JP4158280B2 - 画像処理装置およびその方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、予め決められたサンプリング位相差を持つ複数の画像を単板式撮像素子にて撮像して得られた画像信号を処理する画像処理装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、一枚の撮像素子、例えばCCD(Charge Coupled Device) において、サンプリング間隔の半分のピッチだけずらした2枚の画像を入力し、これらをアップサンプルおよび加算することによって、画素数が2倍に増えた広帯域画像を得る信号処理方法がある。この信号処理方法は、白黒CCDや、RGB3板式CCDなどに適用が可能である。
また、これを現在のビデオカメラや静止画像撮像装置(以下、電子スチルカメラとも記す)などで主流である、色フィルタを持つ単板式CCDによって得た画像上でも行う試みがなされている。単板式CCDは、色フィルタの周期がたとえば2画素毎などであるため、この半分、すなわち1画素ずらすことが考えられている。単板式CCDにて撮像されてAD変換された信号は、後段のカメラ信号処理部において処理され、各色ごとの補間あるいは色相互の関係を用いて、RGB信号、あるいは、輝度信号および色差信号が生成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単板式CCDにおいて、上述した画素ずらしを行うと、画素数が増えた各色の信号の配列は従来の配列と異なり、後段のカメラ信号処理部は、信号処理の対象となる画素数が増加するだけでなく、アルゴリズム自体を変更しなくてはならない。
また、CCDの画素ピッチ以下の画素ずらしを行った場合には、カメラ信号処理部は、サンプリングが不均一な信号を処理しなければならず、処理が複雑になるという問題がある。
【0004】
例えば、図12(A)に示すR(Red) ,G(Green) ,B(Blue)の画素配列パターンを得るベイヤー配列単板式CCDを用いて、縦横斜めに1画素ずつずらした画像を合計4枚得た場合、得られるR,G,Bデータの画素配列は、図12(E),(F),(G)に示すようになり、通常の図12(B),(C),(D)に示す画素配列とは異なる。
すなわち、図12(C),(D)と図12(F),(G)とを対比して分かるように、RデータおよびBデータのサンプル数が4倍に増えているのに対し、図12(B)と図12(E)とを対比して分かるように、Gデータのサンプル数は2倍にしか増えていない。
このため、カメラ信号処理部において、図12(E),(F),(G)に示す画素配列のR,G,Bデータを処理しなければならず、処理が複雑になるという問題がある。
【0005】
また、画素ピッチ以下の画素ずらしを行うと、今度はサンプリング間隔が均等でなくなってしまい、そのままでは処理が困難となるという問題がある。
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みてなされ、カメラ信号処理部の処理を複雑化させることなく低解像度の画像から高解像度の画像を得ることができる画像処理装置およびその方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した従来技術の問題点を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の信号処理装置は下記の構造を有する
【0011】
発明の画像処理装置は、サンプリング位相が相互に異なる複数の第1の画像信号を撮像結果に応じて生成する画像入力手段と、第1の画像信号を周波数領域に変換して複数の第2の画像信号を生成する変換手段と、前記サンプリング位相に応じた複数の複素数を記憶する記憶手段と、前記複数の第2の画像信号と、当該複数の第2の画像信号にそれぞれ対応する前記複数の複素数とを乗算し、当該乗算の結果を加算してエイリアシング成分が除去された第3の画像信号を生成する演算手段とを有する。
【0012】
ましくは、前記撮像手段は、単板式の色フィルタを透過した複数の色の光を、2次元上にマトリクス状に配列された複数の画素のうち対応する画素に結像させて前記複数の色の色データからなる前記第1の画像信号を生成し、前記演算手段は、前記複数の色の色データ毎に前記乗算および前記加算を行って、前記複数の色にそれぞれ対応した複数の第4の画像信号を生成し、当該複数の第4の画像信号を用いて前記第3の画像信号を生成する。
【0013】
また、好ましくは、前記複数の色のうち所定の一の色について、前記複数の第1の画像信号に含まれる当該色の色データのサンプリングパターンと、当該色の前記第4の画像信号に含まれる色データのサンプリングパターンとが相似形になるように、前記サンプリング位相を決定する。
【0014】
また、好ましくは、前記演算手段は、前記第2の画像信号を、前記サンプリング位相に応じて空間シフトする空間シフト手段と、前記空間シフトされた前記複数の第2の画像信号と、当該複数の第2の画像信号にそれぞれ対応する前記複数の複素数とを乗算し、当該乗算の結果を加算してエイリアシング成分が除去された基本スペクトルを算出する基本スペクトル算出手段と、前記基本スペクトルを周波数領域から時間領域に変換して前記第3の画像信号を生成する逆変換手段とを有する。
【0015】
また、好ましくは、前記サンプリング位相が相互に異なる複数の第1の画像信号を撮像結果に応じて前記撮像手段が生成できるように、前記撮像手段を物理的、光学的または電気的に移動させる駆動手段をさらに有する。
【0016】
また、好ましくは、前記撮像手段は、単板式のCCDであり、前記色フィルタは、原色フィルタまたは補色フィルタである。
【0017】
発明の画像処理装置は、サンプリング位相が相互に異なる複数の第1の画像信号を撮像結果に応じて入力する画像入力手段と、前記複数の第1のデジタル信号を、所定位相だけ移相して第2のデジタル信号を生成する移相手段と、前記サンプリング位相に応じた所定の複数の複素数の実部および虚部をそれぞれ示す複数の実数を記憶する記憶手段と、前記第1のデジタル信号と当該第1のデジタル信号に対応する前記実部を示す実数とを乗算して第1の乗算結果を得て、前記第1のデジタル信号に対応する前記第2のデジタル信号と当該第2のデジタル信号に対応する前記虚部を示す実数とを乗算して第2の乗算結果を得て、前記第1の乗算結果と前記第2の乗算結果とを加算してエイリアシング成分が除去された第3のデジタル信号を生成する演算手段とを有する。
