JP4159901B2 - 帯電部材及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置で感光体を帯電する帯電ローラ等の帯電部材及びそれを使用した画像形成装置、特に、帯電特性の品質向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平7−121009号公報
電子写真方式を使用した複写機やプリンタ等で、感光体に静電潜像を形成するため帯電ローラにより感光体を帯電するようにしている。この帯電ローラを用いた帯電方式では、帯電ローラを感光体に接触させる接触帯電方式が一般に用いられている。この接触帯電方式を使用していると、帯電ローラを構成している物質が帯電ローラから染み出して感光体の表面に付着移行するために生じる帯電ローラ跡や、帯電ローラに交流電圧を印加したときに感光体に接触している帯電ローラが振動するために生じる帯電音や、感光体上のトナーが帯電ローラに付着して生じる帯電性能の低下や、帯電ローラを構成している物質の感光体への付着及び画像形成動作を長期間停止しているときに生じる帯電ローラの永久変形等の問題が生じる。
【0003】
このような問題を解決するため、特許文献1に示すように、帯電ローラを感光体に接触させずに感光体を帯電する近接帯電方式が開示されている。この近接帯電方式は、帯電ローラを感光体の表面から0.005〜0.3mm離して対向させ、帯電ローラに電圧を印加して感光体を帯電するようにしている。このように帯電ローラが感光体が接触していないため、前記接触帯電方式に生じる各種問題を解決することができる。
【0004】
接触帯電方式で一般的に使用されている帯電ローラは、感光体に対して均一に接触することが必要であることから、芯金の周囲に加硫ゴム等の弾性体が被覆された構成となっている。近接帯電方式では感光体と帯電ローラ間に空隙を形成させるため、帯電ローラの両端の非画像領域にスペーサ等の空隙保持部材を介在して近接させる必要があるが、弾性体で形成された帯電ローラを使用すると、弾性体の変形により空隙を均一にすることが困難である。その結果、帯電電位変動やそれに起因する画像ムラが発生してしまう。また、弾性体を形成する加硫ゴム材料は、経時変化によりへたりや変形が生じやすく、そのため空隙が変動してしまう不具合がある。
【0005】
この不具合を解消するため、帯電ローラに非弾性体である熱可塑性樹脂を使用すれば、感光体と帯電ローラ間の空隙を均一にすることができる。帯電ローラによる感光体表面への帯電メカニズムは帯電ローラと感光体間の微小放電におけるパッシェンの法則にしたがった放電であることが知られている。そして感光体を所定の帯電電位に保持する機能を得るためには、熱可塑性樹脂の抵抗値を半導電性領域である106〜109Ωcm程度に制御することが必要である。この熱可塑性樹脂の抵抗値を制御する方法としては、熱可塑性樹脂中にカーボンブラック等の導電性顔料を分散させる方法が一般的である。しかし導電性顔料を用いて半導電性領域に設定しようとすると、抵抗値のばらつきが大きく、部分的帯電不良等の画像欠陥が発生するなどの問題がある。
【0006】
また、この抵抗を制御するための他の方法として、イオン導電性材料、すなわちLi塩等の電解質塩を用いる方法がある。イオン導電性材料はマトリックス樹脂中に分子レベルで分散するため、導電性顔料が分散する場合に比べて抵抗値のばらつきが小さく、部分的な帯電不良は画像品質的に問題とならない。しかしながら電解質塩は低分子量であるため、マトリックス樹脂の表面にブリードアウトしやすい性質があり、帯電ローラの表面へブリードアウトした場合にトナーの固着を発生させて画像不良の不具合を引き起こす。このブリードアウトを避けるために、高分子型のイオン導電性材料を使用することが特許文献1に開示されている。この場合、イオン導電性材料がマトリックス樹脂中に分散固定化され、表面へのブリードアウトが起こり難くすることができる。特許文献1でイオン導電性材料として4級アンモニウム塩基を有する高分子量のイオン導電性材料を使用して、経時ブリードアウトの少ない帯電部材を形成している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら4級アンモニウム塩含有型の高分子型導電剤は、抵抗値の温湿度環境依存性が大きく、添加割合や温湿度環境によっては低抵抗化に伴う異常放電や、高抵抗化に伴う帯電不良などの問題が発生する可能性が高く、処方が難しいという問題がある。
【0008】
また、このような高分子複合体は、成形時に発生するウェルド部分の強度低下が生じ、この強度低下のため、機械強度の低い樹脂をマトリックス樹脂として用いた場合には、使用時の電気的・機械的ストレスや経時・環境での体積変動によりウェルド部分にクラックが発生するという不具合が発生する。
