JP4160780B2 - 繊維状ナノ炭素 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維状ナノ炭素を構成する新規な炭素ナノ繊維素(カーボン ナノロッドCarbon Nano-Rod)及び繊維状ナノ炭素に関する。
【0002】
【背景技術】
近年、ナノ単位(nm=10億分の1m)の炭素材料として、例えばカーボンナノファイバ(1983年、アメリカ、Hyperion Catalytic International会社、特開昭62‐5000943号公報、Multi-walled Nanotube, The number of walls varies, with 8 to15 being typical. The outside diameter of the tube is approximately 10 to 15 nanometers. The inside diameter is approximately 5 nanometers. Nanotubes are typically tens of microns in length. Aspect ratios on the order of 100 to 1000), (H.P.Boehm, Carbon, 11, 583 (1973), H.Murayama,T.Maeda,Nature,245、791、Rodriguez, N.M. 1993. J. Mater. Res. 8: 3233)、カーボンナノチューブ(S.Iijima, Nature, 354, 56 (1991), S. Iijima, )が発見されて微細炭素材として注目されている。
【0003】
従来のカーボンナノファイバの構造の概略を図32に示す。
図32に示すように、カーボンナノチューブにはカーボンのヘキサゴナル網面の板状体の積層構造からなる三種類の構造が提案されている(Rodriguez, N.M. 1993. J. Mater. Res. 8: 3233)。
【0004】
これらの炭素材料は、その3次元構造として、図32(a)のプレートリット(Platelet)構造、図32(b)のヘリングボーン(Herringbone)又はフィシュボーン(Fishbone)構造、図32(c)のチューブラ(Tubular)、リボン(Ribbon)またはパラレール(Parallel)構造に分類されてきた。
【0005】
しかしながら、規定される単純構造から多様性がなく、多面な機能を同時に満足する材料としてなっていない。
【0006】
近年カーボンナノファイバを用いた用途研究がなされているが、例えば水素吸蔵や吸着・脱着、リチウムの吸蔵や吸着・脱着、触媒作用、窒素酸化物の吸着等においては、高い吸蔵量が要求されているが、いまだに好適なものが出現されていないのが現状である。
【0007】
よって、多様な炭素ナノ繊維素の寸法、形状が多様な配向・集積により、極めて多様な構造を有する繊維状ナノ炭素を系統的に調製することで多様な特性を同時に付与できる繊維状ナノ炭素物質の出現が強く望まれている。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、水素吸蔵や吸着・脱着、リチウムの吸蔵や吸着・脱着、触媒作用、窒素酸化物の吸着等においては、高い能力を発揮しうるサブナノメートル単位である炭素ヘキサゴナル網面が集合した炭素ナノ繊維素の配列・集積からなる繊維状ナノ炭素を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、繊維状ナノ炭素(いわゆるカーボンナノファイバ)の新規なナノ構成単位を見出し、それの構造単位からなる繊維状ナノ炭素を定義すると共に、700 ℃以下の比較的低温の製造条件だけで炭素ヘキサゴナル網面の面間距離(d002 )が0.500nm 以下の非常に高い黒鉛化度を示す多角形断面の繊維状ナノ炭素を見いだすと共に、この繊維状ナノ炭素の構成単位が独立した炭素ナノ繊維素の集合体であることを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
また、上記多角形断面の繊維状ナノ炭素の集合により、例えば、繊維幅が平均100nm 、アスペクト比が30程度のものが、窒素BET測定で表面積が200m2 以上を示す多角形の繊維状ナノ炭素を見いだし、本発明を完成した。
【0011】
かかる知見に基づく、第1の発明は、一方向に伸びる2乃至12層の炭素ヘキゴナル網面からなり、ロッド状をなす炭素ナノ繊維素が複数集合してなる繊維状ナノ炭素にある。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記炭素ナノ繊維素の軸幅(D)が2.5nm ±0.5nm であり、長さ(L)が17±15nmであることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0015】
第3の発明は、第1又は2の発明において、上記集合状態が三次元的最密充填の形で積層してなることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0016】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一の発明において、中心軸を平行にして炭素ナノ繊維素を複数積層して炭素ナノ繊維素群を構成してなることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0017】
第5の発明は、第4の発明において、上記炭素ヘキサゴナル網面が2乃至12層積層してなる炭素ナノ繊維素と、上記炭素ヘキサゴナル網面が2乃至12層積層してなる炭素ナノ繊維素との間に、ナノ空隙を有しつつ三次元的に積層して炭素ナノ繊維素群を構成してなることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0018】
第6の発明は、第1乃至5のいずれか一の発明において、上記炭素ナノ繊維素が軸端部において直列接合して軸方向にナノ繊維素群を構成してなることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0019】
第7の発明は、第6の発明において、上記接合が熱処理により接合して炭素ナノ繊維素群を構成してなることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0020】
第8の発明は、第4の発明において、炭素ナノ繊維素の配列角度が、繊維軸と直交する軸に対して、0度より大きく20度未満の角度で配列して柱状(Columnar)形繊維状ナノ炭素を形成してなることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0021】
第9の発明は、第4の発明において、炭素ナノ繊維素の配列角度が、繊維軸と直交する軸に対して、20度より大きく80度未満の角度で配列して羽状(Feather)形繊維状ナノ炭素を形成してなることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0022】
第10の発明は、第8又は9の発明において、炭素ナノ維素群が杉綾構造であることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0023】
