JP4159423B2 - ポリカーボネートジオールから誘導した微細な水性ポリウレタン分散液の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートジオールから誘導した微細な水性ポリウレタン分散液の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4159423B2
JP4159423B2 JP2003277350A JP2003277350A JP4159423B2 JP 4159423 B2 JP4159423 B2 JP 4159423B2 JP 2003277350 A JP2003277350 A JP 2003277350A JP 2003277350 A JP2003277350 A JP 2003277350A JP 4159423 B2 JP4159423 B2 JP 4159423B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aqueous polyurethane
dispersion
polyurethane dispersion
water
diisocyanate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003277350A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005041991A (ja
Inventor
大剛 李
宏斌 蔡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP2003277350A priority Critical patent/JP4159423B2/ja
Publication of JP2005041991A publication Critical patent/JP2005041991A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4159423B2 publication Critical patent/JP4159423B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Description

本発明は、分散方法(改良分散方法を含む)を伴うプレポリマープロセスおよびその後の鎖延長によって水性ポリウレタン分散液を製造する方法に関する。
溶媒性ポリウレタン塗料は、そのユニークな特性および性状の多様性のために種々の適用例がある。しかし、有機溶剤の放出が重大な問題である。最近揮発性有機物濃度(VOC)のレベルを減少させることが重要な目標となっている。水性のポリウレタン塗料および高固形分ポリウレタン塗料は、そのような傾向に対応した2つの例である。
低VOCのポリウレタン塗料の中では、水性ポリウレタン分散液が重要なシステムである。実際、溶媒放出のレベルを減少させる環境規制の趨勢のために、種々の塗料、塗料の改質剤、光沢剤、レザー、接着剤、紙サイジング剤、織物サイジング剤などにおいて水性ポリウレタン分散液の応用が拡大している。
ポリウレタンへのイオン基の導入は、水性ポリウレタン分散液を得る実際的方法である。種々のポリウレタンイオノマーは、文献に記載されている(例えば、非特許文献1参照)。原料のコストおよび分散技術が、ポリウレタン分散液の実用の可能性を決定する2つの重要な因子である。したがって、可能性の高い一つのシステムは、ジイソシアネート、市販ポリオールおよびカルボン酸化ジオール(第三級アミンで中和した後にイオン基を供給することができる)から誘導したポリウレタン分散液である。イオン基の存在は、水分散性を与えるだけでなく、他のイオノマーのように、分子間力を上げて強度を高めもする。分散方法を含む調製法は、水性ポリウレタン分散液を得るための基本的な技術である。
ポリウレタンイオノマーの強度はその分子量によって顕著に影響されるので、分子量が重要な考慮因子である。望ましい分子量を得るための一つの古い方法は、まず、アセトンのような極性溶媒中で高分子量ポリウレタンイオノマーを調製し、ついでそれを水中に分散させることである。しかし、高分子量ポリウレタンイオノマーを水中に分散させることは非常に困難である。しばしば、大量の溶媒が必要となる。
さらに実用的な方法では、まず、イソシアネート(NCO)末端のプレポリマーイオノマーを極性溶媒中で調製する。得られたプレポリマーイオノマー溶液は水に容易に分散する。分散の後、ジアミンのような鎖延長剤を添加してNCO基をカップルさせ、分子量を上げる。その後、溶媒を除去して、望ましい水性ポリウレタン分散液を得る。
