JP4156693B2 - 安定化された封鎖イソシアネートおよびポリウレタン焼付用ラッカーにおけるその使用 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱黄変に対し安定化された新規な封鎖（ブロックト）ポリイソシアネート含有組成物および１−成分ポリウレタン焼付用ラッカーにおけるその使用に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
封鎖ポリイソシアネートは、特に自動車透明コートおよびコイル被覆ラッカーのための１−成分ポリウレタン（１Ｃ−ＰＵＲ）焼付用ラッカーに使用される。これら用途においては、被覆組成物の偶発的または望ましくない過剰焼付の際にもラッカーの極めて僅かな熱黄変しか許容しえない。
封鎖剤は封鎖イソシアネートの熱黄変に対し作用を及ぼす。極く僅かな熱黄変しか生じない封鎖剤は公知であり、ジメチルピラゾールおよび１，２，４−トリアゾールを包含する。しかしながら、これら両封鎖剤は特有の欠点を有する。第１の封鎖剤は比較的高価であるのに対し、第２の封鎖剤はあらゆる用途には使用することができない。たとえば１，２，４−トリアゾールを使用して最も工業上重要なＨＤＩに基づくラッカーポリイソシアネートを封鎖する場合、得られる生成物は高い結晶化傾向を示し、ラッカー用途には不適当となる。
【０００３】
ブタノンオキシムも、これがもたらす熱黄変を顕著に減少させうれば、コストおよび性能に基づき特に適する封鎖剤となるであろう。
ブタノンオキシムによっても生ずる熱黄変を顕著に減少させる安定化剤が、たとえばＵＳ−Ａ５，２１６，０７８号およびＥＰ−Ａ６５４，４９０号から公知であり、エルフーアトケム社から市販入手しうる製品ルケムＨＡ−Ｒ １００安定化剤である：
【化３】
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、熱黄変に対する向上した耐性を有すると共に経済上および技術上容易かつ信頼して得られるようなブタノンオキシム封鎖されたイソシアネートを提供することにある。
この課題は、以下説明する本発明により解決することができる。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、５〜２５重量％の封鎖および未封鎖のイソシアネート基（ＮＣＯとして計算）の含有量を有し、イソシアネート基の少なくとも９５％が封鎖剤で封鎖された形態にて存在し、さらに次の安定化用化合物：
（Ａ）ヒドラジド単位を持たない式（Ｉ）
【化４】
に対応する構造単位を有する０．１〜５．０重量％のアミン、
（Ｂ）必要に応じ式（ＩＩ）
【化５】
に対応する構造単位を有する０．１〜８．０重量％のヒドラジド、および
（Ｃ）成分（Ａ）および（Ｂ）以外の０〜５．０重量％の安定化剤
をも含有することを特徴とする（シクロ）脂肪族ポリイソシアネート含有組成物に関するものである。
【０００６】
さらに本発明は、特に自動車透明コートおよびコイル被覆ラッカーのための１Ｃ−ＰＵＲ焼付用ラッカーにおける有機ポリヒドロキシル化合物の架橋剤としての本発明による封鎖ポリイソシアネート含有組成物の使用にも関するものである。
【０００７】
【発明の実施の形態】
既に部分的に示したように、本発明による安定化されたポリイソシアネート含有組成物（以下、単に「ポリイソシアネート」と記載することがある）により得られる利点は、
− 過剰焼付条件（たとえば１６０℃にて３０分間またはピーク金属温度＞２５４℃）
− 熱調質（たとえば１２０℃にて１２０時間、実施例３参照）
の下にて黄変耐性の顕著な改善を包含する。