【0020】
また、本発明の画像処理方法は、サンプリング位相が相互に異なる複数の第1の画像信号を撮像結果に応じて生成し、第1の画像信号を周波数領域に変換して複数の第2の画像信号を生成し、前記複数の第2の画像信号と、当該複数の第2の画像信号にそれぞれ対応する複数の複素数とを乗算し、当該乗算の結果を加算してエイリアシング成分が除去された第3の画像信号を生成する。
【0023】
また、本発明の画像処理方法は、サンプリング位相に応じた所定の複数の複素数の実部および虚部をそれぞれ示す予め用意された複数の実数を用いて画像処理を行う画像処理方法であって、サンプリング位相が相互に異なる複数の第1の画像信号を撮像結果に応じて生成し、前記複数の第1のデジタル信号を、所定位相だけ移相して第2のデジタル信号を生成し、前記第1のデジタル信号と当該第1のデジタル信号に対応する前記実部を示す実数とを乗算して第1の乗算結果を生成し、前記第1のデジタル信号に対応する前記第2のデジタル信号と当該第2のデジタル信号に対応する前記虚部を示す実数とを乗算して第2の乗算結果を生成し、前記第1の乗算結果と前記第2の乗算結果とを加算してエイリアシング成分が除去された第3のデジタル信号を生成する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係わる電子スチルカメラについて説明する。
第1実施形態
本実施形態の電子スチルカメラは、RGBベイヤー配列単板式のCCD(Charge Coupled Device) を備え、CCDにより撮像されたサンプリング位相の異なる4枚のRGBデータから、後述する所定の広帯域化手法を用いて高解像度化を行い、縦横とも2倍の画素数に対応する2倍の帯域を持つRGBデータを得る。
具体的には、当該電子スチルカメラは、図1(A)に示す画素配列のRGBデータを含む相互にサンプリング位相が異なる4枚のRGBデータから、図1(B),(C),(D)に示す画素配列のGデータ、RデータおよびBデータを得て、これらを足し合わせて図1(E)に示す画素配列のRGBデータを得る。
【0025】
図2は、本実施形態の電子スチルカメラの部分構成図である。
図2に示すように電子スチルカメラ1は、レンズ2、光学LPF3、CCD4、AD変換部5、CCD駆動部6、メモリ7、信号処理部8およびカメラ信号処理部9を有する。
〔光学LPF3〕
光学LPF3は、レンズ2を透過した撮像対象からの光のうち、余分な高域成分を除去する光学LPF(Low Pass Filter) である。
【0026】
〔CCD4〕
CCD4は、マトリクス状に配列された複数のフォトダイオードと、ベイヤー配列色フィルタとを有している。ベイヤー配列色フィルタは、G(Green: 緑) 色のフィルタを市松状に配列し、残りの部分にR(Red: 赤) 色のフィルタとB(Blue:青) 色のフィルタとを市松状に配列したものである。フォトダイオードは、ベイヤー配列色フィルタを透過した光を受光し、受光結果を光電変換して受光量に応じた受光信号S40 〜S43 を生成し、受光信号S40 〜S43 をAD変換部5に出力する。
CCD4は、後述するように、CCD駆動部6によって移動が駆動され、1枚の高解像度化された画像を得るために、サンプリング位相が相互に異なる4枚の画像を撮像する。
【0027】
〔AD変換部5〕
AD変換部5は、受光信号S40 〜S43 をデジタル形式の画像信号S50 〜S53 に変換し、画像信号S5を信号処理部8に出力する。
【0028】
〔CCD駆動部6〕
CCD駆動部6は、CCD4のサンプリング間隔を2πとし、図3に示すように1枚の画像の位相を原点(0,0)としたときに、それぞれ(π/2,−π/2),(0,π),(π/2,π/2)の位相を持つ合計4枚の画像をCCD4が撮像するように、信号処理部8からの制御信号S8aに基づいて、CCD4を所定の方向に所定の距離だけ物理的に移動する。
【0029】
信号処理部8は、AD変換部5から入力した、図3に示す相互に異なるサンプリング位相を持つ4枚の撮像画像の画像信号S5を用いて、縦横の画素数が2倍の画像の画像信号S8bを生成する。
【0030】
ここで、画像信号S5は、CCD4を構成するマトリクス状に配置された各画素の画素データからなり、図4(A)において「G」で示された位置の画素の画素データがG(緑色)データを示し、図4(B)において「R」で示された位置の画素の画素データがR(赤色)データを示し、図4(C)において「B」で示された位置の画素の画素データがB(青色)データを示す。
信号処理部8は、AD変換部5から入力した4枚の撮像画像の画像信号S5をメモリ7に書き込んだ後に読み出して、図4(B),(C)に示す画素配列パターンのRデータおよびBデータから、図1(C),(D)に示す画素配列パターンのRデータおよびBデータを生成するように画像信号S5を後述する広域化手法で処理して画像信号S8bを生成する。
なお、図4(A)に示すGデータの画素配列パターンと、図1(B)に示すGデータの画素配列パターンとは同じであるため、Gデータについての処理は不要である。すなわち、信号処理部8は、画像信号S5に含まれるGデータを、そのまま画像信号S8bのGデータとして用いる。
【0031】
また、信号処理部8は、図3に示す相互に異なるサンプリング位相の4枚の撮像画像を得られるように、メモリ7に予め記憶されたCCD4の移動方向および距離に関する情報に基づいて制御信号S8aを生成し、制御信号S8aをCCD駆動部6に出力する。
【0032】
以下、信号処理部8における、画像信号S8bのRデータおよびBデータの生成処理について説明する。
なお、RデータおよびBデータの生成処理は、サンプリング位相の値を除いて同じである。
ここで、サンプリング位相は、画像信号S8bに含まれる対象となる色の画素データに対応する画素の位置を原点とした場合に、4枚の撮像画像の画像信号S5に含まれる対象となる色の画素データに対応する画素の座標を示す。
【0033】