プレポリマーイオノマー溶液の調製には、2つの異なる方法がある(非特許文献2参照)。第1の方法では、ジイソシアネート、ポリオールおよびカルボン酸化ジオールを揮発性の極性溶媒中で反応させてプレポリマーを作り、ついで、プレポリマー溶液に第三級アミンを混合してカルボン酸基を中和し、イオン基を生成させる。この溶液に水を混合してプレポリマー分散液を作る。このプレポリマー分散液を水性ジアミン溶液で鎖延長する。ついで、揮発性の極性溶媒を除去して、水性ポリウレタン分散液を得る。これらの水性ポリウレタン分散液の粒子径はかなり大きく、したがって安定性は低い。第2の方法においては、揮発性の極性溶媒中でジイソシアネート、ポリオール、カルボン酸ジオールおよび中和剤としての第三級アミンを反応させ、イオン基をもつプレポリマーをつくる。このプレポリマー溶液に水を混合してプレポリマー分散液をつくる。プレポリマー分散液を、水性ジアミン溶液で鎖延長させる。ついで、揮発性の極性溶媒を除去して水性ポリウレタン分散液を得る。第2の方法により得られた水性ポリウレタン分散液は、より小さい粒子径を示し、したがってより良い安定性を示す。しかし、プレポリマーのイソシアネート(NCO)基のかなりの量が、水に分散する間に加水分解される。
それらの分子量は十分に高くはなく、そのような水性ポリウレタン分散液から得られたフィルムの力学特性は時には不満足である。
G.エールテル著『Polyurethane Handbook』、Hanser Publishers、ニューヨーク、1985年 B.K.キム、T.K.キム、H.M.ジャング;J.Appl.Polym. Sci.、1994年、53巻、371頁
改良された分散方法によって水性ポリウレタン分散液の分子量を上げることが本発明の主要点である。この新規な方法によって調製された水性ポリウレタン分散液は、従来法によって調製されたものと比較して、より高い分子量と引張強さを示す。特に、カルボン酸基のソースとしてジヒドロキシメチルアルカン酸の代わりにカルボン酸化ポリカプロラクトンジオールを使用して、本法によって調製した水性ポリウレタン分散液の粒子は、微細であることを示す。
分散方法(改良分散方法を含む)を伴うプレポリマープロセスとその後の鎖延長によって、ポリカーボネートジオールから誘導した微細な水性ポリウレタン分散液を製造する方法を開示する。
すなわち、本発明の第1は、揮発性の極性溶媒中触媒の存在下で、ジイソシアネート、ポリカーボネートジオール、カルボン酸化ポリカプロラクトンジオールおよび第三級アミンを反応させることによりポリウレタンプレポリマー溶液を調製し、そのポリウレタンプレポリマー溶液に、水性ポリウレタン分散液で用いる水の総量に対し総量で0.1〜3質量%の水を3〜10回に分けて混合し、ついで十分な量の水(例えば、上記ポリウレタンプレポリマー溶液中のポリウレタンプレポリマーの質量の好ましくは0.6〜9倍量の水、より好ましくは1〜4倍量の水)に分散し、続いてジアミンで鎖延長し、揮発性の極性溶媒を除去して水性ポリウレタン分散液を得ることを特徴とする、水性ポリウレタン分散液の製造方法である。
本発明の第2は、ポリカーボネートジオールが、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール等またはそれらの混合物から誘導したホモポリカーボネートジオールまたは共重合ポリカーボネートジオールであることを特徴とする、本発明の第1の水性ポリウレタン分散液の製造方法である。
本発明の第3は、ジイソシアネートがイソホロンジイソシアネート、ジ(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン(HTDI)またはそれらの混合物であることを特徴とする、本発明の第1又は第2の水性ポリウレタン分散液の製造方法である。
本発明によれば、従来法によって調製されたものと比較して、より高い分子量と引張強さを示し、且つその粒子がより微細である水性ポリウレタン分散液を提供することができる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明において、まず、揮発性の極性溶媒中で触媒の存在下で、ジイソシアネート、ポリカーボネートジオール、カルボン酸化ポリカプロラクトンジオールおよび中和剤としての第三級アミンを反応させることによってポリウレタンプレポリマー溶液を調製する。分散の前に、ポリウレタンプレポリマー溶液に、水性ポリウレタン分散液で用いる水の総量に対し少量、即ち総量で0.1〜3質量%、好ましくは0.1〜1質量%の水を3〜10回に分けて混合する。ついで、十分量の水を添加してプレポリマー分散液を得る。水性ジアミン溶液でプレポリマー分散液を鎖延長する。ついで、揮発性の極性溶媒を除去し、水性ポリウレタン分散液を得る。本法によって調製された水性ポリウレタン分散液は、従来法によって調製されたものに比較して、より高い分子量と引張強さを示す。特に、カルボン酸基のソースとしてカルボン酸化ポリカプロラクトンジオールを用いて、本方法によって調製した水性ポリウレタン分散液は、カルボン酸基のソースとしてジヒドロキシメチルアルカン酸を用いて調製したものと比較して、より微細な粒子の存在を示す。