たとえばブタノンオキシムもしくはジイソプロピルアミンのような容易に入手しうる封鎖剤を使用して本発明による安定化を得ることができ、さらにたとえばジメチルピラゾールのような高価な封鎖剤でしか得られないような比較的低い熱黄変値を得ることができる。
【０００８】
本発明による封鎖ポリイソシアネートを製造すべく使用されるポリイソシアネートは、脂肪族および／または脂環式結合したイソシアネート基と７〜３０重量％（好ましくは１２〜２５重量％）のイソシアネート含有量とを有する公知のラッカーポリイソシアネートである。適するラッカーポリイソシアネートはビウレット基、イソシアヌレート基および／またはウレトジオン基を有するものを包含し、１，６−ジイソシアネートヘキサン（ＨＤＩ）、１−イソシアナト−３，３，５−トリメチル−５−イソシアナトメチル−シクロヘキサン（ＩＰＤＩ）および／または４，４’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタンから作成される。特に好適なものはイソシアヌレート基を有すると共に（ｉ）ＩＰＤＩ、（ｉｉ）４，４’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、（ｉｉｉ）１，６−ジイソシアナトヘキサンおよびこれらポリイソシアネートの混合物に基づくものから作成されたラッカーポリイソシアネートである。
使用しうる適する封鎖剤の例はブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、１，２，４−トリアゾール、イミダゾール、マロン酸、アセト酢酸エステル、ジメチルピラゾール、ε−カプロラクタムおよびこれらの混合物を包含する。ブタノンオキシムが特に好適である。
【０００９】
式（Ｉ）に対応する安定化剤（Ａ）は少なくとも１個の２，２，６，６−テトラメチルピペリジニル基、いわゆるＨＡＬＳ（立体障害アミン光安定化剤）環を持たねばならない。本発明により使用されるＨＡＬＳ化合物においてピペリジニル窒素は置換されず、したがって化合物は次の構造：
【化６】
を含まねばならないことを強調すべきである。
【００１０】
特に好適な安定化剤は式（ＩＩＩ）に対応するＨＡＬＳ化合物であり、これは特に名称チヌビン (Tinuvin) ７７０ ＤＦとしてノバルティス社により市販され、これはヒドラジド単位を持たない。
【化７】
【００１１】
式（ＩＩ）に対応する適する安定化剤（Ｂ）は酸ビドラジド、たとえばＵＳ−Ａ５，２１６，０７８号（参考のためここに引用する）に開示せされたような酢酸ヒドラジドもしくはアシピン酸ジヒドラジド、並びにＥＰ−Ａ６５４，４９０号（米国特許第５，５２３，３７７号、参考のためここに引用する）に開示されたようなビトラジンと環式カーボネートとから形成されたヒドラジンアダクトを包含する。特に好適なものは、２モルのプロピレンカーボネートと１モルの式（ＩＶ）：
【化８】
に対応するヒドラジンとから生成されたアダクトである。
【００１２】
必要に応じ使用しうる成分（Ａ）および（Ｂ）以外の安定化剤はたとえば２，６−ジ−ｔ−ブチル−４−メチルフェノールのような酸化防止剤、たとえば２−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールのようなＵＶ吸収剤、並びにたとえば窒素原子が置換されたＨＡＬＳ化合物（たとえばチバ・ガイギー社から入手しうるチヌビン２９２）のような光安定化剤を包含する。
本発明による安定化されたポリイソシアネートは、たとえば酢酸ｎ−ブチル、酢酸メトキシプロピル、トルエンおよび高級芳香族溶剤混合物（たとえばソルベッソの商品名でエクソン・ヘミー社により市販されるもの）の存在下または不存在下で２０〜１２０℃（好ましくは７０〜９０℃）の温度にて作成される。
