JP4163913B2 - ユーティリティ使用量削減支援方法およびプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は過去のユーティリティ使用データと、ユーティリティ使用量を削減する際の目安となる指標データとを需要家に対して提示可能なユーティリティ使用量削減支援方法およびプログラムに関する。尚、本願明細書においてユーティリティとは、需要家に対して継続的に供給される電気、ガス、水道などを指す。
【0002】
【従来の技術】
従来から電気使用量、ガス使用量、水道使用量などのユーティリティ使用量を削減することを目的として、需要家に対して過去のユーティリティ使用量を提示して、ユーティリティ使用量の削減活動をリアルタイムで喚起することが行われている。
【0003】
例えば、需要家に対して省エネルギ活動をリアルタイムで喚起するための省エネルギ誘導装置(省エネナビ装置)として市販されている装置があり、その装置では需要家の過去のユーティリティ使用量とユーティリティ使用量の実績値とを対比可能にリアルタイムで表示することができる。また、過去のユーティリティ使用量の例えば80%の値をユーティリティ使用量の目標値とし、その目標値と実績値とを対比可能にリアルタイムで表示するようなことも可能である。その結果、省エネナビ装置を設置している需要家は、リアルタイムでの省エネルギ活動を効果的に実行することができる。(例えば、特願2002−61519号に記載)
【0004】
また、ユーティリティ使用量の実績値を参照して、その際のユーティリティ料金を需要家が同時に確認できるように構成することもできる。そのユーティリティ料金は、例えば電気料金では、過去の最大使用電力に応じて決定される基本料金(定額部分)と、実際の使用電力量に応じて決定される歩合料金(従量課金部分)とで計算されるため、電気料金を減少させたい場合には、需要家は全使用電力量を減少させる省エネルギ活動の他に、最大使用電力を減少させる省エネルギ活動を実施する必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の基本料金は、例えば電力事業者との間で電力の需給契約を締結する際に過去の最大使用電力を参照して予め決定される料金であるため、従来の省エネナビ装置の支援を受けて最大使用電力を削減しても、その最大使用電力の値が一時的な値であるのか、或いは今後も継続される値であるのかが不明であれば、その最大使用電力の削減行動が料金面に十分に反映されなかった。これは、一度、最大使用電力を削減したとしても、最大使用電力が低下した客観的な理由が不明であれば、今後、再び最大使用電力が増大する可能性があるとみなされるからである。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、需要家に対してユーティリティ使用量の削減可能量を客観的なデータとして提供可能なユーティリティ使用量削減支援方法およびプログラムを提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第一の特徴構成は、需要家端末を使用した需要家による情報入力を通信ネットワークを介して受け付ける入力受付手段と、情報を処理する情報処理手段と、情報を記憶する情報記憶手段と、情報を前記需要家端末へ出力提示する出力提示手段とを備えて構成されるユーティリティ使用量削減支援システムを実現するコンピュータにおいて行われるユーティリティ使用量削減支援方法であって、
前記情報記憶手段に、需要家に設置されるユーティリティ関連機器でのユーティリティ使用量が、所定の評価期間及び前記評価期間よりも短い単位期間毎に、前記単位期間より短い所定期間単位で、ユーティリティ使用量データ情報として記憶され、
前記情報処理手段が、前記ユーティリティ使用量データ情報から、前記評価期間内において、最大のユーティリティ使用量データを含む第1評価データを、前記単位期間内の時系列順に並べられたユーティリティ使用量データの形態でグループ化されたデータ群として抽出する第1評価データ抽出工程と、
前記情報処理手段が、前記ユーティリティ使用量データ情報を用いて、前記評価期間内において、前記第1評価データを評価するための指標データを、前記単位期間毎の同じ時間属性を有するユーティリティ使用量データを平均化した平均データに関し、複数の平均データを前記単位期間内の時系列順に並べられた平均データの形態で作成する指標データ作成工程と、
前記出力提示手段が、前記単位期間内の時系列順に並べられたデータ形態をそれぞれ有する前記第1評価データと前記指標データとを、時系列順に並べられた形態で、前記需要家が前記需要家端末において対比可能に出力提示する第1出力提示工程と、
前記入力受付手段が、前記需要家端末を使用する前記需要家から、前記第1評価データ中の最大のユーティリティ使用量データに対して施されるデータ変更入力を受け付ける変更入力受付工程と、
前記情報処理手段が、前記データ変更入力を前記第1評価データに反映させる変更入力反映工程と、
前記情報処理手段が、前記変更入力反映工程後のユーティリティ使用量データ情報から、前記評価期間において、最大のユーティリティ使用量データを含む第2評価データを、前記第1評価データと同じデータ群構造で抽出する第2評価データ抽出工程と、
前記出力提示手段が、少なくとも、前記第1評価データ中の前記データ変更入力の対象とされた最大のユーティリティ使用量データと、前記第2評価データ中の最大のユーティリティ使用量データとを、前記需要家が前記需要家端末において対比可能に出力提示する第2出力提示工程とを含む点にある。
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第二の特徴構成は、前記出力提示手段が、前記第2出力提示工程において、前記単位期間内の時系列順に並べられたデータ形態をそれぞれ有する前記第2評価データと前記指標データとを、時系列順に並べられた形態で、前記需要家が前記需要家端末において対比可能に出力提示する点にある。
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第三の特徴構成は、前記情報処理手段が、前記変更入力反映工程後のユーティリティ使用量データ情報を用いて、前記評価期間内において、前記第2評価データを評価するための第2の指標データを、前記単位期間毎の同じ時間属性を有するユーティリティ使用量データを平均化した平均データに関し、複数の平均データを前記単位期間内の時系列順に並べられた平均データの形態で作成し、
前記出力提示手段が、前記第2出力提示工程において、前記単位期間内の時系列順に並べられたデータ形態をそれぞれ有する前記第2評価データと前記第2の指標データとを、時系列順に並べられた形態で、前記需要家が前記需要家端末において対比可能に出力提示する点にある。
【0010】
