JP4159853B2 - 炭化水素の接触分解用触媒及びこれを使用する接触分解方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素の接触分解用触媒及びこれを使用する接触分解方法に関し、さらに詳しくは、炭化水素原料を接触分解することにより、軽質オレフィン、主としてエチレン及びプロピレンを製造するための触媒、およびその触媒を使用する炭化水素の接触分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン、プロピレン等の軽質オレフィンは各種化学品の基礎原料として重要な物質である。従来、これらの軽質オレフィンの製造方法としては、エタン、プロパン、ブタン等のガス状炭化水素あるいはナフサ等の液状炭化水素を原料とし、外熱式の管状炉内で水蒸気雰囲気下に加熱分解する方法が広く実施されている。しかしながら、この方法では、オレフィン収率を高めるため800℃以上の高温を必要とすること、またそのために高価な装置材料を使用しなければならないという経済的に不利な点を有している。
【0003】
このため、触媒を用いた炭化水素の接触分解法が種々検討されてきている。それらの中でも固体酸とくにZSM−5等のペンタシル型ゼオライトを用いた場合は、500〜700℃程度の反応温度で比較的高いエチレン・プロピレン収率(それぞれ約10〜30質量%)が得られるため、数多くの例が報告されている。例えば、特定の酸量や酸強度を有するZSM−5型触媒(例えば、特許文献1、2参照)、銅、コバルト等の遷移金属を含有させたZSM−5型触媒(例えば、特許文献3、4参照)による接触分解法が開示され、また、希土類元素を含有するZSM−5型触媒(例えば、特許文献5〜9参照)による接触分解法が開示されている。一般に、これらのゼオライト触媒を用いた反応では、炭化水素の過分解や水素移行反応で生成するカーボン(コーク)が触媒上に付着し、活性劣化を起こすという問題点があるため、流動床式反応による連続再生(例えば、特許文献5〜7参照)、あるいは大量のスチーム共存下での反応(例えば、特許文献8、9参照)等が必要となる。しかしながら、再生のために導入したスチームあるいはカーボンの燃焼によって生成する高温スチームによってゼオライト格子からの脱アルミニウムが起こり、このため触媒活性化の永久劣化が生じるという問題点がある。したがって、これらのゼオライト触媒を工業的に長時間使用するためには、ゼオライトの耐水熱安定性の向上が不可欠である。
【0004】
ゼオライトの耐水熱安定性は、一般に結晶性の向上あるいはSiO2/Al2O3比の増大に従って向上する。例えば、SiO2/Al2O3モル比10以上の高シリカ型ゼオライトが耐熱性に優れているとされている(非特許文献1参照)。しかしながら、これらの触媒は工業的条件でのより長期の使用には耐久性が不十分であり、そのため種々の改良が行われている。
例えば、Fe、Cu、Co、Ni、Cr、Mn等の遷移金属およびカリウムまたはセシウムを含有させた高耐水熱性ZSM−5型ゼオライト(例えば、特許文献10〜13参照)は、カリウム・セシウム等のアルカリ金属を含むため酸強度が低く、接触分解触媒としては使用できない。Mn含有ZSM−5型触媒で耐水熱性が向上することを記載する論文もあるが、接触分解における触媒性能は不明である(非特許文献2参照)。また、Mnおよび/またはRe含有ZSM−5型触媒を用いた炭化水素の接触分解反応が開示されているが、耐久性に関する記載はなく、副生成物である芳香族が多いためオレフィン選択率は40%以下と低い(特許文献14参照)。その他の修飾剤、例えばZr等についてもゼオライトの耐水熱安定性を向上することが開示されているが、400℃程度の比較的低い温度で検討されており、オレフィン製造に有効に利用できるかどうかについては不明である(例えば、特許文献15参照)。また、モルデナイトを種結晶として調整したZSM−5にCuを担持させた触媒ではCuの凝集が抑制され、耐久性の高い排ガス浄化触媒が得られることが開示されているが、オレフィン製造に関する適用可能性は不明である(特許文献16、17参照)。
【0005】