【0009】
この発明はかかる不具合を解消して、抵抗値のばらつきやトナー固着及びそれらに伴う帯電不良を防止するとともに機械強度や耐久性の優れた近接帯電方式用の帯電部材及びそれを使用した画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の帯電部材は、導電性支持体上に形成される抵抗調整層と、該抵抗調整層の表面を被覆する保護層とからなる帯電部材であって、前記抵抗調整層はポリカーボネート樹脂とポリエーテルエステルアミドを含む樹脂組成物からなり、樹脂組成物の配合比は、ポリカーボネート樹脂が30〜70重量%、ポリエーテルエステルアミドが70〜30重量%であることを特徴とする。
【0011】
前記抵抗調整層は、体積固有抵抗が106〜109Ωcmであることが望ましい。
【0012】
また、保護層は、導電性粒子が分散された樹脂組成物、例えばフッ素樹脂あるいはシリコーン樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂又はポリビニルブチラール樹脂のいずれかで形成して成膜性を高める。
【0013】
さらに、保護層の抵抗値は、抵抗調整層の抵抗値より大きく、保護層と抵抗調整層との抵抗値の差は103Ωcmを越えない範囲であることが望ましい。
【0014】
この発明の画像形成装置は、前記帯電部材を感光体等の被帯電材の表面に近接して配置し、被帯電部材を均一に帯電することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明のデジタル複写機の構成図である。デジタル複写機1は複写機本体2と原稿自動送り装置(以下、ADFという)3と自動仕分け装置4とを有する。複写機本体2は原稿読取ユニット5と書込ユニット6とエンジン部7と給紙ユニット8を有する。原稿読取ユニット5は光源と複数のミラーを有するキャリッジ9とレンズ10とCCD11及びバッファ12を有し、ADF3で送られた原稿を走査して読み取る。書込ユニット6はレーザ光源やポリゴンミラー等を有し、画像情報を含むレーザビーム13をエンジン部7に出射する。エンジン部7は、画像形成ユニット14と1次転写ユニット15と2次転写ユニット16及び定着ユニット17を有する。画像形成ユニット14は、感光体18の周囲に配置された帯電ローラ19と書込ユニット5からのレーザビーム13の照射部とシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)からなるカラー現像部20及びドラムクリーニング部21を有し、感光体18に微小間隙をおいて配置された帯電ローラ19で帯電した感光体18上にレーザビーム13で静電潜像を形成し、形成した静電潜像をカラー現像部20で可視化してトナー像を形成する。1次転写ユニット15は中間転写ベルト22と1次転写部23とテンションローラ24と2次転写ローラ25とクリーニング部26及び基準位置センサ27を有し、感光体18に形成されたトナー像を中間転写ベルト22に1次転写する。中間転写ベルト22は、このデジタル複写機1における最大転写紙サイズであるA3よりも大きく形成されており、使用する転写紙がA4サイズ以下の場合には、2面分のトナー像を保持することができる。この中間転写ベルト22は感光体18上のトナー像を1次転写するとき以外は図示しない接離機構によって感光体18表面から離れ、中間転写ベルト22に画像を1次転写するときだけ感光体18表面に圧接される。2次転写ユニット16は中間転写ベルト22に転写されたトナー像を記録紙に2次転写する。定着ユニット17は記録紙に転写されたトナー像を熱と圧力で定着する。給紙ユニット8は複数の給紙カセット28a〜28cと手差トレイ29を有し、記録紙を2次転写ユニット16に送る。
【0016】
ADF3は読み取る原稿を原稿読取ユニット5に送り、原稿読取ユニット5で読み取った原稿を回収する。自動仕分け装置4は複数段の仕分けビン30a〜30nを有し、画像が形成された記録紙を仕分けして排出する。
【0017】
このデジタル複写機1で原稿読取ユニット5で読み取った原稿の画像形成サイクルが始まると、形成する画像が1色の場合は、読み取った原稿の画像データにより感光体18にトナー像を形成し、形成されたトナー像を中間転写ベルト22に1次転写する。2次転写ユニット16は中間転写ベルト22に転写されたトナー像の先端に合わせて給紙された記録紙にトナー像を2次転写する。トナー像を転写した記録紙は定着ユニット17に送られ加熱,加圧して定着される。トナー像が定着された記録紙は自動仕分け装置4に排出される。また、中間転写ベルト22に残留しているトナーはクリーニング部26で回収する。