第11の発明は、第4の発明において、炭素ナノ繊維素の配列角度が、繊維軸と直交する軸に対して、80度以上88度までの角度で配列してチューブ状(Tubular)形繊維状ナノ炭素を形成してなることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0024】
第12の発明は、第8乃至10のいずれか一の発明において、炭素ナノ繊維素の集合体の繊維幅が8nm〜500nm であり、繊維のアスペクト比(繊維長/繊維幅)が10以上であることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0025】
第13の発明は、第11の発明において、炭素ナノ繊維素の集合体の繊維幅が8nm〜80nmであり、繊維のアスペクト比(繊維長/繊維幅)が30以上であることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0026】
第14の発明は、第8又は9の発明において、繊維状ナノ炭素が700 ℃以下の熱処理条件の発明において、炭素ヘキサゴナル網面の面間距離(d002 )が0.500nm 未満であることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0027】
第15の発明は、第8乃至14のいずれか一の発明において、繊維軸と直交する方向の断面構造が多角形であることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0028】
第16の発明は、第1乃至15のいずれか一において、上記繊維状ナノ炭素を1600℃以上で高温熱処理してなり、繊維状ナノ炭素の表面にある炭素ナノ繊維素の末端が二次元的にはループ状に、三次元的にはドーム状に形成してなることを特徴とする繊維状ナノ炭素にある。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明による水素吸蔵体の実施の形態を以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0030】
本発明による炭素ナノ繊維素およびこの炭素ナノ繊維素からなる繊維状ナノ炭素の実施の形態を以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0031】
[第1の実施の形態]
図1は複数の炭素ヘキサゴナル網面からなる炭素ナノ繊維素の模式図であり、図2は炭素ナノ繊維素の集合状態を示す模式図である。
先ず、図1及び図2に基づいて炭素ヘキサゴナル網面(又は炭素ヘキサゴナルネットワークともいう)とそれのナノ集合体である炭素ナノ繊維素及びこの炭素ナノ繊維素の配列・積層からなる繊維状ナノ炭素を説明する。
【0032】
本発明では、図1及び図2に示すように、一方向に伸びる中心軸を有する炭素ヘキサゴナル網面11から炭素ナノ繊維素(カーボン ナノ- フィブラス- ロッド:Carbon Nano-fiberous-Rod )12が構成されている。
【0033】
上記炭素ナノ繊維素12は1枚(又は1層)でも基本構成単位となるが、通常は、上記炭素ヘキサゴナル網面11が2乃至12層層状に積層して1つの構成単位を形成している。
【0034】
また、上記積層数は4乃至10層とするのが好適である。このように、炭素ナノ繊維素12が2乃至12層の積層により単位を構成している理由はまだ明らかではないが、合成に使われる金属触媒の結晶格子構造と関係があるのではないかと考えられる。
【0035】
ここで、図1(a)は炭素ヘキサゴナル網面11が2層により炭素ナノ繊維素12の一構成単位を形成した模式図である。また、図1(b)は炭素ヘキサゴナル網面11が8層により炭素ナノ繊維素12の一構成単位を形成した模式図である。
【0036】
この炭素ナノ繊維素12を構成する炭素ヘキサゴナル網面11の軸幅(D)は2.5nm ±0.5nm であり、長さ(L)は17nm±15nmである。
これは、上記範囲外の場合には、良好な炭素ナノ繊維素を形成することができないからである。
【0037】
また、図2に示すように、この炭素ナノ繊維素12が複数最密充填積層して炭素ナノ繊維素群13を構成することで、その炭素ナノ繊維素12同志で形成される軸(図2中X軸方向)に沿ったナノ空隙14が多数存在することになる。
上記ナノ空隙14には例えば水素やリチウム等の原子が取り込まれる空間となる。
上記ナノ空隙14の多数の存在により、触媒活性、特定物質吸蔵又は吸着などの新規の機能性材料としての効果が発現される。
【0038】
図2(a)においては、炭素ナノ繊維素12同志が接触しているようにみえるが、炭素ナノ繊維素12同志が接触している場合もあるし、接触していない場合もある。接触していない場合には、ナノ空隙14が増加することになる。
図2(b)は断面が六角形の炭素ナノ繊維素12が少し隙間をもって集合している。
【0039】
このように炭素ナノ繊維素12からなる炭素ナノ繊維素群13が複数三次元的に繊維状に集合することで、図3に示すように、繊維状ナノ炭素(いわゆるカーボンナノファイバ)15を形成するものとなる。
【0040】
また、炭素ナノ繊維素12の軸と直交する方向の断面構造は、図2(a)では円形の炭素ナノ繊維素12であり、図2(b)では六角形の炭素ナノ繊維素12であるが、本発明ではこれに限定されるものではなく、例えば図4に示すように、円形(図4(a)参照)や六角形(図4(b)参照)以外に、例えば八角形(図4(c)参照)、四角形(図4(d)参照)等の矩形状であってもよい。
【0041】
上記炭素ナノ繊維素群13が複数三次元的に集合してなる繊維状ナノ炭素の代表的な構造としては、例えば柱状(Columnar)構造、羽状(Feather)構造、チューブ状(Tubular)構造が挙げられる(詳細は後述する)。なお、本実施の形態では、一例として柱状(Columnar)構造の繊維状ナノ炭素を中心として説明する。
【0042】
本発明にかかる炭素ナノ繊維素12が一構成単位であることは、製造したままでは、明確ではないが、これを1600℃以上の熱処理(又は炭化処理)することにより、その構成単位であることを明確化させることができる。
【0043】
すなわち、上記1600℃以上高温熱処理することで、図5に示すように、炭素ナノ繊維素の軸方向の末端が二次元的にはループ状に、三次元的にはドーム状の炭素のネットワークを構成することになる。この結果、炭素ナノ繊維素12が一つの構成単位であることが明確となる。
以下の説明において、製造したままの状態で末端がループ状とはなっていない炭素ナノ繊維素と、高温熱処理した状態の炭素ナノ繊維素とについて、前者の場合には「As-prepared 状態」と記載し、後者の場合には「2800℃熱処理状態」等と記載する。
【0044】
図6は炭素ナノ繊維素の高分解能透過型電子顕微鏡(High-resolution trnsmission electron microscope:HRTEM )による撮影写真である。
ここで、図6(a)は後述する合成方法によって得られた炭素ナノ繊維素の集合体の写真である。図6(b)は後述する2800℃で熱処理して黒鉛化度合いを向上させた炭素ナノ繊維素の集合体の写真である。なお、図6中に10nmの単位が示されている。
【0045】
図7は、炭素ナノ繊維素(「2800℃熱処理状態」)の電子顕微鏡による撮影写真である。