上記課題を解決するための本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第四の特徴構成は、前記変更入力受付工程と、前記変更入力反映工程と、前記第2評価データ抽出工程と、前記第2出力提示工程とが複数回実行される点にある。
【0011】
上記課題を解決するための本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第五の特徴構成は、前記出力提示手段が、前記第2出力提示工程において、前記データ変更入力の内容を前記需要家端末に出力提示する点にある。
【0012】
上記課題を解決するための本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第六の特徴構成は、前記情報処理手段が、前記データ変更入力の内容に沿って前記需要家の実際のユーティリティ使用量を削減するための、前記需要家が有するユーティリティ関連機器の運転操作情報を作成する運転操作情報作成工程と、
前記出力提示手段が、前記運転操作情報を前記需要家端末に出力提示する第3出力提示工程とを含む点にある。
【0013】
上記課題を解決するための本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第七の特徴構成は、前記情報処理手段が、前記データ変更入力の内容に沿って前記需要家の実際のユーティリティ使用量を削減するための、前記需要家が有する遠隔制御可能なユーティリティ関連機器の遠隔制御情報を作成する遠隔制御情報作成工程と、
前記出力提示手段が、前記遠隔制御情報を前記ユーティリティ関連機器に対して出力する遠隔制御情報出力工程とを含む点にある。
【0014】
上記課題を解決するための本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第八の特徴構成は、前記ユーティリティ関連機器が、ユーティリティを使用して稼動するユーティリティ使用機器と、稼動してユーティリティを生産するユーティリティ生産機器とを含む点にある。
【0015】
上記課題を解決するための本発明に係るユーティリティ使用量削減支援プログラムの特徴構成は、上記第一の特徴構成から第八の特徴構成の何れか一つに記載のユーティリティ使用量削減支援方法の前記各工程を前記コンピュータに実行させるように構成されている点にある。
【0016】
以下に作用並びに効果を説明する。
本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第一の特徴構成によれば、上記第1評価データおよび上記指標データの提示を受けた需要家は、上記指標データを目標として、第1評価データから見積もられる将来のユーティリティ使用量を削減する際にどのような削減対策を行えばよいのかについての目安を得ることができる。例えば、上記第1評価データが上記指標データを大幅に上回っている場合には、今後、その第1評価データのユーティリティ使用量を大幅に削減できる余地があることを需要家は客観的に知ることができる。このように、ユーティリティ使用量の削減可能量を客観的に判別することができるので、信頼性の高いユーティリティ使用量削減支援方法が提供される。
【0017】
また、第1評価データには、上記評価期間内にあるユーティリティ使用量データの中から、少なくとも最大のユーティリティ使用量データが含まれていればよいが、他にも2番目に大きなユーティリティ使用量データや、3番目に大きなユーティリティ使用量データなどが含まれていてもよい。その場合、第1評価データに含まれる各ユーティリティ使用量データと同じ時間属性を有する指標データと共に第1評価データが需要家に対して提示されるので、需要家はそれらのデータに対する変更入力をまとめて実施することができる。そして、第2出力提示工程において、少なくとも、上記第1評価データ中の上記データ変更入力の対象とされた最大のユーティリティ使用量データと、上記第2評価データ中の最大のユーティリティ使用量データとが、需要家が需要家端末において対比可能に出力提示されることで、データ変更入力に従ったユーティリティ使用量削減行動を実行した場合のユーティリティ使用量の削減可能量が需要家にとって認識可能となる。
更に、上記第1評価データが、前記単位期間内の時系列順に並べられたユーティリティ使用量データの形態でグループ化されたデータ群として抽出され、上記指標データが、前記単位期間毎の同じ時間属性を有するユーティリティ使用量データを平均化した平均データに関し、複数の平均データを前記単位期間内の時系列順に並べられた平均データの形態で作成される。よって、第1出力提示工程において、例えば、1日(単位期間)のユーティリティ使用量データ(第1評価データ)による過去の時間変化パターンと、1日(単位期間)のユーティリティ使用量の平均データ(指標データ)による時間変化パターンとを比較して、第1評価データと指標データ(平均データ)との間に存在する差をユーティリティ使用量の削減可能量として需要家に出力提示することができる。その結果、単位期間中のどの時刻の過去のユーティリティ使用量が大きく、削減の余地があるのかが容易に且つ客観的に判別されるユーティリティ使用量削減支援方法が提供される。
【0018】
以上のように、本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法を実施することで、需要家に対してユーティリティ使用量の削減可能量を客観的なデータとして提供することができるので、その客観的なデータに基づいて、ユーティリティ事業者との間で需要家にとって有利な条件で需給契約を締結することも可能になる。
【0019】
本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第二の特徴構成によれば、上記第2出力提示工程において、上記第2評価データと上記指標データ(データ変更入力を反映していない当初のデータ)とを、上記需要家が上記需要家端末において対比可能に出力提示することで、例えば、1日(単位期間)のユーティリティ使用量データ(第2評価データ)による過去の時間変化パターンと、1日(単位期間)のユーティリティ使用量データ(指標データ)による時間変化パターンとを比較して需要家に出力提示することができる。その結果、変更入力反映工程後の第2評価データに関して、単位期間中のどの時刻の過去のユーティリティ使用量が大きく、削減の余地があるのかが容易に、且つ客観的に判別され、第2評価データが好ましいか否か(つまり、更なるデータ変更入力が必要か否か)を判定することができるユーティリティ使用量削減支援方法が提供される。
【0020】
