JP2004046224A - 光応答型液晶入りフォトニック結晶 - Google Patents

光応答型液晶入りフォトニック結晶 Download PDF

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Abstract

【課題】 良好な安定性と再現性をもって所望波長の光の反射のON/OFFを光でスイッチングすることができる光応答型液晶入りフォトニック結晶を提供すること。
【解決手段】 本発明に係る光応答型液晶入りフォトニック結晶は、同じ粒径の微粒子を周期配列して成る微粒子層の各微粒子間に前記微粒子より粒径が小さく、かつ、前記微粒子とは異なる成分のナノサイズ粒子を充填して粒子膜を形成し、次いで、粒子膜から前記微粒子を除去することにより球状の空間が周期的に配列された球状空間周期配列構造体を形成し、前記球状空間周期配列構造体の各球状空間に、光異性化を起こす化合物とネマチック液晶との混合物を充填して成ることを特徴としている。
【選択図】 図11

Description

 本発明は、光に応答して所定波長の光の伝播のON/OFFをスイッチングすることができる光応答型液晶入りフォトニック結晶に関する。
 従来から大量の情報をより高密度に記録し、より高速に伝達するために光をベースにした新規デバイスの開発が進められており、光の伝播を光により制御することが注目されている。
 しかし、未だ、良好な安定性と再現性をもって光の伝播を光により制御することが可能な素子は開発されていない。
 本発明は、良好な安定性と再現性をもって所望波長の光の伝播のON/OFFを光でスイッチングすることができる光応答型液晶入りフォトニック結晶を提供することを目的としている。
 上記した目的を達成するために、本発明に係る光応答型液晶入りフォトニック結晶は、同じ粒径の微粒子を周期配列して成るオパール構造体の各微粒子間に前記微粒子より粒径が小さく、かつ、前記微粒子とは異なる成分のナノサイズ粒子を充填して粒子膜を形成し、次いで、前記粒子膜から前記微粒子を除去することにより球状の空間が周期的に配列された逆オパール構造体を形成し、前記逆オパール構造体の各球状空間に、光異性化を起こす化合物とネマチック液晶との混合物を充填して成ることを特徴とする。
 前記光異性化を起こす化合物としては、例えば、アゾベンゼン誘導体、好ましくは、4−ブチルー4’−メトキシアゾベンゼンを用いることができる。
 本発明に係る光応答型液晶入りフォトニック結晶は、同じ粒径の微粒子を周期配列して成るオパール構造体の各微粒子間に前記微粒子より粒径が小さく、かつ、前記微粒子とは異なる成分のナノサイズ粒子を充填して粒子膜を形成し、次いで、前記粒子膜から前記微粒子を除去することにより球状の空間が周期的に配列された逆オパール構造体を形成し、前記逆オパール構造体の各球状空間に、光異性化を起こす化合物とネマチック液晶との混合物を充填して成るので光に応答した前記化合物の分子構造変化により、液晶をネマチック相から等方相へ、また、等方相からネマチック相へ相転換させることができ、これにより、球状空間の径に応じた所定波長の光の反射のON/OFFをスイッチングすることが可能になる。このように、光により液晶の相転移を生じさせることができるように構成することにより、液晶を温度で相転移させる場合に比べて、安定性及び応答性が優れており、様々なデバイスへの応用が可能になる。
 始めに液晶の相転移と光学的特性との関係について説明する。
 球径261nmのポリスチレン微粒子を用いて微粒子が周期的に配列したオパール構造体を形成し、そのオパール構造体をシリカ超微粒子(球径6nm)のコロイド溶液に浸し、一定の速度(10μm/s)で引き上げ、オパール構造体の空隙にシリカ微粒子を満たし、最後に焼成することにより、ポリスチレンを除去し、シリカ逆オパール構造体を作製した。
 作製したシリカ逆オパール構造体をガラス基板で挟み、紫外線硬化樹脂を用いて固定し、次に、毛細管力により逆オパール構造体内の空隙にネマチック液晶を導入し、液晶入り逆オパール構造体を作製した。
