JP4155747B2 - 光路偏向装置及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気信号により光の方向を変える光路偏向装置及びこの光路偏向装置を利用した画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような光路偏向装置に使用する光路偏向素子は、外部からの電気信号により光の光路を偏向、すなわち、入射光に対して出射光を平行にシフトするか、ある角度をもって回転させるか、あるいは、その両者を組合せて光路を切換えるための光学素子である。
【0003】
液晶材料を用いた光路偏向素子としては、従来、次のようなものが提案されている。
【0004】
まず、特開平6−18940号公報には、光空間スイッチの光の損失を低減することを目的に、人工複屈折板からなる光ビームシフタが提案されている。
【0005】
また、ピクセルシフト素子としては、特許第2939826号公報、特開平6−324320号公報、特開2000−193925公報に開示の技術が知られている。
【0006】
ここでいうピクセルシフト素子とは、少なくとも画像情報に従って光を制御可能な複数の画素が二次元的に配列された画像表示素子と、画像表示素子を照明する光源と、画像表示素子に表示した画像パターンを観察するための光学部材と、画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド毎に画像表示素子と光学部材の間の光路を偏向する光路偏向素子とを有し、サブフィールド毎の光路の偏向に応じて表示位置がずれている状態の画像パターンを表示することで、画像表示素子の見かけ上の画素数を増倍して表示する画像表示装置において、光路偏向素子として使用されるデバイスである。
【0007】
その他、ホール・パターン電極を用いた液晶レンズについては、“O plus E, Vol.20, No.10 (1998)「液晶マイクロレンズ」”に開示されている。ホール・パターン電極の液晶レンズをアレイ状にし、光結合素子の光の結合効率を可変する技術は、特開平11−109303号公報、特開平11−109304号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液晶材料の特性には温度依存性があるため、光路偏向素子等の光学素子として液晶材料を用いる場合、光路偏向素子の周囲の温度により光路偏向量が変動するという不具合がある。
【0009】
また、液晶材料を用いた光路偏向素子等の光学素子の作製において、この光学素子の液晶層を挟持している一対の基板間のギャップを均一に作製することは難しく、このギャップにむらがある場合にも光路偏向量は変動するという不具合がある。例えば、光スイッチや光結合効率可変等の用途に該光路偏向素子を用いた場合、偏向量が変動すると光利用効率が悪くなり、また、画像表示装置に用いた場合では表示画像のドット位置ずれが発生し、コントラスト低下を引き起こす原因になる。
【0010】
この発明の目的は、温度変化と無関係に光路偏向素子の光の偏向量を一定に維持することである。
【0011】
この発明の別の目的は、この場合の光路偏向素子の印加電圧の設定誤差を吸収することができる。
【0012】
この発明の別の目的は、光路偏向素子の基板間のギャップの大きさにかかわらず、光路偏向素子の光の偏向量を一定に維持することである。
【0013】
この発明の別の目的は、経年変化等により光路偏向素子の光の偏向量が変動しても、光路偏向素子の光の偏向量を一定に調整できるようにすることである。
【0014】
この発明の別の目的は、光路偏向素子の光の偏向量のずれを検出して、光路偏向素子の光の偏向量を一定に維持することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、一対の透明な基板、この基板間に設けた電圧印加により屈折率分布を制御可能な液晶層、及び、この液晶層に電圧を印加する電極を有し、前記電極は前記液晶層の出射面側に一対の櫛形電極が交互配列で設けられ、入射面側にベタ電極が設けられ、前記液晶層は前記櫛形電極の配列方向と略同方向となるようにホモジニアス配向処理され、前記一対の櫛形電極へ交互に電圧が印加されることで、入射した光を無印加の前記電極に集光するように偏向させる光路偏向素子と、前記液晶層又はその近傍の温度変化を検出する温度検出素子と、前記電極に電圧を印加して前記光路偏向素子を駆動する光路偏向駆動回路と、前記光路偏向素子の出射光の一部の偏光面を90°回転させるツイストネマチック液晶セルと、該偏光面が90°回転した出射光を屈曲して当該出射光の光路外に導く偏光ビームスプリッターと、前記偏光ビームスプリッターからの出射光を受光し、前記光路偏向素子の出射光の偏向量を検出する偏向量検出素子と、前記温度検出素子の温度検出信号と前記偏向量検出素子の偏向量検出信号に応じて、前記光路偏向駆動回路による前記電極への印加電圧を制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする光路偏向装置である。
【0016】
したがって、液晶層の温度変化に応じて光路偏向素子の駆動電圧を制御することができるので、温度変化と無関係に光路偏向素子の光の偏向量を一定に維持することができる。又、光路偏向素子の光の偏向量のずれを検出して、光路偏向素子の光の偏向量を一定に維持することができる。又、光路偏向素子を遮らないように光路外で偏向量検出素子による検出を行なって、光路偏向素子の光の利用効率を高く維持することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光路偏向装置において、温度検出素子は、抵抗値の変化により温度検出を行なう透明な抵抗体である。
