JP2006243343A - 光学装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】周期的な空隙を有する第一の材料102から成る3次元周期構造物において、空隙に第一の材料とは屈折率の異なる第二の材料106から成る物質を充填、および除去することにより空隙の屈折率を変化させる。
【選択図】図1
Description
また、特開2000−321607号公報(特許文献2参照)に記載の「全光スイッチングデバイス」が提案されているが、この技術は、量子化閉じ込め半導体超微粒子が分散してなるポリマー光導波路構造を有し、光強度に依存した屈折率変化を利用することを特徴とする全光スイッチングデバイスに関するものである。
まず、特許文献1(特開平09-274169号公報)においては、電場の印加および解除により屈折率が可逆的に変化する物質Aと、屈折率が変化しない物質Bとが3次元で周期的に配列してなり、フォトニックバンドギャップ機能を有するものである。
しかし、この技術においては、屈折率が変化する材料として、ポリビオローゲン、ポリチオフェンなどの有機材料であり、かつ、屈折率を変化させる手段が電界を与えるというものであるために、大パワーのレーザー光に対しては光、及び熱損傷が発生して使用できないという問題がある。
しかし、この従来技術も導波路領域はポリマーであるために、大パワーのレーザー光に対しては光、及び熱損傷が発生して使用できないという問題がある。
さらに特許文献3(特開2002-318373号公報)においては、基板上に光透過性媒体からなる2本の光導波路を近接して配置し、一方の光導波路を挟んで電極を平行に配置する。
光透過性媒体は直径が光の波長に対して1桁程度小さい液晶微粒子を、ガラスやポリマー等の光透過性材料に分散してなる。光導波路の電圧印加方向に平行な方向に偏向面を有する直線偏光を入力光として、光導波路にそれぞれ入射させることにより、電圧で制御できる光スイッチを実現するという技術が開示されている。
しかし、液晶材料への電圧印加では、せいぜいm秒オーダーのスイッチング速度しか得られず、高速化への対応ができないという問題がある。
しかしながら、この先行技術においては、凹凸形状を有する微細周期構造は、半導体プロセスで用いられるフォトリソグラフィ、ドライエッチングといった、高価な装置が必須で、工程も多く、複雑な製造プロセスでなければ実現できないといった問題がある。
本発明の目的は、前述のような先行技術の問題点を解決すべくなされたものであり、フォトニック結晶の形成には、高価な装置を必要とせず、また、単純なプロセスで実現できる微粒子の自己組織化現象を利用して形成し、かつ、得られたフォトニック結晶の空隙に媒体を充填あるいは除去することにより屈折率を変化させ、フォトニックバンドギャップの位置を制御するとともに、大パワーのレーザー光であっても光学装置自体の熱損傷を防ぎ、常に安定した特性を発揮させることができる光スイッチ機能を実現する光学装置およびその製造方法を提供することである。
本発明は、高品質の3次元フォトニック結晶を微粒子の規則正しい配列体で形成するものであり、これにより安価な装置そして単純なプロセスを用いて高品質なフォトニック結晶を作製できる。得られたフォトニック結晶の空隙に媒体を充填、除去することによって、フォトニックバンドギャップの位置を制御して、光学装置とするものである。
したがって、このような原理を用いているために、制御する光のエネルギーが非常に大きい、たとえば大パワーレーザーに対しても、高い信頼性をもって使用できるものである。
つまり、空隙に媒体を充填、除去することによって、光の吸収によって発生した熱を効率よく排除し、熱が蓄積されることを確実に防止し、光学装置自体の熱損傷を防ぎ、常に安定した特性を発揮させることができる技術を提供することができる。
請求項2の発明では、大掛かりな製造装置を必要とせず、比較的単純で省エネルギーのプロセスを用いて、高品質のフォトニック結晶を形成するために、微粒子の自己組織化現象を用いた最密充填構造によりこれを実現する。
請求項4の発明では、屈折率の変化する領域の体積を多くし、より高性能の光スイッチング機能を実現させるために、3次元周期構造物を微粒子による最密充填構造により形成した後に、空隙を第三の材料から成る物質を充填し、その後微粒子を選択的に除去することによって得られる微粒子が占めていた領域を空気で置き換えた構造、いわゆるインバースオパール構造であること基本構造として用いることで、これを解決する。
請求項6の発明では、屈折率の変化の制御性を向上させるために、空隙に充填する材料として、第二の材料から成る物質が液体または超微粒子を含む液体を使用することにより、独立に制御して、これを解決する。
請求項8の発明では、安全で取り扱いのしやすいインバースオパール構造を形成するために、3次元周期構造物を微粒子による最密充填構造により形成した後に、空隙に充填する第三の材料として光効果型樹脂または、熱硬化型樹脂を用いることで、これを解決する。
請求項10の発明では、高品質な微粒子最密充填構造を安全にかつ容易に得るために、原料として微粒子を液体に分散させた分散液を用いることで、これを解決する。
請求項11の発明では、高品質な微粒子最密充填構造を安全にかつ容易に得るために、微粒子を分散させた分散液の液性を、微粒子に応じて制御することにより、これを達成する。
請求項13の発明では、光学素子から第二の材料を瞬間的に確実に除去するために、気流を用いることで、これを達成する。
請求項14の発明では、光学素子から第二の材料を除去する際に気流を用いる手段において、制御し易く、確実な除去を実現するために、気体輸送ポンプを用いることで、これを達成する。
請求項16の発明では、光学素子から第二の材料を瞬間的に除去するために、吸引ポンプを用いることで、これを達成する。
請求項2の発明によれば、第一の材料から成る3次元周期構造物が微粒子の最密充填構造であるために、大掛かりな装置を必要とせず、高品質な3次元フォトニック結晶を得ることができる。