 液晶の導入時、液晶を等方相にするために逆オパール構造体をホットプレート上で液晶の相転移温度以上に加熱した状態で液晶を導入し、その後自然冷却した。
 ここで、用いたネマチック液晶は、4−ペンチル−4’−シアノビフィニル(以下、5CB)であり、5CBの相転移温度は34℃である。
 作製した液晶入り逆オパール構造体の温度を25℃、27℃、33℃、34℃、35℃、37℃、及び40℃にして、各々の反射スペクトルを測定した結果を図1に示す。
 図面に示すように、5CBが、ネマチック相から等方相へ転移する相転移温度34℃で反射スペクトルに急激なピークが生じており、この結果から、液晶の相転移と光学的特性とに関連性があることが分かる。
 液晶の相転移の前後で反射スペクトルが大きく変化するのは、液晶がネマチック相をとっている時は散乱が強く、等方相になると散乱が失われるためであると考えられる。
 図2に、逆オパール構造体の空隙中における液晶の配向状態を仮定したモデルを示す。
 図面に示すように液晶がネマチック相をとっている時、液晶分子は逆オパール構造体の空隙中で、その空隙の壁面に沿うかたちで全体としては球状に配向し、中心軸の方向にne、それと垂直な方向にnoという有効屈折率を空隙全体として示すようになる。
 しかし、逆オパール構造体における各球状空隙について軸の方向は必ずしもそろっておらず、結果として、入射する光はランダムな屈折率を感じることになる。
 この状態は逆オパール構造体特有のストップバンドを形成する条件を満たさないため、散乱が発生する。
 一方、等方相になると、液晶は異方性が失われ、屈折率はすべて等しくなるため逆オパール構造体特有のストップバンドによる反射スペクトルのピークが観察されることになる。
 上記の原理通りであれば、液晶がネマチック相をとっている時は、反射スペクトルのピークが生じないが、実際には、図1に示すように、ネマチック相においても弱いながら2個のピークP1及びP2が生じている。
 これら2個のピークのうち、ピークP1は、図2に示した屈折率neに対応し、ピーク2は、図2に示した屈折率noに対応していると考えられる。
 これらネマチック相における2個のピークP1及びP2が液晶の温度上昇に伴いどのように変化するか確認した結果を図3に示す。
 図3中、菱形でプロットしたデータは、先に説明した液晶入り逆オパール構造体の温度を制御しながら、その屈折率をAbbe屈折計で測定した結果であり、四角形でプロットしたデータは、液晶を逆オパール構造体の空隙内に導入した時の液晶の有効屈折率を計算した結果である。
 図3における液晶の有効屈折率の計算値の求め方について説明する。
 逆オパール構造体内におけるストップバンドの波長は、次に示すBraggの回折条件で近似的に計算することができる。
 式1中、
 λはピーク波長、
 dは逆オパール構造体における隣接する球状空隙の中心間の距離、
 naは平均屈折率、
 θは入射角度、
 n1は液晶の屈折率、
 fは逆オパール構造体全体に対する液晶の体積比、
n2は、逆オパール構造体を構成する材料(この場合はシリカ)の屈折率、
 従って、上記式1により、液晶を逆オパール構造体の空隙に導入した時の液晶の有効屈折率nLCは、次式2で求めることができる。
 そこで、シリカ逆オパール構造体に屈折率の異なる数種類の溶媒(メタノール、エタノール、トルエン、2−ジブロモエタン)を数滴滴下して浸透させ、得られる反射スペクトルのピークの波長と溶媒の屈折率との関係をプロットし、その結果を、入射角θを0°、シリカの屈折率n2を1.45として、上記式にフィッティングすることにより、逆オパール構造体における隣接する球状空隙の中心間の距離dと液晶の体積比fとを求めた。
   d=238.57
   f=0.86888
 上記したd及びfと、シリカの屈折率n2=1.45とを式(2)に代入することにより、図1におけるピーク波長の測定結果から液晶の有効屈折率を計算した。
 図3から分かるように、34℃以上、即ち、液晶が等方相をとっている時の屈折率は、計算値と測定値とがほぼ一致している。