安定化ポリイソシアネートを製造するための１好適具体例によれば、１．０ＮＣＯ当量のイソシアネート成分を封鎖剤の１部（たとえば０．８当量）と約７０℃にて反応させる。溶剤なしの封鎖架橋剤の重量に対し１．０〜１．５％の安定化用成分（Ａ）、および１モルのヒドラジンと２モルのプロピレンカーボネートとから生成された０．１〜０．１５ ＯＨ当量のヒドラジド安定化用成分（Ｂ）を添加すると共に、混合物を計算ＮＣＯ含有量に達するまで約８５℃にて数時間にわたり反応させる。次いで残部０．０５〜０．１当量のＮＣＯ基を残量の封鎖剤と、ＮＣＯ含有量がもはやＩＲ分光測定法により検出しえなくなるまで反応させる。所望ならば、生成物を最終的に溶剤の添加により所望粘度に調整する。
【００１３】
本発明による実質的に或いは完全に封鎖されたポリイソシアネートは、焼付用ラッカーの製造における有機ポリヒドロキシル化合物のための貴重な架橋性樹脂である。これらは、この目的で従来使用されている封鎖ポリイソシアネートの代わりに使用することができる。焼付用ラッカーに使用するのに適するポリヒドロキシル化合物は公知であり、これら焼付用ラッカーの製造および使用に関する詳細はさらに該当する刊行物から得ることができる。
本発明による生産物の特に好適な用途は、自動車多層コーチングにおける透明コートとして或いは「白色物品」のためのコイル被覆として使用しうるポリウレタン透明焼付用ラッカーのための架橋剤である。ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオールまたは混合物が、本発明による封鎖ポリイソシアネートのための反応体として使用される。
【００１４】
【実施例】
以下、限定はしないが実施例により本発明をさらに説明し、ここで部数および％は全て特記しない限り重量による。
【００１５】
例１（本発明による）
窒素原子が置換されてない１．５％のＨＡＬＳ化合物と４．４％のヒドラジド化合物とを含有する本発明による安定化ポリイソシアネートの調製：
バッチ処方：
４００．０ｇ（２．０ｇ当量） ＨＤＩに基づくイソシアヌレート基含有のラッカーポリ イソシアネート、２１％のＮＣＯ含有量
１５４．９ｇ（１．７８当量） ブタノンオキシム
２６．０ｇ（０．２２当量） １モルのヒドラジン水和物と２モルのプロピレンカーボ ネートとから生成されたアダクト、分子量２３６
９．０ｇ 本発明によるＨＡＬＳ化合物（チバ・ガイギー社から入 手しうるチヌビン ７７０ ＤＦ）
１６８．４ｇ 酢酸メトキシプロピル
８４．４ｇ ソルベッソ１００溶剤
８４２．７ｇ（１．７８当量） 封鎖ＮＣＯ架橋剤
封鎖ＮＣＯ含有量、計算値：８．８％
【００１６】
処方手順：
上記ポリイソシアネートを酢酸メトキシプロピルと混合し、混合物を約６０℃まで予熱した。装置を窒素でフラッシュした。ブタノンオキシムの１部（１４６ｇ、１．６８ｇ当量）を少しずつ撹拌溶液に添加した。この溶液を約１．９％のＮＣＯ含有量（計算値１．８８％）に達するまで８０℃にて約１時間にわたり反応させた。次いで粘性のヒドラジン アダクトを注型金型に注ぎ入れ、粉末化されたＨＡＬＳ化合物（チヌビン ７７０ ＤＦ）の全量を撹拌混入し、内部温度を９０℃まで上昇させた。この混合物を０．６％のＮＣＯ含有量（計算値０．５６％）に達するまで９０℃にて約１０時間にわたり反応させた。残部８．９ｇのブタノンオキシムを添加し、さらに３０分間撹拌した後、ＩＲ分光測定法によりもはやＮＣＯ含有量は検出されなかった。この混合物をソルベッソ１００溶剤で希釈して７０％無色透明溶液を得、これは２６００ｍＰａ．ｓの粘度（２３℃）を有した。封鎖ポリイソシアネート溶液は４７７のＮＣＯ当量を有した。
【００１７】
