JP4153169B2 - 管継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管継手に関し、特に冷媒管用の管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の管継手として、図10に示すようなものがある(特開昭52−62725号公報)。この管継手1は冷媒管用の管継手であって、オス管2の接続端部3をメス管4の開口端5から受け入れて、オス管2とメス管4とを連結するものである。メス管4の開口端5にはビードフック部6が設けられている一方、オス管2の接続端部3には環状のケージ7とこのケージ7内に納められた環状ばね8とが設けられていて、これらビードフック部6、ケージ7、環状ばね8によって、オス管2とメス管4とを連結することができる。この環状ばね8にはガータばねが用いられる。また、オス管2の接続端部3の外周面(ケージ7と接続端部3の開口端9との間)には、2つのOリング10が連設されていて、オス管2・メス管4内を流れる冷媒の漏れを防止している。そして、万が一、冷媒がOリング10を越えて漏れてきたときにその冷媒漏れを確認しやすくするため、冷媒には蛍光剤が混入されている。
【0003】
オス管2とメス管4との連結行程は、具体的には以下のようになる。まず、図10aの状態から、ケージ7の開口部11へメス管4のビードフック部6を挿入させていくと(図10b)、ケージ7内に納められた環状ばね8がビードフック部6の外周に乗り上げる。そして、ビードフック部6と外周に乗り上げた環状ばね8は、ビードフック部6とケージ7のフック部12との間に入り込んで、ビードフック部6とフック部12とを係合して、オス管2とメス管4とを連結状態とするものである(図10c)。このような管継手1は、連結作業がワンタッチで済むという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記従来の管継手1では、ケージ7の開口部11を介して図中A視側から冷媒漏れを確認できるが、冷媒がOリング10を越えて少しずつ漏れ出してきた場合は、冷媒が開口部11に達する前にケージ7内で揮発してしまい、長期間にわたって冷媒漏れに気づかないおそれがあった。
【0005】
また、前記従来の管継手1にあっては、製造工程で管継手1の閉密性を検査する際、ケージ7の開口部11に冷媒が流れてくるまでは不良品か否かを確認できず、管継手1の検品に時間がかかるという課題も残されていた。
【0006】
本発明は、このような従来技術を背景に為されたものであって、早期に冷媒漏れを確認できる管継手の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、オス管を受け入れるメス管の開口端に、該開口端をフレア状に拡開して形成したビードフック部を設ける一方、オス管の接続端部の外周面に、ビードフック部の進入退出を可能とする開口部と、フック部と、を有する環状のケージを固設し、該ケージ内に、メス管の挿入時にビードフック部の外周に乗り上げて該ビードフック部とフック部との間に入り込んでこれらビードフック部とフック部とを係合してオス管とメス管とを連結状態とする環状ばねを設け、オス管のケージと該オス管の接続端部の開口端との間に、オス管の外周面とメス管の内周面の間からオス管およびメス管の内部を流れる流体が漏れることを防止するOリングを装着した管継手において、前記ケージに、該ケージ内を目視可能とする確認窓を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項1記載の発明にあっては、上記構成において、ケージに、該ケージの基端の近傍から開口し、連結状態でビードフック部の内側に位置するオス管の接続端部の外周面を目視可能とする確認窓を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の管継手であって、オス管とメス管との連結状態でメス管の開口端に当接してオス管の外周面とメス管の内周面との間に異物が侵入するのを防止する環状シール体を、オス管に装着したことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ケージに該ケージ内を目視可能とする確認窓を設けたため、流体が少しずつ漏れてケージの開口部に達する前に揮発してしまうような場合であっても、早期に漏れを発見することができる。
【0011】
また、請求項1記載の発明によれば、上記効果に加えて、確認窓は該ケージの基端の近傍から開口し、連結状態でビードフック部の内側に位置するオス管の接続端部の外周面を目視可能とするので、オス管の外周面とメス管の内周面との間から漏れてくる流体を、より早期に発見できる。特に、管継手の製造工程においては、管継手の検品時間が短縮するという優れた効果がある。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果、すなわちケージに確認窓を設けて漏れを早期に発見可能としつつも、オス管とメス管との連結状態でメス管の開口端に当接してオス管の外周面とメス管の内周面との間に異物が侵入するのを防止する環状シール体をオス管に装着したため、たとえ前記確認窓から異物がケージ内に入り込んできたとしても、オス管の外周面とメス管の内周面との間に異物が侵入するようなことを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、従来と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の管継手1の外観斜視図である。この管継手1はオス管2とメス管4とを連結して、連結したオス管2・メス管4の内部に冷媒を流すものであって、より具体的には図2のような構成をしている。