ここで、図7(a)は高分解能透過型顕微鏡(HRTEM )写真、図7(b)は走査型トンネル電子顕微鏡(Scanning tunneling microscope:STM )写真である。写真中の矢印は共に20nmを示している。
【0046】
図6及び図7においては、共に、6乃至10層の炭素ヘキサゴナル網面11の積層状態が表れており、これらにより炭素ナノ繊維素12が構成されていることが確認できる。
よって、炭素ナノ繊維素が一の構成単位から形成され、これらが集合して繊維状ナノ炭素を構成していることが確認できる。
なお、上記走査型トンネル電子顕微鏡(STM )の写真が不鮮明であるのは、高い倍率であると共にその撮影原理により、現時点においてはこれ以上鮮明なものを得ることができないからである。しかし、炭素ナノ繊維素が一つの構成単位であることを確認することはできる。
【0047】
図8は炭素ナノ繊維素(「2800℃熱処理状態」)12の他の走査型トンネル電子顕微鏡(STM )写真である。
図8(右図面)は図8(左図面)の拡大図である。図8(右図面)により軸端部でのループのネットワークの形状状態が確認される。図9は図8(右図面)に示した炭素ナノ繊維素12が集合して炭素ナノ繊維素群13を形成している様子を示す模式図である。
【0048】
ここで、本実施の形態にかかる炭素ヘキサゴナル網面(Hexagonal Carbon Layer:炭素六角網面)11とは、現在のカーボン材料を占めている殆どの黒色を持った材料と同様のものであり、炭素原子の六角網面を構造の基本単位としている。
【0049】
これらのカーボン材料の性質は、この炭素ヘキサゴナル網面の完全性、大きさ、積素の厚さ、そしてその積層の規則性、さらにその網面の選択的配向の方式と度合いによって基本的に決まることが知られている(カーボン用語辞典、p. 226, 炭素材料学会、カーボン用語辞典編集委員会編、(株)アグネ乗風社、東京、2000))。
【0050】
本発明の炭素ナノ繊維素12は、炭素原子の六角網面の構造を基本単位とし、95%以上カーボン原子で成立している。また、この炭素ナノ繊維素を2000℃以上の高い温度にて熱処理することによって99%以上カーボン原子で成立するものとなる。
【0051】
また、炭素ナノ繊維素12の炭素ヘキサゴナル網面11のナノ集合体の面間間隙(d002 )は0.500nm 未満であり、純粋な黒鉛の面間間隙(d002 )=0.3354nmに近似している面間間隙である。この結果、本発明では黒鉛化度の高い炭素ナノ繊維素12となっている。
【0052】
このようなことは、下記「表1」に示したように、この炭素ナノ繊維素だけの最密充填積層からなる繊維状ナノ炭素において、柱状(Columnar)組織の繊維状ナノ炭素が、700 ℃以下で製造されたもので、炭素ヘキサゴナル網面の面間距離(d002 )が0.500nm 未満であることから論理的に推論できる。
【0053】
【表1】
【0054】
本発明の繊維状ナノ炭素は、上記炭素ナノ繊維素を三次元的方向に最密充填して構成してなるものである。
以下に、その積層状態の一例である炭素ナノ繊維素の積層の模式図を図3に示す。
図3に示す積層は、Columnar積層構造であり、炭素ナノ繊維素12の中心軸を平行にして第1方向(紙面の上下方向)に複数積層して炭素ナノ繊維素群13を構成し、繊維状ナノ炭素15を形成してなるものである。
【0055】
図10には、実際合成されたColumnar構造の繊維状ナノ炭素を2800℃で熱処理したものを高分解透過型電子顕微鏡を使い撮った写真である。図8に示したように、先端がループ形の炭素ナノ繊維素が最密充填して炭素ナノ炭素繊維群を構成し、さらに繊維状ナノ炭素になることがよく分かる。
なお、図10(a)が繊維状ナノ炭素であり(図10(a)は100nm の単位である。15万倍)。また、図10(b)は図10(a)のその軸方向(図中左右方向)と直交する方向の両端部(図中A点とB点の)の拡大図である。
図10(b)から、熱処理により三次元先端がドーム形の炭素ナノ繊維素が三次元的方向に最密充填して炭素ナノ炭素繊維群を構成し、さらに繊維状ナノ炭素になることがよく分かる。
【0056】
また、炭素ナノ繊維素の集合態様は様々であり、炭素ナノ繊維素の軸と直交する方向又は同一方向又は交差する方向に積層又は集合して炭素ナノ炭素繊維群13を構成している。
上記炭素ナノ繊維素群13が複数三次元的に集合してなる繊維状ナノ炭素の代表的な構造としては、例えば柱状(Columnar)構造以外に、羽状(Feather)構造、チューブ状(Tubular)構造の三態様の構造が挙げられる。
これらの構造の相違は定かではないが、触媒と製造条件の相違から形態が変化するものと予想される。
【0057】
図11に炭素ナノ繊維素群の三形態の模式図を示す。
先ず、第1の形態は、積層方向(繊維軸方向)の軸(Y)と直交する軸(X)に対して、0度より大きく20度未満の角度(α)で配列してなるものであり、柱状(Columnar)形の繊維状ナノ炭素群13Aという(図11(a)参照)。
また、積層方向(繊維軸方向)の軸(Y)と直交する軸(X)に対して、20度より大きく80度未満の角度(β)で配列してなるものであり、羽状(Feather)形の繊維状ナノ炭素群13Bという(図11(b)参照)。
【0058】
上記図11(a)及び11(b)に示すように、炭素ナノ維素群は杉綾構造であるが、このように対向するのは触媒との関係による。よって、対向しないような場合も考えられる。
【0059】
また、積層方向(繊維軸方向)の軸(Y)と直交する軸(X)に対して、80度以上88度までの角度(γ)で配列してなるものであり、チューブ状(Tubular)形の繊維状ナノ炭素群13Cという(図11(c)参照)。
【0060】
以下に柱状(Columnar)形の集合の一例を図12に示す。
図12(a)は柱状(Columnar)形の炭素ナノ繊維素12の軸方向と直交する方向に積層して炭素ナノ繊維素群13を構成している。
【0061】
図12(b)、(c)は、炭素ナノ繊維素群13を少なくとも一以上並設すると共に、炭素ナノ繊維素の中心軸が平行になっている。
ここで、図12(b)は並設が二列状態の並列であり、図12(c)は並設が四列状態の並列である。
ここで、図12(b)、(c)に示すように、真横に炭素ナノ繊維素群並設された場合には、炭素ナノ繊維素12の中心軸の方向が同方向となる。
【0062】
また、図12(d)に示すように、炭素ナノ繊維素12の軸方向の長さが様々なものが積層されて炭素ナノ繊維素群13を構成し、各炭素ナノ繊維素12の積層部分にナノ空隙14を形成するようにしてもよい。
【0063】
また、図13に示したように、平面状態(図13(a)参照)では内部にナノ空隙14を有し、その四方を炭素ナノ繊維素12で囲んでなる矩形状の筒を形成するようにしてもよい。
【0064】
また、炭素ナノ繊維素群13の繊維軸と直交する方向の断面形状は、図14に示すように、六角形、8角形、4角形、円形と種々のものとなる。
【0065】
図15は炭素ナノ繊維素の高分解能透過型顕微鏡(HRTEM )写真、図16は炭素ナノ繊維素の走査型トンネル電子顕微鏡(STM )写真であり、これらの主審により、柱状(Columnar)形、羽状(Feather)構造、チューブ状(Tubular)構造の三態様の構造の繊維状ナノ炭素の形状が略6角形又は略5角形であることが確認される。
【0066】
また、Columnar構造の炭素ナノ繊維素群13の軸幅が15〜20nm程度であるので、炭素ナノ繊維素群4列並設により構成されるColumnar構造の繊維状ナノ炭素の繊維幅は、60乃至80nmになることが分かる。
