JP4160952B2 - 断熱構造体、断熱材、及び、断熱材の製造方法 - Google Patents
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そこで、外装材と断熱材の間に空間を形成することにより、結露やカビの発生を防止することが行われている。
また、本発明は、面材との間に空間を容易に形成可能な断熱構造体、断熱材、及び、断熱材の製造方法を提供することを他の課題とする。
なお、凹凸部材同士の固定方法としては、各凹凸部材の少なくとも一方の面に、各凹凸部材にまたがって例えば防湿シート等からなる外被材を貼り付けることにより固定する方法が望ましい。かかる方法によれば、凹凸部材同士は、外被材を介して連結されているだけであるため、外被材をカッターなどで切断することにより、断熱材の寸法を容易に調節することができる。
また、断熱材は、少なくとも一方の表面に凹凸を備える複数の凹凸部材を、前記凹凸を同じ方向に向けた状態で組み合わせてなることから、凹凸部材の本数を変更することにより、当該断熱材を取り付ける断熱構造体の寸法に容易に合わせることができる。
また、本発明によれば、面材との間に空間を容易に形成可能な断熱構造体、断熱材、及び、断熱材の製造方法を提供することができる。
第1実施形態として、本発明を木造建築物の壁体に適用した場合を例にとって説明する。参照する図面において、図1は第1実施形態に係る壁体の斜視図である。また、図2は第1実施形態に係る壁体の断面図である。
断熱構造体たる壁体1は、図1、図2に示すように、いわゆるツーバイフォー構法における壁パネルを構成するものであり、下枠2と上枠3と竪枠4、4とからなる枠組体5と、この枠組体5の屋内側に取り付けられる内装材6と、枠組体5の屋外側に取り付けられる面材たる外装材7と、枠組体5の内部に設置される断熱材8とから構成されている。
壁体1は、床組材Yの端部にホールダウン金物などを用いて固定されている。また、床組材Yは、土台Dを介して布基礎Bに固定されている。
断熱材8は、例えば繊維系断熱材からなり、図1に示すように、一方の表面に波形の凹凸が形成された凹凸部材81を、この凹凸を外装材7の方向に向けた状態で、複数本並列に組み合わせて構成されている。断熱材8は、図2に示すように、凸部81aを外装材7の屋内側の面に当接させた状態で設置されている。これにより、外装材7と凸部81aと凹部81bとに囲まれた空間9が形成され、壁体1内の空気の通気が図られる。凹凸部材81は、隣り合う凹凸の位相が互いに1/2周期ずれた状態で組み合わされており、隣り合う空間9同士が図1における上下方向と左右方向の2方向に連通するようになっている。
なお、かかる外被材82、83は、必須のものではなく、適宜省略可能である。
外装材7は、例えば通気性の良い構造用合板で構成されており、図1に示すように、枠組体5の屋外側を塞ぐように取り付けられている。外装材7の屋外側には縦胴縁Hを介して外壁材Gが取り付けられており、外装材7と外壁材Gとの間には換気層Kが形成されている。換気層Kの湿度よりも空間9内の湿度の方が高い場合には、図2に矢印で示すように、空間9内の湿気は、外装材7の微細な空隙や外装材7と枠組体5との隙間を透過して、換気層Kに移行することとなる。そのため、空間9内の湿気を低減させて、結露やカビの発生を防止することができる。なお、外壁材Gの下端部には水切り金物MKが取り付けられている。
つづいて、断熱材8の製造方法について説明する。参照する図面において、図3および図4は、断熱材の製造工程を示した説明図である。
はじめに、図3(a)に示すように、ガラス溶融炉Rにおいてガラス原料を溶融し、溶融したガラス原料を遠心法による繊維化装置Pによってガラス繊維Sに繊維化する。そして、接着剤吹付装置Qから接着剤(バインダー)をガラス繊維Sに吹き付けながら、集綿装置Wによってガラス繊維Sを複数層に積層させる。
つぎに、図3(b)に示すように、集綿装置Wによって積層されたガラス繊維S’を、乾燥装置Aなどを用いて所定の厚さと密度(単位体積重量)になるように調整するとともに、カッターCを用いて所定の長さに切断し、原材料となる平板状の繊維系断熱材Zを形成する。
