JP4163933B2 - セラミック焼結体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はセラミック焼結体の製造方法に関するもので、特に肉厚が厚いセラミック焼結体を製造するのに好適な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、セラミック焼結体を製造する場合、一般的にセラミック粉末に有機バインダーを添加混合したものをプレス成形法、ドクターブレード法、鋳込み成形法、射出成形法、押出成形法などの成形手段にて所定の形状に成形した後、得られたセラミック成形体に脱脂処理を施し、前記で得られた脱脂処理済みのセラミック成形体を焼結できる温度で焼成してセラミック焼結体を得る方法などが取られている。
【0003】
しかしながら、単に、上記のような方法を用いた場合、細かいセラミック粉末を用いたり、セラミック成形体の肉厚を厚くしたりする場合など、セラミック成形体の成形性が低下するという問題が発生し、上記セラミック成形体にクラック等の欠陥が発生したり、焼成後のセラミック焼結体に、成形時の微細なクラック等が顕在化するという問題があった。
【0004】
そのため、成形性を向上させる方法として、バインダー添加量を増やす方法などが一般的に取られるが、セラミック粉末の含有量が低下するため、焼成できなかったり、寸法バラツキが大きくなったりするので、バインダー添加量を必要以上に増やさないで、成形性を向上させることが求められるが、バインダー添加量を増やさない方法の場合、セラミック成形体の成形性が安定しにくいという問題があった。
【0005】
そこで、このような問題を解決するために、スラリーに有機溶媒が用いられ、セラミック原料粉末のスラリー調合時の含水量を調整する方法が特許文献1に示されている。
【0006】
さらに、特許文献2には、有機溶剤の蒸発指数の和が450以下の溶剤を用いたスラリーで、高分子フィルム上にセラミックグリーンシートを成形する方法が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−89246号公報
【特許文献2】
特開平3−247548号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特許文献1で示す方法においては、肉厚のある成形体に対しての成形性、脱脂性、焼結性、ロット間ばらつき低減などの効果をうたっているものの、実施例での肉厚は高分子フィルム上に0.9mm程度のテープ状に成形されたものが示されているに過ぎないものであり、更に肉厚の厚いセラミック成形体をテープ成形以外の方法で得る製造方法については細かい示唆はない。従って、例えば有機溶媒と有機系バインダーとを添加混合して得られるスラリーを用いて、例えば石膏型や金属ブロックなどを用いた成形型にスラリーを注入した後、上記有機溶媒を蒸発させて、肉厚のセラミック成形体を得たとしても、スラリーを保持した成形型と当接している側は有機溶媒の蒸発が少なく、成形型と当接していない側のみから蒸発が起こるので均一な乾燥は得られず、ここから乾燥収縮した応力が成形型と当接している部分にかけてかかり、乾燥が遅い成形型の部分にクラックが入ったり、成形性が悪いという問題だけでなく、石膏型などの開孔径が大きく開孔率が高い多孔質の成形型では目詰まりを起こすなどの問題があった。また、特許文献2に示された方法においても、ドクターブレード法により、肉厚が0.3mm(300μm)程度のセラミックグリーンシートを得ているに過ぎないものであり、より肉厚の厚いセラミック成形体及びこのセラミック成形体をテープ成形以外の方法で得る製造方法については細かい示唆はなく、特許文献1と同様の問題点があった。
【0009】
本発明の目的は、有機溶媒を有効に蒸発させてセラミック成形体のクラックをなくし、成形性を改善したセラミック焼結体の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、セラミック粉末に蒸発指数150〜240の有機溶媒と有機系バインダーとを添加混合して得られるスラリーを、平均開孔径3〜10μm、開孔率10〜40面積%の多孔質の成形型に注入する工程と、上記有機溶媒を蒸発させて固化した成形体を得る工程と、得られた成形体を上記成形型から脱型し脱脂処理を施す工程と、脱脂処理がされた上記成形体を焼成する工程によりセラミック焼結体を得ることを特徴とする。