請求項3の発明によれば、3次元周期構造物を構成する微粒子が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、などの無機材料、またはポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどの有機材料から選ばれたものであるために、材料が入手しやすく、安全に所望の光学装置を得ることができる。
請求項5の発明によれば、インバースオパール構造における球状の空隙に第二の材料から成る物質を充填、および除去することにより空隙の屈折率を変化させるために、屈折率の変調が大きくでき、非常に大きなフォトニックバンドギャップ位置の変化を実現できる。
請求項6の発明によれば、第二の材料から成る物質が液体または超微粒子を含む液体であるために、流体の実効的な屈折率を自由に設計することができ、目的に応じた光学装置を容易に設計し、確実に実現することができる。
請求項8の発明によれば、インバースオパール構造を形成する手段として、前記3次元周期構造物を微粒子による最密充填構造により形成した後に、空隙に充填する第三の材料が光効果型樹脂または、熱硬化型樹脂を用いるために、比較的簡単なプロセスで、確実にインバースオパール構造を得ることができる。
請求項9の発明によれば、空隙に第一の材料とは屈折率の異なる第二の材料から成る物質を除去する際に、気体の導入により瞬間的に除去を行なうために、第二の材料から成る物質を確実に除去できるとともに、透過した光のエネルギーによって熱が蓄積された場合であっても、その熱を効率よく排除することができ、安定した特性を維持しながら使用できる光学装置が得られる。
請求項11の発明によれば、微粒子を分散させた液体の液性を、基材および微粒子に応じて制御するために、高規則性を有し、欠陥のない高品質な微粒子配列装置が容易に得られる。
請求項13の発明によれば、光学素子に対して第二の材料を除去する機構が、気流を用いたので、瞬間的に微小な空隙にも気流が行き渡り、充填された第二の材料を完全に除去することができる。
請求項14の発明によれば、光学素子から第二の材料を除去する際に、気流を用いる手段として気体輸送ポンプを用いているために、制御性よく第二の材料を除去することができる。
請求項16の発明によれば、光学素子から第二の材料を除去する機構として、吸引ポンプを用いるために、制御性よく第二の材料を除去することができる。
(実施例1)
(1)オパール結晶形成用のセルの準備
厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして、30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねてオパール結晶形成用セルを形成した。
(2)微粒子分散液の作製
純水80mLにコロイダルシリカ(平均粒径=0.3μm 40%)溶液を20mL加え、十分に攪拌して8%のコロイダルシリカ分散液を作製した。
(3)オパール結晶の形成
(1)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に(2)で準備したシリカ微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。また、オパール結晶形成後、窒素雰囲気中で300℃、5時間の熱処理を行って、オパール結晶の固定化を行った。
得られたオパール結晶の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンドギャップ位置は計算値の660.2nmに近い値を示した。この状態で、空隙に対して屈折率が1.25のフロリナート FC72(3M社の製品)を充填し、同様に透過率測定によるフォトニックバンドギャップの位置を求めたところ、計算値の686.2nmに近い値が得られ、約25nmのシフトが確認された。
(5)光スイッチング機能の評価
上記(4)に記述したように、フロリナートを充填する工程と、空気によりそのフロリナートを除去する工程を250m秒の間隔で繰り返し、波長が680nmのレーザー光を照射したところ、フロリナートを充填した際はレーザー光が透過せず、空気でフロリナートを除去したときのみレーザー光が透過する現象を観測でき、光スイッチとして機能していることが確認できた。また、レーザーパワーが300mWという大きなものであっても、15分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
(1)オパール結晶形成用のセルの準備
実施例1と同様に、厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして、30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねてオパール結晶形成用セルを形成した。
(2)微粒子分散液の作製
実施例1とは異なり、純水96mLに酸化チタン微粒子(平均粒径=0.3μm)を4mg加え、十分に攪拌して4%のコロイダルシリカ分散液を作製した。
(3)オパール結晶の形成
上記(1)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に(2)で準備した酸化チタン微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。また、オパール結晶形成後、窒素雰囲気中で900℃、5時間の熱処理を行って、オパール結晶の固定化を行った。
得られたオパール結晶の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンドギャップ位置は計算値の1165.0nmに近い値を示した。この状態で、空隙に対して屈折率が1.25のフロリナート FC72(3M社の製品)を充填し、同様に透過率測定によるフォトニックバンドギャップの位置を求めたところ、計算値の1179.9nmに近い値が得られ、約13nmのシフトが確認された。
(5)光スイッチング機能の評価
上記(4)に記述したように、フロリナートを充填する工程と、空気によりそのフロリナートを除去する工程を250m秒の間隔で繰り返し、波長が1180nmのレーザー光を照射したところ、フロリナートを充填した際はレーザー光が透過せず、空気でフロリナートを除去したときのみレーザー光が透過する現象を観測でき、光スイッチとして機能していることが確認できた。また、レーザーパワーが500mWという大きなものであっても、10分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