【0015】
図2に示すように、オス管2の接続端部3を受け入れるメス管4の開口端5には、この開口端5をフレア状に拡開して形成したビードフック部6が設けられている。一方、オス管2の接続端部3の外周面には、環状のケージ7と、このケージ7内に納められた環状リング8と、Oリング10と、が設けられている。
【0016】
ケージ7は、オス管2を曲折して形成したビード14によって該ケージ7の基端7aがオス管2の接続端部3の外周面に固定され、先端7bをオス管2の開口端9側に反り返して形成してあり、該ケージ7の先端7aとオス管2の接続端部3の外周面との間にはビードフック部6の進入退出を可能とする環状の開口部11を備えている。そして、ケージ7の先端側は環状ばね8を介してビードフック部6と係合するフック部12として機能する。
【0017】
ケージ7内に納められた環状ばね8は、コイルスプリングの自由端同士を接続して環状にした所謂ガータばねであり、図2b,図2cに示すように、メス管4の挿入時にビードフック部6の外周に乗り上げて該ビードフック部6とフック部12との間に入り込んむようになっている。そのため、この環状ばね8はビードフック部6とフック部12とを係合して、メス管4とオス管2とを連結状態とすることができる。
【0018】
Oリング10は、オス管2の接続端部3の開口端9と、オス管2のケージ7と、の間に設けられたOリング装着溝13に装着され、オス管2とメス管4の連結状態においてオス管2およびメス管4の内部を流れる冷媒が外部へ漏れ出さないようにしている。
【0019】
このような管継手1において、万が一、Oリング10を越えて冷媒が漏れてきたときに該冷媒漏れを視認可能とする「確認窓」として、ケージ7の周面に孔18と、ケージの背面に孔19と、を設けたことが本実施形態の特徴となっている。
【0020】
ここで、孔18はケージ7の周面に4つ穿設されており、ケージ7の径方向(図1中B視側)からケージ7内部を目視可能とし、一方、孔19は、ケージ7開口部11の反対側に形成されたケージ7の背面に同じく4つ穿設されており、ケージ2の開口部11の反対側(図1中C視側)からケージ7内部を目視可能にしている。
【0021】
また、本実施形態では、オス管2とメス管4との連結状態でメス管4の開口端5に当接して、オス管2の外周面とメス管4の内周面との間に異物が侵入するのを防止する環状シール体15が、オス管2に装着されている。図3は、この環状シール体15の拡大図である。図3に示すように環状シール体15は、弾性変形可能な軟質樹脂・ゴムで形成されていて、オス管2に嵌着する基部16と、この基部16から突設され、基端17aから先端17bに向かって漸次薄肉となっているシールリップ部17と、からなっている。そのため、図2b→図2cに示すように、環状シール体15のシールリップ部17は、メス管4の挿入時に弾性変形してビードフック部6の進入を許容するとともにオス管2とメス管4との連結状態で復元してメス管4の開口端5(ビードフック部6の内周面)に当接するものである。
【0022】
本実施形態の管継手1によれば、確認窓としての孔18,孔19をケージ7に設けたため、ケージ7内部が目視可能となる。そのため、冷媒が少しずつ漏れてケージ7の開口部10に達する前に揮発してしまうような場合であっても、早期に冷媒漏れに気づくことができる。
【0023】
ここで、確認窓としての孔18が、ケージ7の径方向(図1中B視側)からケージ7内部を目視可能とするとともに、確認窓としての孔19が、ケージ7の開口部11とは反対側(図1中C視側)からケージ7内を目視可能としているため、本実施形態の管継手1によれば、管継手1の周囲のいずれの方向からもケージ7の内部を目視可能となる。そのため、たとえば車のエンジンルームなどに搭載されて、狭い隙間に配置されるような管継手1であっても、早期に冷媒漏れを発見ができる。
【0024】
さらに、本実施形態の管継手1によれば、オス管2とメス管4との連結状態でメス管4の開口端6に当接して、オス管2の外周面とメス管4の内周面との間に異物が侵入するのを防止する環状シール体15を、オス管2に装着したため、ケージ7に孔18,19を設けて冷媒漏れを早期に発見可能としつつも、該孔18,19からオス管2の外周面とメス管4の内周面との間に侵入する恐れのある異物(たとえば埃や水滴)をシャットアウトすることができる。
【0025】
なお、この環状シール体15は、オス管2に嵌着する基部16と、メス管4の挿入時に弾性変形してビードフック部6の進入を許容するとともにオス管2とメス管4との連結状態で復元してビードフック部6に当接するシールリップ部17と、からなるため、環状シール体15は、メス管4の挿入時にビードフック部6と干渉する位置にありながらも、メス管4の挿入を邪魔せずに、メス管4の挿入がスムーズに行われるようになっている。
【0026】
また、環状シール体15のシールリップ部17は、基端17aから先端17bに向かって漸次薄肉となっているので、該シールリップ部17はしなやかな弾性変形をする。そのため、シールリップ部17は、オス管2とメス管4との連結状態において、メス管4の開口端5を形成しているビードフック部6内周面への密着度が高く、さらには、その先端17a側へ漏れ出してきた冷媒を導くため、冷媒漏れの確認をさらに容易にする。
【0027】
以下、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については同符号を付して、構成および作用効果の説明は省略する。
【0028】
第2実施形態:図4,5は本発明の第2実施形態である。この第2実施形態の管継手1は、図4,5に示すようにケージ7の背面に、ケージ7の基端7a近傍から開口し、ビードフック部6の内側のメス管4の接続端部3の外周面を目視可能とした孔20を設けたものである。
