JP4164008B2 - 銅粉末及びその製造方法並びにそれを用いた銅ペースト・塗料、電極 - Google Patents

銅粉末及びその製造方法並びにそれを用いた銅ペースト・塗料、電極 Download PDF

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Description

本発明は、耐酸化性に優れた銅粉末及びその製造方法、この銅粉末を用いた銅ペースト・塗料、更には電極に関する。
銅粉末は良好な電気伝導性を有する廉価な材料であり、コンデンサー等の外部電極、プリント配線板の回路等の電極部材や、各種電気的接点部材などの電気的導通を確保するための材料として幅広く用いられている。また、近年、積層セラミックスコンデンサーの内部電極にも用いられ始めている。積層セラミックスコンデンサーは、電解コンデンサー、フィルムコンデンサー等他の形式のコンデンサーと比較して、大容量が得られ易く、実装性に優れ、安全性・安定性が高いので、急速に普及している。最近の電子機器の小型化に伴い、積層セラミックスコンデンサーも小型化する方向にあるが、大容量を維持するには、セラミックスシートの積層数を減らさずに小型化する必要があり、強度等の点でシートの薄層化には限界があるため、パラジウム、ニッケルや銅などの微細な金属粒子を用い内部電極を薄層化することで、積層セラミックスコンデンサーの小型化を実現している。
このような分野では、一般的に、金属粒子をエポキシ樹脂、フェノール樹脂などのバインダーと混合してペースト化あるいは塗料化し、この金属ペースト・塗料を、例えば、プリント配線板であれば、基板にスクリーン印刷した後、積層セラミックスコンデンサーであれば、薄層のセラミックスシート上に塗布し、シートを積層した後、それぞれ加熱焼成して電気回路、電極等を形成している。電気的導通を確保するには、用いる金属粒子に金属酸化物ができる限り含まれないものが良いが、銅粉末は非常に酸化され易く、加熱焼成を窒素ガス等の不活性ガスを用いて非酸化性雰囲気下で行っても、銅粒子表面の酸化を十分に防げず、所望の性能の電極等が得られない。このため、耐酸化性に優れた銅粉末が求められており、例えば、導電性ペーストに用いる樹枝状銅粉末に、高級脂肪酸、リン酸エステル類、高級脂肪族アミン、カップリング剤、シリコーンオイル等を表面処理する技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開平10−147801号公報(第3頁)
銅粉末の表面に高級脂肪酸、リン酸エステル類、高級脂肪族アミン、カップリング剤、シリコーンオイルを処理すると、耐酸化性が向上するものの十分ではなく、高性能の電極等を製造するために更なる耐酸化性の改善が求められている。そこで、本発明は、より一層耐酸化性に優れ、しかも導電性に優れた銅粉末を提供するものである。
本発明者は、このような問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、銅粒子の表面をシリコーンオイル及び硫黄化合物で処理することにより、銅粒子の耐酸化性が改善できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体、メルカプト変性ポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種のシリコーンオイルとメルカプトプロピオン酸とが銅粒子の表面に結合および/または吸着していることを特徴とする銅粉末である。また、本発明は、メルカプトプロピオン酸及び保護コロイドの存在下で銅化合物と還元剤とを反応させてメルカプトプロピオン酸が結合および/または吸着した銅粒子を得る工程、得られた銅粒子、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体、メルカプト変性ポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種のシリコーンオイルを表面処理させる工程とからなることを特徴とするシリコーンオイルとメルカプトプロピオン酸とが銅粒子の表面に結合および/または吸着した銅粉末の製造方法である。更に、本発明は、前記銅粉末を配合してなる銅ペーストまたは銅塗料であり、前記銅粉末を用いた電極である。