そして、図3(c)に示すように、切断機Fを用いて一方の切断面M1が波形となるように平板状の繊維系断熱材Zを切断することにより、凹凸部材81を形成する。このとき、凹凸部材81の凸部の頂点から平坦に切断された他方の切断面M2(あるいは端面)までの距離が等しくなるように切断するのが好適である(図5(a)参照)。
なお、本実施形態においては、切断機Fの例として、細長い刀(あるいはカッター)のような形状のものを記載したが、これに限られるものではなく、例えば丸ノコ形状のものであってもよい。また、打ち抜き方式の切断機を用いてもよい。
つぎに、図4(a)に示すように、凹凸が形成された切断面M1が同じ方向を向くように、各凹凸部材81を回転させる。かかる製造方法によれば、凹凸部材を回転させると、波形の凹凸の位相が1/2周期ずつずれることとなり、空間9(図2参照)を容易に連通させることができる。
そして、図4(b)に示すように、凹凸が形成された切断面M1を同じ方向に向けた状態で複数の凹凸部材81を組み合わせることにより、一方の表面に凹凸を備える断熱材8を形成する。このように、切断および回転という非常に簡易な工程を経ることで、原材料たる平板状の繊維系断熱材Zから、一方の表面に凹凸を備える断熱材8を容易に形成することができる。
ここで、凹凸部材81同士の固定は、例えば接着剤などを用いることにより、適宜な方法で行っても良いが、図4(c)に示すように、凹凸部材81の切断面M1、M2の少なくとも一方に(図4(c)では両方に)、各凹凸部材81にまたがるように外被材82、83を貼り付けることにより、凹凸部材81同士を固定するのが好適である。
つづいて、原材料たる平板状の繊維系断熱材Zの切断形状の変形例について、図5を参照して説明する。
原材料たる平板状の繊維系断熱材Zは、図5(a)に示すように、いわゆる三角波形状に切断してもよい。かかる形状によっても、凹凸面が同じ方向を向くように各凹凸部材81Bを回転させ、これらを組み合わせることにより、一方の面に凹凸を備える断熱材8を容易に製造することができる。また、三角波形状にすることにより、空間9(図2参照)を相互に連続させることができ、通気性、換気性を良好にすることができる。また、三角波形状にすることにより、後記する台形波、矩形波などと比較して、外装材7との接触点を増大させつつ接触面積を低減することができ、低密度品を用いた場合でも十分な強度を確保することが可能となる。
原材料たる平板状の繊維系断熱材Zは、図5(b)に示すように、いわゆるパルス波形状に切断してもよい。かかる形状によっても、凹凸面が同じ方向を向くように各凹凸部材81Cを回転させ、これらを組み合わせることにより、一方の面に凹凸を備える断熱材8を容易に製造することができる。また、パルス波形状にすることにより、空間9(図2参照)を相互に連続させることができ、通気性、換気性を良好にすることができる。また、パルス波形状にすることにより、後記する台形波、矩形波などと比較して、外装材7との接触点を増大させつつ接触面積を低減することができ、低密度品を用いた場合でも十分な強度を確保することが可能となる。
原材料たる平板状の繊維系断熱材Zは、図5(c)に示すように、いわゆる台形波形状に切断してもよい。かかる形状によっても、凹凸面が同じ方向を向くように各凹凸部材81Dを回転させ、これらを組み合わせることにより、一方の面に凹凸を備える断熱材8を容易に製造することができる。また、台形波形状にすることにより、空間9(図2参照)を相互に連続させることができ、通気性、換気性を良好にすることができる。
原材料たる平板状の繊維系断熱材Zは、図5(d)に示すように、いわゆる矩形波形状に切断してもよい。かかる形状によっても、凹凸面が同じ方向を向くように各凹凸部材81Eを回転させ、これらを組み合わせることにより、一方の面に凹凸を備える断熱材8を容易に製造することができる。
例えば、第1実施形態においては、原材料として繊維系断熱材Zを用いたが、これに限られるものではなく、例えばポリウレタンフォーム等を発泡させて形成した平板状の発泡系断熱材を原材料として適用することも可能である。かかる場合にも、特殊な形状に形成した型枠などを用いることなく、凹凸を備える断熱材を容易に形成することができる。
