JP4161808B2 - 光伝送システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、信号波長帯域内に含まれる複数信号チャネルが多重化された信号光を、光ファイバ伝送路を介して伝送する光伝送システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
波長分割多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)光伝送システムは、大容量情報の高速送受信を可能にすべく、互いに異なる波長の複数信号チャネルが多重化された信号光を光ファイバ伝送路を介して伝送する。また、光伝送システムは、信号伝搬経路全体の累積波長分散の絶対値を小さくすることで、信号光の波形劣化を抑制することができる。これにより、光伝送システムは、ビットレートを高くすることができ、更なる大容量化を可能にする。
【0003】
例えば、特開平11−204866号公報に開示された光伝送システムは、多重化信号光に含まれる信号チャネルを複数の波長帯域に分波して、帯域ごとに分散補償をする構成を備える。これにより、帯域ごとに累積波長分散の絶対値の低減が図られている。
【0004】
文献1「D. A. Atlas, "Chromatic dispersion limitations due to semiconductor laser chirping in conventional and dispersion-shifted single-mode fiber systems", Optics Letters, Vol.13, No.11, pp.1035-1037 (1988)」には、信号光光源として直接変調半導体レーザ光源を利用した構成に関し、累積波長分散と伝送特性との関係が示されている。この文献1には、良好な信号伝送品質を得るための分散耐力の値が記載されており、ビットレートが2.5Gb/sであるときには分散耐力が1200ps/nmであり、ビットレートが10Gb/sであるときには分散耐力が80ps/nmである旨が記載されている。
【0005】
文献2「M. Kakui, et al., "2.4Gbit/s repeaterless transmission over 306km non-dispersion-shifted fibre using directly modulated DFB-LD and dispersion-compensating fibre", Electronics Letters, Vol.31, No.1, pp.51-52 (1995)」に記載された光伝送システムは、累積波長分散の絶対値を略零にすることを意図し、信号光光源として直接変調半導体レーザ光源を利用するとともに、分散補償器として分散補償光ファイバを利用した構成が示されている。
【0006】
さらに、文献3「M. Tanaka, et al., "Water-peak-suppressed non-zero dispersion shifted fiber for full spectrum coarse WDM transmission in metro networks", OFC2002, WA2」に記載された光伝送システムは、波長1.38μm付近のOH基に起因した損失ピークが低減された光ファイバが適用されている。この文献3には、信号光光源として直接変調半導体レーザ光源を利用した構成が示されており、ビットレートが2.5Gb/sであるときに、累積波長分散が1000ps/nm程度で伝送ペナルティが1dBである旨が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
発明者は、従来の光伝送システムを検討した結果、以下のような課題を発見した。すなわち、多重化信号光における信号チャネル間隔(信号波長間隔)が比較的広いCWDM(Coarse WDM)光伝送を行なう光伝送システム(例えば特開2000−156702号公報を参照)は、一般に、通信需要が比較的小さい経路に対して適用される。したがって、システムコスト低減が要求されることから、信号光光源として利用される半導体レーザ光源が直接変調される一方、分散補償が通常行なわれない。
【0008】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、信号光の高品質伝送を可能にし、特にCWDM光伝送を行なうのに適した光伝送システムを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る光伝送システムは、無温調の直接変調光源を含む光送信器と、光受信器と、これら光送信器と光受信器との間に配置された光ファイバ伝送路と、無温調の分散補償器を少なくとも備える。上記光送信器は、信号波長帯域の複数信号チャネルが多重化された信号光を出力する。上記光ファイバ伝送路は、光送信器から出力された信号光を伝送するための伝送媒体であって、上記直接変調光源の動作波長において正の波長分散を有する。上記光受信器は、光ファイバ伝送路を伝搬した信号光を受信する。上記分散補償器は、信号光の波長分散を補償する光学部品であって、上記光送信器の信号送信端と上記光ファイバ伝送路の信号入射端の間の光路上か、あるいは、上記光受信器の信号受信端と上記光ファイバ伝送路の信号出射端との間の光路上のいずれかに配置される。
【0010】
特に、上記分散補償器が上記光送信器の信号送信端と上記光ファイバ伝送路の信号入射端との間の光路上に配置された場合、上記光ファイバ伝送路の信号出射端において、上記直接変調光源の動作波長における信号光の波長分散は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負に設定されている。一方、上記分散補償器が上記光受信器の信号受信端と上記光ファイバ伝送路の信号出射端との間の光路上に配置された場合、上記光受信器の信号受信端において、上記直接変調光源の動作波長における信号光の波長分散は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負に設定されている。
【0011】
上述のような構造を備えた光伝送システムによれば、信号光を高品質で伝送することが可能となる。また、直接変調光源及び分散補償器それぞれが無温調デバイスであるので、システムコストが安価になる。
【0012】
この発明に係る光伝送システムは、さらに分波器を備えてもよい。この場合、上記分波器は、上記光ファイバ伝送路を伝搬する信号光に含まれる複数信号チャネルを、該光ファイバ伝送路の零分散波長を含む第1波長域の信号チャネル群とそれ以外の第2波長域の信号チャネル群とに分波する。また、上記分散補償器は、分波器により分波された第2波長域における信号チャネルを分散補償する。なお、この分散補償器の信号出力端において、該分散補償器を通過した第2波長域の何れかの信号チャネルの波長分散は、温度範囲0℃〜60℃で負であるのが好ましい。
【0013】
上記第1波長域は光ファイバ伝送路の零分散波長を含む波長域であり、上記第2波長域では第1波長域と比較して信号光の波長分散の絶対値がより大きくなる。そのため、分波器により分波された波長分散の絶対値が大きい第2波長域の信号光は、無温調の分散補償器により分散補償される。そして、分散補償器を通過した後、すなわち該分散補償器の信号出力端における信号光の波長分散は、上記動作波長において温度範囲0℃〜60℃で負となるように設定されている。以上の構成により、この発明に係る光伝送システムは、信号波長帯域内の多重化信号光を高品質で伝送することが可能となり、特にCWDM光伝送を行なうのに適したシステムとなる。なお、分散補償器は、第2波長域における信号チャネルに対してのみ設けられればよく、直接変調光源及び分散補償器それぞれが無温調デバイスであるので、システムコストが安価になる。また、CWDM光伝送では信号光に含まれる信号チャネル間隔(信号波長間隔)が広いので、分波器として安価な光フィルタを利用することができる。
