JP4160789B2 - 圧電アクチュエータ及びこれを備えたインクジェットヘッド並びにインクジェット式記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電アクチュエータ及びこれを備えたインクジェットヘッド並びにインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、圧電体の圧電効果を利用して記録を行うインクジェットヘッドが知られている。
【0003】
この種のインクジェットヘッドは、共通電極と圧電体と個別電極とが順に積層されてなる圧電アクチュエータと、圧力室が形成されたインク流路基板とを有している。圧電アクチュエータの一方の面には振動板が設けられている。この振動板はインク流路形成基板上に接着材で接着されている。そして、インクを吐出する際には、共通電極と個別電極とに電圧が印加され、それにより圧電体が伸縮する。その伸縮が振動板に拘束されることにより、圧電アクチュエータは積層方向にたわみ変形する。そのたわみ変形により圧力室内の容積が変化し、圧力室内のインクがノズルから吐出される。
【0004】
ところで、圧電体は絶縁材料によって形成されているので、インクジェットヘッドを湿度の高い環境に置くことは好ましくない。それは以下の理由による。通常、圧電体はスパッタリング等の成膜技術を用いて作成されるが、その際に、圧電体内に隙間やピンホールが発生する場合がある。隙間はインク流路基板上に付着した異物を原因とした圧電体の異常成長により生じやすく、ピンホールはインク流路形成基板上に圧電体をスパッタリングする際に発生しやすい。そして、これらの隙間やピンホールに水分が浸入すると、両電極間に電圧を印加した際のリーク電流が増加し、それにより、絶縁破壊が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、上述の弊害を取り除くため、特開平11−235823号公報に示されるように、インク流路形成基板上に圧電体を内包するキャップが接合されるとともに、キャップ部材内の空間の湿度が所定値以上になったことを検知するセンサが設けられたインクジェットヘッドが提案されている。インク流路形成基板上にキャップが接合されることにより、上記空間に水蒸気が侵入することを防ぐことができる。その結果、圧電体の上記隙間やピンホールに水蒸気が浸入することを防止することができ、湿気を原因とする絶縁破壊の発生を防ぐことが期待できる。また、何らかの不具合で上記空間に水蒸気が侵入したとしても、上記空間の湿度が所定値以上になったことをセンサが検知するため、上記空間の湿度が高くなっていることを知ることができる。上記空間の湿度が所定値以上になったときには、絶縁破壊を招くおそれが大きいため、新たなインクジェットヘッドと交換すれば良い。これにより、記録装置の信頼性を向上させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インクを吐出する機能に何ら不具合が発生していないにも拘らず、新たなインクジェットヘッドと交換することは、経済性及び資源の節約の観点から好ましくない。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧電アクチュエータにおける湿気を原因とする絶縁破壊の発生を防ぐとともに、圧電アクチュエータの経済的利用の促進を図ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る圧電アクチュエータは、下部電極と、該下部電極上に形成された圧電体と、該圧電体上に形成され、上記下部電極とともに上記圧電体に電圧を印加する上部電極とを有する圧電アクチュエータ本体と、少なくとも上記圧電アクチュエータ本体の上部電極側の面を内包し、着脱自在に構成されているキャップ部材と、上記圧電アクチュエータ本体と上記キャップ部材との間の密閉空間内に設けられ、吸湿性を有するとともに上記キャップ部材を取り外したときに他の吸湿手段と取り替え可能に構成されている吸湿手段とを備えるものである。
【0009】
これにより、キャップ部材を取り外したときに吸湿手段は他の吸湿手段と取り替え可能に構成されているため、密閉空間内の水分を吸湿することにより吸湿手段の吸湿性が低下した場合、キャップ部材を取り外すことによって上記吸湿手段を新しい吸湿手段に交換することができる。ゆえに、密閉空間内の湿度を低く保つことができる。したがって、本発明によれば、湿気を原因とする絶縁破壊の発生を防ぐことができる。また、圧電アクチュエータの経済的利用の促進を図ることができる。
【0010】
本発明に係る圧電アクチュエータは更に、上記キャップ部材内に設けられ、上記吸湿手段を取り外し可能に固定する固定手段を備えているものである。
【0011】
これにより、吸湿手段が固定手段に固定されているため、上記吸湿手段を新しい吸湿手段に交換するためキャップ部材を取り外したときに、上記吸湿手段が散乱することはない。したがって、本発明によれば、上記吸湿手段を新しい吸湿手段に効率良く交換することができる。
【0012】
本発明に係る圧電アクチュエータは更に、固定手段が接着テープによって構成されているものである。
【0013】
これにより、固定手段をキャップ部材内に容易に貼付することができる。したがって、本発明によれば、吸湿手段を容易に固定することができる。
【0014】
本発明に係る圧電アクチュエータは更に、吸湿手段の重さを検知する重量検知手段を備えるものである。
【0015】
