JP4158014B2 - 蒸散装置及びその容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固形蒸散剤を用いた蒸散装置、特に蒸散用開口部の開度を調整し得る蒸散装置、及びそのための容器に関する。
【0002】
【従来技術】
固形蒸散剤を用いた蒸散装置としては、例えば図6に示すような装置があった。この蒸散装置は、専用の容器に固形蒸散剤を保持したものであり、該容器は、中央部に筒状支柱100を立設した固形蒸散剤載置用の皿状部材110と、下端が開放され、該皿状部材に載せられた固形蒸散剤Aを覆うカバー部材120と、筒状支柱100に対する係合位置を上下方向に調節可能であり、上部をカバー部材120の上端部に結合されたロッド130とを備え、筒状支柱100に対するロッド130の上下位置を変化させることにより、カバー部材120と皿状部材110との間の開度を調節できるようになっている。
【0003】
固形蒸散剤aは、筒状支柱100を直接取り巻くドーナツ状に形成されて皿状部材上に置かれる。或いは、図示のように、上下方向に延びる筒壁a1、底壁a2、及び周壁a3を備えた担持部材に支持され、筒壁a1蒸散装置用容器の筒状支柱100に通して皿状部材110上に載置される。
【0004】
固形蒸散剤aを除く容器及び担持部材の構成要素は、プラスチック製である。ロッド130とカバー部材120とは、ロッド上端から半球状に垂下する固定片131の外周縁とカバー部材120上端の内周縁とに周方向に延びる凹凸部を設け両者の弾性的係合により結合されている。
【0005】
また、ロッド130の筒状支柱100に対する上下位置は、筒状支柱100の上端内周面に形成された環状突起とこれより僅かに径の大きいロッド130との弾性的な嵌合により保持されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の蒸散装置、特にその容器は、ロッド130とカバー部材120との結合を、プラスチック材料の弾性を利用した凹凸部の係合により得ていた。
【0007】
これには、成形時に凹凸部の高い寸法精度が要求される。したがって、陶磁器或いは金属やガラスの鋳造品等のように成形時の寸法精度の低い材料でできたカバー部材を用いた場合は、弾性嵌合によってロッド130と安定的に結合させるのは困難であった。
【0008】
また、ロッド130の筒状支柱100に対する上下位置を、筒状支柱100の環状突起より僅かに径の大きいロッドを用いて、両者の弾性嵌合及びこれに伴う摩擦力により保持していた。これにも、成形時の高い寸法精度が要求される。したがって、カバー部材が陶磁器、金属、ガラス等のように重量の大きい材料で形成された場合は、寸法誤差に起因して必要な保持力が得られないことがあり、位置保持を安定的に行なうことが困難であった。
【0009】
本発明は、従来技術のこれらの問題を解決し、カバー部材の材料がプラスチックに限られることなく、陶磁器、金属、ガラス等を含む広い範囲から選ばれ得る固形蒸散剤用蒸散装置及びその容器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、固形蒸散剤を用いた蒸散装置のための容器であって、中央部に下部支柱を立設した固形蒸散剤載置用の皿状部材と、下端が開放され、該皿状部材に載せられた固形蒸散剤を覆うカバー部材と、前記下部支柱に係合する係合位置を上下方向に調節し得る上部支柱と、該上部支柱の上端部に前記カバー部材を結合するための結合部とを備え、前記下部支柱に対する前記上部支柱の上下位置を変化させることにより、前記カバー部材と前記皿状部材との間の開度を調節可能とされており、前記結合部は、前記上部支柱の上端部を中心として径方向に延び前記カバー部材の上壁内面に弾発力を伴って接する弾性片と、前記カバー部材の外部から該カバー部材の上壁中央部に形成された貫通孔を通して前記上部支柱に係合する固定部材とを備えていることを特徴とする蒸散装置用容器を提供するものである。(第1発明)