本発明は、銅粉末に含まれる銅粒子の表面にシリコーンオイル及び硫黄化合物を処理することにより、銅粉末の導電性を損なわずに耐酸化性を改善することができ、コンデンサー等の外部電極や内部電極、プリント配線板の回路等の電極部材や、各種電気的接点部材などの電気的導通を確保するための材料として幅広く用いることができる。特に、コンデンサー等の外部電極や内部電極、プリント配線板の回路等の電極部材に適用すると、薄膜で高密度の電極が得られる。また、本発明の銅粉末はシリコーンオイルと硫黄化合物を処理しているため、バインダー樹脂や溶媒との親和性が良く分散が容易で、少量のバインダー樹脂、溶媒でペースト化や塗料化が容易にできる。また、本発明は、硫黄化合物及び保護コロイドの存在下で銅化合物と還元剤とを反応させて硫黄化合物を処理した銅粒子を得、次いで、得られた銅粒子とシリコーンオイルとを接触させて、銅粒子の表面にシリコーンオイルと硫黄化合物とが処理された銅粉末を製造する方法であって、粒子形状の整った銅粒子が得られ易く、耐酸化性をより一層改善できる。
本発明は、耐酸化性が優れた銅粉末であって、銅粒子の表面にシリコーンオイル及び硫黄化合物を処理したものである。本発明でシリコーンオイル及び硫黄化合物を処理するとは、それらが銅粒子の表面と化学的に反応し結合した状態、または、銅粒子の表面に物理的に吸着した状態、あるいは、これらの状態が複合した状態にあることを言う。シリコーンオイル処理と硫黄化合物処理との相乗的な効果によって、それぞれを単独で処理するよりも優れた耐酸化性が、銅粒子に付与されるものと推測される。金属銅が完全に酸化されるとCuOとなり、理論上約25%の重量増加率となるが、例えば、耐酸化性の指標として加熱焼成後の重量増加率を用いると、本発明の銅粉末は最大でも15%の重量増加率(即ち0〜15%)であり、好ましくは10%以下の重量増加率(即ち0〜10%)であり、より好ましくは8%以下の重量増加率(即ち0〜8%)である。重量増加率は、銅粉末を窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの非酸化性雰囲気下60℃の温度で10時間加熱した後の金属銅重量(W)に対して、その後更に、空気、酸素ガスなどの酸化性雰囲気下500℃の温度で20分間加熱した後の重量(W)の増加率((W−W)/W×100)で算出する。シリコーンオイルは銅粒子に対して、0.2〜20重量%の範囲で処理するのが好ましく、硫黄化合物は0.1〜20重量%の範囲が好ましい。シリコーンオイル及び硫黄化合物の処理量がこの範囲内であれば、銅粒子の導電性を保持しながら、所望の耐酸化性が得られる。より好ましいシリコーンオイルの処理量の範囲は1〜15重量%であり、より好ましい硫黄化合物の範囲は0.5〜10重量%である。
本発明で用いるシリコーンオイルは、シロキサン結合(−O−Si−O−)からなる直鎖状の分子構造を有し、シリコーンオイル同士はほとんど重合しないか、重合しても1次元または2次元的な構造をなすものである。シリコーンオイルの側鎖や末端は、有機または無機の各種官能基で変性されていても良く、官能基は水素基、メルカプト基、アミノ基等の反応性のものであっても、フェニル基、高級アルキル基等の非反応性のものであっても良く、特に制限は無い。具体的には、下記の式(1)で表される化合物が好ましく、例えば、式(1)のm、lが0でありX1〜3がメチル基である形態のジメチルポリシロキサン、式(1)のm、lが0でありX1、X2がメチル基でX3が官能基である形態のメチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等、式(1)のlが0でありX1〜3がメチル基でX4が官能基である形態のフルオロアルキル変性ポリシロキサン、高級アルキル変性ポリシロキサン、メチルスチリル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン等、式(1)のm、lが0でありX3がメチル基でX1、X2が官能基である形態のカルボキシル変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンジオール等、式(1)のm、lが0でありX3がメチル基でX1、X2が官能基、またはlが0でありX1〜X3がメチル基でX4が官能基である形態のメルカプト変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、高級脂肪酸変性ポリシロキサン等、式(1)のm、lが0でありX3がメチル基でX1、X2が官能基、またはm、lが0でありX2、X3がメチル基でX1が官能基、またはlが0でありX1〜X3がメチル基でX4が官能基である形態のエポキシ変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、式(1)のX1〜3がメチル基でX4、X5が異種の官能基である形態のメチルビニルフェニルポリシロキサン等が挙げられ、これらを1種で用いても、2種以上を混合物、あるいは共重合体として用いても良い。中でもジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサンがその効果が高いので好ましく、特にメルカプト変性ポリシロキサンが好ましい。