これにより、重量検知手段が吸湿手段の重さを検知するため、吸湿手段の現在の重さ、すなわち、吸湿した水分の重さを含んだ吸湿手段の重さを知ることができる。よって、上記重さを基に現在の吸湿手段の吸湿能力を知ることができる。したがって、本発明によれば、吸湿手段の交換が必要か否かを判断することができる。
【0016】
本発明に係る圧電アクチュエータは更に、重量検知手段によって検知された上記吸湿手段の重さが所定値以上になったか否かを判定し、上記吸湿手段の重さが所定値以上になったと判定したときに警告を発する重量警告手段を備えるものである。
【0017】
これにより、重量警告手段が吸湿手段の重さが所定値以上になったと判定したときに警告を発するため、吸湿手段の交換の必要性を容易に知ることができる。よって、上記警告に従って吸湿手段の交換を行うと、吸湿性が低下した吸湿手段が密閉空間内に放置されることを防ぐことができる。したがって、本発明によれば、吸湿性が低下した吸湿手段の放置を防ぎ、且つ、新しい吸湿手段を密閉空間内に設けることにより密閉空間内の湿度を低く保つことができ、それにより、湿気を原因とする絶縁破壊の発生を効果的に防ぐことができる。
【0018】
本発明に係る圧電アクチュエータは更に、圧電体の誘電率の変化を検知する誘電率変化検知手段を備えるものである。
【0019】
ところで、圧電体内に隙間やピンホールが生じている場合、吸湿手段の吸湿性が低下して密閉空間内の湿度が高くなったときに、上記隙間やピンホールに水分が浸入するおそれがある。それにより、上記隙間やピンホールに浸入した水分によって圧電体の誘電率は低下する。
【0020】
ここで、本発明によれば、誘電率変化検知手段が圧電体の誘電率の変化を検知するため、圧電体の誘電率の低下を検知することができる。したがって、本発明によれば、上記変化を基に密閉空間内の湿度が高くなっていることを知ることができる。また、密閉空間内の湿度が高くなっていることから、吸湿手段の吸湿性が低下していることを知ることができ、吸湿手段の交換が必要か否かを判断することができる。
【0021】
本発明に係る圧電アクチュエータは更に、誘電率変化検知手段によって上記圧電体の誘電率の低下が検知されたときに警告を発する誘電率警告手段を備えるものである。
【0022】
これにより、誘電率変化検知手段によって圧電体の誘電率の低下が検知されたときに誘電率警告手段が警告を発するため、吸湿手段の交換の必要性を容易に知ることができる。したがって、本発明によれば、上記警告に従って吸湿手段の交換を行うと、吸湿性が低下した吸湿手段が密閉空間内に放置されることを防ぐことができる。
【0023】
本発明に係る圧電アクチュエータは更に、上記圧電体に電圧を印加する電圧印加手段を備え、圧電体の誘電率を検知するときに上記電圧印加手段によって印加される電圧が、上記圧電アクチュエータ本体の動作時に印加される最大電圧の1/10以下であるものである。
【0024】
ところで、圧電体内に隙間やピンホールが生じている場合、密閉空間内の湿度が高くなったときに、上記隙間やピンホールに水分が浸入するおそれがある。このとき、圧電アクチュエータ本体に高い電圧を印加すると、絶縁破壊が発生する。
【0025】
ここで、本発明によれば、電圧印加手段によって印加される電圧が圧電アクチュエータ本体の動作時に印加される最大電圧の1/10以下であるため、圧電体の誘電率の検知時における絶縁破壊の発生をより確実に防ぐことができる。
【0026】
本発明に係る圧電アクチュエータは更に、圧電アクチュエータ本体が、インクの吐出に使用される吐出用圧電アクチュエータ部と、該吐出用圧電アクチュエータ部と分離され、上記圧電体の誘電率の検知に使用される検知用圧電アクチュエータ部とを有するものである。
【0027】
これにより、圧電体の誘電率の検知に使用される検知用圧電アクチュエータ部を圧電アクチュエータ本体が有するため、圧電体の誘電率の検知時に検知用圧電アクチュエータ部に絶縁破壊が発生したとしても、吐出用圧電アクチュエータ部には何ら支障はない。したがって、本発明によれば、圧電体の誘電率の検知による吐出用圧電アクチュエータ部の絶縁破壊を防ぐことができる。
【0028】
本発明に係るインクジェットヘッドは、上述の圧電アクチュエータのいずれか1つを備えるものである。
【0029】
本発明に係るインクジェットヘッドは更に、上記下部電極の下面上に形成され、内部にインクの流路が形成されたインク流路形成部材と、該インク流路形成部材の表面上に設けられ、上記インク流路に供給されるインクを収容するとともに交換可能に構成されたインクタンクとを備え、キャップ部材とインクタンクとが一体に形成されているものである。
【0030】
これにより、キャップ部材とインクタンクとが一体に形成されているため、インクタンクの交換に伴いキャップ部材が取り外される。よって、このとき、併せて吸湿手段の交換を行うことができる。したがって、本発明によれば、インクタンクの交換と同時に吸湿手段の交換を行うことができる。
【0031】
本発明に係るインクジェット式記録装置は更に、上述のインクジェットヘッドのいずれか1つを備えるものである。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、少なくとも圧電アクチュエータ本体の上部電極側の面を内包し、着脱自在に構成されているキャップ部材と、上記圧電アクチュエータ本体と上記キャップ部材との間の密閉空間内に設けられ、吸湿性を有するとともに上記キャップ部材を取り外したときに他の吸湿手段と取り替え可能に構成された吸湿手段とを圧電アクチュエータが備えているため、密閉空間内の水分を吸湿することにより吸湿手段の吸湿性が低下した場合、キャップ部材を取り外すことによって上記吸湿手段を新しい吸湿手段に交換することができる。したがって、密閉空間内の湿度を低く保つことができ、湿気を原因とする絶縁破壊の発生を防ぐことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1に示すように、本実施形態に係るインクジェットヘッド1は、インクジェット式記録装置としてのインクジェットプリンタ3に組み込まれ、吐出したインク滴を紙等の記録媒体5に着弾させて記録を行うものである。