具体的には、Rデータについては、4枚の撮像画像のサンプリング位相は、図5(A)に示すように、それぞれ(αx0,αy0)=(π/2,0),(αx1,αy1)=(π,−π/2),(αx2,αy2)=(π/2,π),(αx3,αy3)=(π,π/2)となる。
また、Bデータについては、4枚の撮像画像のサンプリング位相は、図5(B)に示すように、それぞれ(αx0,αy0)=(0,π/2),(αx1,αy1)=(π/2,0),(αx2,αy2)=(0,3π/2),(αx3,αy3)=(π/2,π)となる。
これらのサンプリング位相の値は、後述する空間シフト時の(αx0,αy0)〜(αx3,αy3)として使用され、図2に示すメモリ7に予め記憶されている。
【0034】
図6は、信号処理部8の構成図である。
図6に示すように、信号処理部8は、補間回路50、フーリエ変換回路51、空間シフト回路52、基本スペクトル算出回路53およびフーリエ逆変換回路54を有する。
【0035】
補間回路50は、1枚の高解像度化された画像を得るために、前述した4枚の撮像画像の画像信号S50 〜S53 を入力し、これを補間して2倍にアップサンプリングした画像信号S500 〜S503 を生成し、画像信号S500 〜S503 をフーリエ変換回路51に出力する。
具体的には、補間回路50は、画像信号S50 〜S53 のそれぞれについて、x方向の各サンプリング位置の間に(MX −1)個の0を挿入し、y方向の各サンプリング位置の間に(My −1)個の0を挿入して画像信号S500 〜S503 を生成する。
なお、MX ,My は、ナイキスト周波数に対してそれぞれx方向およびy方向において何倍の周波数成分まで復元するかを示す倍数であり、本実施形態では、共に「2」である。
【0036】
フーリエ変換回路51は、補間回路50から入力した画像信号S500 〜S503 を2次元フーリエ変換して周波数領域表現の画像信号S510 〜S513 を生成し、画像信号S510 〜S513 を空間シフト回路52に出力する。
【0037】
空間シフト回路52は、図4(B),(C)の位置でサンプリングされた事を示す表現にするために、撮像によって得た画像信号S510 〜S513 に含まれるRデータおよびBデータを2次元空間シフトして画像信号Y0 〜Y3 を生成する。
すなわち、空間シフト回路52は、画像信号S510 〜S513 のRデータおよびBデータに対してそれぞexp(−j(ωx αx0+ωy αy0)/(2π))〜exp(−j(ωx αx3+ωy αy3)/(2π))を乗じて、画像信号Y0 〜Y3 を生成する。
但し、この場合に、x方向およびy方向共にナイキスト周波数以上の部分は負の周波数を示しており、この部分に関しては、ωx もしくはωy は、(ωx −ωsx) もしくは(ωy −ωsy)とする必要がある。ここで、ωsx、ωsyは、アップサンプリング前のそれぞれx方向およびy方向のサンプリング周波数である。
【0038】
基本スペクトル算出回路53は、空間シフト回路52から入力した画像信号Y0 〜Y3 と、図2に示すメモリ7に記憶された複素数w0 〜w3 ,w0 ’〜w3 ’とを用いて、RデータおよびBデータの2次元の画像信号X0,0 をそれぞれ個別に生成し、当該生成されたRデータおよびBデータの画像信号X0,0 と図4(A)に示す位置の画素のGデータとからなる画像信号S53をフーリエ逆変換回路54に出力する。
なお、メモリ7には、後述するようにして生成されたRデータおよびBデータのそれぞれについて、第1および第3象限の基本スペクトル成分X130,0 を求めるために画像信号Y0 〜Y3 にそれぞれ乗ずる複素数w0 〜w3 と、第2および第4象限の基本スペクトル成分X240,0 を求めるために画像信号Y0 〜Y3 にそれぞれ乗ずる複素数w0 ’〜w3 ’とが記憶されている。
基本スペクトル算出回路53は、下記式(1)に基づいてエイリアシング成分を含まない基本スペクトル成分X130,0 を求め、下記式(2)に基づいてエイリアシング成分を含まない基本スペクトル成分X240,0 を求める。
【0039】
【数1】
Figure 0004158280
【0040】
【数2】
Figure 0004158280
【0041】
そして、下記式(3)に示すように、基本スペクトル成分X130,0 とX240,0 とを加算して基本スペクトル成分X0,0 を生成する。
【0042】
【数3】
Figure 0004158280
【0043】
以下、上記式(1),(2)の根拠を説明する。
先ず、上記式(1),(2)の根拠となる、2次元方向にサンプリング位相差を持つ複数の離散信号を用いた広帯域化手法の理論について説明する。
以下、変数を下記表に示すように定義する。
【0044】
【表1】
Figure 0004158280
【0045】
基準となる離散信号に対してサンプリング位相がx方向にαx 、y方向にαy だけずれている信号は、基準となる離散信号を下記式(4)で示した場合には、下記式(5)で示される。
【0046】
【数4】
Figure 0004158280
【0047】
【数5】
Figure 0004158280
【0048】
ここで、2次元空間シフト処理は、空間領域であれば補間の後のしかるべき位置にシフトすることによって実現できる。
また、周波数領域であれば、「exp(−j(ωx ・αx +ωy ・αy )/(2π))」を乗ずれば良い。
空間シフト回路52は、空間領域および周波数領域の何れでも実現できる。
例えば、2次元空間シフト処理を空間領域で行う場合には、図6において、フーリエ変換回路51と空間シフト回路52とを入れ替えて配置する。すなわち、空間シフト処理を行った後に、フーリエ変換処理を行う。
【0049】
次に、基本スペクトル成分を再現するための、S個の離散信号に乗ずる複素数wL を得る複素連立方程式について考える。
1次元の場合には、フーリエ変換の性質から、周波数が正と負とでスペクトルが対象になることを利用し、正の周波数のみを考え、正の帯域に入り込むイメージング成分の数を考えればよい。
【0050】
これに対して、本実施形態のように、2次元の場合には、フーリエ変換の性質から、共役であるのは原点を中心とした場合であって、ωx 軸あるいはωy 軸を中心とした場合ではない。つまり、ωx −ωy 平面において、第1象限と第3象限とが共役、第2象限と第4象限とが共役である。すなわち、隣り合う2つの象限、例えば第1象限と第2象限とは独立である。従って、2つの象限について、例えば第1象限と第2象限とについて各々入り込むイメージング成分を考える必要がある。なお、残りの2つの象限は、共役の関係を使って求めることができる。