(化1)
CH CH CH CH CH
│ │ │ │ │
式(1):X1―SiO(SiO)(SiO)(SiO)Si―X2
│ │ │ │ │
CH X3 X4 X5 CH
[式(1)中、X1〜5がメチル基または官能基で、nは1以上の整数でm、lはそれぞれ0または1以上の整数であり、X1〜5の少なくとも2個が官能基の場合、官能基は同種であっても異種であっても良い。]
また、硫黄化合物としては、メルカプト基(−SH)を持つ有機化合物RSH(Rはアルキル基などの炭化水素基)であるチオール類、チオグリコール類、チオアミド類、ジチオール類及びその誘導体の他に、チオン類、ポリチオール類、チオ炭酸類、チオ尿素類、硫化水素等の硫黄化合物及びそれらの誘導体等を用いることができ、これらを1種または2種以上を用いても良い。具体的には、チオール類としては、例えば、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酢酸、チオジプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオ酢酸等の酸チオール類、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、ドデカンチオール、ヘキサンチオール、アリルメルカプタン、ジメチルメルカプタン、メルカプトエタノール、アミノエチルメルカプタン、チオジエチルアミン、システイン等の脂肪族チオール類、シクロヘキシルチオール等の脂環式チオール類、チオフェノール等の芳香族チオール類等が挙げられる。チオグリコール類としては、例えば、チオジエチレングリコール、チオジグリコール酸、チオグリコール酸メチル、エチレンチオグリコール等が挙げられる。また、チオアミド類としては、例えば、チオホルムアミド等が挙げられる。中でもメルカプトプロピオン酸、ドデカンチオール、ヘキサンチオール、チオグリコール酸メチル、システインがその効果が高く好ましい。
銅粒子の形状は特に制限を受けないが、充填性が優れているので、ほぼ真球の球状粒子とするのが好ましい。また、粒子径は平均粒子径を1.0μm以下にすると、欠陥がほとんど無い高密度の電極が得られ易く、0.005μm以上にするとペースト、塗料等への分散性に優れているので、0.005〜1.0μmの範囲とするのが好ましい。より好ましい範囲は0.05〜1.0μmであり、更に好ましい範囲は0.1〜1.0μmであり、最も好ましい範囲は0.2〜1.0μmである。平均粒子径は電子顕微鏡法により測定した累積50%径で表され、粒子形状も電子顕微鏡で観察される。
本発明の銅粉末を得るには、先ず、銅粒子を製造する。銅粒子の製造には種々の方法を用いることができ、例えば、(1)アトマイズ法等の気相で銅化合物を還元反応させる方法、(2)湿式還元法等の液相で銅化合物を還元反応させる方法等が挙げられる。中でも、特別な設備を要しない(2)の方法が工業的に有利でる。
前記(2)の方法では、媒液中、例えば水またはアルコール類等の有機系の媒液中で、好ましくは水中で、銅化合物と還元剤とを混合して、好ましくは硫黄化合物、保護コロイドから選ばれる1種、または2種の化合物の存在下で、還元反応を行うのが好ましい方法である。反応温度は10℃〜用いた媒液の沸点の範囲であれば反応が進み易いので好ましく、40〜95℃の範囲であれば更に好ましい。反応液のpHを酸またはアルカリで3〜12の範囲に予め調整すると、銅化合物の沈降を防ぎ、均一に反応させることができるので好ましい。還元剤の使用量は、銅化合物から銅粒子を生成できる量であれば適宜設定することができ、銅化合物中に含まれる銅1モルに対し0.2〜5モルの範囲にあるのが好ましい。
原料の銅化合物としては、銅酸化物、塩化銅、塩素酸銅、臭化銅、ヨウ化銅、硫酸銅、硝酸銅、炭酸銅、炭酸水酸化銅、テトラアンミン銅硫酸塩、テトラシアノ銅酸カリウム等やそれらの水和物の無機銅化合物、蟻酸銅、酢酸銅、シュウ酸銅等やそれらの水和物の有機銅化合物を用いることができ、中でも銅酸化物が好ましい。尚、本発明では銅酸化物を、通常の銅の酸化物の他に、銅の含水酸化物、銅の水酸化物を包含する意味で用いており、銅の酸化物としては亜酸化銅(または酸化第一銅)、酸化銅(または酸化第二銅)等を用いることができる。
還元剤としては公知のものを用いることができ、例えば、ヒドラジンや、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、抱水ヒドラジン等のヒドラジン化合物等のヒドラジン系還元剤、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、次亜硝酸ナトリウム、亜リン酸及び亜リン酸ナトリウム等のその金属塩、次亜リン酸及び次亜リン酸ナトリウム等のその金属塩、アルデヒド類、アルコール類、アミン類、糖類等が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いても良い。特に、ヒドラジン系還元剤は還元力が強く好ましい。
