JP4153725B2 - パンツ型おむつ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、幼児用、大人用、失禁者用として用いられるパンツ型おむつに関するもので、さらに詳しくは、ウエスト開口部とレッグ開口部を備えた接合部のない使い捨ておむつに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来のパンツ型おむつ１'は、図９及び図１０に示すように、腹側部５０'、背側部５２'及びレッグ開口部５１'に弾性部材４'が張設された外層部ウエブ２'にトップシート部材ウエブ８'で包まれた吸収体３'を積層し接合して構成されたものを、腹側部５０'と背側部５２'とを互いに接合固定して、ひとつのウエスト開口部６'及び一対のレッグ開口部７'を形成したものであった。該パンツ型おむつ１'はウエスト開口部６'及びレッグ開口部７'が伸縮自在に形成されて、着用者の体型にフィットするように構成されている。このようなパンツ型おむつ１'は、通常、着用者が立位の状態で着用することができ、幼児のパンツ型おむつ及びトイレットトレーニング用として、また失禁者もしくは成人用として有用されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のパンツ型おむつは、図９及び図１０に示すように、胴周りの両側部のレッグ開口部７'からウエスト開口部６'に亘る接合部５'を有しているが、この接合部５'は製造上外層部ウエブの腹側部５０'と背側部５２'を互いに接合固定してパンツ型おむつを成形するので、避けられないものであった。ところが、該接合部５'は外層部ウエブ２'が重なって二重になっているうえに、熱や超音波等で溶融接合されているために、嵩張った剛性を有するものであった。
【０００４】
このため、実際の着用において、接合固定部が、着用者の胴の両側部のウエスト部から脚周り部にかけてあるために、違和感を生じることがある。また、着用者が動くとウエスト部や脚周りが接合部に当たり更に違和感を生じたりすることもある。また、稀に、外側から腕や手が当たり、違和感を生じることがあるという不都合があった。更に、接合部が有ると見た目が悪く商品性に劣るという不都合もあった。
【０００５】
このため、特表平７−５０１２４６号公報にみられるように、この接合部として、外層シートを構成するシート材を超音波接合等の「機械的エネルギー」で接合を行い、約１／１６インチ以下延在する継目にしたフランジレス継目を採用している。これによって、おむつの外観は衣類様を呈し、違和感も少ないものにしている。しかしながら、継目の延在寸法は約１／１６インチ以下と小さいが、やはり接合部は存在しており、しかも該継目は超音波接合等の「機械エネルギー」で接合されているため、継目自体は超音波で溶融された樹脂が固化した状態を呈しているので、剛性は残ったままである。従って、前述した不都合は依然として解消されていない。また、特開昭６１−２０７６０５号公報にみられるように、巾が３／１６ないし１／２インチといった比較的巾の狭い重ね合わせの継目で、この重ね合わせた部分を音波シール、熱シール、接着材といった接合手段で接合する方法が取られている。これによって、接合部は外部から見ると線状にしか見えないので、外観を著しく損なうものではないが、平面に重ね合わせの接合であるので、依然として接合部が存在することになる。従って、前述した不都合は依然として解消されていない。
【０００６】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は胴周り方向に接合部を有しないパンツ型おむつを提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するために、本発明においては、パンツ型おむつを構成する外層シートが、弾性部材を予め伸長させて、走行するシート上に連続的に配設して接着したものとし、この伸長した弾性部材が縮むことで連続したリング状のウエスト開口部を形成したことを特徴とする。
【０００８】
より具体的には、弾性部材を波形等の曲線あるいは直線を描きながら連続的に配設して、略外周縁に沿って弾性部材が連続する形で張設された外層シートにすることで、従来のパンツ型おむつのように、外層シートの腹側部と背側部を互いに接合固定することなく、連続したリング状のウエスト開口部を形成できることを見出して、本発明を完成するに至ったのである。
【０００９】
更に言えば、本発明に係るパンツ型おむつに関し、本発明は予め伸長させた弾性部材を、２つの波形等の曲線あるいは直線で、しかもこれら２つの曲線あるいは直線を交差するあるいは接するあるいは近接するようにして、走行するシート上に張設して外層シートを形成するという発想がないところに提供されたものである。
【００１０】
より具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
【００１１】
（１） 外装を構成する外層シートと、着用者に接する内層シートと、体液の吸収を行なう吸収体と、夫々のシートの一部を収縮させる弾性部材と、着用者の足が貫通する一対のレッグ開口部と、を具備するパンツ型おむつであって、前記吸収体は少なくとも前記一対のレッグ開口部の間にその一部が存在するように配置され、且つ、前記外層シート及び内層シートのいずれかもしくは両方が、着用した際の胴周り方向において、継目のない部材で構成されていることを特徴とするパンツ型を提供する。
【００１２】
本発明のパンツ型おむつによれば、吸収体は少なくとも一対のレッグ開口部の間にその一部が存在するように配置され、外層シート及び内層シートのいずれかもしくは両方が、着用した際の胴周り方向において、継目のない部材で構成されている。このため、従来のパンツ型おむつのように腹側部と背側部とを互いに接合固定する必要がないので、胴周り方向他に接合部を有しないことになる。また、吸収体の一部が少なくとも前記一対のレッグ開口部の間に存在するので、尿等の排泄物を吸収するのに好適である。
【００１３】
（２） 前記パンツ型おむつは、前記外層シートと、該外層シートの略外周縁に沿って予め伸長状態で該外層シートの着用者により着用されたときに着用者側に向く着用者側面に張設された前記弾性部材と、該外層シート及び弾性部材の前記着用者側面に複合された内層シートと、該内層シートの前記着用者側面の略中央域に設けられた前記吸収体と、から構成されたものであって、前記弾性部材が収縮してウエスト開口部が形成されるものあることを特徴とする（１）に記載のパンツ型おむつを提供する。
【００１４】