本発明の方法と従来法との間の分子量の相違は、GPCデータから確認することができる。一般的に、従来法によって調製したポリウレタン分散液のMn(数平均分子量)の値は、10,000未満である。他方、本発明の新規な方法によって調製したポリウレタン分散液のMn値は、約14,000またはそれ以上であり、その分子量は従来法によって調製されたポリウレタン分散液の分子量よりはるかに大きいことを示している。理由は、従来法では、分散過程でプレポリマーのNCO基が過度に加水分解されるために、鎖延長の過程が期待されるほど有効でないことである。
従来法でのプレポリマーのNCO基の過度の消費は、IR分析によって確認することができる。一般的に、従来法において、分散過程の終わりに残っているNCO基は、少量(元の量の約15モル%)である。本発明では、大量の水への分散の前に、ウレタンプレポリマー溶液に、水性ポリウレタン分散液で用いる水の総量に対し少量、即ち総量で0.1〜3質量%の水を3〜10回に分けて混合する。この方法によって、NCO基の加水分解によって作られたアミン基には、反応媒体の粘度上昇によって示されるように、残存NCO基と結合するのに十分な時間がある。反応媒体の粘度が安定した後に、十分な水を添加する。一般的に、新規な本方法によって得られたプレポリマー分散液は、高含量(元の量の約半分)のNCO基が残っていることを示す。したがって、プレポリマー分散液は、より効果的にジアミンで鎖延長され、より高い分子量のポリウレタン分散液が得られ、従来法によって調製されたポリウレタン分散液と比較して、その引張強さは非常に高い。
本発明では、カルボン酸基のソースとしてジヒドロキシメチルアルカン酸の代わりにカルボン酸化ポリカプロラクトンジオールを使用する方法によって水性ポリウレタン分散液を調製する。カルボン酸基のソースとしてジヒドロキシメチルアルカン酸を使用する方法によって調製した水性ポリウレタン分散液と比較して、本発明の方法によって調製した水性ポリウレタン分散液は、より微細な粒子の存在を示す。一般的に、ジメチロールプロピオン酸を使用する方法によって調製した水性ポリウレタン分散液は、約150nmの平均粒子径を示す。しかし、本発明の方法によって調製した水性ポリウレタン分散液は、100nm以下の小さい平均粒子径を示す。これは、ポリウレタンイオノマーへの水分子の侵入を高めることのできる、カルボン酸化ポリカプロラクトンジオールの、より柔軟な性質のせいであろう。そこでより微細な分散液が得られる。
本発明では、まず、揮発性の極性溶媒中触媒の存在下で、ジイソシアネート、ポリカーボネートジオール、カルボン酸化ポリカプロラクトンジオールおよび中和剤としての第三級アミンを反応させることによってポリウレタンプレポリマー溶液を調製する。ジイソシアネートの反応性は、後続する分散過程での加水分解速度に影響を及ぼし、鎖延長効率に影響を及ぼす可能性がある。したがって、脂肪族ジイソシアネートのような、加水分解される傾向の低いジイソシアネートが好ましい。脂肪族ジイソシアネートの例は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジ(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン(HTDI)などおよびそれらの混合物である。
ポリオールは、ポリウレタンの物理的特性を決定する主要な因子である。ポリカーボネートジオールは、新しい種類の市販ポリオールであり、良好な耐加水分解性、耐熱老化性、耐油性、耐候性および菌耐性を付与すると宣伝されている。したがって、水性ポリウレタン分散液にポリカーボネートジオールを使用することは、若干のユニークな特性を付与する。ポリカーボネートジオールの例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール等の炭素数が2〜10の脂肪族化合物のジオールや、シクロヘキサンジオール等の炭素数が2〜10の脂環式化合物のジオールなどから誘導されるホモポリカーボネートジオールおよび共重合ポリカーボネートジオールならびにそれらの混合物である。
カルボン酸化ポリカプロラクトンジオールは、水性のポリウレタン分散液を安定させるイオン基を準備するために使用される、特に、カルボン酸化ポリカプロラクトンジオールは、本発明の方法により微細な粒子の水性ポリウレタン分散液が生成することを可能にする。有用なカルボン酸化ポリカプロラクトンジオールは、ペンダントカルボン酸基(複数)を持つポリカプロラクトンジオールである。カルボン酸化ポリカプロラクトンジオールの例は、文献に記載されているように、ジメチロールプロピオン酸またはジメチロール酪酸のようなジヒドロキシメチルアルカン酸によるカプロラクトンの開環重合によって調製されるものである(H.チェン、D.チェン、Q.ファン、X.ユ.;J.Appl.Polym.Sci.、2000年、76巻、2049頁)。