【0051】
そのため、第1象限および第2象限について考えることにし、先ず、第1象限について考える。この第1象限についての複素連立方程式の解を得るのに必要な離散信号の数であるSは、x方向に必要な離散信号の数と、y方向に必要な離散信号の数との積となり、S=(Px +Qx +1)・(Py +Qy +1)となる。
ここで、Px =FLoor((Nx −1)/2)、
x =FLoor((Nx +Mx −1)/2)、
y =FLoor((Ny −1)/2)、
y =FLoor((Ny +My −1)/2)
である。
なお、本実施形態では、Nx ,Ny ,Mx ,My が共に2の場合にSは4となり、4系統の連続信号を得れば、イメージング成分を除去してナイキスト周波数の2倍までの信号を得ることができる。
【0052】
従って、複素連立方程式は、式の数および未知数である基本スペクトル成分X0,0 およびイメージング成分Xi,k の数をSとして、空間シフト後の第1および第3象限の離散信号をY13L とした場合に、下記式(6)のように示され、下記式(6)を解いて複素数wL を求めることで、下記式(7)に示すように第1および第3象限の基本スペクトル成分X130,0 が求められる。なお、下記式(7)のwL は複素数を示している。
【0053】
【数6】
Figure 0004158280
【0054】
【数7】
Figure 0004158280
【0055】
次に、第2象限について考えると、第2象限では、ωx は負であり、x方向のイメージング成分も負の次数となる。従って、複素連立方程式は、式の数および未知数である基本スペクトル成分X0,0 およびイメージング成分Xi,k の数をSとして、空間シフト後の第2および第4象限の離散信号をY24L とした場合に、下記式(8)のように示され、下記式(8)を解いて複素数wL ’を求めることで、下記式(9)に示すように基本スペクトル成分X240,0 が求められる。なお、下記式(9)のwL ’はwL とは異なる複素数を示している。
【0056】
【数8】
Figure 0004158280
【0057】
【数9】
Figure 0004158280
【0058】
以上により得られた複素数wL は、第1象限および第3象限のイメージング成分を除去するために用いられ、複素数wL ’は第2象限および第4象限のイメージング成分を除去するために用いられる。
ここで、第1象限および第3象限におけるイメージング成分の除去の処理と、第2象限および第4象限におけるイメージング成分の除去の処理とは独立であるため、信号を2系統に分ける。
当該2系統に分ける処理は、周波数領域であれば、第2象限および第4象限の値を0で置き換えた信号と、第1象限および第3象限の値を0で置き換えた信号とを生成する。一方、空間領域であれば、第2象限および第4象限の周波数成分を抽出するフィルタ処理を行った信号と、第1象限および第3象限の周波数成分を抽出するフィルタ処理を行った信号とを生成する。
【0059】
そして、これらの2系統の信号に対して、複素数wL およびwL ’をそれぞれ乗ずれば、イメージング成分が除去された第1および第3象限の基本スペクトルX13L と、イメージング成分が除去された第2および第4象限の基本スペクトルX24L とが得られる。
そして、最後に、イメージング成分が除去された基本スペクトルX13L と基本スペクトルX24L とを加算すれば、目的である広帯域化された信号が得られる。
以上が広帯域化手法の理論である。
【0060】
以下、上述した広帯域化手法の理論に基づいて、上記式(1),(2)の根拠を説明する。
すなわち、4枚の撮像画像の画像信号S5から得られる図4(B)に示す位置の画素のRデータから、イメージング成分が除去され、広帯域化された図1(C)に示す位置の画素のRデータを生成する場合を説明する。
なお、4枚の撮像画像の画像信号S5から得られる図4(C)に示す位置の画素のBデータから、イメージング成分が除去され、広帯域化された図1(D)に示す位置の画素のBデータを生成する場合は、サンプリング位相差αxL,αyLの値を除いて、Rデータの場合と同じである。
【0061】
第1および第3象限については、上記式(6)から下記式(10a)〜(10d)が得られる。
【0062】
【数10】
Figure 0004158280
【0063】
そして、上記式(10a)〜(10d)を解くと、上記式(7)に対応する上記式(1)が導かれ、第1および第3象限の基本スペクトルX130,0 が得られる。
【0064】
第2および第4象限については、上記式(8)から下記式(11a)〜(11d)が得られる。
【0065】
【数11】
Figure 0004158280
【0066】
そして、上記式(11a)〜(11d)を解くと、上記式(9)に対応する上記式(2)が導かれ、第2および第4象限の基本スペクトルX240,0 が得られる。
【0067】
フーリエ逆変換回路54は、基本スペクトル算出回路53から入力した画像信号S53をフーリエ逆変換し、広帯域化されたデジタル信号S8を得る。
【0068】
カメラ信号処理部9は、信号処理部8からの画像信号S8に含まれるR,G,Bデータから、各色の相関を考慮して、補間されたRGB信号を生成したり、あるいは、輝度信号および色差信号を生成する。
【0069】
以下、図2に示す本実施形態の電子スチルカメラの動作について説明する。
CCD駆動部6による駆動によって、CCD4が所定の方向に所定の距離だけ移動し、図3に示すように、サンプリング位相が相互に異なる4枚の画像が撮像され、当該撮像された4枚の画像に応じた受光信号S40 〜S43 がAD変換部5に出力される。
次に、AD変換部5において、受光信号S40 〜S43 が、デジタル形式の画像信号S50 〜S53 に変換され、画像信号S50 〜S53 が信号処理部8に出力される。画像信号S50 〜S53 は、メモリ7に記憶された後に読み出されて、信号処理部8において処理される。
【0070】
信号処理部8では、先ず、補間回路50において、入力した画像信号S50 〜S53 が補間されて2倍にアップサンプリングされた画像信号S500 〜S503 が生成される。