【0014】
この発明に係る光伝送システムにおいて、分散補償器を通過した第2波長域における全信号チャネルの波長分散は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負であるのがより好ましい。この場合、さらに高品質の信号光伝送が可能になる。
【0015】
この発明に係る光伝送システムにおいて、上記第2波長域内に含まれる信号チャネルのうち少なくとも一信号チャネルのビットレートは、上記第1波長域内の全信号チャネルのいずれのビットレートよりも高いことが好ましい。この場合、意識的に分散補償された側から伝送速度アップグレードが図れるため、低コストで簡単な構成でシステムの改善が期待できる。
【0016】
さらに、この発明に係る光伝送システムにおいて、上記光ファイバ伝送路は、波長1.3μm近傍に零分散波長を有するシングルモード光ファイバを含むのが好ましい。この場合、すでに敷設されているシングルモード光ファイバを光ファイバ伝送路として利用することができるので、システムコストの増加を抑制することが可能になる。
【0017】
上記光ファイバ伝送路は、波長1.38μmにおいて、波長1.31μmにおける伝送損失より小さい伝送損失を有するのが好ましい。波長1.38μm付近の信号チャネルを利用することができ、更なる大容量化が可能になるからである。また、上記光ファイバ伝送路は、1.35μm〜1.5μmの波長範囲に存在する零分散波長を有するのが好ましい。信号波長帯域のうち短波長側における光ファイバ伝送路の波長分散が負値(又は小さい正値)であるので、信号波長帯域内における全信号チャネルの伝送特性が改善されるからである。
【0018】
なお、上記受信器の信号受信端において、上記第2波長域における何れかの信号チャネルの光パワーは、上記第1波長域における信号チャネルの光パワーのうち最小光パワーより大きいのが好ましい。この場合、上記分散補償器の挿入に起因した損失増加が抑制され、伝送距離を長くすることができるとともに、システムのロスバジェットの劣化が回避される。
【0019】
さらに,受信器の信号受信端において、上記第2波長域における全信号チャネルの光パワーは、上記第1波長域における信号チャネルの光パワーのうち最小光パワーより大きいのが好ましい。この場合、システム全体のロスバジェットを第1波長域における値で規定することができ、システム設計が容易となる。また、ロスバジェットが十分に確保されるので、システム全体の信頼性が向上する。
【0020】
この発明に係る光伝送システムは、光ファイバ伝送路に対し、信号光をラマン増幅するためのラマン増幅用励起光を供給する励起光供給手段をさらに備えるのが好ましい。この場合、ラマン増幅用励起光が供給された光ファイバ伝送路において信号光がラマン増幅されるので、実効的な伝送損失を低減することができ、また、分散補償器の挿入に起因した損失増加を補償することができる。なお、上記励起光供給手段は、1.2μm〜1.3μmの波長範囲に含まれる複数励起チャネルが多重化されたラマン増幅用励起光を上記光ファイバ伝送路に供給するのが好ましい。この場合、特に伝送損失が大きい波長1.31μm近傍の信号光がラマン増幅され、この波長近傍の実効的な伝送損失を低減することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る光伝送システムにおける各実施形態を、図1〜図13を用いて詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
(第1実施形態)
まず、この発明に係る光伝送システムにおける第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る光伝送システム1aの構成を示す図である。この図に示された光伝送システム1aは、N個(Nは2以上の整数)の直接変調光源111〜11N(光送信器に含まれる)、合波器12、N個の受信器211〜21N(光受信器に含まれる)、分波器22、分散補償器23、分波器241、分波器242、及び、光ファイバ伝送路30を備える。
【0023】
上記直接変調光源11n(nは1以上N以下の任意の整数)は、信号チャネルとして、直接変調された波長λnの光を出力する無温調の半導体レーザ光源を含む。合波器12は、直接変調光源11nから出力された波長λnの光を合波し、信号チャネル波長λ1〜λNの多重化信号光を光ファイバ伝送路30へ送出する。これら信号チャネルの波長λ1〜λNは、波長1.3μm程度から波長1.61μm程度までの信号波長帯域に含まれ、その信号チャネル間隔(波長間隔)は比較的広い。すなわち、この光伝送システム1aは、CWDM光伝送を実現するシステムである。
【0024】
光ファイバ伝送路30は、合波器12から出力された信号チャネル波長λ1〜λNの多重化信号光を分波器22へ伝送する。この光ファイバ伝送路30は、波長1.3μm近傍に零分散波長を有する標準的なシングルモード光ファイバか、あるいは1.35μm〜1.5μmの波長範囲に零分散波長が存在する非零分散シフト光ファイバ(NZDSF: Non Zero-Dispersion Shifted optical Fiber)を含むのが好ましい。また、光ファイバ伝送路30は、波長1.38μmにおいて、波長1.31μmにおける伝送損失より小さい伝送損失を有するのが好ましい。
【0025】
分波器22は、光ファイバ伝送路30の信号出射端側に設けられ、光ファイバ伝送路30を伝搬してきた多重化信号に含まれる波長λ1〜λNの信号チャネルを、第1波長域Λ1の信号チャネル群と第2波長域Λ2の信号チャネル群とに分波する。第1波長域Λ1は光ファイバ伝送路30の零分散波長を含む波長域であり、第2波長域Λ2はこれ以外の波長域である。光ファイバ伝送路30が標準的なシングルモード光ファイバを含む場合、第1波長域Λ1より第2波長域Λ2の方が長波長側に位置する。
【0026】
分散補償器23は、無温調の光学デバイスであって、分波器22から出力された第2波長域Λ2に含まれる波長λM+1〜λN(Mは2以上(N−1)以下の整数)の信号チャネル群の分散補償を行う。この分散補償器23は、第2波長域Λ2において光ファイバ伝送路30の波長分散とは異符号の波長分散を有する。分散補償器23は、例えば分散補償光ファイバが適しており、この場合、損失が小さく、他の光ファイバとの接続が容易であり、広帯域で使用可能である。また、分散補償器23は、バルク型デバイスであってもよく、この場合、周期性があり、広帯域で使用可能であり、分散特性を可変とすることができ、高入力パワーでも使用可能である。また、分散補償器23は、平面光導波路型デバイスであってもよく、この場合、小型化可能であり、広帯域で使用可能であり、高入力パワーでも使用可能である。
【0027】
分波器241は、分波器22から出力された第1波長域Λ1に含まれる信号光を波長λ1〜λMの各信号チャネルに分波する。一方、分波器242は、分散補償器23により分散補償された第2波長域Λ2に含まれる信号光を波長λM+1〜λNの各信号チャネルに分波する。各受信器21n(n=1〜N)は、分波器241又は分波器242から出力された波長λnの各信号チャネルの光を受信する。
【0028】
