JP4162096B2 - 蓄電デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、高出力および高容量を有し、かつ充放電サイクル特性に優れた蓄電デバイスに関する。
近年、ガソリンおよび電気の両方のエネルギーで駆動することができるハイブリッド自動車や、無停電電源、移動体通信機器、または携帯電子機器等の機器の普及に伴い、その電源として用いられる充放電可能な蓄電デバイスの高性能化への要求は非常に高まっている。具体的には、高出力化、高容量化、および充放電サイクル特性の向上が要求されている。
例えば、特許文献1および2では、高出力化および高容量化を目的として、電極活物質にπ電子共役雲を有する有機化合物を用いた正極と、従来からリチウム電池に用いられている負極とを組み合せた、蓄電デバイスが提案されている。
しかし、電極活物質に低分子量の有機化合物を用いた蓄電デバイスでは、充放電を繰り返すと、電気容量が低下する場合がある。これは活物質である有機化合物分子の一部が、充放電に伴い電極から電解質中に溶出することにより、電極内部から脱離し、その脱離した活物質が充放電反応に寄与しなくなるためであると考えられる。
また、特許文献3では、正または負に帯電した有機化合物と、有機化合物が帯電する電荷と逆の符号の電荷を有する電解質中のイオンとで形成される導電性有機錯体を電極活物質に用いた電池において、この導電性有機錯体を構成する有機化合物に、エレクトロクリスタリゼーション(電気化学的結晶成長法)で用いられる電子供与性又は電子受容性を有する有機化合物を用いることが提案されている。
エレクトロクリスタリゼーション(電気化学的結晶成長法)とは、有機化合物分子と電解質の支持塩とを溶解させた溶媒中に2本の電極を導入し、2本の電極間に電圧を印加することにより、一方の電極上において酸化反応または還元反応を起こし、酸化体結晶または還元体結晶を形成する手法である。そして、ペリレン過塩素酸錯体、またはテトラチアナフタレン過塩素酸錯体などの導電性有機錯体を電極活物質に用いることが開示されている。
電極活物質にペリレン過塩素酸錯体を用いた場合を、図14を用いて説明する。図14は電極活物質にペリレン過塩素酸錯体を用いた電池の概略図である。電池は、溶媒としてのテトラヒドロフラン中に支持塩としての過塩素酸リチウムを溶解させた電解質51、白金電極からなる正極52、金属リチウムからなる負極53を備える。電解質51はさらに正極活物質であるペリレンを含む。充電時では、正極52上で電解質中に溶解したペリレンが酸化され、ペリレン過塩素酸錯体(固体)が生成する。放電時では、正極52上に析出したペリレン過塩素酸錯体(固体)が還元され、ペリレンとなり電解質中に溶解する。なお、負極53の反応は、金属リチウムの溶解析出反応である。
このように、上記電池では、放電時に活物質が電解質中に溶解するため、二次電池としての実使用に対して、以下の3つの大きな問題を有する。
第1には、電池反応は電極表面で起こるが、上記電池の正極活物質は電解質中に溶解して散逸しているため、電極表面から離れて存在する正極活物質は電池反応に利用されない。すなわち、電解質に溶解させたペリレンのうち充放電反応に寄与することのできる割合は低いため、蓄電デバイスとしての容量密度が著しく低下する。
第2には、上記電池のように、電池反応において活物質の溶解・析出を伴う場合、充放電サイクル特性の良い二次電池を得ることは非常に難しい。析出時にデンドライトと呼ばれる針状の析出物を形成するため、充放電を繰り返すことにより、成長した針状の析出物が折れ、極板から脱離し、充放電に利用されなくなる場合がある。また、一方の電極上で針状の析出物が成長し、これが他方の電極に到達して、正極と負極とが短絡し、電池が正常に作動しない場合がある。
これらの現象は、溶解・析出の電池反応機構を有する、金属リチウム電極を用いた非水系電池において、よく知られている。
第3には、ペリレンのような酸化還元が可能な有機化合物が電解質中に溶解し、正極および負極のいずれの電極にも接触することにより、正極と負極とが短絡する。このように正極と負極とが短絡すると、電池の保管中に自己放電が進行して、電池の充電量が減少する。
上記のように、電極活物質として、有機化合物のカチオンまたはアニオンと、電解質中の支持塩のアニオンまたはカチオンとから形成される導電性有機錯体を用いることが開示されているが、二次電池において、高容量化と、充放電サイクル特性の向上とを両立することは困難であった。
特開2004−111374号公報 特開2004−342605号公報 特開昭60−14762号公報
そこで、本発明は、上記従来の問題を解決するため、高容量かつ高出力を有し、かつ充放電サイクル特性に優れた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
蓄電デバイスにおいて、活物質である有機化合物の結晶性、および活物質である有機化合物の結晶性と蓄電デバイス特性との相関性に関しては依然として検討されていない。そこで、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、酸化還元可能な有機化合物を電極活物質に用いた蓄電デバイスにおいて、上記有機化合物の充電時および放電時の結晶性と、蓄電デバイスの充放電サイクル特性との間に相関があることが明らかとなった。すなわち、充電時および放電時の両方において有機化合物が結晶性を有している場合、充放電サイクル特性が良好であるが、充電時および放電時の少なくとも一方において有機化合物が結晶性を有しない場合、蓄電デバイスの充放電サイクル特性が悪くなることが明らかとなった。これは、活物質である有機化合物が充電時および放電時の両方において結晶性を有すると、電解質への有機化合物の溶解が抑制されるためであると考えられる。
すなわち、本発明は、正極と、負極と、電解質とを含む蓄電デバイスであって、前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方が、酸化還元反応に寄与する部位を有する有機化合物を活物質として含み、前記有機化合物が、充電状態および放電状態の両方において結晶質であり、後述の一般式(1)〜(3)のいずれかで表される構造を有することを特徴とする。

充電状態および放電状態のうちの少なくとも一方において、前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方に含まれる前記有機化合物が正または負に帯電し、前記正または負に帯電した有機化合物が、前記有機化合物が帯電する電荷と逆の符号の電荷を有する前記電解質中のイオンと結晶質の塩を形成するのが好ましい。
本発明によれば、高容量かつ高出力を有し、かつ充放電サイクル特性に優れた蓄電デバイスを提供することができる。
本発明は、正極と、負極と、電解質とを含み、前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方が、酸化還元反応に寄与する部位を有する有機化合物を活物質として含み、前記有機化合物が、充電状態および放電状態の両方において結晶質であることを特徴とする蓄電デバイスに関する。
これにより、高容量かつ高出力を有し、かつ充放電サイクル特性に優れた蓄電デバイスが得られる。本発明は、有機化合物のなかでも、電解質に溶解しやすい分子量10000以下の低分子量の有機化合物に対して特に有効である。
有機化合物の結晶性と蓄電デバイス特性との関係について説明する。
これまで、活物質である有機化合物の分子構造が異なると、容量や電圧等の蓄電デバイス特性が変化するという知見は既に得られていた。これに対して、本発明者は、これ以外に、有機化合物の分子構造が全く同じでも、有機化合物の結晶性が異なることにより、蓄電デバイスの特性が大きく変化するということを見出した。すなわち、活物質である有機化合物が充電状態および放電状態のいずれにおいても結晶質である場合、充放電サイクル特性に優れた蓄電デバイスが得られることが明らかになった。そして、逆に、活物質である有機化合物が放電状態および充電状態のうち少なくともいずれかにおいて結晶質でない場合、蓄電デバイスの充放電サイクル特性が急激に低下してしまうことが明らかになった。
上記のような有機化合物の結晶性と蓄電デバイスの充放電サイクル特性との関係は、以下のように考えられる。
活物質である有機化合物が結晶質でない、すなわちアモルファスまたは有機化合物が特定の周期的な結晶構造を有しない場合、有機化合物分子間に電解質が侵入し易くなり、有機化合物と電解質の分子レベルでの接触面積が増加し、有機化合物の電解質への溶解性が増加してしまう。これに対して、活物質である有機化合物が結晶質である場合、有機化合物分子同士が密にパッキングされるために、有機化合物分子間に電解質が侵入し難くなり、有機化合物と電解質との分子レベルでの接触面積が減少する。このため、有機化合物の電解質への溶解性が大幅に低下し、これにより蓄電デバイスの充放電サイクル特性が向上する。
試料(活物質)の結晶性は、結晶子サイズの大きさで分類される。ここで、結晶子とは、一次結晶、すなわち方位を揃えて結晶を構成する最小単位を意味する。結晶子を、図1を用いて説明する。図1は、試料である化合物の結晶粒子を示す概念図である。図1に示すように、試料は、複数の粒子1の集合体、および粒子1間の界面である粒界2により形成される。粒子1は複数の結晶子3の集合体からなる。すなわち、結晶子は、結晶子3の集合により形成される粒子1ではなく、粒子1を構成する結晶子3を意味する。ただし、粒子1が、複数の結晶子3ではなく単一の結晶子3で構成されている場合のみ、粒子自体が結晶子となる。結晶子サイズが大きいほど、結晶性は高い。
そして、試料が単一の結晶子3のみから構成される場合、単結晶と呼ばれ、また試料が複数の結晶子3から構成される場合、多結晶と呼ばれる。また、結晶子3のサイズが数nm〜10数nm程度の場合、一般に微結晶と呼ばれる。これらの場合、試料は結晶質であるとみなされる。
これに対して、結晶子3のサイズが数nm以下、あるいは観測できない場合、一般に非晶質と呼ばれる。この場合、試料は結晶質ではないとみなされる。
次に、試料の結晶性とX線回折測定との関係について説明する。
試料の結晶子サイズおよびX線回折測定における回折ピークの半値幅は、下記に示す式(a)(シェラーの式)を満たす。
D=K×λ/(β・cosθ) (a)
上記式中、Dは結晶子サイズ(nm)、Kは定数、λはX線波長(nm)、βは回折ピークの半値幅(rad)である。
試料の結晶性が高く、すなわち結晶子サイズが大きい場合、回折ピークの半値幅は小さくなり、すなわちシャープな回折ピークが得られる。試料の結晶性が低く、すなわち結晶子が小さい場合、得られる回折ピークの半価幅が大きくなり、いわゆるブロードな回折ピークが得られる。試料の結晶子が極端に小さい場合、回折ピークは現れず、ハローパターンが得られる。この状態を「X線的な非晶質」と称する。このような場合、半値幅は、例えば2〜3°程度またはそれ以上である。
以上のように、試料の結晶性の有無は、X線回折測定で得られる回折線における回折ピークの有無により判断される。
充放電時の活物質の結晶性に影響を与える因子としては、例えば、活物質の分子構造、アニオンや溶媒等の電解質の成分、および充放電反応における活物質1分子当たりの反応電子数が挙げられる。以下、これらの因子について順に説明する。
(A)活物質の分子構造
本発明の蓄電デバイスにおける活物質として酸化還元反応(充放電反応)に寄与する部位を有する有機化合物としては、π電子共役雲を有する有機化合物(以下、π電子化合物と表す)や、ラジカルを有する有機化合物(以下、ラジカル化合物と表す)が挙げられる。