【0034】
インクジェットヘッド1は、キャリッジ軸7に沿って往復移動するキャリッジ9に搭載され、キャリッジ9とともに主走査方向Xに往復運動を行う。ローラ10は、キャリッジ9が主走査方向Xに一走査分移動するごとに、記録媒体5を副走査方向Yに搬送するように構成されている。
【0035】
図2及び図3に示すように、インクジェットヘッド1は、共通インク室11と複数の圧力室用凹部13(図3において図示せず)と複数のノズル15とが形成されたヘッド本体部17と、圧力室19内のインクに圧力を付与する圧電アクチュエータ21とを備えている。圧力室用凹部13は、副走査方向Yに沿って所定間隔毎に配設されている。配設された圧力室用凹部13は圧力室用凹部列を構成している。本実施形態に係るインクジェットヘッド1は、2列の圧力室用凹部列を有する。各圧力室用凹部13は、開口断面(XY断面)が主走査方向Xに細長い略矩形状に形成されている。
【0036】
ヘッド本体部17は、MgOからなる圧力室形成板35と、ステンレス鋼からなるインク流路形成板37と、ステンレス鋼からなるノズル板39とを有する。圧力室形成板35には圧力室19が形成されている。圧力室形成板35の主走査方向X及び副走査方向Yの長さは、圧電アクチュエータ21、インク流路形成板37及びノズル板39の主走査方向X及び副走査方向Yの長さより大きい。
【0037】
インク流路形成板37における各圧力室用凹部13の底部の長手方向の一端(図2の右側端)には共通インク室11と圧力室19とをつなぐインク供給口23が形成され、その他端(図2の左側端)には圧力室19とノズル15とをつなぐインク流路25が形成されている。また、インク流路形成板37には副走査方向Yに延びる共通インク室11が形成されている。
【0038】
図4に示すように、共通インク室11の一端(図4の上端)はインク供給路41につながっている。インク供給路41は、圧力室形成板35及びインク流路形成板37に亘ってZ方向に延びるように形成されている。インク供給路41の一端は共通インク室11につながり、インク供給路41の他端(以下、インク供給路41のインク供給口41aという)は後述するインクタンク部46のインク供給部46bにつながっている。図2及び図3に示すように、ノズル板39にはノズル15が形成されている。なお、本発明で言うところのインク流路形成部材は、圧力室形成板35、インク流路形成板37、及びノズル板39によって構成されている。
【0039】
圧電アクチュエータ21は、厚さ1〜10μmのCrからなる共通電極27、共通電極27上に形成された厚さ3.0μmのPb(Zr,Ti)O3からなる圧電体29、及び圧電体29上に形成された厚さ0.1μmのPtからなる個別電極33によって構成された圧電アクチュエータ部22と、個別電極33上に形成された電気配線接合部43と、電気配線接合部43上に形成された電気配線45と、電気配線45を介して圧力室形成板35上に固定され、インクタンク部46と後述するヘッドブロック部47とによって構成されたカートリッジ48と、ヘッドブロック部47内に架設されたPIテープ49とを有している(図2において、電気配線接合部43、電気配線45、カートリッジ48、及びPIテープ49は図示せず)。共通電極27は振動板を兼ねている。圧電体29及び個別電極33は、ヘッド本体部17の各圧力室用凹部13に対応した部分に位置するように設けられている。個別電極33と電気配線45とは電気配線接合部43を介してつながっている。電気配線45は、各個別電極33の一端と各個別電極33のそれぞれに電圧を印加する電圧入力端子部(図示せず)とに接続されている。なお、本発明で言うところの下部電極は共通電極27によって構成され、上部電極は個別電極33によって構成され、圧電アクチュエータ本体は圧電アクチュエータ部22によって構成され、キャップ部材はヘッドブロック部47によって構成され、固定手段はPIテープ49によって構成されている。
【0040】
図4及び図5に示すように、圧力室用凹部列の両端(副走査方向Yの両端)に位置する圧力室用凹部13に対応した部分に位置する圧電体29及び個別電極33は、圧電体29の誘電率を検知するために用いられる誘電率検知用圧電アクチュエータ部22a,22bを構成している。この誘電率検知用圧電アクチュエータ部22a,22bは、電気配線(図示せず)を介して誘電率測定装置(図示せず)とつながっている。また、誘電率測定装置によって誘電率検知用圧電アクチュエータ部22a,22bの圧電体29の誘電率を検知するときに印加される電圧は1Vである。なお、圧電体29の誘電率を検知するときに印加される電圧がインクジェットヘッド1を動作させるときに両電極27,33に印加される電圧の最大値の1/10以下であるならば、絶縁破壊が発生しないことが経験的に知られている。さらに、誘電率検知用圧電アクチュエータ部22a,22bはインクを吐出せず、誘電率検知用圧電アクチュエータ部22a,22b以外の圧電アクチュエータ部22がインクを吐出する。なお、本発明で言うところの吐出用圧電アクチュエータ部は誘電率検知用圧電アクチュエータ部22a,22b以外の圧電アクチュエータ部22によって構成され、誘電率測定装置は電圧印加手段によって構成されている。