また、上記スラリーの粘度を0.5〜1.5Pa・sとしたことを特徴とする。
【0011】
【作用】
本発明の構成によれば、蒸発が均一に行え、また、適度な速度で蒸発することが出来るのである。
【0012】
そして、液漏れや目詰まりなく、スラリーが成形型と接していない部分だけから有機溶媒が蒸発するのではなく、成形型と当接している部分からも有機溶媒が均一に蒸発し、成形型を透過して有機溶媒の蒸発が行えるようにしたことから乾燥による応力が発生しにくくなり、スラリ−周囲からの乾燥固化がさらに効率よく行うことができ、クラックのないセラミック成形体、引いてはセラミック焼結体を得ることができるのである。
【0013】
そしてこの場合特に、スラリーの粘度を0.5〜1.5Pa・sとすることで、スラリーに流動性を持たせているので、成形型に注入する際に成形型の端部までスラリーが行き届き、気泡の巻き込みも少ない安定した成形が可能となる。
【0014】
本発明は、また、少なくともクロムを含有するサファイアから成り、波長が350〜600nmの光を吸収し、かつ少なくともルビーのR1線及びR2線の光を放射する単結晶サファイア基板であって、所定のパターン形状の保護膜を主面に形成してウェットエッチングすることによって形成された、底面または側面を備えた凹部を有し、前記凹部の前記底面または前記側面の少なくともいずれか一方にエッチピットを有することを特徴とする単結晶サファイア基板も提供する。また、上記単結晶サファイア基板の前記凹部を有する主面に、発光層を含む半導体結晶層が積層された半導体発光素子も、併せて提供する。
【0015】
本発明のセラミック焼結体の製造方法としては、まずスラリーを作製する。このスラリーは、先ず、セラミック粉末を秤量し、60〜150℃の温度で、乾燥炉等を用いて乾燥を行い、含水量を0.1重量%以下とした後、これに、有機溶媒と有機バインダーを添加して、回転ミルにて混合解砕を10〜40時間行い、有機溶媒によって粘度を0.5〜1.5Pa・sに調整してなる。
【0016】
次に、このスラリーを目開き5〜20μmのフィルターに通過させて濾過を行い、異物等を除去する。
【0017】
さらに、この異物等を除去したスラリ−を、予め、多孔質の成形型を用意しておき、このなかに、気泡の巻き込みがないようにスラリーを注入する工程を行う。この後、有機溶媒を蒸発させて乾燥を行い、固化して得られた成形体を得る工程を行う。次に、この得られた成形体を成形型より離型する工程を行い、その後、必要であれば、所定の寸法にロータリーカッター等で裁断する。そして、得られた成形体中の有機バインダーを加熱して除去する脱脂処理工程が行われ、しかる後、セラミック粉末を焼結させることができる温度で焼成することで、セラミック焼結体を得ることができる。
【0018】
なお、本発明でいう成形型とは、筐体状の型をいうだけでなく、単にドクターブレード法によりセラミックグリーンシートを形成する高分子フィルムも含まれるものである。
【0019】
そして、本発明の製造方法に用いるスラリーに混合する有機溶媒としては、その蒸発指数が150〜240のものを用い、かつ上記多孔質の成形型の平均開孔径を3〜10μm、開孔率を10〜40面積%のものを用いることを特徴としている。
【0020】
すなわち、上記有機溶媒の蒸発指数はその値が350よりも大きすぎると、得ようとするセラミック成形体の乾燥が速くなって、成形型と当接していない成形体の部分から蒸発しやすく乾燥収縮が大きくなる。一方、成形体と当接している部分は乾燥収縮が当接しない部分に比べて小さくなり、これにより引張り応力が発生し、成形体の成形型と当接する部分にクラックが発生しやすくなる。また、蒸発指数が150より少なくなると、乾燥に時間がかかり成形体を成形型から脱型できない。成形体の有機溶媒を用いて成形する場合は適切な乾燥速度を選択することが重要である。
【0021】
本発明に用いる有機溶媒としては、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、アセトン、乳酸エチル、ブチルグリコール等の有機溶媒を用いることができるが、これらのうち少なくとも一種以上で、蒸発指数が150〜350の範囲となるようにすることが重要で、単独で240を超えるものあるいは150未満であるものは、他の有機溶媒を混合して用いれば良い。
【0022】
