JP2006323231A - 光学素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 単純なプロセスで、高品質のフォトニック結晶を作成し、その規則的な空隙に遷移金属酸化物をこれも単純なプロセスで充填することによって、光で光を高速に制御できる光学素子とその製造方法を提供すること。
【解決手段】 2枚の基板101の間に3次元周期構造物として微粒子102による最密充填構造(オパール結晶)を形成し、各微粒子間に連通された微小な空隙に対して遷移金属酸化物103を充填する。入射光110とは異なる波長で、遷移金属酸化物の光学特性を変化させることのできる波長のポンプ光113を入射し、光学素子の光学特性を変化させ、(a)において反射されていた入射光110を(b)に示すように光学素子を透過させ、透過光112として観察する。このような光学特性の変化を利用して、光スイッチとしての機能を実現する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学特性をアクティブに変化させることのできる光学素子に関し、より具体的には、光を用いて3次元周期構造における光学特性を高速に制御することにより光スイッチング機能を有する光学素子及びその製造方法に関するものである。本発明における光学素子は、光スイッチ、光変調器、表示装置などに応用できる。
最近、光学素子としての応用が広いフォトニック結晶に関する研究が活発に行われている。ここでフォトニック結晶について簡単に説明しておく。屈折率が周期的に変化する3次元構造体において、その周期が光の波長のオーダーに近い場合、その2種類の屈折率の差と、周期サイズによって決定されるある波長の光が伝播できないという現象が起こる。この現象をフォトニック結晶におけるフォトニックバンドギャップという。
そして、フォトニック結晶を構成する2種類の物質の屈折率または周期サイズを変化させることにより、フォトニックバンドギャップの位置を制御することが可能となる。このような考え方に基づいて、フォトニックバンドギャップの位置を変化、制御して、光学素子に応用しようとする技術がいくつか提案されている。
例えば、微粒子を用いた光学素子の中で、光スイッチのようにアクティブに光学特性が制御できる光学素子に関する従来技術として、以下に示す特許文献がある。
(a)特開2002−318373号公報「光学材料及び光学材料の製造方法」(特許文献1)
この先行技術は、電場の印加及び解除により屈折率が可逆的に変化する物質Aと、屈折率が変化しない物質Bとが3次元で周期的に配列してなり、フォトニックバンドギャップ機能を有することを特徴とする光学材料に関するものである。
(b)特開2000−321607号公報「全光スイッチングデバイス」(特許文献2)
この先行技術は、量子化閉じ込め半導体超微粒子が分散してなるポリマー光導波路構造を有し、光強度に依存した屈折率変化を利用することを特徴とする全光スイッチングデバイスに関するものである。
(c)特開平09−274169号公報「液晶微粒子分散媒体を用いた導波路型光制御方法及び導波路型光制御用液晶光学素子」(特許文献3)
この先行技術は、基板上に光透過性媒体からなる2本の光導波路を近接して配置し、一方の光導波路を挟んで電極を平行に配置する。光透過性媒体は直径が光の波長に対して1桁程度小さい液晶微粒子をガラスやポリマー等の光透過性材料に分散してなる。
この構成により、光導波路の電圧印加方向に平行な方向に偏向面を有する直線偏光を入力光として光導波路にそれぞれ入射させることにより電圧で制御できる光スイッチが実現するというものである。
また、本出願人によって提案されたフォトニック結晶を利用した光スイッチに関する先行技術として、次の特許文献に開示されたものがある。
(d)特開2004−317540号公報「光学素子及び光学デバイス」(特許文献4)
この先行技術は、基板とこの基板に形成された微細周期構造とを有する光学素子であって、凹凸形状の凹部に電圧が印加される導電性部材を充填することで、凸部分に大きな電界を印加することができ、凸部に設けた電気光学効果を有する材料に、大きな電気光学効果を生じさせることができ、これにより、屈折率を大きく変化させることができるようにしている。
これにより、電気光学効果を用いた小型の光変調器、光アッテネータ等を実現でき、さらに、微細周期構造3全体若しくは一部に、選択的に一定の電界を印加することが可能となり、小型の光ルータ、光偏向器等も実現可能とするものである。
特開2002−318373号公報(特許文献1) 特開2000−321607号公報(特許文献2) 特開平09−274169号公報(特許文献3) 特開2004−317540号公報(特許文献4)
光スイッチのようにアクティブに光学特性が制御できる光学素子に関して提案された上記先行技術には、次のような問題がある。
例えば、特開2002−318373号公報(特許文献1)においては、上述したように、電場の印加及び解除により屈折率が可逆的に変化する物質Aと、屈折率が変化しない物質Bとが3次元で周期的に配列してなり、フォトニックバンドギャップ機能を有することを特徴とする光学材料に関する技術が開示されている。
しかしこの技術においては、屈折率が変化する材料として、ポリビオローゲン、ポリチオフェンなどの有機材料であり、かつ、屈折率を変化させる手段が電界を与えるというものであるために、大パワーのレーザー光に対しては光、及び熱損傷が発生して使用できないという問題がある。
また、特開2000−321607号公報(特許文献2)においては、上述したように、量子化閉じ込め半導体超微粒子が分散してなるポリマー光導波路構造を有し、光強度に依存した屈折率変化を利用することを特徴とする全光スイッチングデバイスに関する技術が開示されている。しかし、この従来技術も導波路領域はポリマーであるために、大パワーのレーザー光に対しては光、及び熱損傷が発生して使用できないという問題がある。