【0018】
したがって、温度検出素子を光路偏向素子の光を遮るような液晶層の近傍に配置しても、光路偏向素子の光の利用効率は低下せず、液晶層の温度変化を正確に捉えることができる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光路偏向装置において、前記制御手段は、前記温度検出信号の補正値に応じて、前記光路偏向駆動回路による前記電極への印加電圧を制御するものである。
【0020】
したがって、温度検出信号の補正値を用いることにより、光路偏向素子の印加電圧の設定誤差を吸収することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの一に記載の光路偏向装置において、前記制御手段は、前記基板間のギャップの大きさに応じた補正量で前記電極への印加電圧を補正するものである。
【0022】
したがって、光路偏向素子の基板間のギャップの大きさにかかわらず、光路偏向素子の光の偏向量を一定に維持することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかの一に記載の光路偏向装置において、前記光路偏向駆動回路による前記電極への印加電圧の大きさの手動による調整を受付ける電圧調整回路を備えている。
【0024】
したがって、経年変化等により光路偏向素子の光の偏向量が変動しても、光路偏向素子の光の偏向量を一定に調整することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、照明光を画像情報に基づいて空間光変調して画像光として出射する画像表示素子と、この画像表示素子と同期し、前記画像表示素子の各画素から入射されてくる画像光の光路を偏向して前記画像表示素子の見かけ上の画素数を増倍して表示する請求項1〜5のいずれかの一に記載の光路偏向装置と、を備えていることを特徴とする画像表示装置である。
【0026】
したがって、請求項1〜5のいずれかの一に記載の発明と同様の作用、効果を奏する。
【0033】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態について説明する。
【0034】
図1は、この実施の形態である画像表示装置11の概略構成を示す概念図である。光源12は、白色あるいは任意の色の光を高速にON/OFFできるものなら様々な光源を用いることができる。例えば、LEDランプやレーザー光源、白色のランプ光源にシャッターを組合せたものなど用いることができる。照明装置13は光源12から出射した光を均一に画像表示素子14に照射する光学素子であり、拡散板13a、コンデンサレンズ13bなどから構成される。
【0035】
画像表示素子14は、表示駆動回路19により駆動されて、入射した均一照明光を空間光変調して出射する素子で、透過型液晶ライトバルブ、反射型液晶ライトバルブ、DMD素子などを用いることができる。
【0036】
光源駆動回路15で点灯駆動されて光源12から放出した光は、拡散板13aにより均一化された照明光となり、コンデンサレンズ13bにより画像表示素子14をクリティカル照明する。ここでは、画像表示素子14の一例として透過型液晶ライトバルブを用いている。この液晶ライトバルブで空間光変調された照明光は、画像光として投射レンズ16で拡大されスクリーン17に投射される。
【0037】
ここで、画像表示素子14よりスクリーン17側に配置された光路偏向素子1は光路偏向駆動回路18により駆動されて、画像表示素子14を出射した画像光は画素の配列方向に任意の距離だけシフトする。光路偏向駆動回路18と表示駆動回路19とは、画像表示制御回路21による制御を受け、画像表示素子14と光路偏向素子1とは同期して駆動される。
【0038】
図1の例では、画像表示素子14の直後に光路偏向素子1を設置しているが、この位置関係に限定する必要はなく、スクリーン17の直前などに配置してもよい。但し、スクリーン17付近に設置する場合、光路偏向素子1の大きさや透明電極3のピッチなどは、その位置での画面サイズや画素サイズに応じて設定される。いずれの場合でも、画素のシフト量は画素ピッチの整数分の1であることが望ましい。画素の配列方向に対して2倍の画像増倍を行なう場合は画素ピッチの1/2にし、3倍の画素増倍を行なう場合は画素ピッチの1/3にする。また、光路偏向駆動回路18の構成によってシフト量が大きくなる場合には、シフト量を画素ピッチの(整数倍+整数分の1)の距離に設定してもよい。いずれの場合も、画素のシフト位置に対応したサブフィールドの画像信号で画像表示素子14を駆動し、図2に示すように、実際の画素20aが見かけ上の画素20a,20bに倍増される画素増倍効果が得られ、見かけ上使用した画像表示素子14の解像度以上の高精細で、コントラストのよい画像を表示することができる(図2には、画素20a20bへのシフト量、画素20aの画素ピッチも示している)。
【0039】
なお、図1の例では、カラーフィルターを組合せた透過型液晶ライトバルブである画像表示素子14と白色ランプを用いた光源12の例を示した。また、単板の画像表示素子14を時間順次に3原色光で照明するフィールドシーケンシャル方式でもフルカラー画像を表示することができる。このとき、白色ランプ光源と回転カラーフィルターを組合せて時間順次の3原色光を生成してもよい。
【0040】
次に、光路偏向素子1について詳細に説明する。
【0041】