 また、液晶がネマチック相をとっている時は、有効屈折率と屈折計による測定値との値が異なるが、変化の傾向はほぼ同じである。屈折計により測定した液晶本来の屈折率と比べて、測定値が平均屈折率に寄った値になっている理由は、逆オパール構造の影響で液晶分子が理想的な配列をとることができず、球形に配列されているからであると考えられる。
 光の入射方向に対して液晶分子が全て垂直に配列されていれば屈折率neを示すことになるが、仮に斜め方向に向いた液晶分子が存在すれば、その屈折率は、neよりも小さくなる。同様に、光の入射方向に対して液晶分子が全て平行に配列されていれば屈折率noを示すことになるが、斜め方向に向いた液晶分子が存在すれば、その屈折率はnoより大きくなる。逆オパール構造体の空隙内で、図2に示したモデルのように液晶が壁面に沿って球状に配列されている場合、全体としての液晶の配列の軸に対し、ななめに向いている分子が必ず存在することになり、これが、計算値と測定値とのずれの原因であると考えられる。
 ピークが2箇所に観察されるのは、ある程度の範囲にわたって軸の方向がそろっている領域があり、そのような領域が複数存在している可能性を示している。
 上記した実験及び検討結果から、液晶を導入した逆オパール構造体においては、液晶がネマチック相をとっている時に、屈折率ne及びnoに対応する反射スペクトルのピークが観察され、逆オパール構造体内で軸の方向がそろっている領域があることが分かった。
 そこで、配向膜を用いて液晶の配向に強制力をはたらかせることにより、これらのピークを選択的に得ることができるか否かを確認した。
 ガラス基板上に溶液を塗布して、2000rpmで50秒、3000rpmで5秒スピンコートして製膜し、80℃で1分間、200℃で20分間焼成することにより水平配向膜と垂直配向膜とを各々作製した。水平配向膜については、さらに、フェルト布で同じ方向に20回繰り返して摩擦することによりラビング処理を行った。
 上記したように作製した水平配向膜と垂直配向膜とを図4に示すように、予め作製しておいた逆オパール構造体に各々合わせて固定し、それぞれに、先に説明した手順と同様の手順で液晶を導入した。
 導入した液晶は、先の説明と同様に5CBである。
 上記したように作製した水平配向膜付きの液晶入り逆オパール構造体と、垂直配向膜付きの液晶入り逆オパール構造体との各々について、温度を変化させながら反射スペクトルを測定した。測定において、配向膜の影響がより強く現れるようにするために、配向膜の方向から光を入射して測定を行った。
 図5(a)及び(b)に、水平配向膜付きの液晶入り逆オパール構造体と、垂直配向膜付きの液晶入り逆オパール構造体との各々についての測定結果を示す。
 水平配向膜を固定した液晶入り逆オパール構造体においては、図5(a)に示すように、図1におけるピークP1(ne)及びピークP2(no)に対応する2個のピークが観察されているのに対して、垂直配向膜を固定した液晶入り逆オパール構造体においては、図5(b)に示すように、図1におけるピークP2(no)に対応するピークのみしか観察されない。
 この結果から、配向膜を用いて液晶の配向に強制力をはたらかせることにより、これらのピークを選択的に得ることができることが確認できた。
 さらに、上記した実験により得られたピークが、屈折率ne及びnoに各々対応しているものであることを確認するために、図6に示すように、水平配向膜付きの液晶入り逆オパール構造体と入射光の光源との間に偏光板を配置し、偏光板を適切な角度に回転させて、液晶の配向軸と平行な成分及び垂直な成分のみを各々逆オパール構造体に入射し、温度を変化させながら反射スペクトルを測定した。
 図7(a)及び(b)は各々、液晶分子に平行な偏光が入射するように偏光板を配置した場合の反射スペクトルの測定結果と、液晶分子に垂直な偏光が入射するように偏光板を配置した場合の反射スペクトルの測定結果とを各々示している。
 この測定結果から明らかなように、液晶分子に平行な偏光が入射するように偏光板を配置した場合には、ピーク1(ne)のみが現れ、液晶分子に垂直な偏光が入射するように偏光板を配置した場合には、ピーク1(ne)は弱まり、ピーク2(no)が強く観察された。