【0018】
形成する画像が2色以上の場合は、中間転写ベルト22に設けた基準マークを基準位置センサ27で検出したことを基準にして原稿読取ユニッ5で原稿を読み取り、読み取った画像データを制御部100の中央制御部101に送るとともに画像メモリ102に格納する。中央制御部101は送られた画像データにより感光体18に第1色目のトナー像を形成し、感光体18に形成したトナー像を中間転写ベルト22に1次転写する。引き続いて中央制御部101は画像メモリ102に格納された画像データにより感光体18に第2色目のトナー像を形成し、感光体18に形成したトナー像を中間転写ベルト22に1次転写する。この感光体18に対する画像形成と中間転写ベルト22に対する1次転写を各色毎に繰り返す。すなわち、2色の画像を形成する場合には中間転写ベルト22を2回転し、フルカラーの画像を形成する場合には中間転写ベルト22を4回転して、各回転毎に感光体18に形成されたトナー像を中間転写ベルト22に1次転写して各色の画像を位置ずれなしに重ね合わせる。所定の色のトナー像を中間転写ベルト22に転写したら、中間転写ベルト22に転写されたトナー像の先端に合わせて給紙された記録紙にトナー像を2次転写し、定着ユニット17で加熱,加圧して定着する。
【0019】
このデジタル複写機1に使用する帯電ローラ19は、図2の断面図に示すように、導電性支持体191の周囲に抵抗調整層192が形成され、抵抗調整層192の周囲に保護層193が形成されている。抵抗調整層192はポリカーボネート樹脂とポリエーテルエステルアミドにより形成されている。この抵抗調整層192を形成するポリカーボネート樹脂は有極性基とジオキシ基の鎖をもつ分子構造のため、分子間引力が非常に強く、このため力学的強度やクリープ特性などに優れ、特に衝撃強度は他の合成樹脂と比較して格段に優れている。また、ポリカーボネート樹脂は比較的低吸水であるため、吸水変動に伴う体積変動が少なく、これらの特性により、高分子型導電剤のマトリックス樹脂としてポリカーボネート樹脂を使用することにより、使用時の機械的や電気的ストレス及び経時や環境での体積変動によるクラックが生じ難くすることができる。また、ポリエーテルエステルアミドは、下記(1)式で示されるものであり、ポリアミド単位のハード成分と、ポリエーテル単位のソフト成分からなる共重合体である。
【0020】
【数1】
【0021】
上記(1)式においてR1,R2,R3は炭素数1〜20のアルキル基を示す。このポリエーテルエステルアミドはイオン導電性の高分子材料であり、マトリクスポリマー中に分子レベルで均一に分散して固定化される。したがって導電性顔料を分散した組成物に見られるような導電性顔料の分散不良に伴う抵抗値のバラツキが生じない。また、高分子材料であるためブリードアウトが生じにくくすることができる。
【0022】
このポリカーボネート樹脂とポリエーテルエステルアミドにより形成される抵抗調整層192の体積固有抵抗は106〜109Ωcmであることが望ましい。抵抗調整層192の体積固有抵抗が109Ωcmを越えると抵抗調整層192の帯電量が不足になり、感光体18を均一に帯電することができなくなり、均一な画像を得るために十分な帯電電位を得ることができなくなるからである。また、抵抗調整層192の体積固有抵抗が106Ωcmよりも小さくなると、感光体18全体への電圧集中(リーク)や異常放電が生じてしまうからである。
【0023】
この抵抗調整層192を形成するポリカーボネート樹脂とポリエーテルエステルアミドの配合は、抵抗調整層192の体積固有抵抗を調整する必要があるので、ポリカーボネート樹脂を30〜70重量%とし、ポリエーテルエステルアミドを70〜30重量%にすると良い。
【0024】
ポリカーボネート樹脂に対するポリエーテルエステルアミドの分散は、2軸混練機やニーダー等の手段を用いることにより容易に行うことができ、イオン導電性の材料はマトリクスポリマー中に分子レベルで均一に分散される。したがって、導電性顔料を分散した抵抗調整層192に見られるような、導電性顔料の分散不良に伴う抵抗値のバラツキが生じることを防ぐことができる。また、イオン導電性の材料であるポリエーテルエステルアミドが高分子化合物であるため、マトリックスポリマー中に均一に分散固定化されることにより、ブリードアウトが生じることを防ぐことができる。
【0025】
この抵抗調整層192を導電性支持体191に形成する方法は、押出成形や射出成形等で導電性支持体191に、ポリカーボネート樹脂にポリエーテルエステルアミドを分散した半導電性樹脂組成物を被覆することにより、簡便に行うことができる。また、任意の段階で表面を切削、研削加工をして必要とされる表面精度を得ることができる。さらに、抵抗調整層192の表面に保護層193を形成することにより、表面性を良くすることができ、導電性支持体191に電荷を与えることにより均一に帯電することができる。