ここでいう蒸発指数とは、酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの、その溶媒の相対的蒸発速度として定義される指数のことである。用法としては、混合溶剤系の乾燥速度を見積もるため、体積分率で計算する。例えば、酢酸ブチル単体では乾燥速度が遅すぎるため、トルエンを加えて乾燥を2倍早くしたいときなどは、蒸発指数100酢酸ブチルを28.57%、蒸発指数240のトルエンを71.43%混合して蒸発指数を200とすればよい。以下に例として計算式を示す。
100χ(酢酸ブチルの割合)+240y(トルエンの割合)=200・・・▲1▼
χ+y=1・・・▲2▼
▲1▼▲2▼式から
y=71.43%(トルエンの割合)
100%−71.43%=28.57%(酢酸ブチルの割合)となる。
【0023】
ちなみに、一般的に用いる有機溶媒の蒸発指数として酢酸ブチル100、ブチルグリコール163、トルエン240、イソプロピルアルコール300、メチルエチルケトン572、メタノール610、アセトン1160となっている。
【0024】
そして、このような有機溶媒を単に用いたとしても、クラックの無い肉厚のセラミック成形体を得ることは難しく、上記有機溶媒がスラリーから出来るだけ均一に蒸発していくことが必要であり、そのためには、スラリー表面からの蒸発だけでなく、スラリーの周囲からも蒸発するようにすることが肝要である。
【0025】
しかしながら、このような状態においても、多孔質の成形型について、なお工夫が必要で、多孔質の成形型の平均開孔径を3〜10μm、開孔率を10〜40面積%とすること、すなわち、上記範囲の蒸発指数をもつ有機溶媒がスラリー表面からのみでなく、周囲からも蒸発するようにしたことから、より均一な乾燥固化が行えるようにするためにクラックをなくすことができるのである。ここでいう開孔率面積%とは、単位面積あたり(mm2)の比率を示した値をいう。開孔率の測定方法は、光学顕微鏡(200倍)を用い、透過光にて開孔部の大きさを光学顕微鏡のスケールで測定し、面積を算出して比率を求める方法で行った。また、開孔径の測定方法は、成形型の表面を、三次元測定機にて開孔の円相当径を求め、これを開孔径とした。
【0026】
成形型の平均開孔径は、3μm未満だと、スラリ−中のセラミック粉体によって目詰まりをおこし、有機溶媒の蒸発が悪くなると共に、成形型の再利用が出来なくなるからである。また、10μmを越えると液漏れをおこし、成形性が不安定になるからである。なお、好ましくは5〜8μmがよい。また、開孔率を10〜40面積%としたのは、10面積%以下だと有機溶媒の蒸発がスラリー表面と比べて少なすぎ、効果が薄いからである。また、40面積%までとしたのはこれを超えると、スラリー表面以外での有機溶媒の蒸発が多くなるからであり、特に、この値が大きくなりすぎると、スラリーが成形型に注入されると、一気に有機溶媒が吸収されて乾燥固化前にスラリーに濃度ばらつきが発生し、セラミック成形体の燒結時にクラックが発生したり、反りの原因となるからである。そして、このようなことから、成形型の厚みはできるだけ薄い方がよいといえ、1〜10mm程度が好適である。
【0027】
さらに、本発明は、上記スラリーの粘度が0.5〜1.5Pa・sであることが好ましい。0.5Pa・s未満だと、ある一定量のセラミック成形体を得るのに多量のスラリーが必要となり、大型の成形型が必要となるとともに、液漏れをおこしやすくなり、1.5Pa・sを超えると、粘性が高くなり、気泡を含みやすくなるからである。このようなスラリーの粘度を0.5〜1.5Pa・sにするのは、回転ミルにて混合解砕を10〜40時間行った後、粘度計を用いて測定値をみながら有機溶媒によって粘度を調整するとできる。
【0028】
なお、このような有機溶媒を用いる場合、調合後に、スラリーがゲル化して成形できなくなることを防止するために、あらかじめセラミック粉末の含水量は出来るだけ小さくしておくことが必要であり、好ましくは0.1%以下がよい。
【0029】
また、成形型は、上記樹脂、金属、紙のうち、単独で用いても良く、各々を複数重ねて用いたものでもよく、有機溶媒に不溶又は変質しないものであれば、他の材質との併用したものでも構わない。
【0030】