【0041】
インクタンク部46は中空略直方体状に形成され、その中空部46aにはインクが注入されている。インクタンク部46は圧力室形成板35上に着脱自在に固定されている。具体的には、インクタンク部46の後述するインク供給部46bが圧力室形成板35上に着脱自在に固定されている。インクタンク部46の下面部におけるヘッドブロック部47側には、下方に向かって延びる中空状のインク供給部46bが形成されている。インク供給部46bは、インクタンク部46が圧力室形成板35上に固定されているとき、インク供給路41のインク供給口41aの位置に対応するように設けられている。このとき、インクタンク部46内のインクは、インク供給部46b及びインク供給路41を介して共通インク室11に供給される。なお、本発明で言うところのインク流路は、インク供給路41及び共通インク室11によって構成されている。
【0042】
図3及び図6に示すように、ヘッドブロック部47の上面部47aは略矩形状に形成されている。ヘッドブロック部47の側面部47cには段差部47dが形成されている。具体的には、ヘッドブロック部47の段差部47dは側面部47cの上部及び側面部47cの下部のそれぞれに対して直角に折れ曲っている。ヘッドブロック部47の端部は側面部47cに対して直角に折れ曲がり、つば部47bを構成している。以上より、ヘッドブロック部47は略ハット状(帽子状)に形成されている。また、ヘッドブロック部47はステンレス鋼で形成されている。
【0043】
ヘッドブロック部47は、略O状に形成された樹脂製の第1Oリング51、電気配線45、及び第2Oリング53を介して、ターンファスナーやプッシュリベット等の押さえ冶具55によって圧力室形成板35の上面に着脱自在に固定されている。具体的には、ヘッドブロック部47のつば部47bの四隅と圧力室形成板35の上面における四隅とが、4つの押さえ冶具55によって固定されている。なお、押さえ冶具55の下端は、ノズル板39の下面より上側に位置する。
【0044】
ヘッドブロック部47内には密閉空間57が形成されている。そして、この密閉空間57内に圧電アクチュエータ部22が封入されている。また、ヘッドブロック部47は圧電アクチュエータ部22に接触しない。さらに、図4に示すように、ヘッド本体部17におけるインク供給路41のインク供給口41a以外の領域(以下、ヘッドブロック領域という)上にヘッドブロック部47が設けられている。一方、ヘッド本体部17におけるインク供給路41のインク供給口41aが形成された領域(以下、インクタンク領域という)上にインクタンク部46が設けられている。なお、図4において、インクタンク部46及びヘッドブロック部47の図示は省略されている。
【0045】
図5及び図6に示すように、インクタンク部46におけるヘッドブロック部47側の側面と、ヘッドブロック部47におけるインクタンク部46側の側面とは一体に形成されている。つまり、インクタンク部46とヘッドブロック部47とは一体に形成されている。インクタンク部46とヘッドブロック部47とはカートリッジ48を構成している。カートリッジ48は圧力室形成板35上に着脱自在に固定されている。
【0046】
また、上述したようにヘッドブロック部47はステンレス鋼で形成されており、ヘッドブロック部47の内面における水蒸気透過度は7.0g/m2・24hr・atm以下である。ここで、水蒸気透過度とは一般的に、単位面積のヘッドブロック部47を通過する水蒸気の量を示したものである。また、ヘッドブロック部47の内面とは、ヘッドブロック部47における密閉空間57に触れる面である。本実施形態においては、特に水蒸気透過度を、内面の表面積が1m2のヘッドブロック部47において、1気圧の環境下で24時間あたりに上記ヘッドブロック部47を通過する水蒸気の量と定義する。なお、ここでは、ヘッドブロック部47の厚みは考慮に入れていない。また、ヘッドブロック部47内は防湿加工がなされている。具体的には、ヘッドブロック部47内には、密閉空間57外から密閉空間57内への水蒸気の侵入を防ぐ保護層54が設けられている。
【0047】
図3及び図5に示すように、PIテープ49は樹脂材で形成された接着テープであり、圧電アクチュエータ部22に接触しないようにヘッドブロック部47の段差部47dに架設されている。また、PIテープ49はヘッドブロック部47の段差部47dに貼り付けられている。そして、PIテープ49によって密閉空間57は2つに区画されている。区画された密閉空間57のうち、ヘッドブロック部47側の密閉空間(図3及び図5における上側の密閉空間)が第1密閉空間57aを構成し、圧電アクチュエータ部22側の密閉空間(図3及び図5における下側の密閉空間)が第2密閉空間57bを構成している。第1密閉空間57a内には吸湿剤52が封入されている。吸湿剤52は、25℃、1atm、及び相対湿度が80%の環境下において吸湿性能を示す吸湿率が5wt%以上である。本実施形態では、吸湿剤52は粒状のシリカゲルで構成され、PIテープ49によって固定されている。また、PIテープ49には、第1密閉空間57aと第2密閉空間57bとを連通させる1又は2以上の貫通孔50が形成されている。貫通孔50の口径は吸湿剤52の直径より小さい。なお、本発明で言うところの吸湿手段は吸湿剤52によって構成されている。
【0048】
また、PIテープ49はヘッドブロック部47から取り外すことが可能である。さらに、カートリッジ48を圧力室形成板35から取り外し、さらに、PIテープ49をヘッドブロック部47内から取り外したとき、第1密閉空間57a内の吸湿剤52を新しい吸湿剤52に交換することができる。