図3は、この実施の形態である光路偏向素子1の構成を説明する概念図である。図3に示すように、光路偏向素子1は、二枚の透明基板2と、少なくとも一方の基板上2に形成したストライプ型の透明ライン電極3と、もう一方の基板上2に形成した透明電極6と、二枚の基板2,2間に収納され電圧印加によって屈折率分布の制御が可能な液晶層4とを有する液晶セル1aを備えている。図3は、このような光路偏向素子1を構成する液晶セル1aの非動作時の液晶配向状態を模式的に示している。無電界の状態では液晶分子5が基板2に沿って平行になるようにホモジニアス配向処理されている。
【0042】
この図3の例では、液晶分子5の長軸が図3の紙面の左右方向になるような配向処理を想定している。上側の透明基板2には透明ライン電極3がアレイ状に形成されており、透明ライン電極3のピッチや幅などは特に限定する必要はない。下側の透明電極6は基板2の全面に形成されているが、上側の基板2に設けられた透明ライン電極3と対称な透明ライン電極として形成してもよい。透明基板2の材料としては、ガラス、プラスチック等を使用でき、透明電極の材料としては、ITO等が利用できる。電極3,6は必ずしも透明でなくてもよく、Al、Cr等の導電性を示すものなら様々な材料を用いることができる。電極3,6は基板2の液晶層4側になるように設ける。使用する基板2自身が導電性を有している場合は、基板2を電極3,6としても利用することができる。液晶層4を構成する液晶材料としては、一般的なネマチック液晶を用いることができるが、複屈折Δnや誘電異方性Δεが大きいものを用いるのが望ましい。特に、液晶材料の常光屈折率がガラス基板の屈折率に近い1.5〜1.6程度で、異常光屈折率が1.7〜1.8程度と大きいことが望ましい。液晶層4の厚さは基板2,2間に介装する図示しないスペーサ部材の厚さよって設定し、ΔnやΔεに応じて所望の光路偏向量や応答速度が得られるように最適化する。
【0043】
なお、透明ライン電極3のピッチは画素ピッチと一対一で対応している必要はなく、所望の屈折率分布を得るために、画素ピッチの整数倍あるいは整数分の1に一致させてもよい。また、複数本の透明ライン電極3を一組として、その組を画素ピッチに対応させるようにしてもよい。透明電極3,6の液晶層4に接する面は、液晶分子5が配向するように処理することが望ましい。配向処理には、TN液晶、STN液晶等に用いられるポリイミド等の通常の配向膜が利用できる。また、ラビング処理や光配向処理を施すことが望ましい。さらに、透明電極の表面には絶縁膜を設けてもよい。
【0044】
図4は、光路偏向素子1の動作を説明する説明図である。図4(a)(状態▲1▼)はグレイ色で示した透明ライン電極3(3a)にのみ所定の閾値以上の電圧を印加した場合を示す。電圧を印加した電極3a,6間では電界によって液晶分子5が垂直に配向し、無印加の電極3,6間では水平に配向したままになる。この液晶セル1a内部の不均一電界による配向方向の分布によって、異常光に対する屈折率分布が生じる。図4の紙面に平行な偏光面を持つ直線偏光を入射する場合、液晶分子5の長軸が基板2に垂直に配向するにしたがって実効的な屈折率が小さくなり、図4(c)の実線(状態▲1▼)のような屈折率分布の影響を受ける(図4(c)のグラフの位置と、図4(a)(b)の紙面の左右方向の位置とは対応している)。この屈折率分布は図4(c)の実線のようにピッチが比較的大きな凸レンズ状になっている。次に、図4(b)(状態▲2▼)のように電圧を印加する電極3を電極3bに切換えると、液晶分子5の配向状態も変化し、図4(c)の破線(状態▲2▼)のような屈折率分布に変化する。
【0045】
このように電圧をライン電極3に印加することによって、光路偏向素子1を透過する光路7(図4)は偏向されて集光し、電圧を印加する電極3を切換えることによって、その焦点位置はシフトする。つまり焦点位置によって光路偏向量は決まる(この明細書で、光路偏向素子1を透過する光の焦点位置の変化と光路偏向量の変化は同一の現象について述べている)。この焦点位置は液晶の配向に起因する屈折率分布によって変化する。液晶の配向は電極3,6に印加する電圧値によって変化するため、この印加電圧を調節すれば、焦点位置は可変でき、光の偏向量も可変できる。つまり、光路偏向量が何らかの原因で変化したとき、液晶層4への印加電圧を調節することにより光路偏向量を均一に設定することができる。
【0046】
また、光路偏向量が変化する一つの原因として液晶層4の周囲温度の変化を挙げることができる。これは液晶材料の特性には温度依存性があるためである。例えば、液晶材料の弾性定数、誘電率の温度特性によって、温度が下がると閾値電圧は上昇する。すなわち、液晶層4に印加される電圧が一定の場合、温度が変化すると、図3に示すように、温度によって光路7の偏向量又は集光特性は変化する。そこで、液晶層4又はその近傍の温度を検出し、この検出温度に応じて液晶層4への印加電圧を調節するようにすれば、光路偏向量を均一にすることができる。
【0047】
そこで、図1に示すように、この画像表示装置1では、温度検出素子22を設け、温度検出回路23により、この温度検出素子22で液晶層4の温度を検出している。そして、電圧制御回路24は、温度検出回路23からの温度の温度検出信号に基づいて、光路偏向素子1を透過する光の焦点位置の変化(光路偏向量の変化)が略一定範囲に維持できるように、光路偏向駆動回路18を制御して、電極3,6間の印加電圧を制御している。光路偏向素子1、光路偏向駆動回路18、温度検出素子22、温度検出回路23、電圧制御回路24により、光路偏向装置25を構成している。
【0048】
例えば、図5に示すように、図4(a)の状態▲1▼の例で、図5(a)の液晶層4の温度をT1、図5(b)の液晶層4の温度をT2として(T1>T2)、電極3,6間への印加電圧がどちらも等しくVであったときは、光路7の焦点位置の変化(光路偏向量の変化)は、図5(a)と図5(b)とに示すように異なる。
