JP4164506B2 - 樹脂モールド装置および樹脂モールド方法 - Google Patents
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Description
クランパ16の端面は、キャビティブロック14の内底面よりも下型12に向けて突出し、クランパ16とキャビティブロック14とによってキャビティ凹部が形成される。
エア吸着孔16aとエア吸引路17とは、クランパ16の内部に形成されたエア流路16bを介して樹脂モールド金型の外部のエア吸引機構に接続される。エア流路16bはキャビティブロック14の端面よりも背面側でクランパ16の内側面で開口してエア吸引路17と連通する。
下型12および上型は、樹脂モールド装置のプレス機構に各々支持されており、樹脂モールド金型内に被成形品30を搬入してセットし、型開閉操作を行うことによって被成形品30が樹脂モールドされる。樹脂モールド操作の際に、下型と上型を含む樹脂モールド領域は真空チェンバー22内で真空に保持される。
図7は、可動型が型締め位置まで移動し、被成形品30が圧縮成形されている状態を示す。図6に示す状態から、型締め位置まで金型が移動する際には弾発スプリング20が圧縮され、クランパ16に対して相対的にキャビティブロック14が型締め位置まで押動されて、キャビティ15に樹脂40が充填されて樹脂モールドされる。
このエア吸引路17は、キャビティブロック14の側面(周縁部)にスリット状に開口し、エア吸引路17に連通してクランパ16の内側面で開口するエア流路16bに連通する。したがって、キャビティ15に樹脂40が完全に充填され、樹脂40に充填圧が作用するようになると、図7に示すように、エア吸引路17に樹脂40が押し出され、エア吸引路17に押し出された樹脂40が樹脂成形部の外面に突起Aとしてあらわれる。また、エア吸引路17に押し出された部位でリリースフィルム10が破れたりすると、キャビティブロック14とクランパ16との摺接部分に樹脂40が入り込み、樹脂モールド金型の動作不良を生じさせるという問題が生じる。
すなわち、樹脂モールド金型により被成形品をクランプして樹脂モールドする、リリースフィルムを用いた樹脂モールド金型において、前記樹脂モールド金型は、前記被成形品を樹脂モールドするキャビティの配置にしたがって形成されたキャビティブロックと、該キャビティブロックを囲む配置に設けられ、キャビティブロックの側面に内側面が摺接して型開閉方向に可動に支持されるとともに、キャビティブロックの端面を内底面とするキャビティ凹部を構成するクランパとを備え、該クランパの前記キャビティブロックの側面に摺接する内側面に、前記キャビティ凹部内に連通し、前記リリースフィルムを前記キャビティ凹部内に吸引するためのエア吸引孔が設けられ、該エア吸引孔は、前記キャビティブロックが型締め位置まで移動した際に閉止される配置に設けられていることを特徴とする。
なお、本発明は圧縮成形による樹脂モールド金型、トランスファモールドによる樹脂モールド金型に適用される。また、樹脂モールド金型に形成されるキャビティの配置数は単数および複数とすることができ、キャビティの形状も適宜選択可能である。
また、前記クランパのクランプ面には、前記リリースフィルムをクランプ面にエア吸着するエア吸着孔が設けられ、前記エア吸引孔と前記エア吸着孔とが、同一のもしくは異なるエア吸引機構に接続されていることを特徴とする。クランパのクランプ面にエア吸着孔を設けることによりリリースフィルムをクランパの端面(クランプ面)に確実にエア吸着することができ、キャビティ凹部の内面にならってリリースフィルムが的確にエア吸着される。
また、前記樹脂モールド金型の樹脂モールド領域が、真空チェンバー内に配置され、該真空チェンバーが真空装置に接続されていることにより、成形品の樹脂部にボイドを生じさせずに信頼性の高い樹脂モールドが可能になる。
(樹脂モールド金型の構成)
図1〜4は、本発明に係る樹脂モールド装置の主要構成部分である樹脂モールド金型の構成と、この樹脂モールド金型を使用して樹脂モールドする工程を示す。以下では、まず、図1、2にしたがって樹脂モールド金型の構成について説明する。
被成形品30をクランプして樹脂モールドする樹脂モールド領域は真空チェンバー22により包囲される形態に設けられ、真空チェンバー22はチェンバー排気路24を介して真空装置25に接続されている。