本発明のパンツ型おむつによれば、外装を構成する外層シートと、外層シートの略外周縁に沿って予め伸長状態で外層シートの着用者側面に張設された弾性部材と、外層シート及び弾性部材の着用者側面に複合された外層シートと略同形同大の内層シートと、内層シートの着用者側面の略中央域に設けられた吸収体と、から構成されたものとしている。
【００１５】
このため、外層シートの外周縁に沿って予め伸長状態で外層シートと内層シートとの間に張設された弾性部材が収縮して、ウエスト開口部が形成されて、パンツ型おむつが成形されるが、外層シートや内層シートは継目がないため、パンツ型おむつは胴周り方向他に接合部を有さないことになる。また、外層シートと内層シートで弾性部材を挟み込むことにより弾性部材が着実に固定されることになる。更に、弾性部材を外周縁に沿って張設することにより、ウエスト開口部を大きくすることができる。
【００１６】
（３） 前記パンツ型おむつは、前記外層シートと前記内層シートとの間でこれらシートの少なくとも略中央域に液不透過性シートを備えたことを特徴とする（２）に記載のパンツ型おむつを提供する。
【００１７】
本発明のパンツ型おむつによれば、前記外層シートと前記内層シートとの間でこれらシートの少なくとも略中央域に液不透過性シートを配設している。
【００１８】
このため、尿等の体液が誤って漏れ出しても、外層シートと内層シート間に設けられた液不透過性シートによって、染み出しが防止できる。また、液不透過性シートを外層シートと内層シートとの間に備えることにより、液不透過性シートの大きさを変更し易くなり、このシートを大きくして、尿等の体液が漏れ難くしたり、小さくして使用材料を少なくしたりすることが適宜可能である。また、デザイン等を印刷した不液透過性シートを用いる場合は、デザイン面を覆うシートの枚数が少ないために、印刷が見え易くなる。
【００１９】
（４） 前記パンツ型おむつは、外装を構成する前記外層シートと、該外層シートの着用者側面の略外周縁に沿って予め伸長状態で張設された前記弾性部材と、該外層シートの着用者側面のほぼ中央域に設けられた前記吸収体と、開口部が該吸収体の外周縁を被覆する形で、前記外層シート及び弾性部材の着用者側面に複合された該外層シートと略同形同大で略中央域に開口部を有する内層シートと、から構成されたものであって、前記弾性部材が収縮してウエスト開口部が形成されることを特徴とする（１）に記載のパンツ型おむつを提供する。
【００２０】
本発明のパンツ型おむつによれば、外装を構成する外層シートと、外層シートの外周縁に沿って予め伸長状態で外層シートの着用者側面に張設された弾性部材と、外層シートの着用者側面のほぼ中央域に設けられた吸収体と、開口部が該吸収体の外周縁を被覆する形で、外層シート及び弾性部材の着用者側面に複合された外層シートと略同形同大で略中央域に開口部を有する内層シートと、から構成されたものとしている。
【００２１】
このため、外層シートの外周縁に沿って予め伸長状態で外層シートと内層シートとの間に張設された弾性部材が収縮して、ウエスト開口部が形成されて、パンツ型おむつが成形されるが、外層シートや内層シートは継目がないため、パンツ型おむつは胴周り方向他に接合部を有さないことになる。また、吸収体の周りを疎水性の内層シートで覆うことができるので、吸収体端部からの漏れを更に防ぐことができる。
【００２２】
（５） 前記パンツ型おむつは、前記吸収体のバックシートを前記外層シートと略同形同大として、前記弾性部材と前記内層シートとの間に備えたことを特徴とする（４）に記載のパンツ型おむつを提供する。
【００２３】
本発明のパンツ型おむつによれば、吸収体の液不透過性のバックシートを外層シートと略同形同大として、弾性部材と内層シートとの間に配設している。このため、尿等の体液が誤って漏れ出しても、液不透過性シートによって外層シート全体が覆われているので染み出しがより一層防止できる。
【００２４】
（６） 前記パンツ型おむつは、前記外層シートが略中央域に開口部を有するドーナツ状の外層シートと、該外層シートの着用者側面の外周縁に沿って予め伸長状態で張設された前記弾性部材と、該外層シート及び弾性部材の着用者側面に複合された該外層シートと略同形同大で略中央域に開口部を有する内層シートと、少なくとも該外層シートの着用者側面に該開口部の開口とその両側に残された開口部分を形成しながら該開口部を跨いで配設された前記吸収体と、から構成されたものであって、前記弾性部材が収縮してウエスト開口部が形成され、前記両側に残された開口部分で夫々レッグ開口部を形成することを特徴とする（１）に記載のパンツ型おむつを提供する。
【００２５】
本発明のパンツ型おむつによれば、前記外層シートが略中央域に開口部を有するドーナツ状の外層シートと、該外層シートの着用者側面の略外周縁に沿って予め伸長状態で張設された前記弾性部材と、該外層シート及び弾性部材の着用者側面に複合された該外層シートと略同形同大で略中央域に開口部を有する内層シートと、該外層シートの着用者側面に該開口部の開口とその両側に残された開口部分を形成しながら該開口部を跨いで配設された前記吸収体と、から構成されたものとしている。
【００２６】
このため、外層シートの外周縁に沿って予め伸長状態で外層シートと内層シートとの間に張設された弾性部材が収縮して、ウエスト開口部が形成されて、パンツ型おむつが成形されるが、外層シートや内層シートは継目がないため、パンツ型おむつは胴周り方向他に接合部を有さないことになる。また、レッグ開口部は吸収体を配設した際に両側に残された開口部分が夫々レッグ開口部となるので、レッグ開口部を大きくすることができ、着用者が足を通し易くなると共に、動き易くなる。また、開口の数を減らすことができると共に、開口の大きさが大きいので開口がし易くなる。
【００２７】
（７） 前記ウエスト周りの弾性部材は、ウエスト周りの前身ごろと後身ごろあるいは右身ごろと左身ごろで一点に交差又は重なっていることを特徴とする（１）から（６）いずれか記載のパンツ型おむつを提供する。
【００２８】
本発明のパンツ型おむつによれば、ウエスト周りの弾性部材は、夫々の弾性部材が前身ごろと後身ごろあるいは右身ごろと左身ごろのいずれかで、交差する形で張設されている。このため、この交差する位置で夫々の弾性部材が連続することになる。この連続した弾性部材が収縮することによって、リング状のウエスト開口部が形成され、接合部のないパンツ型おむつとなる。尚、弾性部材の交差する部位が、前身ごろと後身ごろ、また、右身ごろと左身ごろのいずれであっても、外層シートの外周縁に沿って弾性部材が張設されることになるので、同様にリング状のウエスト開口部が形成されて、接合部のないパンツ型おむつを得ることができる。
【００２９】