本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第三の特徴構成によれば、上記第2出力提示工程において、上記第2評価データと、上記変更入力反映工程後のユーティリティ使用量データ情報を用いて、上記単位期間毎の同じ時間属性を有するユーティリティ使 用量データを平均化した平均データに関し、複数の平均データを前記単位期間内の時系列順に並べられた平均データの形態で作成される第2の指標データとを、上記需要家が上記需要家端末において対比可能に出力提示することで、例えば、1日(単位期間)のユーティリティ使用量データ(第2評価データ)による過去の時間変化パターンと、1日(単位期間)のユーティリティ使用量データ(第2の指標データ)による時間変化パターンとを比較して需要家に出力提示することができる。その結果、変更入力反映工程後の第2評価データに関して、単位期間中のどの時刻の過去のユーティリティ使用量が大きく、削減の余地があるのかが容易に、且つ客観的に判別され、第2評価データが好ましいか否か(つまり、更なるデータ変更入力が必要か否か)を判定することができるユーティリティ使用量削減支援方法が提供される。
【0021】
本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第四の特徴構成によれば、上記変更入力受付工程と、上記変更入力反映工程と、上記第2評価データ抽出工程と、上記第2出力提示工程とが複数回実行されるので、需要家から何度でもユーティリティ使用量データの変更入力を受け付けて、その変更入力を反映させて、最終的に、好ましいユーティリティ使用量の削減提案を需要家に対して実施することができる。
【0022】
本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第五の特徴構成によれば、上記出力提示手段が、上記第2出力提示工程において上記データ変更入力の内容を上記需要家端末に出力提示することで、第2評価データが需要家自身のどのような変更入力の経緯で導出されたのかを知ることができる。
【0023】
本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第六の特徴構成によれば、上記情報処理手段が、運転操作情報作成工程において、上記データ変更入力の内容に沿って上記需要家の実際のユーティリティ使用量を削減するためのユーティリティ関連機器の運転操作情報を作成し、上記出力提示手段が、第3出力提示工程において、その運転操作情報を上記需要家端末に出力提示することで、ユーティリティ使用量を削減するためにユーティリティ関連機器をどのように運転させればよいのかについて需要家に対して提示することができる。また、その運転操作情報に従った運転が行われた場合には、ユーティリティ使用量の削減を確実に実施することができる。
【0024】
本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第七の特徴構成によれば、上記情報処理手段が、遠隔操作情報作成工程において、上記データ変更入力の内容に沿って上記需要家の実際のユーティリティ使用量を削減するための、上記需要家が有する遠隔制御可能なユーティリティ関連機器の遠隔制御情報を作成し、上記出力提示手段が、遠隔制御情報出力工程において、その遠隔制御情報を上記ユーティリティ関連機器に対して出力することで、ユーティリティ関連機器の遠隔制御運転(自動運転)が行われ、ユーティリティ使用量の削減を自動的に、且つ確実に実施することができる。
【0025】
本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の第八の特徴構成によれば、上記ユーティリティ関連機器が、ユーティリティ使用して稼動するユーティリティ使用機器と、稼動してユーティリティを生産するユーティリティ生産機器とを含むことで、ユーティリティ使用機器によるユーティリティ使用量の削減量を、ユーティリティ生産機器によるユーティリティ生産量で相殺するような運転を行うことができ、ユーティリティ使用量を実際に削減しなくても、見かけ上は削減をしたと見なされるようにユーティリティ関連機器の運転を行うことができる。
【0026】
本発明に係るユーティリティ使用量削減支援プログラムの特徴構成によれば、ユーティリティ使用量削減支援方法による上記各工程を上記コンピュータに実行させることで、上述のユーティリティ使用量削減支援方法による効果と同様の効果を得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法について説明する。
図1は、本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法が実施されるユーティリティ使用量削減支援システム1と、需要家システム7とが通信ネットワーク6を介して互いに通信可能に接続されてなるシステム構成図である。
ユーティリティ使用量削減支援システム1は、需要家システム7内の需要家端末8を使用した需要家による様々な情報入力を通信ネットワーク6を介して受け付ける入力受付手段2と、情報を処理する情報処理手段3と、入力受付手段2によって受け付けられた情報や、情報処理手段3によって処理された後の情報を記憶する情報記憶手段4と、当該情報を通信ネットワーク6を需要家システム7の需要家端末8へ出力提示する出力提示手段5とを備えて構成される。
【0028】
上述のユーティリティ使用量削減支援システム1は一般的なコンピュータを用いて実現可能であり、例えば、情報処理手段3はコンピュータが備えるCPU(中央処理装置)によって実現され、入力受付手段2および出力提示手段5はコンピュータの情報入出力機能によって実現され、情報記憶手段4はコンピュータが備えるハードディスクドライブやメモリなどによって実現される。
【0029】
また、需要家システム7は、需要家が情報入力を行ってユーティリティ使用量削減支援システム1に対してその情報を送信する場合や、ユーティリティ使用量削減支援システム1から送られてきた情報の内容を確認する際に使用するコンピュータなどの需要家端末8と、需要家システム7内に設置されている単数または複数のユーティリティ関連機器11でのユーティリティ使用量を計測する単数または複数のメータ10と、そのユーティリティ使用量データを一括して収集するユーティリティ使用量計測装置9とを備えて構成される。ユーティリティ使用量計測装置9は、所定期間毎のユーティリティ使用量を時系列順に収集し、そのユーティリティ使用量データをユーティリティ使用量削減支援システム1の入力受付手段2を介して情報記憶手段4に格納させる。尚、以下の実施形態では需要家が需要家端末8を使用して様々な情報の出力提示を受ける場合について説明を行うが、需要家がユーティリティ使用量削減支援システム1を実現するコンピュータを直接使用して、そのコンピュータの表示装置の画面から様々な情報の出力提示を受けることもできる。
【0030】