さらに、特開平09−274169号公報(特許文献3)においては、上述したように、基板上に光透過性媒体からなる2本の光導波路を近接して配置し、一方の光導波路を挟んで電極を平行に配置し、光透過性媒体を直径が光の波長に対して1桁程度小さい液晶微粒子をガラスやポリマー等の光透過性材料に分散して形成し、光導波路の電圧印加方向に平行な方向に偏向面を有する直線偏光を入力光として光導波路にそれぞれ入射させることにより電圧で制御できる光スイッチを実現するという技術が開示されている。しかし、液晶材料への電圧印加では、せいぜいm秒オーダーのスイッチング速度しか得られず、高速化への対応ができないという問題がある。
また、本願の出願人が提案した特開2004−317540号公報(特許文献4)に開示されたものは、上述したように、基板とこの基板に形成された微細周期構造とを有する光学素子であって、凹凸形状の凹部に電圧が印加される導電性部材を充填することで、凸部分に大きな電界を印加することができ、凸部に設けた電気光学効果を有する材料に、大きな電気光学効果を生じさせることができ、これにより、屈折率を大きく変化させることができるようにしている。
これにより、電気光学効果を用いた小型の光変調器、光アッテネータ等を実現でき、さらに、微細周期構造3全体若しくは一部に、選択的に一定の電界を印加することが可能となり、小型の光ルータ、光偏向器等も実現可能とするものである。
しかしながら、この先行技術においては、凹凸形状を有する微細周期構造は、半導体プロセスで用いられるフォトリソグラフィ、ドライエッチングといった、高価な装置が必須で、工程も多く、複雑な製造プロセスでなければ実現できないといった問題がある。
本発明は、上述したような先行技術の問題点を解決すべくなされたものであり、フォトニック結晶の形成としては、高価な装置を必要とせず、また、単純なプロセスで実現できる微粒子の自己組織化現象を利用して形成し、かつ、得られたフォトニック結晶の空隙に大きな三次元非線形光学特性を有する遷移金属酸化物を充填する際も、遷移金属酸化物のアルコキシド材料を用いることで、比較的低コストプロセスで実現するものである。
また、自己組織化現象を利用してフォトニック結晶を作成する際には、所望の光の波長に応じた大きさの微粒子を適宜選択すれば、適応できる光の範囲も広く、設計の自由度も高いものである。
このように、本発明の目的は、単純なプロセスで、高品質のフォトニック結晶を作成し、その規則的な空隙に遷移金属酸化物をこれも単純なプロセスで充填することによって、光で光を高速に制御できる光学素子とその製造方法を提供することを目的とするものである。以下、各請求項が解決しようとする課題(目的)について述べる。
a)請求項1記載の発明の目的は、フォトニック結晶における光学特性のシフトを利用した光スイッチング機能を有する光学素子を実現することである。
b)請求項2記載の発明の目的は、大掛かりな製造装置を必要とせず、比較的単純で省エネルギーのプロセスを用いて、高品質のフォトニック結晶を形成することができる光学素子を実現することである。
c)請求項3記載の発明の目的は、高品質な微粒子最密充填構造を安全にかつ容易に得ることができる光学素子を実現することである。
d)請求項4記載の発明の目的は、大きな三次元非線形光学特性を発揮させて高速で光スイッチングを行なえる高性能な光学素子を実現することである。
e)請求項5記載の発明の目的は、規則性の優れた3次元周期構造物を得ることができる光学素子を実現することである。
f)請求項6記載の発明の目的は、光学特性の変化の程度を大きくし、より高性能の光スイッチング機能を実現させることができる光学素子の製造方法を提供することである。
g)請求項7記載の発明の目的は、光学特性の変化の程度を大きくし、より高性能の光スイッチング機能を実現させることができる光学素子の製造方法を提供することである。
h)請求項8記載の発明の目的は、光学特性の変化の程度を大きくし、より高性能の光スイッチング機能を実現させることができる光学素子の製造方法を提供することである。
i)請求項9記載の発明の目的は、高品質な微粒子最密充填構造を安全にかつ容易に得ることができる光学素子の製造方法を提供することである。
j)請求項10記載の発明の目的は、高品質な微粒子最密充填構造を安全にかつ容易に得ることができる光学素子の製造方法を提供することである。
本発明は、上記のごときそれぞれの目的を達成するために、次のような構成を有する。以下、各請求項毎の構成を述べる。
a)請求項1記載の発明は、上述した目的を達成するために、第一の材料と、該第一の材料とは異なる第二の材料を構成材料とする3次元周期構造物からなる光学素子において、少なくとも前記第一の材料あるいは第二の材料のいずれか一方の材料が遷移金属酸化物としたことを特徴とする光学素子である。この光学素子に対し、ポンプ光でプローブ光を高速で制御することで光のスイッチング機能を持たせることができる。
b)請求項2記載の発明は、上述した目的を達成するために、前記遷移金属酸化物からなる領域以外の構造が、微粒子あるいは微粒子が除去された球状の空隙の最密充填構造であることを特徴とするものである。
c)請求項3記載の発明は、上述した目的を達成するために、前記遷移金属酸化物を構成する微粒子の材料として、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの無機材料、またはポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどの有機材料から選ばれたもののうちのひとつを用いるようにしたものである。