ここで、ウエスト周りとは、人体の腰骨から上にフィットするおむつの部位を意味し、胴周りとは、人体の腰骨から股間までにフィットするおむつの部位を意味する。また、前身ごろとは、人体の腹側となるおむつの部位を意味し、後身ごろとは、人体の背側となるおむつの部位を意味する。右身ごろ及び左身ごろとは、胴の側面側となるおむつの部位を意味する。
【００３０】
（８） 前記ウエスト周りの弾性部材は、ウエスト周りの前身ごろと後身ごろあるいは右身ごろと左身ごろで一点に交差又は重なっていることを特徴とする（１）から（６）いずれか記載のパンツ型おむつを提供する。
【００３１】
本発明のパンツ型おむつによれば、ウエスト開口部の弾性部材は、夫々の弾性部材が前身ごろと後身ごろあるいは右身ごろと左身ごろのいずれかで、一点に交差又は重なった形で張設されている。このため、この交差又は重なった位置で夫々の弾性部材が連続することになる。この連続した弾性部材が収縮することによって、リング状のウエスト開口部が形成され、接合部のないパンツ型おむつとなる。尚、弾性部材の交差する部位が、前身ごろと後身ごろ、また、右身ごろと左身ごろのいずれであっても、外層シートの外周縁に沿って弾性部材が張設されることになるので、同様にリング状のウエスト開口部が形成されて、接合部のないパンツ型おむつを得ることができる。
【００３２】
（９） 前記弾性部材は、糸状ゴム、平ゴム、リボン状の弾性体であることを特徴とする（１）から（８）いずれか記載のパンツ型おむつを提供する。
【００３３】
本発明のパンツ型おむつによれば、弾性部材が糸状ゴム、平ゴム又はリボン状の弾性体としている。このため、弾性部材は伸縮自在であるので、予め伸長した状態で張設しておけば、開放されると弾性部材が収縮し、外層シート及び内層シートの外周縁が弾性部材に引っ張られてリング状のウエスト開口部が形成され、接合部のないパンツ型おむつとなる。
【００３４】
（１０） 前記吸収体は、外層シート又は内層シートのいずれかの着用者側面に積層、接合されていることを特徴とする（１）から（９）いずれか記載のパンツ型おむつを提供する。
【００３５】
本発明のパンツ型おむつによれば、外層シート又は内層シートのいずれかの着用者側面に積層、接合されている。このため、パンツ型おむつに成形されると、吸収体は股間部から前身ごろ及び後身ごろにかけて配置されることになる。そこで、股間部に吸収体が存在することになり、体液等の排泄物を吸収するのに好適である。
【００３６】
（１１） 前記吸収体は、液透過性のトップシートと、該トップシートに隣接して配置され、該トップシートを透過してきた液体を吸収する液吸収性の吸収性コアと、を含むものであり、前記トップシートの長手側縁部に立体防漏襞を備えていることを特徴とする（１）から（１０）いずれか記載のパンツ型おむつを提供する。
【００３７】
本発明のパンツ型おむつによれば、吸収体が少なくとも液透過性のトップシートと、該トップシートに隣接して配置され、該トップシートを透過してきた液体を吸収する液吸収性の吸収性コアと、液不透過性バックシートと、から構成され、前記トップシートの長手側縁部に立体防漏襞が設けられている。このため、尿等の体液は吸収性コアに吸収されることになる。また、吸収性コアの長手側縁部に設けられた立体防漏襞により、吸収性コアの両側から漏れ出すのを防止できる。
【００３８】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について、図を参照にしながら説明する。
【００３９】
図１は本発明に係るパンツ型おむつの第１の実施形態を示す斜視図であり、図２は図１に示すパンツ型おむつを展開した状態を示す図で、（ａ）は一部破断展開平面図、（ｂ）は（ａ）のＸ−Ｘ’断面図であり、図３は図２の変形例を示すＸ−Ｘ’断面図であり、図４は外層シートに張設される弾性部材の流れを示す部分平面図であり、図５は弾性部材の張設状態のバリエイションを示す図で、（ａ）はウエスト周りの弾性部材が一点で交差した状態の平面展開図、（ｂ）はウエスト周りの弾性部材が一部分離間している状態の平面展開図、（ｃ）はウエスト周りの弾性部材が二段重ねしている場合の平面展開図、（ｄ）は胴周りの弾性部材が連続している状態の平面展開図であり、図６は本発明の第２の実施形態のパンツ型おむつを展開した状態を示す図で、（ａ）は一部破断展開平面図、（ｂ）は（ａ）のＸ−Ｘ’断面図であり、図７は図６の変形例を示すＸ−Ｘ’断面図であり、図８は本発明の第３の実施形態のパンツ型おむつを展開した状態を示す図で、（ａ）は一部破断展開平面図、（ｂ）は（ａ）のＸ−Ｘ’断面図である。
【００４０】
［第１の実施形態］
本実施形態のパンツ型おむつ１は、図１に示すように、着用者のウエスト開口部１０、胴周り１１及び脚周り１２が弾性化された外層シートに、尿等の排泄物を収容保持する吸収体５を積層し接合して構成されたもので、図２においては、ウエスト用の開口部を広げて平面状に展開した状態を示している。本実施形態のパンツ型おむつは、図２に示すように、略円形状の外形を呈した外層シート２とこの外層シートと略同形同大の内層シート３とこれらシート２，３の間に張設された弾性部材４と内層シートの略中央域に積層された吸収体５とから構成されている。すなわち、外層シート２と内層シート３との間には、ウエスト周り及び胴周りを弾性化させるため、外層シート２の外周縁に沿う形で、ウエスト周りの右身ごろ域全周には複数の弾性部材４ａが、左身ごろ全域には複数の弾性部材４ａ'が伸長した状態で張設され、また、胴周りの右身ごろ域全周には複数の弾性部材４ｂ、左身ごろ全域には複数の弾性部材４ｂ'が伸長した状態で張設されて、夫々ウエストギャザー及び胴周りギャザーを構成する。尚、内層シート３の大きさは、本実施形態のように略同形同大に限定されるものではなく、弾性部材４を覆うことができる大きさであればよい。
【００４１】
そして、ウエスト周りの右身ごろ域全周に張設された弾性部材４ａと左身ごろ域全周に張設された夫々の弾性部材４ａ'は、連続して供給される外層シート２上に、右身ごろ域全周に張設される複数本の弾性部材４ａと左身ごろ域全周に張設される複数本の弾性部材４ａ'とが夫々サインカーブ状の波形を描きながら、お互いの波形が図４（ａ）に示すように、弾性部材の一本づつが互いに交差して繋がった形で張設される。そして、この弾性部材が張設された外層シートの着用者側面に連続して供給される内層シート３が複合され、最終的にこの連続して形成されたシート体を弾性部材が交差する部位で個々に分断することによってパンツ型おむつが成形される。これによって、弾性部材４ａ，４ａ'の夫々が前見ごろ部（腹部）と後見ごろ部（背部）で交差して連結され、外周縁に沿って連続することになる。また、弾性部材４ａ，４ａ'は予め伸長された状態で張設されている。このため、ウエスト周りに張設された弾性部材４ａ，４ａ'が収縮すると、外層シート２及び内層シート３の外周縁が引っ張られて連続したリング状のウエスト開口部１０が形成されることになる。