(1)オパール結晶形成用のセルの準備
実施例1と同様に、厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして、30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねてオパール結晶形成用セルを形成した。
(2)微粒子分散液の作製
本実施例においては、これまでの実施例とは異なり、微粒子として平均粒径が0.3μmのポリスチレン微粒子を用いた。10wt%濃度のポリスチレン微粒子分散液5mLに対し、純水を5mL加え、十分に攪拌して5%のポリスチレン分散液を作製した。
(3)オパール結晶の形成
上記(1)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に、(2)で準備したポリスチレン微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。また、オパール結晶形成後、窒素雰囲気中で80℃、2時間の熱処理を行って、オパール結晶の固定化を行った。
得られたオパール結晶の空隙に酸化チタンのアルコキシド溶液を充填し、60℃の温度で2時間乾燥した後、電気炉を用いて酸素流量1L/分、900℃の条件で熱処理を行った。この条件の熱処理で、ポリスチレン微粒子が焼失するとともに、アナターゼ型酸化チタン骨格のインバースオパール構造が得られることは事前の実験で確認している。
(5)フォトニックバンドギャップの評価
得られたインバースオパール結晶の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンドギャップ位置は計算値の795.3nmに近い値を示した。この状態で、空隙に対して屈折率が1.25のフロリナート FC72(3M社の製品)を充填し、同様に透過率測定によるフォトニックバンドギャップの位置を求めたところ、計算値の855.8nmに近い値が得られ、60nm以上という大きなフォトニックバンドギャップ位置のシフトが確認された。また、レーザーパワーが300mWという大きなものであっても、15分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
上記(5)に記述したように、フロリナートを充填する工程と、空気によりそのフロリナートを除去する工程を250m秒の間隔で繰り返し、波長が855nmのレーザー光を照射したところ、フロリナートを充填した際はレーザー光が透過せず、空気でフロリナートを除去したときのみレーザー光が透過する現象を観測でき、光スイッチとして機能していることが確認できた。
(1)オパール結晶形成用のセルの準備
実施例3と同様に、厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして、30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねてオパール結晶形成用セルを形成した。
(2)微粒子分散液の作製
実施例3と同様に、微粒子として平均粒径が0.3μmのポリスチレン微粒子を用いた。10wt%濃度のポリスチレン微粒子分散液5mLに対し、純水を5mL加え、十分に攪拌して5%のポリスチレン分散液を作製した。
(3)オパール結晶の形成
実施例3と同様に、上記(1)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に(2)で準備したポリスチレン微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。また、オパール結晶形成後、窒素雰囲気中で80℃、2時間の熱処理を行って、オパール結晶の固定化を行った。
実施例3と同様に、得られたオパール結晶の空隙に酸化チタンのアルコキシド溶液を充填し、60℃の温度で2時間乾燥した後、電気炉を用いて酸素流量1L/分、900℃の条件で5時間の熱処理を行った。この条件の熱処理で、ポリスチレン微粒子が焼失するとともに、アナターゼ型酸化チタン骨格のインバースオパール構造が得られることは事前の実験で確認している。
(5)フォトニックバンドギャップの評価
得られたインバースオパール結晶の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンドギャップ位置は計算値の795.3nmに近い値を示した。また、本実施例ではこれまでの実施例とは異なり、流体として、フロリナートに酸化チタンのナノ粒子(粒径が4〜7nm)を分散させたものを用いた。この流体の平均屈折率は1.8であった。次に空隙に対してこの酸化チタンナノ粒子を分散させた屈折率が1.8のフロリナートを充填し、同様に透過率測定によるフォトニックバンドギャップの位置を求めたところ、計算値の1015.1nmに近い値が得られ、約220nmという大きなフォトニックバンドギャップ位置のシフトが確認された。
上記(5)に記述したように、フロリナートを充填する工程と、空気によりそのフロリナートを除去する工程を250m秒の間隔で繰り返し、波長が1015nmのレーザー光を照射したところ、フロリナートを充填した際はレーザー光が透過せず、空気でフロリナートを除去したときのみレーザー光が透過する現象を観測でき、光スイッチとして機能していることが確認できた。また、レーザーパワーが500mWという大きなものであっても、10分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
(1)オパール結晶形成用のセルの準備
実施例4と同様に、厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして、30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねてオパール結晶形成用セルを形成した。
(2)微粒子分散液の作製