本発明では、ポリウレタン用に一般的に使用される触媒が反応速度を上げるために適当である。触媒の例は、ジラウリン酸ジブチルスズのようなジアルカン酸ジブチルスズ、オクチル酸スズのようなアルカン酸スズなどである。
第三級アミンは、カルボン酸基を中和するために使用される。第三級アミンの例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどおよびそれらの混合物である。
揮発性の極性溶媒は、分散に適したルートを準備し、鎖延長の後で除去される。揮発性の極性溶媒の例は、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等、およびそれらの混合物である。
本発明では、分散の前にポリウレタンプレポリマー溶液に、水性ポリウレタン分散液で用いる水の総量に対し総量で0.1〜3質量%の水を3〜10回に分けて混合し、ついで十分量の水を加えて混合し、プレポリマー分散液を作る。水性のジアミン溶液でプレポリマー分散液を鎖延長させ、ついで、揮発性の極性溶媒を除去して水性のポリウレタン分散液を得る。NCO基の鎖延長剤との反応性は、加水分解反応を減少させるために、水との反応性よりも大きいことが望ましい。したがって、アミンタイプ鎖延長剤が本発明において使用される。ジアミン鎖延長剤の例は、メチレンジアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ジ(2−アミノエチル)エーテル、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミンなどおよびそれらの混合物である。
以下の実施例は、本発明を例証するが、特許請求の範囲によって定義される範囲を限定するものではない。なお、実施例中の%は特に断らない限り「質量%」を示すものである。
各特性は次のようにして求めた。
(1)粒子径
水性ポリウレタン分散液の粒子径はPhotal Par IIIs 光相関器(大塚電子製)を用いて測定した。
(2)分子量、分子量分布
水性ポリウレタン分散液の分子量および分子量分布はゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により求めた。GPC装置は東ソー製HLC−8220 GPC装置にTSK gel Super HM−Hを4本用い、RI検出器で検出した。展開溶媒ジメチルホルムアミド(DMF)、流速0.5mL/min、操作温度40℃、ポリスチレン換算で求めた。
(3)IRスペクトル
ポリウレタンポリマー溶液のIRスペクトルは、パーキンエルマー社製1600シリーズFTIRを用いた。
(4)成膜方法
フィルムサンプルは30%ポリウレタンポリマー溶液をガラス板上にキャスト成膜し、60℃で24時間、80℃で24時間、100℃で24時間乾燥した。(5)引張強度試験
引張強度試験はダンベル状試料を用い、インストロン4469万能試験機で測定した。ゲージ長25mm、23℃、引張り速度100mm/minで測定した。
(6)イソシアネートの当量測定
イソシアネートの当量測定はジ−n−ブチルアミン逆滴定法により求めた。(詳細:Oertel,G. Polyurethane Handbook; Hanser Publishers: New York,1985)。
〈比較例1〉
比較のために、水性ポリウレタン分散液を従来法によって調製した。窒素雰囲気下、イソホロンジイソシアネート(IPDI)33.3g(0.15モル)、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオール(モル比、70:30)から誘導された分子量2,000のポリカーボネートジオール(旭化成(株))100g(0.05モル)、分子量500のカルボン酸化ポリカプロラクトンジオール25.0g(0.05モル)(ダイセル工業(株)のPlaccel 205BA)およびトリエチルアミン(TEA)6.1g(0.05モル)を、メチルエチルケトン(MEK)30ml中80℃で2.5時間反応させてNCO末端のプレポリマー溶液を得た。そのNCO含量は、滴定による測定で、2.16%であると判明した。乾燥プレポリマーのIRスペクトルを測定した。ついで、脱イオン水385.2gを添加し、35℃でプレポリマー分散液と混合して、プレポリマー溶液を得た。乾燥プレポリマー分散液のIRスペクトルを測定した。脱イオン水2.0g中にエチレンジアミン(EDA)1.5g(0.0025モル)を含む溶液をプレポリマー分散液に添加して、30℃で1時間撹拌した。ついで、混合物を80℃に加熱してMEKを除去して、固形分30%の水性ポリウレタン分散液を得た。