例２（比較）
ブタノンオキシムで封鎖されると共に実施例１によるイソシアヌレート含有ラッカー ポリイソシアネートに基づく市販のポリイソシアネートを比較として用いた（ソルベッソ１００溶剤における７５％溶液）。溶液のＮＣＯ当量（封鎖イソシアネート基に基づく）は３７８であった。この溶液は２３℃にて３２００ｍＰａ．ｓの粘度を有した。
【００１８】
例３
コイル被覆用白色カバーコートの作成およびその比較試験につき説明する。
ポリオール成分は油フリーのポリエステル（バイエルＡＧからのアルキノール１６５５）とし、これを溶剤ナフサ中の６５％溶液として存在させ、１０００のＯＨ当量を有した。結合剤組成物を１：１のＮＣＯ：ＯＨ当量比にて作成し、これは例１および２の封鎖ポリイソシアネートおよび油フリーのポリエステルを次の量にて含有した：
結合剤組成物：
ラッカー１： ４７７重量部の例１による
封鎖ポリイソシアネート １０００重量部の
ラッカー２： ３７８重量部の比較例２に 油フリーのポリエーテル
よる封鎖ポリイソシアネート
【００１９】
次のマスターバッチを顔料ペーストとして処方した：
９．５重量部 油フリーのポリエステル
８．１重量部 ソルベッソ ２００Ｓ溶剤
２８．６重量部 バイエルチタンＲ−ＫＢ−４ 二酸化チタン顔料
【００２０】
顔料ペーストに２ｍｍ「シリクオーツ」ビーズをスカンデックスミキサーにて約１時間にわたり分散させた。次いで磨砕材料を、篩を用いてガラスビーズから分離した。次いで、次のラッカー成分を顔料マスターバッチと混合した：
２１．１重量部 （商標）アルキノール１６６５
ラッカー１--＞ １４．６重量部 例１による封鎖ポリイソシアネート
ラッカー２--＞ １１．６重量部 例２による封鎖ポリイソシアネート
０．８重量部 ジラウリン酸ジブチル錫、
ソルベッソ ２００Ｓ溶剤中１０％
７．０重量部 アセト酪酸セルロースＣＡＢ３５１−１、
イーストマン社から入手
１．４重量部 アクリナール ４Ｆ添加剤 (BASF AG)
ソルベッソ ２００Ｓ溶剤中５０％
【００２１】
塗布の目的で粘度を追加量のソルベッソ ２００Ｓ溶剤の添加により約７０ｓｅｃＤＩＮ ４／２３℃に調整した。
ラッカー１および２をクロムメッキされたアルミニウム板（厚さ１ｍｍ）にナイフにより施し、直にアバルボルグ炉内で回転プレートに焼付けた。
ＰＭＴ ２３２℃ ４０秒、炉温３５０℃
ＰＭＴ ＞２５４℃ ５０秒、炉温３５０℃
乾燥フィルム厚さは２０〜２３μｍであった。
次の性質が測定された：
【００２２】
【表１】
【００２３】
表の末尾（すなわちピーク金属温度＞２５４℃の過剰焼付条件下）における性質の差は決定的であった。この高い目標温度にて、本発明によるラッカー１は熱黄変に対し高い安定性を示した。ベルガー法により測定した８４．８単位の白色値はラッカー２の場合よりも約１０単位高かった。黄変も相応に低く（ＤＩＮ６１６７にしたがい測定した黄色測定値）、ラッカー２につき４．２と比較し０．６の数値を有した。
「白色物品」につき重要であった特性基準、たとえばストーブおよびオーブンは１２０℃にて１２０時間の熱処理であった。この場合も、ラッカー１の白色度および黄色値はラッカー２の場合よりも相当良好であった。
【００２４】
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、この詳細は単に例示の目的に過ぎず、本発明の思想および範囲を逸脱することなく多くの改変をなしうることが当業者には了解されよう。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱黄変に対し安定化された新規な封鎖（ブロックト）ポリイソシアネート含有組成物および１−成分ポリウレタン焼付用ラッカーにおけるその使用に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