【００４２】
また、本実施形態では、ウエスト周りの弾性部材４ａ，４ａ'が交差して繋がった形になっているが、これに限定されず図５（ａ）に示すように、一点で交差又は重なって繋がった形で張設されてもよい。これは、図４（ｂ）に示すように、連続して供給される外層シート２上に２つの曲線が一点で交差する形で張設するか、図４（ｃ）に示すように、連続して供給される外層シート２上に２つの曲線が谷部と山部で接する形で張設することによっても得られる。尚、この2つの曲線の形状は図４（ｂ）、図４（ｃ）に示した曲線に限定されるものではなく、外層シートの外形の形状に沿った形であればよい。例えば外層シートの外形の形状が多角形の場合にはその多角形に応じた折れ線形状等であってもよい。すなわち、本実施態様では、外層シートの外形を略円形状としたので、この円形状に沿った波形形状としたが、これに限定されず、外層シートの外形の形状に沿った形であればよい。
【００４３】
更に、図５（ｂ）に示すように、不連続（一部離間）であってもよい。すなわち、ウエスト周りの弾性部材４ａ，４ａ'を伸長状態で連続的に配置して外層シート２に接着固定する際に、交差している部分は接着固定しないでおくことで、連続するシート体をこの交差する部分で切断して個々のパンツ型おむつとした際に、弾性部材４ａ，４ａ'が収縮して僅かに離間するようにしてもよい。尚、この場合、弾性部材４ａ，４ａ'は一部不連続となっているが、外層シート２の外周縁に沿って実質的に連続して張設されているので、ウエスト開口部の弾性部材４ａ，４ａ'が収縮すると、リング状のウエスト開口部１０が形成される。この場合には、交差する部分がなくなるため、交差している他の場合よりも、弾性部材の厚みが低減することができ、着用者が違和感を感じることがない。これは、図４（ｄ）に示すように、連続して供給される外層シート２上に２つの曲線が谷部と山部とで近接する形で張設することによっても得られる。また、この2つの曲線の形状は図４（ｄ）に示した曲線に限定されるものではなく、外層シートの外形の形状に沿った形であればよい。例えば外層シートの外形の形状が多角形の場合にはその多角形に応じた折れ線形状等であってもよい。すなわち、本実施態様では、外層シートの外形を略円形状としたので、この円形状に沿った波形形状としたが、これに限定されず、外層シートの外形の形状に沿った形であればよい。また、図５（ｃ）に示すように、ウエスト周りに張設される弾性部材４ａ，４ａ'を二段重ねにしてもよい。このように二段重ねすることで、ウエストへの締め付けがきつくなり、よりフィット性が向上されるので、激しい動きに対してもおむつがずり落ち難くなる。
【００４４】
一方、胴周りの弾性部材４ｂ，４ｂ'は吸収体５の両側縁よりも外方の部位に、伸縮弾性が発現されるように伸長した状態で張設されている。尚、この張設もウエスト開口部の弾性部材４ａ，４ａ'と同様な方法で配置して、接着固定することで行われる。また、その連結の仕方も、上記の様に吸収体５の両側縁よりも外方の部位に張設されているが、これに限定されず、図５（ｄ）に示すように、吸収体５の着用者側面で一本づつが互いに繋がった形で張設されてもよい。更に、一点で交差あるいは重なった形（図示せず）で張設してもよい。また、ウエスト周りの弾性部材と同様に交差する部分を接着固定しないで、不連続にしてもよい。尚、このように、胴周りに張設された弾性部材４ｂ、４ｂ'は吸収体が存在する部位にも張設されていると、吸収体５の長手両端部分が弾性部材４ｂ、４ｂ'によって押えられるので、身体との密着性が向上し、尿等の体液の漏れが一層防止されることになる。また、吸収体の余分な飛び出しが押えられるので、見た目のよいスッキリとしたパンツ型おむつとなる。
【００４５】
以上は、弾性部材が前身ごろ及び後身ごろで交差する場合について説明したが、この交差が左身ごろ及び右身ごろであってもよい。この場合も、外層シート２及び内層シートの外形は略円形であるので、本実施形態と同様のパンツおむつ型が形成される。
【００４６】
また、外層シート２のウエスト周りの弾性部材４ａ，４ａ'と胴周りの弾性部材４ｂ，４ｂ'とは伸長度や応力が異なった状態で張設されるのが好ましい。すなわち、ウエスト周りの弾性部材４ａ，４ａ'は伸長度や応力を大きくした状態で、また、外層シート２の胴周りの弾性部材４ｂ，４ｂ'は、伸長度や応力を小さくした状態で張設されるのが好ましい。
【００４７】
上記のように、弾性部材の伸長度や応力をウエスト周りと胴周りとで異なるように張設することで、着用者の体型によりフィットして装着できることになる。すなわち、ウエスト周りは着用時におむつがずり落ちない程度にきつく締め付けてフィットでき、胴周りは緩やかな状態でフィットできるので好ましい。このウエスト開口部や胴周りのフィット性を変える方法としては、弾性部材の伸長度を変える以外に、本数、張設する間隔、太さ、材質等を適宜選択することによっても得られる。
【００４８】
尚、本実施形態では、ウエスト周りと胴周りに張設された弾性部材の伸長度や応力を夫々異なるものとしたが、同一の伸長度や応力であってもよい。
【００４９】
更に、外層シート２及び内層シート３には、吸収体５を挟んだ対象位置に一対のレッグ開口部１３が形成されており、該レッグ開口部１３の股下領域側における側端部分には、脚部ギャザー形成用弾性部材４ｃが複数本張設されている。この構成の採用は、脚周りの密着性を高めると共に、脚周りからの尿漏れ防止に効果的である。
【００５０】
また、吸収体5のトップシート８の長手両側縁には、上側縁に弾性部材が張設された防漏襞（図示せず）を設けるのが好ましい。この防漏襞は撥水性の不織布等からなり、吸収性コアが吸収した体液を吸収性コアの両側から漏れ出るのを防止する役目を果たす。
【００５１】
ところで、図３に示すように外層シート２と内層シート３との間で、これらシートの略中央域にシート７を設ける構成であってもよい。これによって、吸収性コアに吸収された尿等の体液が誤って漏れ出しても、外層シートと内層シート間に設けられた液不透過性シートによって、染み出しが防止できることになる。また、液不透過性シートを外層シートと内層シートとの間に備えることにより、液不透過性シートの大きさを変更し易くなり、このシートを大きくして、尿等の体液が漏れ難くしたり、小さくして使用材料を少なくしたりすることが適宜可能である。また、デザイン等を印刷した液不透過性シートを用いる場合は、デザイン面を覆うシートの枚数が少ないために、印刷が見え易くなる。
【００５２】
ここで、弾性部材４としては、天然または合成ゴム製やポリウレタン製の糸状ゴム，平ゴム，リボン状の弾性体、熱収縮性素材、吸水収縮性繊維など、それぞれ伸縮自在の弾性を有するものであれば特に制限されない。