以下に本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の具体例について説明する。尚、以下の実施形態ではユーティリティとして電気を例に説明を行うが、ガスや水道などの他のユーティリティに関しても同様の説明が成り立つ。従って、以下の実施形態においてユーティリティ関連機器11とは、電灯やガスヒートポンプ(GHP)などのユーティリティ使用機器(ユーティリティ使用量の値の符号は正)や、発電機などのユーティリティ生産機器(ユーティリティ使用量の値の符号は負)などを指すが、ユーティリティとしてガスや水道を想定した場合には、ユーティリティ関連機器11は、例えばガスコンロや給湯器などを指す。
【0031】
<第1実施形態>
図2に示すのは、ユーティリティ使用量計測装置9によって収集され、ユーティリティ使用量削減支援システム1に対して送信された30分間(所定期間の一例)の電力使用量データの内の8月22日から8月26日の何れも平日のデータである。本実施形態では、計測された30分間の電力使用量(kWh)を1時間当たりの電力(kW)に換算して表示しているが、以下の説明では電力使用量という文言を使用する。尚、「8月」を電力使用量の評価期間とし、8月1日から8月31日まで電力使用量データが保存されている。各日の電力使用量データを保存する際には、その日の属性情報(曜日、平日、土曜、日曜、祝日、天候、気温などの情報)と併せて保存され、どの時刻に計測されたのかという時間属性情報と併せて保存されることが好ましい(例えば、8月1日の時刻13:00〜13:30の30分間の電力使用量データと、8月2日の時刻13:00〜13:30の間の電力使用量データとは同じ時間属性を有するとみなす)。更に、8月1日から8月31日までの1日毎(単位期間の一例)の電力使用量データをグループ化して示している。従って、以下の説明においてデータ群とは、図2に示すような1日分の電力使用量データを指す。
【0032】
まず第一に、情報処理手段3が、情報記憶手段4に格納されている需要家の過去の電力使用量データの内、「8月」という評価期間内にあるデータ群の中から、電力使用量データの最大値を含むデータ群を第1評価データとして抽出する(第1評価データ抽出工程)。ここでは、8月23日の時刻13:00〜13:30(時間属性の一例)の間の電力使用量データ(1935kW)が最大であることから、8月23日の電力使用量データをグループ化してなるデータ群が第1評価データとして抽出される。
【0033】
次に、情報処理手段3が、需要家が電力使用量を削減する際の指標となるような指標データを作成する(指標データ作成工程)。この指標データは、図2に示した電力使用量データの場合と同様に、情報記憶手段4に格納され、時系列順に並べられた30分間の電力使用量データの1日分がグループ化されたデータである。ここでの指標データは、8月の平日という単位期間毎で同じ時間属性を有する電力使用量データを互いに平均化した平均データである。
【0034】
次に、出力提示手段5が、上記第1評価データと上記指標データとを需要家システム7に送信し、上記第1評価データと上記指標データとを需要家が対比可能に需要家端末8の表示装置に表示させる。図3に例示するのは、需要家端末8の表示装置における表示画面例である。データ表示欄20に示すのは、第1評価データである8月23日(平日)の30分毎の電力使用量データのグラフ(最大電力使用量データ(1935kW)を含む)と、指標データである8月の平日の電力使用量データの平均のグラフである。また、データ表示欄21に示すのは、データ表示欄20に表示したグラフの元データであり、最大電力使用量データ:1935kW(13:00〜13:30の間の電力使用量)を他のデータと区別して強調表示している。
【0035】
これらの電力使用量データを見比べた需要家は、8月23日の電力使用量データ中に、削減可能な電力使用量ピークが存在していることを認識することができる。従って、需要家端末8を使用する需要家は、データ表示欄21の8月23日の電力使用量データの最大値である時刻13:00〜13:30の間の電力使用量:「1935kW」(強調表示している)を変更する入力を行うことができる。図3に示す例では、その値を1900kWに変更する入力を行っている。需要家端末8を使用する需要家が、図3に例示するデータ変更ボタン22をマウスなどの入力装置で選択入力した場合、データ表示欄21に入力された変更入力の内容が需要家端末8から通信ネットワーク6を介してユーティリティ使用量削減支援システム1に送信される。
【0036】
需要家端末8から送信されるデータ変更入力に関する情報は、通信ネットワーク6を介してユーティリティ使用量削減支援システム1の入力受付手段2によって受け付けられ(変更入力受付工程)、情報記憶手段4に格納される。更に、そのデータ変更入力の内容は、第1評価データとしての電力使用量データに反映される(変更入力反映工程)。つまり、8月23日の時刻13:00〜13:30の間の電力使用量データ部分が1935kWから1900kWに変更された電力使用量データが作成される。
【0037】
次に、上記変更入力反映工程後の、評価期間(8月1日から8月31日)内にある時系列順に並べられた30分毎の電力使用量データの中から、最大の電力使用量データを含む第2評価データを抽出する(第2評価データ抽出工程)。更には、上記変更入力反映工程後の、評価期間(8月1日から8月31日)内にある電力使用量データを1日毎にグループ化してなるデータ群の内、電力使用量データの最大値を含むデータ群を第2評価データとして抽出してもよい(第2評価データ抽出工程)。ここでは、8月25日の時刻13:00〜13:30の間の電力使用量データ(1925kW)が最大であることから、8月25日の電力使用量データがグループ化されたデータ群についても第2評価データとして抽出される。
【0038】
その後、少なくとも、上記第1評価データ中の最大電力使用量データ(1935kW)と上記第2評価データ中の最大電力使用量データ(1925kW)とが需要家に対比可能に出力提示する(第2出力提示工程)。尚、第1評価データ中の電力使用量データと上記第2評価データ中の電力使用量データとを対比可能に出力提示する方法としては様々な方法があるが、少なくとも第1評価データ中の最大電力使用量データ(1935kW)と上記第2評価データ中の最大電力使用量データ(1925kW)とが対比可能に出力提示されることで、データ変更入力に従ったユーティリティ使用量削減行動を実行した場合の電力使用量の削減可能量が需要家にとって認識可能となればよい。
【0039】
図4に示すのは第2出力提示工程の一例であり、1ヶ月という評価期間中の30分毎の電力使用量データを大きい値の順に並べたものである。従って、データ表示欄23中に破線で示すデータ変更前のグラフ中の最大値が、第1評価データ抽出工程で抽出された第1評価データ中の最大電力使用量データ(1935kW)であり、実線で示すデータ変更後のグラフ中の最大値が、第2評価データ抽出工程で抽出された第2評価データ中の最大電力使用量データ(1925kW)である。また、データ表示欄24には、需要家自身が先に入力したデータ変更入力の内容も併せて出力提示されている。