さらに、上記樹脂によって成形型を作製する場合は、線状または繊維状の有機溶剤や熱に溶融しやすいものを樹脂中に混入して、あとから有機溶剤や熱によって溶出させることによって、樹脂を多孔質にして用いればよく、金属の成形型であれば、線状または繊維状のものをプレス等で押圧して成形型を作製すれば良い。また、紙であれば、スラリ−が漏れないものを選択すればよく、例えば、セラミックグリ−ンシ−トをドクタ−ブレ−ド法等で作製するときに用いるシート紙などを利用すれば容易に成形型を作ることができる。いずれにしても、成形型の厚みは上述したように厚くないほうが好ましい。
【0031】
さらにまた、上記成形型には、スラリ−を固化してセラミック成形体として脱型するときに、容易にはずれるように、予め離型剤を塗布などしておいても構わない。
【0032】
そして、この後、得られた成形体を、成形型から脱型し、脱脂処理を施した後、セラミック成形体を焼結しうる温度で焼成することによって、セラミック焼結体を得ることができる。
【0033】
そして、本発明のセラミック粉末としては、一般的に用いられるセラミック粉末、例えば、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウム、チタニア、酸化亜鉛、酸化錫、ムライトなどの他、特にセラミック粉末の粒径の小さいものが利用される、例えば、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)等の圧電セラミックスなどで好適に用いることができ、必要に応じて焼結助剤や安定化剤等の助剤成分を添加しても構わない。
さらに、セラミック粉末とともに添加する有機バインダーとしては、一般に注入成形に用いられる樹脂を使用すればよく、例えばパラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックス等のワックスを用いることもできるが、アクリル系樹脂やブチラール系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル樹脂、スチロール樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸セルロース等の有機高分子材料を用いるとより好ましい。特に官能基モノマーに長鎖OH基を有するアクリル系樹脂は、セラミック粉末との結びつきが強固となりバインダーを分散媒とするセラミックスラリーが得られ、界面の活性化を促進する効果を得ることが出来る。なお、セラミック成形体を製作するにあたり、有機バインダー以外に離型剤や可塑剤等の他の添加物を含んでいても構わない。
【0034】
また、酸価が0.02〜0.4の範囲内であるアクリル系樹脂は易分解性に優れ、本発明で得られる厚物のセラミック粉末の脱脂処理では効果が得られ易い。
【0035】
この時、酸価が0.02未満だとセラミック粉末との結びつきが弱く、分散不良となり、酸価が0.4を越えるアクリル系樹脂は、セラミック粉末との結びつきが強すぎて粘性がアップし、セラミック成形体は得られたとしても、脱脂中にセラミック成形体にクラックが発生するので0.02〜0.4の範囲がよい。
【0036】
また、上記スラリーは、成形型注入前に、5〜20μmのフィルタ−を通過させることが好ましい。なぜならば、特に成形型注入前のセラミックスラリーの性状がセラミック焼結体のボイド状態を決定するためであり、5μm未満のフィルターの濾過では作業性が極度に低下し、20μmを越えるフィルターの濾過ではボイドレスのセラミック焼結体を得ることができないためである。
【0037】
なお、本発明における含水量は、カールフィッシャー式水分測定機などの既存の水分測定機を用いて測定すればよい。
【0038】
【実施例】
(実施例1)
つぎに本発明の実施例を説明する。
セラミック粉末が、平均粒子径0.5μmの圧電セラミックであるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用意し、乾燥して含水量を0.05重量%とし、これらに有機バインダー(アクリル系)をそれぞれセラミック粉末100重量%に対して10〜15重量%添加し、φ5mmのジルコニアメディアと有機溶媒(蒸発指数100は酢酸ブチルを100重量%、150は酢酸ブチルを64.3重量%とトルエンを35.7重量%、240はトルエンを100重量%、350はイソプロピルアルコールを83.9重量%とメタノールを16.1重量%、450はイソプロピルアルコールを51.7重量%とメタノールを48.3重量%用いた)を添加して、回転ミルにて、各々30hr混合解砕した。