【0049】
そこで、図5(a)に示すように、検出素子22による検出温度がT1からT2へ変化した場合には(T1>T2)、図5(b)に示すように、電極3,6間への印加電圧をV2からV1に調節することで(V1<V2)、図7に示すように、光路偏向量を均一にすることができる。なお、電極3,6への印加電圧の調整範囲は、基準電圧V1に対して0〜2V1の範囲とすることが望ましい。例えば、V1=16ボルトのとき、0〜32ボルトの間で調整するのが望ましい。
【0050】
温度検出素子22は、熱電対、サーミスタなどを用いることができ、温度検出素子22の設置は液晶層4の動作温度を検知できる位置であればどこでもよいが、望ましくは液晶層4の近傍に設置する。
【0051】
この例では、温度検出素子22として透明抵抗体を形成しており、この透明抵抗体としてはITO等を用いることができる。この抵抗体は温度変化により内部抵抗が変化し、この内部抵抗の変化に基づいて温度を検出する素子である。このように、透明抵抗体からなる温度検出素子22を設置することで、温度検出素子22を液晶層4に近接して設けることができ、液晶層4の温度を正確に検出して、光路偏向量を精度良く均一に制御するこができる。
【0052】
また、電圧制御回路24は、実際には、温度検出素子22の位置等の諸条件に応じて、温度検出素子22の温度検出値を補正した補正値を用い、この補正値に応じて光路偏向駆動回路18を制御して、電極3,6間の印加電圧を制御する。具体的には、温度検出素子22の温度検出値を所定の換算式で換算してもよいし、ルックアップテーブルにより、温度検出素子22の温度検出値を電圧値に換算するようにしてもよい。
【0053】
液晶層4の温度は一定であっても、なおかつ、光路偏向素子1を透過する光の光路偏向量が変化する一つの原因として、光路偏向素子1のギャップむらがある。すなわち、個々の光路偏向素子1ごとに基板2,2間のギャップの差がある場合、図8に示すように、光路の偏向量は変化する。図8の例では、印加電圧V、液晶層4の温度Tは共通であるが、基板2,2間のギャップは、図8(a)がd1、図8(b)がd2で(d1>d2)差があるため、光路偏向素子1を透過する光の光路偏向量も異なっている。
【0054】
そこで、1台1台の光路偏向素子1により異なる基板2,2間のギャップに対応して、電極3,6間の印加電圧を調節することで、図9に示すように、光路偏向量は均一にできる。図9(a)は図8(a)の場合、図9(b)は図8(b)の場合を示している。このような光路偏向素子1のギャップむらは、主に光路偏向素子1の製造工程で発生するため、あらかじめ出荷時に基板2,2間のギャップに応じた電極3,6間への印加電圧の補正量を、電圧制御回路24において設定しておき、この補正量で電極3,6間への印加電圧を補正するようにする。具体的には、この補正量を用いた所定の換算式で電極3,6間への印加電圧の値を換算してもよいし、この補正量を考慮したルックアップテーブルにより、温度検出素子22の温度検出値を電圧値に換算するようにしてもよい。
【0055】
図10は、電圧制御回路24が行なう電極3,6間の印加電圧の制御を説明するフローチャートである。すなわち、電圧制御回路24はマイコンを備えている。まず、このマイコンのCPUが、温度検出回路23から温度検出信号を取り込み(ステップS1)、この温度検出信号の値をマイコンのROMに格納されているルックアップテーブルを用いて、電極3,6間に印加する電圧値に換算する(ステップS2)。このルックアップテーブルには、温度検出素子22の位置等の諸条件に応じて、温度検出素子22の温度検出値を補正した補正値や、基板2,2間のギャップに応じた電極3,6間への印加電圧の補正量を考慮して、電極3,6間に印加する電圧値が登録されている。そして、ステップS2でテーブルルックアップにより電極3,6間に印加する電圧値を求めると、光路偏向駆動回路18を制御して、電極3,6間の印加電圧がステップS2で求めた値となるようにする(ステップS3)。この図10の処理により、制御手段を実現している。
【0056】
次に、光路偏向素子1の動作について詳細に説明する。
【0057】
図11(a)は、光路偏向素子1の液晶セル1aの非動作時の液晶配向状態を模式的に示している。無電界では液晶分子5が基板に沿って平行になるように、光路偏向素子1はホモジニアス配向処理されている。この図11の例では、液晶分子5の長軸が紙面の左右方向になるような配向処理を想定している。
【0058】
図11(b)(状態▲1▼)は、着色して表示した透明ライン電極3(3a)にのみ(温度検出素子22により検知した温度に対応した)閾値以上の電圧を印加した場合を示す。電圧を印加した電極3a,6間では液晶分子5が電界によって垂直に配向し、電圧を無印加の電極3b,6間では水平に配向したままになる。この液晶セル1a内部の不均一電界による配向方向の分布によって異常光に対する屈折率分布が生じる。図11の紙面に平行な偏光面を持つ直線偏光を入射する場合、液晶分子5の長軸が基板2に垂直に配向するにしたがって実効的な屈折率が小さくなり、図11(d)の実線(状態▲1▼)のようなピッチが比較的大きな凸レンズ状の屈折率分布の影響を受ける。そのため、入射した光は電圧を無印加の電極3bに集光するように偏向する。
【0059】
次に、図11(c)(状態▲2▼)のように電圧を印加する電極3を電極3bに切換えると、液晶分子5の配向状態も変化し、図11(d)の破線(状態▲2▼)のような屈折率分布に変化する。この場合、画像表示素子14の2画素に対して一つの凸レンズ効果を持たせる。状態▲1▼と▲2▼を画像表示素子14に表示するサブフレームの駆動タイミングに合わせて切換えることで、見かけ上の画素増倍作用を得ることができる。