【００５３】
また、外層シート２、内層シート３は通気性の不織布が好ましく、より好ましくは、疎水性の不織布が好ましい。例えば、ポリプロピレン製等のスパンボンド不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の繊維より構成されるスルーエアー不織布、スパンレース不織布等が挙げられる。また、エラストマーやコポリマーを含んだ伸縮性や伸長性を有する不織布や伸縮性フィルムとの複合シートを用いてもよい。更に、外層シートと内層シートとの間に不透液性のプラスチックフィルムを挿入してもよい。
【００５４】
また、吸収体５は、液不透過性バックシート７と液透過性トップシート８の間に、矩形もしくは砂時計型の吸収性コア９が挟持された構成である。液不透過性バックシート７は、撥水処理された不織布や、微細孔を有する透湿性プラスチックフィルム、あるいはこれらの積層体であり、液透過性トップシート８には不織布が通常用いられる。吸収性コア９は、解繊パルプと高吸水性ポリマーを併用したものが好ましく、そのほか、セルロース繊維、熱可塑性樹脂、高吸水性ポリマー、熱融着性繊維等が混合され熱処理されたものが好ましい。尚、いくつかの層が積層された形の吸収体にあっては、高分子ポリマーの存在位置は、その上層、中層、下層のいずれであってもよく、パルプと混合させてあってもよい。高吸水性ポリマーは、自重の２０倍以上の液体を吸収して保持し得る性能を有し、ゲル化する性質を有するものが好ましく、このような高分子吸水ポリマーとしては、デンプン−アクリル酸（塩）グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物、アクリル酸（塩）重合体などが好ましい。また、トップシート８の長手両側縁には、上側縁に弾性部材が張設された防漏襞（図示せず）を設けるのが好ましい。この防漏襞は撥水性の不織布等からなり、吸収性コアが吸収した体液を吸収性コアの両側から漏れ出るのを防止する役目を果たす。
【００５５】
そして、吸収体５は、内層シート３の着用者側面中央域で一対のレッグ用開口部１３の中間部に、長手方向が前身ごろ及び後身ごろの方向になる様にして配置され 、内層シート３に接着されている。
【００５６】
［第２の実施形態］
図６は本発明に係る第２の実施形態のパンツ型おむつを展開して示している。尚、以下の実施形態では第１の実施形態と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【００５７】
本発明の第２の実施形態は図６に示すように、略円形状の外形を呈し外層シート２と、この外層シートと略同形同大であって、略中央域に吸収体５と略同形あるいは多少小さめの開口部６を有する内層シート３と、これらシート２，３の間に張設された弾性部材４と、外層シート２の略中央域に積層し接合された吸収体５とから構成されている。すなわち、外層シート２の着用者側面の略中央域に吸収体５が積層され、外層シート２に接着されている。また、外層シート２の外周縁に沿って弾性部材４ａ、４ａ'が予め伸長した状態で複数本張設されている。そして、外層シート２及び弾性部材４ａ、４ａ'の着用者側面に開口部７を有する内層シート３をその開口部６が吸収体５の外周縁を被覆する形で複合して構成されている。
【００５８】
このように、外層シート２と内層シート３との間には、ウエスト開口部及び胴周りを弾性化させるため、外層シート２の外周縁に沿う形で、ウエスト周りの右身ごろ域全周には複数の弾性部材４ａが、左身ごろ全域には複数の弾性部材４ａ'が伸長した状態で張設され、また、胴周りの右身ごろ域全周には複数の弾性部材４ｂ、左身ごろ全域には複数の弾性部材４ｂ'が伸長した状態で張設されて、夫々ウエストギャザー及び胴周りギャザーを構成する。
【００５９】
そして、ウエスト周りの右身ごろ域全周に張設された弾性部材４ａと左身ごろ域全周に張設された夫々の弾性部材４ａ'は、第１の実施形態で記述したと同様に、連続して供給される外層シート２上に、右身ごろ域全周に張設される複数本の弾性部材４ａと左身ごろ域全周に張設される複数本の弾性部材４ａ'とが夫々サインカーブ状の波形を描きながら、お互いの波形が図４（ａ）に示すように、該弾性部材の一本づつが互いに交差して繋がった形で張設される。そして、この弾性部材が張設された外層シートの上面に連続して供給される内層シート３が複合され、最終的にこの連続して形成されたシート体を弾性部材が交差する部位で個々に分断することによってパンツ型おむつが成形される。これによって、弾性部材４ａ，４ａ'の夫々が前見ごろ部（腹部）と後見ごろ部（背部）で交差して連結され、外周縁に沿って連続するシート体となる。また、弾性部材４ａ，４ａ'は予め伸長された状態で張設される。このため、ウエスト周りに張設される弾性部材４ａ，４ａ'が収縮すると、外層シート２及び内層シート３の外周縁が引っ張られて連続したリング状のウエスト開口部１０が形成されることになる。
【００６０】
尚、本発明に係る第２の実施態様も、弾性部材の配設曲線は外層シートの外形を略円形としたので、この円形に沿ったサインカーブ状の波形形状としたが、これに限定されず、例えば図４（ａ）〜（ｅ）に示す曲線等や外層シートの外形の形状に沿った形であればよい。例えば多角形の場合にはその多角形に応じた折れ線形状等であってもよい。また、その連結の仕方も夫々の曲線が交差する、あるいは一点で交差する、あるいは接する、あるいは近接する形で２つの曲線が連続していればよい。
【００６１】
また、本実施形態では、ウエスト周りの弾性部材４ａ，４ａ'が交差して繋がった形になっているが、第１の実施形態で記述したと同様に、一点で交差又は重なって繋がった形や夫々が接するあるいは近接する形で張設されてもよい。更に、ウエスト周りの弾性部材４ａ，４ａ'を伸長状態で連続的に配置して外層シート２に接着固定する際に、交差している部分は接着固定しないでおくことで、連続する外層シートをこの交差する部分で切断して個々のパンツ型おむつとした際に、弾性部材４ａ，４ａ'が収縮して僅かに離間するようにして不連続（一部分離間）であってもよい。尚、この場合、弾性部材４ａ，４ａ'は一部不連続となっているが、外層シート２の外周縁に沿って実質的に連続して張設されているので、ウエスト開口部の弾性部材４ａ，４ａ'が収縮すると、リング状のウエスト開口部１０が形成される。この場合には、交差する部分がなくなるため、交差している他の場合よりも、弾性部材の厚みが低減することができ、着用者が違和感を感じることがない。また、ウエスト周りに張設される弾性部材４ａ，４ａ'を二段重ねにしてもよい。このように二段重ねすることで、ウエストへの締め付けがきつくなり、よりフィット性が向上されるので、激しい動きに対してもおむつがずり落ち難くなる。