封鎖ポリイソシアネートは、特に自動車透明コートおよびコイル被覆ラッカーのための１−成分ポリウレタン（１Ｃ−ＰＵＲ）焼付用ラッカーに使用される。これら用途においては、被覆組成物の偶発的または望ましくない過剰焼付の際にもラッカーの極めて僅かな熱黄変しか許容しえない。
封鎖剤は封鎖イソシアネートの熱黄変に対し作用を及ぼす。極く僅かな熱黄変しか生じない封鎖剤は公知であり、ジメチルピラゾールおよび１，２，４−トリアゾールを包含する。しかしながら、これら両封鎖剤は特有の欠点を有する。第１の封鎖剤は比較的高価であるのに対し、第２の封鎖剤はあらゆる用途には使用することができない。たとえば１，２，４−トリアゾールを使用して最も工業上重要なＨＤＩに基づくラッカーポリイソシアネートを封鎖する場合、得られる生成物は高い結晶化傾向を示し、ラッカー用途には不適当となる。
【０００３】
ブタノンオキシムも、これがもたらす熱黄変を顕著に減少させうれば、コストおよび性能に基づき特に適する封鎖剤となるであろう。
ブタノンオキシムによっても生ずる熱黄変を顕著に減少させる安定化剤が、たとえばＵＳ−Ａ５，２１６，０７８号およびＥＰ−Ａ６５４，４９０号から公知であり、エルフーアトケム社から市販入手しうる製品ルケムＨＡ−Ｒ １００安定化剤である：
【化３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、熱黄変に対する向上した耐性を有すると共に経済上および技術上容易かつ信頼して得られるようなブタノンオキシム封鎖されたイソシアネートを提供することにある。
この課題は、以下説明する本発明により解決することができる。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、５〜２５重量％の封鎖および未封鎖のイソシアネート基（ＮＣＯとして計算）の含有量を有し、イソシアネート基の少なくとも９５％が封鎖剤で封鎖された形態にて存在し、さらに次の安定化用化合物：
（Ａ）ヒドラジド単位を持たない式（Ｉ）
【化４】
（Ｂ）必要に応じ式（ＩＩ）
【化５】
（Ｃ）成分（Ａ）および（Ｂ）以外の０〜５．０重量％の安定化剤
をも含有することを特徴とする（シクロ）脂肪族ポリイソシアネート含有組成物に関するものである。
【０００６】
さらに本発明は、特に自動車透明コートおよびコイル被覆ラッカーのための１Ｃ−ＰＵＲ焼付用ラッカーにおける有機ポリヒドロキシル化合物の架橋剤としての本発明による封鎖ポリイソシアネート含有組成物の使用にも関するものである。
【０００７】
【発明の実施の形態】
既に部分的に示したように、本発明による安定化されたポリイソシアネート含有組成物（以下、単に「ポリイソシアネート」と記載することがある）により得られる利点は、
− 過剰焼付条件（たとえば１６０℃にて３０分間またはピーク金属温度＞２５４℃）
− 熱調質（たとえば１２０℃にて１２０時間、実施例３参照）
の下にて黄変耐性の顕著な改善を包含する。
たとえばブタノンオキシムもしくはジイソプロピルアミンのような容易に入手しうる封鎖剤を使用して本発明による安定化を得ることができ、さらにたとえばジメチルピラゾールのような高価な封鎖剤でしか得られないような比較的低い熱黄変値を得ることができる。
【０００８】