上記のように、炭化水素を接触分解し、オレフィンを高収率で長期間安定に製造できる触媒、およびそれを利用した炭化水素の接触分解方法は確立されていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−504737号公報
【特許文献2】
特開平6−346062号公報
【特許文献3】
特開平2−1413号公報
【特許文献4】
特開平2−184638号公報
【特許文献5】
米国特許第5232675号公報
【特許文献6】
米国特許第5380690号公報
【特許文献7】
欧州特許第727404号公報
【特許文献8】
特開平11−180902号公報
【特許文献9】
特開平11−253807号公報
【特許文献10】
特開平4−50115号公報
【特許文献11】
特開平4−55310号公報
【特許文献12】
特開平4−78443号公報
【特許文献13】
特開平4−78444号公報
【特許文献14】
特開平6−299166号公報
【特許文献15】
特開平3−505844号公報
【特許文献16】
特開平6−126184号公報
【特許文献17】
特開平8−299800号公報
【非特許文献1】
冨永博夫編、「ゼオライトの科学と応用」、講談社サイエンティフィク社刊、1987年、p.93
【非特許文献2】
「Studies in Surface Science and Cat alysis」、1996年、105巻、p.1549
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ガス状あるいは液状炭化水素を原料に、より低温で接触分解し、エチレン、プロピレン等の軽質オレフィンを、選択的に高収率で、かつ、長期間安定に製造することができる、炭化水素の接触分解用触媒およびそれを利用した接触分解方法を提供することを目的とする。
【0008】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、モルデナイトを種結晶として合成されたペンタシル型の結晶性アルミノケイ酸塩よりなる触媒前躯体に、希土類元素を担持して構成した接触分解触媒では、耐水熱安定性が著しく向上し、炭化水素の接触分解反応において長期間安定してオレフィンが高収率で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1) 炭化水素原料の接触分解用の触媒であって、モルデナイトを種結晶として合成されたペンタシル型の結晶性アルミノケイ酸塩からなる触媒前駆体に、希土類元素を担持したものであることを特徴とする接触分解触媒、
(2) 前記モルデナイトが下表2の格子面間隔(d値)を持つことを特徴とする上記(1)記載の接触分解触媒、
【0010】
【表2】
【0011】
(3) 前記ペンタシル型の結晶性アルミノケイ酸塩は、そのSiO2/Al2O3(モル比)が10以上であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の接触分解触媒、
(4) 前記ペンタシル型の結晶性アルミノケイ酸塩は、MFI構造を有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の接触分解触媒、
(5) 該触媒がさらに0.1〜5質量%のリンを含むことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の接触分解触媒、および
(6) 炭化水素原料を、反応温度350〜750℃、質量時間空間速度0.02〜20h−1、水蒸気対供給原料の質量比0.01:1〜2:1で、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の触媒と接触させることを特徴とする炭化水素の接触分解方法、
を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の触媒は、モルデナイトを種結晶として合成されたペンタシル型の結晶性アルミノケイ酸塩よりなる触媒前躯体に、希土類元素を担持して構成されたことを特徴とするゼオライト触媒を主成分とする。