【0026】
保護層193の抵抗値は抵抗調整層192の抵抗値よりも大きくなるように形成され、感光体18の欠陥部への電圧集中や異常放電(リーク)を回避することができる。ここで保護層193の抵抗値をあまり高くしすぎると帯電効率が低下するため、保護層193と抵抗調整層192との抵抗値の差を103Ωcm以下にすることが望ましい。また、保護層193を形成する材料は、成膜性が良好であるという点で樹脂材料が望ましく、フッ素樹脂やシリコーン樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が非粘着性に優れ、トナー固着防止の面で好ましい。また樹脂材料は電気的に絶縁性であるため、単体で保護層193を形成すると、帯電ローラ19としての特性が得られなくなる。そこで、上記樹脂材料に対して各種導電材料を分散して保護層193の抵抗値を調整する。また、保護層193と抵抗調整層192との接着性を向上させるため、樹脂材料にイソシアネート等の反応性硬化剤を分散させても良い。そして抵抗調整層192に保護層193を形成するときは、保護層193の構成材料を有機溶媒に分散して塗料を作製し、スプレー塗装、ディッピング等によって抵抗調整層192の表面にコーティングする。
【0027】
この帯電ローラ19を感光体18に近接して配置し、感光体18を帯電することにより、感光体18を長期間安定して均一に帯電することができ、良質な画像を安定して形成することができる。
【0028】
[具体例1] 直径10mmのステンレスで形成された導電性支持体191に抵抗調整層192としてポリカーボネート樹脂(パンライトAD−5503、帝人化成製)40重量部に、ポリエーテルエステルアミド成分を含有するイオン導電性の高分子化合物(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ製)60重量部を配合した組成物を射出成形により被覆した。この表面にアクリルシリコン樹脂(3000VH−P、川上塗料製)とイソシアネート系硬化剤及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物により膜厚約10μmの保護層193を被覆して直径12mmの帯電ローラ19を形成した。
【0029】
[具体例2] 具体例1と同様にして形成した抵抗調整層192の表面に、ポリエステル樹脂(バイロン20SS、東洋紡製)及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物により膜厚約10μmの保護層193を被覆し、直径12mmの帯電ローラ19を形成した。
【0030】
[具体例3] 具体例1と同様にして形成した抵抗調整層192の表面に、フッ素樹脂(ルミフロンLF-600、旭硝子社製)及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物により膜厚約10μmの保護層193を被覆し、直径12mmの帯電ローラ19を形成した。
【0031】
[具体例4] 具体例1と同様にして形成した抵抗調整層192の表面に、ポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000-K、電気化学工業社製)及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物により膜厚約10μmの保護層193を被覆し、直径12mmの帯電ローラ19を形成した。
【0032】
[比較例1] 直径10mmのステンレスで形成された導電性支持体191に抵抗調整層192としてポリプロピレン樹脂(MAO3、日本ポリケム製)40重量部に、ポリエーテルエステルアミド成分を含有するイオン導電性の高分子化合物(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ製)60重量部を配合した組成物を射出成形により被覆した。この表面にアクリルシリコン樹脂(3000VH-P、川上塗料製)とイソシアネート系硬化剤及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物により膜厚約10μmの保護層193を被覆し、直径12mmの帯電ローラ19を形成した。
【0033】