本発明による封鎖ポリイソシアネートを製造すべく使用されるポリイソシアネートは、脂肪族および／または脂環式結合したイソシアネート基と７〜３０重量％（好ましくは１２〜２５重量％）のイソシアネート含有量とを有する公知のラッカーポリイソシアネートである。適するラッカーポリイソシアネートはビウレット基、イソシアヌレート基および／またはウレトジオン基を有するものを包含し、１，６−ジイソシアネートヘキサン（ＨＤＩ）、１−イソシアナト−３，３，５−トリメチル−５−イソシアナトメチル−シクロヘキサン（ＩＰＤＩ）および／または４，４’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタンから作成される。特に好適なものはイソシアヌレート基を有すると共に（ｉ）ＩＰＤＩ、（ｉｉ）４，４’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、（ｉｉｉ）１，６−ジイソシアナトヘキサンおよびこれらポリイソシアネートの混合物に基づくものから作成されたラッカーポリイソシアネートである。
使用しうる適する封鎖剤の例はブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、１，２，４−トリアゾール、イミダゾール、マロン酸、アセト酢酸エステル、ジメチルピラゾール、ε−カプロラクタムおよびこれらの混合物を包含する。ブタノンオキシムが特に好適である。
【０００９】
式（Ｉ）に対応する安定化剤（Ａ）は少なくとも１個の２，２，６，６−テトラメチルピペリジニル基、いわゆるＨＡＬＳ（立体障害アミン光安定化剤）環を持たねばならない。本発明により使用されるＨＡＬＳ化合物においてピペリジニル窒素は置換されず、したがって化合物は次の構造：
【化６】
【００１０】
特に好適な安定化剤は式（ＩＩＩ）に対応するＨＡＬＳ化合物であり、これは特に名称チヌビン (Tinuvin) ７７０ ＤＦとしてノバルティス社により市販され、これはヒドラジド単位を持たない。
【化７】
式（ＩＩ）に対応する適する安定化剤（Ｂ）は酸ビドラジド、たとえばＵＳ−Ａ５，２１６，０７８号（参考のためここに引用する）に開示せされたような酢酸ヒドラジドもしくはアシピン酸ジヒドラジド、並びにＥＰ−Ａ６５４，４９０号（米国特許第５，５２３，３７７号、参考のためここに引用する）に開示されたようなビトラジンと環式カーボネートとから形成されたヒドラジンアダクトを包含する。特に好適なものは、２モルのプロピレンカーボネートと１モルの式（ＩＶ）：
【化８】
【００１２】
必要に応じ使用しうる成分（Ａ）および（Ｂ）以外の安定化剤はたとえば２，６−ジ−ｔ−ブチル−４−メチルフェノールのような酸化防止剤、たとえば２−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールのようなＵＶ吸収剤、並びにたとえば窒素原子が置換されたＨＡＬＳ化合物（たとえばチバ・ガイギー社から入手しうるチヌビン２９２）のような光安定化剤を包含する。
本発明による安定化されたポリイソシアネートは、たとえば酢酸ｎ−ブチル、酢酸メトキシプロピル、トルエンおよび高級芳香族溶剤混合物（たとえばソルベッソの商品名でエクソン・ヘミー社により市販されるもの）の存在下または不存在下で２０〜１２０℃（好ましくは７０〜９０℃）の温度にて作成される。
安定化ポリイソシアネートを製造するための１好適具体例によれば、１．０ＮＣＯ当量のイソシアネート成分を封鎖剤の１部（たとえば０．８当量）と約７０℃にて反応させる。溶剤なしの封鎖架橋剤の重量に対し１．０〜１．５％の安定化用成分（Ａ）、および１モルのヒドラジンと２モルのプロピレンカーボネートとから生成された０．１〜０．１５ ＯＨ当量のヒドラジド安定化用成分（Ｂ）を添加すると共に、混合物を計算ＮＣＯ含有量に達するまで約８５℃にて数時間にわたり反応させる。次いで残部０．０５〜０．１当量のＮＣＯ基を残量の封鎖剤と、ＮＣＯ含有量がもはやＩＲ分光測定法により検出しえなくなるまで反応させる。所望ならば、生成物を最終的に溶剤の添加により所望粘度に調整する。