d)請求項4記載の発明は、上述した目的を達成するために、遷移金属酸化物として、酸化バナジウム(VO)、酸化クロム(CrO)、酸化マンガン(MnO)、酸化鉄(FeO)、酸化コバルト(CoO)、酸化銅(CuO)の中から選ばれる材料を用いるようにしたものである。
e)請求項5記載の発明は、上述した目的を達成するために、前記遷移金属酸化物の原料として、遷移金属酸化物のアルコキシドを用いるようにしたものである。
f)請求項6記載の発明は、上述した目的を達成するために、微粒子による最密充填構造と遷移金属酸化物からなる3次元周期構造物を形成した後に、前記微粒子を選択的に除去する工程を行なうようにしたものである。
g)請求項7記載の発明は、上述した目的を達成するために、前記微粒子を選択的に除去する工程に加えて、該除去により形成された球状の空隙に、遷移金属酸化物を充填する工程を行うようにしたものである。
h)請求項8記載の発明は、上述した目的を達成するために、前記微粒子を選択的に除去する工程に加えて、該除去により形成された球状の空隙に、微粒子を構成する材料及び遷移金属酸化物のいずれとも異なる第三の材料を充填する工程を行うようにしたものである。
i)請求項9記載の発明は、上述した目的を達成するために、微粒子の最密充填構造により3次元周期構造物を形成する際に、原料として微粒子を液体に分散させた分散液を用いるようにしたものである。
j)請求項10記載の発明は、上述した目的を達成するために、前記微粒子を分散させた分散液の液性を、微粒子に応じて制御して微粒子の最密充填構造により3次元周期構造物を形成するようにしたものである。
本願の発明は、上記構成を採用することにより所期の目的を達成している。以下、各請求項に記載された発明が有する効果を述べる。
a)請求項1記載の発明の効果
請求項1においては、第一の材料と、該第一の材料とは異なる第二の材料を構成材料とする3次元周期構造物からなる光学素子において、少なくとも前記第一の材料あるいは第二の材料のいずれか一方の材料が遷移金属酸化物としたことを特徴としているために、光を用いた光学特性の制御が可能な光学素子を得ることができる。
b)請求項2記載の発明の効果
請求項2においては、前記遷移金属酸化物からなる領域以外の構造が、微粒子あるいは微粒子が除去された球状の空隙の最密充填構造であることを特徴としているために、大掛かりな装置を必要とせず、高品質な3次元フォトニック結晶を得ることができる。
c)請求項3記載の発明の効果
請求項3においては、前記遷移金属酸化物を構成する微粒子の材料として、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの無機材料、またはポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどの有機材料から選ばれたもののうちのひとつを用いるようにしたことを特徴としているために、材料が入手しやすく、安全に所望の光学素子を得ることができる。
d)請求項4記載の発明の効果
請求項4においては、遷移金属酸化物として、酸化バナジウム(VO)、酸化クロム(CrO)、酸化マンガン(MnO)、酸化鉄(FeO)、酸化コバルト(CoO)、酸化銅(CuO)の中から選ばれる材料を用いるようにしたことを特徴としているために、いずれも三次元非線形感受性χ(3)が大きい材料であるために、光学特性の高速制御が可能となる。
e)請求項5記載の発明の効果
請求項5においては、前記遷移金属酸化物の原料として、遷移金属酸化物のアルコキシドを用いるようにしたために規則性に優れた3次元周期構造物を得ることができる。
f)請求項6記載の発明の効果
請求項6においては、微粒子による最密充填構造と遷移金属酸化物からなる3次元周期構造物を形成した後に、前記微粒子を選択的に除去する工程を行なうようにしたことを特徴としているために、光学特性の変化の程度を大きくし、より高性能の光スイッチング機能を実現させることができる。
g)請求項7記載の発明の効果
請求項7においては、前記微粒子を選択的に除去する工程に加えて、該除去により形成された球状の空隙に、遷移金属酸化物を充填する工程を行うようにしたことを特徴としているために、光学特性の変化の程度を大きし、より高性能の光スイッチング機能を実現させることができる。
h)請求項8記載の発明の効果
請求項8においては、前記微粒子を選択的に除去する工程に加えて、該除去により形成された球状の空隙に、微粒子を構成する材料及び遷移金属酸化物のいずれとも異なる第三の材料を充填する工程を行うようにしたことを特徴としているために、光学特性の変化の程度を大きし、より高性能の光スイッチング機能を実現させることができる。
i)請求項9記載の発明の効果
請求項9においては、微粒子の最密充填構造により3次元周期構造物を形成する際に、原料として微粒子を液体に分散させた分散液を用いるようにしたことを特徴としているために、高品質のフォトニック結晶が容易に得られる。
j)請求項10記載の発明の効果
請求項10においては、前記微粒子を分散させた分散液の液性を、微粒子に応じて制御して微粒子の最密充填構造により3次元周期構造物を形成するようにしたために、高規則性を有し欠陥のない高品質な微粒子配列装置が容易に得られる。
(発明の概要)
本発明は、光スイッチや光フィルターなどの光学素子及びその製造方法に関わるものであり、特にフォトニック結晶の特性と、遷移金属酸化物の大きな三次元非線形光学特性を有効に組み合わせて光学特性を光で制御することにより高速に光のスイッチングを実現できる光学素子を提供するものである。
本発明は、高品質の3次元フォトニック結晶を微粒子の規則正しい配列体で形成するものであり、これにより安価な装置そして単純なプロセスを用いて高品質なフォトニック結晶を作製できるという特徴を有しているものである。
