JP4165081B2 - 集水管の水中接続方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、海水淡水化施設などに用いる集水管の水中接続方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
海水淡水化施設などでは、水底地盤中に集水管を埋設設置して、この集水管を介して海水が取入れられる。このような集水管は、通常、大径な集水親管と、多数の小径集水枝管とを備え、集水親管の両側面に複数の集水枝管が、集水親管の長手軸と直交するように、水平方向に突設した形状になっている。
【0003】
このような集水管を水底上に設置する際には、従来、図8,9に示すような方法により水中で接続されていた。同図においては、1が大径な集水親管であり、2が小径な集水枝管である。
【0004】
集水親管1の両側面には、予め集水枝管2の端部が溶着接続されており、水中において、集水親管1の端部同士を筒状継手3の両端から挿入して、相互に突き当たるようにして接続するとともに、集水枝管2も同様に筒状継手4を用いて接続している。
【0005】
しかしながら、このような従来の集水管の水中接続方法には、以下に説明する課題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、図8,9に示した従来の水中接続方法では、集水親管1と集水枝管2との接続が、単一管体同士での接続であり、その全ての接続個所に筒状継手3,4を用いる方法なので、接続個所が多く、このような接続作業が潜水夫により行われるので、能率が悪く、工期が長くなり、工費も嵩むという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、接続個所を低減することにより、作業能率を改善して、工期の短縮と工費の低減を可能にする集水管の水中接続方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、径大な集水親管の両側面に、複数の小径集水枝管が、接続用継手を介在させて、水平方向に突出するように連通接続される集水管の水中接続方法において、前記接続用継手は、一対の上,下継手ピースから構成され、前記上,下継手ピースは、大径半筒部と、この大径半筒部の側面に突設された小径半筒部と、これらの半筒部の周縁に延設された接合フランジ部とを有し、前記上継手ピースの前記小径半筒部は、当該上継手ピースから分離可能に構成され、前記一対の上,下継手ピースは、前記接合フランジ部を相互に接合した際に、前記大径半筒部が前記集水親管の挿通可能な大径筒部となるとともに、前記小径半筒部が前記集水枝管の挿入可能な小径筒部となるものであって、前記下継手ピースを水底上に設置した状態で、前記大径半筒部上に一対の前記集水親管を突合わせて載置するとともに、前記小径半筒部上に前記集水枝管の端部を載置し、この後に、前記小径半筒部を分離した前記上継手ピースの前記大径半筒部を前記集水親管の上部に被せて、前記接合フランジ部を締結した後に、分離した前記小径半筒部を前記集水枝管の上部に被せて接着するようにした。
【0009】
このように構成した集水管の水中接続方法によれば、一方の継手ピースを水底上に設置した状態で、大径半筒部上に一対の集水親管を突合わせて載置するとともに、小径半筒部上に集水枝管の端部を載置し、この後に、他方の継手ピースの大径半筒部を集水親管の上部に被せるとともに、小径半筒部を集水枝管の上部に被せて、接合フランジ部を締結するので、接続用継手で、一対の集水親管の接続と集水枝管の接続とを同時に行うことができる。
【0010】
前記継手ピースには、一対の前記小径半筒部が対向するようにして前記大径半筒部の側面に突設配置することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1から図6は、本発明にかかる集水管の水中接続方法において、接続対象となる集水管や接続用継手の基本構造および接続工程の基本的な内容を例示している。
【0012】
接続対象となる集水管10は、図1にその平面状態を示すように、ともに中空円形断面の集水親管12と、多数の集水枝管14とを備え、径大な集水親管12の両側側面に、小径な複数の集水枝管14が、水平方向に突出するように連通接続されている。
【0013】
集水枝管14は、集水親管12の長手軸と、中心軸が直交するように延設され、かつ、集水親管12の長手軸方向に所定の間隔を隔てて列状に配置されている。
【0014】
集水管10は、当該集水管10の敷設個所の水底面16を掘削して、敷き均した上に設置されていて、各集水枝管14の下面に設置されるアンカー18に緊縛固定されている。
【0015】
図1に示した集水管10は、集水親管12の長手軸方向に沿って、実質的に同一構成の合計10個の集水管群10a〜10jに分けられている。