本実施例では、これまでの実施例とは異なり、微粒子としてアルミナを用い、かつ分散液を酸性とした。以下に詳細に説明する。純水100mLにアルミナ微粒子(平均粒径=0.3μm)を5mg液中に分散させ、更に液性を酸性に制御するために、塩酸(関東化学社製 JIS 特級 35.0-37.0%)を200μL添加した。分散液のpHは「2.55」であった。
このようにする理由は、以下のことによる。
つまり、アルミナ微粒子の等電点は一般的に「9.0」といわれているので、純水のように、中性(pH=7.0)の溶液では界面電位がそれほど大きくはない。従って、アルミナ微粒子を制御性良くマイグレーションさせるには、液性を酸性側にして、界面電位を大きくすることが有効である。本発明のごとく、溶液系を用いることにより、液性も制御が可能となり、幅広い材料への応用が可能となるものである。
上記(1)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に(2)で準備したアルミナ微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。
(4)フォトニックバンドギャップの評価
得られたオパール結晶の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンドギャップ位置は計算値の730.9nmに近い値を示した。この状態で、空隙に対して屈折率が1.25のフロリナート FC72(3M社の製品)を充填し、同様に透過率測定によるフォトニックバンドギャップの位置を求めたところ、計算値の754.6nmに近い値が得られ、約24nmのシフトが確認された。
上記(4)に記述したように、フロリナートを充填する工程と、空気によりそのフロリナートを除去する工程を250m秒の間隔で繰り返し、波長が750nmのレーザー光を照射したところ、フロリナートを充填した際はレーザー光が透過せず、空気でフロリナートを除去したときのみレーザー光が透過する現象を観測でき、光スイッチとして機能していることが確認できた。また、レーザーパワーが500mWという大きなものであっても、10分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
(1)オパル結晶形成用のセルの準備
厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして、30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねてオパール結晶形成用セルを形成した。
(2)微粒子分散液の作製
純水80mLにコロイダルシリカ(平均粒径=0.3μm 40%)溶液を20mL加え、十分に攪拌して8%のコロイダルシリカ分散液を作製した。
(3)オパール結晶の形成
上記(1)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に(2)で準備したシリカ微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。また、オパール結晶形成後、窒素雰囲気中で300℃、5時間の熱処理を行って、オパール結晶の固定化を行った。
得られたオパール結晶の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンドギャップ位置は計算値の660.2nmに近い値を示した。この状態で、空隙に対して液体輸送ポンプを用いて屈折率が1.25のフロリナートFC72(3M社の製品)を充填し、同様に透過率測定によるフォトニックバンドギャップの位置を求めたところ、計算値の686.2nmに近い値が得られ、約25nmのシフトが確認された。
(5)光スイッチング機能の評価
本実施例においては、フロリナートを除去する手段として、気体輸送ポンプを用いた気流により行った。上記(4)に記述したようなフロリナートを充填する工程と、気体輸送ポンプを用いた気流によりそのフロリナートを除去する工程を250m秒の間隔で繰り返し、波長が680nmのレーザー光を照射したところ、フロリナートを充填した際にはレーザー光が透過せず、空気でフロリナートを除去したときのみレーザー光が透過する現象を観測でき、光スイッチとして機能していることが確認できた。また、レーザーパワーが300mWという大きなものであっても、15分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
(1)オパール結晶形成分のセルの準備
実施例1と同様に、厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねてオパール結晶形成用セルを形成した。
(2)微粒子分散液の作製
実施例1とは異なり、純水96mLに酸化チタン微粒子(平均粒径=0.3μm)を4mg加え、十分に攪拌して4%のコロイダルシリカ分散液を作製した。
(3)オパール結晶の形成
上記(1)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に(2)で準備した酸化チタン微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。また、オパール結晶形成後、窒素雰囲気中で900℃、5時間の熱処理を行って、オパール結晶の固定化を行った。
得られたオパール結晶の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンバギャップ位置は計算値の1165.0nmに近い値を示した。この状態で、空隙に対して液体輸送ポンプを用いて屈折率が1.25のフロリナートFC72(3M社の製品)を充填し、同様に透過率測定によるフォトニックバンバギャップの位置を求めたところ、計算値の1179.9nmに近い値が得られ、約13nmのシフトが確認された。
(5)光スイッチング機能の評価