よって、繊維幅が200nm のColumnar構造の繊維状ナノ炭素は、少なくとも炭素ナノ繊維素群が10列並設であることになる。
【0067】
[製造方法]
このような、繊維状ナノ炭素は、鉄(Fe),コバルト(Co)、ニッケル(Ni)に代表する純粋な転移金属の単独または合金を触媒とし、400 ℃から1200℃の温度範囲で一酸化炭素又はメタン(CH4 )、エチレン(C2H6)、プロパン(C3H8)等の炭化水素を、水素分圧0%乃至90%の混合ガス中で一定時間触媒に接触することによって合成される。
【0068】
本発明では、次のようにして繊維状ナノ炭素を製造することができるが、本発明はこれらの製造方法に限定されるものではない。
【0069】
Columnar構造の繊維状ナノ炭素の製造に関する好適な一製造例は次の通りである。
先ず、硝酸鉄を利用し、沈澱法(Best, R. J. Russell, W. W., J. Amer. Soc. 76, 838(1954)、Sinfelt, J. H., Carter, J. L. , and Yates, D. J. C., J. Catal. 24, 283(1972))により鉄触媒を調製する。
調製した30mgの鉄触媒を石英製のボート(長さx幅x深さ=10x2.5x1.5 / mm(外面値))に載せ、内径4.5cmの石英管の中において、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら500℃で30分乃至10時間還元する。その後一酸化炭素と水素の混合ガス(水素分圧:10%乃至90%)を100から200sccm流しながら450℃乃至620℃の温度で15分乃至3時間反応して、所定量(2mg乃至1500mg)の柱状(Columnar)構造の繊維状ナノ炭素を製造する。
【0070】
[第2の実施の形態]
次に、上記炭素ナノ繊維素を軸に対して一定角度を持って三次元的方向に最密充填して炭素ナノ繊維素群を構成してなる羽状(Feather構造の繊維状ナノ炭素)の一例を図16に示す。
【0071】
図17に示すように、炭素ナノ繊維素12が所定角度をもって対向してなる杉綾構造であり、図17(a)は間にナノ空隙14を有しており、図17(b)は炭素ナノ繊維素12が交差している。
【0072】
羽状(Feather)構造の繊維状ナノ炭素は、上述したように、積層方向(繊維軸方向)の軸(Y)と直交する軸(X)に対して、20度より大きく80度未満の角度(β)で配列してなるものである(図11(b)参照)。
この羽状(Feather)構造を構成する相対向する炭素ナノ繊維素12からなる炭素ナノ繊維素群13Bは、炭素ヘキサゴナル網面からなる炭素ナノ繊維素の軸幅が合成した段階で2.5nm ±0.5nm 、軸長さが4nm±2nmである。 これは、柱状(Columnar)構造の繊維状ナノ炭素群よりも角度が鋭角となるので、構成単位である炭素ナノ繊維素の軸の長さLがより短いものとなる。
【0073】
また、炭素ナノ繊維素群における炭素ナノ繊維素のヘキサゴナル網面の面間間隙(d002 )は0.500nm 未満であり、純粋な黒鉛の面間間隙(d002 )=0.3354nmに近似している面間間隙であり、黒鉛化度の高い炭素ナノ繊維素である。
このようなことは、炭素繊維素だけの充填積層からなる繊維状ナノ炭素において、羽状(Feather)構造の繊維状ナノ炭素の高分解能透過型電子顕微鏡の写真(図18)に示す炭素ナノ繊維素の軸幅と炭素ヘキサゴナル網面の構成数とそれからなるナノ集合体の二次元幅がほぼ一致することから推論できる。
【0074】
羽状(Feather)構造の繊維状ナノ炭素の製造に関する具体的な製造例は次の通りである。
【0075】
羽状(Feather)構造の繊維状ナノ炭素群の製造は、Columnar構造の繊維状ナノ炭素の製造において、硝酸鉄の代わりに硝酸ニッケルまたは硝酸ニッケルと硝酸鉄の混合物を利用し、同様の沈澱法でニッケル又はニッケルと鉄の合金触媒(ニッケル含有比:70%乃至90%(重量比))を調製する。調製した触媒を、上記の実験と同様の方法と装置を使い、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら500℃で30分乃至10時間還元する。
その後エチレンと水素の混合ガス(水素分圧:10%乃至90%)を100から200sccm流しながら450℃乃至620℃の温度で15分乃至3時間反応して、所定量(2mg乃至5400mg)の杉綾構造の繊維状ナノ炭素を製造する。
【0076】
[第3の実施の形態]
次に、上記炭素ナノ繊維素を軸方向に所定数節を持って表面以外のその両端で接合して炭素ナノ繊維素群を構成してなるチューブラ構造の繊維状ナノ炭素の一例を図19に示す。
図19に示すように、チューブラ構造の炭素ナノ繊維素群13Cは、炭素ナノ繊維素12が軸両端端部において接合してなるものである。
チューブラ構造の繊維状ナノ炭素群は、上述したように、積層方向(繊維軸方向)の軸(Y)と直交する軸(X)に対して、80度以上88度までの角度(γ)で配列してなるものである(図11(c)参照)。
このチューブラ構造を構成する炭素ナノ繊維素は、合成した段階で軸幅が2.5nm ±0.5nm 、軸長さが13nm±10nmである。
【0077】
図19(a)は同列に炭素ナノ繊維素12が軸端部で接合してチューブラ構造の繊維状ナノ炭素群13Cを構成したものであり、図19(b)は交互に炭素ナノ繊維素12が軸端部で接合してチューブラ構造の繊維状ナノ炭素群13Cを構成したものであり、図19(c)は軸端部で炭素ナノ繊維素12が交互に重なって軸端部で接合ししてチューブラ構造の繊維状ナノ炭素群13Cを構成したものである。接合形式はこれらに限定されるものではないが、軸の両端部で接合するので、節を有して炭素ナノ繊維素群13Cを形成することになる。
【0078】
また、炭素ナノ繊維素群における炭素ナノ繊維素のヘキサゴナル集合体の面間間隙(d002)は0.3400nm未満であり、純粋な黒鉛の面間間隙(d002)=0.3354nmに近似している面間間隙であり、黒鉛化度の高い炭素ナノ繊維素である。このようなことは、「表1」に示したように、この炭素ナノ繊維素だけの最密充填積層からなる繊維状ナノ炭素において、チューブラ組織の繊維状ナノ炭素が、As-prepared段階(700℃以下の熱処理)で、炭素ヘキサゴナルネットワーク面からなるナノ集合体の面間距離(d002)が0.3400nm未満であることから論理的に推論できる。
【0079】
チューブラ構造の繊維状ナノ炭素の製造に関する具体的な実施例は次の通りである。
【0080】
先ず、硝酸鉄または硝酸ニッケルと硝酸鉄の混合物利用し、同様の沈澱法で鉄又はニッケルと鉄の合金触媒(ニッケル含有比:30%乃至70%(重量比))を調製する。調製した触媒を、上記の実験と同様の方法と装置を使い、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら500℃で30分乃至10時間還元する。その後一酸化炭素と水素の混合ガス(水素分圧:10%乃至90%)を100から200sccm流しながら620℃乃至655℃の温度範囲で15分乃至3時間反応して、所定量(2mg乃至1500mg)のチューブラ構造の繊維状ナノ炭素を製造した。
【0081】
[第4の実施の形態]