種結晶として使用するモルデナイトは、天然品、合成品のいずれでもよいが、上記表2の格子面間隔(d値)を持つものが好ましい。また、より好ましくは、細孔方向の長さが2μm以上のモルデナイトである。
本発明の触媒前躯体を調製する際の、種結晶としてのモルデナイトの添加量は、特に限定はないが、ペンタシル型結晶性アルミノケイ酸塩の製造原料中のシリカ(SiO2)に対して、通常、0.01〜10質量%であり、好ましくは0.05〜5質量%である。
【0013】
前記ペンタシル型の結晶性アルミケイ酸塩とは、合成ゼオライトであって、構成基本単位が酸素5員環のものである。例えば、ZSM−5、ZSM−11等が該当する。
ペンタシル型結晶性アルミノケイ酸塩以外のゼオライトでは、耐水熱性が比較的低いため、希土類元素を担持した後の耐久性が低くなるおそれがある。
このようなペンタシル型結晶性アルミノケイ酸塩の中でも、SiO2/Al2O3モル比が10以上のものが好ましい。SiO2/Al2O3モル比が10未満のものの場合、耐水熱性が比較的低いため、希土類元素を担持した後の耐水性が低くなるおそれがある。
【0014】
また、上記ペンタシル型結晶性アルミノケイ酸塩のうち、MFI構造、MEL構造を有するものが好ましい。このMFI構造とは、ZSM−5と類似の構造を指し、例えばZSM−8、ゼータ1、ゼータ3、Nu−4、Nu−5、TZ−1、TPZ−1等の構造が該当する。またMEL構造とは、ZSM−11と類似の構造を指す。
【0015】
本発明の触媒の形状は任意であり、各種のバインダーを入れる等により、例えばペレット状、板状、格子状とすることができる。また、コージェライト、ムライト又はアルミナ等の格子状の担体及び金網等の基材上に触媒が被覆されたものとしてもよい。
【0016】
本発明に係る触媒は、モルデナイトを種結晶としてペンタシル型の結晶性アルミノケイ酸塩を合成した後、このペンタシル型結晶性アルミノケイ酸塩に希土類元素を各種の方法により担持させて調製する。
希土類元素としてはどのようなものでも使用できるが、好ましくは、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、ジスプロシウム等を挙げることができる。希土類元素は、それぞれを単独で使用しても、また、2種以上を混合して使用してもよい。触媒への希土類の修飾は種々の塩、例えば酢酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、炭酸塩、あるいはアルコキシド、アセチルアセトナト等を使用し、イオン交換法、含浸法あるいは水熱合成法その他の方法で行うことができる。
【0017】
このような本発明に係る触媒は、通常のゼオライトが希土類元素を担持して構成されたものとは構造的に異なるものになっていると推定される。すなわち、モルデナイトを種結晶として合成されたペンタシル型の結晶性アルミノケイ酸塩は、通常のゼオライトと比べて、粒子径が大きいという構造的な差異が生じているため、希土類元素担持後の触媒の耐久性の向上という効果が顕著に現れるものと考えられる。このような効果は、特に表2に示す格子面間隔(d値)を有する大結晶モルデナイトの場合に著しい。
【0018】
本発明の触媒において、希土類元素の担持量は特に限定されないが、ゼオライト構造中のアルミニウムに対し原子比で0.01〜20、好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは0.5〜5であり、これらの値より担持量が少ない場合は副生成物である芳香族炭化水素や重質物の生成が多くなり、また担持量が多すぎる場合はゼオライト成分の量が相対的に少なくなるため、触媒重量あたりの活性が低くなる。また、これらの触媒はゼオライトおよび希土類元素以外の他の成分、例えばアルカリ元素、アルカリ土類元素、遷移金属、貴金属、ハロゲン、リン、バインダー等が含まれていてもよい。シリカ、アルミナ、マグネシアあるいは石英砂等の充填剤と混合して使用することも可能である。
【0019】