そして、フーリエ変換回路51において、画像信号S500 〜S503 が2次元フーリエ変換され、周波数領域表現の画像信号S510 〜S513 が生成される。
【0071】
そして、空間シフト回路52において、画像信号S510 〜S513 のRデータおよびBデータに対してそれぞれexp(−j(ωx αx0+ωy αy0)/(2π))〜exp(−j(ωx αx3+ωy αy3)/(2π))が乗じられ、画像信号Y0 〜Y3 が生成される。
【0072】
そして、基本スペクトル算出回路53において、入力した画像信号Y0 〜Y3 と、図2に示すメモリ7に記憶された複素数とを用いて、RデータおよびBデータの2次元の画像信号X0,0 がそれぞれ個別に生成され、当該生成されたRデータおよびBデータの画像信号X0,0 と図4(A)に示す位置の画素のGデータとからなる画像信号S53がフーリエ逆変換回路54に出力される。
【0073】
そして、フーリエ逆変換回路54において、入力した画像信号S53がフーリエ逆変換され、広帯域化されたデジタル信号S8bが生成される。
【0074】
そして、カメラ信号処理部9において、画像信号S8bに含まれるR,G,Bデータから、各色の相関を考慮して、補間されたRGB信号を生成したり、あるいは、輝度信号および色差信号を生成される。
そして、当該生成されたRGB信号、あるいは、輝度信号および色信号に応じた画像出力が行われる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態の電子スチルカメラによれば、カメラ信号処理部9において複雑な処理を行うことなく、CCD4の画素数の縦横共に2倍の画素数に対応した高精度化された画像信号を得ることができる。
また、本実施形態の電子スチルカメラによれば、信号処理部8の処理は従来に比べて複雑になるが、前述したように、信号処理部8では、Gデータの処理を行う必要がないため、R,G,Bデータの全てのデータの処理を行う必要がある場合に比べて信号処理部8のデータ処理量を削減できる。
【0076】
第2実施形態
図7は、本実施形態の電子スチルカメラの部分構成図である。
図7に示すように、本実施形態の電子スチルカメラは、信号処理部68における処理を除いて、前述した第1実施形態の電子スチルカメラと同じである。
【0077】
図8は、図7に示す信号処理部68の構成図である。
図8に示すように、信号処理部68は、補間回路70、空間シフト回路71および広帯域信号生成回路72を有する。
補間回路20は、図7に示すAD変換部5から入力した図3に示す相互に異なるサンプリング位相を持つ4枚の撮像画像の画像信号S50 〜S53 を、x方向およびy方向のサンプリング位置間を補間して画像信号S700 〜S703 を生成する。
【0078】
空間シフト回路71は、補間回路70から入力した画像信号S700 〜S703 を、図4(B),(C)の位置でサンプリングされたことを示す表現にするために、位相差分だけx方向およびy方向にずらして画像信号y0 〜y3 を生成する。
具体的にはサンプル数の増えた画像信号S700 〜S703 の先頭の数サンプルを除去したり、あるいは先頭に適当な値を数サンプル加えて信号y0 〜y3 を生成する。
空間シフト回路71は、信号y0 〜y3 を広帯域信号生成回路72に出力する。
【0079】
広帯域信号生成回路72は、画像信号y0 〜y3 を、x,yとも正の周波数を持つ成分と、x,yが互いに正負となる周波数を持つ成分に分ける。すなわち、x,yとも正の周波数を取り出す2次元フィルタと、x,yが互いに正負となる周波数を取り出す2次元フィルタをかける。これらにより得られた信号をそれぞれy13L 、y24L とする。
【0080】
そして、広帯域信号生成回路72は、画像信号y13L 、y24L に2次元ヒルベルト変換を施す。すなわち、図示しない移相手段によって、π/2(rad)移相し、これらにより得られた信号をそれぞれy13L ’、y24L ’とする。
そして、広帯域信号生成回路72は、y13L について、メモリ7から読み出した複素数wL の実部および虚部をそれぞれ示す実数を用いて、「Re(wL )・y13L +Im(wL )・y13L ’」を演算する。また同様に、y24L について、メモリ7から読み出した複素数wL ’の実部および虚部をそれぞれ示す実数を用いて、「Re(wL ’)・y24L +Im(wL ’)・y24L ’」を演算する。
ここで、Re(x)はxの実部(real part) を示し、Im(x)はxの虚部(imaginary part)を示す。
そして、広帯域信号生成回路72は、「Re(wL )・y13L +Im(wL )・y13L ’」の演算結果と、「Re(wL ’)・y24L +Im(wL ’)・y24L ’」の演算結果とを加算することにより、エイリアシングがキャンセル(除去)され、広帯域化された画像信号S68を得る。
なお、本実施形態では、複素数wL ,wL ’の実部および虚部を示す実数が、メモリ7に予め記憶されている。
【0081】
本実施形態の電子スチルカメラによっても、前述した第1実施形態の電子スチルカメラと同様の効果が得られる。
【0082】
第3実施形態
本実施形態の電子スチルカメラは、ベイヤー配列の原色フィルタではなく、補色フィルタを持つCCDを用いた場合を説明する。
図9は、本実施形態の電子スチルカメラの部分構成図である。
図9に示すように電子スチルカメラ1は、レンズ2、光学LPF3、CCD84、AD変換部5、CCD駆動部86、メモリ87、信号処理部88およびカメラ信号処理部9を有する。
【0083】
〔CCD84〕
CCD84は、マトリクス状に配列された複数のフォトダイオードと、補色フィルタとを有している。補色フィルタは、図10(A)に示すパターンで、Cy(シアン)色、M(マゼンダ)色、Y(イエロー)およびW(ホワイト)色を透過するフィルタを配列したものである。フォトダイオードは、補色フィルタを透過した光を受光し、受光結果を光電変換して受光量に応じた受光信号S840 〜S843 を生成し、受光信号S84をAD変換部5に出力する。