π電子化合物またはラジカル化合物を活物質に用いる場合、酸化還元反応は、活物質の物理的および化学的な構造変化を伴わず、π電子またはラジカルに基づく電子の授受により進行する。これにより、反応速度が非常に速くなり、充放電時の反応抵抗が低減されるため、蓄電デバイスの出力特性が向上する。
π電子化合物としては、例えば以下に示す一般式(1)または一般式(2)で表わされる構造を有する有機化合物などが挙げられる。
一般式(1):
Figure 0004162096
一般式(1)中、Xは硫黄原子または酸素原子であり、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはニトロソ基であり、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基または環状の脂肪族基であり、前記鎖状または環状の脂肪族基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
一般式(2):
Figure 0004162096
一般式(2)中、Xは窒素原子であり、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはニトロソ基であり、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基または環状の脂肪族基であり、前記鎖状または環状の脂肪族基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
また、別のπ電子化合物としては、例えば以下に示す一般式(3)で表わされる構造を有する有機化合物などが挙げられる。
一般式(3):
Figure 0004162096
一般式(3)中、X1〜X4はそれぞれ独立して硫黄原子、酸素原子、セレン原子またはテルル原子であり、R1〜R2はそれぞれ独立して鎖状の脂肪族基または環状の脂肪族基であり、前記鎖状または環状の脂肪族基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
上記一般式(1)〜(3)で表される有機化合物は、分子間の結合力、すなわち分子間力が強い性質を有する。活物質の分子間力が強い場合、精製や再結晶により、結晶質な活物質が得られやすい。
分子間力が強い有機化合物の分子構造は平面構造であり、かつ前記平面に対して垂直方向にπ電子共役雲を有するのが好ましい。これらの有機化合物分子の平面同士が互いに重なり合い、かつ平面に対して垂直方向に存在するπ電子共役雲により強い分子間力が働くことにより、活物質である有機化合物が結晶を構成することができる。また、結晶を構成するためには、有機化合物の分子構造が対称性を有することが望ましい。
上記有機化合物の中でも、特に分子間力が強い点で、後述する式(4)〜(26)で表される化合物が好ましい。
ここで、有機化合物分子の平面構造について図面を用いて説明する。図2は、平面構造を有する有機化合物分子の例であり、図3〜5は、複数の平面構造を有する有機化合物の分子構造の例であり、それぞれ分子平面に対して並行な方向から見た図である。ここでいう平面構造とは、例えば、図2に示すように、一つの分子が同一平面上に存在している場合のみに限定されない。例えば、分子が、複数の平面部位を有してもよい。例えば、図3に示すように、有機化合物分子が2つの平面部位を有し、屈曲した構造を有してもよい。図4に示すように、有機化合物分子が同一平面上に存在する2つの平面部位を有し、2つの平面部位が階段状に配されるような構造を有してもよい。図5に示すように、有機化合物分子が同一平面上に存在する3つの平面部位を有し、これらの平面部位が階段状に配されるような構造を有してもよい。
一般式(1)で表される化合物としては、例えば、以下に示す化学式(4)で表される化合物や一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
化学式(4):
Figure 0004162096
一般式(5):
Figure 0004162096
一般式(5)中、R1〜R4およびR7〜R10はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはニトロソ基であり、前記鎖状または環状の脂肪族基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
高電圧、かつ優れた充放電サイクル特性を有する蓄電デバイスが得られる点で、一般式(1)、(2)および(5)におけるR1〜R4およびR7〜R10はニトロ基(NO2)が好ましい。また、高電圧、かつ高容量の蓄電デバイスが得られる点で、R1〜R4およびR7〜R10はシアノ基(CN)が好ましい。また、高電圧および高容量であり、かつ優れたレート特性およびサイクル特性を有する蓄電デバイスが得られる点で、R1〜R4およびR7〜R10はメチル基(CH3)が好ましい。
1〜R4およびR7〜R10で用いられる脂肪族基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、チオアルキル基、アルデヒド基、カルボン酸基、ハロゲン化アルキル基などが挙げられる。また、この脂肪族基の炭素数は、特に制限はないが、炭素数は1〜6が好ましい。
化学式(4)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物のなかで最も分子量が小さいため、活物質のエネルギー密度が最も高くなり、高エネルギー密度の蓄電デバイスが得られる。また、反応速度が速い。
一般式(1)で表される化合物の酸化還元反応では、2つの5員環上で電子の授受が行われ、2段階の反応が起こる。一般式(5)で表される化合物の酸化還元反応は、一般式(1)と同様の反応であるが、2つの5員環の間に配置された2つのベンゼン環の存在により、2つの5員環から電子が抜かれるエネルギーレベルが互いに近くなり、擬似的に1段階で反応が進行する。これは、1電子反応した構造と2電子反応した構造とが非常に似ているためである。このため、一般式(5)で表される化合物は、一般式(1)においてR5及びR6がベンゼン環を含まない場合に比べて反応速度が速くなる。
一般式(5)で表される化合物の代表例としては、化学式(6)〜(9)で表される化合物が好ましい化合物として挙げられる。
化学式(6):
Figure 0004162096
化学式(7):
Figure 0004162096
化学式(8):
Figure 0004162096
化学式(9):
Figure 0004162096
一般式(2)で表される化合物としては、例えば、以下に示す化学式(10)で表される化合物が挙げられる。
化学式(10):
Figure 0004162096
化学式(10)で表される化合物は、一般式(2)で表される化合物のなかで最も分子量が小さいため、活物質のエネルギー密度が最も高くなり、高エネルギー密度の蓄電デバイスが得られる。また、反応速度が速い。
一般式(3)で表される化合物としては、例えば一般式(11)〜(14)で表される化合物が挙げられる。
一般式(11):
Figure 0004162096
一般式(11)中、X1〜X4はそれぞれ独立して硫黄原子、酸素原子、セレン原子またはテルル原子であり、R3〜R6はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはニトロソ基であり、前記鎖状または環状の脂肪族基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
一般式(12):
Figure 0004162096
一般式(12)中、X1〜X4はそれぞれ独立して硫黄原子、酸素原子、セレン原子またはテルル原子であり、YおよびZはそれぞれ独立して硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子またはメチレン基である。
一般式(13):
Figure 0004162096
一般式(13)中、X1〜X4はそれぞれ独立して硫黄原子、酸素原子、セレン原子またはテルル原子であり、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはニトロソ基であり、前記鎖状または環状の脂肪族基は、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができ、nは1以上である。
一般式(14):
Figure 0004162096
一般式(14)中、X1〜X4はそれぞれ独立して硫黄原子、酸素原子、セレン原子またはテルル原子である。
また、一般式(3)で表される化合物としては、例えば、以下に示す式(15)〜(26)で表される化合物が好ましい。これらの中でも、特に、エネルギー密度が高いという点で、化学式(16)及び化学式(20)で表される化合物がより好ましい。
化学式(15):
Figure 0004162096
化学式(16):
Figure 0004162096
化学式(17):
Figure 0004162096
化学式(18):
Figure 0004162096
化学式(19):
Figure 0004162096
化学式(20):
Figure 0004162096
化学式(21):
Figure 0004162096
化学式(22):
Figure 0004162096
化学式(23):
Figure 0004162096
化学式(24):
Figure 0004162096
化学式(25):
Figure 0004162096
化学式(26):
Figure 0004162096
また、ラジカル化合物としては、例えば分子内にニトロキシラジカルおよび酸素ラジカルのうち少なくとも一方を有する有機化合物が挙げられる。具体的には、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチル−3−イミダゾリウム−1−ロキシに代表されるニトロキシラジカル類、またはキノンもしくはベンゾキノンなどのキノン類が挙げられる。上記ラジカル化合物も、π電子化合物と同様の理由で、結晶質が得られやすい。
本発明の蓄電デバイスでは、上記有機化合物の結晶が用いられる。有機化合物の結晶を得るためには、有機化合物を精製し、再結晶することが有効である。すなわち、有機化合物を一旦良溶媒に溶解させ、さらに貧溶媒を加え、再沈殿させる操作をすることが有効である。また、有機化合物を融点付近まで加熱した後、徐冷する操作も有効である。
有機化合物を良溶媒に溶解させ、その後溶媒を蒸発させる操作、または有機化合物を融点付近まで加熱した後、急冷する操作を行うと、有機化合物は結晶性の低い状態、もしくはアモルファスとなり得るため、本発明の蓄電デバイスに用いる有機化合物としては好ましくない。
(B)電解質の成分
電解質には、例えば、有機溶媒および前記有機溶媒に溶解する支持塩からなる非水電解質が用いられる。電解質中において、支持塩は、イオン、すなわちアニオンとカチオンとして存在する。
充電状態および放電状態のうちの少なくとも一方において、正極および負極のうちの少なくとも一方に含まれる前記有機化合物が正または負に帯電し、前記正または負に帯電した有機化合物が、前記有機化合物が帯電する電荷と逆の符号の電荷を有する前記電解質中のイオンと結晶質の塩を形成するのが好ましい。
アニオンとしては、ハロゲン化物アニオン、過塩素酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、4フッ化ホウ酸アニオン、6フッ化リン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロ−1−ブタンスルホン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドアニオンなどが使用可能である。