【0016】
各集水管群10a〜10jには、合計12本の集水枝管14が含まれていて、6本ずつが集水親管12の側面に突設されている。集水親管12と集水枝管14との連通接続部分には、図2〜図4に示す接続用継手20が設けられている。
【0017】
これらの図に示した継手20は、軸方向の中心で2分割された形態で、実質的に同一構成の一対の上,下継手ピース22,24を有している。
【0018】
継手ピース22,24は、大径半筒部22a,24aと、この大径半筒部22a,24aの側面に突設された小径半筒部22b,24bと、これらの半筒部の周縁に延設された接合フランジ部22c,24cとを有している。
【0019】
図示した例の場合には、大径半筒部22a,24aの軸方向の中心に一対の小径半筒部22b,24bが対向するように配置されていて、各小径半筒部22b,24bは、一端側が大径半筒部22a,24aの側面に一体化されて、側面から外方に突出するように形成されている。
【0020】
一対の上,下継手ピース22,24は、図2に示すように、接合フランジ部22c,24cを相互に接合した際に、大径半筒部22a,24a同士が連なって、両端が開口した円形断面の大径筒部Aとなるものであって、この大径筒部Aは、集水親管12の挿通可能な内径を有している。
【0021】
また、一対の上,下継手ピース22,24は、接合フランジ部22c,24cを相互に接合した際には、各小径半筒部22b,24b同士が連なって、円形断面で外端側が開口した小径筒部Bとなるものであって、小径筒部Bは、集水枝管14の挿入が可能な内径を有している。
【0022】
以上のように構成した継手20を使用して、集水親管12同士の接続と、集水親管12に対して、集水枝管14を連通接続する際には、まず、図4に示すように、下継手ピース22を水底上に設置する。
【0023】
そして、この状態で、下継手ピース24の大径半筒部24a上に一対の集水親管12を突合わせて載置する。なお、本実施例の継手20で接続される集水親管12の端部には、図4に仮想線で示すように半円状の孔12aが設けられている。
【0024】
次に、下継手ピース24の小径半筒部24b上に、一対の集水枝管14の端部をそれぞれ載置し、この後に、上継手ピース22の大径半筒部22aを集水親管12の上部に被せるとともに、小径半筒部22bを集水枝管14の上部にそれぞれ被せて、上,下継手ピース22,24の接合フランジ部22c,24c同士を当接させて、両者間をボルトナットにより締結すると、接続が完了する。
【0025】
この例の場合、各集水管群10a〜10jは、集水親管12の端部同士が相互に隣接するように設置され、一対の集水親管12の間に跨る接続桝30ないしは接続ユニット32を介して、連通接続させる。
【0026】
図5にこの例で用いる接続桝30の詳細を示しており、同図に示した接続桝30は、両端が開口した円筒を中心軸上分断した半円状の上および下曲板30a,30bと、円筒状の点検筒30cとを備えている。
【0027】
上,下曲板30a,30bの内径は、集水親管12の外径とほぼ同じになっている。点検筒30cは、上曲板30aの外面に内部と連通するように固着されていて、集水親管12に装着された状態では、垂直方向を指向するように設置される。
【0028】
一対の集水親管12同士を連通接続する際には、円弧面が上方を向くようにして下曲板30bを水底面16上に設置し、その内面側に集水親管12の端面が当接するようにして載置させる。
【0029】
そして、集水親管12の上面側から上曲板30aを被せて、各曲板30a,30bのフランジ同士をボルトナットなどにより緊結すると、集水親管12の連通接続が完了する。
【0030】
なお、この接続桝30を用いて接続される集水親管12の端部には、点検筒30cが内部に連通するような切欠が設けられている。
【0031】
この例の場合には、接続桝30は、6個用いられ、これ以外の集水親管12同士の接続部分には、図6に示す接続ユニット32が用いられる。同図に示した接続ユニット32は、両端が開口した円筒を中心軸上分断した半円状の上および下曲板32a,32bを備えている。集水親管12同士を接続する際の手順は、上述した接続桝30と実質的に同じ手順で行われる。
【0032】
さて、以上のようにして行われる集水管10の水中接続方法によれば、一方の下継手ピース24を水底上に設置した状態で、その大径半筒部24a上に一対の集水親管12を突合わせて載置するとともに、小径半筒部24b上に集水枝管14の端部を載置し、この後に、他方の上継手ピース22の大径半筒部22aを集水親管12の上部に被せるとともに、小径半筒部22bを集水枝管14の上部に被せて、接合フランジ部22c,24cを締結するので、接続用継手20で、一対の集水親管12の接続と集水枝管14の接続とを同時に行うことができる。