【0060】
光路偏向素子1では、液晶セル1aに入射する入射側の画素のサイズは比較的大きく設定される。例えば、光路偏向素子1の液晶セル1aが図11(b)の状態▲1▼のとき、図12の4つの入射側画素31に第一のサブフレームとして▲1▼▲3▼▲5▼▲7▼の状態を表示すると、図11(d)の実線の屈折率分布によって、▲1▼と▲3▼、▲5▼と▲7▼の画素31の画像がそれぞれ縮小される。この時、図12上部に実線で示した出射側画素32のように、画素ピッチは一定でなくなる。
【0061】
次に、第二のサブフレームの表示タイミングに合わせて、図11(c)の状態▲2▼のように電圧を印加する電極3を電極3bを切換えると、屈折率分布は図11(d)の破線のように切換わる。ここで、入射側画素31に第二のサブフレームとして▲2▼▲4▼▲6▼▲8▼の状態を表示すると、図13上部の破線で示した位置に縮小された画素32が移動する。サブフレームを数十Hzから数百Hzで切換えることで、液晶セル1a上では、見かけ上、▲2▼▲1▼▲3▼▲4▼▲6▼▲5▼▲7▼▲8▼と変則的に並んだ8つの画素32となる。
【0062】
しかしながら、前述したように光路偏向量は温度によって変化するので、温度がT1からT2またはT2からT1(T1>T2)に変化した場合、図13に示すように出射側画素32の位置はずれる(温度T1のときの光路が7a、画素が32a、温度T2のときの光路が7b、画素が32b)。これにより、隣合う画素32が重なりあって、コントラストを低下させる原因となる。
【0063】
そこで、図6に示すように、温度検出素子22により検知した温度に対応して、電極3,6間に印加する電圧を調節することで、図16のように出射側画素32の位置は温度によらず一定になり、コントラストの低下が防止できる。
【0064】
この場合に、電圧制御回路24は、実際には、温度検出素子22の位置等の諸条件に応じて、温度検出素子22の温度検出値を補正した補正値を用いるので、電極3,6間の印加電圧の調節または設定誤差を少なくすることができる。これにより、出射側画素32の位置を精度良く均一にすることができる。
【0065】
また、液晶層4の温度が一定の場合でも、光路偏向量は基板2,2間のギャップむらによって変化するため、図15に示すように、出射側画素32の位置はずれ、コントラストを低下する。すなわち、図15(a)は基板2,2間のギャップがd1と広い場合を、図15(b)は基板2,2間のギャップがd2と狭い場合を示しており、ギャップがd1と広い前者の場合は、出射側画素32aは大きくなり、ギャップがd2と広い後者の場合は、出射側画素32bは小さくなる。
【0066】
しかし、あらかじめ出荷時に基板2,2間のギャップに応じた電極3,6間への印加電圧の補正量を、電圧制御回路24において設定しておき、この補正量で電極3,6間への印加電圧を補正するので、図16に示すように、出射側画素32の位置は基板2,2間のギャップむらにかかわらず一定になり、コントラストの低下が防止できる。
【0067】
次に、画像表示装置11の他の構成例について説明する。図17は、この画像表示装置11の構成例を示す概念図である。この画像表示装置11が、図1〜図16を参照して説明した画像表示装置11と相違するのは、電圧調節回路26を備えている点である。その他の点については図1〜図16を参照して説明した画像表示装置11と同様であり、図17に同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0068】
電圧調節回路26は、手動操作により光路偏向駆動回路18が光路偏向素子1に印加する電圧を調整することができる。よって、電圧制御回路24により前述のように設定される基板3,6間の電圧より、当該電圧を高くあるいは低く、所望に調整することができる。
【0069】
すなわち、長期的な経時劣化や環境変動により、光路偏向素子1の偏向特性が変化し、出射側画素32にずれが発生した場合、この電圧制御回路24によって光路偏向量を正確に調節することで、出射側画素32のずれを補正することができる。また、表示画像の劣化、コントラスト低下等の発生も実際の画像を確認しながら、電圧調整用コントローラで光路偏向量を調節できるので、好みの表示画像に設定することができる。
【0070】
画像表示装置11の他の構成例について説明する。図18は、この画像表示装置11の構成例を示す概念図である。この画像表示装置11が、図1〜図16を参照して説明した画像表示装置11と相違するのは、光路偏向素子1の外部に光路偏向素子1による光路7のシフト量を検出する偏向量検出素子27と、この偏向量検出素子2を移動する移動機構28とを備えている点である。
【0071】
偏向量検出素子27としては、微小な受光素子をアレイ状に密に配列したものを用い、光路偏向素子1からの出射光線の受光位置の変化を検出する。受光素子としてはCCDやフォトダイオードアレイなどを用いることができる。一つの受光素子のサイズは、数μm〜数十μm程度であり、所望の光路7のシフト量よりも小さくする。また、レンズなどを用いて偏向量を拡大してもよい。
【0072】
光路偏向素子1からの出射光路7中に常に偏向量検出素子27を配置すると、利用可能な光量を減少させ、出射光路7を遮光してしまう。そのため、偏向量検出素子27を出射光路7中に出し入れする移動機構28を設けることが望ましい。この移動機構28は電圧制御回路24の制御により駆動され、偏向量検出素子27は偏向量検出回路29により、光路7の偏向量を検出して、その偏向量検出信号は電圧制御回路24に入力される。移動機構28としては、ソレノイドによる往復機構、回転モータによる回転機構、回転機構を往復運動に変換するリンク機構などを用いることができる。