本発明はまた、前記目的を達成するため、固形蒸散剤を用いた蒸散装置のための容器であって、中央部に下部支柱を立設した固形蒸散剤載置用の皿状部材と、下端が開放され、該皿状部材に載せられた固形蒸散剤を覆うカバー部材と、前記下部支柱に係合する係合位置を上下方向に調節し得る上部支柱と、該上部支柱の上端部に前記カバー部材を結合するための結合部とを備え、前記下部支柱に対する前記上部支柱の上下位置を変化させることにより、前記カバー部材と前記皿状部材との間の開度を調節可能とされており、前記上部支柱及び下部支柱の一方が筒状部材とされ、他方が該筒状部材の中空部に挿入されるロッドとされ、前記筒状部材のロッド挿入側端部は内周面に係合用突起を備えており、前記ロッドの側面には、前記突起に係合する凸部が上下方向に列をなすように多数形成され、該凸部の列は該ロッド側面の周方向に相互に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする蒸散装置用容器を提供するものである。(第2発明)
前記第2発明は、前記ロッドの凸部の列の間に上下方向に延びる凸条が、前記筒状部材の突起に接触又は接近するように形成されているものとすることができる。
【0011】
本発明はさらに、前記目的を達成するため、上下方向に延びる筒部を備えた担持部材に対し該筒部を取り巻くように固形蒸散剤が支持された蒸散剤カートリッジが、前記筒部を前記いずれかの蒸散装置用容器の下部支柱に通して皿状部材に載置されていることを特徴とする蒸散装置を提供するものである。(第3発明)本明細書において使用する「蒸散」の語は、ゲル状剤組成物等のように液体成分を含む固形蒸散剤の場合に、そこに含まれる液体成分から蒸発した気体の放散をいう他、樟脳等の固体蒸散剤からの昇華による気体の放散もいうものとする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係る蒸散装置用容器を分解して示す図、図2は図1の容器に蒸散剤カートリッジAを取り付けた蒸散装置の断面図である。
【0013】
図示の容器は、中央部に下部支柱10を立設した固形蒸散剤載置用の皿状部材20と、下端が開放され、皿状部材20に載せられた固形蒸散剤を覆うカバー部材30と、下部支柱10に係合する係合位置を上下方向に調節し得る上部支柱40と、上部支柱40の上端部に前記カバー部材を結合するための結合部50とを備えている。
【0014】
皿状部材20は、円環状の底壁21と該底壁の外周縁から起立した側壁22を備えている。
【0015】
下部支柱10は、皿状部材20の内周縁から上方へ筒状に延び、プラスチックにより皿状部材20と一体的に形成されている。下部支柱10は、後述する蒸散剤カートリッジの高さに近い長さとするのが、蒸散剤カートリッジを安定的に保持する上で望ましい。
【0016】
カバー部材30は、カップを倒立させた形状を有し、上端部に固定用の貫通孔31が形成され、該貫通孔の上端部には水平面を伴った段部32が形成されている。また、カバー部材30の内面の上部には円環状に凸をなす段部33が形成されている。カバー部材30は、本装置において最も目に付きやすい部分であるので、これを陶磁器製とすることにより、材料のもつ風合いや特有の美観を呈することができる。この他、ガラス、金属等を用いることもでき、これらの材料に応じた優れた外観を得ることもできる。また、プラスチック製とすることも勿論可能である。カバー部材は、図示の例のように、下部を円筒状、上端を半球状とするものの他、全体を上壁を有した円筒状、角筒状とする等、種々の形状とすることができる。
【0017】
上部支柱40は、筒状の下部支柱10に挿入されるプラスチック製のロッド状とされ、後述する結合部のための構成を有している。
【0018】
結合部50は、上部支柱40の上端から放射状に延びカバー部材30の上壁内面に弾発力を伴って接する複数の弾性片51を備えている。各弾性片51は、上部支柱40からやや上昇気味に延びて先端部が上方へ折れ曲がり当接部52とされている。当接部52は、カバー部材30の段部33に当接するように位置及び寸法が決められている。この例では、弾性片51は、上部支柱40と一体に形成され、十字状に4枚設けられている。或いは、弾性片51は、上部支柱40と別個に設けて上部支柱40と係合するように形成し、金属等、プラスチック以外の材料で構成することも可能である。また、材料や寸法によって、2枚、3枚或いは5枚以上設けることも可能であり、或いは連続した1枚弾性片とすることもできる。
【0019】
結合部50は、さらに固定部材60を備えている。固定部材60は、カバー部材30の貫通孔31に通される棒状部61とその上端のフランジ62とフランジの上部に設けられた装飾部63とを備えている。棒状部61は、下部が中空とされ、先端部は段部を伴った拡径部64とされ、割溝65が設けられている。上部支柱40の上部内面には、拡径部64に係合する環状の段部66が形成されている。棒状部61の上部には、リブ68が形成されており、カバー部材30の貫通孔31の周面に接して位置を安定させるようになっている。
【0020】
固定部材60は、弾性片51をカバー部材30の段部33に押しつけた状態で、カバー部材30の外部から貫通孔31に通し、フランジ62が貫通孔31内の段部32に当接する位置まで挿入すると、拡径部64が上部支柱40内面の段部66に係合して抜け止め作用をなす。図示の状態では、これにより、上部支柱40にカバー部材30が固定されている。
【0021】
フランジ62の下部には、図4に示すように、環状に連続する切欠き67が設けられている。これは、フランジ62と係合するカバー部材30の貫通孔に設けられる段部32が、鋭利な角部を形成し難い場合に、段部32の凹状の角部とフランジ62の下縁部とが干渉するのを避けるためである。特にカバー部材が陶磁器で製造される場合は、凹状の角部が釉薬で丸みを帯びやすいので、切欠き67による干渉の回避が必要である。
【0022】
下部支柱10及び上部支柱40には、次のような上下位置調節のための構造が設けられている。すなわち、筒状の下部支柱10の上端部には内周面に沿う環状の係合用突起11が設けられている。そして、上部支柱40の側面には、図5に示すように、突起11に係合する凸部41が上下方向に列をなすように多数形成されている。この例では、凸部41の列は、該ロッド側面の相互に対抗する位置に2列設けられている。さらに、凸部41の列の間には、上下方向に延びる凸条42が前記突起に接触又は接近するように形成されている。
【0023】
これにより、上部支柱40は、その凸部41が下部支柱10の突起11に係合する位置であれば、両者の係合により任意の位置で保持される。最も下方の凸部41aは、上方の凸部間の間隔より離れて位置している。これにより、上部支柱40が最も上昇した位置に到達したときに、すなわちカバー部材30が最も引き上げられた位置に至ったときに、これを操作者に、当接感として感じとらせることができる。
【0024】
上部支柱40(ロッド)の凸部形成部分又は下部支柱10(筒状部材)の突起形成部分にスリットを設けて弾性変形性の調整をすることができるが、間隔をおいた凸部の列による係合機能を活かすには、これらのスリットはない方が望ましい。
【0025】
凸条42は、通常の使用状態では機能しないか、僅かに上部支柱40の上下動に摩擦抵抗を与えるだけである。しかし、カバー部材30等に不要な大きな外力が作用したときに、カバー部材30の移動を制止する役割をなす。不要な大きな外力は、斜めに上方又は下方から作用することが多い。このような場合には、上部支柱40は下部支柱10の中心位置から外力の方向へ偏心するように移動する。これにより、突起11が上部支柱40の凸条42に食い込み、その結果、上部支柱が外力に沿って上方又は下方へ移動するのが制止されるのである。したがって、カバー部材30と皿状部材20との間の開度が異常に大きく又は小さくなったり、上部支柱40がカバー部材30と共に、下部支柱10から外れたりするのを防止することができる。この大きな外力の作用に対する制止機能が不要の場合は、凸条42を省略することができる。
【0026】
この例では、上部支柱40は、カバー部材30を最下方位置に至らしめたときに下部支柱10の下部付近に達する長さとされており、下端部に拡径部43が形成されている。そして、下部支柱10の内周面には細いリブ12が形成されている。拡径部43は、リブ12に接する寸法とされている。したがって、上部支柱40は、上部を凸部41と突起11との係合、下部を拡径部43とリブ12との接触により支持され、安定的に保持される。このため、凸部41、41a及び凸条42は、上部支柱40の長さ、例えば弾性片51の上端から拡径部43下端までの長さの、上部2/3以内に設けるのが望ましい。
【0027】
弾性片51の下面には、下方へ延びる当接部53が設けられている。この例では、当接部53は、上部支柱40から放射状に延びるリブとして形成されている。この当接部53は、カバー部材30が最下方に至ったときに、蒸散剤カートリッジAの上端部に当接してそれ以上の下降を阻止する役割をなす。このとき、カバー部材30の下端縁は、皿状部材20の上端縁に接する僅かに手前の位置に留まり、例えば1mm程度の隙間をおいた状態となる。これにより、カバー部材30が陶磁器等脆性の高い材料でできている場合に、皿状部材20との当接によるカバー部材30下端部の欠けの発生が防止される。当接部53は、上記リブの他、上部支柱40と間隔を隔て蒸散剤カートリッジの筒壁a1に当接する位置に設けた垂下片とする等、種々の形態とすることができる。尤も、カバー部材30が、金属、セラミックス等、欠けを生じ難い材料でできている場合は、当接部53を省略し、最下降位置でカバー部材の下端部が皿状部材の上端部に当接するようにしてもよい。
【0028】
上記各部品を樹脂で成形する場合、使用する材料としては以下のものを例示することができる。
・ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂
・ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂
・ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル系樹脂
・ポリ酢酸ビニル系樹脂
・ビニルアセタール等のポリビニルアルコール系樹脂
・アクリルアミド等の不飽和カルボン酸系樹脂
・ポリアセタール等のポリオキシメチレン系樹脂
・ポリカーボネイト系樹脂
・ポリアミド系樹脂
・ポリスチレン系樹脂
・ゴム、エラストマー
これらの内、強い弾発力を得やすいポリオレフィン系樹脂が望ましく、特にポリプロピレンを使用するのが望ましい。
【0029】
凸部41と突起11との係合の強さは、両者の材質、凸部及び突起の形状、及び平面視における重なり量等により決まる。上に例示した材料の場合、この重なり量は、直径方向に見た2箇所の内の片側で0.1〜0.2mmとされ、通常は0.15mm程度とされる。重なり量が0.1mmより小さいと、突起11との係合が十分でなく、カバー部材30の重みや僅かな外力でその係合が外れやすい。重なり量が0.2mmより大きいと、突起11との係合が強すぎ、人手によるカバー部材30の高さ調節を行ない難い。この場合、上部支柱40の周面からの凸部41の高さは、0.5mm〜0.7mm程度とするのが望ましい。この例では、上部支柱40の周面の直径10.1mmに対して凸部の外径は11.3mmとされている。すなわち、上部支柱40の周面からの凸部の高さは0.6mmとされている。
【0030】
蒸散剤カートリッジAは、例えば前述の従来のものを使用することができる。すなわち、図示のように、上下方向に延びる筒壁a1、底壁a2及び周壁a3を備えた担持部材と、これに支持された固形蒸散剤とを備えた蒸散剤カートリッジAとすることができる。販売、輸送時にカバーa4を被せてある場合は、そのカバーa4を取り外し、この蒸散剤カートリッジAを、筒壁a1を蒸散装置用容器の下部支柱10に通して皿状部材20上に載置する。固形蒸散剤からの蒸散成分は、開放されたカートリッジから放散される。
【0031】
固形蒸散剤は、従来使用されているものを用いることができ、通常はゲル状剤組成物とされ、有効成分として、芳香剤、防虫剤、害虫や動物の忌避剤、誘引剤、殺菌剤、消臭物質等を含めたものとすることができる。
【0032】
図示の容器に蒸散剤カートリッジを装着して使用するには、以下のようにすればよい。蒸散剤カートリッジAがカバーa4で覆われている場合は、図1に示すように、カバーa4取り外す。そして、蒸散剤カートリッジAの筒壁a1を下部支柱10に通して皿状部材20上に載置する。カバー部材30に対して、上部支柱40を固定部材60により固定する。これには、前述のように、弾性片51をカバー部材30の段部33に押しつけた状態で、固定部材60をカバー部材30の外部から貫通孔31に通し、拡径部64を上部支柱40内面の段部66に係合させる。そして、上部支柱40の下端部を下部支柱10の上端から挿入し、突起11に凸部41を係合させる。その係合位置を調節することにより、カバー部材30と皿状部材20との間の開度を適切にすることができ、必要な蒸散量が得られる。図3は、カバー部材30を持ち上げて蒸散成分の放出用開口部を皿状部材20との間に形成した状態を示している。
【0033】
前記実施形態においては、下部支柱10を筒状部材、上部支柱40を下部支柱に挿入されるロッドとしたが、これを逆にして、上部支柱40を筒状部材、下部支柱10を上部支柱に挿入されるロッドとすることもできる。この場合、係合用の突起11は上部支柱に、凸部41及び凸条42は下部支柱に設けられる。
【0034】
なお、カバー部材を軽量化した場合等、下部支柱と上部支柱との係合強さをさほど求められない場合は、従来の係合構造を採用してもよい。この場合にも、前述の弾性片と固定部材とを備えた結合部による効果により、成形時の寸法精度の制約が軽減され、カバー部材の材料を広い範囲から選択することができる。
【0035】
また、上部支柱とカバー部材との結合を、両部材の精密嵌合により得たり、上部支柱から上方へ延ばしたねじ棒をカバー部材の貫通孔に通してナットで締結する等、前記結合部以外の構造によって得てもよい。この場合にも、前述の上部支柱及び下部支柱における突起、凸部及び凸条による係合効果を得ることにより、カバー部材の重量の制約が軽減され、カバー部材の材料を広い範囲から選択することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果を奏する固形蒸散剤用蒸散装置及びその容器を提供することができる。
【0037】
第1発明に係る蒸散装置用容器は、下部支柱を立設した皿状部材と、皿状部材上の固形蒸散剤を覆うカバー部材と、下部支柱に係合する上部支柱と、該上部支柱の上端部にカバー部材を結合するための結合部とを備えている。そして、上部支柱の上端部にカバー部材を結合するための結合部が、上部支柱の上端部を中心として径方向に延びカバー部材の上壁内面に弾発力を伴って接する弾性片と、カバー部材の外部から該カバー部材の上壁中央部に形成された貫通孔を通して上部支柱に係合する固定部材とを備えている。したがって、カバー部材の寸法精度が高くなく、バラツキがあっても、弾性片が変形し弾発力を伴ってカバー部材に接した状態で固定部材により固定されるので、寸法のバラツキが吸収され、安定した結合を得ることができる。その結果、成型時の寸法精度の制約を軽減でき、カバー部材の材料を陶磁器、金属、ガラス等を含む広い範囲から選択することができる。
【0038】
第2発明に係る蒸散装置用容器も、第1発明と同様に、下部支柱を立設した皿状部材と、皿状部材上の固形蒸散剤を覆うカバー部材と、下部支柱に係合する上部支柱と、該上部支柱の上端部にカバー部材を結合するための結合部とを備えている。そして、第2発明に係る容器は、上部支柱及び下部支柱の一方が筒状部材とされ、他方が該筒状部材の中空部に挿入されるロッドとされ、筒状部材のロッド挿入側端部は内周面に係合用突起を備えており、ロッドの側面には、突起に係合する凸部が上下方向に列をなし、その列は周方向に相互に間隔をおいて複数設けられている。
【0039】
したがって、上部支柱は、その凸部が下部支柱の突起に係合する位置であれば、突起と凸部との係合により、任意の位置で保持される。凸部の列は、周方向に相互に間隔をおいて複数設けられているので、突起との係合強さを十分にし、且つカバー部材の高さ調節の際に凸部と突起との係合位置を容易に変えることができる。凸部がロッドの周方向に連続していると、突起との係合深さを非常に高い精度で製作しないと適切な係合強さと移動容易性を得ることができず、製造が困難である。
【0040】
前記ロッド上の凸部の列の間には、上下方向に延びる凸条が前記突起に接触又は接近するように形成されているのが望ましい。
【0041】
凸条は、カバー部材等に不要な大きな外力が作用し、上部支柱が下部支柱に対して偏心したときに、突起が該凸状に食い込むように作用する。その結果、筒状部材とロッドとの位置関係が外力により急激に変化するのが防止され、カバー部材と皿状部材との間の開度が異常に大きく又は小さくなったり、上部支柱がカバー部材と共に、下部支柱から外れたりするのを防止することができる。
【0042】
第3発明に係る蒸散装置は、上下方向に延びる筒部を備えた担持部材に対し該筒部を取り巻くように固形蒸散剤が支持された蒸散剤カートリッジが、その筒部を蒸散装置用容器の下部支柱に通して皿状部材に載置されている。したがって、前述の蒸散装置用容器の利点を活かした蒸散装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る蒸散装置用容器を分解して示す斜視図である。
【図2】 図1の容器を用いた蒸散装置の縦断面図である。
【図3】 図2に示す蒸散装置について、固形蒸散剤のカバーを外し蒸散用開口を開いた状態を示す縦断面図である。
【図4】 図1の容器に用いる固定部材の斜視図である。
【図5】 図1の容器に用いる上部支柱の斜視図である。
【図6】 従来の蒸散装置の縦断面図である。
【符号の説明】
10 下部支柱
11 突起
20 皿状部材
30 カバー部材
31 貫通孔
40 上部支柱
41 凸部
42 凸条
50 結合部
51 弾性片
60 固定部材
A 蒸散剤カートリッジ

Claims (4)

  1. 固形蒸散剤を用いた蒸散装置のための容器であって、
    中央部に下部支柱を立設した固形蒸散剤載置用の皿状部材と、
    下端が開放され、該皿状部材に載せられた固形蒸散剤を覆うカバー部材と、
    前記下部支柱に係合する係合位置を上下方向に調節し得る上部支柱と、
    該上部支柱の上端部に前記カバー部材を結合するための結合部とを備え、
    前記下部支柱に対する前記上部支柱の上下位置を変化させることにより、前記カバー部材と前記皿状部材との間の開度を調節可能とされており、
    前記結合部は、前記上部支柱の上端部を中心として径方向に延び前記カバー部材の上壁内面に弾発力を伴って接する弾性片と、前記カバー部材の外部から該カバー部材の上壁中央部に形成された貫通孔を通して前記上部支柱に係合する固定部材とを備えていることを特徴とする蒸散装置用容器。
  2. 固形蒸散剤を用いた蒸散装置のための容器であって、
    中央部に下部支柱を立設した固形蒸散剤載置用の皿状部材と、
    下端が開放され、該皿状部材に載せられた固形蒸散剤を覆うカバー部材と、
    前記下部支柱に係合する係合位置を上下方向に調節し得る上部支柱と、
    該上部支柱の上端部に前記カバー部材を結合するための結合部とを備え、
    前記下部支柱に対する前記上部支柱の上下位置を変化させることにより、前記カバー部材と前記皿状部材との間の開度を調節可能とされており、
    前記上部支柱及び下部支柱の一方が筒状部材とされ、他方が該筒状部材の中空部に挿入されるロッドとされ、前記筒状部材のロッド挿入側端部は内周面に係合用突起を備えており、前記ロッドの側面には、前記突起に係合する凸部が上下方向に列をなすように多数形成され、該凸部の列は該ロッド側面の周方向に相互に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする蒸散装置用容器。
  3. 前記ロッドの凸部の列の間に上下方向に延びる凸条が、前記筒状部材の突起に接触又は接近するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の蒸散装置用容器。
  4. 上下方向に延びる筒部を備えた担持部材に対し該筒部を取り巻くように固形蒸散剤が支持された蒸散剤カートリッジが、前記筒部を請求項1から3のいずれかに記載の蒸散装置用容器の下部支柱に通して皿状部材に載置されていることを特徴とする蒸散装置。
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