前記各作業ロールの位置を制御し、
    前記作業ロールの胴部に生じるサーマルクラウンに応じて前記作業ロールにロールベンディング力を作用させる作業ロールベンディング力を制御し、
    前記中間ロールがロール軸に沿って移動するように中間ロールの位置を制御して前記作業ロールベンディング力による圧延材の板クラウンへの影響を調節するようにしたことを特徴とする熱間多段圧延機の圧延方法。
  10. ロール胴部の一方側のロール端部近傍にロール端に向かってロール径が増加する先太り部を有する一対の作業ロールを、これら先太り部が互いにロール軸方向に沿った反対側に位置するように配置し、前記各作業ロールを夫々支持する中間ロールと、前記中間ロールを夫々支持する補強ロールを備えた熱間多段圧延機の圧延方法であって、
    圧延材の圧延条件に基づいてロール軸方向に移動する前記各作業ロールの位置を制御し、
    前記作業ロールの胴部に生じるサーマルクラウンに応じて前記作業ロールにロールベンディング力を作用させる作業ロールベンディング力を制御し、
    前記中間ロールのロール軸が水平面内で圧延材進行方向の直角方向に対してクロスするクロス量を制御して前記作業ロールベンディング力による圧延材の板クラウンへの影響を調節するようにしたことを特徴とする熱間多段圧延機の圧延方法。
  11. ロール胴部の一方側のロール端部近傍にロール端に向かってロール径が増加する先太り部と、該先太り部に隣接したストレートロール部とを有する一対の作業ロールを、これら先太り部が互いにロール軸方向に沿った反対側に位置し、該ストレートロール部が対向するように配置し、前記各作業ロールを夫々支持する支持ロールを備えた熱間多段圧延機の圧延方法であって、
    圧延材の圧延条件に基づいてロール軸方向に移動する前記各作業ロールの位置を、移動 後も該ストレートロール部が対向する範囲内で制御し、
    前記作業ロールの胴部に生じるサーマルクラウンに応じて前記作業ロールにロールベンディング力を作用させる作業ロールベンディング力を制御し、
    前記支持ロールがロール軸に沿って移動するように該支持ロールの位置を制御して前記作業ロールベンディング力による圧延材の板クラウンへの影響を調節するようにしたことを特徴とする熱間多段圧延機の圧延方法。
  12. ロール胴部の一方側のロール端部近傍にロール端に向かってロール径が増加する先太り部と、該先太り部に隣接したストレートロール部とを有する一対の作業ロールを、これら先太り部が互いにロール軸方向に沿った反対側に位置し、該ストレートロール部が対向するように配置し、前記各作業ロールを夫々支持する支持ロールを備えた熱間多段圧延機の圧延方法であって、
    圧延材の圧延条件に基づいてロール軸方向に移動する前記各作業ロールの位置を、移動後も該ストレートロール部が対向する範囲内で制御し、
    前記作業ロールの胴部に生じるサーマルクラウンに応じて前記作業ロールにロールベンディング力を作用させる作業ロールベンディング力を制御し、
    前記作業ロールのロール軸が水平面内で圧延材進行方向の直角方向に対してクロスするクロス量を制御して前記作業ロールベンディング力による圧延材の板クラウンへの影響を調節するようにしたことを特徴とする熱間多段圧延機の圧延方法。
  13. ロール胴部の一方側のロール端部近傍にロール端に向かってロール径が増加する先太り部と、該先太り部に隣接したストレートロール部とを有するロール輪郭形状を備えた一対の作業ロールを該作業ロールの該先太り部が互いにロール軸方向に沿ったロール胴部の反対側に位置し、該ストレートロール部が対向するように配置した熱間多段圧延機の圧延方法であって、
    圧延材の圧延条件に基づき前記作業ロールをロール軸方向で、移動後も該ストレートロール部が対向する範囲内で位置制御し、
    圧延材板幅方向でほぼ中央部及び両端部の板幅全体の板クラウンを制御する第一の工程と、前記第一の工程でのクラウン制御方向とは反対方向であって圧延材板幅方向でほぼ中央部のみの板クラウンを制御する第二の工程を含むことを特徴とする熱間多段圧延機の圧延方法。
  14. ロール胴部の一方側のロール端部近傍にロール端に向かってロール径が増加する先太り部と、該先太り部に隣接したストレートロール部とを有する一対の作業ロールを、これら先太り部が互いにロール軸方向に沿った反対側に位置し、該ストレートロール部が対向するように配置し、前記各作業ロールを夫々支持する支持ロールを備えた熱間多段圧延機の圧延方法であって、
    圧延材の圧延条件に基づいてロール軸方向に移動する前記各作業ロールの位置を、移動後も該ストレートロール部が対向する範囲内で制御し、
    前記作業ロールの胴部に生じるサーマルクラウンに応じて前記作業ロールにデクリーズ方向のロールベンディング力を作用させる作業ロールベンディング力を制御し、
    圧延材のほぼ中央部のみのクラウン制御可能な制御装置によってインクリーズ方向にクラウン制御することを特徴とする熱間多段圧延機の圧延方法。
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