【0073】
他の望ましい構成として、移動機構28に代えて出射光路7を屈曲させる光学素子を設けて、固定した偏向量検出素子27への入射を切換えるようにしてもよい。この出射光路7を屈曲させる光学素子としては、平面鏡や偏光ビームスプリッターなどを用いることができる。特に、この光路偏向素子1では、出射光が直線偏光であるため、ツイストネマチック液晶セルのように電気的に偏光面を90°回転させる液晶を用いた液晶セルと偏光ビームスプリッターを組合せれば、電気的に出射光路7を屈曲させることができる。このように、出射光路7を屈曲させる光学素子を用いた場合は、機械的な可動部が無いので、装置の小型化や静音化などの点で有利である。
【0074】
このように偏向量検出素子27を用い、所望のタイミングで出射光路7を偏向量検出素子27上に導き、実際に偏向動作を行なわせてその偏向量を検出する。そして、電圧制御回路24では、検出した偏向量の大きさに応じて、電極3,6間に印加する電圧を自動調節する。
【0075】
具体的には、偏向量の検出値を所定の換算式で換算してもよいし、ルックアップテーブルにより、温度検出素子22の温度検出値のみならず、偏向量の検出値も考慮して、電圧値に換算するようにしてもよい。
【0076】
図19は、電圧制御回路24による制御の一例を示すフローチャートである。すなわち、電圧制御回路24のマイコンのCPUが、温度検出回路23から温度検出信号を取り込み(ステップS11)、また、偏向量検出回路29から偏向量検出信号を取り込み(実際には、例えば、画像表示装置11の主電源が投入されるたびに偏向量検出回路29から偏向量検出信号を取り込んで、その値をRAMに記憶し、この記憶している値を用いるなどする)(ステップS12)、この温度検出信号及び偏向量検出信号の値をマイコンのROMに格納されているルックアップテーブルを用いて、電極3,6間に印加する電圧値に換算する(ステップS13)。このルックアップテーブルには、温度検出素子22の位置等の諸条件に応じて、温度検出素子22の温度検出値を補正した補正値や、基板2,2間のギャップに応じた電極3,6間への印加電圧の補正量や、光路7の偏向量に応じた補正量も考慮して、電極3,6間に印加する電圧値が登録されている。そして、ステップS13でテーブルルックアップにより電極3,6間に印加する電圧値を求めると、光路偏向駆動回路18を制御して、電極3,6間の印加電圧がステップS2で求めた値となるようにする(ステップS14)。この図19の処理により制御手段を実現している。
【0077】
このような構成によれば、長期的な経時劣化や環境変動により光路偏向素子1の偏向特性が変化した場合でも、実際の光路7のシフト量を検出して制御系にフィードバックすることで、正確な光偏向動作を行なうことができ、出射側画素32のずれを補正することができる。
【0078】
以上説明したように、この画像表示装置11によれば、簡単な電極構成で、液晶レンズの集光による画素縮小効果と、液晶レンズの形成位置の切換えによる画素シフト効果を一つの液晶セル1aで両立でき、表示画像のコントラストの低下を防止することができる。
【0079】
【実施例】
この発明の実施例について説明する。
【0080】
(実施例1)
光路偏向素子1(液晶セル1a)の基本構成は、透明ガラス基板(基板2)(3cm×4cm、厚さ1.1mm)を二枚用い、一方の基板2上にはCrのライン電極3を形成した。このライン電極3は交互に同一電圧を印加できるように,図20のような櫛形電極とした。もう一方の基板2は、その片面側全面にITOを形成し、ベタ電極の電極6とした。基板2のITO側にポリイミド系の配向材料(AL3046-R31、JSR社製)をスピンコートし、約0.3μmの配向膜を形成した。基板2のアニール処理後、Crラインに対して直角方向にラビング処理を行った。二枚の基板2,2間に3μmのスペーサ(真絲球)を挟み、上下基板2,2を張り合わせ(電極面は対向させる)、加圧した後、UV硬化接着剤で封止をして空セルを作製した。この空セルの中に、誘電率異方性が正のネマチック液晶(ZLI-2471、メルク社製)を毛細管法で注入し、液晶セル1aを作製した。上下基板2,2のラビング処理の方向は一致しているため、液晶分子5は基板2に対して平行で全て同じ向きに配向(ホモジニアス配向)した状態となる。作製したセル1aに温度検出素子22と温度検出回路23を取り付けた。これは、安立計器製のデジタル温度計を改造して使用した。温度検出素子22をセル1aの両面に配置し、両者の検出値の平均値を光路偏向素子1の温度として検出するようにした。
【0081】
以上の構成で、光路偏向素子1に電圧を印加して動作させる。印加電圧は3台のファンクションジェネレイターを使い、1台はトリガーとして、図20に示す櫛型電極A,Bへ交互に電圧を印加するために用いた。入力周波数は100Hz、電圧の入力波形は三角波とし、電圧値はオシロスコープ、テスターで確認した。観察評価系は白色ランプにアパーチャー(1.5mm)を取り付け、コリメートレンズにより平行光にし、液晶セル1aに白色光を入射する。その透過光を顕微鏡(対物レンズ゛(40×)、リレーレンズ及びCCDカメラで構成)で観察、CCDカメラを通してデジタルビデオで撮影し、この映像から光強度分布のラインプロファイルを解析ソフト(Image pro plus)に取りこみ、この光強度のプロファイルから光路シフト量を求めた。
【0082】