【0040】
ここで、実線で示すデータ変更後の電力使用量データ(特に、第2評価データ中の最大電力使用量データ(1925kW))に対して更に変更入力を行う場合、需要家に対して図4に示す表示変更ボタン25をマウスなどの入力装置で選択入力させ、図5に示すように、図3と同様のデータ表示形式の第2評価データを表示させればよい。
【0041】
図5のデータ表示欄26に示すのは、第2評価データ抽出工程で抽出された8月25日の30分毎の電力使用量データ(8月25日の電力使用量データがグループ化されたデータ群)のグラフ(最大電力使用量データ(1925kW)を含む)と、需要家によるデータ変更入力を反映した後の指標データ(第2の指標データ)である8月の平日の電力使用量データの平均のグラフである。また、データ表示欄27に示すのは、データ表示欄26に表示したグラフの元データである。これらの電力使用量データを見比べた需要家は、図3を参照して説明した場合と同様に、8月25日の電力使用量データ中に、削減可能な電力使用量のピークが存在していることを認識することができる。従って、需要家端末8を使用する需要家は、データ表示欄27の8月25日の電力使用量データの最大値である時刻13:00〜13:30の間の電力使用量:「1925kW」を変更する入力を行うことができる。
【0042】
以上のように、需要家は過去の電力使用量データ(評価データ)と指標データとを対比し、データ変更入力工程を経て、電力使用量の削減可能量を繰り返し確認することができる。
【0043】
尚、図5において指標データとして示す8月の平日平均の電力使用量データ(第2の指標データ)は、変更入力反映工程後の電力使用量データを参照して作成されたものであるが、変更入力反映工程前の電力使用量データを参照して作成された指標データ(図3において指標データとして示す8月の平日平均の電力使用量データ)を需要家に対して出力提示しても構わない。
【0044】
<第2実施形態>
上述の第1実施形態では、第1評価データ抽出工程において、「8月」という評価期間内の最大の大きさの電力使用量データを含むデータ群(上述の実施形態では8月23日のデータ群)を抽出する場合について説明したが、「8月」という評価期間内の電力使用量データの大きい値から順番に数個のデータを抽出するような第1評価データ抽出工程を採用することもできる。例えば、図6のデータ表示欄29に例示するように、「8月」という評価期間内で電力使用量の大きいデータが順番に抽出され(第1評価データ抽出工程)、その評価データに対して時系列で対応する指標データ(ここでは、「8月」の平日の電力使用量の平均値の内の時刻13:00から13:30の間という時間属性を有するデータ)が作成され(指標データ作成工程)、需要家に対して出力提示されている(第1出力提示工程)。
【0045】
その後、需要家は第1実施形態と同様に電力使用量データを変更する入力を行うことができる。図6に示す例では、電力使用量の値を共に1900kWに変更する入力を行っている。この変更入力の内容は、需要家端末8を使用する需要家が、図6に例示するデータ変更ボタン30をマウスなどの入力装置で選択入力した場合、データ表示欄29に入力された変更入力が需要家端末8から通信ネットワーク6を介してユーティリティ使用量削減支援システム1に送信される。引き続く、変更入力受付工程と、変更入力反映工程と、第2評価データ抽出工程と、第2出力提示工程とは上述の第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
尚、繰り返される変更入力受付工程と、変更入力反映工程と、第2評価データ抽出工程と、第2出力提示工程とにおいて、上述したように需要家に対して出力提示される指標データの変更(データ変更入力の反映)は必ずしも必要では無く、需要家によるデータ変更入力が繰り返されても、需要家に対して出力提示される指標データは、そのデータ変更入力が反映されていない当初の指標データを用いても構わない。
【0047】
<第3実施形態>
以上の実施形態では、ユーティリティ使用量の将来の削減可能量を需要家に対して前もって提示できることを説明した。但し、需要家がユーティリティ使用量を実際に削減できるか否かは、実際のユーティリティ関連機器11の運転操作状況に依る。従って、第3実施形態では、上述の実施形態におけるデータ変更入力の内容に沿って需要家の実際のユーティリティ使用量を削減するためのユーティリティ関連機器の運転操作情報を作成し(運転操作情報作成工程)、その運転操作情報を需要家に出力提示する(第3出力提示工程)ことで、上記データ変更入力に対応するユーティリティ使用量の削減が達成されるようにする方法について例を挙げて説明する。
【0048】
例えば、図4に例示したように、8月23日の13:00〜13:30の間の電力使用量データに対するデータ変更入力が、1935kWから1900kWへの削減(−35kW)を意図するものであり、そのデータ変更入力の内容がユーティリティ使用量削減支援システム1の情報記憶手段4に記憶されていた場合、ユーティリティ使用量削減支援システム1の情報処理手段3はその削減量を達成するために、表1に示すような削減候補を作成して、8月23日の13:00より前に需要家に出力提示する。ここで、ユーティリティ使用量削減支援システム1の情報記憶手段4には、需要家が有するユーティリティ関連機器11に関する情報(どの機器を運転すれば、どれだけのユーティリティが使用されるのか)が記憶されている。ここでは、ユーティリティ関連機器11の例としてガスヒートポンプ(GHP1、GHP2、GHP3)、電灯を挙げている。尚、表1に示すように、図4に例示した電力の削減量(35kW)と同じ量の電力を削減するための削減候補を提示する必要はなく、その値よりも大きくても小さくても構わない。
【0049】
【表1】
【0050】
このような削減候補の提示を受けた需要家は、該当するユーティリティ関連機器の運転を該当する日時にOFFにして、電力の削減量(35kW)が実際に達成されるよう運転操作を行うことで、上記データ変更入力に対応するユーティリティ使用量の削減が達成される。ここで、GHP1をOFFにし(20kWの削減)、且つGHP2をOFFにする(15kWの削減)というように複数の削減候補に従った運転操作を行うことで、上述の電力削減量(35kW)を達成してもよい。また、需要家自身の都合によって必ずしも35kWという電力の削減量が達成されなくてもよく、例えば、GHP2をOFFにし(15kWの削減)、且つGHP3をOFFにする(15kWの削減)といった削減候補に従った運転操作を行っても構わない。尚、ここではユーティリティ関連機器11の運転をOFFにすることで電力使用量を削減する場合を例に説明を行っているが、運転をOFFにするのではなく、運転状態を変化させることで(例えば、ユーティリティ関連機器が空調機器である場合には、冷房装置の設定温度を上げることで)電力使用量を削減するような削減候補を作成してもよい。