本実施例においては、フロリナートを除去する手段として、気体輸送ポンプを用いた気流により行った。上記(4)に記述したように、フロリナートを充填する工程と、気体輸送ポンプを用いた気流により、そのフロリナートを除去する工程を、250秒の間隔で繰り返し、波長が1180nmのレーザー光を照射したところ、フロリナートを充填した際はレーザー光が透過せず、空気でフロリナートを除去したときのみレーザー光が透過する現象を観測でき、光スイッチとして機能していることが確認できた。また、レーザーパワーが500nWという大きなものであっても、10分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
(1)オパール結晶形成用のセルの準備
実施例1と同様に、厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして、30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねてオパール結晶形成用セルを形成した。
(2)微粒子分散液の作製
本実施例においては、これまでの実施例とは異なり、微粒子として平均粒径が0.3μmのポリスチレン微粒子を用いた。10wt%濃度のポリスチレン微粒子分散液5mLに対して、純水を5mL加え、十分に攪拌して5%のポリスチレン分散液を作製した。
(3)オパール結晶の形成
上記(1)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に(2)で準備したポリスチレン微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。また、オパール結晶形成後、窒素雰囲気中で80℃、2時間の熱処理を行って、オパール結晶の固定化を行った。
得られたオパール結晶の空隙に酸化チタンのアルコキシド溶液を充填し、60℃の温度で2時間乾燥した後、電気炉を用いて酸素流量1L/分、900℃の条件で熱処理を行った。この条件の熱処理で、ポリスチレン微粒子が焼失するとともに、アナターゼ型酸化チタン骨格のインバースオパール構造が得られることは事前の実験で確認している。
(5)フォトニックバンドギャップの評価
得られたインバースオパール結晶の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンバギャップ位置は計算値の795.3nmに近い値を示した。この状態で、空隙に対して液体輸送ポンプを用いて屈折率が1.25のフロリナートFC72(3M社の製品)を充填し、同様に透過率測定によるフォトニックバンバギャップの位置を求めたところ、計算値の855.8nmに近い値が得られ、60nm以上という大きなフォトニックバンバギャップ位置のシフトが確認された。また、レーザーパワーが300mWという大きなものであっても、15分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
本実施例においては、フロリナートを除去する手段として、充填圧力:15MPaの窒素ガスボンベの窒素をガスレギュレーターを用いて0.05MPaに減圧して流量を0.03L/分に制御した窒素ガスを用いた。上記(5)に記述したようなフロリナートを充填する工程と、窒素ガスによりそのフロリナートを除去する工程を250m秒の間隔で繰り返し、波長が855nmのレーザー光を照射したところ、フロリナートを充填した際はレーザー光が透過せず、空気でフロリナートを除去したときのみレーザー光が透過する現象を観測でき、光スイッタとして機能していることが確認された。
(1)オパール結晶形成用のセルの準備
実施例3と同様に、厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして、30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねてオパール結晶形成用セルを形成した。
(2)微粒子分散液の作製
実施例3と同様に、微粒子として平均粒径が0.3μmのポリスチレン微粒子を用いた。
10wt%濃度のポリスチレン微粒子分散液5mLに対し、純水を5mL加え、十分に攪拌して5%のポリスチレン分散液を作製した。
(3)オパール結晶の形成
実施例3と同様に、(1)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に(2)で準備したポリスチレン微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。また、オパール結晶形成後、窒素雰囲気中で80℃、2時間の熱処理を行って、オパール結晶の固定化を行った。
実施例3と同様に、得られたオパール結晶の空隙に酸化チタンのアルコキシド溶液を充填し、60℃の温度で2時間乾燥した後、電気炉を用いて酸素流量1L/分、900℃の条件で5時間の熱処理を行った。この条件の熱処理で、ポリスチレン微粒子が焼失するとともに、アナターゼ型酸化チタン骨格のインバースオパール構造が得られることは事前の実験で確認している。
(5)フォトニックバンドギャップの評価
得られたインバースオパール結晶の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンバギャップ位置は計算値の795.3nmに近い値を示した。また、本実施例では、これまでの実施例とは異なり、流体として、フロリナートに酸化チタンのナノ粒子(粒径が4〜7nm)を分散させたものを用いた。この流体の平均屈折率は1.8であった。次に、空隙に対してこの酸化チタンナノ粒子を分散させた屈折率が1.8のフロリナートを液体輸送ポンプを用いて充填し、同様に透過率測定によるフォトニックバンバギャップの位置を求めたところ、計算値の1015.1nmに近い値が得られ、約220nmという大きなフォトニックバンバギャップ位置のシフトが確認された。
本実施例においては、フロリナートを除去する手段として、実施例3と同様に、充填圧力:15MPaの窒素ガスボンベの窒素をガスレギュレーターを用いて0.05MPaに減圧して流量を0.03L/分に制御した窒素ガスを用いた。上記(5)に記述したようなフロリナートを充填する工程と、窒素ガスによりそのフロリナートを除去する工程を250m秒の間隔で繰り返し、波長が1015nmのレーザー光を照射したところ、フロリナートを充填した際にはレーザー光を透過せず、空気でフロリナートを除去したときのみレーザー光が透過する現象を観測でき、光スイッチとして機能していることが確認できた。また、レーザーパワーが500mWという大きなものであっても、10分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