本発明の触媒を用いた炭化水素の接触分解で使用する炭化水素原料としては、常温、常圧でガス状または液状の炭化水素類が使用できる。一般的には、炭素数2〜30、好ましくは2〜20のパラフィン又はこれを主成分(10質量%以上)とする炭化水素原料が用いられる。このような炭化水素原料としては、例えば、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のパラフィン類、あるいはナフサ、軽油等の軽質炭化水素留分を挙げることができる。また、原料成分は飽和炭化水素に限定されるものではなく、不飽和結合を有する成分を含有するものでも使用できる。
【0020】
本発明の接触分解反応の様式は特に限定しないが、固定床、移動床、流動床等の形式の反応器を使用し、上記の触媒を充填した触媒層へ炭化水素原料を供給することにより行われる。このとき炭化水素原料は、窒素、水素、ヘリウムあるいは水蒸気等で希釈されていてもよい。
【0021】
反応温度は350〜750℃、好ましくは500〜700℃、さらに好ましくは600〜680℃の範囲である。780℃を超える温度でも実施できるが、メタンおよびコークの生成が急増する。また、350度以下では十分な活性が得られないため、一回通過あたりのオレフィン収量が少なくなる。供給する炭化水素の触媒に対する質量時間空間速度は0.02〜20h−1、より好ましくは0.1〜10h−1の範囲で行われる。反応圧力は常圧、減圧あるいは加圧のいずれでも実施できるが、通常は常圧からやや加圧が採用される。
【0022】
また、本反応は重質生成物やコークの副生を抑制するために、水蒸気の共存下に接触反応を行うのが好ましい。水蒸気の供給量は、炭化水素原料に対して質量比で0.01:1〜2:1、より好ましくは0.1:1〜1:1の範囲である。以上のような条件下に本発明の方法を実施すれば、低温で炭化水素原料を効率よく分解でき、エチレン、プロピレン等の軽質オレフィンをより選択的に製造することができる。
【0023】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0024】
実施例1
まず、硫酸アルミニウム13.5g、硫酸(97%)14.5g、水330gよりなる溶液(溶液1とする)、水ガラス(SiO228.4%、Na2O9.5%)211g、水200gよりなる溶液(溶液2とする)及び塩化ナトリウム39.5g、水92gよりなる溶液(溶液3とする)を用意した。次に、溶液1と溶液2を同時に溶液3中に徐々に滴下しながら混合した。この反応混合物を硫酸でpH9.6に調製した後、種結晶としてモルデナイト(SiO2/Al2O3モル比=20)0.5gを添加した。
次に、この反応混合物を1リットル容量のオートクレーブ中に入れ、自己圧力下170℃、300rpmで攪拌しながら20時間放置した。冷却後、この反応混合物を濾過し、沈殿物を過剰の純水で充分洗浄した。この後、120℃で20時間乾燥させることにより、ZSM−5構造(MFI構造)の結晶性アルミノケイ酸塩を合成した。次に、この結晶性アルミノケイ酸塩をマッフル炉中、550℃で4時間焼成した。得られた結晶性アルミノケイ酸塩のSiO2/Al2O3モル比は37であった。この合成ゼオライトを、0.6mol/リットルのHCl水溶液を用いてイオン交換・焼成を行い、プロトン型とした後に、希土類化合物での修飾を行った。
上記の方法で合成したプロトン型ゼオライト4gを、希土類元素として0.4gのランタンを含む酢酸ランタン水溶液(0.99gの酢酸ランタン1.5水和物を脱イオン水60mlに溶解させたもの)に含浸し、40℃で2時間攪拌した。生成したスラリーを減圧下、40〜60℃で攪拌しながら約2時間かけて水分を蒸発させ、白色の粉末を得た。得られた粉末を空気中、120℃で8時間乾燥した後、マッフル炉内で4時間かけて600℃まで昇温し、600℃で5時間焼成した。得られた白色粉末を回収し、圧縮、粉砕、篩い分けして粒径約1mmΦの粒子状に成型したものをLa/ZSM−5(1)触媒とした。触媒のLa/Al原子比は0.84であった。
【0025】
このようにして調製した触媒の高温水熱条件による耐久性を調べるために、一定条件で高温水蒸気処理を行った後の触媒活性を、n−ヘキサンのパルス分解反応により評価した。