【0049】
圧電アクチュエータ部22近傍には重量センサ(図示せず)が設けられている。重量センサは吸湿剤52の重さを検知するものである。重量センサによって検知された吸湿剤52の重さの値は、表示装置(図示せず)に表示される。そして、重量センサによって検知された吸湿剤52の重さが所定値以上になったとき、例えば、吸湿剤52の水分吸湿量が20wt%以上になったとき、吸湿剤52の交換を促す警告が発せられる。ここで、水分吸湿量とは、水分吸湿量=(吸湿後の吸湿剤52の重さ−吸湿前の吸湿剤52の重さ)/吸湿前の吸湿剤52の重さで示されるものである。また、重量センサの大きさ及び設置位置は、圧電アクチュエータ部22の動作を妨げない限り、特に限定されない。なお、本発明で言うところの重量検知手段及び重量警告手段は、重量センサによって構成されている。
【0050】
また、圧電アクチュエータ部22近傍には誘電率センサ(図示せず)が設けられている。誘電率センサは圧電体29の誘電率の変化を検知するものである。誘電率センサによって検知された圧電体29の誘電率の変化の値は、表示装置(図示せず)に表示される。誘電率センサによって圧電体29の誘電率の低下が検知されたとき、吸湿剤52の交換を促す警告が発せられる。また、誘電率センサの大きさ及び設置位置は、圧電アクチュエータ部22の動作を妨げない限り、特に限定されない。なお、本発明で言うところの誘電率変化検知手段及び誘電率警告手段は、誘電率センサによって構成されている。
【0051】
(インクジェットヘッドの動作方法)
ここで、本実施形態に係るインクジェットヘッド1の動作方法を説明する。まず、共通電極27と個別電極33とに電圧が印加される。このとき、印加される電圧の最大値は35Vである。両電極27,33に電圧が印加されたことにより、圧電体29が伸縮する。その伸縮が振動板を兼ねる共通電極27に拘束されることにより、圧電アクチュエータ部22は積層方向にたわみ変形する。そのたわみ変形により圧力室19内の容積が変化し、圧力室19内のインクがインク流路25を介してノズル15から吐出される。
【0052】
(絶縁破壊発生率の評価方法)
本実験では、後述の絶縁破壊発生率の評価を行うために、ヘッド本体部17と、共通電極27、圧電体29、及び個別電極33とを順に積層した圧電アクチュエータ部22と、ヘッド本体部17上に固定されたカートリッジ48と、ヘッドブロック部47内の密閉空間57に封入された吸湿剤52とを有する複数のインクジェットヘッド1を試供品として用意した。このインクジェットヘッド1は400ピンのノズル15と圧電アクチュエータ部22とで構成されている。また、これらのインクジェットヘッド1は、密閉空間57の体積が1.96×10-6m3、2.93×10-5m3、及び3.72×10-5m3の三種類のものが用意されている。そして、各インクジェットヘッド1を60℃且つ1気圧の環境下に置き、それぞれのインクジェットヘッド1における密閉空間57内の相対湿度を異なる値とした。それから、各インクジェットヘッド1の共通電極27と個別電極33との間に35Vの直流電圧を150時間印加し、絶縁破壊が発生したことによって両電極27,33又は圧電体29が欠落したピンの個数を計測した。そして、全ピンに対する上記ピンの数の割合を算出し、それを絶縁破壊発生率とした。
【0053】
上記計測の結果、図7に示すように、密閉空間57内の相対湿度が0%以上且つ20%以下であるとき、絶縁破壊発生率が0%となることが明らかとなった。また、密閉空間57内の相対湿度が20%以上且つ40%以下であるとき、絶縁破壊発生率が略0%となることが明らかとなった。
【0054】
なお、上記計測は60℃の環境下において行われているが、60℃以外の他の温度環境下においても、密閉空間57内の相対湿度が0%以上且つ20%以下であるならば、絶縁破壊発生率が0%となる。また、1m3の密閉空間57において、60℃且つ1気圧のときの飽和水蒸気量は約130gである。ここで、密閉空間57内の相対湿度が20%である場合、密閉空間57内に存在する水蒸気の量は130×0.20=26gである。よって、60℃且つ1気圧の環境下における1m3の密閉空間57内に存在する水蒸気量が26g以下となっていれば、絶縁破壊発生率が0%となる。
【0055】
また、吸湿剤52の水分吸湿量と絶縁破壊発生率との関係を調査するために、上記計測とは別に、各インクジェットヘッド1の共通電極27と個別電極33との間に35Vの直流電圧を150時間印加し、上述の絶縁破壊発生率を算出した。
【0056】
上記計測の結果、図8に示すように、吸湿剤52の水分吸湿量が0wt%以上且つ20wt%以下であるとき、絶縁破壊発生率が0%となることが明らかとなった。
【0057】
また、上記計測とは別に、カートリッジ48のヘッドブロック部47の内面における水蒸気透過度が異なる複数のインクジェットヘッド1を用意した。そして、相対湿度が80%且つ温度が60℃の高温多湿の環境下において、各インクジェットヘッド1の共通電極27と個別電極33との間に35Vの直流電圧を150時間印加し、上述の絶縁破壊発生率を算出した。
【0058】
上記計測の結果、図9に示すように、ヘッドブロック部47の内面における水蒸気透過度が7.0g/m2・24hr・atm以下であるとき、絶縁破壊発生率が0%となることが明らかとなった。
【0059】
(インクジェットヘッドの製造方法)
次に、図10及び図11を参照しながら、インクジェットヘッド1の製造方法について説明する。