保護コロイドとして公知のものを用いることができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等のタンパク質系、デンプン、デキストリン、寒天、アルギン酸ソーダ等の天然高分子や、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース系、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニル系、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸アンモニウム等のアクリル酸系、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ポリエチレングリコール等の合成高分子、クエン酸等の多価カルボン酸、アニリンまたはそれらの誘導体等が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いても良い。保護コロイドは、生成した銅粒子の分散安定化剤として作用するものであり、その使用量は銅化合物100重量部に対し1〜100重量部の範囲にすると、生成した銅粒子が分散安定化し易いので好ましく、2〜50重量部の範囲が更に好ましい。
また、還元反応の際に添加する硫黄化合物としては、前記の表面処理と同じものを用いることができ、チオール類、チオグリコール類、チオアミド類、ジチオール類、チオン類、ポリチオール類、チオ炭酸類、チオ尿素類、硫化水素等を用いるのが好ましい。中でもメルカプトプロピオン酸、ドデカンチオール、ヘキサンチオール、チオグリコール酸メチル、システインがその効果が高く更に好ましい。硫黄化合物の使用量は適宜設定することができ、少なくとも、銅化合物1000重量部に対し0.5〜50重量部の範囲に設定するとその効果が得られ易いので好ましく、1〜20重量部の範囲が更に好ましい。
本発明では、特に、ゼラチン等の高分子化合物を保護コロイドとして用い、メルカプトプロピオン酸等の硫黄化合物の存在下で、銅化合物とヒドラジン系還元剤等の還元剤とを媒液中で反応させる方法が好ましく、硫黄化合物によって反応速度が制御され、凝集粒子がほとんど無く、分散性に優れ、粒子形状の整った銅粒子が得られ、また、硫黄化合物が生成した銅粒子の表面に予め処理される。
銅粒子を生成させた後、適宜、濾過、洗浄、乾燥を行い、必要に応じて粉砕する。乾燥は銅粒子が酸化し難いように、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の非酸化性ガス(不活性ガス)の雰囲気下で行うのが好ましい。
次いで、銅粒子の表面にシリコーンオイル及び硫黄化合物を処理する。処理方法としては、(a)銅粒子とシリコーンオイル、硫黄化合物をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速撹拌機を用いて混合する所謂乾式処理、(b)アルコール類等の有機系溶媒、または分散剤を加えた水等を媒液に用い、媒液中で銅粒子とシリコーンオイル、硫黄化合物を接触させる所謂湿式処理等を用いることができる。湿式処理では処理後に銅粒子を固液分離する必要があるので、固液分離時にシリコーンオイルの歩留りが低下しないように、シリコーンオイルにはメチルハイドロジェンポシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン等の銅粒子とある程度反応するものを選択する。硫黄化合物は、通常、銅粒子と強く結合するので、湿式処理を適用しても、用いる硫黄化合物の種類は制限を受けない。シリコーンオイルと硫黄化合物の添加順序には制限は無く、両者を同時に添加しても良い。


本発明では、前記の硫黄化合物及び保護コロイドの存在下で銅化合物と還元剤とを反応させて硫黄化合物を処理した銅粒子を得る工程、次いで、得られた銅粒子とシリコーンオイルとを接触させる工程による方法が簡便で好ましい。この方法では製造工程で用いた硫黄化合物が銅粒子と強く結合するので、その後はシリコーンオイルを処理するだけでも所望の効果が得られる。尚、この方法では、銅粒子を得る工程で添加した硫黄化合物の量が少量である場合、シリコーンオイルを接触させる工程において、硫黄化合物を追加処理することもできる。