さらに、得られたフォトニック結晶の空隙に、大きな三次元非線形光学特性を有する遷移金属酸化物もまた規則的に充填することによって優れた特性が安定して得られる光学素子を実現するものである。
したがって、このような原理を用いているために、制御する光のエネルギーはそれほど大きいエネルギーをもつものは必要なく、一般的に使用されている性能のレーザー光源が使える点でも大きな利点となるものである。また、光で光を制御するものであるために、高速で制御でき、使用上の配置関係などの自由度も非常に高いものとなる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
<実施例1>(実施例1参照)
(a)オパール結晶形成用のセルの準備
厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして、30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねて、オパール結晶形成用セルを形成した。
(b)微粒子分散液の作製
純水80mLにコロイダルシリカ(平均粒径=0.3μm 40%)溶液を20mL加え、十分に攪拌して8%のコロイダルシリカ分散液を作製した。
(c)オパール結晶の形成
上記(a)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に、上記(b)で準備したシリカ微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。また、オパール結晶形成後、窒素雰囲気中で300℃、5時間の熱処理を行って、オパール結晶の固定化を行った。
(d)遷移金属酸化物の充填
上記工程により作製したサンプルに対し、遷移金属酸化物の原料として酸化コバルトのアルコキシドを静かに充填し、大気中、60℃で1時間乾燥させ、電気炉を用いて酸素流量1L/分、400℃の条件で熱処理を行った。
(e)フォトニックバンドギャップの評価
上記(d)の工程を経て得られた酸化コバルトを充填したオパール結晶の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンドギャップ位置は計算値の873.7nmに近い値を示した。
(f)光スイッチング機能の評価
これまでの工程により得られた光学素子に対して、波長532nmのパルスレーザー(パルス幅=9ns)を照射し、フォトニックバンドギャップを評価したところ、そのギャップ位置の波長は、計算値の896.3nmに近い値を示すことが確認でき、光スイッチとして機能していることが確認できた。また、レーザーパワーが300mWという大きなものであっても、15分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
<実施例2>(図2参照)
(a)オパール結晶形成用のセルの準備
実施例1と同様に、厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして、30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねてオパール結晶形成用セルを形成した。
(b)微粒子分散液の作製
実施例1と同様に、純水80mLにコロイダルシリカ(平均粒径=0.3μm 40%)溶液を20mL加え、十分に攪拌して8%のコロイダルシリカ分散液を作製した。
(c)オパール結晶の形成
上記(a)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に、上記(b)で準備したシリカ微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。また、オパール結晶形成後、窒素雰囲気中で300℃、5時間の熱処理を行って、オパール結晶の固定化を行った。
(d)遷移金属酸化物の充填
実施例1と同様に、上記の工程を経たサンプルに対し、遷移金属酸化物の原料として酸化コバルトのアルコキシドを静かに充填し、大気中、60℃で1時間乾燥させ、電気炉を用いて酸素流量1L/分、400℃の条件で熱処理を行った。
(e)インバースオパールの形成
続いて、上記(d)の工程を経たサンプルを、5%フッ酸中に24時間浸漬して、シリカ微粒子をエッチングにより除去した。この条件の熱処理で、シリカ微粒子が焼失するとともに、酸化コバルト骨格のインバースオパール構造(空隙構造)が得られることは事前の実験で確認している。
(f)フォトニックバンドギャップの評価
上記(d)の工程を経て得られた酸化コバルトで形成されたインバースオパール構造の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンドギャップ位置は計算値の753.4nmに近い値を示した。
(g)光スイッチング機能の評価
これまでの工程により得られた光学素子に対して、波長532nmのパルスレーザー(パルス幅=9ns)を照射し、フォトニックバンドギャップを評価したところ、そのギャップ位置の波長は、計算値の779.5nmに近い値を示すことが確認でき、光スイッチとして機能していることが確認できた。また、レーザーパワーが300mWという大きなものであっても、15分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
<実施例3>(図3参照)
(a)オパール結晶形成用のセルの準備
実施例1と同様に、厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして、30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねてオパール結晶形成用セルを形成した。