つづいて、本発明の第2実施形態について図6を参照して説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る壁体を示した断面図である。
なお、第2実施形態においては、図6に示すように、断熱材8の凹凸を屋内側に向けて、断熱材8と外装材7との間に空間9を形成したが、断熱材8の凹凸を屋外側に向けて、断熱材8と外壁材Gとの間に空間を形成するようにしてもよい。このような構成によっても、外断熱構造(あるいは遮熱構造)の構造体とすることができる。
つづいて、本発明の第3実施形態について図7を参照して詳細に説明する。図7は、本発明の第3実施形態に係る屋根下地を示した断面図である。
第3実施形態に係る断熱構造体たる屋根下地30は、図7の紙面垂直方向に等間隔で配置されたいわゆる垂木31と、この垂木31の上部に貼り付けられた面材たる野地板32と、垂木31の間にはめ込まれた断熱材33と、垂木31の下部(屋根裏側)に胴縁34を介して貼り付けられた下地板35と、から構成されている。野地板32の上部には、ルーフィング37によって防水層が形成されている。また、ルーフィング37の上部には瓦38が設置されている。
断熱材33は、第1、第2実施形態における断熱材8と略同じ構造を呈している。すなわち、断熱材32は、野地板31側の面に波形の凹凸を有しており、その凸部が野地板31に当接することにより空間9が形成されるようになっている。当該空間9は、軒裏換気口36及び換気層Kと連通しており、通気性を有している。これにより、屋根下地30内の防露・防カビを図ることができる。
野地板32は、例えば透湿性の高い合板などで構成されており、空間9の湿気を屋外に放出することができるようになっている。ここで、ルーフィング37は、下面に凹凸を備える防水紙(防水シート)を用いて構成するのが好適である。かかる構成によれば、屋根下地30の内部の湿気が放出されやすくなる。
なお、繊維系断熱材の原料としては、グラスウール、ロックウール、PET(ポリエチレンテレフタレート)等がある。また、発泡系断熱材の原料としては、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、フェノールフォーム、尿素樹脂発泡体、エポキシフォーム等がある。
2 下枠
3 上枠
4 竪枠
5 枠組体
6 内装材
7 外装材(面材)
8 断熱材
81 凹凸部材
9 空間
Z 繊維系断熱材(原材料)
Claims (3)
- 少なくとも一方の表面に凹凸を備える断熱材と、面材と、を有する断熱構造体であって、
前記断熱材の凸部が前記面材に当接されることにより、前記面材と前記断熱材との間に空間が形成され、
前記断熱材は、少なくとも一方の表面に凹凸を備える複数の凹凸部材を、前記凹凸を同じ方向に向けた状態で組み合わせてなり、
前記凹凸部材は、複数の繊維層を積層して平板状に形成された繊維系断熱材からなる原材料を、少なくとも一方の切断面に凹凸が形成されるように、前記複数の繊維層と略直交する方向に切断して形成されることを特徴とする断熱構造体。 - 少なくとも一方の表面に凹凸を備える複数の凹凸部材を、前記凹凸を同じ方向に向けた状態で組み合わせてなる断熱材であって、
前記凹凸部材は、繊維系断熱材からなり、
前記繊維系断熱材は、複数の繊維層を積層して形成されており、
前記凹凸部材は、前記複数の繊維層と略直交する方向に前記凹凸が形成されていることを特徴とする断熱材。 - 複数の繊維層を積層して平板状に形成された繊維系断熱材からなる原材料を、少なくとも一方の切断面に凹凸が形成されるように、前記複数の繊維層と略直交する方向に切断し、複数の凹凸部材を製造する切断工程と、
前記凹凸が形成された切断面を同じ方向に向けた状態で前記複数の凹凸部材を組み合わせる組合せ工程と、を備えることを特徴とする断熱材の製造方法。
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