例えば、アニオンは、イオン半径が小さく、3次元的に対称な構造を有するのが好ましい。3次元的に対称な構造とは、点対称な構造であることを意味する。
アニオンは活物質のみからなる分子結晶の中に侵入すると、正に帯電した活物質とアニオンからなる新たな結晶を形成するため、アニオンのイオン半径が大きいと活物質のみからなる分子結晶を壊してしまうと考えられる。また、アニオンが、電荷の偏りの大きな3次元的に非対称な構造を有する場合、正に帯電した活物質とアニオンからなる、3次元的な周期構造を有する新たな結晶を形成し難いと考えられる。このような観点から、上記アニオンの中でも、ハロゲン化物アニオン、過塩素酸アニオン、ほうフッ化物アニオン、6フッ化リン酸アニオンなどが好ましい。
カチオンとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のカチオンや、マグネシウムなどのアルカリ土類金属のカチオン、テトラエチルアンモニウムや1、3−エチルメチルイミダゾリウムなどの4級アンモニウムのカチオンが用いられる。
電解質の溶媒としては、非水二次電池や非水系電気二重層キャパシタに使用可能なものであれば何でもよく、特に限定されない。具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γブチルラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の有機溶媒が用いられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒は、例えば、活物質、および正に帯電した活物質と、アニオンとで形成される塩を結晶質に維持することが可能なものが望ましく、比誘電率が30以下の有機溶媒が望ましい。比誘電率が30を超えると、正に帯電した活物質とアニオンとを解離させる力が増大し、酸化状態の活物質は電解質に溶解しやすくなる。
ここで、一般式(3)で表されるビスエチレンジチオテトラチアフルバレンのようなπ電子化合物を正極活物質に用いた場合について説明する。充電時にはπ電子化合物が酸化し、非水電解質から正極内に移動してきたアニオンがπ電子化合物に配位する。従って、充電状態の正に帯電したπ電子化合物はアニオンと塩を形成すると考えられる。アニオンとカチオン間に作用する静電気的な引力fは下記の式(b)で与えられる。
f=e2/εr2 (b)
ここでeは単位電荷、εrは有機溶媒の比誘電率、dはイオン間距離を示す。式(b)から、有機溶媒の比誘電率が大きくなると、アニオンとカチオン間における引力は小さくなるため、イオンが解離しやすくなることが分かる。従って、比誘電率が大きい有機溶媒を用いた場合は充電状態の活物質とアニオンが解離するので、正極活物質が電解質に溶解しやすくなり、繰り返し充放電試験における容量低下が生じる原因となる。
ビスエチレンジチオテトラチアフルバレンのようなπ電子化合物を正極活物質として用いると、有機溶媒の比誘電率が30以下では、充放電反応時において正極活物質の溶解を抑制できる。
また、π電子化合物の酸化還元反応においてはアニオンが反応に関与するため、その反応抵抗は電解質中に存在するアニオン濃度に依存する。アニオン濃度が大きいほど、反応抵抗は小さくなる。アニオン濃度は電解質中の支持塩の濃度および解離度に依存する。式(b)から、有機溶媒の比誘電率が大きくなるとイオン間の相互作用(引力)が小さくなるので、解離度が大きくなる。このため、比誘電率の大きい有機溶媒ほどπ電子化合物の酸化還元時における反応抵抗は小さくなる。6フッ化リン酸リチウムのような解離度の大きい支持塩を電解質に用いた場合、有機溶媒の比誘電率が10以上であれば、反応抵抗を低減することができる。したがって、有機溶媒の比誘電率が10以上30以下であると、反応抵抗が低減し、酸化還元反応に伴う活物質の溶解が抑制されるため、優れた充放電サイクル特性とともに高出力特性が得られる。なお、ここでいう有機溶媒の比誘電率とは、25℃における有機溶媒単独の比誘電率を意味し、比誘電率の値は公知文献から容易に入手することが可能である。
上記の有機溶媒は、比誘電率が10以下の第1の溶媒と、比誘電率が30以上の第2の溶媒との混合溶媒からなるのが好ましい。
このように低誘電率溶媒と高誘電率溶媒とを混合することにより、有機溶媒の比誘電率を10以上30以下に容易に調整することができ、目的とするレベルの特性が簡便に得られる。単独で10以上30以下の比誘電率を有する有機溶媒としては、ジメチルスルホキシドなどが挙げられるが、ジメチルスルホキシドは電位窓が狭く、また初期状態の活物質を溶解するため本発明における蓄電デバイスに使用することは難しい。
第1の溶媒は、鎖状炭酸エステル、鎖状エステル、および鎖状エーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つであるのが好ましい。第1の溶媒としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピオネート、ジメトキシエタンなどが挙げられる。
第2の溶媒は、環状炭酸エステル、環状エステル、および環状エーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つであるのが好ましい。第2の溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ガンマブチロラクトンなどが挙げられる。
これらの有機溶媒は電位窓が広く、π電子共役雲を有する有機化合物を溶解しにくいため、非水電解質の有機溶媒として好適に用いられる。
さらに、使用可能な有機溶媒としては、初期状態の活物質が有機溶媒に対して不溶であることが求められる。初期状態での活物質が高い溶解性を示す有機溶媒を使用すると、蓄電デバイス保存時において活物質である有機化合物が電解質に溶解して、容量が低下し、保存特性が低下するためである。ここでいう不溶であるとは、活物質の有機溶媒中の溶解度が0.01重量%以下であることを意味する。このように溶解性が低いことにより、保存時に活物質が非水電解質中に溶出することがないため、高信頼性の蓄電デバイスが得られる。
支持塩としては、会合定数が3以下である、すなわち解離度の大きい塩を用いるのが好ましい。ここでいう支持塩の会合定数は、25℃、プロピレンカーボネート中での会合定数を意味し、文献などで詳細に検討されている(例えば、J. Electrochem. Soc., Vol. 141(1994), No.12, 3366)。
解離度が大きい支持塩を使用することにより、非水電解質中のイオン濃度が向上し、反応抵抗を軽減することが可能となる。支持塩の会合定数が3を超えると、上記範囲の比誘電率の有機溶媒では、解離したイオン濃度が低くなり、導電率が低くなる。
会合定数が3以下である支持塩は特に制限はないが、6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニル)イミド(LiBETI)が好適に用いられる。これらの支持塩はリチウムイオン二次電池用支持塩として広汎に使用されており、低誘電率溶媒中でも高い解離度を有し、また、化学的安定性にも優れている。
また、上記以外の電解質として、ポリマー電解質や固体電解質を用いてもよい。固体電解質には、例えば、Li2S−SiS2、Li2S−B25、Li2S−P25−GeS2、ナトリウム/アルミナ(Al23)無定形または低相転移温度(Tg)のポリエーテル、無定形フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレンコポリマー、異種高分子ブレンド体ポリエチレンオキサイドが用いられる。
(C)充放電反応における活物質1分子当たりの反応電子数n
充放電反応における活物質1分子当たりの反応電子数nは、大きいほど高容量の蓄電デバイスが得られる。一方、結晶性の維持のためには、活物質1分子当たりの反応電子数nは小さい方が好ましい。例えば、充電および放電の少なくとも一方で、電解質中のイオンが活物質である有機化合物の結晶中に侵入し、有機化合物とイオンとからなる塩を形成する場合、反応電子数nが小さいと、有機化合物の結晶内部に侵入するイオン量が少なくなり、上記塩は結晶性を維持しやすい。逆に反応電子数nが大きくなると、有機化合物の結晶内部に侵入するイオン量が多くなり、上記塩の結晶性を維持することが困難になる。
上記のことから、蓄電デバイスにおいて、有機化合物の充放電時の結晶性を維持するためには、反応電子数nに対して閾値が存在する。この閾値は、例えば、有機化合物の種類や電解質の成分により変わる。
反応電子数nが閾値以下であると、有機化合物の充放電時の結晶性が維持され、充放電サイクル特性に優れた蓄電デバイスが得られる。反応電子数nが閾値を超えると、充放電時に有機化合物の結晶性が維持されなくなり、充放電サイクル特性が低下する。したがって、本発明の蓄電デバイスでは、高容量かつ優れた充放電サイクル特性を同時に得るためには、反応電子数nが有機化合物の結晶性を維持することができる閾値以下の領域において充放電する。活物質利用率(放電容量)の観点から反応電子数nはできるだけ大きな値であるのが望ましい。
反応電子数nは、例えば、充電上限電圧、放電下限電圧、充電電気量、もしくは放電電気量などの充放電条件、または正極容量と負極容量とのバランス(例えば、正極容量に対する負極容量の比)などの蓄電デバイスの設計により、容易に制御することができる。
正極活物質にビスエチレンジチオテトラチアフルバレンを用い、電解質の支持塩に4フッ化ホウ酸リチウムを用いた場合の正極の反応メカニズムを以下に説明する。正極では下記の式(c)の反応が進行するものと考えられる。
ET + nBF4 - → [ETn+ ・nBF4 -] + ne- (c)
式(c)中において、ETは、正極活物質であるビスエチレンジチオテトラチアフルバレンを示す。式(c)における右向き矢印は充電反応の向きを表す。従って、放電状態の活物質はETであり、充電状態の活物質は、[ETn+ ・nBF4 -]である。また、式(c)におけるnは活物質1分子当たりの反応電子数を表す。
反応電子数は、例えば、蓄電デバイスの充電量や放電量に応じて制御することができる。
式(c)に示すように、充電時では、活物質が酸化されて正に帯電し、活物質の酸化体に電解質中のアニオン(ここでは、4フッ化ホウ酸イオン(BF4 -))が配位した状態、すなわち[ETn+ ・nBF4 -]となる。一方、放電時では、逆に正に帯電した活物質の酸化体が還元され、電荷を失い、アニオンを離し、充電前の状態である有機化合物分子に戻る。
上記コイン型電池の充放電時における活物質の状態を説明する。図6は放電時の活物質の結晶構造を示し、図7は充電時の結晶構造を示す。
図6に示すように、放電時の活物質は、有機化合物(ET)の分子結晶のみからなる。一方、充電時の活物質は、図7に示すように、有機化合物(ET)の分子間にアニオン(BF4 -)が入り込み、正に帯電した活物質とアニオンとからなる塩が、周期性を有する結晶として形成される。このように、充電時および放電時の両方において、活物質である有機化合物が結晶構造を有する場合、優れた充放電サイクル特性を有する蓄電デバイスが得られる。
上記では、放電時にアニオンを含まない有機化合物の分子のみからなる結晶が形成されるが、充電時および放電時のどちらか一方がアニオンを含まない有機化合物単体の結晶でなくてもよい。すなわち、充電時および放電時の両方において、正または負に帯電した有機化合物と、上記有機化合物と逆の電荷を有する電解質中のイオンとで形成される塩が結晶として存在してもよい。