(b)微粒子分散液の作製
本実施例においては、これまでの実施例とは異なり、微粒子として平均粒径が0.3μmのポリスチレン微粒子を用いた。10wt%濃度のポリスチレン微粒子分散液5mLに対し、純水を5mL加え、十分に攪拌して5%のポリスチレン分散液を作製した。
(c)オパール結晶の形成
上記(a)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に、上記(b)で準備したポリスチレン微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。また、オパール結晶形成後、窒素雰囲気中で80℃、2時間の熱処理を行って、オパール結晶の固定化を行った。
(d)シリカによるインバースオパール結晶の形成
得られたオパール結晶の空隙にTEOS(テトラエトキシシランン)を充填し、60℃の温度で1時間乾燥した後、電気炉を用いて酸素流量1L/分、800℃の条件で熱処理を行った。この条件の熱処理で、ポリスチレン微粒子が焼失するとともに、シリカ骨格のインバースオパール構造が得られることは事前の実験で確認している。
(e)球形の空隙への酸化コバルトの充填
上記(d)の工程により得られたシリカ骨格のインバースオパール構造における球形の空隙に対して、遷移金属酸化物として酸化コバルトのアルコキシドを静かに充填し、大気中、60℃で1時間乾燥させ、電気炉を用いて酸素流量1L/分、400℃の条件で熱処理を行った。
(f)シリカ骨格の除去
上記(e)の工程により、球形の空隙が酸化コバルトにより充填されたサンプルに対して、5%フッ酸によるエッチング処理を行い、シリカの骨格のみを選択的に除去し、配列した粒子状の酸化コバルトからなる3次元周期構造物が得られた。
(e)フォトニックバンドギャップの評価
上記(f)の工程を経て得られた配列した粒子状の酸化コバルトからなる3次元周期構造物の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンドギャップ位置は計算値の1082.8nmに近い値を示した。
(f)光スイッチング機能の評価
これまでの工程により得られた光学素子に対して、波長532nmのパルスレーザー(パルス幅=9ns)を照射し、フォトニックバンドギャップを評価したところ、そのギャップ位置の波長は、計算値の1134.1nmに近い値を示すことが確認でき、光スイッチとして機能していることが確認できた。また、レーザーパワーが300mWという大きなものであっても、15分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
<実施例4>(図1参照)
(a)オパール結晶形成用のセルの準備
実施例3と同様に、厚さが45μmの薄板ガラスをスペーサーとして、30mm×30mm 厚さ1mmの合成石英を2枚重ねてオパール結晶形成用セルを形成した。
(b)微粒子分散液の作製
これまでの実施例とは異なり、微粒子として平均粒径が0.3μmのアルミナ微粒子を用いた。10wt%濃度のアルミナ微粒子分散液5mLに対し、純水を5mL加え、十分に攪拌して5%のアルミナ分散液を作製した。
(c)オパール結晶の形成
上記(a)で準備したオパール結晶成長用セルのギャップ領域に、上記(b)で準備したアルミナ微粒子の分散液を充填して、密閉容器内でゆっくりと乾燥させて、オパール結晶を形成した。
(d)遷移金属酸化物の充填
上記の工程を経たサンプルに対し、遷移金属酸化物として酸化コバルトのアルコキシドを静かに充填し、大気中、60℃で1時間乾燥させ、電気炉を用いて酸素流量1L/分、400℃の条件で熱処理を行った。
(e)フォトニックバンドギャップの評価
得られたオパール結晶の透過率を評価したところ、そのフォトニックバンドギャップ位置は計算値の928.4nmに近い値を示した。
(f)光スイッチング機能の評価
これまでの工程により得られた光学素子に対して、波長532nmのパルスレーザー(パルス幅=9ns)を照射し、フォトニックバンドギャップを評価したところ、そのギャップ位置の波長は、計算値の949.7nmに近い値を示すことが確認でき、光スイッチとして機能していることが確認できた。また、レーザーパワーが300mWという大きなものであっても、15分間の連続動作においても熱損傷などの問題は全く認められなかった。
(構成と動作の説明)
次に、本発明の構成及び動作について、図面を用いて詳細に説明する。
請求項1により得られる本発明の光学素子の基本的な構成を、図1(a)、(b)に示している(実施例1に対応)。
図1(a)は、2枚の基板101の間に3次元周期構造物として、微粒子102による最密充填構造(オパール結晶)が形成されている様子を断面模式図で示したものである。
このように、2枚の基板101の間に微粒子を用いてオパール結晶を形成する技術は公知の技術を用いれば容易に形成されるもので、微粒子の自己組織化現象の特徴により、オパール結晶の構造としてはfcc構造、また、2枚の基板101に接している面は(111)面となることが知られている。また、このような微粒子の3次元最密充填構造では、各微粒子間に連通した微小な空隙が形成されることとなる。
本発明の第一の特徴は、この連通した微小な空隙に対して遷移金属酸化物103を充填し、その遷移金属酸化物103の光学特性の変化を光を用いて制御することにより、光学素子全体としての光学特性の変化を発現させ、その結果光のスイッチングやフィルタリングを行なうものである。