光路偏向素子1を動作させる電圧は16Vとし、光源ONから数分後、1時間後のシフト量を測定した結果、約1μmの差があり、光シフト量は変化した。光源12のONから数分後、1時間後の光路偏向素子1の温度を温度検出素子22により測定したところ、それぞれ25℃、35℃であった。そこで、光源12のONから1時間後、光路偏向素子1を動作させる電圧を10Vに設定し、シフト量を測定した結果、光源12のONから数分後のシフト量と同じになった。したがって、測定温度に応じて液晶セル1aへの印加電圧を調節することで、光路7のシフト量を一定にすることができた。
【0083】
(実施例2)
図1のような画像表示装置11を作製した。画像表示素子14として対角0.9インチXGA(1024×768ドット)のポリシリコンTFT液晶ライトバルブを用いた。画素ピッチは縦横ともに約18μmである。画素の開口率は約50%である。また、画像表示素子14の光源12側にマイクロレンズアレイを設けて、照明光の集光率を高める構成とした。光源12としては白色ランプを用い、カラーフィルターを各画素表面に設けた透過型液晶ライトバルブを画像表示素子14として使用してカラー表示を行なった。光路偏向素子1は実施例1と同様のものを用い、この光路偏向素子1を画像表示素子14の直後に設置して、画素位置と透明ライン電極3の位置合わせを調整した。また、液晶セル1aの出射側に薄い拡散層を有する拡散板を合わせて、出射面での拡散光を拡大し、観察した。
【0084】
光路偏向素子1を動作させる印加電圧は16Vとし、光源12をONにして数分後の表示画像を観察した結果、横方向の画素密度が二倍の、高精細でコントラストのよい画像が得られた。しかし、光源12のON状態のまま1時間放置し、表示画像を観察した結果、表示画像のコントラストは悪くなっていた。光源12のONから数分後、1時間後の光路偏向素子1の温度を温度検出素子22により測定したところ、それぞれ25℃、35℃であった。そこで、光源12のONから1時間後、光路偏向素子1を動作させる印加電圧を10Vにしたところ、数分後の表示画像と同様にコントラストのよい画像が得られた。
【0085】
(実施例3)
図21のように分割したパターン電極3、基板2、20μmのスペーサ41を用い、実施例1と同様にして作製したセルの基板2,2間のギャップは、図21に示すように5μmの差が生じていた。印加電圧を一定にして実施例1と同様にセル1aを動作させ、ギャップが小さい位置と大きい位置の光路シフト量を測定したところ、基板2,2間のギャップが小さい位置と大きい位置とでは、光路7のシフト量が約2μmずれた。印加電圧を8Vにし、セル1aを動作させ、ギャップが小さい位置での光路7のシフト量を測定した。また、印加電圧を7Vにし、セル1aを動作させ、ギャップが大きい位置での光路7のシフト量を測定した。すると、ギャップが小さい位置と大きい位置での光路シフト量は同じであった。従って、ギャップ差によって電圧を調節することで、光路7のシフト量を一定にすることができた。
【0086】
(実施例4)
実施例3で作製した光路偏向素子1を用いて、実施例2と同様の画像表示装置11を作製し、その表示画像を観察した。
【0087】
光路偏向素子1を動作させる印加電圧を8Vにし、表示画像を観察した結果、表示画像に一部ドットずれが生じており、コントラストが低下しているところがあった。光路偏向素子1の電極3(のA〜F)への印加電圧を、図22のように設定したところ、表示画像のドットずれはなくなり、コントラストも良くなった。
【0088】
(実施例5)
実施例2の画像表示素子14におけるスクリーン17の周辺部に、投射光路の端部において、CCD素子が挿入可能な機構を設けた。この機構は、通常の画像表示状態では、CCD素子を光路7上からの待避位置に置くが、使用時間の累積が1000時間毎に、ソレノイドにより投射光路中の端部に挿入するものである。そして、この挿入と同時に投射レンズ16のピントを微調整し、投射画像がCCD面上に結像するように設定する。この状態で予めテストパターンとして記憶されているドット画像を投影し、CCD素子の表面上でのシフト量を測定した。最初の測定では、シフト量は狙いの設定値より35μmずれており、表示画像にボケが生じコントラストが良くなかった。
【0089】
そこで、CCD面上でのシフト量が狙いの設定値である125μmとなるように、電極3への印加電圧を調整し、その時の電圧を新たな制御目標電圧として再設定した。このような調整の実施により、表示画像にボケがなくなり、コントラストがよくなった。
【0090】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、温度変化と無関係に光路偏向素子の光の偏向量を一定に維持することができる。又、光路偏向素子の光の偏向量のずれを検出して、光路偏向素子の光の偏向量を一定に維持することができる。又、光路偏向素子を遮らないように光路外で偏向量検出素子による検出を行なって、光路偏向素子の光の利用効率を高く維持することができる。又、ツイストネマチック液晶セルのように電気的に偏光面を90°回転させる液晶を用いた液晶セルと偏光ビームスプリッターとを組合せることにより、機械的な可動部を用いることなく電気的に出射光路を屈曲させることができるため、装置の小型化や静音化などの点で有利である。
【0091】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光路偏向装置において、温度検出素子を光路偏向素子の光を遮るような液晶層の近傍に配置しても、光路偏向素子の光の利用効率は低下せず、液晶層の温度変化を正確に捉えることができる。