シリコーンオイルと硫黄化合物の処理後、必要に応じて適宜、固液分離(濾過)、洗浄、乾燥、粉砕する。乾燥は銅粒子が酸化し難いように、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の非酸化性ガス(不活性ガス)の雰囲気下で行うのが好ましい。また、シリコーンオイルと硫黄化合物の処理後に加熱処理すると、更に耐酸化性が向上するので好ましい。加熱温度は80〜400℃の範囲が好ましく、100〜350℃の範囲が更に好ましい。加熱処理は銅粒子が酸化し難いように、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の非酸化性ガス(不活性ガス)の雰囲気下で行うのが好ましい。加熱処理後の銅粉末は、必要に応じて再度粉砕しても良い。
本発明の銅粉末は、必要に応じて溶媒あるいはバインダー樹脂と混合して、銅ペーストあるいは銅塗料(銅インク)にして用いられる。溶媒は用途に応じて適宜選択することができ、例えば、比較的高沸点の非極性溶剤あるいは低極性溶剤、具体的には、テルピネオール、ミネラルスピリット、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン等を用いることができる。また、バインダー樹脂も用途に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オリゴエステルアクリレート樹脂、キシレン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができ、フェノール樹脂、エポキシ樹脂は、基板との密着性が良好であるので、樹脂成分としてより好ましいものである。溶媒、バインダー樹脂の配合量は用途に応じて適宜設定することができ、例えば、銅粉末100重量部に対して、溶媒は1〜500重量部程度、バインダー樹脂は1〜50重量部程度とすることができる。このような銅ペーストあるいは銅塗料(銅インク)は、通常の方法により基板に塗布後、加熱焼成して、積層セラミックスコンデンサーの内部電極、プリント配線基板の回路等や、その他の電極を製造するのに用いることができる。本発明の銅粉末は耐酸化性に優れているので、これを用いて製造した前記の電極は電気特性の優れたものとなる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
実施例1
工業用亜酸化銅(NC−102:エヌシーテック社製)30g、硫黄化合物として3−メルカプトプロピオン酸0.085g、保護コロイドとしてゼラチン5gを400ミリリットルの純水に添加、混合し、10%の硫酸を用いて混合液のpHを7に調整した後、20分かけて室温から90℃まで昇温した。昇温後、撹拌しながら80%ヒドラジン一水和物を添加し、2時間かけて亜酸化銅と反応させ、銅粒子に対し3−メルカプトプロピオン酸を1.3重量%処理した平均粒子径が0.45μmの銅微粒子を生成させた。その後、濾液比抵抗が100μS/cm以下になるまで濾過洗浄し、窒素ガスの雰囲気下で60℃の温度で10時間かけて乾燥し、銅粒子を得た。次いで、銅粒子とこれに対し8重量%に相当するメチルハイドロジェンポリシロキサン(SH−1107:前式(1)のm、lが0でありX3が水素基、X1、X2がメチル基のもの、東レダウコーニングシリコーン社製)とを、ブレンダーを用いて5分間撹拌して乾式処理した後、窒素ガスの雰囲気下で120℃の温度で2時間加熱処理して本発明の銅粉末(試料A)を得た。
実施例2
メチルハイドロジェンポリシロキサンの処理量を10重量%に変更したこと以外は実施例1と同様にして本発明の銅粉末(試料B)を得た。
実施例3〜5
メチルハイドロジェンポリシロキサンをジメチルポリシロキサン(SH−200:前式(1)のm、lが0でありX1〜X3がメチル基のもの、東レダウコーニングシリコーン社製)に替えたこと以外は実施例1、2と同様にして本発明の銅粉末(それぞれ実施例3−試料C、実施例4−試料D)を得た。また、加熱処理温度を300℃に変更したこと以外は実施例4と同様にして本発明の銅粉末(実施例5−試料E)を得た。
実施例6
メチルハイドロジェンポリシロキサンをメチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体(KF−9901:信越化学工業社製)に替えたこと以外は実施例2と同様にして本発明の銅粉末(試料F)を得た。
実施例7
メチルハイドロジェンポリシロキサンをメルカプト変性ポリシロキサン(KF−2004:前式(1)のlが0でありX1〜3がメチル基でX4がメルカプト基のもの、信越化学工業社製)に替えたこと以外は実施例1と同様にして本発明の銅粉末(試料G)を得た。
実施例8