すなわち、実施例1で調製したLa/ZSM−5(1)触媒(圧縮、粉砕、篩い分けを行って約1mmΦの粒状の触媒に成型したもの)1gを固定床管型反応器に充填し、700℃で24時間、窒素およびスチームを流通させて高温水蒸気処理を行った(スチーム分圧:40kPa)。スチーム処理終了後、反応器内を窒素でパージし、触媒床の温度を500℃に設定してn−ヘキサンのパルス分解反応を行った。キャリアーガスとして窒素を75cm3/minで流通させ、n−ヘキサンのパルス(導入液量1μl)を打込んで出口のn−ヘキサンの転化率を測定した。結果を表4に示す。
【0026】
また、炭化水素の接触分解による反応生成物を調べるために、固定床反応器を用いてn−ブタンを流通反応で接触分解して反応生成物を分析した。
すなわち、実施例1で調製したLa/ZSM−5(1)触媒(圧縮、粉砕、篩い分けし、約1mmΦの粒状の触媒に成型したもの)1gを、内径10mmのステンレス製反応管(外径3mmの熱電対用内挿管付き)に充填した。触媒層の長さは約30mmであった。触媒層の上下には石英砂を充填した。この反応器に空気を40cm3/min(0℃、1気圧換算、以下同じ)で流しながら触媒層の温度を650℃まで昇温し、そのまま1時間前処理を行った。前処理終了後、触媒層の温度を650℃に保持し、原料としてn−ブタンを3.0cm3/min、窒素およびスチームをそれぞれ30cm3/min、0.5g/hの流量で供給して、高温水熱条件下でのn−ブタンの接触分解反応を行った。
反応生成物の分析をガスクロマトグラフィーにより行い、生成物収率および原料転化率を次式により算出した。
生成物収率(質量%)=(各成分質量/供給原料質量)×100
原料転化率(%)=(1−未反応原料質量/供給原料質量)×100
反応結果を、表5に示す。
【0027】
実施例2
実施例1と同様にして得た溶液1〜溶液3の混合物を硫酸でpH9.6に調製した後、種結晶として下記表3の格子面間隔(d値)をもつ大結晶モルデナイト0.5gを添加した。この後、本反応混合物を実施例1と同様の条件下、オートクレーブで攪拌しながら保持した。冷却後、実施例1と同様な処理を行ってLa修飾を行い、得た触媒をLa/ZSM−5(2)触媒とした。触媒のLa/Al原子比は同じく0.84であった。
この触媒の、高温水蒸気処理後のn−ヘキサンのパルス分解反応の結果を表4に、n−ブタンの接触分解反応の結果を表5に示す。
【0028】
【表3】
【0029】
実施例3
実施例2において、溶液3の塩化ナトリウムの代わりに硫酸ナトリウム48gを使用した以外は実施例2と同様にしてLaを担持した合成ゼオライト触媒を調製し、この触媒をLa/ZSM−5(3)触媒とした。触媒のLa/Al原子比は0.84であった。
この触媒の、高温水蒸気処理後のn−ヘキサンのパルス分解反応の結果を表4に、n−ブタンの接触分解反応の結果を表5に示す。
【0030】
実施例4
実施例1で調製したLa/ZSM−5触媒(1)の2gに対し、その2質量%に相当する0.04gのリンを含むリン酸水素二アンモニウム水溶液(リン酸水素二アンモニウム0.17gを脱イオン水20gに溶解させたもの)に含浸し、40℃で2時間攪拌した。生成したスラリーを減圧下、40〜60℃で攪拌しながら約2時間かけて水分を蒸発させ、白色の粉末を得た。得られた粉末を空気中、120℃で8時間乾燥した後、マッフル炉内で4時間かけて600℃まで昇温し、600℃で5時間焼成した。得られた白色粉末を回収し、圧縮、粉砕、篩い分けして粒径約1mmΦの粒子状に成型したものをP−La/ZSM−5(1)触媒とした。触媒のLa/Al原子比は0.84であった。
この触媒の、高温水蒸気処理後のn−ヘキサンのパルス分解反応の結果を表4に、n−ブタンの接触分解反応の結果を表6に示す。
【0031】
比較例1