この第1実施形態に係る光伝送システム1aは以下のように動作する。無温調の各直接変調光源11nから出力された波長λnの信号チャネルは合波器12で合波され、波長λ1〜λNの信号チャネルを含む多重化信号光が光ファイバ伝送路30へ送出される。光ファイバ伝送路30を伝搬して分波器22に到達した多重化信号光の信号チャネルは、分波器22により第1波長域Λ1の信号チャネル群と第2波長域Λ2の信号チャネル群とに分波される。分波器22から出力された波長分散の絶対値が小さい第1波長域Λ1に含まれる信号チャネル群(波長λ1〜λM)は、分波器241により各信号チャネルに分波されて、それぞれ受信器211〜21Mにより受信される。一方、分波器22から出力された波長分散の絶対値が大きい第2波長域Λ2に含まれる信号チャネル群(波長λM+1〜λN)は、無温調の分散補償器23により分散補償された後、分波器242により各信号チャネルに分波されて、受信器21M+1〜21Nにより受信される。
【0029】
このとき、分散補償器23を通過した後の第2波長域Λ2における何れかの信号チャネルの波長分散は(受信器21M+1〜21Nの信号受信端における波長分散)、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負になるように設定されている。さらには、分散補償器23を通過した後の第2波長域Λ2における全信チャネルの波長分散は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負になるように設定されてもよい。
【0030】
なお、受信器211〜21Nの信号受信端において、第2波長域Λ2における何れか信号チャネルの光パワーは、第1波長域Λ1における信号チャネルの光パワーのうち最小光パワーより大きくなるように設定されるのが好ましい。さらには、受信器211〜21Nの信号受信端において、第2波長域Λ2における全信号チャネルの光パワーが、第1波長域Λ1における信号チャネルの光パワーのうち最小光パワーより大きくなるように設定されてもよい。
【0031】
波長分散特性及び損失特性が上述のように設定されることにより、当該光伝送システム1aは、信号波長帯域内の複数信号チャネルを含む多重化信号光を高品質で伝送することが可能となり、特にCWDM光伝送を行なうのに適したシステムとなる。また、当該光伝送システム1aは、一方の第2波長域Λ2における信号チャネル群に対してのみ分散補償器23を設ければよく、各直接変調光源11n及び分散補償器23それぞれが無温調デバイスであるので、システムコストが安価になる。さらに、CWDM光伝送では信号チャネル間隔が広いので、分波器22として安価な光フィルタを利用することができる。
【0032】
上述の構成では、光ファイバ伝送路30の信号出射端側に分散補償器23が配置されていたが、分散補償器23は、図2に示されたように、光ファイバ伝送路30の信号入射端側に配置されてもよい。なお、図2は、図1に示された第1実施形態に係る光伝送システム1aの第1応用例の構成を示す図である。
【0033】
この第1応用例に係る光伝送システム1bでは、無温調の直接変調光源111〜11Mから出力された第1波長域Λ1に含まれる波長λ1〜λMの信号チャネルが合波器121により合波される。一方、無温調の直接変調光源11M+1〜11Nから出力された第2波長域Λ2に含まれる波長λM+1〜λNの信号チャネルが合波器122により合波される。
【0034】
第2波長域Λ2に含まれる信号チャネル群は、一旦分散補償器23により分散補償された後に、第1波長域Λ1に含まれる信号チャネル群とともに合波器13により合波される。この合波器13により合波された波長λ1〜λNの信号チャネルを含む多重化信号光は、例えば100km長のシングルモード光ファイバからなる光ファイバ伝送路30を伝搬し、分波器24に到達する。
【0035】
分波器24に到達した多重化信号光は、この分波器24において各信号チャネルに分波され、各信号チャネルは対応して設けられた受信器211〜21Nによりそれぞれ受信される。
【0036】
さらに、第1実施形態に係る光伝送システムは、伝送速度の異なる複数信号チャネルのハイブリッド伝送も可能である。図3は、図1に示された第1実施形態に係る光伝送システムにおける第2応用例の構成を示す図であり、基本的には図2に示された第1応用例に係る光伝送システム1bと同様な構成を有する。
【0037】
この第2応用例に係る光伝送システム1cでは、直接変調光源111〜11Mから出力される波長λ1〜λMの信号チャネルの伝送速度が2.5Gb/sであるのに対し、直接変調光源11M+1〜11Nから出力される波長λM+1〜λNの信号チャネルの伝送速度は10Gb/sである。この光伝送システム1cにおいて、高ビットレート(10Gb/s)の信号チャネルは分散補償光ファイバ(DCF)である分散補償器23により分散補償される。
【0038】
例えば、この光伝送システム1cにおいて、伝送速度が2.5Gb/sである第1波長域Λ1の信号チャネル群として、直接変調光源111〜11Mから波長1490nm〜1550nmの信号チャネルが合波器121により合波される。一方、伝送速度が10Gb/sである第2波長域Λ2の信号チャネル群として、直接変調光源11M+1〜11Nから波長1570nm、1590nmの信号チャネルが合波器122により合波される。一方、第2波長域Λ2の信号チャネル群はさらにDCF23により分散補償され、残留分散が10ps/nm未満になる程度まで低減される。その後、第2波長域Λ2の信号チャネル群は、第1波長域Λ1の信号チャネル群とともに合波器13により合波される。合波器13から出力された、波長1490nm〜1590nmの信号チャネルを含む多重化信号光は光ファイバ伝送路30(例えば、50km長のシングルモード光ファイバ)を伝搬し、分波器24に到達する。この分波器24において、多重化信号光は信号チャネルに分波され、これら信号チャネルそれぞれが対応する受信器211〜21Nによって受信される。
【0039】
この光伝送システム1cのように、事前にアップグレード可能な信号チャネルを決定しておき、その信号チャネルに対してDCF等の分散補償器で分散補償を行うように構成しておけば、光送信器及び光受信器を差し替えるだけで、伝送速度を2.5Gb/sから10Gb/sへのアップグレードが容易になる。
【0040】
図4は、第1実施形態に係る光伝送システム1aの波長分散特性を示すグラフである。この光伝送システム1aにおいて、光ファイバ伝送路30は、100km長の標準的なシングルモード光ファイバとした。分散補償器23は、波長1.55μmにおける諸特性として、−100ps/nm/kmの波長分散と、0ps/nm2/kmの分散スロープと、0.5dB/kmの伝送損失を有する分散補償光ファイバとした。合波器12、分波器241及び分波器242それぞれの挿入損失は3dBとした。分波器22の挿入損失は1dBとした。この光伝送システム1aは、波長範囲1.31μm〜1.61μmの16チャネル信号光(チャネル間隔20nm)をビットレート2.5Gb/sで伝送する、分散耐力1000ps/nmのシステムを想定している。
【0041】
分散補償器23を設けない場合には、波長によっては累積波長分散が分散耐力を超える(図4中の破線)。しかしながら、この第1実施形態に係る光伝送システム1aでは、光ファイバ伝送路30における波長分散の絶対値が大きい第2波長域Λ2(波長1.42μm〜1.61μm)に含まれる各信号チャネルは、分散補償器23により分散補償されるため、システム全体の累積波長分散が分散耐力以下となった(図4中の実線A又はB)。図4中の実線Aは、第2波長域Λ2における平均波長分散が略零となるように分散補償されたケースを示している。図4中の実線Bは、第2波長域Λ2における平均波長分散が負となるように分散補償されたケースを示している。光源11nそれぞれは直接変調光源であるため、実線Bで示されるように、第2波長域Λ2における平均波長分散が負となるのが好ましい。