【0060】
まず、図10(a)に示すように、圧力室形成板35上に共通電極27を形成する。
【0061】
次に、図10(b)に示すように、共通電極27上に、スパッタリングや蒸着等により圧電体29を形成する。なお、この際、圧電体29内に欠陥部63が、又は、共通電極27内及び圧電体29内を連続した欠陥部65,67が形成される場合がある。欠陥部63,65は、圧力室形成板35上に圧電体29をスパッタリングする際に付着した異物を原因として発生するピンホールである。また、欠陥部67は、圧力室形成板35上に付着した異物69を原因とした圧電体29の異常成長により生じた隙間67である。隙間67やピンホール63,65の開口径は0.1〜10μmである。
【0062】
次に、図10(c)に示すように、圧電体29上にスパッタリングや蒸着等により上部電極31を形成する。次に、上部電極31及び圧電体29を個別化することにより、個別電極33を形成するとともに、個別電極33以外の部分に位置する圧電体29を除去する。ここで、個別化は、エッチング等により実施する。
【0063】
次に、上述の工程を完了したインクジェットヘッド1、すなわち、ヘッドブロック部47が装着される前のインクジェットヘッド1に対して除湿処理を行う。具体的には、上記インクジェットヘッド1に対して100〜150℃で加熱する処理と真空中で排気される処理とがなされる。
【0064】
次に、図10(d)に示すように、圧力室形成板35を加工することにより、圧力室19を形成する。なお、圧力室形成板35を加工し圧力室19を形成する際における共通電極27の損傷を防ぐために、圧力室形成板35と共通電極27との間にストッパー層(図示せず)を設けても良い。
【0065】
次に、図10(e)に示すように、インク流路25等が形成されたインク流路形成板37及びノズル15が形成されたノズル板39が予め一体となったものを圧力室形成板35上に設ける。その後、個別電極33上に電気配線接合部43と電気配線45とを順に形成する(図示せず)。
【0066】
次に、図11(a)に示すように、上記インクジェットヘッド1とは別に用意されたカートリッジ48のヘッドブロック部47内に吸湿剤52を入れる。その後、吸湿剤52を封入するため、ヘッドブロック部47内にPIテープ49を貼り付ける。
【0067】
最後に、図11(b)に示すように、上記インクジェットヘッド1の圧力室形成板35とカートリッジ48とを固定する(第1Oリング51、第2Oリング53、及び押さえ冶具55は図示せず)。これにより、インクジェットヘッド1の製造が完了する。
【0068】
製造完了後のインクジェットヘッド1は、実際に動作させるまでの間、密閉空間57内の所定量の水分を吸湿剤52が吸湿するまで、湿度の低い環境下に一定期間放置される。
【0069】
以上の工程を経ることにより、インクジェットヘッド1の密閉空間57内の相対湿度は0%以上且つ20%以下とし、吸湿剤52の水分吸湿量は0wt%以上且つ20wt%以下とした。
【0070】
本実施形態によれば、カートリッジ48のヘッドブロック部47が圧力室形成板35上に着脱自在に固定され、PIテープ49がヘッドブロック部47から取り外すことが可能であるため、密閉空間57内の水分を吸湿することにより吸湿剤52の吸湿性が低下した場合、カートリッジ48を圧力室形成板35から取り外し、PIテープ49をヘッドブロック部47から取り外すことにより、第1密閉空間57a内の吸湿剤52を新しい吸湿剤52に交換することができる。ゆえに、密閉空間57内の湿度を低く保つことができる。したがって、湿気を原因とする絶縁破壊の発生を防ぐことができる。
【0071】
また、吸湿剤52がPIテープ49によって固定されているため、吸湿剤52を新しい吸湿剤52に交換するためヘッドブロック部47を取り外したときに、吸湿剤52が散乱することはない。したがって、吸湿剤52を新しい吸湿剤52に効率良く交換することができる。
【0072】
また、PIテープ49が接着テープであるため、ヘッドブロック部47内に容易に貼付することができる。したがって、吸湿剤52を容易に固定することができる。
【0073】
また、重量センサが吸湿剤52の重さを検知するため、吸湿剤52の現在の重さ、すなわち、吸湿した水分の重さを含んだ吸湿剤52の重さを知ることができる。よって、上記重さを基に現在の吸湿剤52の吸湿能力を知ることができる。したがって、吸湿剤52の交換が必要か否かを判断することができる。
【0074】
また、吸湿剤52の水分吸湿量が20wt%以上になったときに重量センサが吸湿剤52の交換を促す警告を発するため、吸湿剤52の交換の必要性を容易に知ることができる。よって、上記警告に従って吸湿剤52の交換を行うと、吸湿性が低下した吸湿剤52が密閉空間57内に放置されることを防ぐことができる。したがって、吸湿性が低下した吸湿剤52の放置を防ぎ、且つ、新しい吸湿剤52を密閉空間57内に設けることにより密閉空間57内の湿度を低く保つことができ、それにより、湿気を原因とする絶縁破壊の発生を効果的に防ぐことができる。
【0075】
ところで、圧電体29内に隙間67やピンホール63,65が生じている場合、吸湿剤52の吸湿性が低下して密閉空間57内の湿度が高くなったときに、上記隙間67やピンホール63,65に水分が浸入するおそれがある。それにより、上記隙間67やピンホール63,65に浸入した水分によって圧電体29の誘電率は低下する。ここで、本実施形態によれば、誘電率センサが圧電体29の誘電率の変化を検知するため、圧電体29の誘電率の低下を検知することができる。したがって、上記低下を基に密閉空間57内の湿度が高くなっていることを知ることができる。また、密閉空間57内の湿度が高くなっていることから、吸湿剤52の吸湿性が低下していることを知ることができ、吸湿剤52の交換が必要か否かを判断することができる。