上記構成の場合、充放電反応における活物質1分子当たりの反応電子数nは最大で2である。すなわち活物質1分子あたり2電子反応までが可能である。この値は大きければ大きいほど、活物質1分子当たり多くの電子を取り出すことができ、高容量の蓄電デバイスが得られる。一方、充放電サイクル特性の観点から、上記構成の場合、充放電反応における活物質1分子当たりの反応電子数nは、2.0以下であるのが好ましい。従って、反応電子数nが2.0以下であり、かつ2.0に近いほど、高容量および優れた充放電サイクル特性が同時に得られる。反応電子数nは、例えば、充電上限電圧、放電下限電圧、充電電気量、もしくは放電電気量などの充放電条件、または正極容量と負極容量とのバランス(例えば、正極容量に対する負極容量の比)などを適宜設定することにより、容易に制御することができる。
充放電時の活物質が結晶質であるかどうか、すなわち結晶構造を有するかどうかは、上述したように、X線回折測定により容易に調べることができる。X線回折測定は、活物質を含んだ極板として測定することができる。また、極板から活物質のみを抽出し、活物質単体として測定することも可能である。ここで、充放電時の活物質のX線回折測定の結果を図8に示す。図8中の実線は放電状態での測定結果を示し、点線は充電状態での測定結果を示す。放電時の活物質の測定結果および充電時の活物質の測定結果のいずれも回折ピークが存在することから、有機化合物が結晶性を有することがわかる。また、実線の測定結果と点線の測定結果とから回折ピークの位置(X線入射角度)が変化している、すなわち充電時と放電時とで結晶構造が変化していることがわかる。また、回折パターンを詳細に解析することにより、結晶構造について詳細な情報が得られる。なお、図6および7の有機化合物の充電時および放電時の結晶構造は、図8に示すX線回折パターンから得られた情報に基づいて結晶構造を同定することにより得られる。
活物質1分子あたりの反応電子数nを制御する方法としては、例えば、正極および負極の少なくとも一方が上記有機化合物を活物質として含む蓄電デバイスを、活物質利用率が、前記有機化合物が結晶質を維持することができる閾値以下の領域において充放電する方法が挙げられる。
ここでいう、活物質利用率とは、電極中に含まれる活物質の重量に基づいて算出される理論容量に対して実際に充放電反応で使用される容量の割合を意味する。活物質の理論容量は、反応電子数(n)、分子量(Mw)に対して次式(d)により求められる。なお、ここでいう容量とは電流容量を意味する。
理論容量(mAh/g)=(n×96500/Mw)×(1000/3600) (d)
この活物質利用率の閾値は、活物質の種類や電解質の成分等により変わる。活物質の種類や電解質の成分を最適化することにより、活物質利用率90%以下の範囲で充放電することが可能である。
例えば、上記有機化合物を正極活物質に用いた蓄電デバイスを、活物質利用率が90%以下に充放電することにより、充放電時において活物質は結晶質を維持することができる。
正極活物質の容量利用率を上記範囲とすることにより、活物質1分子あたりの反応電子数を閾値以下に制御することができる。10000以下の低分子量の有機化合物を活物質に用いた場合でも、活物質の電解質中への溶出を抑制することができる。特に、電解質中へ溶出し易い分子量が1000以下の有機化合物の場合に対して有効である。
上記充放電制御方法の一例として、一般式(3)の一例としてテトラチアフルバレンを正極活物質に用いた場合について説明する。充電時には正極活物質のテトラチアフルバレンが酸化し、電解質から正極内へ移動したアニオンが正極活物質に配位する。活物質の利用範囲によってその反応電位は異なり、1価から2価への反応は、0価から1価への反応よりも高い電位で起こる。充電状態によって、活物質の価数は0価、1価、または2価となり、活物質の酸化状態が変わる。活物質の酸化状態により電解質に対する活物質の溶解度が異なる。活物質が2価の酸化状態であると、電解質に対する溶解度が上がる傾向がある。
ここで、図9は、正極活物質にテトラチアフルバレンを用い、負極活物質にLiを用いた時の充電電圧曲線である。図9に示すように、充電電圧曲線は2段の平坦部を有する。これ以外にも、正極活物質の種類によっては、充電電圧曲線が3段以上の平坦部を有する場合もある。低電圧側の領域(図中の領域a)では、0価から1価への反応が進行し、高電圧側の領域(図中の領域b)では1価から2価への反応が進行すると考えられる。
本発明者は、種々の検討により、酸化状態が2価の領域では、活物質の電解質に対する溶解度が高いことにより容量低下が起こり易いことを見出した。そして、上記のように正極活物質の利用率を90%以下に制限して充放電することにより、電解質中に溶解しやすい2価の酸化状態になる活物質の割合を制限し、容量低下を抑制することが可能であることを見出した。また、活物質の電解質中への溶解以外にも正極活物質そのものが分解するなど、正極活物質自体の劣化による容量低下も認められるが、このような要因で生じる容量低下に関しても、上記のように正極活物質の利用率を制限することにより抑制することができる。
充放電時において正極活物質利用率を90%以下に制御する方法としては、例えば、上記有機化合物を正極活物質に用いる蓄電デバイスにおいて、正極容量に対する負極容量の割合を90%以下とすることが挙げられる。負極容量を正極容量に対して90%以下とすると、必然的に負極容量により蓄電デバイスの容量が規制され、特別な回路や装置を用いることなく、活物質利用率を上記範囲に容易に制御することができる。なお、正極容量および負極容量とは、正極および負極の理論容量のことをいう。
また、正極活物質利用率を制御する方法としては、上記有機化合物を正極活物質に用いる蓄電デバイスの充電において、上限電圧を最高反応電圧以下に設定することが挙げられる。
上記π電子化合物のような多電子反応の反応機構を有する活物質を正極活物質に用いた場合、充放電曲線は複数段の平坦部を有する。ここでいう最高反応電圧とは、充電時の電圧曲線が複数段の平坦部を有する場合、充電電圧曲線において最も高い電圧側に位置する平坦部の電圧を意味する。この充電電圧曲線における複数の平坦部間の段差を利用して充電時の上限電圧を設定することにより、活物質の酸化状態を制御し、特別な装置・回路などを用いることなく、正極活物質の利用率を、活物質が結晶質を維持できる範囲に容易に制御することができる。
例えば、正極活物質にテトラチアフルバレンを用いた場合、上述のように、充電電圧曲線は2段の平坦部を有し、低電圧領域(図9中の領域a)では0価から1価の反応が進行し、高電圧領域(図9中の領域b)では1価から2価となる反応が進行する。また、図9に示す充電電圧曲線の最高反応電圧は3.7V付近である。従って、例えば、2つの平坦部間の変極点付近に位置する3.5Vを上限電圧に設定することにより、活物質の酸化状態を1価に制限することが可能となり、充放電サイクルにともなう容量低下を抑制することが可能となる。
正極活物質利用率を制御する場合、正極活物質が難溶性を示す電解質を使用することが好ましい。活物質が溶解し難い電解液を使用するため、充放電サイクル特性が向上する。
なお、ここでいう正極活物質が難溶性を示す電解質とは、活物質利用率100%に相当する量を充電した場合に充放電効率が90%以上となるような電解質のことをいう。
上記のように有機化合物は、その酸化状態によって電解質に対する溶解性が大きく変わる。例えば、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレンを活物質に使用すると、酸化状態が0価のときはプロピレンカーボネートやエチレンカーボネートのようなリチウムイオン二次電池において広範に使用されている電解質に対して不溶性であるが、1価から2価へと酸化数が変化するに従って電解質に対する溶解性が向上する。
また、上記有機化合物は、使用する電解質によって酸化状態における溶解性が大きく変わる。具体的には、上述したように、π電子化合物を活物質として用いた場合は電解質の有機溶媒の誘電率が大きいほど充放電反応に伴う溶解性が増大し、電解質に使用する支持塩の解離度が大きいほど充放電反応に伴う溶解性が増大する。
したがって、上記に基づいて電解質の組成を最適化することにより、活物質が2価の酸化状態であっても電解質への溶解を抑制し、さらに活物質利用率を90%以下とすることで充放電サイクル特性を向上させることが可能となる。
以下、本発明の蓄電デバイスの一例を、図面を用いて説明する。図10は、本発明の蓄電デバイスの一例であるコイン型電池の縦断面図である。
図10に示すように、ケース11には、正極19、負極20、および正極19と負極20との間に配されたセパレータ14からなる発電要素が収容されている。正極19は正極集電体12と正極集電体12上に形成された正極合剤層13からなる。正極合剤層13は、例えばビスエチレンジチオテトラチアフルバレンのような上記有機化合物を含む。負極20は負極集電体17と負極集電体17上に形成された負極活物質を含む負極合剤層16からなる。発電要素は電解質を含む。
負極集電体17上に封口板15が配され、ケース11の開口端部を、ガスケット18を介して封口板15の周縁部にかしめつけることにより、ケース11内が密封されている。
正極合剤層13は、例えば、正極活物質、導電材、および結着剤を含む。導電材は、電子伝導性を向上させる目的で用いられる。導電剤には、例えば、カーボンブラック、グラファイト、もしくはアセチレンブラックなどの炭素材料、またはポリアニリン、ポリピロール、もしくはポリチオフェンなどの導電性高分子が用いられる。
結着剤は、正極活物質の結着性を向上させるために用いられる。結着剤には、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアクリル酸などが用いられる。
正極集電体12には、一般の電池と同様、金属箔、金属メッシュ、導電性フィラーを含む樹脂フィルムなどが用いられる。
負極合剤層16は、例えば、負極活物質と、上記正極に用いられる導電剤およびバインダーとを含む。
負極活物質は、特に制限されないが、例えば、グラファイト、非晶質炭素などの炭素材料、リチウム金属、リチウム含有複合窒化物、リチウム含有チタン酸化物、スズと炭素の複合物、スズと他の金属との複合物、シリコン、シリコン酸化物などのリチウムイオン二次電池で用いられる活物質が挙げられる。また、例えば、活性炭などの電気二重層容量を有する炭素材料が用いられる。
負極集電体17には、一般の電池と同様、金属箔、金属メッシュ、導電性フィラーを含む樹脂フィルムなどが用いられる。
負極20には、上記以外に金属リチウムシートからなる負極を用いてもよい。
本発明の蓄電デバイスは、上記のコイン型電池に限定されない。負極活物質に酸化還元可能な有機化合物を用いてもよく、正極活物質および負極活物質の両方に酸化還元可能な有機化合物を用いてもよい。また、蓄電デバイスとしては、上記非水系二次電池以外に、非水系電気二重層キャパシタなどが挙げられる。
以下に本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
《実施例1》
本発明の蓄電デバイスとして図10と同じコイン型電池を以下の手順により作製した。
(1)正極の作製
正極活物質には、π電子共役雲を有する有機化合物としてビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(東京化成工業(株)製)を用いた。正極活物質は、精製し、再結晶したものを用いた。正極活物質の精製および再結晶は、正極活物質50mgを二硫化炭素の溶媒20mlに溶解させ、さらにヘキサン20mlを加え、温度5℃の環境下で静置し、再沈殿させることによって行った。