【００１３】
本発明による実質的に或いは完全に封鎖されたポリイソシアネートは、焼付用ラッカーの製造における有機ポリヒドロキシル化合物のための貴重な架橋性樹脂である。これらは、この目的で従来使用されている封鎖ポリイソシアネートの代わりに使用することができる。焼付用ラッカーに使用するのに適するポリヒドロキシル化合物は公知であり、これら焼付用ラッカーの製造および使用に関する詳細はさらに該当する刊行物から得ることができる。
本発明による生産物の特に好適な用途は、自動車多層コーチングにおける透明コートとして或いは「白色物品」のためのコイル被覆として使用しうるポリウレタン透明焼付用ラッカーのための架橋剤である。ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオールまたは混合物が、本発明による封鎖ポリイソシアネートのための反応体として使用される。
【００１４】
【実施例】
以下、限定はしないが実施例により本発明をさらに説明し、ここで部数および％は全て特記しない限り重量による。
【００１５】
例１（本発明による）
窒素原子が置換されてない１．５％のＨＡＬＳ化合物と４．４％のヒドラジド化合物とを含有する本発明による安定化ポリイソシアネートの調製：
バッチ処方：
４００．０ｇ（２．０ｇ当量） ＨＤＩに基づくイソシアヌレート基含有のラッカーポリ イソシアネート、２１％のＮＣＯ含有量
１５４．９ｇ（１．７８当量） ブタノンオキシム
２６．０ｇ（０．２２当量） １モルのヒドラジン水和物と２モルのプロピレンカーボ ネートとから生成されたアダクト、分子量２３６
９．０ｇ 本発明によるＨＡＬＳ化合物（チバ・ガイギー社から入 手しうるチヌビン ７７０ ＤＦ）
１６８．４ｇ 酢酸メトキシプロピル
８４．４ｇ ソルベッソ１００溶剤
８４２．７ｇ（１．７８当量） 封鎖ＮＣＯ架橋剤
封鎖ＮＣＯ含有量、計算値：８．８％
【００１６】
処方手順：
上記ポリイソシアネートを酢酸メトキシプロピルと混合し、混合物を約６０℃まで予熱した。装置を窒素でフラッシュした。ブタノンオキシムの１部（１４６ｇ、１．６８ｇ当量）を少しずつ撹拌溶液に添加した。この溶液を約１．９％のＮＣＯ含有量（計算値１．８８％）に達するまで８０℃にて約１時間にわたり反応させた。次いで粘性のヒドラジン アダクトを注型金型に注ぎ入れ、粉末化されたＨＡＬＳ化合物（チヌビン ７７０ ＤＦ）の全量を撹拌混入し、内部温度を９０℃まで上昇させた。この混合物を０．６％のＮＣＯ含有量（計算値０．５６％）に達するまで９０℃にて約１０時間にわたり反応させた。残部８．９ｇのブタノンオキシムを添加し、さらに３０分間撹拌した後、ＩＲ分光測定法によりもはやＮＣＯ含有量は検出されなかった。この混合物をソルベッソ１００溶剤で希釈して７０％無色透明溶液を得、これは２６００ｍＰａ．ｓの粘度（２３℃）を有した。封鎖ポリイソシアネート溶液は４７７のＮＣＯ当量を有した。
【００１７】
例２（比較）
ブタノンオキシムで封鎖されると共に実施例１によるイソシアヌレート含有ラッカー ポリイソシアネートに基づく市販のポリイソシアネートを比較として用いた（ソルベッソ１００溶剤における７５％溶液）。溶液のＮＣＯ当量（封鎖イソシアネート基に基づく）は３７８であった。この溶液は２３℃にて３２００ｍＰａ．ｓの粘度を有した。
【００１８】
例３
コイル被覆用白色カバーコートの作成およびその比較試験につき説明する。