【0076】
また、圧電体29の誘電率の低下が検知されたときに誘電率センサが吸湿剤52の交換を促す警告を発するため、吸湿剤52の交換の必要性を容易に知ることができる。よって、上記警告に従って吸湿剤52の交換を行うと、吸湿性が低下した吸湿剤52が密閉空間57内に放置されることを防ぐことができる。したがって、吸湿性が低下した吸湿剤52の放置を防ぎ、且つ、新しい吸湿剤52を密閉空間57内に設けることにより密閉空間57内の湿度を低く保つことができ、それにより、湿気を原因とする絶縁破壊の発生を効果的に防ぐことができる。
【0077】
ところで、圧電体29内に隙間67やピンホール63,65が生じている場合、密閉空間57内の湿度が高くなったときに、上記隙間67やピンホール63,65に水分が浸入するおそれがある。このとき、両電極27,33に高い電圧を印加すると、絶縁破壊が発生する。ここで、本実施形態によれば、誘電率測定装置によって圧電体29の誘電率を検知するときに印加される電圧は1Vであり、これはインクジェットヘッド1を動作させるときに両電極27,33に印加される電圧の最大値35Vの1/10以下である。したがって、圧電体29の誘電率の検知時における絶縁破壊の発生をより確実に防ぐことができる。
【0078】
また、圧電体29の誘電率の検知に用いられる誘電率検知用圧電アクチュエータ部22a,22bを圧電アクチュエータ部22が有するため、圧電体29の誘電率の検知時に誘電率検知用圧電アクチュエータ部22a,22bに絶縁破壊が発生したとしても、誘電率検知用圧電アクチュエータ部22a,22b以外の圧電アクチュエータ部22には何ら支障はない。したがって、圧電体29の誘電率の検知によるインクを吐出する圧電アクチュエータ部22の絶縁破壊を防ぐことができる。
【0079】
また、インクタンク部46とヘッドブロック部47とが一体に形成されているため、インクの消費に伴うインクタンク部46の交換に併せて、PIテープ49をヘッドブロック部47から取り外すことによってヘッドブロック部47内の第1密閉空間57a内に封入された吸湿剤52の交換を行うことができる。
【0080】
なお、本実施形態によれば、第1Oリング51、電気配線45、及び第2Oリング53を介して、ヘッドブロック部47が押さえ冶具55によって圧力室形成板35の上面に着脱自在に固定されているが、押さえ冶具55の代わりにピンあるいはネジ等を用いても良い。さらに、押さえ冶具55の代わりに止め冶具、はさみ冶具、あるいは、接着材等によって着脱自在に固定されても良い。
【0081】
また、本実施形態によれば、ヘッドブロック部47が押さえ冶具55によって圧力室形成板35の上面に着脱自在に固定されているが、これに限らない。例えば、図12に示すように、個別電極33上に形成された電気配線45上に接着材59により着脱自在に固定されても良い。また、図13に示すように、はさみ冶具61によってインク流路形成板37の上面に着脱自在に固定されても良い。このとき、インク流路形成板37の主走査方向X及び副走査方向Yの長さは、圧電アクチュエータ21、圧力室形成板35、及びノズル板39の主走査方向X及び副走査方向Yの長さより大きい。さらに、図14に示すように、ヘッドブロック部47はノズル板39の上面に着脱自在に固定されても良い。
【0082】
また、本実施形態によれば、ヘッドブロック部47がステンレス鋼で形成されているが、樹脂材で形成されても良い。このとき、樹脂材は1mm以上の厚さを有することが好ましい。
【0083】
また、本実施形態によれば、ヘッドブロック部47が略ハット状に形成されているが、圧電アクチュエータ部22の個別電極33側の面を内包できる限り如何なる形状であっても良い。
【0084】
また、本実施形態によれば、吸湿剤52として粒状のシリカゲルが用いられているが、シート状のシリカゲルであっても良い。さらに、シリカゲル以外の吸湿材、例えば、アルミナゲル、塩化カルシウム等であっても良い。
【0085】
また、本実施形態によれば、ヘッドブロック部47内に樹脂製のPIテープ49が貼付されているが、PIテープ49以外の他の樹脂材が貼付されても良い。さらに、ヘッドブロック部47内に金属等が架設されても良い。このとき、ヘッドブロック部47内に金属等を固定するためにターンファスナーやプッシュリベット等が用いられる。
【0086】
また、本実施形態によれば、共通電極27が振動板を兼ねているが、振動板が別途設けられても良い。このとき、振動板は圧力室形成板35上又は個別電極33上等に形成される。
【0087】
また、本実施形態によれば、圧力室形成板35上に共通電極27が形成されているが、圧力室形成板35上に個別電極33が形成されても良い。このとき、共通電極27は圧電体29上に形成される。
【0088】
また、共通電極27、圧電体29、個別電極33、圧力室形成板35、インク流路形成板37、及びノズル板39等は、本実施形態と異なる材料や厚みのものを使用しても良い。
【0089】
また、本実施形態によれば、上述のようなインクジェットヘッド1の形成方法が採用されているが、他の形成方法、例えば、いわゆる転写工法で形成されても良い。転写工法を用いたインクジェットヘッド1の製造方法を以下に簡単に説明する。まず、MgO基板上に個別電極、圧電体、振動板の順に積層する。このとき、振動板は共通電極を兼ねても、あるいは、共通電極を別途設けても良い。次に、振動板上に圧力室が形成された基板を接着する。最後に、MgO基板を除去する。