 これらの結果から、2個のピークが液晶の配向によるものであることが確認できる。
 以上説明した実験及び検討結果から、逆オパール構造体にネマチック液晶を導入すると、液晶の相転移により液晶入り逆オパール構造体の光学特性が大きく変化することが確認できた。
 しかしながら、液晶の相転移を温度により制御するのは安定性や応答性が低いため実際のデバイスへの応用には適さない。
 発明者等は、上記した実験及び検討結果を踏まえ、温度変化に依存せずに、光により液晶を相転移させることができる光応答型液晶入りフォトニック結晶を発明した。
 以下に、本発明に係る光応答型液晶入りフォトニック結晶の実施例について説明していく。
 本発明に係る光応答型液晶入りフォトニック結晶(以下、単に液晶入りフォトニックス結晶)は、同径の球状空間が周期的に配列された逆オパール構造体の各球状空間に、光異性化を起こす化合物とネマチック液晶との混合物を導入することにより形成される。
 図8(a)〜(d)は、本発明に係る液晶入りフォトニック結晶の概略製造工程を示す図である。
 図8(a)に示すように、始めに同径の微粒子1を周期配列して成るオパール構造体0を形成する。
 次いで、図8(b)に示すように、オパール構造体0の各微粒子間に前記微粒子より粒径が小さく、かつ、前記微粒子とは異なる成分のナノサイズ粒子2を充填して粒子膜を形成する。
 次いで、図8(c)に示すように、焼成や化学反応等の適当な方法で微粒子1を消去し、同径の球状空間3が周期的に配列された逆オパール構造体4を形成する。
 そして、最後に図8(d)に示すように、逆オパール構造体4の前記球状空間3に光異性化を起こす化合物とネマチック液晶との混合物5を導入することにより液晶入りフォトニック結晶が完成する。
 前記逆オパール構造体4は、前記球状空間3の径により光の回折波長が変化する。具体的には、球状空間3の径が大きい程、長波長の光が回折し、逆に粒径が小さい程、短波長の光が回折することになる。
 従って、前記逆オパール構造体4を製造する時には、液晶入りフォトニック結晶の応用目的に応じた光の波長に対応する粒径の微粒子1が用いられる。
 尚、本実施例では、微粒子として粒径が208nmの単分散ポリスチレン粒子を使用し、また、ナノ粒子としてシリカ粒子を使用している。
 上記したように構成された逆オパール構造体4の各球状空間3には前記したように光異性化を起こす化合物とネマチック液晶との混合物5が導入される。
 図9は、光異性化を起こす化合物であるアゾベンゼン誘導体の光による分子構造変化を示している。このアゾベンゼン誘導体は、光応答性色素であり、図面に示すように可視光を照射すると棒状のトランス型から屈曲したシス型に分子構造を変化させ、紫外光を照射するとシス型からトランス型に分子構造を変化させる。
 従って、アドベンゼン誘導体のような光異性化を起こす化合物を複合化した液晶は、光に応答した前記化合物の分子構造変化によって液晶相から等方相へ、また、等方相から液晶相へ相構造が転移する。
 本実施例では、
 ホスト液晶分子として、4−ペンチル−4’−シアノビフィニル(以下、5CB)を使用し、
 前記5CBの中に、
 光異性化を起こす化合物として4−ブチル−4’メトキシアゾベンゼン(以下、AzoLC)を混合したものを使用する。
 5CB及びAzoLCの化学構造を図10(a)及び(b)に示す。
 液晶5におけるAzoLCの比率は全体の3%である。
 AzoLCは、4ブチルアニリン(4-butylaniline)とフェノール(phenol)との間でジアゾカップリング反応(diazo-coupling reaction)を起こした後、メチルヨウ化物(methyl iodide)でアルキル化(alkylation)することにより合成した。
 前記液晶5は、60℃に加熱して等方相の状態にすることにより逆オパール構造体4の球状空間3に導入した。
 上記したように構成した液晶入りフォトニック結晶に、バンドパスフィルタを通過するHgランプからの紫外光を照射し、Y型光ファイバに接続されたマルチチャンネル光検出器を用いて、その光学特性を測定した。