【0051】
或いは、ユーティリティ関連機器11が、ユーティリティ使用量削減支援システム1からの制御指令によって遠隔制御可能に構成されている場合には、上記データ変更入力の内容に沿って需要家の実際の電力使用量(ユーティリティ使用量)を削減するための、ユーティリティ関連機器11の遠隔制御情報を作成し(遠隔制御情報作成工程)、その遠隔制御情報を通信ネットワーク6を介してユーティリティ関連機器11に対して出力する(遠隔制御情報出力工程)ことで、ユーティリティ関連機器11における電力使用量の削減を自動的に、且つ確実に実施することができる。
【0052】
具体的には、上述の場合と同様に8月23日の13:00〜13:30の間の電力使用量データに対するデータ変更入力が、1935kWから1900kWへの削減(−35kW)を意図するものであり、そのデータ変更入力の内容がユーティリティ使用量削減支援システム1の情報記憶手段4に記憶されていた場合、ユーティリティ使用量削減支援システム1の情報処理手段3はその削減量を達成するために、表1に示すような削減候補(どの機器を運転すれば、どれだけのユーティリティが使用されるのかといった情報)を作成し、例えば、35kWの電力削減量が確保されることを目標として「8月23日の時刻13:00〜13:30の間、GHP1とGHP2とをOFFにせよ」という遠隔制御情報を決定する。次に、ユーティリティ使用量削減支援システム1の出力提示手段5を使用して、その遠隔制御情報を通信ネットワーク6を介して需要家システム7内のユーティリティ関連機器11へ送信する。その結果、遠隔制御可能なGHP1およびGHP2(ユーティリティ関連機器11)は、受信した遠隔制御情報に従った運転を自動的に行い、8月23日の時刻13:00〜13:30の間、運転を自動的に停止することで35kWの電力使用量が確実に削減され、上記データ変更入力に対応するユーティリティ使用量の削減が達成される。
【0053】
尚、ユーティリティ関連機器11としては、ユーティリティを使用して稼動するガスヒートポンプや電灯などのユーティリティ使用機器のほかに、稼動してユーティリティを生産する発電機などのユーティリティ生産機器もある。従って、以上のように、ユーティリティ使用機器の運転を該当する日時にOFFにすることで上記削減可能量を実際に達成する場合に加えて、ユーティリティ生産機器の運転量を増加させることで(例えば、発電量を増大させることで)、ユーティリティ使用量とユーティリティ生産量とを相殺させ、所定のユーティリティ使用機器の運転をOFFせずに(或いは、所定のユーティリティ使用機器の運転をOFFする操作と組み合わせて)、上記削減可能量を達成することもできる。
【0054】
<別実施形態>
<1>
ユーティリティ使用量削減支援システム1の情報処理手段3において、電力使用量の内訳(例えば、空調機器の電力使用量、電灯の電力使用量など)を導出し、上記第1出力提示工程においてその内訳についても需要家に対して出力提示することもできる。この際、予め需要家の電力使用量データがユーティリティ使用機器毎に収集されて記憶されている場合には、その値が使用可能であり、ユーティリティ使用機器毎に収集されていない場合には、所定の導出ルールに則って導出される。その際、例えば、空調機器による電力使用量:電灯機器による電力使用量:動力機器による電力使用量:その他の機器による電力使用量=4:3:2:1であるというルールを過去の全電力使用量データに適用して、情報処理手段3がそれぞれの電力使用量の計算値を作成する。尚、上述の4:3:2:1という比率は需要家の生活様式などに基づいて適宜変更される。以下の表2に例示するのは、「8月」という評価期間内の電力使用量の最大値が8月23日の13:00〜13:30の電力使用量:「1935(kW)」であった場合のその内訳である。
【0055】
【表2】
【0056】
上述の実施形態と同様にこの出力提示(第1出力提示工程)を受けた需要家は、空調の電力使用量を774(kW)から717.6(kW)に56.6(kW)だけ削減させるようなデータ変更入力を行い、それをユーティリティ使用量削減支援システム1に伝達する。その結果、上述の実施形態と同様に、引き続いて、変更入力受付工程と、変更入力反映工程と、第2評価データ抽出工程と、第2出力提示工程が行われ、需要家に対して電力使用量の削減可能量が提示される。
【0057】
<2>
上述の実施形態では、8月23日と8月25日という平日の電力使用量を、8月の平日の平均データ(指標データ)と比較することを行ったが、他の複数の指標データと併せて比較することもできる。例えば、8月23日が火曜日である場合には、8月の火曜日の平均データを指標データとして提示し、火曜日の電力使用量と比べて8月23日の電力使用量がどのような関係にあるのかを需要家に見せて、8月23日の電力使用量データにおける特異な部分(削減可能な部分)を客観的に判別させることができる。ここで用いることのできる電力使用量データの属性情報(曜日、平日、土曜、日曜、祝日、天候、気温などの情報)は様々であり、例えば、8月23日の天候が晴れであった場合には、8月の晴れの日の平均データ(指標データ)と比較することもできる。更には、各属性情報毎に作成された複数の指標データ(平日の平均データ、晴れの日の平均データ、火曜日の平均データ)と8月23日の電力使用量データとを比較することで、8月23日の電力使用量データを複数の観点から解析することができ、8月23日の電力使用量データにおける特異な部分(削減可能な部分)を客観的に判別させることができるという利点が得られる。
【0058】
<3>
上述の実施形態では、第1出力提示工程および第2出力提示工程において、需要家に対してユーティリティ使用量を提示していたが、情報処理手段3において、そのユーティリティ使用量からユーティリティ使用料金を導出し、上記第1出力提示工程および第2出力提示工程において提示することもできる。その場合、第1出力提示工程においてはデータ変更入力前の過去のユーティリティ使用量に基づくユーティリティ使用料金が提示され、第2出力提示工程においてはデータ変更入力後のユーティリティ使用量予測に基づくユーティリティ使用料金予測が提示される。その結果、需要家自身によるデータ変更入力により、ユーティリティ使用量およびユーティリティ使用料金がどれだけ変化するのかを需要家に対して提示することができる。このように、過去のユーティリティ使用量データを単数または複数の指標データと比較して、ユーティリティ使用量の削減可能量を客観的に見積もることができるため、その削減可能量(電力使用量または最大使用電力の予測値)に対する信頼性が高い。
【0059】