【0033】
すなわち、上述した接続方法によれば、図8,9に示した従来の接続方法で、3箇所の接続個所を2箇所にまとめることができ、しかも集水親管12に対して、集水枝管14の一部を溶着する必要もなくなり、その分だけ潜水夫の水中作業が軽減されて、施工能率も向上する。
【0034】
また、水中で集水枝管14を集水親管12に接続する際に、下継手ピース24に設けられた小径半筒部24bが、集水枝管14を装着する際の位置決めガイドとなるので、作業が容易に行え、作業時間の短縮も可能になり、工期的,品質的,コスト的にも有利なものとなる。
【0035】
図7は、本発明にかかる集水管の水中接続方法の一実施例を示しており、上述した基本構成例と同一もしくは相当する部分に同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下にその特徴点についてのみ説明する。
【0036】
同図に示した実施例では、上述した例で示した継手20の上継手ピース22に工夫を加えたものであり、図7に示した上継手ピース22'は、大径半筒部22a'と小径半筒部22b'とを備えているが、小径半筒部22b'は、上継手ピース22'から分離されている。
【0037】
予め分離された小径半筒部22b'は、上継手ピース24'と下継手ピース22とを接合して、フランジ部同士を締結した後に、接着などにより集水枝管14の表面側に装着される。
【0038】
このような上継手ピース22'を用いると、上述した例で得られる作用効果に加えて、集水枝管14の装着状態を確認して、確実に接続を行うことができる。なお、上記実施例では、円形断面の管体同士の水中接続を例示したが、本発明の実施は、これに限定されることはなく、角形,多角形断面などの管体の水中接続にも適用することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかる集水管の水中接続方法によれば、接続個所を低減することにより、作業能率を改善して、工期の短縮と工費の低減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる水中接続方法が適用される集水管の敷設状態の上面図である。
【図2】本発明にかかる集水管の水中接続方法の接続完了状態の上面図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4】本発明にかかる集水管の水中接続方法の接続工程の説明図である。
【図5】図1に示した集水管の集水管群間の接続に用いる接続桝の平面図と断面図である。
【図6】図1に示した集水管の集水管群間の接続に用いる接続ユニットの平面図と断面図である。
【図7】本発明にかかる集水管の水中接続方法の他の実施例を示す要部説明図である。
【図8】従来の接続方法の側面説明図である。
【図9】図8の平面図である。
【符号の説明】
10 集水管
10a〜10j 集水管群
12 集水親管
14 集水枝管
16 水底面
20 継手
22 上継手ピース
22a 大径半筒部
22b 小径半筒部
22c フランジ部
24 下継手ピース
24a 大径半筒部
24b 小径半筒部
24c フランジ部

Claims (2)

  1. 径大な集水親管の両側面に、複数の小径集水枝管が、接続用継手を介在させて、水平方向に突出するように連通接続される集水管の水中接続方法において、
    前記接続用継手は、一対の上,下継手ピースから構成され、
    前記 ,下継手ピースは、大径半筒部と、この大径半筒部の側面に突設された小径半筒部と、これらの半筒部の周縁に延設された接合フランジ部とを有し、
    前記上継手ピースの前記小径半筒部は、当該上継手ピースから分離可能に構成され、
    前記一対の上,下継手ピースは、前記接合フランジ部を相互に接合した際に、前記大径半筒部が前記集水親管の挿通可能な大径筒部となるとともに、
    前記小径半筒部が前記集水枝管の挿入可能な小径筒部となるものであって、
    前記下継手ピースを水底上に設置した状態で、前記大径半筒部上に一対の前記集水親管を突合わせて載置するとともに、前記小径半筒部上に前記集水枝管の端部を載置し、この後に、前記小径半筒部を分離した前記上継手ピースの前記大径半筒部を前記集水親管の上部に被せて、前記接合フランジ部を締結した後に、分離した前記小径半筒部を前記集水枝管の上部に被せて接着することを特徴とする集水管の水中接続方法。
  2. 前記継手ピースは、一対の前記小径半筒部が対向するようにして前記大径半筒部の側面に突設配置されていることを特徴とする請求項1記載の集水管の水中接続方法。
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