CCD84は、後述するように、CCD駆動部86によって移動が駆動され、図10(B)に示す1枚の高解像度化された画像を得るために、サンプリング位相が相互に異なる4枚の画像を撮像し、受光信号S840 〜S843 を生成する。このとき、4枚の画像のサンプリング位相は、任意であり、本実施形態では、例えば図10(C)に示すように、(0,0)、(π/2,0)、(0,π/2)および(π/2,π/2)である。
【0084】
〔AD変換部85〕
AD変換部85は、受光信号S840 〜S843 をデジタル形式の画像信号S850 〜S853 に変換し、画像信号S850 〜S853 を信号処理部88に出力する。
【0085】
〔CCD駆動部86〕
CCD駆動部86は、CCD84のサンプリング間隔を2πとし、図10(C)に示す異なる4つのサンプリング位相を持つ合計4枚の画像をCCD84が撮像するように、信号処理部88からの制御信号S88aに基づいて、CCD84を所定の方向に所定の距離だけ物理的に移動する。
【0086】
〔信号処理部88〕
信号処理部88は、AD変換部85から入力した、図10(C)に示す相互に異なるサンプリング位相を持つ4枚の撮像画像の画像信号S850 〜S853 を用いて、縦横の画素数が2倍の画像の画像信号S88bを生成する。
また、信号処理部88は、図10(C)に示す相互に異なるサンプリング位相の4枚の撮像画像を得られるように、メモリ87に予め記憶されたCCD84の移動方向および距離に関する情報に基づいて制御信号S88aを生成し、制御信号S88aをCCD駆動部86に出力する。
【0087】
信号処理部88は、AD変換部85から入力した図10(A)に示す画素配列パターンの4枚の撮像画像の画像信号S850 〜S853 をメモリ87に書き込んだ後に読み出して、後述する広帯域化処理を行い、図10(B)に示す画素配列パターンの画像信号S88bを生成する。
【0088】
以下、信号処理部88における、画像信号S88bのCyデータ、Yeデータ、WデータおよびGデータの生成処理について説明する。
なお、Cyデータ、Yeデータ、WデータおよびGデータの生成処理は、サンプリング位相の値を除いて同じである。
ここで、サンプリング位相は、図10(C)に示すように、Cyデータに応じた色を出力する画素の位置を原点として考える。
【0089】
具体的には、Cyデータについては、4枚の撮像画像のサンプリング位相は、図10(C)に示すように、それぞれ(αx0,αy0)=(0,0),(αx1,αy1)=(π/2,0),(αx2,αy2)=(π/2,π/2),(αx3,αy3)=(0,π/2)となる。
また、Yeデータについては、4枚の撮像画像のサンプリング位相は、それぞれ(αx0,αy0)=(π/2,0),(αx1,αy1)=(π,0),(αx2,αy2)=(π/2,0),(αx3,αy3)=(π,π/2)となる。
また、Wデータについては、4枚の撮像画像のサンプリング位相は、それぞれ(αx0,αy0)=(0,π/2),(αx1,αy1)=(π/2,π/2),(αx2,αy2)=(0,π/2),(αx3,αy3)=(π/2,π)となる。
また、Gデータについては、4枚の撮像画像のサンプリング位相は、それぞれ(αx0,αy0)=(π/2,π/2),(αx1,αy1)=(π,π/2),(αx2,αy2)=(π/2,π),(αx3,αy3)=(π,π)となる。
【0090】
これらのサンプリング位相の値は、後述する空間シフト時の(αx0,αy0)〜(αx3,αy3)として使用され、図9に示すメモリ87に予め記憶されている。
【0091】
図11は、信号処理部88の構成図である。
図11に示すように、信号処理部88は、補間回路90、フーリエ変換回路91、空間シフト回路92、基本スペクトル算出回路93およびフーリエ逆変換回路94を有する。
【0092】
補間回路90は、画像信号S850 〜S853 を入力し、これを補間して2倍にアップサンプリングした画像信号S900 〜S903 を生成し、画像信号S900 〜S903 をフーリエ変換回路91に出力する。
フーリエ変換回路91は、補間回路90から入力した画像信号S900 〜S903 を2次元フーリエ変換して周波数領域表現の画像信号S910 〜S913 を生成し、画像信号S910 〜S913 を空間シフト回路92に出力する。
【0093】
空間シフト回路92は、上述した(αx0,αy0)〜(αx3,αy3)の位置でサンプリングされた事を示す表現にするために、撮像によって得た画像信号S910 〜S913 に含まれるCyデータ、Yeデータ、WデータおよびGデータをそれぞれ個別に2次元空間シフトして画像信号Y0 〜Y3 を生成する。
すなわち、空間シフト回路92は、画像信号S910 〜S913 のCyデータ、Yeデータ、WデータおよびGデータに対してそれぞれexp(−j(ωx αx0+ωy αy0)/(2π))〜exp(−j(ωx αx3+ωy αy3)/(2π))を乗じて、画像信号Y0 〜Y3 を生成する。
但し、この場合に、x方向およびy方向共にナイキスト周波数以上の部分は負の周波数を示しており、この部分に関しては、ωx もしくはωy は、(ωx −ωsx) もしくは(ωy −ωsy)とする必要がある。ここで、ωsx、ωsyは、アップサンプリング前のそれぞれx方向およびy方向のサンプリング周波数である。
【0094】
基本スペクトル算出回路93は、空間シフト回路92から入力した画像信号Y0 〜Y3 と、図9に示すメモリ87に記憶された複素数とを用いて、Cyデータ、Yeデータ、WデータおよびGデータの2次元の画像信号X0,0 をそれぞれ個別に生成し、当該生成されたCyデータ、Yeデータ、WデータおよびGデータの画像信号X0,0 からなる画像信号S93をフーリエ逆変換回路94に出力する。
なお、メモリ87には、後述するようにして生成されたCyデータ、Yeデータ、WデータおよびGデータのそれぞれについて、第1および第3象限の基本スペクトル成分X130,0 を求めるために画像信号Y0 〜Y3 にそれぞれ乗ずる複素数w0 〜w3 と、第2および第4象限の基本スペクトル成分X240,0 を求めるために画像信号Y0 〜Y3 にそれぞれ乗ずる複素数w0 ’〜w3 ’とが記憶されている。
基本スペクトル算出回路93は、Cyデータについて、下記式(12a)〜(12d)から得られた下記式(13)に基づいて基本スペクトル成分X130,0 を求め、下記式(14a)〜(14d)から得られた下記式(15)に基づいて基本スペクトル成分X240,0 を求める。