【0090】
また、本実施形態によれば、製造完了後のインクジェットヘッド1を実際に動作させるまでの間、湿度の低い環境下に一定期間放置されているが、上記インクジェットヘッド1に対して真空中で排気される処理がなされても良い。
【0091】
また、本実施形態によれば、PIテープ49には1又は2以上の貫通孔50が形成されているが、貫通孔がなくても良い。
【0092】
また、本実施形態に係るインクジェットヘッド1は2列の圧力室用凹部列を有するが、1列又は3列以上であっても良い。また、圧力室用凹部列を構成する圧力室用凹部13は任意の値をとって良い。
【0093】
また、本実施形態によれば、インクタンク部46とヘッドブロック部47とは一体に形成されているが、インクタンク部46とヘッドブロック部47とがそれぞれ別途設けられても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るインクジェット式記録装置の概略構成図である。
【図2】実施形態に係るインクジェットヘッドの一部を破断して示す斜視図である。
【図3】実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図である。
【図4】実施形態に係るインクジェットヘッドの平面図である。
【図5】実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図である。
【図6】実施形態に係るインクジェットヘッドの概略平面図である。
【図7】実施形態に係る密閉空間内の相対湿度と絶縁破壊発生率との関係を示す図である。
【図8】実施形態に係る吸湿剤の水分吸湿量と絶縁破壊発生率との関係を示す図である。
【図9】実施形態に係るヘッドブロック部の内面における水蒸気透過度と絶縁破壊発生率との関係を示す図である。
【図10】(a)〜(e)は、実施形態に係るインクジェットヘッドの製造工程図の一部である。
【図11】(a)及び(b)は、実施形態に係るインクジェットヘッドの製造工程図の一部である。
【図12】実施形態に係るインクジェットヘッドの一部の断面図である。
【図13】実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図である。
【図14】実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図である。
【符号の説明】
27 共通電極(下部電極)
29 圧電体
33 個別電極(上部電極)
35 圧力室形成板(インク流路形成部材)
37 インク流路形成板(インク流路形成部材)
39 ノズル板(インク流路形成部材)
45 電気配線
47 ヘッドブロック部(キャップ部材)
49 PIテープ(固定手段)
55 押さえ冶具
Claims (12)
- 下部電極と、該下部電極上に形成された圧電体と、該圧電体上に形成され、上記下部電極とともに上記圧電体に電圧を印加する上部電極とを有する圧電アクチュエータ本体と、
少なくとも上記圧電アクチュエータ本体の上部電極側の面を内包し、着脱自在に構成されているキャップ部材と、
上記圧電アクチュエータ本体と上記キャップ部材との間の密閉空間内に設けられ、吸湿性を有するとともに上記キャップ部材を取り外したときに他の吸湿手段と取り替え可能に構成されている吸湿手段と、
を備える圧電アクチュエータ。 - 上記キャップ部材内に設けられ、上記吸湿手段を取り外し可能に固定する固定手段を備えている請求項1記載の圧電アクチュエータ。
- 固定手段は接着テープによって構成されている請求項2記載の圧電アクチュエータ。
- 吸湿手段の重さを検知する重量検知手段を備える請求項1〜3のいずれか1つに記載の圧電アクチュエータ。
- 重量検知手段によって検知された上記吸湿手段の重さが所定値以上になったか否かを判定し、上記吸湿手段の重さが所定値以上になったと判定したときに警告を発する重量警告手段を備える請求項4記載の圧電アクチュエータ。
- 圧電体の誘電率の変化を検知する誘電率変化検知手段を備える請求項1〜5のいずれか1つに記載の圧電アクチュエータ。
- 誘電率変化検知手段によって上記圧電体の誘電率の低下が検知されたときに警告を発する誘電率警告手段を備える請求項6記載の圧電アクチュエータ。
- 上記圧電体に電圧を印加する電圧印加手段を備え、
圧電体の誘電率を検知するときに上記電圧印加手段によって印加される電圧は、上記圧電アクチュエータ本体の動作時に印加される最大電圧の1/10以下である請求項6又は7記載の圧電アクチュエータ。 - 圧電アクチュエータ本体は、インクの吐出に使用される吐出用圧電アクチュエータ部と、該吐出用圧電アクチュエータ部と分離され、上記圧電体の誘電率の検知に使用される検知用圧電アクチュエータ部とを有する請求項6〜8のいずれか1つに記載の圧電アクチュエータ。
- 請求項1〜9のいずれか1つに記載の圧電アクチュエータを備えるインクジェットヘッド。
- 上記下部電極の下面上に形成され、内部にインクの流路が形成されたインク流路形成部材と、
該インク流路形成部材の表面上に設けられ、上記インク流路に供給されるインクを収容するとともに交換可能に構成されたインクタンクとを備え、
キャップ部材とインクタンクとは一体に形成されている請求項10記載のインクジェットヘッド。 - 請求項10又は11記載のインクジェットヘッドを備えるインクジェット式記録装置。
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