正極活物質(平均粒径5μm程度の粉末)30mgとアセチレンブラック(平均粒径35μmの粉末)30mgとを均一に混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを1mg加えてスラリーを得た。なお、後述の正極活物質およびアセチレンブラックも同様の粉末状のものを用いた。このスラリーにポリフッ化ビニリデン5mgを加えて混合し、スラリー状の正極合剤を得た。この正極合剤をアルミニウム箔(厚さ400μm)からなる正極集電体12の上に塗布した後、これを真空乾燥し、直径13.5mmの円盤状に打ち抜き裁断して、正極集電体12上に正極活物質を含む正極合剤層13(厚さ30μm)が形成された正極19を作製した。このとき、正極活物質の塗布重量は、単位面積あたり1.7mg/cm2であった。
(2)コイン型電池の作製
ケース11の内面に正極19を配置し、正極合剤層13上に、厚さ20μmの多孔質ポリエチレンシートからなるセパレータ14を配した。電解質を正極合剤層13およびセパレータ14に注液した。電解質には、0.5mol/Lの4フッ化ホウ酸リチウムを含む、プロピレンカーボネートおよびジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:5)を用いた。
封口板15の内面に負極20を圧着させた後、封口板15の周縁部にガスケット18を装着した。負極20には、厚さ400μmのリチウム金属板を13.5mmの円盤状に打ち抜いたものを用いた。負極20が、セパレータ14を介して正極12と対向するように、ケース11の開口部に封口板15を配した。プレス機でケース11の開口端部を、ガスケット18を介して封口板15の周縁部にかしめつけて、ケース11の開口部を封口板15で封口した。このようにして、コイン型電池Aを得た。
そして、電池Aを、閉路電圧が4.0Vに達するまで0.3mAの定電流で充電し、その後閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。
《実施例2》
電解質として、0.5mol/Lの6フッ化リン酸リチウムを含む、プロピレンカーボネートおよびジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:5)を用いた。これ以外は実施例1と同じ方法により電池Bを作製し、充放電した。
《実施例3》
電解質として、0.5mol/Lの過塩素酸リチウムを含む、プロピレンカーボネートおよびジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:5)を用いた。これ以外は実施例1と同じ方法により電池Cを作製し、充放電した。
《比較例1》
比較例1の電池は、電解質に溶解させる塩以外は実施例1と全く同じ構成の電池とした。電解質として、0.5mol/Lのトリフルオロメタンスルホン酸リチウムを含む、プロピレンカーボネートおよびジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:5)を用いた。これ以外は実施例1と同じ方法により電池Dを作製し、充放電した。
《比較例2》
電解質として、0.5mol/Lのノナフルオロ−1−ブタンスルホン酸リチウムを含む、プロピレンカーボネートおよびジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:5)を用いた。これ以外は実施例1と同じ方法により電池Eを作製し、充放電した。
[評価]
実施例1〜3および比較例1〜2の電池について、以下のように、充放電時の有機化合物の結晶性、および電池の充放電サイクル特性を評価した。
(1)充放電時の有機化合物の結晶性の評価
充放電時の電池を分解して正極を取り出し、正極に対してX線回折測定を行った。X線回折測定は、入射X線にCu−Kα線を用い、2θ/θ法により測定角度範囲は1〜34度(2θ)の範囲で、スキャン速度1度/minの速度で行った。そして、有機化合物結晶に由来する回折線(回折ピーク)が確認できるか否かで結晶性の評価を行った。結晶性の評価は、放電状態(充電前)および充電状態(充電後)の2つの状態に対して行った。
(2)電池の充放電サイクル特性の評価
上記充放電において、充電容量に対する放電容量の割合、すなわち充放電効率(%)を求めた。
また、放電容量(Q[Coulomb])を、活物質である有機化合物のモル数(M[mol])と、ファラデー定数(96500[Coulomb/mol])とで割り、以下の式(e)から、活物質1分子当たりの反応電子数nを算出した。
(反応電子数n)=(放電容量Q[Coulomb])/96500
/(有機化合物のモル数M[mol]) (e)
上記評価結果を表1にまとめて示す。
Figure 0004162096
充電時および放電時の両方において、活物質である有機化合物が結晶性を有する実施例1〜3の電池では、高い充放電効率、すなわち優れた充放電サイクル特性が得られた。一方、充電時において、活物質である有機化合物が結晶性を有しない比較例1〜2の電池では、低い充放電効率、すなわち低い充放電サイクル特性が得られた。
また、表1から、電解質の支持塩のアニオンが、活物質である有機化合物の充放電時の結晶性の維持に影響を与えていることがわかった。具体的には、イオン半径が小さく、3次元的に対称構造を有するアニオンである、4フッ化ホウ酸アニオン、6フッ化リン酸アニオン、および過塩素酸アニオンが、活物質である有機化合物の充放電時の結晶性の維持に対して有効に作用することがわかった。
《実施例4》
電解質として、0.5mol/Lの6フッ化リン酸リチウム含む、プロピレンカーボネートおよびジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:3)を用いた。これ以外は実施例2と同じ方法により電池Fを作製し、充放電した。
《実施例5》
電解質として、0.5mol/Lの6フッ化リン酸リチウムを含む、プロピレンカーボネートおよびジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:2)を用いた。これ以外は実施例2と同じ方法により電池Gを作製し、充放電した。
《比較例3》
電解質として、0.5mol/Lの6フッ化リン酸リチウムを含む、プロピレンカーボネートおよびジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:1)を用いた。これ以外は実施例2と同じ方法により電池Hを作製し、充放電した。
《比較例4》
電解質として、0.5mol/Lの6フッ化リン酸リチウムを含むプロピレンカーボネートを用いた。これ以外は実施例2と同じ方法により電池を作製し、充放電した。
そして、実施例4および5、ならびに比較例3および4の電池について上記と同様の評価を行った。その評価結果を、実施例2の結果とともに表2に示す。
Figure 0004162096
表2から、充電時および放電時のいずれも活物質である有機化合物が結晶性を有する実施例2、4、および5の電池では、高い充放電効率、すなわち優れた充放電サイクル特性が得られることがわかった。
また、電解質に用いられる溶媒の物性が、活物質である有機化合物の充放電時の結晶性に影響を与えることがわかった。具体的には、実施例2、4、および5、ならびに比較例3および4の電池の電解質に用いられた溶媒の25℃における比誘電率は、それぞれ10.7、20.2、25.7、36.3、および65.0であった。溶媒の25℃における比誘電率が30以下である実施例2、4、および5の電池では、活物質である有機化合物分子の結晶性の維持に有効であり、充放電効率、すなわち充放電サイクル特性が向上することがわかった。
《実施例6》
電池Dを0.3mAの定電流で1000秒間充電し、その後、閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。つまり、活物質1分子当たりの反応電子数nが0.4となるように充放電を行った。
《比較例5》
電池Dを0.3mAの定電流で2500秒間充電し、その後、閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。つまり、活物質1分子当たりの反応電子数nが1.2となるように充放電を行った。
《実施例7》
電池Eを0.3mAの定電流で1000秒間充電し、その後、閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。つまり、活物質1分子当たりの反応電子数nが0.4となるように充放電を行った。
《比較例6》
電池Eを0.3mAの定電流で2500秒間充電し、その後、閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。つまり、活物質1分子当たりの反応電子数nが1.2となるように充放電を行った。
《実施例8》
電池Aを0.3mAの定電流で1000秒間充電し、その後、閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。つまり、活物質1分子当たりの反応電子数nが0.4となるように充放電を行った。
《実施例9》
電池Aを0.3mAの定電流で2500秒間充電し、その後、閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。つまり、活物質1分子当たりの反応電子数nが1.2となるように充放電を行った。
《実施例10》
電池Iを0.3mAの定電流で1000秒間充電し、その後、閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。つまり、活物質1分子当たりの反応電子数nが0.4となるように充放電を行った。
《実施例11》
電池Iを0.3mAの定電流で2500秒間充電し、その後、閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。つまり、活物質1分子当たりの反応電子数nが1.2となるように充放電を行った。
実施例6〜11、および比較例5および6の電池について、上記と同様に、活物質である有機化合物の充放電時の結晶性および電池の充放電サイクル特性を評価した。その評価結果を、比較例1、2および4、ならびに実施例1の結果とともに表3に示す。
Figure 0004162096
充電時および放電時の両方において活物質である有機化合物が結晶性を有する実施例1および6〜11の電池では、高い充放電効率、すなわち優れた充放電サイクル特性が得られた。
また、活物質1分子当たりの反応電子数nが、活物質である有機化合物の充放電時の結晶性に影響を与えることがわかった。具体的には、反応電子数nがある閾値以下の場合に、活物質である有機化合物の充放電時の結晶性の維持に有効であることがわかった。
反応電子数nは、電解質の支持塩のアニオンがトリフルオロメタンスルホン酸アニオンまたはノナフルオロ−1−ブタンスルホン酸アニオンであり、電解質の溶媒がプロピレンカーボネートおよびジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:5)である場合、0.5以下が充放電サイクル特性の向上に対して有効であることがわかった。また、電解質の支持塩のアニオンが4フッ化ホウ酸アニオンであり、電解質の溶媒がプロピレンカーボネートおよびジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:5)である場合、反応電子数は1.9以下が充放電サイクル特性の向上に対して有効であることがわかった。また、電解質の支持塩のアニオンが6フッ化リン酸アニオンであり、溶媒がプロピレンカーボネートである場合、反応電子数nは1.2以下が充放電サイクル特性の向上に対して有効であることがわかった。