【0042】
図5は、第1実施形態に係る光伝送システム1aの他の波長分散特性を示すグラフである。この光伝送システム1aにおいて、光ファイバ伝送路30は、50km長の非零分散シフト光ファイバ(NZDSF)とした。この非零分散シフト光ファイバは、1.43μmの零分散波長と、波長1.55μmにおいて0.2dB/kmの伝送損失を有する。分散補償器23は、波長1.55μmにおける諸特性として、−80ps/nm/kmの波長分散と、−0.1ps/nm2/kmの分散スロープと、0.5dB/kmの伝送損失を有する分散補償光ファイバとした。合波器12、分波器241及び分波器242それぞれの挿入損失は3dBとした。分波器22の挿入損失は1dBとした。この光伝送システム1aは、波長範囲1.31μm〜1.61μmの16チャネル信号光(チャネル間隔20nm)をビットレート10Gb/sで伝送する、分散耐力75ps/nmのシステムを想定している。
【0043】
このときも、分散補償器23を設けない場合には、波長によっては累積波長分散が分散耐力を超える。しかしながら、この第1実施形態に係る光伝送システム1aでは、光ファイバ伝送路30における波長分散の絶対値が大きい第2波長域Λ2(波長1.45μm〜1.61μm)に含まれる各信号チャネルは、分散補償器23により分散補償されるため、システム全体の累積波長分散が負となった。伝送ペナルティは全信号チャネルにおいて1dB以下であった。
【0044】
(第2実施形態)
次に、この発明に係る光伝送システムにおける第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態に係る光伝送システム2の構成を示す図である。この図に示された光伝送システム2は、第1実施形態に係る光伝送システム1aの構成(図1)に加えて、光カプラ41及び励起光源42をさらに備えている。なお、以下の説明では、図6に示されたように、光ファイバ伝送路30の信号出射端側に分散補償器23が配置された構成を対象としているが、この第2実施形態は、その応用例として図2に示されたように、分散補償器23が光ファイバ伝送路30の信号入射端側に配置された構成を備えてもよい。また、この第2実施形態は、他の応用例として図3に示されたように、信号チャネル間で伝送速度が異なるハイブリッド伝送を可能にする構成を備えてもよい。
【0045】
励起光源42は、光ファイバ伝送路30において信号光をラマン増幅するためのラマン増幅用励起光を出力する。光カプラ41は、光ファイバ伝送路30の後段であって分波器22の前段に設けられ、励起光源42から出力された励起光を光ファイバ伝送路30に供給するとともに、光ファイバ伝送路30から到達した多重化信号光を合波器22へ出力する。ラマン増幅用の励起光は、波長範囲1.2μm〜1.3μmの複数励起チャネルを含むのが好ましく、この場合、波長範囲1.3μm〜1.4μmの多重化信号光をラマン増幅することができる。また、このとき、光ファイバ伝送路30は、波長1.38μmにおいて、波長1.31μmにおける伝送損失より小さい伝送損失を有するのが好ましい。
【0046】
この光伝送システム2は以下のように動作する。励起光源42から出力されたラマン増幅用励起光は、光カプラ41を経て光ファイバ伝送路30へ供給される。光送信器を構成する無温調の各直接変調光源11nから出力された波長λnの各信号チャネルは合波器12により合波され、この合波器12から波長λ1〜λNの信号チャネルが多重化された信号光(多重化信号光)が光ファイバ伝送路30へ送出される。光ファイバ伝送路30を伝搬している間に多重化信号光はラマン増幅される。そして、光ファイバ伝送路30から光カプラ41を経て分波器22に到達した多重化信号光に含まれる信号チャネルは、分波器22により第1波長域Λ1の信号チャネル群と第2波長域Λ2の信号チャネル群とに分波される。分波器22により分波された波長分散の絶対値が小さい第1波長域Λ1の信号チャネル群(波長λ1〜λM)は、分波器241により各信号チャネルに分波されて、それぞれ対応する受信器211〜21Mにより受信される。一方、分波器22により分波された波長分散の絶対値が大きい第2波長域Λ2の信号チャネル群(波長λM+1〜λN)は、無温調の分散補償器23により分散補償された後に、分波器242により各信号チャネルに分波される。そして、受信器21M+1〜21Nにより、これら分波された信号チャネル(波長λM+1〜λN)がそれぞれ受信される。
【0047】
このとき、分散補償器23を通過した後の第2波長域Λ2における何れかの信号チャネルの波長分散(受信器21M+1〜21Nの信号受信端における波長分散)は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負となるように設定されている。さらには、分散補償器23を通過した後の第2波長域Λ2における全信号チャネルの波長分散は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負となるように設定されてもよい。なお、受信器21M+1〜21Nの信号受信端において、第2波長域Λ2における何れか信号チャネルの光パワーは、第1波長域Λ1における信号チャネルの光パワーのうち最小光パワーより大きくなるように設定されているのが好ましい。さらには、受信器21M+1〜21Nの信号受信端において、第2波長域Λ2における全信号チャネルの光パワーは、第1波長域Λ1における信号チャネルの光パワーのうち最小光パワーより大きくなるように設定されているのがより好ましい。
【0048】
上述のような波長分散特性及び損失特性が実現されることにより、当該光伝送システム2は、信号波長帯域内の複数信号チャネルを含む多重化信号光の高品質伝送を可能にし、特にCWDM光伝送に適したシステムとなる。また、この第2実施形態においても、一方の第2波長域Λ2における信号チャネルに対してのみ分散補償器23を設ければよく、各直接変調光源11n及び分散補償器23それぞれは無温調デバイスであるので、システムコストが安価になる。CWDM光伝送では信号チャネル間隔が広いので、分波器22として安価な光フィルタを利用することができる。この第2実施形態は、光ファイバ伝送路30の伝送損失が大きい波長域の信号チャネルをラマン増幅することで、更に高品質の信号伝送を可能にする。
【0049】
具体的に、光ファイバ伝送路30は、波長1.38μm付近のOH基に起因した損失ピークが低減された非零分散シフト光ファイバ(NZDSF)である。波長範囲1.31μm〜1.61μmの16チャネル信号光(チャネル間隔20nm)をビットレート2.5Gb/sで伝送する、分散耐力1200ps/nmのシステムを想定している。ラマン増幅用励起光の励起チャネル波長は1.2μm〜1.3μmであり、波長1.3μm付近の多重化信号光をラマン増幅する。これにより、損失により制限されていた伝送距離が拡張され、あるいは、受信パワーが増大して、システムマージンの拡大を図ることができる。例えば、ラマン増幅用励起光の励起チャネル波長が1.23μmであって、その光パワーが24dBmであれば、波長1.33μmにおいて伝送距離を20km以上長くすることができる。
【0050】