図5に示すように、従来の樹脂モールド金型においては、キャビティブロック14の側面に摺接するクランパ16の内側面にはエア流路16bのみが開口し、リリースフィルム10をキャビティ凹部の内底面側にエア吸引するエア吸引路17はキャビティブロック14の側面に設けられている。
クランパ16の内側面はキャビティブロック14の側面に摺接し、キャビティブロック14に摺接するクランパ16の摺接面にエア吸引孔16cが凹溝状に設けられる。エア吸引孔16cは、キャビティブロック14を囲むように、周方向に複数個設けられている。
クランパ16の内側面に形成するエア吸引孔16cの端部のクランプ面からの高さ(離間距離)Hは、型開きしてクランパ16が最も突出した状態で、クランパ16のクランプ面とキャビティブロック14の端面との離間高さよりも低くなるように、いいかえれば、型開きした状態でキャビティ凹部の内底面側でキャビティ凹部とエア吸引孔16cとが連通するように設定される。なお、本実施形態ではエア吸引孔16cはクランパ16の内側面に沿って、内側面上で開口するように設けているが、エア吸引孔16cの端部のみをクランパ16の内側面で開口させ、エア吸引孔16cをクランパ16の内部に形成してエア流路16bに連通させる構成とすることもできる。
続いて、上述した樹脂モールド金型を用いて被成形品30を樹脂モールドする方法について説明する。
まず、図1に示すように、型開きした状態で、下型12に被成形品30をセットし、被成形品30の上にモールド用の樹脂40を供給する。本実施形態の樹脂モールド金型は圧縮成形方法によって被成形品30の片面を圧縮成形する。そのため、被成形品30の樹脂モールド面上に所定量の樹脂40を計量して供給する。モールド用の樹脂40としては液状樹脂、ペースト状樹脂が使用できる。被成形品30を下型12にセットした後に被成形品30の上に樹脂40を供給してもよいし、金型外で被成形品30にあらかじめ樹脂を供給しておき、樹脂40とともに被成形品30を金型内に搬入してセットしてもよい。なお、液状樹脂、ペースト状樹脂の他に、顆粒状樹脂、粉末状樹脂、タブレット樹脂等を使用することも可能である。
リリースフィルム10をキャビティ凹部の内面にエア吸着するエア吸引機構19は真空チェンバー22の真空度よりも高真空に設定され、クランパ16とキャビティブロック14とによって形成されたキャビティ凹部の内面にリリースフィルム10がエア吸着される。
エア吸着孔16aとエア吸引孔16cとが別個にエア吸引機構に接続されている場合には、まず、エア吸着孔16aによりリリースフィルム10をクランパ16のクランプ面にエア吸着し、次いで、エア吸引孔16cによりキャビティ凹部の底面側からエア吸引するとよい。クランパ16のクランプ面にリリースフィルム10をエア吸着することによって、キャビティ凹部が閉鎖空間となり、キャビティ凹部の底面側で開口するエア吸引孔16cからリリースフィルム10をエア吸引することによってキャビティ凹部の内面形状にならって確実にリリースフィルム10をエア吸着することができる。
前述したように、クランパ16の内側面に設けられるエア吸引孔16cは、型開きした状態で、キャビティ凹部の内部と連通するように設ければよいが、図1に示すように、キャビティ凹部の内底面(キャビティブロック14の端面)の近傍部分で孔端が開口するようにするのがよい。キャビティブロック14の端面近傍でエア吸引孔16cの端部が開口するようにすることで、リリースフィルム10をキャビティ凹部の内底面側に確実に吸引することができ、キャビティ凹部の内面にならってリリースフィルム10がエア吸着されやすくなるからである。
被成形品30にリリースフィルム10を介してクランパ16が当接し、被成形品30の片面側にキャビティ15が形成される。クランパ16が被成形品30に当接した状態で、クランパ16に設けたエア吸引孔16cはキャビティ凹部内で開口し、エア吸引機構19によりエア吸引することによってリリースフィルム10がキャビティ凹部の内底面側にエア吸引される状態が維持される。
可動型を型締め位置まで移動させる際には、クランパ16は被成形品30に当接しているから、弾発スプリング20が圧縮され、キャビティブロック14が相対的に下型12に向けて押動され、キャビティ15に樹脂40が充填される。
可動型を型締め位置まで移動させる際に、キャビティブロック14がエア吸引孔16cを遮断する位置まで移動した際には、エア吸引機構19が作動していてもリリースフィルム10をキャビティ側にエア吸引する作用は生じなくなる。