《実施例12》
正極活物質には、π電子共役雲を有する有機化合物として上記の化学式(20)で表される有機化合物を用いた。化学式(20)で表される化合物は、非特許文献(Yohji Misaki et al., Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1996, 284, P.337-344)に記載の方法に基づいて作製した。正極活物質は、精製し、再結晶したものを用いた。正極活物質の精製および再結晶は、正極活物質50mgを二硫化炭素溶媒20mlに溶解させ、さらにヘキサン20mlを加え、温度5℃で静置し、再沈殿させることによって行った。
上記で得られた正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様の方法により電池Iを作製した。
そして、電池Iを、閉路電圧が3.7Vに達するまで0.3mAの定電流で充電し、その後閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。
《実施例13》
電池Iを閉路電圧が4.0Vに達するまで0.3mAの定電流で充電し、その後閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。
《比較例7》
電池Iを閉路電圧が4.3Vに達するまで0.3mAの定電流で充電し、その後閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。
《実施例14》
正極活物質には、π電子共役雲を有する有機化合物として化学式(16)で表される化合物を用いた。化学式(16)で表される化合物は、非特許文献(Yehji Misaki et al., Chemistry Letters, 1993, P.1337-1340)に記載の方法に基づいて作製した。
正極活物質は、精製し、再結晶したものを用いた。正極活物質の精製および再結晶は、正極活物質50mgを二硫化炭素溶媒20mlに溶解させ、さらにヘキサン20mlを加え、温度5℃で静置し、再沈殿させることによって行った。
上記で得られた正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様の方法により電池Jを作製した。
そして、電池Jを、閉路電圧が3.3Vに達するまで0.3mAの定電流で充電し、その後閉路電圧が2.8Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。
《実施例15》
電池Jを閉路電圧が3.8Vに達するまで0.3mAの定電流で充電し、その後閉路電圧が2.8Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。
《比較例8》
電池Jを閉路電圧が4.2Vに達するまで0.3mAの定電流で充電し、その後閉路電圧が2.8Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。
《実施例16》
正極活物質には、π電子共役雲を有する有機化合物として、一般式(3)に表される化合物の一つである化学式(27)で表される化合物を用いた。化学式(27)で表される化合物は、非特許文献(T. Suzuki et al., J. Am. Chem. Soc., 1989, 111, P.3108-3109)に記載の方法に基づいて作製した。
Figure 0004162096
正極活物質は、精製し、再結晶したものを用いた。正極活物質の精製および再結晶は、正極活物質50mgを二硫化炭素溶媒20mlに溶解させ、さらにヘキサン20mlを加え、温度5℃で静置し、再沈殿させることによって行った。
上記で得られた正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様の方法により電池Kを作製した。
そして、電池Kを、閉路電圧が3.65Vに達するまで0.3mAの定電流で充電し、その後閉路電圧が3.1Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。
《実施例17》
電池Kを閉路電圧が3.8Vに達するまで0.3mAの定電流で充電し、その後閉路電圧が3.1Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。
《実施例18》
正極活物質には、π電子共役雲を有する有機化合物として、一般式(3)で表される化合物の一つである化学式(28)で表される化合物を用いた。化学式(28)で表される化合物は、非特許文献(Takeshi Senga, et al., Mol. Cryst. Lig. Cryst., 1997, 296, P.97-143)に記載の方法に基づいて作製した。
Figure 0004162096
正極活物質は、精製し、再結晶したものを用いた。正極活物質の精製および再結晶は、正極活物質50mgを二硫化炭素溶媒20mlに溶解させ、さらにヘキサン20mlを加え、温度5℃で静置し、再沈殿させることによって行った。
上記で得られた正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様の方法により電池Lを作製した。
そして、電池Lを、閉路電圧が3.65Vに達するまで0.3mAの定電流で充電し、その後閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。
《実施例19》
電池Lを閉路電圧が4.1Vに達するまで0.3mAの定電流で充電し、その後閉路電圧が3.0Vに達するまで0.3mAの定電流で放電した。
実施例12〜19、および比較例7および8の電池について、上記と同様に、活物質である有機化合物の充放電時の結晶性および電池の充放電サイクル特性を評価した。その評価結果を表4に示す。
Figure 0004162096
ビスエチレンジチオテトラチアフルバレン以外の有機化合物を活物質に用いた実施例12〜19の電池でも、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレンを用いた実施例1〜11の電池と同様の結果が得られた。すなわち、充電時および放電時の両方において、活物質である有機化合物が結晶性を有する場合、高い充放電効率、すなわち優れた充放電サイクル特性が得られた。一方、充電時において、活物質である有機化合物が結晶性を有しない比較例7および8の電池では、低い充放電効率、すなわち低い充放電サイクル特性が得られた。
《実施例20〜31および比較例9〜13》
以下の手順で評価用の試験セルを作製した。
(1)正極の作製
正極活物質30mgと、アセチレンブラック30mgとを均一に混合し、さらにNメチルピロリドンを1mg加えてスラリーを得た。正極活物質にはビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(Ardrich社製)を用いた。このスラリーにポリフッ化ビニリデン5mgを加えて混合し、正極合剤を得た。この正極合剤をアルミニウム箔からなる正極集電体上に塗布し、真空乾燥した後、これを1cm×1cmの大きさに打ち抜き裁断して、正極集電体上に正極活物質を含む正極合剤層が形成された正極を得た。正極にAlリードを溶接した。このとき、正極活物質の塗布量は、正極の単位面積あたり5mg/cm2であった。
(2)電解質の作製
表5に示す条件で比誘電率の異なる溶媒を含む種々の電解質を調整した、なお、表5における、PCはプロピレンカーボネート、DECはジエチルカーボネート、GBLはガンマブチロラクトン、DMEはジメチルエーテル、MPはメチルプロピオネートを表す。
なお、混合溶媒の比誘電率は有機溶媒のモル分率に対してほぼ線形近似することにより求めることができるため、モル分率および各有機溶媒の比誘電率から混合溶媒の比誘電率を計算した。電解質中の支持塩の濃度は0.5mol/Lとした。
(3)試験セルの作製
上記で得られた正極および電解質、ならびに対極および参照極にリチウム金属を用い、これらを電解質10cm3に浸して試験セルを作製した。なお、参照極の大きさは5mm×5mmとし、対極の大きさは15mm×15mmとし、ポリプロピレン製の容器に電極を浸漬して真空中に保存し、正極内の細孔に電解質を含浸させた。
[試験セルの評価]
(4)反応抵抗の測定
ソーラートロンを用い、交流インピーダンス測定法に基づいて反応抵抗を求めた。交流インピーダンス測定は、振幅が開回路電圧(OCV)に対して10mV、周波数領域が1GHz〜0.1Hzの範囲で行った。このとき試験セルのOCVはおおむね3.2V付近であった。
(5)正極活物質の電解質への溶解性の評価
正極活物質の電解質への溶解性については、試験セルを用いて充放電試験を行い、次式(f)から求められる充放電効率に基づいて評価した。
充放電効率(%)=(放電容量)/(充電容量)×100 (f)
充電容量よりも放電容量が小さくなる主要因は、充電時の活物質の電解質中への溶解であるため、充放電効率から活物質の電解質への溶解性を評価することができる。なお、充放電試験は、充電電流値および放電電流値0.048mA、充電上限電圧4.2V、および放電下限電圧3.0Vの条件で行った。
また、上記と同じ方法により、充電時および放電時における正極活物質の結晶性の有無を確かめた。
上記の評価結果を表5に示す。
Figure 0004162096
電解質に用いられる有機溶媒の比誘電率が30以下である実施例20〜31の試験セルでは、充放電時において正極活物質が結晶性を有することが確認され、高い充放電効率が得られた。有機溶媒の比誘電率が10以下である実施例29〜31では、充放電効率は高い値を示したが、反応抵抗が大きくなり出力特性が低下した。
これに対して、有機溶媒の比誘電率が30を超える比較例9〜13の試験セルでは、反応抵抗は小さいが、充電時に正極活物質が結晶性を有しないことが確認され、充放電効率が低下した。
実施例20〜28の試験セルでは、高い充放電効率とともに低い反応抵抗が得られる、すなわち優れた充放電サイクル特性とともに高い出力特性が得られる点で、有機溶媒の比誘電率が10〜30であるのが好ましいことがわかった。
ここで、図11に反応抵抗と有機溶媒の比誘電率の関係を、図12に充放電効率と有機溶媒の比誘電率の関係をそれぞれ示す。図11から有機溶媒の比誘電率が大きくなると反応抵抗は低下し、比誘電率が約10以上となると反応抵抗は5Ω・cm2程度となることがわかった。また、図12から有機溶媒の比誘電率が大きくなると充放電効率は低下するが、比誘電率が30程度までは充放電効率が80%以上と高い値を示すことがわかった。
なお、本実施例では、活物質の溶解が抑制される効果を明確に評価するために、多量の電解質を用いているため、実際の蓄電デバイスの場合と比べて活物質の溶解量は多い。
《実施例32》
本発明の蓄電デバイスの充放電サイクル特性を評価するために、図10と同じコイン型電池を以下の手順で作製した。
(1)正極の作製
正極活物質30mgと、アセチレンブラック30mgとを均一に混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを1mg加えてスラリーを得た。正極活物質にはビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(Ardrich社製)を用いた。このスラリーにポリフッ化ビニリデン5mgを加えて混合し、正極合剤を得た。この正極合剤をアルミニウム箔からなる正極集電体12上に塗布し、真空乾燥した後、これを直径1.3cmの円盤状に打ち抜き裁断して、正極集電体12上に正極活物質を含む正極合剤層13が形成された正極19を得た。このとき、正極活物質の塗布量は、正極の単位面積あたり5mg/cm2であった。