(1)オパール結晶形成用のセルの準備
実施例4と同様に、厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして、30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねてオパール結晶形成用セルを形成した。
(2)微粒子分散液の作製
本実施例では、これまでの実施例とは異なり、微粒子としてアルミナを用い、かつ分散液を酸性とした。以下に詳細に説明する。純水100mLにアルミナ微粒子(平均粒径=0.3μm)を5mg液中に分散させ、更に液性を酸性に制御するために、塩酸(関東化学社製 JIS特級 35.0−37.0%)を200μL添加した。分散液のpHは「2.55」であった。
このようにする理由は、以下のことによる。すなわち、アルミナ微粒子の等電点は一般的に「9.0」といわれているので、純水のように、中性(pH=7.0)の溶液では界面電位がそれほど大きくはない。従って、アルミナ微粒子を制御性良くマイグレーションさせるには、液性を酸性側にして、界面電位を大きくすることが有効である。本発明のように、溶液系を用いることにより、液性も制御が可能となり、幅広い材料への応用が可能となるものである。
上記(1)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に、(2)で準備したアルミナ微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。
(4)フォトニックバンバギャップの評価
得られたオパール結晶の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンバギャップ位置は計算値の730.9nmに近い値を示した。この状態で、空隙に対して液体輸送ポンプを用いて屈折率が1.25のフロリナートFC72(3M社の製品)を充填し、同様に透過率測定によるフォトニックバンバギャップの位置を求めたところ、計算値の754.6nmに近い値が得られ、約24nmのシフトが確認された。
(5)光スイッチング機能の評価
本実施例においては、フロリナートを除去する手段として、これまでの実施例とは異なり、吸引ポンプを用いた。上記(4)に記述したようなフロリナートを充填する工程と、吸引によりそのフロリナートを除去する工程を250m秒の間隔で繰り返し、波長が750nmのレーザー光を照射したところ、フロリナートを充填した際はレーザー光が透過せず、空気でフロリナートを除去したときのみレーザー光が透過する現象を観測でき、光スイッチとして機能していることが確認できた。また、レーザーパワーが500mWという大きなものであっても、10分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
請求項1により得られる光学装置の基本的な構成について、図1(a)、(b)に示している。
図1(a)は、2枚の基板101の間に、第一の材料から成る3次元周期構造物として、微粒子102が最密充填構造で形成されている様子を断面模式図で示したものである。このように、2枚の基板101間に微粒子を用いてオパール結晶を形成する技術は公知の技術を用いれば、容易に形成されるもので、微粒子の自己組織化現象の特徴により、オパール結晶の構造としてはfcc構造、また、2枚の基板に接している面は(111)面となることが知られている。また、このような微粒子の3次元最密充填構造であると、各微粒子間には、連有した微小な空隙が形成されることは容易に想像できるものである。
図1(a)に示した光学装置に対して、上方からある波長の入射光110を入射させた場合を考える。フォトニック結晶の大きな特性であるフォトニックバンドギャップの位置を定性的に計算するには、以下に示すブラッグの式が有効である。
ここで、fcc構造を有するコロイド結晶の(111)面に光が入射する場合、そのフォトニックバンドギャップの波長λは、以下の(1)式で表される。
したがって、微粒子の屈折率と空隙領域の屈折率が既知であれば(1)式、(2)式により、フォトニックバンドギャップの位置の波長(λ)が計算により求めることができる。
図1(a)の具体的な例
微粒子:シリカ微粒子 屈折率 nsphere=1.45、体積分率=0.74 粒径=300nm
空隙充填物:空気 屈折率 nvoid=1.00 体積分率=0.26
これらの値を上記の(1)式、(2)式に代入してフォトニックバンドギャップ位置の波長(λ)を求めると、 λ=660.2(nm)と求められる。
微粒子:シリカ微粒子 屈折率 nsphere=1.45、体積分率=0.74 粒径=300nm
空隙充填物;フロリナート 屈折率 nvoid=1.25 体積分率=0.26
これらの値を上記の(1)式、(2)式に代入してフォトニックバンドギャップ位置の波長(λ)を求めると、 λ=686.2(nm)と求められる。
図2(a)の具体的な例
オパール構造を形成する際に用いた微粒子:粒子径300nmのポリスチレン微粒子
インバースオパールを形成する材料:酸化チタンのアルコキシド
微粒子のあった領域:空気折率 nsphere=1.00、 体積分率=0.74 粒径=300nm
インバースオパール:酸化チタン 屈折率 nvoid=2.70、 体積分率=0.26
これらの値を上記の(3)式、(4)式に代入してフォトニックバンドギャップ位置の波長(λ)を求めると、 λ=795.3(nm)と求められる。
微粒子のあった領域:フロリナート 屈折率 nsphere=1.25、体積分率=0.74 粒径=300nm
インバースオパール:酸化チタン 屈折率 nvoid=2.70、 体積分率=0.26
これらの値を上記の(3)式、(4)式に代入してフォトニックバンドギャップ位置の波長(λ)を求めると、 λ=855.8(nm)と求められる。
次に、請求項12以降により得られる光学装置の基本的構成について、図5〜図8により説明する。