第1実施形態の炭素ナノ繊維素群からなる繊維状ナノ炭素を真空又は不活性ガスの雰囲気下で1600℃以上の温度で熱処理した場合について説明する。本発明の炭素ナノ繊維素群からなる繊維状ナノ炭素は、杉綾構造の繊維状ナノ炭素以外のColumnar構造とチューブラ構造の繊維状ナノ炭素は、表1に示したようにそのままでも黒鉛化度が高いので人造黒鉛系の高機能性材料として十分な特性を備えているが、2000℃以上の黒鉛化処理すると杉綾構造の繊維状ナノ炭素を含めて、全ての繊維状ナノ炭素が「表1」に示したように黒鉛化度が高いものになる。
【0082】
熱処理条件としては、1600℃以上の熱処理温度とし、好適には2000℃さらに好適には2800℃で熱処理することが好ましい。これは、1600℃未満の熱処理温度では、黒鉛化度合いが低いものとなるからである。
【0083】
熱処理により、繊維状ナノ炭素の表面部の炭素ヘキサゴナルネットワーク面のナノ集合体の末端が二次元的にはループ状に、三次元的には断面が円形又は六角形のドーム状に接合されて、一つの単位を構成することになる。
そのことを概略図20を参照して説明する。
【0084】
図20は8層の炭素ヘキサゴナル網面11からなる炭素ナノ繊維素12の一つの単位であり、この炭素ナノ繊維素12の一つの単位に高温(1600℃以上)の熱処理をすることでヘキサゴナル網面からなるナノ集合体の端面が接合されてドーム状の黒鉛化処理炭素ナノ繊維素群13を形成する。
この黒鉛化処理炭素ナノ繊維素群が複数積層し、繊維状ナノ炭素15が形成される。
【0085】
ここで、前述した図10は黒鉛化処理前後のColumnar構造の繊維状ナノ炭素の高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM )の写真である。
図10に示したように、高温処理以前の炭素ヘキサゴナル網面の端面(Edge面)が高温処理により、二次元的にはループ上に接合されることが確認できる。
【0086】
図21には、Columnar構造の繊維状ナノ炭素を構成する炭素ナノ繊維素群の2800℃高温処理した後の構造を、高分解能透過型電子顕微鏡の透過電子ビームの角度を変化させて(‐30度、0度、+30度)撮影した写真である。
【0087】
図23〜25は図22(倍率15万倍)に示す繊維状ナノ炭素の高分解能透過型電子顕微鏡の透過電子ビームの角度を変化させて(−30度(図23)、0度(図24)、+30度(図25))撮影した写真(倍率60万倍)である。また、図26〜28は図23〜25の拡大写真(倍率320万倍)であり、図26は−30度、図27は0度、図28は+30度を各々示す。
これらの図面より、先ず角度を変えると先端部のループ状末端の位置が変わって見えることが確認された。この結果、炭素ヘキサゴナル網面からなるナノ集合体の末端が接合されることで二次元的にはループ状端面を形成していることが確認でき、6〜8枚の積層構造が集合単位を形成して一つの単位から炭素ナノ繊維素が構成されていることが明確に判明した。
【0088】
図29には、高温熱処理前後の三種類の繊維状ナノ炭素の高分解能走査型トンネル電子顕微鏡(STM )写真を示す。
炭素ヘキサゴナル網面からなる(10)面(100、110面)は理論的に走査トンネル型電子顕微鏡では観察できないので、高倍率の端面は観察できないが、三種類の熱処理以前の繊維状ナノ炭素の図面から全て炭素ナノ繊維素が観察され、さらにそれの三次元的最密積層により繊維状ナノ炭素になることが明確に確認できる。
【0089】
図30(a)〜(c)にColumnar構造の繊維状ナノ炭素を構成する製造(鉄触媒を用いて、600 ℃で製造)した状態の炭素ナノ繊維素群、及び2000℃及び2800℃で各々高温処理した後の構造の高分解能透過型電子顕微鏡の写真を示す。
また、図31にColumnar構造の炭素ナノ繊維群からなる繊維状ナノ炭素の熱処理前後のラマン散乱スペクトルを示す。
最近の研究により炭素のラマン散乱スペクトルにおける1350cm-1のPeakは、無定形炭素の定量だけでなく、炭素ヘキサゴナルネットワーク面の端面(Edge面;10面)の定量も敏感に表すことが明らかになっている。
【0090】
上述した「表1」に示すように、柱状(Columnar)構造の繊維状ナノ炭素は、黒鉛化前後を比べてそれほど大きな差は見られない。
しかし、図31の透過電子顕微鏡写真とラマンスペクトルに示すように、2000℃以上の熱処理により1350cm-1近傍のピークが著しく小さくなったことが確認できる。
【0091】
これは、2000℃以上の熱処理により、Columnar構造の繊維状ナノ炭素を構成している炭素ナノ繊維素群の炭素ヘキサゴナル網面のEdge面(10面)が末端の接合によって全て三次元的にドーム状の基底面(002面)になったことを明確に表すことである。
【0092】
また、この結果から、熱処理以前のColumnar構造の繊維状ナノ炭素は、HOPG以外の通常の高黒鉛化度炭素では殆ど存在しない表面に大量の炭素ヘキサゴナルネットワーク面のEdge面(10面)を多量含んでいることが確認できた。
【0093】
本発明の炭素ナノ繊維素による繊維状ナノ炭素は、Columnar構造とチューブラ構造の繊維状ナノ炭素は高黒鉛化度を有するので、高伝導性(熱、電気)のフィーラとして好適である。また、高黒鉛化度を生かした応用としてリチウム二次電池の電極材、電磁波遮蔽材または、燃料電池用、有機反応用触媒担体としても応用が期待される。
【0094】
高表面積のFeather構造の繊維状ナノ炭素は高表面積を有するので、スーパーキャパシタの電極材、メタン、水素の吸蔵材、SOx等の脱硫、NOx等の脱硝材として期待できる。
【0095】
【実施例】
本発明の効果を示す好適な一実施例を以下に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0096】
(実施例1)
実施例1は、柱状(Columnar)構造の繊維状ナノ炭素を製造する実施例である。
【0097】
硝酸鉄を利用し、沈澱法(Best, R. J. Russell, W. W., J. Amer. Soc. 76, 838(1954)、Sinfelt, J. H., Carter, J. L. , and Yates, D. J. C., J. Catal. 24, 283(1972))により鉄触媒を調製した。具体的には4gの鉄触媒を作るために、200mlの純水に、和光社製社製硝酸鉄(試薬1級、FeNO3 ・9H2 O)29.54g添加し、ゆっくり攪拌して溶液を調製する。その溶液に炭酸水素アンモニア(NH4HCO3; Ammonium hydrogen carbonate, 純正社製1級)を沈殿(FeCO3 ・xH2O )が生じるまで攪拌しながら添加する。沈殿物はろ過し純水で炭酸水素アンモニアがなくなるまで精製する。精製した沈殿物は、80℃で8時間真空乾燥を行った後、水平型のタンマン炉を使い空気の雰囲気で450℃で5時間処理することによってFe2O3 を得た。
調製したFe2O3 をアルミナ製のボート(長さx幅x深さ=10x2.5x1.5 / mm(外面値))に載せ、内径10cmのアルミナ管の中において、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:10%)を100sccm流しながら480℃で48時間還元処理をし、4.02gの鉄触媒を得た。
【0098】