(2)コイン型電池の作製
ケース11の内面に正極19を配置し、正極合剤層13上に、厚さ20μmの多孔質ポリエチレンシートからなるセパレータ14を配した。電解質を正極合剤層13およびセパレータ14に注液した。電解質には、PCおよびDECの混合溶媒(比誘電率:14.9、および体積比:PC/DEC=1/5)中にLiPF6を1.0M溶解させたものを用いた。
封口板15の内面に負極20を圧着させた後、封口板15の周縁部にガスケット18を装着した。負極20には、厚さ400μmのリチウム金属板を1.5cmの円盤状に打ち抜いたものを用いた。負極20が、セパレータ14を介して正極12と対向するように、ケース11の開口部に封口板15を配した。プレス機でケース11の開口端部を、ガスケット18を介して封口板15の周縁部にかしめつけて、ケース11の開口部を封口板15で封口した。このようにして、コイン型電池を作成した。
《実施例33》
実施例32の電解質の代わりに、PCおよびDECの混合溶媒(比誘電率:10.7、および体積比:PC/DEC=1/8)中にLiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させた電解質を用いた以外は、実施例32と同様の方法により電池を作製した。
《比較例14》
実施例32の電解質の代わりに、PC(比誘電率:65)中にLiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させた電解質を用いた以外は、実施例32と同様の方法により電池を作製した。
[充放電サイクル特性の評価]
実施例32、実施例33、および比較例14のコイン型電池を用いて充放電サイクル試験を行った。充放電条件は、充電電流値および放電電流値0.24mA、充電上限電圧4.0V、放電下限電圧3.0Vとし、充電と放電とを交互に繰り返した。そして、10、50、100、300、500サイクル時における容量維持率を求めた。なお、容量維持率は、容量維持率(%)=(初回充電容量)/(各サイクル数における放電容量)×100の式により求められる。その評価結果を表6に示す。
Figure 0004162096
比誘電率が高いPCのみを有機溶媒に用いた比較例14の電池では、活物質の溶出量が多いため、容量維持率が大幅に低下した。これに対して、有機溶媒の比誘電率が30以下である本発明の実施例32および33の電池では、容量維持率が高く、充放電サイクル特性が大幅に向上した。
《実施例34》
図10と同じコイン型電池を以下の手順で作製した。
(1)正極の作製
正極活物質30mgとアセチレンブラック30mgとを均一に混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを100mg加えてスラリーを得た。正極活物質には、π電子共役雲を有する有機化合物としてビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(Aldrich社製)を用いた。このスラリーにポリフッ化ビニリデン5mgを加えて混合し、スラリー状の正極合剤を得た。この正極合剤を、アルミニウム箔からなる正極集電体12の上に塗布し、真空乾燥した後、これを直径13.5mmの円盤状に打ち抜き裁断して、正極集電体12上に正極合剤層13が形成された正極19を作製した。このとき、正極活物質の塗布重量は、正極の単位面積あたり1.7mg/cm2であった。
(2)負極の作製
負極活物質として粉状グラファイト15mgと、アセチレンブラック6mgとを均一に混合し、さらにポリビニルピロリドン6mgおよびメタノール250mgを加えてスラリーを得た。このスラリーを、アルミニウム箔からなる負極集電体17上にキャストし、真空乾燥を行い、これを直径14.5mmの円盤状に打ち抜き裁断して、負極集電体17上に負極活物質を含む負極合剤層16が形成された負極20を作製した。
(3)コイン型電池の作製
ケース11の内面に上記で得られた正極19を配置し、正極合剤層13上に、厚さ20μmの多孔質ポリエチレンシートからなるセパレータ14を配した。次に、電解質を正極合剤層13およびセパレータ14に注液した。電解質には、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)を重量比1:1で混合した混合溶媒に、ホウフッ化リチウムを1Mの濃度で溶解させたものを用いた。
封口板15の内面に負極20を圧着させた後、封口板15の周縁部にガスケット18を装着した。負極20が、セパレータ14を介して正極12と対向するように、ケース11の開口部に封口板15を配した。プレス機でケース11の開口端部を、ガスケット18を介して封口板15の周縁部にかしめつけて、ケース11の開口部を封口板15で封口した。
この電解質および対極にリチウムを用いて、充放電試験を行ったときの初回充放電効率は70%であり、活物質の溶解による充放電サイクル時の容量低下の影響が比較的大きいことが示された。このように、本実施例では容量利用率を規制することにより得られる効果を比較検討しやすいように、充放電サイクルに伴う容量低下が比較的大きい電解質を選択した。
上記の負極作製において、キャスト時の厚さを制御することにより、容量の異なる負極20を作製し、正極容量に対する負極容量の割合を30%、50%、70%、90%および100%と変えた。そして、正極容量に対する負極容量の割合が30%、50%、70%、90%および100%である負極を用いたコイン型電池を、それぞれサンプル1、2、3、4および5とした。
《実施例35》
実施例34の電解質の代わりに、プロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)とを重量比1:4で混合した混合溶媒に6フッ化リン酸リチウムを1mol/Lの濃度で溶解させた電解質を用いた以外は、実施例34と同様の方法により電池を作製した。なお、上記電解質を用いた時の初回充放電効率は95%であった。正極容量に対する負極容量の割合が30%、50%、70、90%、100%である負極を用いたコイン型電池を、それぞれサンプル6、7、8、9、および10とした。
上記で得られた各電池について充放電サイクル試験を行った。充放電試験条件としては、充放電電流値1mA、充電上限電圧4.0V、および放電終止電圧3Vとした。各電池について、充放電を500サイクル行い、初回、50、100、300、500サイクル時の容量維持率を上記と同様の方法により求めた。試験結果を表7に示す。
Figure 0004162096
EC/PC系の電解質を使用したサンプル1〜5の電池を比較すると、正極活物質利用率が50%以下であるサンプル1および2の電池では、活物質の結晶性が維持され、充放電サイクル特性が大幅に改善した。正極活物質利用率が70%以上のサンプル3〜5の電池では、活物質が電解質に溶解しやすくなるため、充放電サイクル特性が低下した。
PC/DEC系の電解質を使用したサンプル6〜10の電池を比較すると、正極活物質利用率が90%以下であるサンプル6〜9の電池では、活物質の結晶性が維持され、充放電サイクル特性が大幅に向上した。正極活物質利用率が100%のサンプル10の電池では、活物質が電解質中に溶解しやすくなるため、充放電サイクル特性が低下した。
《実施例36》
負極20にリチウム金属を用いた以外は、実施例34と同様の方法により電池を作製し、上記の充放電サイクル試験と同様の条件で充放電試験を行った。
図13に、正極活物質にビスエチレンジチオテトラチアフルバレンを用い、負極活物質にリチウム金属を用いた時の充電電圧曲線を示す。ビスエチレンジチオテトラチアフルバレンはπ電子共役雲に2電子が配位するため、充放電曲線は2段の平坦部を示すと考えられるが、充放電試験により充電電圧曲線が3段の平坦部を有することが確かめられた。充電電圧曲線が3段の平坦部を示す理由は明らかでないが、低電圧領域aでは0価から1価の反応が進行し、高電圧領域cでは1価から2価の反応が進行していると考えられる。また、中電圧領域bでは0価から1価の反応および1価から2価の反応の両方が進行していると考えられる。
このように充電電圧曲線が3段の平坦部を示すため、本実施例では各平坦部の中間に位置する電位を充電時の上限として充放電反応を行った。具体的には、充電時の上限電圧を3.6Vおよび3.8Vとした。これらを、それぞれサンプル11、12とした。また、充電時の上限電圧を、最高反応電圧を超える4.0Vとした場合を、サンプル13とした。それ以外は、実施例1と同様の条件で充放電サイクル試験を行った。その試験結果を表8に示す。
Figure 0004162096
表8より、多電子反応により充放電反応が進行する活物質を使用する場合、充電時の上限電圧を制御することにより、活物質の利用率を制限することが可能であることがわかった。また、活物質利用率が60%以下のサンプル11および12の電池では、活物質の結晶性が維持され、充放電サイクル特性が大幅に向上し、充放電サイクル時の容量劣化を抑制することが可能であることがわかった。
本発明の蓄電デバイスは、高出力、高容量、および優れた充放電サイクル特性を有するため、各種携帯機器及び輸送機器等の電源や、無停電電源として好適に用いられる。
活物質の結晶粒子を示す概念図である。 1つの平面構造を有する有機化合物の分子構造の概略図である。 複数の平面構造を有する有機化合物の分子構造の概略図である。 複数の平面構造を有する他の有機化合物の分子構造の概略図である。 複数の平面構造を有するさらに他の有機化合物の分子構造の概略図である。 放電時の活物質分子の結晶構造を示す図である。 充電時の活物質分子の結晶構造を示す図である。 充放電時の活物質のX線回折パターンを示す図である。 正極活物質にテトラチアフルバレンを用いた場合の充電電圧曲線を示す図である。 本発明の蓄電デバイスの一例であるコイン型電池の概略縦断面図である。 試験セルにおける反応抵抗と比誘電率との関係を示す図である。 試験セルにおける充放電効率と比誘電率との関係を示す図である。 正極活物質にビスエチレンジチオテトラチアフルバレンを用いた場合の充電電圧曲線を示す図である。 従来の電池の構成を示す概略図である。

Claims (26)

  1. 正極と、負極と、電解質とを含む蓄電デバイスであって、
    前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方が、酸化還元反応に寄与する部位を有する有機化合物を活物質として含み、
    前記有機化合物が、充電状態および放電状態の両方において結晶質であり、一般式(1)で表わされる構造を有することを特徴とする蓄電デバイス。
    一般式(1):
    Figure 0004162096
    式(1)中、Xは硫黄原子または酸素原子、R 1 〜R 4 はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはニトロソ基であり、R 5 およびR 6 はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基または環状の脂肪族基であり、R 1 〜R 6 において、前記鎖状または環状の脂肪族基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
  2. 正極と、負極と、電解質とを含む蓄電デバイスであって、
    前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方が、酸化還元反応に寄与する部位を有する有機化合物を活物質として含み、