図5(a)は、2枚の基板101の間に、第一の材料からなる3次元周期構造物として、微粒子102が最密充填構造で形成されている様子を断面模式図で示したものである。
このように、2枚の基板間に微粒子を用いてオパール結晶を形成する技術は公知の技術を用いれば、容易に形成されるもので、微粒子の自己組織化現象の特徴によりオパール結晶の構造としてはfcc構造、また、2枚の基板に接している面は(111)面となることが知られている。また、このような微粒子の3次元最密充填構造であると、各微粒子間には、連有した微小な空隙が形成されることは容易に想像できるものである。また、図5(a),(b)においては、屈折率や流動性、および熱伝導性などの特性を考慮した物質を充填または除去のプロセスを行うために、充填する機構、および、除去する機構として、液体輸送ポンプ104、および気流供給部105(図1参照)が連結されて構成されている。
また、その機能を実現するために、この連通した微小な空隙に対して、屈折率や流動性、および熱伝導性などの特性を考慮した物質を充填または除去のプロセスを行うために、充填する機構、および、除去する機構を備えてなる光学装置に関する。
このプロセスに続いて再び図1(a)に示すように、気流供給部105から気流を導入すると、連通した微小な空隙に充填された第二の材料からなる物質は完全に除去されて、初期の状態に戻る。このようなプロセスを繰り返すことにより、光スイッチとしての機能を実現することができる。
図5(a)に示した光学装置に対して上方からある波長の入射光110を入射させた場合を考える。フォトニック結晶の大きな特性であるフォトニックバンドギャップの位置を定性的に計算するには、以下に示すブラッグの式が有効である。
ここで、fcc構造を有するコロイド結晶の(111)面に光が入射する場合、そのフォトニックバンバギャップの波長(λ)は、以下の式で表される。
従って、微粒子の屈折率と空隙領域の屈折率が既知であれば、上記式(1)、式(2)により、フォトニックバンドギャップの位置の波長(λ)が計算により求めることができる。
図5(a)の具体的な例
微粒子:シリカ微粒子,屈折率nsphere=1.45、体積分率=0.74 粒径=300nm
空隙充填物:空気, 屈折率 nvoid=1.00, 体積分率=0.26
これらの値を上記の(1)式、(2)式に代入してフォトニックバンドギャップ位置の波長(λ)を求めると、 λ=660.2(nm)と求められる。
微粒子:シリカ微粒子,屈折率nsphere=1.45、体積分率=0.74、粒径=300nm
空隙充填物:フロリナート,屈折率nvoid=1.25、 体積分率=0.26
これらの値を上記の(1)式、(2)式に代入してフォトニックバンバギャップ位置の波長(λ)を求めると、λ=686.2(nm)と求められる。
オパール結晶の空隙は連通した空隙とは言っても、非常に微細な空隙であるため、その空隙に充填する材料としては、気体、もしくは液体ということになるが、充填された状態と除去された状態の屈折率の差を得るには、充填する材料は液体を選択するのが適している。従って、充填するための必要な構成要素の例としては液体輸送ポンプが挙げられる。当然、液体輸送ポンプに限らず同等の性能を発揮するものであれば、他の構成要素でも何等問題はない。
このような構造にすることにより、体積分率が当初のオパール構造と逆転した構造が得られる。また、インバースオパール構造におけるそれまで微粒子が占めていた領域を空気で置き換えた球状の部分(Air Sphereと呼ばれる)もやはり連通した構造となっているために、このAir Sphereにまた新たな材料を充填、あるいは除去することができる。この特徴を活かした発明は、本発明の請求項4および5に記述している。
図6(a)に示すように、2枚の基板201の間に、微粒子からなる最密充填構造、いわゆるオパール構造を作製し、その後、微粒子間の連通した微小な空隙に、微粒子を構成する材料とは別の材料を充填した後、微粒子のみを選択することによってインバースオパール構造202を得る。具体的な例として、ポリスチレン微粒子を用い、微粒子間の連通した微小な空隙に酸化チタンなどのアルコキシドを充填し、焼成工程を経ることによって、酸化チタンが形成されると同時に、ポリスチレン微粒子が焼失して、その結果、インバースオパール構造が得られる。
図6(a)の具体的な例
オパール構造を形成する際に用いた微粒子:粒子径300nmのポリスチレン微粒子
インバースオパールを形成する材料:酸化チタンのアルコキシド
微粒子のあった領域:空気、屈折率 nsphere=1.00、体積分率=0.74、粒径=300nm
インバースオパール:酸化チタン、屈折率 nvoid=2.70、体積分率=0.26
これらの値を上記の(1)式、(2)式に代入して、フォトニックバンバギャップ位置の波長(λ)を求めると、λ=795.3(nm)と求められる。
微粒子のあった領域:フロリナート、屈折率nsphere=1.25、体積分率=0.74、
粒径=300nm
インバースオパール:酸化チタン、屈折率 nvoid=2.70、体積分率=0.26
これらの値を、上記の(1)式、(2)式に代入してフォトニックバンバギャップ位置の波長(λ)を求めると、λ=855.8(nm)と求められる。
図7(a),(b)および図8(a),(b)は、それらの様子を模式的に示した図である。
それぞれ、図7(a),(b)は図5(a),(b)に、図8(a),(b)は図6(a),(b)に、対応するものとして示してある。
それは、一般的にスイッチングする光のエネルギーが非常に大きい場合、わずかな光吸収であっても、光学装置の温度が上昇することは避けられない。しかしながら、本発明においては、空隙の中を物質が移動するという現象を利用しているために、発生した熱を効率的に系外へ排除してくれる、ということがスイッチングの度に行われることにある。このことにより、光学装置に熱が蓄積されることはなく、例えば大パワーのレーザーであっても十分な信頼性を持って使用できる光学装置を実現できるものである。