図1(b)は、入射光110とは異なる波長で、遷移金属酸化物の光学特性を変化させることのできる波長のポンプ光113を入射したときの様子を示した図である。このようにポンプ光113を入射することにより、光学素子の光学特性が変化し、図1(a)において反射されていた入射光110が図1(b)に示したように光学素子を透過することができ、透過光112として観察される。このような光学特性の変化を利用して、光スイッチとしての機能を実現することができる。
次に、上述したスイッチングのメカニズムを、数式を用いて詳細に説明する。
先に述べた微粒子による最密充填構造(オパール結晶)はフォトニック結晶の特性を示すことが知られている。特に、光の波長と同程度の周期構造を有する場合、その周期性及び屈折率変調によって決定されるある波長の光が伝播できないという「フォトニックバンドギャップ」特性が現れる。
これについて、図1を用いて説明する。
図1(a)に示した光学素子に対して上方からある波長の入射光110を入射させた場合を考える。フォトニック結晶の大きな特性であるフォトニックバンドギャップの位置を定性的に計算するには、以下に示すブラッグの式が有効である。
ここで、fcc構造を有するコロイド結晶の(111)面に光が入射する場合、そのフォトニックバンドギャップの波長(λ)は、以下の(1)式で表される。
Figure 2006323231
ここで、naは、以下の(2)式で表される。
Figure 2006323231
ここで、dは微粒子間距離、θは光の入射角度、naは平均屈折率、nsphereとnvoid は、それぞれ微粒子の屈折率と空隙の屈折率、f は微粒子の体積分率である。
図1に示したように、基板101に対して垂直に入射する入射光110を考える場合、θ=0°であるからsinθ=0となる。また、最密充填状態のfcc構造における微粒子の体積分率fは0.74と計算から求めることができ、このことから(1−f)の値は0.26と求められる。
したがって、微粒子の屈折率と空隙領域の屈折率が既知であれば(1)式、(2)式により、フォトニックバンドギャップの位置の波長(λ)を計算により求めることができる。
(具体例の説明)
次に、図1(a)、(b)を用いて具体的に例を挙げて説明する。
図1(a)の具体的な例
微粒子:シリカ微粒子 屈折率nsphere=1.45、体積分率=0.74 粒径=300nm
空隙充填物:酸化コバルト 屈折率nvoid=2.5 体積分率=0.26
これらの値を、上記の(1)式、(2)式に代入してフォトニックバンドギャップ位置の波長(λ)を求めると、λ=873.7(nm)と求められる。
つまり、この状態では波長873.7nm付近であるようなプローブ光は光学素子中を伝播できずに、すべて反射されて反射光(111)として観察される。
次に、図1(b)の具体的な例として、ポンプ光113を照射して酸化コバルトの屈折率が5%増大し、2.2625になった場合について説明する。
微粒子:シリカ微粒子 屈折率nsphere=1.45、体積分率=0.74 粒径=300nm
空隙充填物;酸化コバルト 屈折率nvoid=2.2625 体積分率=0.26
これらの値を、上記の(1)式、(2)式に代入してフォトニックバンドギャップ位置の波長(λ)を求めると、λ=896.3(nm)と求められる。
したがって、粒径が300nmのシリカ微粒子を用いた最密充填構造の空隙に遷移金属酸化物である酸化コバルトを充填し、ポンプ光113を照射することによってその屈折率を変化させることにより、フォトニックバンドギャップ位置の波長が約23nmシフトする。
この現象を利用することにより、図1(a)に示したごとく、ポンプ光を照射しない状態では、フォトニックバンドギャップ位置の波長と一致する873.7nmの入射光110は完全に反射光111として反射され、光学素子を通過することができなかったのに対し、図1(b)に示したごとくポンプ光113を照射することにより、フォトニックバンドギャップの位置がシフトし、プローブ光(入射光110)は透過し、透過光112として観察できるようになる、このように光スイッチとしての機能が実現できる。
一般的に、微粒子の自己組織化現象を利用して得られたオパール結晶は、その機械的強度は低く、本発明にようにその空隙にある種の材料を充填するというような工程を行なうと、オパール結晶が崩れるという問題が起こる場合がある。
このような場合には、適当な処理、たとえば、シリカ微粒子を用いた場合には300℃程度の熱処理を加えることによって、その強度は増し、本発明のように空隙に材料を充填しても崩れるという問題を容易に解決することができる。
当然、どのような処理を行なうかは使用する微粒子の材質によって、適宜選択させるべきものであって、たとえばポリスチレン微粒子を用いた場合には80℃程度の熱処理で十分である。
次に、本発明の第二の特徴であるインバースオパール構造を利用する例について説明する。
微粒子の最密充填構造により形成される連通した微小な空隙に、微粒子を構成する材料とは別の材料を充填後、必要に応じ固化した後に、微粒子のみを選択除去することにより、それまで微粒子が占めていた領域を空気で置き換えた構造(これはインバースオパール構造と呼ばれる)を容易に形成できることは広く知られている。このような構造にすることにより、体積分率が当初のオパール構造と逆転した構造が得られる。
また、インバースオパール構造におけるそれまで微粒子が占めていた領域を空気で置き換えた球状の部分(Air Sphereと呼ばれる)もやはり連通した構造となっているために、このAir Sphereにまた新たな材料を充填することができる。この特徴を活かした発明が本発明の請求項5及び6に記述してある。
また、先に、材料を充填した際のオパール結晶の崩れの問題の解決策として、熱処理などの処理を紹介したが、このようなインバースオパール構造では、インバースオパール構造を形成する際にある種の固定化手段がなされているので、インバースオパール構造を利用する場合には、構造の崩れの心配はない。