ポリオール成分は油フリーのポリエステル（バイエルＡＧからのアルキノール１６５５）とし、これを溶剤ナフサ中の６５％溶液として存在させ、１０００のＯＨ当量を有した。結合剤組成物を１：１のＮＣＯ：ＯＨ当量比にて作成し、これは例１および２の封鎖ポリイソシアネートおよび油フリーのポリエステルを次の量にて含有した：
結合剤組成物：
ラッカー１： ４７７重量部の例１による
封鎖ポリイソシアネート １０００重量部の
ラッカー２： ３７８重量部の比較例２に 油フリーのポリエーテル
よる封鎖ポリイソシアネート
【００１９】
次のマスターバッチを顔料ペーストとして処方した：
９．５重量部 油フリーのポリエステル
８．１重量部 ソルベッソ ２００Ｓ溶剤
２８．６重量部 バイエルチタンＲ−ＫＢ−４ 二酸化チタン顔料
【００２０】
顔料ペーストに２ｍｍ「シリクオーツ」ビーズをスカンデックスミキサーにて約１時間にわたり分散させた。次いで磨砕材料を、篩を用いてガラスビーズから分離した。次いで、次のラッカー成分を顔料マスターバッチと混合した：
２１．１重量部 （商標）アルキノール１６６５
ラッカー１--＞ １４．６重量部 例１による封鎖ポリイソシアネート
ラッカー２--＞ １１．６重量部 例２による封鎖ポリイソシアネート
０．８重量部 ジラウリン酸ジブチル錫、
ソルベッソ ２００Ｓ溶剤中１０％
７．０重量部 アセト酪酸セルロースＣＡＢ３５１−１、
イーストマン社から入手
１．４重量部 アクリナール ４Ｆ添加剤 (BASF AG)
ソルベッソ ２００Ｓ溶剤中５０％
【００２１】
塗布の目的で粘度を追加量のソルベッソ ２００Ｓ溶剤の添加により約７０ｓｅｃＤＩＮ ４／２３℃に調整した。
ラッカー１および２をクロムメッキされたアルミニウム板（厚さ１ｍｍ）にナイフにより施し、直にアバルボルグ炉内で回転プレートに焼付けた。
ＰＭＴ ２３２℃ ４０秒、炉温３５０℃
ＰＭＴ ＞２５４℃ ５０秒、炉温３５０℃
乾燥フィルム厚さは２０〜２３μｍであった。
次の性質が測定された：
【００２２】
【表１】
表の末尾（すなわちピーク金属温度＞２５４℃の過剰焼付条件下）における性質の差は決定的であった。この高い目標温度にて、本発明によるラッカー１は熱黄変に対し高い安定性を示した。ベルガー法により測定した８４．８単位の白色値はラッカー２の場合よりも約１０単位高かった。黄変も相応に低く（ＤＩＮ６１６７にしたがい測定した黄色測定値）、ラッカー２につき４．２と比較し０．６の数値を有した。
「白色物品」につき重要であった特性基準、たとえばストーブおよびオーブンは１２０℃にて１２０時間の熱処理であった。この場合も、ラッカー１の白色度および黄色値はラッカー２の場合よりも相当良好であった。
【００２４】
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、この詳細は単に例示の目的に過ぎず、本発明の思想および範囲を逸脱することなく多くの改変をなしうることが当業者には了解されよう。
Claims (3)
- ５〜２５重量％の封鎖および未封鎖のイソシアネート基（ＮＣＯとして計算）の含有量を有し、イソシアネート基の少なくとも９５％が封鎖剤で封鎖された形態にて存在し、さらに次の安定化用化合物：
（Ａ）ヒドラジド構造を持たない式（Ｉ）
（Ｂ）必要に応じ式（ＩＩ）
（Ｃ）成分（Ａ）および（Ｂ）以外の０〜５．０重量％の１種もしくはそれ以上の安定化剤
を含有することを特徴とする（シクロ）脂肪族ポリイソシアネート含有組成物。 - 封鎖剤がブタノンオキシムからなる請求項１に記載の組成物。
- 請求項１に記載のポリイソシアネート含有組成物および有機ポリヒドロキシル化合物を結合剤として含有することを特徴とする１−成分ポリウレタン被覆組成物。
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