また、上述したように、需要家が有するユーティリティ関連機器11が遠隔制御可能であり、それらの機器がユーティリティ使用量削減支援システム1から送信される遠隔制御情報に従って自動的に運転される場合には、ユーティリティ使用量の削減を自動的に、且つ確実に実施することができるため、本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法により導出される客観的な電力使用量(または最大使用電力)の予測値に対する信頼性・確実性が更に高まる。その結果、これまでの使用実績に基づく過去のユーティリティ使用量よりも、本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法により導出されるユーティリティ使用量が少ない場合には、例えば電力事業者との間で電力使用量(または最大使用電力)の大きさに応じた電力需給契約の交渉を行う際、本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法により導出される客観的な電力使用量(または最大使用電力)の予測を参照した電力需給契約を提案することもできる。
【0060】
<4>
次に、本発明にユーティリティ使用量削減支援方法の各工程を実行させるためのユーティリティ使用量削減支援プログラムについて説明する。
上述のユーティリティ使用量削減支援方法は、上記第1評価データ抽出工程と、上記指標データ作成工程と、上記第1出力工程と、上記変更入力受付工程と、上記変更入力反映工程と、上記第2評価データ抽出工程と、上記第2出力提示工程とを、更には、上記運転操作情報作成工程および上記第3出力提示工程、または上記遠隔制御情報作成工程および遠隔制御情報出力工程を実行させることのできるユーティリティ使用量削減支援プログラムを、ユーティリティ使用量削減支援システム1上で起動することで実現される。ユーティリティ使用量削減支援システム1は、所定のプログラムを実行可能な情報処理手段、メモリ、ハードディスクドライブなどの情報記憶手段を備えてなる情報処理装置を用いて実現可能であり、一般的なコンピュータを用いることもできる。尚、上述の各工程を実行するためには、上記ユーティリティ使用量削減支援システム1にインストールされたオペレーティングシステムによる基本機能として具備されているプログラムや既存のプログラムが利用されることもある。また、ユーティリティ使用量削減支援システム1が単数または複数台のコンピュータにより構築されている場合には、本発明に係るユーティリティ使用量削減支援プログラムの一部または全部が各コンピュータにインストールされ、各工程が別々のコンピュータ上で実行される場合もある。
【0061】
次に、上記ユーティリティ使用量削減支援プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体について説明する。
コンピュータ(ユーティリティ使用量削減支援システム1)に本発明に係るユーティリティ使用量削減支援方法の各工程を実行させるためのユーティリティ使用量削減支援プログラムを実行するためには、そのユーティリティ使用量削減支援プログラムを、上記コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えば、ハードディスクやCD−ROMなど)に格納しておく必要がある。そのためには、上記ユーティリティ使用量削減支援プログラムを上記ハードディスクドライブにダウンロードしておくか、または、上記ユーティリティ使用量削減支援プログラムを記録したCD−ROMを上記コンピュータが読み出し可能な状態に設置しておけばよい。
【0062】
ここで、上述の各工程は、上記コンピュータの基本機能として具備されているプログラムや既存のプログラムを利用して実現されることもあるが、汎用コンピュータにおいて必ずしもこれらのプログラムがインストール済みとは限らないので、上記記録媒体にこれらのプログラムの一部または全部を記録しておいても構わない。尚、上記記録媒体は必ずしも物理的に単体の媒体である必要はない。例えば、複数のCD−ROMや、上記コンピュータに接続された他の情報処理装置が管理する記録媒体上に上記プログラムが分散して配置されていても構わない。
【0063】
<5>
上述の実施形態では、図1に例示したようなユーティリティ使用量計測装置9を使用して需要家のユーティリティ使用量データを収集し、情報記憶手段4に格納させる場合について説明したが、ユーティリティ使用量データの収集方法はこれに限定されない。例えば、需要家宅を巡回するメータ検針員によって読み取られた各需要家のメータ指針値(ユーティリティ使用量データ)を、ユーティリティ使用量削減支援システム1を構成するコンピュータ端末に手入力することで情報記憶手段4に格納させる場合や、そのようなユーティリティ使用量データが格納されたフレキシブルディスクやCD−ROMなどの記憶媒体の内容を上記コンピュータ端末で読み出すことで情報記憶手段4に格納させる場合などがある。
【0064】
<6>
上述の実施形態では、需要家自身の過去のユーティリティ使用量データを参照して評価データや指標データを作成し、それを需要家に対して出力提示する場合について説明を行ったが、過去のユーティリティ使用量データを有していない(情報記憶手段4にユーティリティ使用量データが格納されていない)需要家に対しては、予測されるユーティリティ使用量データを参照して評価データや指標データを作成することもできる。例えば、ユーティリティ供給事業者が新たに需給契約を結ぶ需要家の場合、過去のユーティリティ使用量データを保持していないことがある。この場合、その需要家と家族構成、使用するユーティリティ関連機器、居住地域などに類似性がある他の需要家の過去のユーティリティ使用量データを(またはデータに適当な改変を行った上で)新たに契約する需要家の過去のユーティリティ使用量データと見なして、評価データや指標データを作成し、上述のような出力提示工程を行っても構わない。
【0065】
<7>
上述の第3実施形態の改変例として、上記データ変更入力工程における8月23日の13:00〜13:30の間の電力使用量データに対するデータ変更入力が1935kWから1900kWへの削減(−35kW)を意図するものであった場合、来る実際の8月23日の13:00〜13:30の間の電力使用量を削減するだけでなく、「8月23日の13:00〜13:30」と同じ属性を有する日時の電力使用量を削減することを目的としてユーティリティ使用量削減支援システム1が需要家に対して削減候補を提示したり、遠隔制御可能なユーティリティ関連機器に対して遠隔制御情報を出力したりすることもできる。
【0066】