    前記有機化合物が、充電状態および放電状態の両方において結晶質であり、一般式(2)で表わされる構造を有することを特徴とする蓄電デバイス。
    一般式(2):
    Figure 0004162096
    式(2)中、Xは窒素原子、R 1 〜R 4 はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはニトロソ基であり、R 5 およびR 6 はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基または環状の脂肪族基であり、R 1 〜R 6 において、前記鎖状または環状の脂肪族基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
  3. 正極と、負極と、電解質とを含む蓄電デバイスであって、
    前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方が、酸化還元反応に寄与する部位を有する有機化合物を活物質として含み、
    前記有機化合物が、充電状態および放電状態の両方において結晶質であり、一般式(3)で表わされる構造を有することを特徴とする蓄電デバイス。
    一般式(3):
    Figure 0004162096
    式(3)中、X 1 〜X 4 はそれぞれ独立して硫黄原子、酸素原子、セレン原子またはテルル原子であり、R 1 〜R 2 はそれぞれ独立して鎖状の脂肪族基または環状の脂肪族基であり、前記鎖状または環状の脂肪族基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
  4. 充電状態および放電状態のうちの少なくとも一方において、前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方に含まれる前記有機化合物が正または負に帯電し、
    前記正または負に帯電した有機化合物が、前記有機化合物が帯電する電荷と逆の符号の電荷を有する前記電解質中のイオンと結晶質の塩を形成している請求項1〜3のいずれかに記載の蓄電デバイス。
  5. 前記有機化合物の分子量が10000以下である請求項1〜3のいずれかに記載の蓄電デバイス。
  6. 前記有機化合物の分子構造が平面構造であり、かつ前記平面に対して垂直方向に前記π電子共役雲を有する請求項1〜のいずれかに記載の蓄電デバイス。
  7. 前記電解質が、有機溶媒および前記有機溶媒中に溶解する支持塩からなる請求項1〜3のいずれかに記載の蓄電デバイス。
  8. 前記支持塩は、アニオンおよびカチオンを含み、
    前記アニオンは、3次元的に対称な構造を有する請求項7記載の蓄電デバイス。
  9. 前記アニオンが、4フッ化ホウ酸アニオン、6フッ化リン酸アニオン、および過塩素酸アニオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項8記載の蓄電デバイス。
  10. 前記支持塩の会合定数が3以下である請求項7記載の蓄電デバイス。
  11. 前記支持塩は、6フッ化リン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、およびリチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニル)イミドよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項7記載の蓄電デバイス。
  12. 前記有機溶媒の比誘電率が30以下である請求項7記載の蓄電デバイス。
  13. 前記有機溶媒の比誘電率が10以上である請求項12記載の蓄電デバイス。
  14. 前記有機溶媒は、比誘電率が10以下の第1の溶媒と、比誘電率が30以上の第2の溶媒との混合溶媒からなる請求項13記載の蓄電デバイス。
  15. 前記第1の溶媒は、鎖状炭酸エステル、鎖状エステルおよび鎖状エーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記第2の溶媒は、環状炭酸エステル、環状エステルおよび環状エーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項14記載の蓄電デバイス。
  16. 充放電時における前記有機化合物の1分子あたりの反応電子数が、結晶質を維持することができる閾値以下である請求項1〜3のいずれかに記載の蓄電デバイス。
  17. 正極と、負極と、電解質とを備え、前記正極および前記負極の少なくと も一方が、酸化還元反応に寄与する部位を有する有機化合物を活物質として含む蓄電デバイスの充放電制御方法であって、
    前記有機化合物1分子あたりの反応電子数が、前記有機化合物の結晶質を維持することができる閾値以下の領域において、前記蓄電デバイスを充放電し、
    前記有機化合物は、一般式(1)で表わされる構造を有することを特徴とする蓄電デバイスの充放電制御方法。
    一般式(1):
    Figure 0004162096
    式(1)中、Xは硫黄原子または酸素原子、R 1 〜R 4 はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはニトロソ基であり、R 5 およびR 6 はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基または環状の脂肪族基であり、R 1 〜R 6 において、前記鎖状または環状の脂肪族基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
  18. 正極と、負極と、電解質とを備え、前記正極および前記負極の少なくとも一方が、酸化還元反応に寄与する部位を有する有機化合物を活物質として含む蓄電デバイスの充放電制御方法であって、
    前記有機化合物1分子あたりの反応電子数が、前記有機化合物の結晶質を維持することができる閾値以下の領域において、前記蓄電デバイスを充放電し、
    前記有機化合物は、一般式(2)で表わされる構造を有することを特徴とする蓄電デバイスの充放電制御方法。
    一般式(2):
    Figure 0004162096
    式(2)中、Xは窒素原子、R 1 〜R 4 はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはニトロソ基であり、R 5 およびR 6 はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基または環状の脂肪族基であり、R 1 〜R 6 において、前記鎖状または環状の脂肪族基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
  19. 正極と、負極と、電解質とを備え、前記正極および前記負極の少なくと も一方が、酸化還元反応に寄与する部位を有する有機化合物を活物質として含む蓄電デバイスの充放電制御方法であって、
    前記有機化合物1分子あたりの反応電子数が、前記有機化合物の結晶質を維持することができる閾値以下の領域において、前記蓄電デバイスを充放電し、
    前記有機化合物は、一般式(3)で表わされる構造を有することを特徴とする蓄電デバイスの充放電制御方法。
    一般式(3):
    Figure 0004162096
    式(3)中、X 1 〜X 4 はそれぞれ独立して硫黄原子、酸素原子、セレン原子またはテルル原子であり、R 1 〜R 2 はそれぞれ独立して鎖状の脂肪族基または環状の脂肪族基であり、前記鎖状または環状の脂肪族基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
  20. 正極と、負極と、電解質とを備え、前記正極および前記負極の少なくとも一方が、酸化還元反応に寄与する部位を有する有機化合物を活物質として含む蓄電デバイスの充放電制御方法であって、
    前記活物質の利用率が、前記有機化合物が結晶質を維持できる閾値以下の領域において、前記蓄電デバイスを充放電し、
    前記有機化合物は、一般式(1)で表わされる構造を有することを特徴とする蓄電デバイスの充放電制御方法。
    一般式(1):
    Figure 0004162096
    式(1)中、Xは硫黄原子または酸素原子、R 1 〜R 4 はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはニトロソ基であり、R 5 およびR 6 はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基または環状の脂肪族基であり、R 1 〜R 6 において、前記鎖状または環状の脂肪族基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
  21. 正極と、負極と、電解質とを備え、前記正極および前記負極の少なくとも一方が、酸化還元反応に寄与する部位を有する有機化合物を活物質として含む蓄電デバイスの充放電制御方法であって、
    前記活物質の利用率が、前記有機化合物が結晶質を維持できる閾値以下の領域において、前記蓄電デバイスを充放電し、
    前記有機化合物は、一般式(1)で表わされる構造を有することを特徴とする蓄電デバ イスの充放電制御方法。
    一般式(2):
    Figure 0004162096
    式(2)中、Xは窒素原子、R 1 〜R 4 はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはニトロソ基であり、R 5 およびR 6 はそれぞれ独立して水素原子、鎖状の脂肪族基または環状の脂肪族基であり、R 1 〜R 6 において、前記鎖状または環状の脂肪族基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
  22. 正極と、負極と、電解質とを備え、前記正極および前記負極の少なくとも一方が、酸化還元反応に寄与する部位を有する有機化合物を活物質として含む蓄電デバイスの充放電制御方法であって、
    前記活物質の利用率が、前記有機化合物が結晶質を維持できる閾値以下の領域において、前記蓄電デバイスを充放電し、
    前記有機化合物は、一般式(3)で表わされる構造を有することを特徴とする蓄電デバイスの充放電制御方法。
    一般式(3):
    Figure 0004162096
    式(3)中、X 1 〜X 4 はそれぞれ独立して硫黄原子、酸素原子、セレン原子またはテルル原子であり、R 1 〜R 2 はそれぞれ独立して鎖状の脂肪族基または環状の脂肪族基であり、前記鎖状または環状の脂肪族基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
  23. 前記正極が前記有機化合物を活物質として含み、
    充放電時における前記活物質の利用率が90%以下である請求項20〜22のいずれかに記載の蓄電デバイス。
  24. 前記正極の容量に対する前記負極の容量の割合が90%以下である請求項23記載の蓄電デバイスの充放電制御方法。
  25. 充電において上限電圧が設定され、前記上限電圧は最高反応電圧以下である請求項23記載の蓄電デバイスの充放電制御方法。
  26. 前記活物質が前記電解質に対して難溶性を有する請求項23記載の蓄電デバイスの充放電制御方法。
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