上記の方法で調製した鉄触媒50mgを石英製のボート(長さx幅x深さ=10x2.5x1.5 / mm(外面値))に載せ内径4.5cmの石英管の中において、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら500℃で2時間還元する。その後一酸化炭素と水素の混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら580℃の温度で60分反応して、所定量(1252mg)の繊維状ナノ炭素を製造した。
【0099】
調製した繊維状ナノ炭素150mgを15mgの標準シリコンと混合し、理学社製 形広角X線回折装置(CuKα線、40KV、30mA、Stepwise Method)を使い、5°から90°までの回折を行い、回折曲線を得た。
得られたX線パータンを学振法によって面間距離(d002)と積層の大きさ(Lc002)結晶子の大きさ(La110)を計算し、「表1」に示した。
【0100】
(実施例2)
本実施例は、実施例1の繊維状ナノ炭素を用いて高温熱処理するものである。
上記実施例1にて調製した繊維状ナノ炭素を、アルゴン雰囲気下で2000℃と2800℃で10分間熱処理を行い、熱処理した繊維状ナノ炭素を得た。得られた熱処理繊維状ナノ炭素を、実施例1と同じ方法で広角X線回折および計算を行い、面間距離(d002)と積層の大きさ(Lc002)結晶子の大きさ(La110)を計算し、表1に示した。また、調製した繊維状ナノ炭素の繊維径と組織を調べるために、JEM-2010F の電界走査透過型電子顕微鏡の観察を行った。
実施例1と2で調製した未処理繊維状ナノ炭素と2800℃で熱処理した繊維状ナノ炭素の微量をn−ブタノールに入れ超音波分散させる。薄い透明性の色が出るまで完全に分散した後、分散液を透過電子顕微鏡用微細網試料セルに1〜2滴滴下する。
分散液を滴下した試料セルは、常温の空気中で1日乾燥させた後、観察を行った。
図6には、本実施例にかかる未処理の試料と2800℃熱処理した試料を40万倍で観察し撮影した影像を8倍拡大した写真を示した。
【0101】
(実施例3)本実施例は、羽状(Feather)構造の繊維状ナノ炭素の実施例である。硝酸ニッケルを利用し、実施例1の沈澱法によりニッケル触媒を調製した。具体的には4gのニッケル触媒を作るために、200mlの純水に、和光社製硝酸ニッケル(試薬1級、NiNO3・xH2O)19.82gを添加し、ゆっくり攪拌して溶液を調製する。その溶液に炭酸水素アンモニア(NH4HCO3; Ammonium hydrogen carbonate, 純正社製1級)を沈殿(NiCO3 ・xH2O )が生じるまで攪拌しながら添加する。
【0102】
沈殿物はろ過し純水で炭酸水素アンモニアがなくなるまで精製する。精製した沈殿物は、80℃で8時間真空乾燥を行った後、水平型のタンマン炉を使い空気の雰囲気で450℃で5時間処理することによって酸化ニッケルを得た。調製した酸化ニッケルをアルミナ製のボート(長さx幅x深さ=10x2.5x1.5 /mm(外面値))に載せ内径10cmのアルミナ管の中において、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:10%)を100sccm流しながら480℃で48時間還元処理をし、4.01gのニッケル触媒を得た。
【0103】
上記の方法で調製したニッケル触媒50mgを石英製のボート(長さx幅x深さ=10x2.5x1.5 / mm(外面値))に載せ、内径4.5cmの石英管の中において、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら500℃で2時間還元する。そのエチレンと水素の混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら580℃の温度で60分反応して、所定量(60mg)の繊維状ナノ炭素を製造した。 調製した繊維状ナノ炭素150mgを15mgの標準シリコンと混合し、理学社製 形広角X線回折装置(CuKα線、40KV、30mA、Stepwise Method)を使い、5°から90°までの回折を行い、回折曲線を得た。得られたX線パータンを学振法によって面間距離(d002)と積層の大きさ(Lc002)結晶子の大きさ(La110)を計算し、表1に示した。
【0104】
(実施例4)
本実施例は、実施例3の繊維状ナノ炭素を用いて高温熱処理するものである。
上記実施例3にて調製した繊維状ナノ炭素を、アルゴン雰囲気下で2000℃と2800℃で10分間熱処理を行い、熱処理した繊維状ナノ炭素を得た。
得られた熱処理繊維状ナノ炭素を、実施例1と同じ方法で広角X線回折および計算を行い、面間距離(d002)と積層の大きさ(Lc002)結晶子の大きさ(La110)を計算し、「表1」に示した。
【0105】
また、調製した繊維状ナノ炭素の繊維径と組織を調べるために、JEM-2010F の電界走査透過型電子顕微鏡の観察を行った。
実施例3と実施例4で調製した未処理繊維状ナノ炭素と2800℃で熱処理した繊維状ナノ炭素の微量をn−ブタノールに入れ超音波分散させる。薄い透明性の色が出るまで完全に分散した後、分散液を透過電子顕微鏡用微細網試料セルに1〜2滴滴下する。分散液を滴下した試料セルは、常温の空気中で1日乾燥させた後、観察を行った。
【0106】
図18にその写真を示す。図18には、未処理と2800℃熱処理した試料を40万倍で観察し撮影した写真(図18(a),(b)と、さらに40万倍のものを8倍拡大した320 万倍の写真(図18(c))を示した。
【0107】
(実施例5)
本実施例は、チューブ状(Tubular)構造の繊維状ナノ炭素の実施例である。
硝酸鉄と硝酸ニッケルを利用し、沈澱法(Best, R. J. Russell, W. W., J. Amer. Soc. 76, 838(1954)、Sinfelt, J. H., Carter, J. L. , and Yates, D. J. C., J. Catal. 24, 283(1972))により鉄-ニッケル合金触媒を調製した。具体的には4gの鉄-ニッケル触媒を作るために、200mlの純水に、和光社製硝酸ニッケル(試薬1級、NiNO3 ・xH2O)11.90gと和光社製社製硝酸鉄(試薬1級、FeNO3・9H2O)11.80gを添加し、ゆっくり攪拌して溶液を調製する。その溶液に炭酸水素アンモニア(NH4HCO3; Ammonium hydrogen carbonate, 純正社製1級)を沈殿(NiCO3・xH2O )が生じるまで攪拌しながら添加する。沈殿物はろ過し純水で炭酸水素アンモニアがなくなるまで精製する。
精製した沈殿物は、80℃で8時間真空乾燥を行った後、水平型のタンマン炉を使い空気の雰囲気で450℃で5時間処理することによって酸化鉄−ニッケルを得た。
調製した酸化鉄−ニッケルをアルミナ製のボート(長さx幅x深さ=10x2.5x1.5 / mm(外面値))に載せ、内径10cmのアルミナ管の中において、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:10%)を100sccm流しながら480℃で48時間還元処理をし、4.05gの鉄-ニッケル触媒を得た。
上記の方法で調製した鉄触媒50mgを石英製のボート(長さx幅x深さ=10x2.5x1.5 / mm(外面値))に載せ、内径4.5cmの石英管の中において、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら500℃で2時間還元する。その後一酸化炭素と水素の混合ガス(水素分圧:80%)を200sccm流しながら630℃の温度で60分反応して、所定量(432mg)の繊維状ナノ炭素を製造した。