実施例1と同様にして銅粒子を得た後、銅粒子を2−プロパノール中に分散させ、500g/リットルのスラリーとし、銅粒子に対して4重量%に相当するメルカプト変性ポリシロキサン(KF−2004:信越化学工業社製)をこのスラリーに添加して30分間撹拌して湿式処理した。その後、蒸発乾固により、銅粒子を固液分離した。次いで、銅粒子を窒素ガスの雰囲気下で120℃の温度で5時間加熱処理した後、乳鉢で粉砕し本発明の銅粉末(試料H)を得た。
比較例1、2
保護コロイドとしてアラビアゴム2gを2900ミリリットルの純水に添加した後、工業用酸化銅(N−120:エヌシーテック社製)125gを添加し撹拌しながら、80%ヒドラジン一水和物を360ミリリットル添加した。ヒドラジン一水和物の添加後から3時間かけ室温から60℃に昇温し、更に2時間かけて酸化銅と反応させ、平均粒子径が0.6μmの銅粒子を生成させた。その後、濾液比抵抗が100μS/cm以下になるまで濾過洗浄し、窒素ガスの雰囲気下で60℃の温度で10時間かけて乾燥し、銅粒子を得た。次いで、実施例1と同様にしてメチルハイドロジェンポリシロキサン(SH−1107)を乾式処理した後、加熱処理して銅粉末(試料I)を得た。また、シリコーンオイルをジメチルポリシロキサン(SH−200)に替えたこと以外は比較例1と同様にして、銅粉末を(比較例2−試料J)得た。
比較例3〜5
比較例1及び実施例1において、メチルハイドロジェンポリシロキサンを処理せず、また加熱処理せずに得た銅粉末を、それぞれ比較例3、4(試料K、L)とする。また、比較例4において、300℃の温度で2時間加熱処理したこと以外は同様にして得た銅粉末を比較例5(試料M)とする。
評価1:耐酸化性の評価
実施例1〜8、比較例1〜5で得られた試料A〜M10gを、非酸化性窒素ガス雰囲気下60℃の温度で10時間加熱した後の金属銅重量と、その後更に、酸化性空気雰囲気下150℃、200℃、300℃、400℃、500℃の温度で、それぞれ20分間加熱焼成した後の重量を測定し、重量増加率を算出した。結果を表1に示す。重量増加が少ない程、耐酸化性が優れていることを示しており、本発明の銅粉末は重量増加率が低く、耐酸化性が優れていることが判る。特に、本発明の銅粉末は、500℃の温度で加熱焼成した後の重量増加率が15%以下であり、良好であった。
Figure 0004164008
本発明の実施例で得られた銅粉末を用いて、溶媒、バインダー樹脂と混合して、銅ペーストあるいは銅塗料(銅インク)を調製し、通常の方法により基板に塗布後、加熱焼成して、電極とした。得られた電極は電気特性の優れたものとなることを確認した。
本発明は、コンデンサー等の外部電極や内部電極、プリント配線板の回路等の電極部材や、各種電気的接点部材などの電気的導通を確保するための材料として有用である。特に、本発明の銅粉末を銅ペースト、銅塗料(銅インク)等にして、例えば、積層セラミックスコンデンサーの内部電極、プリント配線基板の回路等や、その他の電極に用いると、電気特性の優れたものが得られると期待される。

Claims (6)

  1. メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体、メルカプト変性ポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種のシリコーンオイルとメルカプトプロピオン酸とが銅粒子の表面に結合および/または吸着していることを特徴とする銅粉末。
  2. 非酸化性雰囲気下60℃の温度で10時間加熱後の重量(W)に対し、更に酸化性雰囲気下500℃の温度で20分間加熱後の重量(W)の増加率((W−W)/W×100)が最大で15%であることを特徴とする請求項1記載の銅粉末。
  3. 銅粒子に対しシリコーンオイルの処理量が0.2〜20重量%の範囲で、メルカプトプロピオン酸の処理量が0.1〜20重量%の範囲であることを特徴とする請求項1記載の銅粉末。
  4. メルカプトプロピオン酸及び保護コロイドの存在下で銅化合物と還元剤とを反応させてメルカプトプロピオン酸が結合および/または吸着した銅粒子を得る工程、得られた銅粒子、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体、メルカプト変性ポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種のシリコーンオイルを表面処理させる工程とからなることを特徴とするシリコーンオイルとメルカプトプロピオン酸とが銅粒子の表面に結合および/または吸着した銅粉末の製造方法。
  5. 請求項1記載の銅粉末を配合してなる銅ペーストまたは銅塗料。
  6. 請求項1記載の銅粉末を用いた電極。
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