【0092】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光路偏向装置において、光路偏向素子の印加電圧の設定誤差を吸収することができる。
【0093】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの一に記載の光路偏向装置において、光路偏向素子の基板間のギャップの大きさにかかわらず、光路偏向素子の光の偏向量を一定に維持することができる。
【0094】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかの一に記載の光路偏向装置において、経年変化等により光路偏向素子の光の偏向量が変動しても、光路偏向素子の光の偏向量を一定に調整することができる。
【0095】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかの一に記載の発明と同様の作用、効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態である画像表示装置の構成を示す概念図である。
【図2】画像表示装置による見かけ上の画素倍増を説明する説明図である。
【図3】光路偏向素子の液晶セルの概念図である。
【図4】光路偏向素子について説明する説明図である。
【図5】光路偏向素子の温度の違いによる光路の偏向量について説明する説明図である。
【図6】光路偏向素子の温度の違いに応じた印加電圧について説明するグラフである。
【図7】光路偏向素子の温度の違いによる光路の偏向量の補正について説明する説明図である。
【図8】光路偏向素子の基板間のギャップの違いによる光路の偏向量について説明する説明図である。
【図9】光路偏向素子の基板間のギャップの違いによる光路の偏向量の補正について説明する説明図である。
【図10】光路偏向素子の印加電圧の制御について説明するフローチャートである。
【図11】光路偏向素子の動作について説明する説明図である。
【図12】光路偏向素子の動作について説明する説明図である。
【図13】光路偏向素子の温度の違いによる光路の偏向量について説明する説明図である。
【図14】光路偏向素子の温度の違いによる光路の偏向量の補正について説明する説明図である。
【図15】光路偏向素子の基板間におけるギャップの違いによる光路の偏向量について説明する説明図である。
【図16】光路偏向素子の基板間におけるギャップの違いによる光路の偏向量の補正について説明する説明図である。
【図17】この発明の別の実施の形態である画像表示装置の構成を示す概念図である。
【図18】この発明の別の実施の形態である画像表示装置の構成を示す概念図である。
【図19】光路偏向素子の印加電圧の制御について説明するフローチャートである。
【図20】実施例1の光路偏向素子のライン電極の平面図である。
【図21】実施例3の液晶セル及びライン電極の説明図である。
【図22】実施例3のライン電極に対する印加電圧の説明図である。
【符号の説明】
1 光路偏向素子
2 基板
3 電極
6 電極
11 画像表示装置
14 画像表示素子
18 光路偏向駆動回路
22 温度検出素子
25 画像表示装置
26 電圧調整回路
27 偏向量検出素子
28 移動機構
Claims (6)
- 一対の透明な基板、この基板間に設けた電圧印加により屈折率分布を制御可能な液晶層、及び、この液晶層に電圧を印加する電極を有し、前記電極は前記液晶層の出射面側に一対の櫛形電極が交互配列で設けられ、入射面側にベタ電極が設けられ、前記液晶層は前記櫛形電極の配列方向と略同方向となるようにホモジニアス配向処理され、前記一対の櫛形電極へ交互に電圧が印加されることで、入射した光を無印加の前記電極に集光するように偏向させる光路偏向素子と、
前記液晶層又はその近傍の温度変化を検出する温度検出素子と、
前記電極に電圧を印加して前記光路偏向素子を駆動する光路偏向駆動回路と、
前記光路偏向素子の出射光の一部の偏光面を90°回転させるツイストネマチック液晶セルと、
該偏光面が90°回転した出射光を屈曲して当該出射光の光路外に導く偏光ビームスプリッターと、
前記偏光ビームスプリッターからの出射光を受光し、前記光路偏向素子の出射光の偏向量を検出する偏向量検出素子と、
前記温度検出素子の温度検出信号と前記偏向量検出素子の偏向量検出信号に応じて、前記光路偏向駆動回路による前記電極への印加電圧を制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする光路偏向装置。 - 温度検出素子は、抵抗値の変化により温度検出を行なう透明な抵抗体である、請求項1に記載の光路偏向装置。
- 前記制御手段は、前記温度検出信号の補正値に応じて、前記光路偏向駆動回路による前記電極への印加電圧を制御するものである、請求項1又は2に記載の光路偏向装置。
- 前記制御手段は、前記基板間のギャップの大きさに応じた補正量で前記電極への印加電圧を補正するものである、請求項1〜3のいずれかの一に記載の光路偏向装置。
- 前記光路偏向駆動回路による前記電極への印加電圧の大きさの手動による調整を受付ける電圧調整回路を備えている、請求項1〜4のいずれかの一に記載の光路偏向装置。
- 照明光を画像情報に基づいて空間光変調して画像光として出射する画像表示素子と、
この画像表示素子と同期し、前記画像表示素子の各画素から入射されてくる画像光の光路を偏向して前記画像表示素子の見かけ上の画素数を増倍して表示する請求項1〜5のいずれかの一に記載の光路偏向装置と、を備えていることを特徴とする画像表示装置。
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