たとえば、酸化コバルトからなるインバースオパール構造を形成する場合には、酸化コバルトのアルコキシド溶液を充填、乾燥後、一般的には400℃以上の熱処理を行って強固な酸化コバルトによるインバースオパール構造を形成できるものである。
インバースオパール構造を利用して光スイッチを実現する場合について、図2(a)、(b)を用いて説明する(実施例2参照)。
図2(a)に示したごとく、2枚の基板201の間に、微粒子から成る最密充填構造、いわゆるオパール構造を作製し、その後、微粒子間の連通した微小な空隙に、微粒子を構成する材料とは別の材料(遷移金属酸化物202)を充填後、微粒子のみを選択除去することによって空隙204を有するインバースオパール構造を得る。
同図において、210は入射光、211は反射光、212は透過光、213はポンプ光、202は遷移金属酸化物である。
具体的な例として、ポリスチレン微粒子を用い、微粒子間の連通した微小な空隙に酸化コバルトなどのアルコキシドを充填し、焼成工程を経ることによって、酸化コバルトが形成されると同時にポリスチレン微粒子が焼失して、その結果インバースオパール構造が得られる。
このような場合のフォトニックバンドギャップの位置のシフトについて、先ほどと同様に、先に挙げた(1)式、(2)式にを用いてフォトニックバンドギャップの位置の波長(λ)を求めてみると以下のようになる。
図2(a)の具体的な例
オパール構造を形成する際に用いた微粒子:粒子径300nmのポリスチレン微粒子
インバースオパールを形成する材料:酸化チタンのアルコキシド
微粒子のあった領域:空気 屈折率nsphere=1.00、 体積分率=0.74 粒径=300nm
インバースオパール:酸化コバルト 屈折率 nvoid=2.5、 体積分率=0.26
これらの値を上記の(1)式、(2)式に代入してフォトニックバンドギャップ位置の波長(λ)を求めると、λ=753.4(nm)と求められる。
次に、図2(b)の具体的な例として
微粒子のあった領域:空気 屈折率nsphere=1.00、体積分率=0.74 粒径=300nm
インバースオパール:酸化コバルト 屈折率nvoid=2.2625、 体積分率=0.26
これらの値を上記の(1)式、(2)式に代入してフォトニックバンドギャップ位置の波長(λ)を求めると、λ=779.5(nm)と求められる。
したがって、粒径が300nmのポリスチレン微粒子の最密充填構造を用いて形成したインバースオパール構造の球状の空隙に、空気を充填するか、フッ素系不活性液体であるフロリナート(登録商標)を充填するかにより、フォトニックバンドギャップ位置の波長が約26nmシフトする。このように単純なオパール構造を利用する場合に比べて、インバースオパール構造を利用すると、わずかに大きなフォトニックバンドギャップ位置のシフトを実現することができる。
この現象を利用することにより、図2(a)に示したごとくポンプ光を照射しない状態では、フォトニックバンドギャップ位置の波長と一致する753.4nmの光(入射光210)は反射光211として完全に反射されて、光学素子を通過することができなかったのに対し、フォトニックバンドギャップ位置の波長と一致する855.8nmの光は反射光211として完全に反射されてしまい、光学素子を通過することができなかったのに対し、図2(b)に示したごとくポンプ光213を照射することにより、フォトニックバンドギャップの位置がシフトし、プローブ光(入射光210)は透過し、透過光212として観察できるようになる。このように光スイッチとしての機能が実現できる。
本発明の特徴は、上に述べたように、オパール構造、あるいはインバースオパール構造の微細な空隙に遷移金属酸化物からなる材料を充填し、それに対してポンプ光を照射することにより屈折率を変化させることによってフォトニックバンドギャップ位置のシフトを制御し、スイッチング機能などを発現する光学素子を実現するものである。
さらに、本発明においては、一度インバースオパール構造を形成したのちに、Air Sphereと呼ばれる微粒子が占めていた領域を空気で置き換えた球状の部分に遷移金属酸化物のアルコキシドを充填し、焼結することによって、当初別の材料で形成されていた微粒子の最密充填構造を遷移金属酸化物の微粒子による最密充填構造とすることも可能である。これは、遷移金属酸化物のアルコキシドを用いるという本発明の特徴を利用すれば容易に実現できるものである。そのような構造の例を、図3(a)、(b)に示す(実施例3に対応)。
同図において、301は基板、302は遷移金属酸化物、305は第三の材料、310は入射光、311は反射光、312は透過光、313はポンプ光である。
このような構造でも当然ポンプ光照射による屈折率の変化を生じさせることができ、光スイッチとしての機能が実現できる。
このような原理で光のスイッチングを実現する本発明は、以下のような特徴を有している。それは、屈折率の変化を光で制御することができる点と、材料として遷移金属酸化物を用いているために、その応答速度は通常のフォトリフラクティブ材料に比べて桁違いに高速に制御できるという点である。どの程度の高速制御が可能かという指標になる特性のひとつに、三次元非線形感受率χ(3)があるが、酸化コバルトの場合、4.6×10−8esuという値も報告されている。
なお、本発明における最密充填構造を構成する微粒子の材料としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの無機材料、またはポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどの有機材料のいずれであってもよい。