【0108】
調製した繊維状ナノ炭素150mgを15mgの標準シリコンと混合し、理学社製 形広角X線回折装置(CuKα線、40KV、30mA、Stepwise Method)を使い、5°から90°までの回折を行い、回折曲線を得た。得られたX線パータンを学振法によって面間距離(d002)と積層の大きさ(Lc002)結晶子の大きさ(La110)を計算し、「表1」に示した。
【0109】
(実施例6)
本実施例は、実施例5の繊維状ナノ炭素を用いて高温熱処理するものである。
上記実施例5にて調製した繊維状ナノ炭素を、アルゴン雰囲気下で2000℃と2800℃で10分間熱処理を行い、熱処理した繊維状ナノ炭素を得た。得られた熱処理繊維状ナノ炭素を、実施例1と同じ方法で広角X線回折および計算を行い、面間距離(d002)と積層の大きさ(Lc002)結晶子の大きさ(La110)を計算し、表1に示した。
また、調製した繊維状ナノ炭素の繊維径と組織を調べるために、JEM-2010F の電界走査透過型電子顕微鏡の観察を行った。実施例5と6で調製した未処理繊維状ナノ炭素と2800℃で熱処理した繊維状ナノ炭素の微量をノーマルButhanolに入れ超音波分散させる。薄い透明性の色が出るまで完全に分散した後、分散液を透過電子顕微鏡用微細網試料セルに1〜2滴滴下する。分散液を滴下した試料セルは、常温の空気中で1日乾燥させた後、観察を行った。
【0110】
[走査トンネル型電子顕微鏡の観察]
上記実施例1乃至実施例6で調製の未処理および熱処理した3種類の構造の繊維状ナノ炭素の走査トンネル型電子顕微鏡の観察を次の通り行った。
(試料の準備)
実施例1乃至実施例6で調製した繊維状ナノ炭素微量の試料をエタノル(Ethanol)に入れ超音波で完全に分散させる。分散した分散液を1滴HOPGに滴下させた後、空気中で8時間乾燥する。乾燥した試料は次の装置と条件でSTMの観察を行った。
装置:Nanoscope III (DI, U.S.A.)
測定条件:1V (トンネリング電圧)、3.0nA(トンネリング電流)
上記の条件で実施例1と実施例2の2800℃で熱処理を行ったColumnarナノファイバを観察した写真を図30に示した。また、図7(b)には、実施例2の2800℃で熱処理したものの図30と異なる角度で撮った写真を示した。図15には実施例1乃至実施例6で調製した3種類繊維状ナノ炭素の低倍STM 観察写真を示した。
図29には、実施例1乃至実施例6で調製した3種類繊維状ナノファイバの未処理と熱処理したものの高倍STM 観察写真を示した。
【0111】
[比較例]
以下に本発明の炭素ナノ繊維素とならない場合について説明する。
【0112】
(比較例1)
上記実施例1の沈殿法で調製した鉄触媒50mgを石英製のボート(長さx幅x深さ=10x2.5x1.5 / mm(外面値))に載せ、内径4.5cmの石英管の中において、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら500℃で0.3時間還元する。その後一酸化炭素と水素の混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら580℃の温度で60分反応したが、繊維状ナノ炭素の製造に至らなかった。
【0113】
(比較例2)
上記実施例1の沈殿法で調製した鉄触媒50mgを石英製のボート(長さx幅x深さ=10x2.5x1.5 / mm(外面値))に載せ内径4.5cmの石英管の中において、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら500℃で2時間還元する。その後一酸化炭素ガスを100sccm流しながら580℃の温度で60分反応したが、繊維状ナノ炭素の製造に至らなかった。
【0114】
(比較例3)上記実施例1の沈殿法で調製した鉄触媒50mgを石英製のボート(長さx幅x深さ=10x2.5x1.5 / mm(外面値))に載せ内径4.5cmの石英管の中において、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら500℃で2時間還元する。その後一酸化炭素と水素の混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら580℃の温度で60分反応したが、繊維状ナノ炭素の製造に至らなかった。
【0115】
(比較例4)上記実施例1の沈殿法で調製した鉄触媒50mgを石英製のボート(長さx幅x深さ=10x2.5x1.5 / mm(外面値))に載せ内径4.5cmの石英管の中において、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら450℃で2時間還元する。その後一酸化炭素と水素の混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら580℃の温度で60分反応したが、繊維状ナノ炭素の製造に至らなかった。
【0116】
(比較例5)上記実施例1の沈殿法で調製した鉄触媒50mgを石英製のボート(長さx幅x深さ=10x2.5x1.5 / mm(外面値))に載せ内径4.5cmの石英管の中において、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら500℃で2時間還元する。その後一酸化炭素と水素の混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら680℃の温度で60分反応したが、繊維状ナノ炭素の製造に至らなかった。
【0117】
(比較例6)
上記実施例5の方法で調製した鉄−ニッケル触媒50mgを石英製のボート(長さx幅x深さ=10x2.5x1.5 / mm(外面値))に載せ内径4.5cmの石英管の中において、水素とヘリウム混合ガス(水素分圧:20%)を100sccm流しながら500℃で2時間還元する。その後一酸化炭素と水素の混合ガス(水素分圧:80%)を200sccm流しながら700℃の温度で60分反応して、所定量(20 mg)のナノ炭素を製造した。
しかし、透過型弟子顕微鏡で観察した結果、繊維状のものは観察されなかった。
【0118】
【発明の効果】
以上の説明したように、本発明によれば、高黒鉛化度の炭素ナノ繊維素群からなる繊維状ナノ炭素は、高黒鉛化度または高表面積を有するので高機能性材料(樹脂、金属、セラミクス、炭素強化材料、放熱材料、触媒担体、ガス吸着、生体用複合材料等)に用いて好適である。
【0119】
本発明によれば、特異な構成単位である炭素ナノ繊維素が集合して繊維状ナノ炭素を形成することになるので、特に水素吸蔵や吸着・脱着、リチウムの吸蔵や吸着・脱着、触媒作用、窒素酸化物の吸着等においては、高い能力を発揮しうることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる炭素ナノ繊維素の模式図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる炭素ナノ繊維素群の模式図である。
【図3】第1の実施の形態にかかる炭素ナノ繊維素及び繊維状ナノ炭素の模式図である。
【図4】第1の実施の形態にかかる炭素ナノ繊維素の断面模式図である。
【図5】第1の実施の形態にかかる炭素ナノ繊維素の熱処理の模式図である。
【図6】炭素ナノ繊維素を製造した状態及び熱処理後の顕微鏡写真図である。