ただし、本実施形態のように、被成形品30を最終的に樹脂成形する際に、キャビティ15の全領域をキャビティブロック14とクランパ16の平坦面部分(エア吸引孔16cが形成されていない部分)とで包囲して樹脂モールドする方法は、樹脂モールド領域を真空排気して樹脂モールドする方法に限らず、真空チェンバー22(真空排気機構)を備えないキャビティブロック14とクランパ16とを備えた樹脂モールド装置についても同様に適用することが可能である。
これは、上型と下型とで被成形品30をクランプすると、キャビティ15は真空チェンバー22内で独立した遮断空間になるから、その時点で真空装置25による真空排気操作を停止すると、必要以上の真空排気によってキャビティ15内と真空チェンバー22内の圧力差が生じて樹脂40が漏出する作用を抑制することができる一方、エア吸引機構19によりリリースフィルム10を吸引する作用は引き続き継続し、リリースフィルム10のキャビティ内面へのエア吸着が確実に行われるからである。
12 下型
14 キャビティブロック
15 キャビティ
16 クランパ
16a エア吸着孔
16b エア流路
16c エア吸引孔
17 エア吸引路
19 エア吸引機構
22 真空チェンバー
25 真空装置
30 被成形品
40 樹脂
Claims (6)
- 樹脂モールド金型により被成形品をクランプして樹脂モールドする、リリースフィルムを用いた樹脂モールド金型において、
前記樹脂モールド金型は、前記被成形品を樹脂モールドするキャビティの配置にしたがって形成されたキャビティブロックと、
該キャビティブロックを囲む配置に設けられ、キャビティブロックの側面に内側面が摺接して型開閉方向に可動に支持されるとともに、キャビティブロックの端面を内底面とするキャビティ凹部を構成するクランパとを備え、
該クランパの前記キャビティブロックの側面に摺接する内側面に、前記キャビティ凹部内に連通し、前記リリースフィルムを前記キャビティ凹部内に吸引するためのエア吸引孔が設けられ、
該エア吸引孔は、前記キャビティブロックが型締め位置まで移動した際に閉止される配置に設けられていることを特徴とする樹脂モールド装置。 - 前記エア吸引孔は、前記クランパの内側面に沿って開口する凹溝に形成されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂モールド装置。
- 前記クランパのクランプ面には、前記リリースフィルムをクランプ面にエア吸着するエア吸着孔が設けられ、
前記エア吸引孔と前記エア吸着孔とが、同一のもしくは異なるエア吸引機構に接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂モールド装置。 - 前記クランパは、前記キャビティブロックの端面よりも常時クランプ面を突出させた状態に弾発スプリングにより支持されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の樹脂モールド装置。
- 前記樹脂モールド金型の樹脂モールド領域が、真空チェンバー内に配置され、
該真空チェンバーが真空装置に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の樹脂モールド装置。 - 被成形品を樹脂モールドするキャビティの配置にしたがって形成されたキャビティブロックと、該キャビティブロックを囲む配置に設けられ、キャビティブロックの側面に内側面が摺接して型開閉方向に可動に支持されるとともに、キャビティブロックの端面を内底面とするキャビティ凹部を構成するクランパとを備えた樹脂モールド金型を備え、
該樹脂モールド金型の樹脂モールド領域が、真空チェンバー内に配置され、該真空チェンバーが真空装置に接続された樹脂モールド装置を用いて樹脂モールドする樹脂モールド方法において、
前記樹脂モールド金型として、前記クランパの前記キャビティブロックの側面に摺接する内側面に、前記キャビティ凹部内に連通し、前記リリースフィルムを前記キャビティ凹部内に吸引するためのエア吸引孔が設けられ、該エア吸引孔が、前記キャビティブロックが型締め位置まで移動した際に閉止される配置に設けられた金型を使用し、
前記樹脂モールド金型に被成形品をセットし、キャビティ領域をリリースフィルムにより被覆し、前記真空装置を作動させて前記真空チェンバー内を真空排気した後、
前記クランパが前記被成形品に当接した時点で前記真空装置の作動を停止させ、その後の樹脂モールド操作を行うことを特徴とする樹脂モールド方法。
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