例えば、上記データ変更入力工程において需要家によるデータ変更入力の対象となった「8月23日の13:00〜13:30」という日時から、「平日」、「火曜日」、「晴れ」「8月」、「23日」、「13:00〜13:30」といった属性情報が得られる場合、これらの属性情報の内の全部または少なくとも1つに該当する実際の日時(例えば、8月25日の13:00〜13:30など)に電力使用量を削減することを目的として、「8月23日の13:00〜13:30」という日時を対象として行われたデータ変更入力の内容(電力使用量を35kWだけ削減すること)に基づいて、第3実施形態の場合と同様にユーティリティ使用量削減支援システム1が需要家に対して削減候補を提示したり、遠隔制御可能なユーティリティ関連機器に対して遠隔制御情報を出力したりすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ユーティリティ使用量削減支援システムと需要家との関係を説明する図である。
【図2】 ユーティリティ使用量データの例である。
【図3】 ユーティリティ使用量データの例である。
【図4】 ユーティリティ使用量データの例である。
【図5】 ユーティリティ使用量データの例である。
【図6】 ユーティリティ使用量データの例である。
【符号の説明】
1 ユーティリティ使用量削減支援システム
2 入力受付手段
3 情報処理手段
4 情報記憶手段
5 出力提示手段
6 通信ネットワーク
7 需要家システム
8 需要家端末
9 ユーティリティ使用量計測装置
10 メータ
11 ユーティリティ関連機器
20 データ表示欄
21 データ表示欄
22 データ変更ボタン
23 データ表示欄
24 データ変更履歴欄
25 表示変更ボタン
26 データ表示欄
27 データ表示欄
28 データ変更ボタン
29 データ表示欄
30 データ変更ボタン
Claims (9)
- 需要家端末を使用した需要家による情報入力を通信ネットワークを介して受け付ける入力受付手段と、情報を処理する情報処理手段と、情報を記憶する情報記憶手段と、情報を前記需要家端末へ出力提示する出力提示手段とを備えて構成されるユーティリティ使用量削減支援システムを実現するコンピュータにおいて行われるユーティリティ使用量削減支援方法であって、
前記情報記憶手段に、需要家に設置されるユーティリティ関連機器でのユーティリティ使用量が、所定の評価期間及び前記評価期間よりも短い単位期間毎に、前記単位期間より短い所定期間単位で、ユーティリティ使用量データ情報として記憶され、
前記情報処理手段が、前記ユーティリティ使用量データ情報から、前記評価期間内において、最大のユーティリティ使用量データを含む第1評価データを、前記単位期間内の時系列順に並べられたユーティリティ使用量データの形態でグループ化されたデータ群として抽出する第1評価データ抽出工程と、
前記情報処理手段が、前記ユーティリティ使用量データ情報を用いて、前記評価期間内において、前記第1評価データを評価するための指標データを、前記単位期間毎の同じ時間属性を有するユーティリティ使用量データを平均化した平均データに関し、複数の平均データを前記単位期間内の時系列順に並べられた平均データの形態で作成する指標データ作成工程と、
前記出力提示手段が、前記単位期間内の時系列順に並べられたデータ形態をそれぞれ有する前記第1評価データと前記指標データとを、時系列順に並べられた形態で、前記需要家が前記需要家端末において対比可能に出力提示する第1出力提示工程と、
前記入力受付手段が、前記需要家端末を使用する前記需要家から、前記第1評価データ中の最大のユーティリティ使用量データに対して施されるデータ変更入力を受け付ける変更入力受付工程と、
前記情報処理手段が、前記データ変更入力を前記第1評価データに反映させる変更入力反映工程と、
前記情報処理手段が、前記変更入力反映工程後のユーティリティ使用量データ情報から、前記評価期間において、最大のユーティリティ使用量データを含む第2評価データを、前記第1評価データと同じデータ群構造で抽出する第2評価データ抽出工程と、
前記出力提示手段が、少なくとも、前記第1評価データ中の前記データ変更入力の対象とされた最大のユーティリティ使用量データと、前記第2評価データ中の最大のユーティリティ使用量データとを、前記需要家が前記需要家端末において対比可能に出力提示する第2出力提示工程とを含むユーティリティ使用量削減支援方法。 - 前記出力提示手段が、前記第2出力提示工程において、前記単位期間内の時系列順に並べられたデータ形態をそれぞれ有する前記第2評価データと前記指標データとを、時系列順に並べられた形態で、前記需要家が前記需要家端末において対比可能に出力提示する請求項1に記載のユーティリティ使用量削減支援方法。
- 前記情報処理手段が、前記変更入力反映工程後のユーティリティ使用量データ情報を用いて、前記評価期間内において、前記第2評価データを評価するための第2の指標データを、前記単位期間毎の同じ時間属性を有するユーティリティ使用量データを平均化した平均データに関し、複数の平均データを前記単位期間内の時系列順に並べられた平均データの形態で作成し、
前記出力提示手段が、前記第2出力提示工程において、前記単位期間内の時系列順に並べられたデータ形態をそれぞれ有する前記第2評価データと前記第2の指標データとを、時系列順に並べられた形態で、前記需要家が前記需要家端末において対比可能に出力提示する請求項1に記載のユーティリティ使用量削減支援方法。 - 前記変更入力受付工程と、前記変更入力反映工程と、前記第2評価データ抽出工程と、前記第2出力提示工程とが複数回実行される請求項2または請求項3に 記載のユーティリティ使用量削減支援方法。
- 前記出力提示手段が、前記第2出力提示工程において、前記データ変更入力の内容を前記需要家端末に出力提示する請求項1から請求項4の何れか1項に記載のユーティリティ使用量削減支援方法。
- 前記情報処理手段が、前記データ変更入力の内容に沿って前記需要家の実際のユーティリティ使用量を削減するための、前記需要家が有するユーティリティ関連機器の運転操作情報を作成する運転操作情報作成工程と、
前記出力提示手段が、前記運転操作情報を前記需要家端末に出力提示する第3出力提示工程とを含む請求項1から請求項5の何れか1項に記載のユーティリティ使用量削減支援方法。 - 前記情報処理手段が、前記データ変更入力の内容に沿って前記需要家の実際のユーティリティ使用量を削減するための、前記需要家が有する遠隔制御可能なユーティリティ関連機器の遠隔制御情報を作成する遠隔制御情報作成工程と、
前記出力提示手段が、前記遠隔制御情報を前記ユーティリティ関連機器に対して出力する遠隔制御情報出力工程とを含む請求項1から請求項5の何れか1項に記載のユーティリティ使用量削減支援方法。 - 前記ユーティリティ関連機器が、ユーティリティを使用して稼動するユーティリティ使用機器と、稼動してユーティリティを生産するユーティリティ生産機器とを含む請求項6または請求項7に記載のユーティリティ使用量削減支援方法。
- 請求項1から請求項8の何れか1項に記載のユーティリティ使用量削減支援方法の前記各工程を前記コンピュータに実行させるためのユーティリティ使用量削減支援プログラム。
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