【0095】
【数12】
Figure 0004158280
【0096】
【数13】
Figure 0004158280
【0097】
【数14】
Figure 0004158280
【0098】
【数15】
Figure 0004158280
【0099】
そして、下記式(16)に示すように、基本スペクトル成分X130,0 とX240,0 とを加算して、基本スペクトル成分X0,0 を生成する。
【0100】
【数16】
Figure 0004158280
【0101】
また、基本スペクトル算出回路93は、Cyデータと同様に、Yeデータ、WデータおよびGデータについて、基本スペクトル成分X130,0 および基本スペクトル成分X240,0 を求め、これらを加算して、基本スペクトル成分X0,0 を生成する。
【0102】
フーリエ逆変換回路94は、基本スペクトル算出回路93から入力した画像信号S93をフーリエ逆変換し、広帯域化されたデジタル信号S88bを得る。
【0103】
カメラ信号処理部89は、信号処理部88からの画像信号S88bに含まれるCyデータ、Yeデータ、WデータおよびGデータから、各色の相関を考慮して、補間されたRGB信号を生成したり、あるいは、輝度信号および色差信号を生成する。
【0104】
以下、図9に示す本実施形態の電子スチルカメラの動作について説明する。
CCD駆動部86による駆動によって、CCD84が所定の方向に所定の距離だけ移動し、図10(C)に示すように、サンプリング位相が相互に異なる4枚の画像が撮像され、当該撮像された4枚の画像に応じた受光信号S840 〜S843 がAD変換部85に出力される。
次に、AD変換部85において、受光信号S840 〜S843 が、デジタル形式の画像信号S850 〜S853 に変換され、画像信号S850 〜S853 が信号処理部88に出力される。画像信号S850 〜S853 は、メモリ87に記憶された後に読み出されて、信号処理部88において処理される。
【0105】
信号処理部88では、先ず、補間回路90において、入力した画像信号S850 〜S853 が補間されて2倍にアップサンプリングされた画像信号S900 〜S903 が生成される。
そして、フーリエ変換回路91において、画像信号S900 〜S903 が2次元フーリエ変換され、周波数領域表現の画像信号S910 〜S913 が生成される。
【0106】
そして、空間シフト回路92において、画像信号S910 〜S913 のCyデータ、Yeデータ、WデータおよびGデータに対してそれぞれexp(−j(ωx αx0+ωy αy0)/(2π))〜exp(−j(ωx αx3+ωy αy3)/(2π))が乗じられ、画像信号Y0 〜Y3 が生成される。
【0107】
そして、基本スペクトル算出回路93において、入力した画像信号Y0 〜Y3 と、図9に示すメモリ87に記憶された複素数とを用いて、Cyデータ、Yeデータ、WデータおよびGデータの2次元の画像信号X0,0 がそれぞれ個別に生成され、当該生成されたCyデータ、Yeデータ、WデータおよびGデータの画像信号X0,0 からなる画像信号S93がフーリエ逆変換回路94に出力される。
【0108】
そして、フーリエ逆変換回路94において、入力した画像信号S93がフーリエ逆変換され、広帯域化されたデジタル信号S88bが生成される。
【0109】
そして、カメラ信号処理部89において、画像信号S88bに含まれるCyデータ、Yeデータ、WデータおよびGデータから、各色の相関を考慮して、補間されたRGB信号を生成したり、あるいは、輝度信号および色差信号を生成される。
そして、当該生成されたRGB信号、あるいは、輝度信号および色信号に応じた画像出力が行われる。
【0110】
以上説明したように、本実施形態の電子スチルカメラによれば、前述した補色フィルタを持つCCD84を用いた場合でも、カメラ信号処理部89において複雑な処理を行うことなく、CCD84の画素数の縦横とも2倍の画素数に対応した高精度化された画像信号を得ることができる。
【0111】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
例えば、図2に示す信号処理部8、図7に示す信号処理部68および図9に示す信号処理部88における処理の順序は、上述したものには特に限定されない。
また、ハードウェア構成も、図2,図7および図9には限定されない。
また、本発明では、空間領域での処理と、周波数領域での処理とを混在させてもよい。
【0112】
また、上述した実施形態では、CCD4および84を物理的に移動させて、サンプリング位相の異なる4枚の撮像画像を得たが、CCDを物理的に移動させずに、例えば、複屈折板などを用いて光学的あるいは電気的に光路を変えてサンプリング位相の異なる複数の撮像画像を得るようにしてもよい。
また、サンプリング位相の値は、本実施形態で示したものには限定されない。
【0113】
また、上述した実施形態では、撮像手段としてCCDを例示したが、その他CMOSセンサなどを用いてもよい。
【0114】
また、上述した実施形態では、4枚の撮像画像を用いて、縦横方向に2倍に高解像度化(広帯域化)した画像を得る場合を例示したが、高解像度化の倍率は2倍には特に限定されない。また、高解像度化の倍率は、縦方向と横方向とで異なる倍率を用いてもよい。また、広帯域化は、2次元でなく1次元でも良い。
また、上述した実施形態では、1枚の高解像度化された画像を得るために、4枚の撮像された画像を用いたが、使用する撮像画像の数は各方向の倍率に依存するので4枚には限定されない。
【0115】
また、図1(A)や図10(A)に示す色フィルタの各色の配列は任意である。
また、空間領域で用いれる移相手段はヒルベルト変換に限らず、移相量もπ/2には限定されない。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像処理装置およびその方法によれば、簡単な処理で、低解像度の画像から高解像度の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態の電子スチルカメラに用いられるRGBベイヤー配列単板方式のCCDを説明するための図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態の電子スチルカメラの部分構成図である。