[比較例2] 直径10mmのステンレスで形成された導電性支持体191に抵抗調整層192としてポリプロピレン樹脂(MA2、日本ポリケム製)50重量部に、4級アンモニウム塩基を含有するイオン導電性の高分子化合物(レオレックスAS-1720、第一工業製薬製)50重量部を配合した組成物を射出成形により被覆した。この表面にフッ素樹脂(ルミフロンLF-600、旭硝子社製)とイソシアネート系硬化剤及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物により膜厚約10μmの保護層193を被覆し、直径12mmの帯電ローラ19を形成した。
【0034】
[比較例3] 直径10mmのステンレスで形成された導電性支持体191に抵抗調整層192としてエピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100重量部に過塩素酸アンモニウム3重量部を配合したゴム組成物を、押出成形と加硫工程を経て被覆した。この表面にポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000-K、電気化学工業社製)とイソシアネート系硬化剤及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物により保護層193を被覆し、直径12mmの帯電ローラ19を形成した。
【0035】
[比較例4] 直径10mmのステンレスで形成された導電性支持体191に抵抗調整層192としてABS樹脂(GR-1500、電気化学工業製)100重量部に導電性カーボンブラック(ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックインターナショナル社製)15重量部を配合した組成物を射出成形により被覆した。この表面にポリアミド樹脂(ダイアミドT-171、ダイセルヒュルス社製)とカーボンブラック(全固形分に対して10重量%)からなる混合物により保護層193を被覆し、直径12mmの帯電ローラ19を形成した。
【0036】
[比較例5] 直径10mmのステンレスで形成された導電性支持体191に抵抗調整層192としてABS樹脂(GR-1500、電気化学工業製)100重量部に過塩素酸リチウム3重量部を配合した組成物を射出成形により被覆した。この表面にポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000-K、電気化学工業社製)とイソシアネート系硬化剤及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物により保護層193を被覆し、直径12mmの帯電ローラ19を形成した。
【0037】
[試験1] 前記具体例1から具体例4と比較例1から比較例5で形成した帯電ローラ19をデジタル複写機1に使用して300,000枚の複写を行い、帯電ローラ19に割れが発生するまでの耐久枚数を調べた。この際、帯電ローラ19の両端部に空隙規制部材としてスペーサテープを貼りつけ、帯電ローラ19と感光体18間の間隙が50μmになるように、感光体18に対して帯電ローラ19を配置した。この帯電ローラ19に印加する電圧はDC−800V、AC2400VPP(周波数=2kHz)とした。また、評価環境は温度23℃、湿度60%RHとした。この試験結果を下記表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
前記表1に示すように、具体例1〜具体例4の帯電ローラ19は300,000枚の複写で割れが発生しなかったが、比較例1と比較例2の帯電ローラ19では割れが発生した。
【0040】
[試験2] 前記具体例1から具体例4と比較例1から比較例5で形成した帯電ローラ19をデジタル複写機1に使用して画像を形成し、感光体18の帯電電位と画像評価を行った。この際、帯電ローラ19の両端部に空隙規制部材としてスペーサテープを貼りつけ、帯電ローラ19と感光体18間の間隙が50μmになるように帯電ローラ19を配置した。50μとなるように配置させた。この帯電ローラ19に印加する電圧はDC−800V、AC2400VPP(周波数=2kHz)とした。また、評価環境は温度23℃、湿度50%RHとした。そして感光体18の欠陥部への電圧集中や異常放電(リーク)によって生じる異常画像の有無を評価した。また、連続複写を行い、100,000枚通紙後の帯電ローラ19表面へのトナー固着評価と画像評価を行った。この評価結果を下記表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
上記表2に示すように、具体例1〜具体例4の帯電ローラ19は全項目で良好な結果が得られたが、比較例3〜比較例5の帯電ローラ19では不具合が見られた。
【0043】