【００６２】
一方、胴周りの弾性部材４ｂ，４ｂ'は吸収体５の両側縁よりも外方の部位に、伸縮弾性が発現されるように伸長した状態で張設されている。尚、この張設も第１の実施形態で記述したと同様に、ウエスト周りの弾性部材４ａ，４ａ'と同様な方法で配置して、接着固定することで行われる。また、その連結の仕方も、上記の様に吸収体５の両側縁よりも外方の部位に張設されているが、これに限定されず、吸収体５の上面で一本づつが互いに繋がった形で張設されてもよい。更に、一点で交差あるいは重なった形で張設してもよい。また、ウエスト周りの弾性部材と同様に交差する部分を接着固定しないで、不連続にしてもよい。尚、このように、胴周りに張設された弾性部材４ｂ、４ｂ'は吸収体が存在する部位にも張設されていると、吸収体５の長手両端部分が弾性部材４ｂ、４ｂ'によって押えられるので、身体との密着性が向上し、尿等の体液の漏れが一層防止されることになる。また、吸収体の余分な飛び出しが押えられるので、見た目のよいスッキリとしたパンツ型おむつとなる。
【００６３】
以上は、弾性部材が前身ごろ及び後身ごろで交差する場合について説明したが、この交差が左身ごろ及び右身ごろであってもよい。この場合も、外層シート２及び内層シート３の外形は略円形であるので、本実施形態と同様のパンツおむつ型が形成される。
【００６４】
また、外層シート２のウエスト周りの弾性部材４ａ，４ａ'と胴周りの弾性部材４ｂ，４ｂ'とは伸長度や応力が異なった状態で張設されるのが好ましい。すなわち、ウエスト周りの弾性部材４ａ，４ａ'は伸長度や応力を大きくした状態で、また、外層シート２の胴周りの弾性部材４ｂ，４ｂ'は、伸長度や応力を小さくした状態で張設されるのが好ましい。
【００６５】
上記のように、弾性部材の伸長度や応力をウエスト周りと胴周りとで異なるように張設することで、着用者の体型によりフィットして装着できることになる。すなわち、ウエスト周りは着用時におむつがずり落ちない程度にきつく締め付けてフィットでき、胴周りは緩やかな状態でフィットできるので好ましい。このウエスト開口部や胴周りのフィット性を変える方法としては、弾性部材の伸長度を変える以外に、本数、張設する間隔、太さ、材質等を適宜選択することによっても得られる。
【００６６】
尚、本実施形態では、ウエスト周りと胴周りに張設された弾性部材の伸長度や応力を夫々異なるものとしたが、同一の伸長度や応力であってもよい。
【００６７】
更に、外層シート２及び内層シート３には、吸収体５を挟んだ対象位置に一対のレッグ開口部１３が形成されており、該レッグ開口部１３の股下領域側における側端部分には、脚部ギャザー形成用弾性部材４ｃが複数本張設されている。この構成の採用は、脚周りの密着性を高めると共に、脚周りからの尿等の体液の漏れ防止に効果的である。
【００６８】
また、吸収体５のトップシート８の長手両側縁には、上側縁に弾性部材が張設された防漏襞（図示せず）を設けるのが好ましい。この防漏襞は撥水性の不織布等からなり、吸収性コアが吸収した体液を吸収性コアの両側から漏れ出るのを防止する役目を果たす。
【００６９】
ところで、図７に示すように、吸収体５を構成する液不透過性バックシート７を外層シート２と略同形同大のものとして、弾性部材４と内層シート３との間に張設してもよい。すなわち、外層シート２、弾性部材４、液不透過性バックシート７、内層シート３の順に積層してもよい。これによって、液不透過性バックシート７が吸収体５の長手両側より外方にまで、張設されることになり、尿等の体液が漏れ出してもおむつの外面に滲み出るのを防止できることになる。
【００７０】
[第３の実施形態]
図８は本発明に係る第３の実施形態のパンツ型おむつを展開して示している。尚、以下の実施形態では第１の実施形態と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【００７１】
本発明の第３の実施形態は図８に示すように、略円形状の外形であって、略中央域に略円形状の開口部６を有するドーナツ型の外層シート２と、この外層シートと略同形同大であって、略中央域に略円形状の開口部６を有するドーナツ型の内層シート３と、これらシート２，３の間に張設された弾性部材４と、内層シートの着用者側面に開口部の中央域に開口部を跨ぐ形で配設され、その長手両端部が内層シートに接合固定されている吸収体５、とから構成されている。すなわち、外層シート２の着用者側面に内層シート３が夫々の開口部が同一位置になるようにして複合され、これらシートの外周縁に沿って弾性部材４ａ、４ａ'が予め伸長した状態で外層シート２と内層シート３の間で複数本張設されている。そして、内層シート３の着用者側面に開口部６の略中央域に開口部６を跨ぐ形で吸収体５が配設され、その長手両端部が内層シート３に接合されて固定されている。そして、吸収体５を挟んで両側に開口部分が残されている。尚、この吸収体５は、内層シート３の着用者側面に配設しているが、これに限定されないで、その長手両端部が外層シート２と内層シート３とに挟まれるようにしてもよい。開口部６の形成は、吸収体を外層シート２と内層シート３に挟む形にすると夫々のシートに予め開口しておく必要があるので、作業面から内層シートの着用者側面に配設するのが好ましい。すなわち、外層シート２と内層シート３とを複合して、その後、開口部６を形成し、次いで吸収体５を配設するのが好ましい。
【００７２】
このように、外層シート２と内層シート３との間には、ウエスト周り及び胴周りを弾性化させるため、外層シート２の外周縁に沿う形で、ウエスト周りの右身ごろ域全周には複数の弾性部材４ａが、左身ごろ全域には複数の弾性部材４ａ'が伸長した状態で張設され、また、胴周りの右身ごろ域全周には複数の弾性部材４ｂ、左身ごろ全域には複数の弾性部材４ｂ'が伸長した状態で張設されて、夫々ウエストギャザー及び胴周りギャザーを構成する。
【００７３】
そして、ウエスト周りの右身ごろ域全周に張設された弾性部材４ａと左身ごろ域全周に張設された夫々の弾性部材４ａ'は、第１の実施形態で記述したと同様に、連続して供給される外層シート２上に、右身ごろ域全周に張設される複数本の弾性部材４ａと左身ごろ域全周に張設される複数本の弾性部材４ａ'とが夫々サインカーブ状の波形を描きながら、お互いの波形が図４（ａ）に示すように、該弾性部材の一本づつが互いに交差して繋がった形で張設される。そして、この弾性部材が張設された外層シートの着用者側面に連続して供給される内層シート３が複合され、最終的にこの連続して形成されたシート体を弾性部材が交差する部位で個々に分断することによってパンツ型おむつが成形される。これによって、弾性部材４ａ，４a'の夫々が前見ごろ部（腹部）と後見ごろ部（背部）で交差して連結され、外周縁に沿って連続することになる。また、弾性部材４ａ，４ａ'は予め伸長された状態で張設される。このため、ウエスト周りに張設される弾性部材４ａ，４ａ'が収縮すると、外層シート２及び内層シート３の外周縁が引っ張られて連続したリング状のウエスト開口部１０が形成されることになる。