実施例1と同様にして得た溶液1〜溶液3の混合物を硫酸でpH9.6に調製した後、種結晶に代えて、結晶化剤であるテトラプロピルアンモニウムブロミド26.6gを添加した。この後、本反応混合物を実施例1と同様の条件下、オートクレーブ中で攪拌しながら保持した。冷却後、実施例1と同様に洗浄と乾燥を行い、さらにマッフル炉中、550℃で8時間焼成することにより、ZSM−5構造の結晶性アルミノケイ酸塩を得た。この結晶性アルミノケイ酸塩のSiO2/Al2O3モル比は38であった。次に、実施例1と同様な処理を行ってLa修飾を行い、得た触媒をLa/ZSM−5(4)触媒とした。触媒のLa/Al原子比は0.86であった。
この触媒の、高温水蒸気処理後のn−ヘキサンのパルス分解反応の結果を表4に、n−ブタンの接触分解反応の結果を表6に示す。
【0032】
比較例2
比較例1においてモルデナイト種結晶を使用せずに調製したLa/ZSM−5触媒(4)の2gを用い、実施例4と同様な方法でさらにリンを担持した触媒を調製した。ここで得られた触媒をP−La/ZSM−5(2)触媒とした。触媒のLa/Al原子比は0.86であった。
この触媒の、高温水蒸気処理後のn−ヘキサンのパルス分解反応の結果を表4に、n−ブタンの接触分解反応の結果を表6に示す。
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
表4の高温水蒸気処理後のn−ヘキサンのパルス分解反応の結果によると、実施例1〜4と、比較例1〜2を比較して明らかなように、本発明の方法では高温水蒸気処理後の活性が比較例と比べて著しく高く保持されていることがわかる。
【0037】
表5、6のn−ブタンの接触分解反応の結果によると、比較例1〜2では、流通時間を長くした場合に転化率およびオレフィン収率の低下が大きく、長時間運転での耐久性に劣るのに対し、実施例1〜4では、転化率およびオレフィン収率が長時間高く保たれていることがわかる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ガス状あるいは液状炭化水素を原料とし、芳香族炭化水素や重質物等の副生成物を抑制し、長期間安定にエチレン、プロピレン等の軽質オレフィンを50%以上の高収率で製造することができる。また、従来の接触分解法に比較して100℃以上低い経済的に有利な条件でオレフィンの製造を実施できる。
Claims (9)
- 炭化水素原料の接触分解用の触媒であって、モルデナイトを種結晶として合成されたペンタシル型の結晶性アルミノケイ酸塩からなる触媒前駆体に、希土類元素を担持したものであることを特徴とする接触分解触媒。
- 前記ペンタシル型の結晶性アルミノケイ酸塩は、そのSiO2/Al2O3(モル比)が10以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の接触分解触媒。
- 前記ペンタシル型の結晶性アルミノケイ酸塩は、MFI構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の接触分解触媒。
- 該触媒がさらに0.1〜5質量%のリンを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の接触分解触媒。
- 前記希土類元素の担持量が、ゼオライト構造中のアルミニウムに対し原子比で0.01〜20であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の接触分解触媒。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の接触分解触媒の製造方法であって、モルデナイトを種結晶として、ペンタシル型の結晶性アルミノケイ酸塩からなる触媒前駆体を合成し、前記触媒前駆体に希土類元素を担持することを特徴とする接触分解触媒の製造方法。
- 種結晶としてのモルデナイトの添加量が、ペンタシル型結晶性アルミノケイ酸塩の製造原料中のシリカに対して、0.01〜10質量%であることを特徴とする請求項7に記載の接触分解触媒の製造方法。
- 炭化水素原料を、反応温度350〜750℃、質量時間空間速度0.02〜20h-1、水蒸気対供給原料の質量比0.01:1〜2:1で、請求項1〜5のいずれかに記載の触媒と接触させることを特徴とする炭化水素の接触分解方法。
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