 図11は液晶入りフォトニック結晶の反射スペクトルを示している。
 図面に示すように初期状態(即ち、紫外光の照射前)では反射率の明確なピークは現れていない。
 しかし、液晶入りフォトニック結晶に紫外光(光度=約1.5mW/cm2)を照射すると、反射率が波長603nmで急激に上がり、その後、飽和する反射率ピークが現れる。
 この急激な変化は、液晶入りフォトニック結晶内のアゾベンゼン誘導体(azobenzene derivatives)の光異性化がトリガとなって生じる。液晶5は、初期状態ではAzoLCがトランス型になっているのでネマチック相(nematic phase)になっているが、紫外光を照射することによるAzoLCのトランス型からシス型への異性化によりネマチック相の相構造は破壊され、液晶5は等方相に転移する。これにより、液晶入りフォトニック結晶における光の伝播に急激な変化が生じる。
 前記した光伝播の変化は、液晶入りフォトニック液晶に可視光を照射することにより初期状態に戻る。干渉フィルタを通過するHgランプの光を光源として使用し、液晶入りフォトニック結晶に光度0.75mW/cm2の可視光を60秒間照射した結果、図11に示すように反射率は急激に低くなり、その後、殆どなくなり初期状態に戻った。これは、液晶5の中のAzoLCがシス型からトランス型へ光異性化し、液晶5が等方相からネマチック相へ相転移することによって生じる。
 図12に示すように、紫外光と可視光とを交互に照射することによって、この変化を繰り返し生じさせることができる。図5は、液晶入りフォトニック結晶の波長603nmにおける反射率の時間に応じた変化を示している。図12に示すように、この変化は6サイクルに亘って完全に繰り返されており、このことから、光照射サイクル間で良好な安定性と再現性をもった反射率の変化を得ることができることが分かる。
 ここで、各球状の空間内にあるネマチック相の液晶分子は、その球状の空間の壁面と並行に整列し、周知の二極構造(bipolar structure)を形成する。しかし、異なる球形空間にある液晶の二極構造の軸(polar axis)の方向はランダムである。その結果、たとえ、一つの球状空間に入れられた液晶(LC spheres)が整列構造を形成していたとしても、球間に入れられた液晶の誘電率は完全にランダムになる。このような構造は、ブラッグ回折に要求される状態を満たすものではなく、光は散乱される。誘電率のランダム性により生じる光の散乱は、ポリマー分散液晶(PDLC)にみられる現象に似ている。他方、液晶が光によって等方相へ転移されると、誘電率の非等方性は消失され、全ての球状空間の液晶の誘電率が同じになる。これは、球状空間に入れられた液晶の誘電率がランダムな状態から整列した状態に変化することを意味し、従って、ブラッグ回折による反射ピークが現れることになる。この理論に基づいて、上記した液晶入りフォトニック結晶で光学的特性の急激な変化を観察することができた。
 図8(a)に示したオパール構造体0に同じ液晶を導入しても、ブラッグ回折の反射率における変化を観察することはできるが、その変化は極めて小さい。これは、光学的特性の変化が、液晶を導入する空間の大きさと形状に強く依存しているからであり、このことからも、液晶を導入する構造体としてはオパール構造体0よりも逆オパール構造体4が適していることが分かる。
 以上説明したように、本実施例に係る光応答型液晶入りフォトニック結晶は、ネマチック液晶と光異性化を起こす化合物とを混合し、前記化合物を光異性化することによって液晶5をネマチック相と等方相との間で相転移させることができるので、紫外光と可視光とを交互に照射することによる反射率のON/OFFスイッチングを再現性をもって実現することができる。
 また、反射ピークの波長は、球状空間3の径に依存しているので反射ピークの波長調整も簡単に行うことができ、不透明と任意の着色状態の間のスイッチングを簡単に設計することができる。
 この所定の波長の反射率のON/OFFスイッチングにより、光応答型の90度フィルター、スーパープリズム、スーパーレンズ、ミラー、又はスーパーコリメーター等が実現可能になるので、本発明に係る光応答型液晶入りフォトニック液晶は、様々な光デバイスに応用することが可能になる。