図7は、光ファイバ伝送路の損失特性を示すグラフである。この図7に示されたように、分散補償器23の挿入に起因して、第2波長域Λ2における全信号チャネルの伝送損失は増加する。しかしながら、信号波長帯域内における全信号チャネルの伝送損失は許容値以下であることが重要である。特に波長1.3μm近傍の伝送損失と比較して第2波長域Λ2における全信号チャネルの伝送損失が同等以下であれば、システム全体のロスバジェットのパフォーマンスを劣化させない。この第2実施形態のように、信号光をラマン増幅することにより、高品質の信号光伝送が可能である。
【0051】
(第3実施形態)
次に、この発明に係る光伝送システムの第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態に係る光伝送システム3の構成を示す図である。この図に示された光伝送システム3は、N個(Nは2以上の整数)の直接変調光源111〜11N(光送信器に含まれる)、合波器12、N個の受信器211〜21N(光受信器に含まれる)、分波器221、分波器222、分散補償器232、分散補償器233、分波器241、分波器242、分波器243、及び、光ファイバ伝送路30を備える。なお、以下の説明では、図8に示されたように、光ファイバ伝送路30の信号出射端側に分散補償器232、233が配置された構成を対象としているが、この第3実施形態も、その応用例として図2に示されたように、分散補償器232、233が光ファイバ伝送路30の信号入射端側に配置された構成を備えてもよい。また、この第3実施形態は、他の応用例として図3に示されたように、信号チャネル間で伝送速度が異なるハイブリッド伝送を可能にする構成を備えてもよい。
【0052】
直接変調光源11n(nは1以上N以下の任意の整数)それぞれは、直接変調された波長λnの信号チャネルを出力する無温調の半導体レーザ光源を含む。合波器12は、直接変調光源11nから出力された波長λnの信号チャネルを合波して、波長λ1〜λNの信号チャネルが多重化された信号光(多重化信号光)光を光ファイバ伝送路30へ送出する。信号チャネル波長λ1〜λNは、それぞれ波長1.3μm程度から波長1.61μm程度までの信号波長帯域に含まれ、チャネル間隔が比較的広い。すなわち、この第3実施形態に係る光伝送システム3は、CWDM光伝送を行うシステムである。
【0053】
光ファイバ伝送路30は、合波器12から出力された波長λ1〜λNの信号チャネルを含む多重化信号光を分波器221へ導く。この光ファイバ伝送路30は、波長1.3μm近傍に零分散波長を有する標準的なシングルモード光ファイバが適しており、あるいは、波長1.35μm〜1.5μmに零分散波長を有する非零分散シフト光ファイバ(NZDSF)であるのが好ましい。また、光ファイバ伝送路30は、波長1.38μmにおいて、波長1.31μmにおける伝送損失より小さい伝送損失を有するのが好ましい。
【0054】
分波器221は、光ファイバ伝送路30の後段に設けられ、光ファイバ伝送路30を伝搬してきた波長λ1〜λNの信号チャネルを、第1波長域Λ1の信号チャネル群と第2波長域Λ2の信号チャネル群とに分波する。第1波長域Λ1は光ファイバ伝送路30の零分散波長を含む波長域であり、第2波長域Λ2はこれ以外の波長域である。光ファイバ伝送路30が標準的なシングルモード光ファイバである場合、第1波長域Λ1より第2波長域Λ2の方が長波長側にある。また、分波器222は、分波器221により分波された第2波長域Λ2に含まれる波長λM+1〜λN(Mは2以上(N−1)以下の整数)の信号チャネルを、更に2つの信号チャネル群に分波する。
【0055】
分散補償器232は、無温調デバイスであって、分波器222により分波された第2波長域Λ2における信号チャネルのうち波長λM+1〜λL(Lは(M+2)以上(N−1)以下の整数)の信号チャネルに対して分散補償する。分散補償器233も、無温調デバイスであって、分波器222により分波された第2波長域Λ2の信号チャネルのうち波長λL+1〜λNの信号チャネルに対して分散補償する。これら分散補償器232、233は、各波長域において光ファイバ伝送路30の波長分散とは異なる符号の波長分散を有し、例えば分散補償光ファイバが適している。
【0056】
分波器241は、分波器221により分波された第1波長域Λ1に含まれる波長λ1〜λMの信号チャネルを分波する。分波器242は、分散補償器232により分散補償された第2波長域Λ2の信号チャネルのうち波長λM+1〜λLの信号チャネルを分波する。分波器243は、分散補償器233により分散補償された第2波長域Λ2の信号チャネルのうち波長λL+1〜λNの信号チャネルを分波する。各受信器21nは、分波器241〜243の何れかから出力された波長λnの信号チャネルを受信する。
【0057】
この光伝送システム3は以下のように動作する。無温調の直接変調光源11nからそれぞれ出力された波長λnの信号チャネルは合波器12により合波され、この合波器12から波長λ1〜λNの信号チャネルが多重化された信号光(多重化信号光)が光ファイバ伝送路30へ送出される。光ファイバ伝送路30から分波器221に到達した多重化信号光は、分波器221により第1波長域Λ1の信号チャネル群と第2波長域Λ2の信号チャネル群とに分波される。分波器221により分波された波長分散の絶対値が小さい第1波長域Λ1に含まれる波長λ1〜λMの信号チャネルは、それぞれ分波器241により分波され、受信器211〜21Mにより受信される。一方、分波器221により分波され波長分散の絶対値が大きい第2波長域Λ2に含まれる波長λM+1〜λNの信号チャネルは、分波器222により更に2つの波長域の信号チャネルに分波され、無温調の分散補償器232,233により分散補償される。その後、分散補償された信号チャネルは、それぞれ分波器242、243により分波されて、対応する受信器21M+1〜21Nにより受信される。
【0058】
このとき、分散補償器232、233を通過した後の第2波長域Λ2の何れかの信号チャネルの波長分散(受信器21M+1〜21Nの信号受信端における波長分散)は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負となるように設定されている。さらには、分散補償器232、233を通過した後の第2波長域Λ2における全信号チャネルの波長分散は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負となるように設定されるのが好ましい。
【0059】
なお、受信器21M+1〜21Nの信号受信端において、第2波長域Λ2における何れかの信号チャネルの光パワーは、第1波長域Λ1に含まれる信号チャネルの光パワーのうち最小光パワーより大きくなるように設定されるのが好ましい。また、受信器21M+1〜21Nの信号受信端において、第2波長域Λ2における全信号チャネルの光パワーは、第1波長域Λ1における全信号チャネルの光パワーのうち最小光パワーより大きくなるように設定されてるのが好ましい。
【0060】
上述のような波長分散特性及び損失特性を要することにより、光伝送システム3は、信号波長帯域内に含まれる複数信号チャネルの高品質伝送を可能にし、特にCWDM光伝送を行なうのに適している。また、この第3実施形態も、一方の第2波長域Λ2にける信号チャネルに対してのみ分散補償器232、233を設ければよく、また、直接変調光源11n及び分散補償器23それぞれが無温調デバイスであるので、システムコストが安価になる。また、CWDM光伝送では信号チャネル間隔が広いので、分波器221、222として安価な光フィルタを利用することができる。特に、この第3実施形態では、第2波長域Λ2に含まれる信号チャネルを2つの波長域に分波し、分波された信号チャネル群それぞれに対して分散補償器が設けられることから、より高品質の信号光伝送が可能となる。さらに、分散補償器232、233に対する損失要求特性が緩和されるので、システム設計が容易である。