水に分散する前のプレポリマー溶液に高含量のNCO基が存在したことは、IRデータから確認することができる。大量の水と混合した後に、NCO基の含量は急激に減少し、分散過程の終わりには、少量(元の量の約15%)のNCO基が残っていた。したがって、更なる鎖延長のためのNCO基が十分には存在しなかった。この水性ポリウレタン分散液のポリマーのMnは、GPCによって測定して8,770であると判明した。また、この水性ポリウレタン分散液から成形したフィルムの引張強さは19.8MPaであった。この水性ポリウレタン溶液をガラス板上に均一に塗布した後風乾しキャストフィルムを得た。キャストフィルムの特性を表1に要約する。
〈実施例1〉
比較例1と同じ方法を用いて、NCO末端のプレポリマー溶液を調製した。NCO含量は2.16%であった。プレポリマー溶液に、少量(0.5g)の脱イオン水を4回混合した。この過程の間に、反応液の粘度は上昇した。このように総量で水2.0gを添加した後、反応液の粘度は横ばいになった。ついで、十分な量(381.2g)の水を添加した。乾燥したプレポリマー分散液のIRスペクトルを測定した。他の過程は、比較例1の場合と同じ操作に従った。
この水性ポリウレタン分散液のポリマーのMnは、39,800であり、平均粒子径は61nmであった。また、この水性ポリウレタン分散液から成形したフィルムの引張強さは40.1MPaであると判明した。特性を表1に要約する。IRスペクトルのデータから、得られたプレポリマー分散液は、高含量(元の量の約50%)のNCO基の存在を示した。したがって、更なる有効な鎖延長のために十分な量のNCO基が存在した。それ故、表1に示すように、実施例1のプレポリマー分散液のポリマーの分子量およびキャストフィルムの引張強さは、比較例1のそれらよりはるかに大きい。
〈比較例2〉
実施例1と同じ方法で水性ポリウレタン分散液を調製した。ただし、Placcel 205BAの代わりにジメチロールプロピオン酸(DMPA)6.7g(0.05モル)を使用し、水は、387.2mLの代わりに総量344.4mLを使用した。その特性を表1に要約する。この水性ポリウレタン分散液のポリマーのMnは、33,300、平均粒子径は153nmであった。また、この水性ポリウレタン分散液から成形したフィルムの引張強さは54.8MPaであると判明した。
表1に示した粒子径のデータは、カルボン酸基のソースとしてカルボン酸化ポリカプロラクトンジオールを用いての、本発明の方法によって調製された水性ポリウレタン分散液が、カルボン酸基のソースとしてジヒドロキシメチルアルカン酸を用いる方法によって調製したものと比較して、より微細な粒子の存在を表していることを示す。
Figure 0004159423
〈実施例2〉
水性ポリウレタン分散液を実施例1と同じ方法で調製した。ただし、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオール(モル比、70:30)から誘導された分子量2,000のポリカーボネートジオールの代わりに、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオール(モル比、5:95)から誘導された分子量2,000のポリカーボネートジオール(旭化成(株))100g(0.05モル)を使用し、MEKの代わりにN−メチルピロリドン(NMP)30mLを使用した。その特性を表2に要約する。この水性ポリウレタン分散液のポリマーのMnは33,900、平均粒子径は77nmであった。また、この水性ポリウレタン分散液から成形したフィルムの引張強さは45.2MPaであると判明した。
〈実施例3〉
実施例1と同じ方法で水性ポリウレタン分散液を調製した。ただし、IPDIの代わりに、ジ(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン(H12MDI)19.65g(0.15モル)を使用し、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオール(モル比、70:30)から誘導された分子量2,000のポリカーボネートジオールの代わりに、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオール(モル比、5:95)から誘導された分子量2,000のポリカーボネートジオール(旭化成(株))を100g(0.05モル)使用した。その特性を表2に要約する。この水性ポリウレタン分散液のMnは14,000、Mwは37,200であり、平均粒子径は39nmであった。また、この水性ポリウレタン分散液から成形したフィルムの引張強さ35.4MPaであると判明した。 表1と表2を比較して、本発明の方法によって調製された水性ポリウレタン分散液の特性が改良されていることが確認される。一般的に、その特性は、比較例1よりはるかに大きい30MPa以上の引張強さを示す。また、その粒子径は比較例2の場合より小さく、さらに得られるポリウレタンフィルムの破断時の伸びに優れることを示している。
Figure 0004159423