この界面電位は微粒子−水系のpHによって大きく変化する。一般に、横軸に水系のpHを、縦軸に界面電位をとると、界面電位は水系のpHによって変化し、界面電位「0」を切る点の水系のpHを「等電点」と定義される。この現象から、一般的に金属酸化物微粒子表面の界面電位は、酸性側では正、アルカリ側では負の極性を取る。しかし、この等電点は材料によって大きく異なり、例えば、コロイダルシリカでは「2.0」、α−アルミナでは「9.0」、ヘマタイトでは「6.7」という値が紹介されている。
102:微粒子オパール
103:空隙
104:液体輸送ポンプ
105:気流供給部
106:流体
110:入射光
111:反射光
112:透過光
201:基板
202:インバースオパール
203:空隙
204:液体輸送ポンプ
205:気流供給部
206:流体
210:入射光
211:反射光
212:透過光
301:基板
302:微粒子オパール
303:空隙
304:液体輸送ポンプ
305:気流供給部
306:流体
310:入射光
311:反射光
312:透過光
401:基板
402:インバースオパール
403:空隙
404:液体輸送ポンプ
405:気流供給部
406:流体
410:入射光
411:反射光
412:透過光
104A:気体
105A:流体
204A:気体
205A:流体
304A:気体
305A:流体
Claims (21)
- 周期的な空隙を有する第一の材料から成る3次元周期構造物において、
前記空隙に前記第一の材料とは屈折率の異なる第二の材料から成る物質を充填、および除去することにより、前記空隙の屈折率を変化する光学素子と、
該光学素子に対して、前記第二の材料を充填、除去する機構と
から構成されて成ることを特徴とする光学装置。 - 前記第一の材料から成る3次元周期構造物が微粒子の最密充填構造であることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
- 前記3次元周期構造物を構成する微粒子が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、などの無機材料、またはポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどの有機材料から選ばれたものであることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
- 前記3次元周期構造物を微粒子による最密充填構造により形成した後に、前記空隙を第三の材料から成る物質を充填し、その後、微粒子を選択的に除去することによって得られる微粒子が占めていた領域を空気で置き換えた構造、いわゆるインバースオパール構造を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学装置の製造方法。
- 前記インバースオパール構造における球状の空隙に、第二の材料から成る物質を充填、および除去することにより空隙の屈折率を変化させることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の光学装置。
- 前記第二の材料から成る物質が、液体または超微粒子を含む液体であることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
- 前記インバースオパール構造を形成する手段として、前記3次元周期構造物を微粒子による最密充填構造により形成した後に、空隙に充填する第三の材料が金属アルコキシドを用いることを特徴とする請求項4に記載の光学装置の製造方法。
- 前記インバースオパール構造を形成する手段として、前記3次元周期構造物を微粒子による最密充填構造により形成した後に、空隙に充填する第三の材料が光効果型樹脂または、熱硬化型樹脂を用いることを特徴とする請求項4に記載の光学装置の製造方法。
- 前記空隙に第一の材料とは屈折率の異なる第二の材料から成る物質を除去する際に、気体の導入により除去を行なうことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
- 前記微粒子の最密充填構造により3次元周期構造物を形成する際に、原料として微粒子を液体に分散させた分散液を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学装置の製造方法。
- 前記微粒子を分散させた分散液の液性を、微粒子に応じて制御して微粒子の最密充填構造により3次元周期構造物を形成することを特徴とする請求項1または請求項10に記載の光学装置の製造方法。
- 前記光学素子に対して前記第二の材料を充填する機構が、液体輸送ポンプを用いたものであることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
- 前記光学素子に対して前記第二の材料を除去する機構が、気流を用いたものであることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
- 前記光学素子に対して前記第二の材料を気流を用いて除去する機構が、気体輸送ポンプの気流を用いたものであることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
- 前記光学素子に対して前記第二の材料を気流を用いて除去する機構が、大気圧以上の圧力を有する気体を用いたものであることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
- 前記光学素子に対して前記第二の材料を除去する機構が、吸引ポンプを用いたものであることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
- 請求項4に記載の光学装置の製造方法により製造されたことを特徴とする光学装置。
- 請求項7に記載の光学装置の製造方法により製造されたことを特徴とする光学装置。
- 請求項8に記載の光学装置の製造方法により製造されたことを特徴とする光学装置。
- 請求項10に記載の光学装置の製造方法により製造されたことを特徴とする光学装置。
- 請求項11に記載の光学装置の製造方法により製造されたことを特徴とする光学装置。
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