【0061】
図9は、第3実施形態に係る光伝送システム3の波長分散特性を示すグラフである。分散補償器232、233を設けない場合、波長によっては累積波長分散が分散耐力を超える。しかしながら、この第3実施形態に係る光伝送システム3では、光ファイバ伝送路30における波長分散の絶対値が大きい第2波長域Λ2(波長1.4μm〜1.61μm)に含まれる各信号チャネルは、分散補償器232、233により分散補償される。これによりシステム全体の累積波長分散が負となる。
【0062】
(実施例)
次に、第1実施形態に係る光伝送システム1の具体的な実施例1〜3について説明する。何れの実施例でも、信号チャネルの波長を1275nm、1300nm、1325nm、1350nm、1530nm、1550nm、1570nm及び1590nmとした。また、第2波長域Λ2を1530nm〜1590nmとした。
【0063】
実施例1において、光ファイバ伝送路30は、100km長の標準的なシングルモード光ファイバとした。分散補償器23は、波長1.55μmにおける諸特性として、−120ps/nm/kmの波長分散と、−0.4ps/nm2/kmの分散スロープと、0.5dB/kmの伝送損失を有する分散補償光ファイバとした。ビットレートは2.5Gb/sとした。そして、分散補償光ファイバの長さを変えて、システム全体の波長分散特性を評価した。図10は、実施例1の波長分散特性を纏めた表である。この表には、分散補償光ファイバの長さ(km)、第2波長域Λ2における累積波長分散の最大値(ps/nm)、及び、第2波長域Λ2における最悪伝送ペナルティ(dB)が示されている。分散補償光ファイバが長さ7kmであるとき、第2波長域Λ2における累積波長分散の最大値は約1000ps/nmであり、最悪伝送ペナルティは1.0dBであった。分散補償光ファイバが長さ14kmであるとき、第2波長域Λ2における累積波長分散の最大値は約20ps/nmであり、最悪伝送ペナルティは0.1dBであった。分散補償光ファイバが長さ14.3kmであるとき、第2波長域Λ2における累積波長分散の最大値は約−20ps/nmであり、最悪伝送ペナルティは−0.1dBであった。分散補償光ファイバが長さ15kmであるとき、第2波長域Λ2における累積波長分散の最大値は約−100ps/nmであり、最悪伝送ペナルティは−0.2dBであった。すなわち、分散補償光ファイバが長さ14.3km又は15kmであるときに、第2波長域Λ2の全信号波長域に亘って累積波長分散が負となって、光送信器と光受信器とを光ファイバ伝送路を介して直接接続した構成より伝送ペナルティが改善した。
【0064】
実施例2において、光ファイバ伝送路30は、125km長の非零分散シフト光ファイバ(NZDSF)とした。この非零分散シフト光ファイバは、波長1.55μmにおける諸特性として、8ps/nm/kmの波長分散と、0.06ps/nm2/kmの分散スロープと、0.2dB/kmの伝送損失を有する。分散補償器23は、波長1.55μmにおける諸特性として、−100ps/nm/kmの波長分散と、−0.6ps/nm2/kmの分散スロープと、0.52dB/kmの伝送損失を有する分散補償光ファイバとした。ビットレートは2.5Gb/sとした。そして、分散補償光ファイバの長さを変えて、システム全体の波長分散特性を評価した。図11は、実施例2の波長分散特性を纏めた表である。この表には、各信号チャネル波長について、分散補償光ファイバの長さ(km)、累積波長分散の最大値(ps/nm)及び伝送ペナルティ(dB)が示されている。この表から判るように、何れの信号チャネル波長においても、累積波長分散が負であるときに、伝送ペナルティが負となっている。
【0065】
なお、この実施例2において、分散補償光ファイバが長さ5km、9km、10km、10.5km、11km、15kmであるとき、信号チャネル波長1530nmにおける累積波長分散の最大値はそれぞれ410ps/nm、58ps/nm、−30ps/nm、−70ps/nm、−119ps/nm、―462ps/nm、であり、伝送ペナルティはそれぞれ0.5dB、0.1dB、−0.1dB、−0.2dB、−0.2dB、−0.2dBであった。
【0066】
また、分散補償光ファイバが長さ5km、9km、10km、10.5km、11km、15kmであるとき、信号チャネル波長1550nmにおける累積波長分散の最大値はそれぞれ501ps/nm、99ps/nm、1ps/nm、−47ps/nm、−102ps/nm、―493ps/nm、であり、伝送ペナルティはそれぞれ0.5dB、0.2dB、0.1dB、−0.1dB、−0.2dB、−0.3dBであった。
【0067】
分散補償光ファイバが長さ5km、9km、10km、10.5km、11km、15kmであるとき、信号チャネル波長1570nmにおける累積波長分散の最大値はそれぞれ585ps/nm、134ps/nm、25ps/nm、−31ps/nm、−94ps/nm、―541ps/nm、であり、伝送ペナルティはそれぞれ0.6dB、0.3dB、0.1dB、−0.1dB、−0.2dB、−0.3dBであった。
【0068】
さらに、分散補償光ファイバが長さ5km、9km、10km、10.5km、11km、15kmであるとき、信号チャネル波長1590nmにおける累積波長分散の最大値はそれぞれ671ps/nm、177ps/nm、54ps/nm、−4ps/nm、−71ps/nm、―572ps/nm、であり、伝送ペナルティはそれぞれ0.7dB、0.3dB、0.1dB、0dB、−0.2dB、−0.3dBであった。
【0069】
実施例3では、実施例2の場合と同様の光ファイバ伝送路30及び分散補償器23(分散補償光ファイバ)が適用された。ビットレートは10Gb/sとした。そして、分散補償光ファイバの長さを変えて、システム全体の波長分散特性を評価した。図12は、実施例3の伝送ペナルティ特性を纏めた表である。この表には、各信号チャネル波長について、分散補償光ファイバの長さ(km)及び伝送ペナルティ(dB)が示されている。この表から判るように、何れの信号チャネル波長においても、分散補償光ファイバの長さが適切に設定されることにより、累積波長分散が負となり、伝送ペナルティが負となっている。
【0070】
なお、この実施例3において、分散補償光ファイバが長さ9km、10km、10.5km、11kmであるとき、信号チャネル波長1530nmにおける伝送ペナルティはそれぞれ0.8dB、−0.1dB、−0.2dB、−0.3dBであった。また、分散補償光ファイバが長さ9km、10km、10.5km、11kmであるとき、信号チャネル波長1550nmにおける伝送ペナルティはそれぞれ1.1dB、0.1dB、−0.1dB、−0.3dBであった。分散補償光ファイバが長さ9km、10km、10.5km、11kmであるとき、信号チャネル波長1570nmにおける伝送ペナルティはそれぞれ1.7dB、0.3dB、−0.1dB、−0.3dBであった。さらに、分散補償光ファイバが長さ9km、10km、10.5km、11kmであるとき、信号チャネル波長1590nmにおける伝送ペナルティはそれぞれ3.1dB、0.6dB、0dB、−0.2dBであった。
【0071】
次に、この発明に係る光伝送システムにおける温度特性を評価する。図13は、この評価のために用意された実験系の構成(同図(a)))と、この実験系における光学特性を示すグラフ(同図(b)、(c))である。
【0072】