Claims (3)

  1. 揮発性の極性溶媒中触媒の存在下で、ジイソシアネート、ポリカーボネートジオール、カルボン酸化ポリカプロラクトンジオールおよび第三級アミンを反応させることによりポリウレタンプレポリマー溶液を調製し、そのポリウレタンプレポリマー溶液に、水性ポリウレタン分散液で用いる水の総量に対し総量で0.1〜3質量%の水を3〜10回に分けて混合し、ついで十分な量の水に分散し、続いてジアミンで鎖延長し、揮発性の極性溶媒を除去して水性ポリウレタン分散液を得ることを特徴とする、水性ポリウレタン分散液の製造方法。
  2. ポリカーボネートジオールが、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオールまたはそれらの混合物から誘導したホモポリカーボネートジオールまたは共重合ポリカーボネートジオールであることを特徴とする、請求項1記載の水性ポリウレタン分散液の製造方法。
  3. ジイソシアネートがイソホロンジイソシアネート、ジ(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン(HTDI)またはそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の水性ポリウレタン分散液の製造方法。
JP2003277350A 2003-07-22 2003-07-22 ポリカーボネートジオールから誘導した微細な水性ポリウレタン分散液の製造方法 Expired - Fee Related JP4159423B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003277350A JP4159423B2 (ja) 2003-07-22 2003-07-22 ポリカーボネートジオールから誘導した微細な水性ポリウレタン分散液の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003277350A JP4159423B2 (ja) 2003-07-22 2003-07-22 ポリカーボネートジオールから誘導した微細な水性ポリウレタン分散液の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005041991A JP2005041991A (ja) 2005-02-17
JP4159423B2 true JP4159423B2 (ja) 2008-10-01