【図7】炭素ナノ繊維素の高分解能透過型顕微鏡写真図及び走査型トンネル電子顕微鏡写真図である。
【図8】走査型トンネル電子顕微鏡写真図及びその模式図である。
【図9】炭素ナノ繊維素群を形成している様子を示す模式図である。
【図10】 Columnar構造の繊維状ナノ炭素の高分解能透過型顕微鏡写真図である。
【図11】炭素ナノ繊維素群の各種形状の模式図である。
【図12】柱状(Columnar)構造の繊維状ナノ炭素集合体の模式図である。
【図13】他の柱状(Columnar)構造の繊維状ナノ炭素集合体の模式図である。
【図14】繊維状ナノ炭素の断面模式図である。
【図15】炭素ナノ繊維素の各種形状の走査型トンネル電子顕微鏡写真図である。
【図16】炭素ナノ繊維素の各種形状の走査型トンネル電子顕微鏡写真図である。
【図17】羽状(Feather)構造の繊維状ナノ炭素集合体の模式図である。
【図18】羽状(Feather)構造の繊維状ナノ炭素の高分解能透過型顕微鏡写真図である。
【図19】チューブ状(Tubular)構造の繊維状ナノ炭素集合体の模式図である。
【図20】炭素ナノ繊維素を熱処理した模式図とそれが集合してなる繊維状ナノ炭素の模式図である。
【図21】 Columnar構造の繊維状ナノ炭素を構成する炭素ナノ繊維素群の2800℃高温処理した後の構造を、高分解能透過型電子顕微鏡の透過電子ビームの角度を変化させて(‐30度、0度、+30度)撮影した写真図である。
【図22】 Columnar構造の繊維状ナノ炭素を構成する炭素ナノ繊維素群の2800℃高温処理品の高分解能透過型電子顕微鏡写真図である。
【図23】図21の角度‐30度の2800℃高温処理品の高分解能透過型電子顕微鏡写真図(倍率:60万倍)である。
【図24】図21の角度0度の2800℃高温処理品の高分解能透過型電子顕微鏡写真図である。
【図25】図21の角度+30 度の2800℃高温処理品の高分解能透過型電子顕微鏡写真図である。
【図26】図23の角度‐30度の2800℃高温処理品の高分解能透過型電子顕微鏡写真図である。
【図27】図24の角度0度の2800℃高温処理品の高分解能透過型電子顕微鏡写真図である。
【図28】図25の角度+30 度の2800℃高温処理品の高分解能透過型電子顕微鏡写真図である。
【図29】柱状(Columnar)構造、羽状(Feather)構造及びチューブ状(Tubular)構造の繊維状ナノ炭素の高分解能透過型顕微鏡写真図である。
【図30】 Columnar構造の繊維状ナノ炭素を構成する製造(鉄触媒を用いて、600 ℃で製造)した状態の炭素ナノ繊維素群、及び2000℃及び2800℃で各々高温処理した後の構造の高分解能透過型電子顕微鏡の写真である。
【図31】 Columnar構造の炭素ナノ繊維群からなる繊維状ナノ炭素の熱処理前後のラマン散乱スペクトル図である。
【図32】従来技術のナノファイバのモデル図である。
【符号の説明】
11 炭素ヘキサゴナル網面
12 炭素ナノ繊維素
13 炭素ナノ繊維素群
14 ナノ空隙
15 繊維状ナノ炭素
Claims (16)
- 一方向に伸びる2乃至12層の炭素ヘキサゴナル網面からなり、ロッド状をなす炭素ナノ繊維素が複数集合してなる
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項1において、
上記炭素ナノ繊維素の軸幅(D)が2.5nm ±0.5nm であり、長さ(L)が17±15nmである
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項1又は2において、
上記集合状態が三次元的最密充填の形で積層してなる
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項1乃至3のいずれか一において、
中心軸を平行にして炭素ナノ繊維素を複数積層して炭素ナノ繊維素群を構成してなる
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項4において、
上記炭素ヘキサゴナル網面が2乃至12層積層してなる炭素ナノ繊維素と、上記炭素ヘキサゴナル網面が2乃至12層積層してなる炭素ナノ繊維素との間に、ナノ空隙を有しつつ三次元的に積層して炭素ナノ繊維素群を構成してなることを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項1乃至5のいずれか一において、
上記炭素ナノ繊維素が軸端部において直列接合して軸方向にナノ繊維素群を構成してなる
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項6において、
上記接合が熱処理により接合して炭素ナノ繊維素群を構成してなる
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項4において、
炭素ナノ繊維素の配列角度が、繊維軸と直交する軸に対して、0度より大きく20度未満の角度で配列して柱状(Columnar)形繊維状ナノ炭素を形成してなる
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項4において、
炭素ナノ繊維素の配列角度が、繊維軸と直交する軸に対して、20度より大きく80度未満の角度で配列して羽状(Feather)形繊維状ナノ炭素を形成してなる
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項8又は9において、
炭素ナノ維素群が杉綾構造である
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項4において、
炭素ナノ繊維素の配列角度が、繊維軸と直交する軸に対して、80度以上88度までの角度で配列してチューブ状(Tubular)形繊維状ナノ炭素を形成してなる
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項8乃至10のいずれか一において、
炭素ナノ繊維素の集合体の繊維幅が8nm〜500nm であり、繊維のアスペクト比(繊維長/繊維幅)が10以上である
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項11において、
炭素ナノ繊維素の集合体の繊維幅が8nm〜80nmであり、繊維のアスペクト比(繊維長/繊維幅)が30以上である
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項8又は9において、
繊維状ナノ炭素が700 ℃以下の熱処理条件において、炭素ヘキサゴナル網面の面間距離(d002 )が0.500nm 未満である
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項8乃至14のいずれか一において、
繊維軸と直交する方向の断面構造が多角形である
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。 - 請求項1乃至15のいずれか一において、
上記繊維状ナノ炭素を1600℃以上で高温熱処理してなり、繊維状ナノ炭素の表面にある炭素ナノ繊維素の末端が二次元的にはループ状に、三次元的にはドーム状に形成してなる
ことを特徴とする繊維状ナノ炭素。
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