評価のために用意された実験系は、図13(a)に示されたように、光ファイバ伝送路としてのシングルモード光ファイバ31と、分散補償器としての分散補償光ファイバ32を融着接続された構造を有する。なお、用意されたシングルモード光ファイバ31は、温度30℃、波長1540nmにおける諸特性として、17ps/nm/kmの波長分散DSMFと、0.06ps/nm2/kmの分散スロープDSSMFを有する。また、用意された分散補償光ファイバ32は、温度30℃、波長1540nmにおける諸特性として、約―130ps/nm/kmの波長分散DDCFと、−0.43ps/nm2/kmの分散スロープDSDCFを有する。
【0073】
図13(b)において、グラフG1210aは、80km長のシングルモード光ファイバと10.5km長の分散補償光ファイバで構成された第1比較例の累積波長分散(トータル波長分散Dtotal(ps/nm))特性を示し、グラフG1210bは、80km長のシングルモード光ファイバとこの第1比較例よりも長いファイバ長を有する分散補償光ファイバで構成された本願実施例の累積波長分散(トータル波長分散Dtotal(ps/nm))特性を示す。この図13(b)から分かるように、第2比較例では、30℃を越えた当たりからトータル波長分散Dtotalが正になってしまうのに対し、当該実施例では、少なくとも0℃〜60℃の温度範囲に亘ってトータル波長分散Dtotalが負になるよう、分散補償光ファイバのファイバ長が長く設定される。これにより、実際の使用環境を考慮しても伝送特性の変化を十分に回避することができる。
【0074】
また、発明者は、80km長のシングルモード光ファイバと、温度30℃、波長1540nmにおける諸特性として、正の分散スロープを有する分散補償光ファイバとを組み合わせた第2比較例についても検討した。なお、図13(c)において、グラフG1220aは、60℃における第2比較例の累積波長分散(トータル波長分散Dtotal(ps/nm))特性を示し、グラフG1220bは、0℃における第2比較例の累積波長分散(トータル波長分散Dtotal(ps/nm))特性を示す。
【0075】
この図13(c)から分かるように、第2比較例では、0℃の使用環境において、波長1550nmでトータル波長分散Dtotalが負になっていたとしても、波長1610nmでトータル波長分散Dtotalが正になってしまう。さらに、60℃では、トータル波長分散Dtotalは19ps/nmにもなってしまう。この場合、波長1610nmにおけるビットレート10Gb/sの高速光伝送において、伝送特性の劣化が顕著になる。
【0076】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、信号光を高品質で伝送することが可能となる。また、適用される直接変調光源及び分散補償器それぞれが無温調デバイスであるので、システムコストが安価になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る光伝送システムにおける第1実施形態の構成を示す図である。
【図2】図1に示された第1実施形態に係る光伝送システムの第1応用例の構成を示す図である。
【図3】図1に示された第1実施形態に係る光伝送システムの第2応用例の構成を示す図である。
【図4】図1に示された第1実施形態に係る光伝送システムの波長分散特性を示すグラフである(その1)。
【図5】図1に示された第1実施形態に係る光伝送システムの波長分散特性を示すグラフである(その2)。
【図6】この発明に係る光伝送システムにおける第2実施形態の構成を示す図である。
【図7】光ファイバ伝送路の損失特性を示すグラフである。
【図8】この発明に係る光伝送システムにおける第3実施形態の構成を示す図である。
【図9】図8に示された第3実施形態に係る光伝送システムの波長分散特性及び損失特性を示すグラフである。
【図10】この発明に係る光伝送システムにおける実施例1の波長分散特性を纏めた表である。
【図11】この発明に係る光伝送システムにおける実施例2の波長分散特性を纏めた表である。
【図12】この発明に係る光伝送システムにおける実施例3の伝送ペナルティ特性を纏めた表である。
【図13】この発明に係る光伝送システムにおける温度特性を評価するための実験系の構成と、この実験系における光学特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1〜4…光伝送システム、11…送信器、12…合波器、21…受信器、22…分波器、23…分散補償器、24…分波器、30…光ファイバ伝送路、41…光カプラ、42…励起光源。

Claims (11)

  1. 無温調の直接変調光源を含み、互いに波長の異なる複数信号チャネルの信号光を出力する光送信器と、
    前記光送信器から出力された信号光を受信する光受信器と、
    前記光送信器と前記光受信器との間に配置された、前記光送信器から出力された信号光を伝送するための伝送媒体であって、前記直接変調光源の動作波長において正の波長分散を有する光ファイバ伝送路と、
    前記光送信器の信号送信端と前記光ファイバ伝送路の信号入射端との間の光路上に配置された無温調の分散補償器とを備えるとともに、
    前記光ファイバ伝送路の信号出射端において、前記動作波長における前記信号光の波長分散が0℃〜60℃の温度範囲に亘って負に設定された光伝送システムであって、
    前記光ファイバ伝送路を伝搬する信号光に含まれる複数信号チャネルを、前記光ファイバ伝送路の零分散波長を含む第1波長域の信号チャネル群とそれ以外の第2波長域の信号チャネル群とに分波する分波器を備え、
    前記分散補償器は、前記分波器により分波された前記第2波長域における信号チャネル群を分散補償する一方、該分散補償器の信号出力端において、該分散補償器を通過した前記第2波長域における何れかの信号チャネルの波長分散は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負であり、
    前記第2波長域内に含まれる信号チャネルのうち少なくとも一信号チャネルのビットレートは、前記第1波長域内の全信号チャネルのいずれのビットレートよりも高いことを特徴とする光伝送システム。
  2. 無温調の直接変調光源を含み、互いに波長の異なる複数信号チャネルの信号光を出力する光送信器と、
    前記光送信器から出力された信号光を受信する光受信器と、
    前記光送信器と前記光受信器との間に配置された、前記光送信器から出力された信号光を伝送するための伝送媒体であって、前記直接変調光源の動作波長において正の波長分散を有する光ファイバ伝送路と、
    前記光受信器の信号受信端と前記光ファイバ伝送路の信号出射端との間の光路上に配置された無温調の分散補償器とを備えるとともに、
    前記光受信器の前記信号受信端において、前記動作波長における前記信号光の波長分散が0℃〜60℃の温度範囲に亘って負に設定された光伝送システムであって、
    前記光ファイバ伝送路を伝搬する信号光に含まれる複数信号チャネルを、前記光ファイバ伝送路の零分散波長を含む第1波長域の信号チャネル群とそれ以外の第2波長域の信号チャネル群とに分波する分波器を備え、
    前記分散補償器は、前記分波器により分波された前記第2波長域における信号チャネル群を分散補償する一方、該分散補償器の信号出力端において、該分散補償器を通過した前記第2波長域における何れかの信号チャネルの波長分散は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負であり、
    前記第2波長域内に含まれる信号チャネルのうち少なくとも一信号チャネルのビットレートは、前記第1波長域内の全信号チャネルのいずれのビットレートよりも高いことを特徴とする光伝送システム。