【００７４】
尚、本発明の第３の実施態様も、弾性部材の配設曲線は外層シートの外形を略円形としたので、この円形に沿ったサインカ−ブ状の波形形状としたが、これに限定されず、例えば図４（ａ）〜（ｅ）に示すような曲線等や外層シートの外形の形状に沿った形であればよい。例えば多角形の場合にはその多角形に応じた折れ線形状等であってもよい。また、その連結の仕方も夫々の曲線が交差する、あるいは一点で交差する、あるいは接する、あるいは近接する形で２つの曲線が連続していればよい。
【００７５】
また、本実施形態では、ウエスト周りの弾性部材４ａ，４ａ'が交差して繋がった形になっているが、第１の実施形態で記述したと同様に、一点で交差又は重なって繋がった形や夫々が接するあるいは近接する形で張設されてもよい。更に、ウエスト周りの弾性部材４ａ，４ａ'を伸長状態で連続的に配置して外層シート２に接着固定する際に、交差している部分は接着固定しないでおくことで、連続する外層シートをこの交差する部分で切断して個々のパンツ型おむつとした際に、弾性部材４ａ，４ａ'が収縮して僅かに離間するようにして不連続（一部分離間）であってもよい。尚、この場合、弾性部材４ａ，４ａ'は一部不連続となっているが、外層シート２の外周縁に沿って実質的に連続して張設されているので、ウエスト周りの弾性部材４ａ，４ａ'が収縮すると、リング状のウエスト開口部１０が形成される。この場合には、交差する部分がなくなるため、交差している他の場合よりも、弾性部材の厚みが低減することができ、着用者が違和感を感じることがない。また、ウエスト周りに張設される弾性部材４ａ，４ａ'を二段重ねにしてもよい。このように二段重ねすることで、ウエストへの締め付けがきつくなり、よりフィット性が向上されるので、激しい動きに対してもおむつがずり落ち難くなる。
【００７６】
一方、胴周りの弾性部材４ｂ，４ｂ'も第１の実施形態と同様に、吸収体５の両側縁よりも外方の部位に、伸縮弾性が発現されるように伸長した状態で張設されている。尚、この張設も第１の実施形態で記述したと同様に、ウエスト開口部の弾性部材４ａ，４ａ'と同様な方法で配置して、接着固定することで行われる。また、その連結の仕方も、上記の様に吸収体５の両側縁よりも外方の部位に張設されているが、これに限定されず、吸収体５の着用者側面で一本づつが互いに繋がった形で張設されてもよい。更に、一点で交差あるいは重なった形で張設してもよい。また、ウエスト周りの弾性部材と同様に交差する部分を接着固定しないで、不連続にしてもよい。尚、このように、胴周りに張設された弾性部材４ｂ、４ｂ'は吸収体が存在する部位にも張設されていると、吸収体５の長手両端部分が弾性部材４ｂ、４ｂ'によって押えられるので、身体との密着性が向上し、尿等の体液の漏れが一層防止されることになる。また、吸収体の余分な飛び出しが押えられるので、見た目のよいスッキリとしたパンツ型おむつとなる。
【００７７】
以上は、弾性部材が前身ごろ及び後身ごろで交差する場合について説明したが、この交差が左身ごろ及び右身ごろであってもよい。この場合も、外層シート２や内層シート３の外形は略円形であるので、本実施形態と同様のパンツおむつ型が形成される。
【００７８】
また、外層シート２のウエスト周りの弾性部材４ａ，４ａ'と胴周りの弾性部材４ｂ，４ｂ'とは伸長度や応力が異なった状態で張設されるのが好ましい。すなわち、ウエスト周りの弾性部材４ａ，４a'は伸長度や応力を大きくした状態で、また、外層シート２の胴周りの弾性部材４ｂ，４ｂ'は、伸長度や応力を小さくした状態で張設されるのが好ましい。
【００７９】
上記のように、弾性部材の伸長度や応力をウエスト周りと胴周りとで異なるように張設することで、着用者の体型によりフィットして装着できることになる。すなわち、ウエスト周りは着用時におむつがずり落ちない程度にきつく締め付けてフィットでき、胴周りは緩やかな状態でフィットできるので好ましい。この効果は、弾性部材の伸長度や応力を変える以外に、本数，張設する間隔，太さ，材質等を適宜選択することによっても得られる。
【００８０】
尚、本実施形態では、ウエスト周りと胴周りに張設された弾性部材の伸長度や応力を夫々異なるものとしたが、同一の伸長度や応力であってもよい。
【００８１】
更に、外層シート２及び内層シート３の開口縁と吸収体５の長手両側縁とにより、一対のレッグ開口部１３が形成されており、該レッグ開口部１３の股下領域側における側端部分には、脚部ギャザー形成用弾性部材４ｃが複数本張設されている。この構成の採用は、脚周りの密着性を高めると共に、脚周りからの尿等の体液の漏れ防止に効果的である。
【００８２】
また、吸収性５のトップシート８の長手両側縁には、上側縁に弾性部材が張設された防漏襞（図示せず）を設けるのが好ましい。この防漏襞は撥水性の不織布等からなり、吸収性コアが吸収した体液を吸収性コアの両側から漏れ出るのを防止する役目を果たす。
【００８３】
また、外層シート２及び内層シート３の形状は、本発明のいずれの実施形態でも略円形を呈しているが、この形状はこれに限らず、略三角形以上の多角形、例えば略四角形状，略六角形状，略八角形状等であってもよく、また、楕円形状であってもよい。この形状は着用対象者や使用用途により適宜選定すればよい。
【００８４】
尚、本発明に係るパンツ型おむつは、本発明のいずれの実施形態も接合部を有しないので、従来のパンツ型おむつのように、使用後に接合部を引き裂いて脱がせることができないため、少なくとも胴周りの一部に、引き裂き可能な手段を設けることが好ましい。この引き裂き可能な手段としては，例えば、外層シートを貫通するミシン目を付設することや超音波による熱融解等を行なって外層シートに引き裂き可能なダメージを付与することがあげられる。
【００８５】
以上のように、本発明に係るパンツ型おむつは、本発明のいずれの実施形態においても、前述の如く構成されているため、次のような優れた製品性を有している。まず、外層シート及び内層シート３のいずれかもしくは両方が、腹側部と背側部とを接合していないので、胴周り部の両側部のレッグ開口部からウエスト部に亘る接合部を有しない。このため、着用していても脚繰りに違和感を生ずることがない。また、レッグ開口部とウエスト開口部との間を掴んでパンツ型おむつを穿かせる際、接合部がないので広げ易くスムーズに穿かせることができる。更に、接合部がないので、見た目がよく外観性に優れる。
【００８６】