【図3】図3は、1枚の高解像度化された画像を得るために図2に示すCCDで撮像される4枚の画像のサンプリング位相を説明するための図である。
【図4】図4は、図2に示す信号処理部における処理を説明するための図である。
【図5】図5(A)は図2に示す信号処理部において処理されるRデータのサンプリング位相を説明するための図、図5(B)は図2に示す信号処理部において処理されるBデータのサンプリング位相を説明するための図である。
【図6】図6は、図2に示す信号処理部の構成図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態の電子スチルカメラの部分構成図である。
【図8】図8は、図7に示す信号処理部の構成図である。
【図9】図9は、本発明の第3実施形態の電子スチルカメラの部分構成図である。
【図10】図10は、図9に示すCCDに用いられる補色フィルタを説明するための図である。
【図11】図11は、図9に示す信号処理部の構成図である。
【図12】図12は、従来技術の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
2…レンズ、3…光学LPF、4,84…CCD、5,85…AD変換部、6,86…CCD駆動部、7,87…メモリ、8,88…信号処理部、9,89…カメラ信号処理部、50,70,90…補間回路、51,91…フーリエ変換回路、52,71,92…空間シフト回路、53,93…基本スペクトル算出回路、54,94…フーリエ逆変換回路、72…広帯域信号生成回路

Claims (9)

  1. サンプリング位相が相互に異なる複数の第1の画像信号を撮像結果に応じて生成する画像入力手段と、
    第1の画像信号を周波数領域に変換して複数の第2の画像信号を生成する変換手段と、
    前記サンプリング位相に応じた複数の複素数を記憶する記憶手段と、
    前記複数の第2の画像信号と、当該複数の第2の画像信号にそれぞれ対応する前記複数の複素数とを乗算し、当該乗算の結果を加算してエイリアシング成分が除去された第3の画像信号を生成する演算手段と
    を有する画像処理装置。
  2. 前記撮像手段は、単板式の色フィルタを透過した複数の色の光を、2次元上にマトリクス状に配列された複数の画素のうち対応する画素に結像させて前記複数の色の色データからなる前記第1の画像信号を生成し、
    前記演算手段は、前記複数の色の色データ毎に前記乗算および前記加算を行って、前記複数の色にそれぞれ対応した複数の第4の画像信号を生成し、当該複数の第4の画像信号を用いて前記第3の画像信号を生成する
    請求項に記載の画像処理装置。
  3. 前記複数の色のうち所定の一の色について、前記複数の第1の画像信号に含まれる当該色の色データのサンプリングパターンと、当該色の前記第4の画像信号に含まれる色データのサンプリングパターンとが相似形になるように、前記サンプリング位相を決定する
    請求項に記載の画像処理装置。
  4. 前記演算手段は、
    前記第2の画像信号を、前記サンプリング位相に応じて空間シフトする空間シフト手段と、
    前記空間シフトされた前記複数の第2の画像信号と、当該複数の第2の画像信号にそれぞれ対応する前記複数の複素数とを乗算し、当該乗算の結果を加算してエイリアシング成分が除去された基本スペクトルを算出する基本スペクトル算出手段と、
    前記基本スペクトルを周波数領域から時間領域に変換して前記第3の画像信号を生成する逆変換手段と
    を有する請求項に記載の画像処理装置。
  5. 前記サンプリング位相が相互に異なる複数の第1の画像信号を撮像結果に応じて前記撮像手段が生成できるように、前記撮像手段を物理的、光学的または電気的に移動させる駆動手段
    をさらに有する請求項に記載の画像処理装置。
  6. 前記撮像手段は、単板式のCCDであり、
    前記色フィルタは、原色フィルタまたは補色フィルタである
    請求項に記載の画像処理装置。
  7. サンプリング位相が相互に異なる複数の第1の画像信号を撮像結果に応じて入力する画像入力手段と、
    前記複数の第1のデジタル信号を、所定位相だけ移相して第2のデジタル信号を生成する移相手段と、
    前記サンプリング位相に応じた所定の複数の複素数の実部および虚部をそれぞれ示す複数の実数を記憶する記憶手段と、
    前記第1のデジタル信号と当該第1のデジタル信号に対応する前記実部を示す実数とを乗算して第1の乗算結果を得て、前記第1のデジタル信号に対応する前記第2のデジタル信号と当該第2のデジタル信号に対応する前記虚部を示す実数とを乗算して第2の乗算結果を得て、前記第1の乗算結果と前記第2の乗算結果とを加算してエイリアシング成分が除去された第3のデジタル信号を生成する演算手段と
    を有する画像処理装置。
  8. サンプリング位相が相互に異なる複数の第1の画像信号を撮像結果に応じて生成し、
    第1の画像信号を周波数領域に変換して複数の第2の画像信号を生成し、
    前記複数の第2の画像信号と、当該複数の第2の画像信号にそれぞれ対応する複数の複素数とを乗算し、当該乗算の結果を加算してエイリアシング成分が除去された第3の画像信号を生成する
    画像処理方法。
  9. サンプリング位相に応じた所定の複数の複素数の実部および虚部をそれぞれ示す予め用意された複数の実数を用いて画像処理を行う画像処理方法であって
    サンプリング位相が相互に異なる複数の第1の画像信号を撮像結果に応じて生成し、
    前記複数の第1のデジタル信号を、所定位相だけ移相して第2のデジタル信号を生成し、
    前記第1のデジタル信号と当該第1のデジタル信号に対応する前記実部を示す実数とを乗算して第1の乗算結果を生成し、
    前記第1のデジタル信号に対応する前記第2のデジタル信号と当該第2のデジタル信号に対応する前記虚部を示す実数とを乗算して第2の乗算結果を生成し、
    前記第1の乗算結果と前記第2の乗算結果とを加算してエイリアシング成分が除去された第3のデジタル信号を生成する
    画像処理方法。
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