[試験3] また、評価環境を温度10℃、湿度15%RH及び温度30℃、湿度90%RHとして、試験2と同様に画像を形成して感光体18の欠陥部への電圧集中や異常放電(リーク)によって生じる異常画像の有無を評価した。この評価結果を下記表3と表4に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
前記表3と表4に示すように、具体例1〜具体例4の帯電ローラ19は各環境で良好な結果が得られたが、比較例3〜5は低温低湿時と高温高湿時に画像上の不具合が見られた。
【0047】
前記説明では帯電ローラ19について説明したが、1次転写ユニット15や2次転写ユニット16の転写ローラ等被帯電部材を帯電する帯電部材にも同様に適用することができる。
【0048】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、導電性支持体上に形成される抵抗調整層と、該抵抗調整層の表面を被覆する保護層とからなる帯電部材の抵抗調整層をポリカーボネート樹脂とポリエーテルエステルアミドを含む樹脂組成物で形成することにより、クラックが生じにくく耐久性に優れた帯電部材を形成することができる。また、抵抗値のばらつきやブリードアウトに伴う帯電不良等が生ぜず、かつ抵抗値の環境依存性が小さく、各環境下において優れた帯電品質を得ることができる。
【0049】
また、抵抗調整層の体積固有抵抗を106〜109Ωcmの範囲にすることにより、被帯電部材への電圧集中(リーク)や異常放電が生じることを防ぐとともに十分な帯電量を得ることができる。
【0050】
この抵抗調整層を形成する樹脂組成物の配合比を、ポリカーボネート樹脂が30〜70重量%、ポリエーテルエステルアミドが70〜30重量%にすることにより、クラックが生じにくく耐久性に優れるとともに抵抗値のばらつきやブリードアウトに伴う帯電不良等が生じない帯電部材を得ることができる。
【0051】
また、保護層は、導電性粒子が分散された樹脂組成物、例えばフッ素樹脂あるいはシリコーン樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂又はポリビニルブチラール樹脂のいずれかで形成することにより成膜性を高めることができる。
【0052】
さらに、保護層の抵抗値を抵抗調整層の抵抗値より大きく、保護層と抵抗調整層との抵抗値の差を103Ωcmを越えない範囲にすることにより、帯電効率が低下することを防ぐことができる。
【0053】
この帯電部材を電子写真方式の画像形成装置の感光体等の被帯電材の表面に近接して配置し、被帯電部材を均一に帯電することにより、良質な画像を長期間安定して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のデジタル複写機の構成図である。
【図2】帯電ローラの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1;デジタル複写機、2;複写機本体、3;ADF、4;自動仕分け装置、
5;原稿読取ユニット、6;書込ユニット、7;エンジン部、
8;給紙ユニット、14;画像形成ユニット、15;1次転写ユニット、
16;2次転写ユニット、17;定着ユニット、18;感光体、
19;帯電ローラ、20;カラー現像部、21;ドラムクリーニング部、
191;導電性支持体、192;抵抗調整層、193;保護層。
Claims (6)
- 導電性支持体上に形成される抵抗調整層と、該抵抗調整層の表面を被覆する保護層とからなる帯電部材であって、前記抵抗調整層はポリカーボネート樹脂とポリエーテルエステルアミドを含む樹脂組成物からなり、樹脂組成物の配合比は、ポリカーボネート樹脂が30〜70重量%、ポリエーテルエステルアミドが70〜30重量%であることを特徴とする帯電部材。
- 前記抵抗調整層は、体積固有抵抗が106〜109Ωcmである請求項1記載の帯電部材。
- 前記保護層は、導電性粒子が分散された樹脂組成物で形成された請求項1又は2記載の帯電部材。
- 前記保護層を形成する樹脂組成物として、フッ素樹脂あるいはシリコーン樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂又はポリビニルブチラール樹脂のいずれかを用いる請求項3記載の帯電部材。
- 前記保護層の抵抗値は、前記抵抗調整層の抵抗値より大きく、前記保護層と前記抵抗調整層との抵抗値の差は10 3 Ωcmを越えない範囲である請求項3又は4記載の帯電部材。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の帯電部材を被帯電材の表面に近接して配置したことを特徴とする画像形成装置。
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