  3. 無温調の直接変調光源を含み、互いに波長の異なる複数信号チャネルの信号光を出力する光送信器と、
    前記光送信器から出力された信号光を受信する光受信器と、
    前記光送信器と前記光受信器との間に配置された、前記光送信器から出力された信号光を伝送するための伝送媒体であって、前記直接変調光源の動作波長において正の波長分散を有する光ファイバ伝送路と、
    前記光送信器の信号送信端と前記光ファイバ伝送路の信号入射端との間の光路上に配置された無温調の分散補償器とを備えるとともに、
    前記光ファイバ伝送路の信号出射端において、前記動作波長における前記信号光の波長 分散が0℃〜60℃の温度範囲に亘って負に設定された光伝送システムであって、
    前記光ファイバ伝送路を伝搬する信号光に含まれる複数信号チャネルを、前記光ファイバ伝送路の零分散波長を含む第1波長域の信号チャネル群とそれ以外の第2波長域の信号チャネル群とに分波する分波器を備え、
    前記分散補償器は、前記分波器により分波された前記第2波長域における信号チャネル群を分散補償する一方、該分散補償器の信号出力端において、該分散補償器を通過した前記第2波長域における何れかの信号チャネルの波長分散は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負であり、
    前記光受信器の信号受信端において、前記第2波長域における何れかの信号チャネルの光パワーは、前記第1波長域における信号チャネル群の光パワーのうち最小光パワーより大きいことを特徴とする光伝送システム。
  4. 無温調の直接変調光源を含み、互いに波長の異なる複数信号チャネルの信号光を出力する光送信器と、
    前記光送信器から出力された信号光を受信する光受信器と、
    前記光送信器と前記光受信器との間に配置された、前記光送信器から出力された信号光を伝送するための伝送媒体であって、前記直接変調光源の動作波長において正の波長分散を有する光ファイバ伝送路と、
    前記光受信器の信号受信端と前記光ファイバ伝送路の信号出射端との間の光路上に配置された無温調の分散補償器とを備えるとともに、
    前記光受信器の前記信号受信端において、前記動作波長における前記信号光の波長分散が0℃〜60℃の温度範囲に亘って負に設定された光伝送システムであって、
    前記光ファイバ伝送路を伝搬する信号光に含まれる複数信号チャネルを、前記光ファイバ伝送路の零分散波長を含む第1波長域の信号チャネル群とそれ以外の第2波長域の信号チャネル群とに分波する分波器を備え、
    前記分散補償器は、前記分波器により分波された前記第2波長域における信号チャネル群を分散補償する一方、該分散補償器の信号出力端において、該分散補償器を通過した前記第2波長域における何れかの信号チャネルの波長分散は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負であり、
    前記光受信器の信号受信端において、前記第2波長域における何れかの信号チャネルの光パワーは、前記第1波長域における信号チャネル群の光パワーのうち最小光パワーより大きいことを特徴とする光伝送システム。
  5. 無温調の直接変調光源を含み、互いに波長の異なる複数信号チャネルの信号光を出力する光送信器と、
    前記光送信器から出力された信号光を受信する光受信器と、
    前記光送信器と前記光受信器との間に配置された、前記光送信器から出力された信号光を伝送するための伝送媒体であって、前記直接変調光源の動作波長において正の波長分散を有する光ファイバ伝送路と、
    前記光送信器の信号送信端と前記光ファイバ伝送路の信号入射端との間の光路上に配置された無温調の分散補償器とを備えるとともに、
    前記光ファイバ伝送路の信号出射端において、前記動作波長における前記信号光の波長分散が0℃〜60℃の温度範囲に亘って負に設定された光伝送システムであって、
    前記光ファイバ伝送路を伝搬する信号光に含まれる複数信号チャネルを、前記光ファイバ伝送路の零分散波長を含む第1波長域の信号チャネル群とそれ以外の第2波長域の信号チャネル群とに分波する分波器を備え、
    前記分散補償器は、前記分波器により分波された前記第2波長域における信号チャネル群を分散補償する一方、該分散補償器の信号出力端において、該分散補償器を通過した前記第2波長域における何れかの信号チャネルの波長分散は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負であり、
    前記光受信器の信号受信端において、前記第2波長域における全信号チャネルの光パワーは、前記第1波長域における信号チャネル群の光パワーのうち最小光パワーより大きいことを特徴とする光伝送システム。
  6. 無温調の直接変調光源を含み、互いに波長の異なる複数信号チャネルの信号光を出力する光送信器と、
    前記光送信器から出力された信号光を受信する光受信器と、
    前記光送信器と前記光受信器との間に配置された、前記光送信器から出力された信号光を伝送するための伝送媒体であって、前記直接変調光源の動作波長において正の波長分散を有する光ファイバ伝送路と、
    前記光受信器の信号受信端と前記光ファイバ伝送路の信号出射端との間の光路上に配置された無温調の分散補償器とを備えるとともに、
    前記光受信器の前記信号受信端において、前記動作波長における前記信号光の波長分散が0℃〜60℃の温度範囲に亘って負に設定された光伝送システムであって、
    前記光ファイバ伝送路を伝搬する信号光に含まれる複数信号チャネルを、前記光ファイバ伝送路の零分散波長を含む第1波長域の信号チャネル群とそれ以外の第2波長域の信号チャネル群とに分波する分波器を備え、
    前記分散補償器は、前記分波器により分波された前記第2波長域における信号チャネル群を分散補償する一方、該分散補償器の信号出力端において、該分散補償器を通過した前記第2波長域における何れかの信号チャネルの波長分散は、0℃〜60℃の温度範囲に亘って負であり、
    前記光受信器の信号受信端において、前記第2波長域における全信号チャネルの光パワーは、前記第1波長域における信号チャネル群の光パワーのうち最小光パワーより大きいことを特徴とする光伝送システム。
  7. 前記光ファイバ伝送路は、波長1.3μm近傍に零分散波長を有するシングルモード光ファイバを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の光伝送システム。
  8. 前記光ファイバ伝送路は、波長1.38μmにおいて、波長1.31μmにおける伝送損失より小さい伝送損失を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の光伝送システム。
  9. 前記光ファイバ伝送路は、1.35μm〜1.5μmの波長範囲に存在する零分散波長を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の光伝送システム。
  10. 前記光ファイバ伝送路に、該光ファイバ伝送路を伝搬する信号光をラマン増幅するためのラマン増幅用励起光を供給する励起光供給手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の光伝送システム。
  11. 前記励起光供給手段は、1.2μm〜1.3μmの波長範囲に含まれる複数励起チャネルのラマン増幅用励起光を前記光ファイバ伝送路に供給することを特徴とする請求項10記載の光伝送システム。
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