その後、上記有機溶媒を追加添加して、粘度を1Pa・sに調節したスラリーを得た。この後、上記スラリーを、開き目20μmのフィルターにて濾過、排出を行いゴミ等を除去して、試料No1〜87を得た。そして、これらの試料を表1に示すチタン製の開孔率、平均開孔径の成形型にスラリーを注入し、乾燥時間や成形型の目詰まりや液漏れの有無を観察し、さらには、固化して得られたセラミック成形体のクラックの発生状況を双眼顕微鏡で観察した。なお、セラミック成形体のクラックの有無については、僅かでもクラックの発生したものについては、クラック有とした。また、乾燥時間については、成形型にスラリーを注入した後、24hrを以て乾燥の程度を確認した。
【0039】
なお、本実施例1で示すセラミック成形体の厚みは5〜10mm程度の厚みの基板となるように成形した。
【0040】
結果を表1、表2に示す。なお、*印は本発明の範囲外を示すものである。また、試料No63、64、65、68、69、70、73、74、75は、参考例である。
【0041】
【表1】
Figure 0004163933
【0042】
【表2】
Figure 0004163933
【0043】
表1、表2から判るように、試料No.1〜87のうち、本発明の範囲内のものは乾燥時間も比較的早く、成形型の目詰まりもなく、逆に液漏れも少なく、クラックについても良好であることが一目して明らかである。
(実施例2)
上述の試料のうち、試料No.45及びNo.70のスラリー及び多孔質の金型を用いて、粘度をトルエン及びイソプロピルアルコールの追加で調節し、表3に示す0.3〜2.0Pa・sの範囲で作製し、これらのスラリーを成形型へ注入し、乾燥時間、成形型の目詰まりや液漏れ、さらにはセラミック成形体のクラックの有無など実施例1と同様に調べた。また、上記セラミック成形体を切断し、双眼顕微鏡で気泡の巻き込みの確認を行った。
【0044】
結果を表3に示す。また、試料No94、95、96は、参考例である。
【0045】
【表3】
Figure 0004163933
【0046】
表3から明らかなように、本発明の範囲とする粘度の試料89〜91,94〜96は乾燥時間も比較的早く、成形型の目詰まりもなく、逆に液漏れも少なく、クラックについても良好であることが一目して明らかである。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、本発明の構成によれば、セラミック粉末に有機溶媒と有機系バインダーとを添加混合して得られるスラリーを平均開孔径が3〜10μmで、平均開孔率が10〜40面積%の多孔質の成形型を用いてスラリーの周囲から有機溶媒を蒸発させることが出来るようにし、有機溶媒を蒸発指数が150〜350の範囲のものを用いることによって、蒸発が均一に行え、また、適度な速度で蒸発することが出来るのである。
【0048】
そして、スラリーが成形型と接していない部分だけから有機溶媒がするのではなく、成形型と当接している部分からも有機溶媒が均一に蒸発し、成形型を透過して有機溶媒の蒸発が行えるようにしたことから乾燥による応力が発生しにくくなり、スラリ−周囲からの乾燥固化がさらに効率よく行うことができ、クラックのないセラミック成形体を得ることができる。そして、この場合は特に、スラリーの粘度を0.5〜1.5Pa・sとすることで、スラリーに流動性を持たせているので、成形型に注入する際に成形型の端部までスラリーが行き届き、気泡の巻き込みも少ない安定した成形が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック焼結体における製造方法のフローチャートを示す。

Claims (2)

  1. セラミック粉末に蒸発指数150〜240の有機溶媒と有機系バインダーとを添加混合して得られるスラリーを、平均開孔径3〜10μm、開孔率10〜40面積%の多孔質の成形型に注入する工程と、上記有機溶媒を蒸発させて固化した成形体を得る工程と、得られた成形体を上記成形型から脱型し脱脂処理を施す工程と、脱脂処理がされた上記成形体を焼成する工程によりセラミック焼結体を得ることを特徴とするセラミック焼結体の製造方法。
  2. 上記スラリーの粘度を0.5〜1.5Pa・sとしたことを特徴とする請求項1記載のセラミック焼結体の製造方法。
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