また、本発明における遷移金属酸化物は、酸化バナジウム(VO)、酸化クロム(CrO)、酸化マンガン(MnO)、酸化鉄(FeO)、酸化コバルト(CoO)、酸化銅(CuO)の中のいずれであってもよい。
さらに、本発明は、高規則性の微粒子配列装置を、溶液系を用いることにより実現することを特徴のひとつとしている、すなわち、乾燥状態では、凝集しやすくなる超微粒子であっても、溶液系という状態の利点を最大限に利用し分散性を向上させることにより凝集を防ぎ、pHの制御、例えば添加するイオン種を適切に選択、制御することにより、等電点の関係を利用することができる。その結果、高規則性の微粒子配列が得られるものである。
この点について、さらに詳細に説明する。
一般に、例えば金属酸化物からなる微粒子を水中に浸漬すると、微粒子は正または負の電荷を持ち、電界が存在すると対向する電場を有する方向へ移動する。この現象が電気泳動現象である。
この電気泳動現象によって、微粒子の水中における荷電すなわち界面電位(ゼータ電位)の存在を知ることができる。この界面電位は微粒子−水系のpHによって大きく変化する。
一般に、横軸に水系のpHを、縦軸に界面電位をとると、界面電位は水系のpHによって変化し、界面電位「0」を切る点の水系のpHを「等電点」と定義される。
この現象から、一般的に金属酸化物微粒子表面の界面電位は、酸性側では正、アルカリ側では負の極性を取る。しかし、この等電点は材料によって大きく異なり、例えば、コロイダルシリカでは「2.0」、α−アルミナでは「9.0」、ヘマタイトでは「6.7」という値が紹介されている。
つまり、等電点から離れるほど界面電位が大きくなり、酸性側にいくほど界面電位の値は正の大きい方に向かい、また逆に、アルカリ側にいくほど界面電位の値は負の大きい方に向かう。これはpHで制御することができるものである。pHの制御は、酸やアルカリの添加で、制御性よくコントロールできるものである。
本発明では、この現象を積極的に利用するものであり、分散液の状態で微粒子の凝集を効果的に防ぐことができるものである。この結果、分散液を基材に滴下した際にも、微粒子が凝集しない状態で存在するために、その後の配列の工程において、高品質の配列状態を容易に実現できるものである。この現象は、乾式プロセスでは得られない利点といえる。
本発明の光学素子の基本的な構成を示す図である(実施例1対応)。 インバースオパール構造を利用する本発明の実施例を示す図である(実施例2対応)。 インバースオパール構造を形成したのち、空隙に遷移金属酸化物を充填した本発明の実施例を示す図である(実施例3対応)。
符号の説明
101:基板
102:微粒子
103:遷移金属酸化物
110:入射光
111:反射光
112:透過光
201:基板
202:遷移金属酸化物
204:空隙
210:入射光
211:反射光
212:透過光
213:ポンプ光
301:基板
302:遷移金属酸化物
305:第三の材料
310:入射光
311:反射光
312:透過光
313:ポンプ光

Claims (10)

  1. 第一の材料と、該第一の材料とは異なる第二の材料を構成材料とする3次元周期構造物からなる光学素子において、少なくとも前記第一の材料あるいは第二の材料のいずれか一方の材料が遷移金属酸化物であることを特徴とする光学素子。
  2. 前記遷移金属酸化物からなる領域以外の構造が、微粒子あるいは微粒子が除去された球状の空隙の最密充填構造であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記最密充填構造を構成する微粒子の材料が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの無機材料、またはポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどの有機材料から選ばれたものであることを特徴とする請求項2に記載の光学素子。
  4. 前記遷移金属酸化物が、酸化バナジウム(VO)、酸化クロム(CrO)、酸化マンガン(MnO)、酸化鉄(FeO)、酸化コバルト(CoO)、酸化銅(CuO)の中から選ばれる材料であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光学素子。
  5. 前記遷移金属酸化物の原料として、遷移金属酸化物のアルコキシドを用いることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光学素子。
  6. 微粒子による最密充填構造と遷移金属酸化物からなる3次元周期構造物を形成した後に、前記微粒子を選択的に除去する工程を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  7. 前記微粒子を選択的に除去する工程に加えて、該除去により形成された球状の空隙に、遷移金属酸化物を充填する工程を行うことを特徴とする請求項6に記載の光学素子の製造方法。
  8. 前記微粒子を選択的に除去する工程に加えて、該除去により形成された球状の空隙に、微粒子を構成する材料及び遷移金属酸化物のいずれとも異なる第三の材料を充填する工程を行うことを特徴とする請求項6に記載の光学素子の製造方法。
  9. 微粒子の最密充填構造により3次元周期構造物を形成する際に、原料として微粒子を液体に分散させた分散液を用いることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  10. 前記微粒子を分散させた分散液の液性を、微粒子に応じて制御して微粒子の最密充填構造により3次元周期構造物を形成することを特徴とする請求項9に記載の光学素子の製造方法。
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