 上記した実施例では、5CBにAzoLCを混合したものを液晶として使用したが、本発明に係る光異性化を起こす化合物は、AzoLCに限定されることなく、アゾベンゼンを骨格とする化合物など、光異性化を起こす化合物であれば任意の化合物でよい
 また、本実施例ではネマチック液晶として5CBを例に挙げて説明しているが、本発明に係るネマチック液晶は、5CBに限定されることなく、少なくとも液晶状態を有しアゾベンゼン誘導体等の光異性化を起こす化合物と混合可能な物質であれば任意の物質でよく、例えば、4−ヘキシルー4’―シアノビフェニル、4−ヘプチルー4’―シアノビフェニル、4−オクチルー4’―シアノビフェニルでもよい。
 また、本実施例では、構造体4の製造に粒径が208nmの微粒子を使用しているが、使用する微粒子の粒径、即ち、球状空間の径は、本実施例に限定されることなく、使用目的に応じて任意の粒径を選択できることはいうまでもない。
 さらに、本実施例では微粒子として単分散ポリスチレン粒子を使用し、また、ナノ粒子としてシリカ粒子を使用しているが、微粒子及びナノ粒子の種類は本実施例に限定されることなく、少なくとも、粒子膜形成後に、ナノ粒子を残して微粒子を消去できる種類のものであれば任意の種類の粒子でよいことはいうまでもない。
液晶入り逆オパール構造体の温度を変化させながら反射スペクトルを測定した結果を示すグラフである。 逆オパール構造体の空隙中における液晶の配向状態を仮定したモデルを示す図である。 温度変化に伴う液晶の屈折率の測定値及び計算値をプロットしたグラフである。 配向膜付きの液晶入り逆オパール構造体の製造工程を示す図である。 (a)は、水平配向膜付きの液晶入り逆オパール構造体を用いて反射スペクトルを測定した結果を示すグラフであり、(b)は、垂直配向膜付きの液晶入り逆オパール構造体を用いて反射スペクトルを測定した結果を示すグラフである。 水平配向膜付きの液晶入り逆オパール構造体、入射光の光源及び偏光板を用いた実験の各構成要素の位置関係を表す概略図である。 (a)は液晶分子に平行な偏光が入射するように偏光板を配置した場合の反射スペクトルの測定結果を示すグラフであり、(b)は液晶分子に垂直な偏光が入射するように偏光板を配置した場合の反射スペクトルの測定結果を示すグラフである。 (a)〜(d)は本発明に係る光応答型液晶入りフォトニック結晶の製造工程の概略を示す図である。 アゾベンゼン誘導体の光に応答した分子構造変化を説明する図である。 (a)は5CBの化学構造を、(b)はAzoLCの化学構造を各々示している。 液晶入りフォトニック結晶の反射スペクトルを示すグラフである。 液晶入りフォトニック結晶の波長603nmにおける反射率の時間に応じた変化を示すグラフである。
符号の説明
 0 オパール構造体
 1 微粒子
 2 ナノサイズ粒子
 3 球状空間
 4 逆オパール構造体
 5 光異性化を起こす化合物とネマチック液晶との混合物

Claims (3)

  1.  同じ粒径の微粒子を周期配列して成るオパール構造体の各微粒子間に前記微粒子より粒径が小さく、かつ、前記微粒子とは異なる成分のナノサイズ粒子を充填して粒子膜を形成し、
     次いで、前記粒子膜から前記微粒子を除去することにより球状の空間が周期的に配列された逆オパール構造体を形成し、
     前記逆オパール構造体の各球状空間に、光異性化を起こす化合物とネマチック液晶との混合物を充填して成る
     ことを特徴とする光応答型液晶入りフォトニック結晶。
  2.  前記光異性化を起こす化合物がアゾベンゼン誘導体である
     ことを特徴とする請求項1に記載の光応答型液晶入りフォトニック結晶。
  3.  前記アゾベンゼン誘導体が4−ブチルー4’−メトキシアゾベンゼンである
     ことを特徴とする請求項2に記載の光応答型液晶入りフォトニック結晶。

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