Family

ID=34264095

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003277350A Expired - Fee Related JP4159423B2 (ja) 2003-07-22 2003-07-22 ポリカーボネートジオールから誘導した微細な水性ポリウレタン分散液の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4159423B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7767359B2 (en) 2002-10-24 2010-08-03 Airbus Deutschland Gmbh Device for producing water on board of an airplane

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5112646B2 (ja) * 2006-05-08 2013-01-09 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 装飾層形成フィルム、装飾物品及び装飾物品の製造方法
US7666977B2 (en) 2007-05-03 2010-02-23 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Poly(carbonate-co-urea) copolymers and melt transesterification method of preparing these copolymers
US7557175B2 (en) 2007-05-03 2009-07-07 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Poly(carbonate-co-urea) copolymers and melt transesterification method of preparing these copolymers
JP5662651B2 (ja) * 2009-05-01 2015-02-04 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 表面保護フィルム及びそれを備える多層フィルム
WO2015033939A1 (ja) * 2013-09-03 2015-03-12 宇部興産株式会社 水性ポリウレタン樹脂分散体及びその使用
WO2020129605A1 (ja) * 2018-12-18 2020-06-25 Dic株式会社 ウレタン樹脂組成物、皮膜、及び、合成皮革
CN113481731B (zh) * 2021-06-08 2022-08-16 上海工程技术大学 聚碳酸酯型芳纶纤维复合材料用表面上浆剂及制备和应用

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7767359B2 (en) 2002-10-24 2010-08-03 Airbus Deutschland Gmbh Device for producing water on board of an airplane

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005041991A (ja) 2005-02-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101625699B1 (ko) 수성 폴리우레탄 수지 분산체, 그의 제조 방법 및 그것을 함유하는 도료 조성물
Patel et al. Fatty acid modified polyurethane dispersion for surface coatings: effect of fatty acid content and ionic content
US20080108773A1 (en) Polyurethane dispersions containing POSS nanoparticles
JP6984838B2 (ja) カルボキシル基含有水性樹脂組成物、成形体、及びポリカルボジイミド化合物の製造方法
Xiang et al. Effect of soft chain length and generation number on properties of flexible hyperbranched polyurethane acrylate and its UV-cured film
Lee et al. Polyurethane dispersions derived from polycarbonatediols by a solvent‐free process
JP4159423B2 (ja) ポリカーボネートジオールから誘導した微細な水性ポリウレタン分散液の製造方法
JPWO2014088023A1 (ja) 共重合ポリウレタン樹脂及び水系エマルジョン
Lee et al. Aqueous polyurethane dispersions derived from polycarbonatediols
JP5213856B2 (ja) 2つの隣接する水酸基を有するポリエーテルアミンマクロモノマーおよびポリウレタンを製造するためのその使用
JP4159422B2 (ja) ポリカーボネートジオールから誘導した水性ポリウレタン分散液の製造方法
WO2004022627A1 (ja) 液状カルボン酸基含有ポリエステルオリゴマー及び水性ポリウレタン樹脂及びその製造方法
TWI570182B (zh) Polyamide ester resin aqueous dispersion and plastic film primer
JP4449038B2 (ja) 水性ポリウレタン組成物の製造方法
KR100962976B1 (ko) 코팅용 수성 폴리우레탄 수지, 이의 제조방법 및 이의 제품
CN113278128B (zh) 一种具有含氟侧链的水性聚氨酯/聚脲及其制备方法
JP2001226444A (ja) 水性ポリウレタン樹脂の製造方法
Lee et al. Aqueous polyurethane dispersions derived from polycarbonatediols and Di (4‐isocyanatocyclohexyl) methane
JP4542393B2 (ja) ポリウレタン樹脂系水性分散体組成物
JP2007269832A (ja) ポリウレタン樹脂水分散液の製造方法
JP2000169701A (ja) ポリウレタン樹脂水性分散体の製造方法
JP2006257121A (ja) 水性ウレタン樹脂の製造方法
Durrieu et al. Preparation of aqueous anionic poly (urethane‐urea) dispersions. Influence of the structure and molecular weight of the macrodiol on the dispersion and polymer properties
JP2010229224A (ja) 水性ポリウレタン分散体及びそれを用いた水性塗料
TW201723084A (zh) 樹枝狀水性聚胺酯組成物及包含該聚胺酯之薄膜

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060616

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080707

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080715

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080715

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110725

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110725

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120725

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130725

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees