JP4157292B2 - 光学装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学装置に関し、詳細には、フォトニック結晶構造および電気泳動現象を利用して、光の導波経路を自由に可変可能な導波路などの光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大容量高速通信の技術が急速に進展し、光ファイバーを用いた通信システム「FTTH」(Fiber To The Home)のインフラ整備も整いつつある。また、光情報記録システムも大容量・小型化の要望が高まってきている。このように、光伝送・光インターコネクションといった技術分野の研究が重要になってきている。
【0003】
かかる状況下、1987年にYablonovichにより、フォトニックバンドギャップを有する人工の結晶体である「フォトニック結晶」の概念が提案されている。かかるフォトニック結晶は、これまでにない光学特性を発揮し、今後のフォトニクス技術に多大な貢献をする可能性が大きいという期待もあって、最近活発に研究開発が行なわれている。
【0004】
フォトニック結晶は、屈折率の異なる複数の物質を有した周期構造から成るものであり、作製方法も種々研究されている。その一つが、陽極酸化による規則性多孔質アルミナである。この材料は、アルミナと空気という屈折率の異なる2種類の物質からなり、フォトニック結晶の特性を発揮する。
【0005】
このようなフォトニック結晶を用いた光伝送および光通信技術としては、以下の技術が提案されている。例えば、特開2001−13439号公報では、光ビームを電気的に偏向するための光ビーム偏向機構において、波長可変光源からの光を波長分散性を有するフォトニック結晶に入射および出射させる構成からなり、波長可変光源からの光の波長を可変することにより出射ビームの偏向位置を制御する技術が開示されている。
【0006】
また、特開2001−188138号公報では、光信号を合波および分波するための光モジュールにおいて、陽極酸化アルミナから成るフォトニック結晶と石英などから成るクラッド層を一体的に形成する技術が開示されている。
【0007】
さらに、特開2001−188139号公報では、屈折率の異なる複数の媒質を有した周期構造を成すフォトニック結晶を備え、複数の波長または偏光方向の光が多重化された入射光を光導波路からフォトニック結晶に入射し、凹面の反射面により反射する反射光とフォトニック結晶を透過する透過光とに分離する光モジュールの技術が開示されている。
【0008】
上述した従来技術は、フォトニック結晶を「固定」の状態で使用するものであり、入射する光の波長または入射光のON/OFFを変化させて、「入射光」を変化させることにより、その機能を発現している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フォトニック結晶を「固定」の状態で使用する場合、フォトニック結晶の特性を十分に引き出すことができないという問題がある。また、フォトニック結晶を「固定」の状態で使用する場合、当初に設計した導波経路を変更して使用することができないため、使用上の大きな制約があり、自由度が小さいという問題がある。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、光の導波経路を任意のパターンに容易に制御することが可能な光学装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1にかかる発明は、電気絶縁性の隔壁により構成された微細な周期的構造を有する複数の筒状の孔と、前記孔内にそれぞれ封入された誘電体と、電気泳動現象を利用して、複数の前記誘電体を個別に前記孔内の上下に移動させる電極群と、を備え、前記孔の軸方向に対して略垂直に入射する入射光に対して、フォトニックバンドギャップを発現するフォトニック結晶構造を有する光学装置を提供するものである。上記発明によれば、電気絶縁性の隔壁により構成された微細な周期的構造を有する複数の筒状の孔を形成し、各孔内に移動可能な状態で誘電体を封入し、任意のパターンで複数の孔の誘電体を電気泳動現象を利用して移動させることにより、任意の光導波経路を形成するとともに、孔は、その軸方向に対して略垂直に入射する入射光に対して、フォトニックバンドギャップを発現するフォトニック結晶構造を有することにより、高効率および低損失の光路を形成する。
【0013】
また、請求項2にかかる発明は、電気絶縁性の隔壁により構成された微細な周期的構造を有する複数の筒状の孔と、前記孔内にそれぞれ封入された誘電体と、電気泳動現象を利用して、複数の前記誘電体を個別に前記孔内の上下に移動させる電極群と、を備え、前記電気絶縁性の隔壁は、陽極酸化法により形成される規則性多孔質アルミナにより構成されている光学装置を提供するものである。上記発明によれば、電気絶縁性の隔壁により構成された微細な周期的構造を有する複数の筒状の孔を形成し、各孔内に移動可能な状態で誘電体を封入し、任意のパターンで複数の孔の誘電体を電気泳動現象を利用して移動させることにより、任意の光導波経路を形成するとともに、電気絶縁性の隔壁を陽極酸化法により形成される規則性多孔質アルミナで構成することにより、簡単な方法かつ短時間で規則性多孔質アルミナを製造し、均一で微細な周期構造を容易に得る。
【0015】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記誘電体は、アルミナとすることにしても良い。上記発明によれば、誘電体としてアルミナを用いることにより、欠陥として十分に機能する所望のパターンを形成する。
【0016】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1または2にかかる発明において、前記誘電体は円筒形を呈することにしても良い。上記発明によれば、誘電体を円筒形とすることにより、誘電体の移動をスムーズにして、かつ欠陥として十分に機能する所望のパターンを確実かつ容易に形成する。
【0017】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1または2にかかる発明において、前記誘電体は、球形を呈することにしても良い。上記発明によれば、誘電体を球形とすることにより、誘電体の移動をスムーズにして、かつ欠陥として十分に機能する所望のパターンを確実かつ容易に形成する。
【0019】
また、請求項6にかかる発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1つにかかる発明において、前記孔に電圧を印加して孔内の誘電体を移動させるための対向電極を備え、当該対向電極の少なくとも一方の電極を個別電極として、孔内の誘電体の移動を個別に制御することにしても良い。上記発明によれば、対向電極の少なくとも一方の電極を個別電極として、孔内の誘電体の移動を個別に制御することにより、容易に任意の光経路を作成する。
【0020】
また、請求項7にかかる発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1つにかかる発明において、前記孔に電圧を印加して孔内の誘電体を移動させるための対向電極を備え、当該対向電極をマトリクス状電極として、孔内の誘電体の移動を個別に制御することにしても良い。上記発明によれば、対向電極をマトリクス状電極として、孔内の誘電体の移動を個別に制御することにより、容易に任意の光経路を作成する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明にかかる光学装置の好適な実施の形態を、(構成例1)〜(構成例3)、(実施例1)〜(実施例4)の順に詳細に説明する。
【0022】
(構成例1)
図1は、本発明の光学装置の構成例および動作原理を説明するための概略図である。同図において、説明を簡単にするために、電極および電極周辺の構成の図示を省略している。
【0023】
図1において、1は光学装置、2は微細な周期的構造を有するフォトニック結晶を構成する孔、21は、例えば多孔質アルミナからなる電気絶縁性の隔壁、22は、例えばアルミナからなり、孔(2)に移動可能な状態で封入された誘電体、3は入射光(フォトニック結晶のバンドギャップに相当する波長の光)、4は出射光を示している。
【0024】
同図において、電気絶縁性の隔壁(21)によって仕切られた微細な周期的構造を有し、フォトニック結晶を構成する複数の孔(2)が形成されている。各孔(2)には、誘電体(22)が移動可能な状態で封入されている。本発明では、各孔(2)の誘電体(22)を任意のパターンで移動させることにより、任意の光導波経路を形成する。
【0025】
同図では、孔(2)内の誘電体(22)が、上にある状態と、下にある状態の2つの状態の孔(2)が形成されている。かかる状態で、このフォトニック結晶(孔)のバンドギャップに相当する波長の光(3)を、例えば、フォトニック結晶(孔)の上半分の領域に入射すると、誘電体(22)が下にある状態の孔の領域では、フォトニックバンドギャップを形成しているため、光が伝搬されない。他方、誘電体(22)が上にある状態の孔の領域は、光にとって伝搬可能な欠陥領域となるため、誘電体(22)が上にある状態の孔のパターンに沿って少ない損失率で光が伝搬する。
【0026】
すなわち、入射光(3)は、誘電体(22)が上にある状態の孔(2)の部分のみを伝搬して、出射光(4)として観察される。同図に示す例では、誘電体(22)が上にある状態の孔のパターンが逆L字形に形成されている。このように、孔(2)内の誘電体(22)を任意のパターンで移動させることにより、任意の光の導波経路を形成することが可能となる。
【0027】
図2は、図1の光学装置の断面および対向電極の構成例を追加した図である。同図を参照して、本発明の動作原理を詳細に説明する。同図において、5は、孔(2)の上部に配された上部電極、6は孔(2)の下部に配された下部電極を示している。
【0028】
上部電極(5)は、接地された共通電極となっている。下部電極(6)は、個別電極となっており、各孔(2)毎に電極が設けられている。下部電極(6)は、不図示の駆動回路で駆動され、任意の電極が選択されて電圧が印加される。
【0029】
また、同図において、微細な周期的構造を有する孔(2)に封入される誘電体(22)として、孔(2)に内接する円筒形を呈するアルミナを使用し、アルミナを孔(2)に封入する際の媒質として純水を使用する。
【0030】
アルミナは、水中で強く負に帯電するため、不図示の駆動回路により、所望の下部電極(6)に負の電荷を印加した場合、その孔(2)内のアルミナ(誘電体22)は、電界に反発して上方へと電気泳動する。このように、一方の電極を個別電極にすることにより、任意のパターンで孔(2)内の誘電体を移動させることが可能となる。また、誘電体(22)の形状を、孔(2)に内接する円筒形とすることにより、誘電体の移動をスムーズにでき、光に対する誘電体としての役割も十分に果たすことが可能となる。
【0031】
なお、本発明で電気絶縁性の隔壁(21)として用いる多孔質アルミナは、基本的に陽極酸化法を用いて形成するものであるが、特徴のある手法であるため、最近注目されている技術である。例えば、応用物理(第69巻 第5号 2000年)にも研究報告が掲載されているほか、その他の技術情報誌でも取り上げられている技術である。
【0032】
基本的には、アルミを原料とした陽極酸化法であるが、電解液となる酸や、印加する電圧を制御することにより、高規則性で、高アスペクト比の多孔質アルミナを得るものである。いわゆるシリコンプロセスのようにフォトリソグラフィー+エッチングという複雑で時間のかかるプロセスを用いることなく、自己組織的に孔が形成されるという大きな特徴を有している。
【0033】
(構成例2)
上記構成例1では、微細な周期的構造を有する孔(2)に封入する誘電体の形状として、孔(2)に内接する円筒形のものを用いることとしたが、構成例2では、誘電体の形状として、孔(2)に内接する球形のものを用いた場合について説明する。
【0034】
図3は、移動可能な誘電体の形状を球形にした場合の光学装置の断面を模式的に示した図である。図3において、図2と同等機能を有する部位には同一符号を符してあり、共通する部分の説明は省略する。
【0035】
同図において、22Aは、電気絶縁性の隔壁(21)により仕切られた微細な周期的構造を有する孔(2)に内接する球形を呈する誘電体を示している。誘電体(22A)の粒子径と入射光のビーム径とのマッチングを取って設計することにより、誘電体の形状として球形のものも用いることが可能となる。
【0036】
このように、誘電体の形状を、孔に内接する球形とすることにより、誘電体の移動をスムーズにでき、光に対する誘電体としての役割も十分に果たすことが可能となる。さらに、誘電体が球形の場合は、球形での材料入手が容易であるために、取り扱いが安全で、プロセスが簡便になるという有利な効果がある。
【0037】
(構成例3)
上記構成例1では、上部電極を共通電極、下部電極を個別電極としたが(上記図2参照)、構成例3では、上部電極と下部電極とをマトリクス状に形成してマトリクス駆動を行う場合について説明する。
【0038】
図4は、図1の光学装置に対向電極の構成を追加した概略図である。図4において、図1と同等機能を有する部位には同一符号を符してあり、共通する部分の説明は省略する。
【0039】
図4において、5Aは、ストライプ状に形成され行方向を選択するための上部電極、6Aは、ストライプ状に形成され列方向を選択するための下部電極を示している。上部電極(5A)と下部電極(6A)とは、各孔(2)に対応させて互いに交差するように形成されている。上部電極(5A)と下部電極(6A)は、不図示の駆動回路でマトリクス駆動され、任意の孔が選択されて電圧が印加される。
【0040】
つぎに、上記光学装置を製造するための具体的な実施例(実施例1〜実施例4)を説明する。
(実施例1)
▲1▼多孔質アルミナの形成
5cm×5cm、厚さ0.5mmのアルミ板を下記の条件で陽極酸化を行い、孔径が0.7μm、深さが50μmの多孔質アルミナを形成した。
条件 電解液 :シュウ酸
印加電圧:195V
時間 :1.5時間
【0041】
▲2▼隔壁の形成
▲1▼で形成した多孔質アルミナ板をアルミ側からエッチングを行い、アルミのままの部分を除去して厚さが45μmの隔壁を形成した。エッチング後も隔壁は形状が保たれていた。
【0042】
▲3▼下部の基板および個別電極の形成
下部の基板として厚さが0.6mmのガラス基板(コーニング#1737)を7cm×7cmに切り出し、表面に電極となるITOを公知の手段で成膜し、公知のフォトリソグラフィーとエッチングによりパターニングを行った。その際、選択した各孔に電界が印加できるように、周囲に配線の役割をするためのパターンを引き出し、パッド部となる領域も同時に形成した。
【0043】
▲4▼上部の基板および共通電極の形成
下部の基板および個別電極の形成と同様に、上部の基板として0.6mmのガラス基板(コーニング#1737)を6cm×6cmに切り出し、表面に共通電極となるITOを公知の手段で成膜した。この共通電極にも電圧を印加できるように表面側に配線を引き出した。
【0044】
▲5▼移動可能誘電体の形成
移動可能な誘電体は、アルミナのゾル液を用いたゾルゲル法によりアルミナゾル液を孔の1/2程度の深さまで充填し、約900度で5時間焼結して、略円筒形の誘電体を形成した。焼結の際の収縮でアルミナと隔壁との間にわずかな隙間ができることを事前の実験で確認している。
【0045】
▲6▼実装
上記の作成プロセスで、得た下部基板に隔壁および移動可能誘電体を乗せて、各孔を純水で満たし、更にその上に▲4▼で作成した上部基板を乗せて、周囲をエポキシ樹脂で封止した。
【0046】
▲7▼光導波試験
フォトニックバンドギャップを形成したい領域には電界が印加せずに、導波路部としたい孔に負の電界を印加して欠陥部を形成した。そして、90度曲げとなるように電界を印加する穴を制御し、波長1.5μmのレーザーをビーム径3μmに絞って、得られた光学装置の上半分の領域で欠陥部に入射したところ、上記図1に示した如く、出射光が観察され、その伝達損失は−18dBであった。
【0047】
(実施例2)
▲1▼多孔質アルミナの形成
5cm×5cm、厚さ0.5mmのアルミ板を、下記条件で陽極酸化を行ったところ、孔径が0.8μm、深さが90μmの多孔質アルミナを得ることができた。
条件 電解液 :25%硫酸
印加電圧:45V
時間 :3.5時間
【0048】
▲2▼隔壁の形成
▲1▼で形成した多孔質アルミナ板をアルミ側からエッチングを行い、アルミのままの部分を除去し、厚さが80μmの隔壁を形成した。エッチング後も隔壁の形状は保たれていた。
【0049】
▲3▼下部の基板および個別電極の形成
実施例1と同様に下部の基板として0.6mmのガラス基板(コーニング#1737)を7cm×7cmに切り出し、表面に電極となるITOを公知の手段で成膜し、公知のフォトリソグラフィーとエッチングによりパターニングを行った。その際、選択した孔に電界を印加するために、周囲に配線の役割をするためのパターンを引き出し、パッド部となる領域も同時に形成した。
【0050】
▲4▼上部の基板および共通電極の形成
実施例1と同様に下部の基板および個別電極の形成と同様に、上部の基板として0.6mmのガラス基板(コーニング#1737)を6cm×6cmに切り出し、表面に共通電極となるITOを公知の手段で成膜した。この共通電極にも電圧を印加するために表面側に配線を引き出した。
【0051】
▲5▼動可能誘電体の形成
移動可能な誘電体は、アルミナのゾル液を用いたゾルゲル法によりアルミナゾル液を孔の1/2程度の深さまで充填し、約900度で5時間焼結して、略円筒形の誘電体を形成した。焼結の際の収縮でアルミナと隔壁との間にわずかな隙間ができることを事前の実験で確認している。
【0052】
▲6▼実装
上記の作成プロセスで得た下部基板に、隔壁および移動可能な誘電体を乗せて、各孔を純水で満たし、更にその上に、▲4▼で作成した上部基板を乗せて周囲をエポキシ樹脂で封止した。
【0053】
▲7▼光導波試験
フォトニックバンドギャップを形成したい領域には電界を印加せずに、導波路部としたい孔に負の電界を印加して欠陥部を形成した。このとき90度曲げとなるように電界を印加する穴を制御し、波長1.5μmのレーザーをビーム径3μmに絞って、得られた光学装置の上半分の領域で欠陥部に入射したところ、上記図1に示した如く、出射光が観察され、その伝達損失は−18dBであった。
【0054】
(実施例3)
移動可能な誘電体としてアルミナ粒子(高純度化学社製 Al2O3 99.9% 平均粒径:0.7μm)を用いた以外は、実施例1と同様な実験を行った。
【0055】
▲7▼光導波試験
フォトニックバンドギャップを形成したい領域には電界を印加せずに、導波路部としたい孔に負の電界を印加して欠陥部を形成した。このとき、90度曲げとなるように、電界を印加する穴を制御し、波長1.5μmのレーザーをビーム径2μmに絞って、得られた光学装置の上半分の領域で欠陥部に入射したところ、図1に示した如く、出射光が観察され、その伝達損失は−15dBであった。
【0056】
(実施例4)
▲1▼多孔質アルミナの形成
5cm×5cm、厚さ0.5mmのアルミ板を下記条件で陽極酸化を行ったところ、孔径が0.7μm、深さが50μmの多孔質アルミナを得ることができた。
条件 電解液 :50%リン酸
印加電圧:120V
時間 :2.5時間
【0057】
▲2▼隔壁の形成
▲1▼で形成した多孔質アルミナ板をアルミ側からエッチングを行いアルミのままの部分を除去し、厚さが45μmの隔壁を形成した。エッチング後も隔壁は形状を保っていた。
【0058】
▲3▼下部の基板および個別電極の形成
下部の基板として、厚さが0.6mmのガラス基板(コーニング#1737)を7cm×7cmに切り出し、表面に電極となるITOを公知の手段で成膜した後、公知のフォトリソグラフィーとエッチングによりパターニングを行った。その際、選択した各孔に電界を印加可能とするために、周囲に配線の役割をするためのパターンを引き出し、パッド部となる領域も同時に形成した。
【0059】
▲4▼上部の基板および共通電極の形成
下部の基板および個別電極の形成と同様に、上部の基板として0.6mmのガラス基板(コーニング#1737)を6cm×6cmに切り出し、表面に共通電極となるITOを公知の手段で成膜た。この共通電極にも電圧が印加できるよう表面側に配線を引き出した。
【0060】
▲5▼移動可能誘電体の形成
移動可能誘電体は、アルミナのゾル液を用いたゾルゲル法によりアルミナゾル液を孔の1/2程度の深さまで充填し、約900度で5時間焼結して、略円筒形の誘電体を形成した。焼結の際の収縮でアルミナと隔壁との間にわずかな隙間ができることを事前の実験で確認している。
【0061】
▲6▼実装
上記の作成プロセスで作成した下部基板に、隔壁および移動可能誘電体を乗せて、各孔を純水で満たし、更にその上に▲4▼で作成した上部基板を乗せて、周囲をエポキシ樹脂で封止した。
【0062】
▲7▼光導波試験
フォトニックバンドギャップを形成したい領域には電界を印加せずに、導波路部としたい孔に負の電界を印加して欠陥部を形成した。このとき60度曲げとなるように電界を印加する穴を制御し、波長1.5μmのレーザーをビーム径3μmに絞って、作成した光学装置の上半分の領域で欠陥部に入射したところ、図1に示した如く、出射光が観察され、その伝達損失は−14dBであった。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態によれば、電気絶縁性の隔壁(21)により仕切られた微細な周期的構造を有する孔(2)に、孔内で移動可能な状態で誘電体(22)を封入し、誘電体(22)を任意のパターンで移動させて光の導波経路を可変とすることとしたので、所望の光に対して導波経路を容易に制御することが可能となる。
【0064】
また、上記孔(2)は、その軸方向に対しほぼ垂直に入射する光に対して、フォトニックバンドギャップを発現するフォトニック結晶構造を有しているので、高効率および低損失の光の導波経路を形成することが可能となる。
【0065】
また、孔(2)の電気絶縁性の隔壁(21)を、規則性多孔質アルミナにより構成しているので、均一で微細な周期構造を容易に得ることが可能となる。また、規則性多孔質アルミナを陽極酸化法により形成することとしたので、簡単な方法かつ短時間で規則性多孔質アルミナを製造することが可能となる。
【0066】
また、誘電体(22)を、アルミナで構成することとしたので、欠陥として十分に機能する所望のパターンを形成することが可能となる。また、誘電体(22、22A)の形状を、円筒形または球形であることとしたので、誘電体の移動がスムーズで、かつ欠陥として十分に機能する所望のパターンを確実かつ容易に得ることが可能となる。また、誘電体の移動方法として、電気泳動現象を利用することとしたので、誘電体の移動制御を容易に行うことが可能となる。
【0067】
また、孔に電圧を印加するための電極として、個別電極やマトリクス電極を使用することとしたので、各孔内の誘電体の移動を個別に制御することが可能となり、容易に任意の光導波経路を作成することが可能となる。
【0068】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変形可能である。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1にかかる光学装置によれば、電気絶縁性の隔壁により構成された微細な周期的構造を有する複数の筒状の孔と、前記孔内にそれぞれ封入された誘電体と、電気泳動現象を利用して、複数の前記誘電体を個別に前記孔内の上下に移動させる電極群と、を備え、前記孔の軸方向に対して略垂直に入射する入射光に対して、フォトニックバンドギャップを発現するフォトニック結晶構造を有することとしたので、光の導波経路を任意のパターンに容易に制御することが可能になるとともに、高効率および低損失の光路を形成することが可能な光学装置を提供することが可能となるという効果を奏する。
【0071】
また、請求項2にかかる光学装置によれば、電気絶縁性の隔壁により構成された微細な周期的構造を有する複数の筒状の孔と、前記孔内にそれぞれ封入された誘電体と、電気泳動現象を利用して、複数の前記誘電体を個別に前記孔内の上下に移動させる電極群と、を備え、前記電気絶縁性の隔壁は、陽極酸化法により形成される規則性多孔質アルミナにより構成されていることとしたので、光の導波経路を任意のパターンに容易に制御することが可能になるとともに、簡単な方法かつ短時間で規則性多孔質アルミナを製造し、均一で微細な周期構造を容易に得ることが可能な光学装置を提供することが可能となるという効果を奏する。
【0073】
また、請求項3にかかる光学装置によれば、請求項1または2に記載の発明において、誘電体としてアルミナを用いることとしたので、欠陥として十分に機能する所望のパターンを形成することが可能となる。
【0074】
また、請求項4にかかる光学装置によれば、請求項1または2にかかる発明において、誘電体を円筒形とすることとしたので、誘電体の移動をスムーズに行うことができ、かつ欠陥として十分に機能する所望のパターンを確実かつ容易に形成することが可能となる。
【0075】
また、請求項5にかかる光学装置によれば、請求項1または2にかかる発明において、誘電体を球形とすることとしたので、誘電体の移動をスムーズに行うことができ、かつ欠陥として十分に機能する所望のパターンを確実かつ容易に形成することが可能となる。
【0077】
また、請求項6にかかる光学装置によれば、請求項1〜請求項3のいずれか1つにかかる発明において、孔に電圧を印加して孔内の誘電体を移動させるための対向電極を備え、当該対向電極の少なくとも一方の電極を個別電極として、孔内の誘電体の移動を個別に制御することとしたので、対向電極の少なくとも一方の電極を個別電極として、孔内の誘電体の移動を個別に制御することにより、容易に任意の光導波路を形成することが可能となる。
【0078】
また、請求項7にかかる光学装置によれば、請求項1〜請求項3のいずれか1つにかかる発明において、前記孔に電圧を印加して孔内の誘電体を移動させるための対向電極を備え、当該対向電極をマトリクス状電極として、孔内の誘電体の移動を個別に制御することとしたので、対向電極をマトリクス状電極として、孔内の誘電体の移動を個別に制御することにより、容易に任意の光導波路を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学装置の構成例および動作原理を説明するために概略図である(構成例1)。
【図2】図1の光学装置の断面および対向電極の構成例を追加した図である(構成例1)。
【図3】誘電体の形状を球形にした場合の光学装置の断面を模式的に示した図である(構成例2)。
【図4】図1の光学装置に対向電極の構成を追加した概略図である(構成例3)。
【符号の説明】
1 光学装置
2 孔
21 電気絶縁性の隔壁
22、22A 誘電体
3 入射光
4 出射光
5、5A 上部電極
6、6A 下部電極
Claims (7)
- 電気絶縁性の隔壁により構成された微細な周期的構造を有する複数の筒状の孔と、
前記孔内にそれぞれ封入された誘電体と、
電気泳動現象を利用して、複数の前記誘電体を個別に前記孔内の上下に移動させる電極群と、を備え、
前記孔の軸方向に対して略垂直に入射する入射光に対して、フォトニックバンドギャップを発現するフォトニック結晶構造を有することを特徴とする光学装置。 - 電気絶縁性の隔壁により構成された微細な周期的構造を有する複数の筒状の孔と、
前記孔内にそれぞれ封入された誘電体と、
電気泳動現象を利用して、複数の前記誘電体を個別に前記孔内の上下に移動させる電極群と、を備え、
前記電気絶縁性の隔壁は、陽極酸化法により形成される規則性多孔質アルミナにより構成されていることを特徴とする光学装置。 - 前記誘電体は、アルミナであることを特徴とする請求項1または2に記載の光学装置。
- 前記誘電体は円筒形を呈することを特徴とする請求項1または2に記載の光学装置。
- 前記誘電体は、球形を呈すること特徴とする請求項1または2に記載の光学装置。
- 前記孔に電圧を印加して孔内の誘電体を移動させるための対向電極を備え、当該対向電極の少なくとも一方の電極を個別電極として、孔内の誘電体の移動を個別に制御することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の光学装置。
- 前記孔に電圧を印加して孔内の誘電体を移動させるための対向電極を備え、当該対向電極をマトリクス状電極として、孔内の誘電体の移動を個別に制御することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の光学装置。
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