尚、本発明のパンツ型おむつは、上記実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、パンツ型おむつの形態やこれらの素材等も、上記実施形態に制限されるものではない。
【００８７】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のパンツ型おむつは、外層シートの外周縁ウエスト周りに張設された弾性部材が予め伸長した状態で連続して張設されているので、弾性部材が収縮するとウエブの外周縁が引っ張られて連続したリング状のウエスト開口部を形成される。従って、前後、左右の身ごろが連続しているので、従来のパンツ型おむつのように、腹側部と背側部とを互いに接合固定した接合部を有さないため、見栄えがよく、着用した際の違和感を生じることがない。更に、本発明のパンツ型おむつを幼児等に穿かせる際に、接合部を有しないので穿かせ易いといった製品性を備えている。
【００８８】
また、弾性部材は予め伸長された状態で、前後、左右の身ごろが連続して張設されているため、該弾性部材が収縮してウエスト周りや胴周りの開口部が形成されるので、着用者の体型にフィットした状態となるが、弾性部材が張設されていない外層シートの部分は収縮しないので、弧を描こうとする。この場合、外層シートのシートや吸収体が剛性を有すると、これらシートや吸収体は三次元的に湾曲しドーム状となる。この結果、股間域に空間が形成され、それが排泄物の溜りしろとなり、漏れを防ぐ効果を持つと共に排泄物を肌から遠ざけることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図１は本発明に係るパンツ型おむつの一実施形態を示す斜視図である。
【図２】 図１に示すパンツ型おむつを展開した状態を示す図で、（ａ）は一部破断展開平面図、（ｂ）は（ａ）のＸ−Ｘ’断面図である。
【図３】 図２の変形例を示すＸ−Ｘ’断面図である。
【図４】 外層シートに張設される弾性部材の流れを示す部分平面図である。
【図５】 弾性部材の張設状態のバリエイションを示す図で、（ａ）はウエスト周りの弾性部材が一点で交差した状態の平面展開図、（ｂ）はウエスト周りの弾性部材が一部分離間している状態の平面展開図、（ｃ）はウエスト周りの弾性部材が二段重ねしている場合の平面展開図、（ｄ）は胴周りの弾性部材が連続している状態の平面展開図である。
【図６】 本発明の第２の実施形態のパンツ型おむつを展開した状態を示す図で、（ａ）は一部破断展開平面図、（ｂ）は（ａ）のＸ−Ｘ’断面図である。
【図７】 図６の変形例を示すＸ−Ｘ’断面図である。
【図８】 本発明の第３の実施形態のパンツ型おむつを展開した状態を示す図で、（ａ）は一部破断展開平面図、（ｂ）は（ａ）のＸ−Ｘ’断面図である。
【図９】 従来のパンツ型おむつを示す斜視図である。
【図１０】 従来のパンツ型おむつを展開した状態を示す展開平面図である。
【符号の説明】
１ パンツ型おむつ
２ 外層シート
３ 内層シート
４（４ａ、４ｂ、４ｃ） 弾性部材
５ 吸収体
６ 開口部
７ バックシート
８ トップシート
９ 吸収性コア
１０ ウエスト開口部
１３ レッグ開口部

Claims (8)

1. 外装を構成する外層シートと、着用者に接する内層シートと、体液の吸収を行なう吸収体と、夫々のシートの一部を収縮させる弾性部材と、着用者の足が貫通する一対のレッグ開口部と、を具備するパンツ型おむつであって、
   前記吸収体は、少なくとも前記一対のレッグ開口部の間にその一部が存在するように、且つ、前記外層シートの着用者側面のほぼ中央域に設けられており、
   前記弾性部材は、前記外層シートの着用者側面の略外周縁に沿って予め伸長状態で張設されており、
   前記内層シートは、前記外層シートと略同形同大で略中央域に開口部を有し、該開口部が該吸収体の外周縁を被覆するようにして前記外層シート及び前記弾性部材の着用者側面に複合されており、
   前記外層シート及び内層シートのいずれかもしくは両方が、着用した際の胴周り方向において、継目のない部材で構成されており、
   前記弾性部材が収縮してウエスト開口部が形成されることを特徴とするパンツ型おむつ。
2. 前記パンツ型おむつは、前記吸収体のバックシートを前記外層シートと略同形同大として、前記弾性部材と前記内層シートとの間に備えたことを特徴とする請求項１に記載のパンツ型おむつ。
3. 外装を構成する外層シートと、着用者に接する内層シートと、体液の吸収を行なう吸収体と、夫々のシートの一部を収縮させる弾性部材と、着用者の足が貫通する一対のレッグ開口部と、を具備するパンツ型おむつであって、
   前記外層シートは、その略中央域に開口部を有するドーナツ状であり、
   前記吸収体は、前記外層シートの着用者側面に前記開口部の開口とその両側に残された開口部分を形成しながら該開口部を跨いで配設されると共に、少なくとも前記一対のレッグ開口部の間にその一部が存在するように配置され、
   前記弾性部材は、前記外層シートの着用者側面の略外周縁に沿って予め伸長状態で張設されており、
   前記内層シートは、前記外層シート及び前記弾性部材の着用者側面に複合された該外層シートと略同形同大で略中央域に開口部を有しており、
   前記外層シート及び内層シートのいずれかもしくは両方が、着用した際の胴周り方向において、継目のない部材で構成されており、
   前記弾性部材が収縮してウエスト開口部が形成され、前記両側に残された前記開口部分で前記一対のレッグ開口部を形成することを特徴とするパンツ型おむつ。
4. 前記ウエスト周りの弾性部材は、ウエスト周りの前身ごろと後身ごろあるいは右身ごろと左身ごろでお互いに交差していることを特徴とする請求項１から３いずれか記載のパンツ型おむつ。
5. 前記ウエスト周りの弾性部材は、ウエスト周りの前身ごろと後身ごろあるいは右身ごろと左身ごろで一点に交差又は重なっていることを特徴とする請求項１から３いずれか記載のパンツ型おむつ。
6. 前記弾性部材は、糸状ゴム、平ゴム、リボン状の弾性体であることを特徴とする請求項１から５いずれか記載のパンツ型おむつ。
7. 前記吸収体は、外層シート又は内層シートのいずれかの着用者側面に積層、接合されていることを特徴とする請求項１から６いずれか記載のパンツ型おむつ。
8. 前記吸収体は、液透過性のトップシートと、該トップシートに隣接して配置され、該トップシートを透過してきた液体を吸収する液吸収性の吸収性コアと、を含むものであり、前記トップシートの長手側縁部に立体防漏襞を備えていることを特徴とする請求項１から７いずれか記載のパンツ型おむつ。

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