【0029】
この実施形態によれば、ケージ7の背面に、連結状態でメス管4のビードフック部6の内側に位置するオス管2の接続端部3の外周面を目視可能とする孔20を設けたため、Oリング10を越えてオス管2の外周面とメス管4の内周面の間から冷媒が漏れてくると、すぐに確認できる。そのため、従来、生産行程の不良品チェックの際にケージ7の開口部11に冷媒が達するまでは不良品か否か判断できなかったものに比べて、極めて検品時間が早くなる。その結果、管継手1の検品時間が大幅に短縮し、生産効率が向上する。
【0030】
第3実施形態:図6,7は本発明の第3実施形態である。第3実施形態の管継手1は、ケージ7に設けた確認窓が、ケージ7の背面とケージ7の周面とに跨って形成された帯状の長孔22として構成されたものであり、該長孔22が図7中B視側およびC視側からケージ7内を目視可能としている。さらに、この長孔22は、オス管2のビード部14よりも低い位置から開口している。
【0031】
この第3実施形態の管継手1によれば、オス管2のビード部14よりも低い位置から開口しいるため、図7に示すようにビードフック部6の内周面、および、連結状態で該ビードフック部6の内側に位置するオス管2の接続端部3の外周面が、目視しやすくなり、さらに早く管継手1を検品ができる。
【0032】
また、第3実施形態の管継手1によれば、確認窓が、ケージ7の背面からケージ7の周面に跨って形成された長孔22として構成されているため、図7に示すようにB視側およびC視側からケージ7内を目視可能であるだけでなく、視界θが極めて広いという利点がある。
【0033】
以上、実施形態2,3においては、管継手の検品時の様子を説明するため環状シール体15を装着しない例を示したが、いずれの実施形態においても管継手1の使用時においては図3に示す環状シール体15を装着するのが好ましい。
【0034】
なお、この本発明においては、確認窓は上述の実施形態に限られるものではなく、例えば図8に示すようにケージ7の基端7aから切り欠き形成した切欠部22として確認窓を構成してもよいし、図9のように周方向に延在する長孔23であってもよい。また、確認窓の数は使用目的等に応じて変更可能である。ここで、図8に示すように確認窓が切欠部である場合は、加工が容易であるし、また、図9のように確認窓が周方向に延在する長孔である場合は、オス管2とメス管4との連結角度に関係なくいずれの位置からもケージ7内を目視できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の管継手を示す外観斜視図である。
【図2】図1の管継手の要部を示す拡大断面図であって、メス管の挿入前(分図a)、メス管の挿入時(分図b)、オス管とメス管の連結状態(分図c)である。
【図3】環状シール体を示す正面図(分図a)および断面図(分図b)である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す管継手の外観斜視図である。
【図5】図4の管継手の要部を示す拡大断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態の管継手を示す外観斜視図である。
【図7】図6の管継手の要部を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の管継手の他の形態を示す図。
【図9】本発明の管継手の他の形態を示す図。
【図10】従来の管継手を示す断面図であって、メス管の挿入前(分図a)、メス管の挿入時(分図b)、オス管とメス管の連結状態(分図c)である。
【符号の説明】
1 管継手
2 オス管
3 接続端部
4 メス管
5 メス管の開口端
6 ビードフック
7 ケージ
8 環状ばね
9 オス管の開口端
10 Oリング
11 開口部
12 フック部
15 環状シール体
18 孔(確認窓)
19 孔(確認窓)
20 孔(確認窓)
21 長孔(確認窓)
22 切欠部(確認窓)
23 長孔(確認窓)
Claims (2)
- オス管(2)を受け入れるメス管(4)の開口端(5)に、該開口端(5)をフレア状に拡開して形成したビードフック部(6)を設ける一方、オス管(2)の接続端部(3)の外周面に、ビードフック部(6)の進入退出を可能とする開口部(11)と、フック部(12)と、を有する環状のケージ(7)を固設し、該ケージ内(7)に、メス管(4)の挿入時にビードフック部(6)の外周に乗り上げて該ビードフック部(6)とフック部(12)との間に入り込んでこれらビードフック部(6)とフック部(12)とを係合してオス管(2)とメス管(4)とを連結状態とする環状ばね(8)を設け、オス管(2)のケージ(7)と該オス管(2)の接続端部(3)の開口端(9)との間に、オス管(2)の外周面とメス管(4)の内周面の間からオス管(2)およびメス管(4)の内部を流れる流体が漏れることを防止するOリング(10)を装着した管継手(1)において、
ケージ(7)に、該ケージ(7)の基端(7a)の近傍から開口し、連結状態でビードフック部(6)の内側に位置するオス管(2)の接続端部(3)の外周面を目視可能とする確認窓(20,21,22)を設けたことを特徴とする管継手。 - 請求項1記載の管継手であって、
オス管(2)とメス管(4)との連結状態でメス管(4)の開口端(5)に当接してオス管(2)の外周面とメス管(4)の内周面との間に異物が侵入するのを防止する環状シール体(15)を、オス管(2)に装着したことを特徴とする請求項1記載の管継手。
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